
ギリシャ文字→ラテン文字変換ツール
ギリシャ文字をラテン文字に変換するツール
ギリシャ文字→ラテン文字変換
ギリシャ文字→ラテン文字変換
使い方
- 「ギリシャ語テキスト」欄にギリシャ文字を入力します
- 変換方法を選択します
- 音訳
- 音訳(記号なし)
- 翻字
- 出力形式(小文字 / 文頭のみ大文字 / すべて大文字)を選択します
- 「変換を実行」ボタンをクリックします
- 変換結果が「ラテン文字テキスト(結果)」欄に表示されます
- 必要に応じて「結果をコピー」ボタンでクリップボードにコピーできます
変換の仕様
音訳と翻字のちがい
音訳は発音に近い形で転写し、翻字は綴りを1対1で置き換えます。音訳には、ギリシャ政府の規格(ELOT 743 Type 2)に沿った ELOT方式と、英語版 Wiktionary などで見られるより発音に寄せた方式の2種類があります。
| 例 | 音訳(ELOT方式) | 音訳(発音寄り) | 翻字 |
|---|---|---|---|
| εύρω | évro | évro | eúro |
| μπύρα | býra | býra | mpýra |
| λάμπα | lámpa | lámpa | lámpa |
| ντους | ntous | dous | ntous |
| γκάζι | gkázi | gázi | gkázi |
| Αντώνιος | antónios | antónios | antónios |
| ευχαριστώ | efcharistó | efcharistó | eucharistó |
主な違いは次の2点です。
- 音訳(ELOT方式)と音訳(発音寄り):μπ・ντ・γκ の扱いが異なります。ELOT方式は μπ だけを位置依存(語頭・語末で b、語中で mp)とし、ντ と γκ は一律の nt・gk で書きます。発音寄りは3つとも位置依存にします
- 音訳と翻字:音訳は αυ・ευ・ηυ の υ を発音にあわせて f / v に変え、μπ を位置で書き分ける処理を行います。翻字はこれらの変換を行わず、綴りをそのまま写します
どのモードでも共通の扱い
- 記号を「保持」すれば入力のアクセント符号・分音記号がそのまま出力に反映され、「省略」を選ぶと取り除いて出力します
- 大文字の入力は小文字として扱います
- 中黒「·」はセミコロン「;」に、ギリシャ引用符「« »」は「“」に変換します
- アポストロフィ類(‘ ’ ʼ など)は ASCII のアポストロフィ「‘」に統一します
- 数字・空白・一般的な句読点はそのまま残します
- 対応表やルールで変換できない文字はダッシュ「-」として出力されます
各ルールの背景や規格との違いは、下の「このツールについて」で説明します。
このツールについて
ギリシャ文字をラテン文字にするとき、一番多い目的は名前や地名の発音を伝えることです。ギリシャ政府が ELOT 743 Type 2 を定めてパスポートや身分証に使っていることからも、ラテン文字でのギリシャ語表記は発音に近い形、すなわち音訳が基本といえます。
このツールも音訳を中心の機能としていますが、それに加えて、ギリシャ文字の綴りがラテン文字でどう並ぶかを確認する使い方もほしかったため、綴りを1対1で置き換える翻字のモードも用意しました。こちらは国際標準化機構の ISO 843 に基づく形としています(一部の規定は省略)。
音訳は2種類あります。音訳(ELOT方式) は ELOT 743 Type 2 に沿ったもので、ギリシャの公的な場面で使われる書き方です。音訳(発音寄り) は英語版 Wiktionary などで使われる、より発音に寄せた書き方です。両者の違いは ντ と γκ の扱いだけで、ELOT 方式では一律の nt・gk で書き、発音寄りでは語頭・語末で d・g、語中で nt・ng と書き分けます。
どれも規格そのものに完全準拠しているわけではなく、ツールの目的に合わせて一部を省略・調整しています。具体的な内容は以下のセクションで説明します。
音訳(ELOT方式)
ELOT 743 Type 2 に沿って、発音に近い形でラテン文字に転写します。
αυ, ευ, ηυ
現代ギリシャ語では、αυ・ευ・ηυ の υ は単独の母音ではなく、後続する音によって [f] または [v] として発音されます。
- 無声音の前では [f](例:ευχαριστώ [efcharistó])
- 有声音の前や語末では [v](例:ευρώ [evró])
音訳モードはこの発音規則を反映して、υ を f または v に変換します。
- 無声音(θ, κ, ξ, π, σ, ς, τ, φ, χ, ψ)が続く場合 → f
- それ以外(有声音や語末)→ v
また「ύ」を含む場合は、先頭の母音にアクセントが付きます(εύπ → éfp)。
μπ の位置判定
μπ は位置によって発音が異なります。
- 語頭・語末 → b の音(例:μπύρα → býra)
- 語中 → mp の音(例:λάμπα → lámpa)
判定は「μπ の前後がともにギリシャ文字か」で行います。スペースや句読点のあとに続く μπ も語頭扱いになります(το μπύρα → to býra)。
音訳(発音寄り)
ELOT方式の処理に加えて、ντ・γκ も位置で書き分けます。英語版 Wiktionary などのギリシャ語ローマ字表記で広く使われている方式です。
- ντ:語頭・語末 → d、語中 → nt(例:ντους → dous、Αντώνιος → antónios)
- γκ:語頭・語末 → g、語中 → ng(例:γκάζι → gázi、αγκαλιά → angaliá)
位置判定の仕方は μπ と同じで、前後がともにギリシャ文字なら語中、そうでなければ語頭・語末として扱います。
そのほか(αυ・ευ・ηυ の f / v 分岐、μπ の位置判定)は ELOT方式と同じです。
翻字
綴りを1対1で変換します。音訳と違い、二重母音の f / v 判定や μπ・ντ・γκ の位置判定は行いません。
マクロン(長音記号)の省略
ISO 843 の厳密な規定では、現代ギリシャ語の η と ω はラテン文字側でマクロン付きの ī・ō で表記されます。これは、発音が同じ ι・ο(i・o)と綴り上で区別するためのものです。
本ツールでは、読みやすさと入力のしやすさを優先してマクロンを省略し、η → i、ω → o としています。このため、η と ι、ω と ο はラテン文字上で同じ綴りになります。
αυ, ευ, ηυ
音訳のように af / ev などへは変換せず、綴りをそのまま au / eu / iu と写します(例:ευχαριστώ → eucharistó、ευρώ → euró)。
アクセント付きの場合(αύ, εύ, ηύ)は、元の ύ にアクセントがあったことを残すため、ラテン側も2文字目にアクセントを付けて aú / eú / iú とします。ISO 843 の規定に沿った扱いです。
共通のルール
このツールは単語だけでなく、文や引用の貼り付けも扱える作りにしています。そのため、ギリシャ語特有の記号はラテン文字側に合わせて正規化し、数字・空白・句読点はそのまま残します。
記号の保持と省略
「記号」オプションは、ラテン文字側のアクセント符号(´)と分音記号(¨)の扱いを切り替えます。
- 保持:入力のアクセント符号・分音記号は出力にそのまま反映されます
- 省略:á, é, í, ó, ý, ï, ÿ, ḯ, ÿ́ から記号を取り除いて出力します
どのモードでも同じように働きます。なお翻字モードで η・ω のマクロンを省略しているのは、このオプションとは別に常時適用される仕様です。
入力の前処理
- 大文字は小文字として扱います
- 中黒「·」はセミコロン「;」に変換します
- ギリシャ引用符「« »」は二重引用符「“」に変換します
- アポストロフィ類(U+2018 ‘、U+2019 ’、U+02BC ʼ など)は ASCII のアポストロフィ「’」(U+0027)に統一します
変換の進め方
前処理の後、入力を頭から順に対応表と照合します。
- まず二文字の組み合わせ(μπ、γγ、ου など)を優先して変換します
- 見つからなければ一文字ずつ変換します
- どちらにも当たらない文字のうち、数字・空白・一般的な句読点(. , ! ? : ; ( ) 等)はそのまま残し、それ以外はダッシュ「-」として出力されます
対応表
音訳
ELOT方式と発音寄りで共通する部分は以下のとおりです。
| ギリシャ文字 | ラテン文字 |
|---|---|
| α | a |
| ά | á |
| β | v |
| γ | g |
| δ | d |
| ε | e |
| έ | é |
| ζ | z |
| η | i |
| ή | í |
| θ | th |
| ι | i |
| ί | í |
| ϊ | ï |
| ΐ | ḯ |
| κ | k |
| λ | l |
| μ | m |
| ν | n |
| ξ | x |
| ο | o |
| ό | ó |
| π | p |
| ρ | r |
| σ | s |
| ς | s |
| τ | t |
| υ | y |
| ύ | ý |
| ϋ | ÿ |
| ΰ | ÿ́ |
| φ | f |
| χ | ch |
| ψ | ps |
| ω | o |
| ώ | ó |
| γγ | ng |
| γξ | nx |
| γχ | nch |
| ου | ou |
| ωυ | ou |
| αυ / αύ | af / áf または av / áv(後続文字による) |
| ευ / εύ | ef / éf または ev / év(後続文字による) |
| ηυ / ηύ | if / íf または iv / ív(後続文字による) |
| μπ | b(語頭・語末)/ mp(語中) |
ELOT方式と発音寄りで異なる部分は以下のとおりです。
| ギリシャ文字 | ELOT方式 | 発音寄り |
|---|---|---|
| ντ | nt(一律) | d(語頭・語末)/ nt(語中) |
| γκ | gk(一律) | g(語頭・語末)/ ng(語中) |
「記号」を省略にすると、上記の á, é, í, ó, ý, ï, ÿ, ḯ, ÿ́ から記号を取り除いて出力します。
翻字
| ギリシャ文字 | ラテン文字 |
|---|---|
| α | a |
| ά | á |
| β | v |
| γ | g |
| δ | d |
| ε | e |
| έ | é |
| ζ | z |
| η | i |
| ή | í |
| θ | th |
| ι | i |
| ί | í |
| ϊ | ï |
| ΐ | ḯ |
| κ | k |
| λ | l |
| μ | m |
| ν | n |
| ξ | x |
| ο | o |
| ό | ó |
| π | p |
| ρ | r |
| σ | s |
| ς | s |
| τ | t |
| υ | y |
| ύ | ý |
| ϋ | ÿ |
| ΰ | ÿ́ |
| φ | f |
| χ | ch |
| ψ | ps |
| ω | o |
| ώ | ó |
| ου | ou |
| αυ | au |
| αύ | aú |
| ευ | eu |
| εύ | eú |
| ηυ | iu |
| ηύ | iú |
「記号」を省略にすると、上記の á, é, í, ó, ý, ï, ÿ, ḯ, ÿ́ から記号を取り除いて出力します。
参考サイト
ISO 843:国際標準化機構(ISO)によるギリシャ文字→ラテン文字の翻字規格
ELOT 743 コンバーター(ギリシャ外務省):ELOT 743 に基づくギリシャ政府の公式コンバーター