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動詞の語形変化表の見方

動詞の語形変化表の見方について

要点のまとめ

動詞の語形変化表の読み方

  • 動詞は時制・相・態・法などに応じて複雑に語形変化し、語尾だけでなく語幹・語頭にも変化が生じる

態による大分類

  • 語形変化表の最も大きな見出しは態(能動態 -ω/-ώ、受動態 -μαι)
  • 片方の態のみを持つ動詞もある

相 × 時制による中分類

  • 態の中は非完結・完結・完了の3つの相と、過去・現在・未来の3つの時制のマトリックス
  • 未来は θα + 現在時制で語形は同一
  • 完了相は έχω + 非定形で表す

人称・数による小分類

  • 各セルの中で一・二・三人称 × 単数・複数の6種類に変化する
  • 計108種類の語形となる(態2 × 相×時制9 × 人称×数6)

型(タイプ)による分類

  • 第一種活用、第二種Aタイプ、第二種Bタイプの三種類に大別される

法(おまけ)

  • 命令法は二人称のみで、非完結相と完結相の区別がある
  • 接続法では現在時制 × 完結相の語形も用いられる

動詞の語形変化表の読み方

ギリシャ語の動詞は、文法カテゴリー(時制、相、態、法など)に応じて複雑に語形変化します。変化は語尾だけでなく、語幹や語頭にも生じます。

以下は、語形変化表の基本構成についての概説です。

態による大分類

語形変化表の最も大きな見出しには、一般的にが記載されています。

ギリシャ語の動詞は、能動態が -ω または -ώ、受動態が -μαι で終わる語形を基本とします。それぞれ異なる語形変化のパターンを持ちます。

能動態受動態
χτίζω(建てる)χτίζομαι(建てられる)
語形変化いろいろ…語形変化いろいろ…

片方の態のみを持つ動詞の場合、表の中身も半分になります。

能動態のみ
ανήκω(属する)
語形変化いろいろ…
受動態のみ
έρχομαι(来る)
語形変化いろいろ…

相 × 時制による中分類

態でくくられた表の中は、時制のマトリックスになっています。

以降の表では、動詞のどの部分が変化しているかを示すため、語頭・語幹・語尾を区切って記載しています。

能動態 > 相 × 時制

相/時制過去現在未来
非完結έ-χτιζ-αχτίζ-ωθα χτίζ-ω
完結έ-χτισ-αχτίσ-ωθα χτίσ-ω
完了είχ-α χτίσειέχ-ω χτίσειθα έχ-ω χτίσει
非定形
χτίσει

受動態 > 相 × 時制

相/時制過去現在未来
非完結χτιζ-όμουνχτίζ-ομαιθα χτίζ-ομαι
完結χτίστ-ηκαχτιστ-ώθα χτιστ-ώ
完了είχ-α χτιστείέχ-ω χτιστείθα έχ-ω χτιστεί
非定形
χτιστεί

能動態 > 相 × 時制(現在・過去・未来の順)

教材によっては、時制を現在・過去・未来の順に並べていることもあります。

相/時制現在過去未来
非完結χτίζ-ωέ-χτιζ-αθα χτίζ-ω
完結χτίσ-ωέ-χτισ-αθα χτίσ-ω
完了έχ-ω χτίσειείχ-α χτίσειθα έχ-ω χτίσει

能動態 > 時制 × 相

相と時制の縦横が逆になっている場合もあります。

時制/相非完結完結完了
過去έ-χτιζ-αέ-χτισ-αείχ-α χτίσει
現在χτίζ-ωχτίσ-ωέχ-ω χτίσει
未来θα χτίζ-ωθα χτίσ-ωθα έχ-ω χτίσει

過去・現在時制 × 非完結・完結相が重要

語形変化表の中心となるのは過去時制現在時制 × 非完結相完結相の4つの組み合わせです。未来完了相の欄は簡略化・省略されることがあります。

未来は θα + 現在時制

未来は文法的には現在時制に含まれ、動詞の語形は現在と同一です。非完結完結完了相のいずれも、現在時制の前にθαを置いた形になります。

完了相の έχω と非定形

完了相έχω + 非定形で表されます。英語のhave + 過去分詞に相当する構造で、έχω は「持っている」を意味する動詞です。

非定形は、語形変化表によっては「不定詞」と記載されていることがあります。ただし英文法の不定詞(to + 動詞)とは異なり、現代ギリシャ語では動詞の「三人称単数・現在時制・完結相」の語形がこれにあたります。語形変化表では表の下部や右端に別項目として記載されていることが多いです。

完了相では、時制や人称・数は έχω の語形で示されます。英語の完了表現で have をhadhasにするのと同様です。

完了相の欄がなくても、「非定形」があれば完了形は構成できます。非定形は「完結相」の欄にある三人称単数形と同一です。έχω 自体の語形変化は別途参照が必要です。

人称・数による小分類

相×時制の各セルの中に、人称による語形変化が記載されています。

ギリシャ語の動詞は、主語の人称(一人称・二人称・三人称)と数(単数・複数)に応じて語尾が変化します。英語の三単現(he goes)と異なり、すべての人称・数で語尾が異なります。

たとえば、上の表の非完結相 × 現在時制のセルは、人称と数によって以下のように変化します。

能動態 > 非完結相 × 現在時制 > 人称・数

人称/数単数複数
一人称χτίζ-ωχτίζ-ουμε
二人称χτίζ-ειςχτίζ-ετε
三人称χτίζ-ειχτίζ-ουν

まとめ - 態 > 相 × 時制 > 人称・数

動詞の語形変化表は次のような階層構造です。

  1. (能動態/受動態)
  2. 相 × 時制(非完結・完結・完了 × 過去・現在・未来)
  3. 人称 × 数(一・二・三人称 × 単数・複数)

9種類の「相 × 時制」がそれぞれ6種類の「人称 × 数」に応じて変化し、態が2種類あるため、計108種類の語形となります。

能動態 > 相 × 時制 > 人称・数

能動態
人称・数過去現在未来
非完結一単έχτιζαχτίζωθα χτίζω
二単έχτιζεςχτίζειςθα χτίζεις
三単έχτιζεχτίζειθα χτίζει
一複χτίζαμεχτίζουμεθα χτίζουμε
二複χτίζατεχτίζετεθα χτίζετε
三複έχτιζανχτίζουνθα χτίζουν
完結一単έχτισαχτίσωθα χτίσω
二単έχτισεςχτίσειςθα χτίσεις
三単έχτισεχτίσειθα χτίσει
一複χτίσαμεχτίσουμεθα χτίσουμε
二複χτίσατεχτίσετεθα χτίσετε
三複έχτισανχτίσουνθα χτίσουν
完了一単είχα χτίσειέχω χτίσειθα έχω χτίσει
二単είχες χτίσειέχεις χτίσειθα έχεις χτίσει
三単είχε χτίσειέχει χτίσειθα έχει χτίσει
一複είχαμε χτίσειέχουμε χτίσειθα έχουμε χτίσει
二複είχατε χτίσειέχετε χτίσειθα έχετε χτίσει
三複είχαν χτίσειέχουν χτίσειθα έχουν χτίσει
非定形χτίσει

受動態 > 相 × 時制 > 人称・数

受動態
人称・数過去現在未来
非完結一単χτιζόμουνχτίζομαιθα χτίζομαι
二単χτιζόσουνχτίζεσαιθα χτίζεσαι
三単χτιζότανχτίζεταιθα χτίζεται
一複χτιζόμαστανχτιζόμαστεθα χτιζόμαστε
二複χτιζόσαστανχτίζεστεθα χτίζεστε
三複χτίζοντανχτίζονταιθα χτίζονται
完結一単χτίστηκαχτιστώθα χτιστώ
二単χτίστηκεςχτιστείςθα χτιστείς
三単χτίστηκεχτιστείθα χτιστεί
一複χτιστήκαμεχτιστούμεθα χτιστούμε
二複χτιστήκατεχτιστείτεθα χτιστείτε
三複χτίστηκανχτιστούνθα χτιστούν
完了一単είχα χτιστείέχω χτιστείθα έχω χτιστεί
二単είχες χτιστείέχεις χτιστείθα έχεις χτιστεί
三単είχε χτιστείέχει χτιστείθα έχει χτιστεί
一複είχαμε χτιστείέχουμε χτιστείθα έχουμε χτιστεί
二複είχατε χτιστείέχετε χτιστείθα έχετε χτιστεί
三複είχαν χτιστείέχουν χτιστείθα έχουν χτιστεί
非定形χτιστεί

型(タイプ)による分類

ここまでにまとめた「態 > 相 × 時制 > 人称」による変化の仕方は、第一種活用と呼ばれる型(タイプ)です。

ギリシャ語の動詞は、大別すると以下の三種類の型のいずれかに該当します。

  • 第一種活用動詞
  • 第二種Aタイプ活用動詞
  • 第二種Bタイプ活用動詞

型(タイプ)については別ページで詳述します。ここでは基本部分を抜き出した表を掲載します。

第一種活用動詞 - 能動態 > 相 × 時制

相/時制過去現在未来
非完結έ-χτιζ-αχτίζ-ωθα χτίζ-ω
完結έ-χτισ-αχτίσ-ωθα χτίσ-ω
完了είχ-α χτίσειέχ-ω χτίσειθα έχ-ω χτίσει

第二種Aタイプ活用動詞 - 能動態 > 相 × 時制

相/時制過去現在未来
非完結αγαπ-ούσα
αγάπ-αγα
αγαπά-ω
αγαπ-ώ
θα αγαπ-άω
θα αγαπ-ώ
完結αγάπ-ησααγαπ-ήσωθα αγαπ-ήσω
完了είχ-α αγαπ-ήσειέχ-ω αγαπ-ήσειθα έχ-ω αγαπ-ήσει

第二種Bタイプ活用動詞 - 能動態 > 相 × 時制

相/時制過去現在未来
非完結θεωρ-ούσαθεωρ-ώθα θεωρ-ώ
完結θεώρ-ησαθεωρ-ήσωθα θεωρ-ήσω
完了είχ-α θεωρ-ήσειέχ-ω θεωρ-ήσειθα έχ-ω θεωρ-ήσει

「三種類の型」はあくまで大別であり、さらに細かな分類があります。ただし、語形変化表の構造を把握しておくと、個別の活用を覚える際の手がかりになります。

法(おまけ)

多くの語形変化表では、ここまでの内容を「直説法」という名称でくくり、その他に「接続法」や「命令法」という欄を設けています。

ギリシャ語の「法」は語形だけで表される文法カテゴリーではないため、語形変化表を「法」でくくる方式はやや紛らわしい面があります。

ただし「命令法」については、ここまでとは異なる語形が変化表に載っています(多くは下部か右端)。ここではその部分をまとめます。

命令法

命令法は英語の命令形と同様の機能です。英語と同じく二人称のみで、時制はありません。ただし単数と複数の区別、および相の区別があります(完了相はなし)。

能動態 - 命令法

人称・数語形
非完結相二単χτίζε
非完結相二複χτίζετε
完結相二単χτίσε
完結相二複χτίστε

受動態 - 命令法

人称・数語形
非完結相二単-
非完結相二複χτίζεστε
完結相二単χτίσου
完結相二複χτιστείτε

直説法と接続法

ギリシャ語の「接続法」は、英語の仮定法を含むif節、助動詞や不定詞を用いる表現全般を指します。それ以外の、いわゆる普通の断定や否定の表現が「直説法」です。

語形変化表に関して注意すべき点として、「接続法」では「現在時制 × 完結相」の語形も用いることが挙げられます。