古代ギリシャ語の πορφυροῦς / πορφύρεος(貝紫色の。πορφύρα「貝紫染料、ムラサキガイ」由来)からの学術借用(διαχρονικό δάνειο)で、語末の屈折型を現代ギリシャ語の -ός 型形容詞に整えなおして πορφυρός の形に落ち着いた。πορφύρα 自体は動詞 πορφύρω(波が逆巻く、湧き立つ)に由来する古層の語で、ヘキサプレックス科の巻貝(ツロツブリガイ、シリアツブリガイ)から取れる紫染料と、その色をした貝そのものを指した。プリニウスが「凝固した血の色」と形容したように赤と紫の境界にあたる深い色で、古代から中世にかけて高貴さの象徴となり、ビザンツ帝国では皇帝の子が πορφυρογέννητος(紫室生まれの)と呼ばれた。古代の πορφύρα はラテン語 purpura を経て、英語 purple(紫), porphyry(斑岩), ロシア語 порфира(皇帝の紫衣), ルーマニア語 porfiră(紫染料)の源になった。
類義語に βαθυκόκκινος(深紅の。βαθύς「深い」+ κόκκινος の合成), μοβ(紫の。フランス語 mauve 由来の外来借用で、日常の「紫」を指す), κόκκινος(赤の。日常の赤の総称), βυσσινί(えんじ色の、サワーチェリー色)。πορφυρός は古代由来の文学的・格式高い語で、夕日や王衣のような赤と紫の境界にある深い色を指す書き言葉の形として使う。派生に πορφυρό(中性形を名詞化したもの。貝紫色そのものを指す)。関連語に πορφύρα(貝紫染料、紫衣、ムラサキガイ), πορφυρογέννητος(紫室生まれ、皇帝の血筋の。ビザンツ皇族の称号), καταπόρφυρος(全身紫色の。κατά- 強調の合成)。