ギリシャ語:κρατέρωμα
読み方:クラテロマ・クラテーロマ
ラテン文字:krateroma
ヘレニズム期ギリシャ語の κρατέρωμα(銅と錫の合金)に由来。さらに深い語源は不明。カサレヴサ系の文語で使われる。
日常的な同義語は μπρούντζος(青銅、ブロンズ)。材料は χαλκός(銅)と κασσίτερος(錫)の合金で、銅と亜鉛の合金である真鍮(ορείχαλκος)としばしば混同される。
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ギリシャ語:κρατέρωμα
読み方:クラテロマ・クラテーロマ
ラテン文字:krateroma
ヘレニズム期ギリシャ語の κρατέρωμα(銅と錫の合金)に由来。さらに深い語源は不明。カサレヴサ系の文語で使われる。
日常的な同義語は μπρούντζος(青銅、ブロンズ)。材料は χαλκός(銅)と κασσίτερος(錫)の合金で、銅と亜鉛の合金である真鍮(ορείχαλκος)としばしば混同される。
ギリシャ語:νέφος
読み方:ネフォス・ネーフォス
ラテン文字:nefos
古代ギリシャ語の νέφος(雲、雲の群れ)を継承。「雲、霧」を表す印欧祖語の語根から続き、同じ語根からラテン語 nebula(霧)、英語 nebula(星雲)、ドイツ語 Nebel(霧)などの仲間がある。派生に νέφωση(曇ること、医学では混濁)、同族の νεφέλη(雲、詩や文章で使う形)から νεφελώδης(雲の多い、比喩で漠然とした)と νεφέλωμα(星雲)が続く。日常の「雲」は σύννεφο と言い、νέφος は気象や天文、物理の文脈のほか、大気汚染・スモッグを指すのに使うことが多い。アテネのスモッグを指す νέφος της Αθήνας は20世紀後半から定着した用法で、英語 cloud(of smoke/pollution)の用法をなぞったもの。
ギリシャ語:φτερό
読み方:フテロ・フテロー
ラテン文字:ftero
古代ギリシャ語の πτερόν(羽、翼)を継承。中世ギリシャ語で語頭の π- が φ- に変わり φτερό(ν) となった。πτερόν は印欧祖語で「羽、翼、飛ぶ」を表す語根から出た語で、動詞 πέτομαι(飛ぶ、今は πετώ)もこの語根から。英語 feather、ドイツ語 Feder も仲間。学術用語の pter-、-pter(pterodactyl「翼竜」、helicopter「ヘリコプター」)もここから。
飛行機の翼や自動車のフェンダーの意味は、フランス語 aile からの意味借用で定着した。
派生語に φτερούγα(翼、羽)、φτερωτός(翼のある)、φτεροκοπώ(羽ばたく)。
やわらかい綿毛は πούπουλο で言う。
ギリシャ語:γενέθλια
読み方:イェネスリャ・イェネースリャ・イェネトゥリャ・イェネートゥリャ・ゲネスリャ・ゲネースリャ・ゲネトゥリャ・ゲネートゥリャ
ラテン文字:genethlia
ギリシャ語:πούπουλο
読み方:プープロ・プーープロ
ラテン文字:poupoulo
北イタリアの海洋都市ヴェネツィアで話されたヴェネツィア語 pùpoła からの借用。シチリア語 puppula、イタリア語 puppola も同じ語で、方言のイタリア語 puppolo はミミズクを指すといい、ミミズクの柔らかい羽毛が名の由来とみられる。一般の羽や翼は φτερό で言う。
ギリシャ語:σκουπόξυλο
読み方:スクポクシロ・スクポークシロ
ラテン文字:skoupoxylo
σκούπα(ほうき)と ξύλο(木、棒)を合わせた複合語。
ギリシャ語:άτμισμα
読み方:アトゥミズマ・アートゥミズマ
ラテン文字:atmisma
ατμός(蒸気)から動詞 ατμίζω(蒸気にする、ベイプを吸う)が作られ、それに -μα を付けて作った名詞。湯気を立てる意味は動詞からの素直な名詞形で、電子たばこのベイプの意味は2011年にフランス語 vapotage から訳されて新しく入った。
ατμός は古代ギリシャ語の ἀτμός(蒸気)からそのまま続く語。
ギリシャ語:χορταρί
読み方:ホルタリ・ホルタリー
ラテン文字:chortari
ギリシャ語:χόρτο
読み方:ホルト・ホールト
ラテン文字:chorto
ギリシャ語:έλλειμμα
読み方:エリマ・エーリマ
ラテン文字:elleimma
ギリシャ語:εμπόδιο
読み方:エボディオ・エボーディオ・エンボディオ・エンボーディオ
ラテン文字:empodio
古代ギリシャ語の ἐμπόδιον(足を取られるもの、邪魔になるもの)に由来。ἐν(中に、間に)と πούς(足、属格 ποδός)を合わせた形容詞 ἐμπόδιος(足に絡みつく、妨げになる)から作られた中性名詞。
πούς は印欧祖語で「足」を表す語根から出た語で、ラテン語 pes(属格 pedis、足)と同系。英語 impede(妨げる、もとは「足に枷をかける」)、expedite(急がせる、もとは「足を解く」)、pedestrian(歩行者の)もこの語族。英語 foot も同じ語根。
派生語に εμποδίζω(妨げる)、εμπόδιση(妨害)、εμπόδισμα(障害)。同じ語族で日常に使うのは πόδι(足)。
ギリシャ語:ζήτημα
読み方:ジティマ・ジーティマ・ズィティマ・ズィーティマ
ラテン文字:zitima
古代ギリシャ語の ζήτημα(探求、問題)に由来。動詞 ζητέω / ζητῶ(探す、求める)に、動作の結果を表す -μα を付けた名詞で、現代ギリシャ語の動詞形は ζητώ(求める、探す)。似た語に πρόβλημα(問題)があり、解決を求められる困難は πρόβλημα、議論や検討の対象として取り上げられる案件は ζήτημα と使い分けることが多い。
ギリシャ語:μπλε ανοιχτό
読み方:ブレアニフト・ブレアニフトー
ラテン文字:ble anoichto
μπλε(青)に ανοιχτός(開いた、明るい)の中性形 ανοιχτό を添えた言い方。反対は μπλε σκούρο(濃い青)。
ギリシャ語:μπλε σκούρο
読み方:ブレスクロ・ブレースクロ
ラテン文字:ble skouro
μπλε(青)に σκούρος(暗い、濃い)の中性形 σκούρο を添えた言い方。反対は μπλε ανοιχτό(薄い青)。
ギリシャ語:καραμελί
読み方:カラメリ・カラメリー
ラテン文字:karameli
καραμέλα(キャラメル、飴)からできた色名。不変化形容詞として名詞にそのまま添え、中性名詞として色そのものを言うこともある。
καραμέλα はイタリア語 caramella からの借用。さかのぼるとラテン語 calamellus(小さな葦)があり、そのもとは古代ギリシャ語 κάλαμος(葦、筒状の茎)。ギリシャ語からラテン語, イタリア語を経て再びギリシャ語に戻ってきた語にあたる。
ギリシャ語:λάθος
読み方:ラソス・ラーソス・ラトス・ラートス
ラテン文字:lathos
動詞 λανθάνω(気づかれずに過ぎる, 忘れられる)から派生した古代ギリシャ語の名詞 λάθος(見落とし, 誤り)を継承。ギリシャ神話の忘却の川 Λήθη(レテ)や英語の lethargy(無気力)も同じ語根。
ギリシャ語:δίκτυο
読み方:ディクティオ・ディークティオ
ラテン文字:diktyo
古代ギリシャ語の δίκτυον(漁や狩りの網)を学術語として取り入れ直した語。自然に受け継がれた通俗形 δίχτυ と対をなし、日常の物理的な網は δίχτυ、抽象的な網目構造やネットワークは δίκτυο で表すことが多い。
通信網、電力網、交通網、コンピュータネットワーク、人のつながりのネットワークといった抽象的な用法は、フランス語 réseau や英語 network を訳して取り入れた新しい意味。
派生語に δικτύωση(ネットワーク化)、δικτυακός(ネットワークの)、διαδίκτυο(インターネット)。
ギリシャ語:είδος
読み方:イドス・イードス
ラテン文字:eidos
古代ギリシャ語 εἶδος(姿、形、種類)に由来。印欧祖語で「見る」を表す語根から出た語で、同じ語根から ιδέα(考え、イメージ)、ιστορία(もとは「見て知ること」)、είδωλον(像、偶像)も生まれている。ラテン語 video(見る)、英語 wit(機知、もとは「知る」)、サンスクリット veda(知識)とも同系。
生物学の「種」や商品の「品目」の用法は、英語 species とフランス語 espèce からの意味借用で定着した。
派生語に ειδικός(特殊な、専門の、専門家)。後半要素の -ειδής(〜のような形の、〜状の)は複合語を多く作り、ανθρωποειδής(人間のような)、κυκλοειδής(円状の)などがある。
ギリシャ語:κύτταρο
読み方:キタロ・キータロ
ラテン文字:kyttaro
古代ギリシャ語の κύτταρον(小部屋、くぼみ、蜂の巣の一房)に由来。もとは κύτος(うつろな空間)から作られた語で、生物の「細胞」の意味はフランス語 cellule からの意味借用で定着した。
ギリシャ語:αρχείο
読み方:アルヒオ・アルヒーオ
ラテン文字:archeio
古代ギリシャ語の ἀρχεῖον(役所、公文書の置かれた場所)を継承。ἀρχή(支配、長、始まり)からできた名詞。現代の「書類のまとまり、公文書館」の意味はフランス語 archives、英語 archive から、コンピュータの「ファイル」の意味は英語 file からの意味借用で広がった。
ギリシャ語:κωδικός
読み方:コディコス・コディコース
ラテン文字:kodikos
名詞 κώδικας(コード、台帳)から作られた語。κώδικας はラテン語 codex(板、写本、法典)が古代末期のギリシャ語で κῶδιξ となり、対格 κώδικα を経てできた形。英語 code も同じラテン語 codex が源。
ギリシャ語:ποντίκι
読み方:ポディキ・ポディーキ・ポンディキ・ポンディーキ
ラテン文字:pontiki
中世ギリシャ語の ποντίκιν を継承。古代ギリシャ語の形容詞 ποντικός(ポントスの、黒海の)と μῦς(ネズミ)を合わせた ποντικὸς μῦς(黒海のネズミ)から続き、μῦς が落ちて形容詞が名詞化したあと、指小形 ποντίκιον を経て今の形になった。古代ギリシャ人はネズミが黒海沿岸から来たと考えていたためにこの名が付いたといわれる。現代の「コンピュータのマウス」の意味は、英語 mouse、フランス語 souris からの意味借用で広がった。
ギリシャ語:μέτρο
読み方:メトゥロ・メートゥロ
ラテン文字:metro
古代ギリシャ語の μέτρον(尺度、はかり方)を継承。印欧祖語で「はかる」を表す語根から来た古い語。メートル法の長さの単位としての意味は、フランス語 mètre からの意味借用で近代に定着した。英語 meter、metric、音楽用語の metronome(メトロノーム)も、ラテン語 metrum を経て同じ μέτρον からきた語。
ギリシャ語:πολλά
読み方:ポラ・ポラー
ラテン文字:polla
古代ギリシャ語の形容詞 πολύς(多い、多くの)の中性複数形 πολλά を継承。πολύς は印欧祖語の「満ちる、多い」を表す語根から続き、英語 poly-(多くの)もこの語根から入った。
ギリシャ語:ποσοστό
読み方:ポソスト・ポソストー
ラテン文字:pososto
古代ギリシャ語の ποσόν(どれだけ、量)と序数接尾辞 -οστός(〜番目、〜分の一)から作られた語で、フランス語 pourcentage、tantième を写した訳語。
ギリシャ語:εργαλείο
読み方:エルガリオ・エルガリーオ
ラテン文字:ergaleio
古代ギリシャ語の ἐργαλεῖον(道具、作業具)に由来。ἔργον(仕事、働き)に道具を表す接尾辞 -εῖον を付けた名詞で、もともと「仕事の道具」の意味。比喩的に研究や作業の手段を言う用法は、英語 tool、フランス語 outil からの意味借用で定着した。
ἔργον は印欧祖語で「作る、働く」を表す語根から出た語で、英語 work、ドイツ語 Werk と同系。同じ語族に ενέργεια(エネルギー)、όργανο(器官、楽器)、英語 ergonomics(人間工学)、synergy(相乗作用)。
複合語に εργαλειοθήκη(道具箱)、εργαλειομηχανή(工作機械)、πολυεργαλείο(多機能ツール)。
ギリシャ語:ασβέστιο
読み方:アズヴェスティオ・アズヴェースティオ
ラテン文字:asvestio
古代ギリシャ語の ἄσβεστος(消えない、石灰)をもとに作られた語。フランス語 calcium からの翻訳借用で、元素の名としての意味はそちらから入った。
英語 calcium はラテン語 calx(石灰)からで、ギリシャ語とラテン語で語根は別だが、石灰をもとに元素の名を作った発想が共通する。英語 asbestos も同じ古代ギリシャ語 ἄσβεστος からで、ラテン語を経て今の綴りに落ち着いた。
関連語に ασβέστης(石灰、生石灰)、ασβεστόλιθος(石灰岩)、ασβεστώνω(白く塗る)。
ギリシャ語:άζωτο
読み方:アゾト・アーゾト
ラテン文字:azoto
フランス語 azote からの借用。もとは古代ギリシャ語の ἄζωτον で、ἀ-(〜でない)と ζωή(生命)を合わせて「生命を保たないもの」の意。1789年にラヴォアジエが呼吸を支えない気体として azote と名づけ、それをギリシャ語が元素名として取り戻した。
英語は nitrogen が標準で、ギリシャ語の νίτρον(ソーダ)と -γενής(〜を生む)を合わせた語。ラヴォアジエの azote は18世紀末から19世紀前半まで英語でも使われていたが、次第に nitrogen に置き換わり、今は古語の扱い。
関連語に αζωτούχος(窒素を含む)、αζωτοδέσμευση(窒素固定)。
ギリシャ語:υδρογόνο
読み方:イドゥロゴノ・イドゥロゴーノ
ラテン文字:ydrogono
ギリシャ語:μόριο
読み方:モリオ・モーリオ
ラテン文字:morio
古代ギリシャ語の μόριον(全体の一部、小片)に由来。「分け前、割り当て」を表す語根からできた語で、同じ語根の仲間には μέρος(部分)と μοῖρα(運命、分け前)もある。古代の「部分」という意味から、現代では化学の分子、文法の不変化辞(να, θα, δε など)に使う。試験や評価の「点数」は後からの用法で、この意味での語源ははっきりしない。派生形容詞に μοριακός(分子の)、合成語に γραμμομόριο(モル、化学の単位)と μακρομόριο(高分子)。英語 molecule はラテン molecula(塊 moles の縮小形)からで μόριο とは語源が別だが、化学の「分子」の訳語として対応している。
ギリシャ語:θεωρείο
読み方:セオリオ・セオリーオ・テオリオ・テオリーオ
ラテン文字:theoreio
動詞 θεωρέω(見物する, 観察する, 考察する)から派生した古代ギリシャ語の中性名詞 θεωρεῖον(見物のための場所, 観覧席)に由来。現代ギリシャ語の動詞形は θεωρώ(見る, 考える, みなす)。
ギリシャ語:βάσανο
読み方:ヴァサノ・ヴァーサノ
ラテン文字:vasano
中世ギリシャ語の βάσανον を継承。古代ギリシャ語の βάσανος はエジプト語 baḫan からの借用で、金属の純度を調べる試金石の名。そこから「厳しく調べること、拷問」の意味に広がり、中世以降は中性形 βάσανον で「苦しみ、試練」の意味に移った。
ギリシャ語:νούφαρο
読み方:ヌファロ・ヌーファロ
ラテン文字:noufaro
中世ギリシャ語 νενούφαρο(ν) から、語頭の ν- の脱落で短くなった形。元をたどるとサンスクリット नीलोत्पल(nīlotpala、青い蓮)で、青を表す nīla と「蓮」を表す utpala からなる語。これがペルシア語 nīlōpal を経てアラビア語 نينوفر(nīnūfar)になり、中世ギリシャ語に入った。同じアラビア語源がラテン語 nenuphar に受け継がれ、英語 nenuphar、フランス語 nénuphar、スペイン語 nenúfar もこの流れ。現代ギリシャ語には植物学の正式な名として νυμφαία もあり、こちらは古代ギリシャ語 νύμφη(ニンフ)から来た語で、ラテン語 Nymphaea を経由した別系統。
ギリシャ語:Τρίγωνον Νότιον
読み方:トゥリゴノンノティオン・トゥリーゴノンノティオン
ラテン文字:trigonon notion
ギリシャ語:Πτηνόν Παραδείσιον
読み方:プティノンパラディシオン・プティノーンパラディシオン
ラテン文字:ptinon paradision
πτηνόν(鳥)と παραδείσιον(楽園の)を合わせた連語で、「楽園の鳥」の意味。17世紀にオランダの航海士ケイザーとハウトマンが南天で観測した鳥類を記録し、プランシウス(プランキウスとも)が星座として定めた。新しい星座なので神話はない。英語名 Apus は古代ギリシャ語の ἄπους(脚のない、ἀ-「〜ない」+ πούς「脚」)から来ており、ヨーロッパに持ち帰られたゴクラクチョウの剥製は脚が取り除かれていたため、脚のない鳥と誤って考えられていた。ふつうの「鳥」は πουλί で言う。
ギリシャ語:Τηλεσκόπιον
読み方:テレスコピオン・テレスコーピオン
ラテン文字:tileskopio
ラテン語 telescopium(望遠鏡)をもとにした星座名で、古代ギリシャ語の τηλέ(遠く)と σκοπέω(見る)からできた形 Τηλεσκόπιον で呼ぶ。現代ギリシャ語で望遠鏡はふつう τηλεσκόπιο と言う。英語 Telescopium も同じラテン語から。
18世紀にフランスの天文学者ラカイユが考案した星座。新しい星座なので神話はない。
ギリシャ語:Ιππάριον
読み方:イプパリオン・イプパーリオン
ラテン文字:ipparion
古代ギリシャ語の ἱππάριον(小さい馬、子馬)を継承。ἵππος(馬)に指小辞 -άριον が付いた形。現代ギリシャ語で馬はふつう άλογο と言い、ἵππος は文語的な言い方として残る。ιππάριο は古生物学で先史時代の小型馬ヒッパリオンも指す。
ヒッパルコスが記しプトレマイオスの48星座にも含まれる古い星座。神話では Πήγασος(ペガスス座)の兄弟の子馬ケレリス(「俊足」)をヘルメスがカストルに贈った、という話があり、別にポセイドンがアテナと争ったとき矛から打ち出した馬とする伝えもある。ペガスス座より先に昇るため「最初の馬」とも呼ばれた。
ギリシャ語:ιστία
読み方:イスティア・イスティーア
ラテン文字:istia
ギリシャ語:Γλυφείον
読み方:グリフィオン・グリフィーオン
ラテン文字:glyfeion
古代ギリシャ語の γλυφεῖον(彫る道具、彫刻刀)に由来。γλύφω(彫る、刻む)に道具を表す接尾辞 -ειον を付けた語で、現代ギリシャ語で彫刻刀を表すふつうの語は σμίλη や καλέμι。
18世紀にフランスの天文学者ラカーユが Δίκτυον(レチクル座)などとともに南天に配した星座のひとつで、彫刻家の道具を記念してラテン語 Caelum Sculptoris(彫刻家の彫刻刀)と名付けた。新しい星座なので神話はない。英語 glyph は同じ γλύφω から派生した γλυφή(彫り、刻み)を経て入った語。
ギリシャ語:κήτος
読み方:キトス・キートス
ラテン文字:kitos
ギリシャ語:σμήνος
読み方:ズミノス・ズミーノス
ラテン文字:sminos
ギリシャ語:λιοντάρι
読み方:リョダリ・リョダーリ・リョンダリ・リョンダーリ
ラテン文字:liontari
λιοντάρι(ライオン、獅子)は、古代ギリシャ語の λέων(ライオン、獅子) からできたヘレニズム期の λεοντάριον(小さなライオン)を経て、中世ギリシャ語の λιοντάρι(ライオン、獅子)に続いた語である。
現代ギリシャ語では、その指小形がむしろ日常の基本語として定着し、ふつうにライオンをいうときは λιοντάρι を使う。
λέων(ライオン、獅子)は古い語形を保った、やや文語的・古風な言い方である。それに対して λιοντάρι は、会話でも文章でも自然な日常語として広く使われる。
女性形には λιονταρίνα(雌ライオン)がある。形容詞 λιονταρίσιος(ライオンのような、ライオンらしい)は、ライオンに似た強さや荒々しさを表す。
主な意味はライオン、獅子。比喩では、勇敢な人、堂々とした人をたとえることもある。
ギリシャ語:κέρας
読み方:ケラス・ケーラス
ラテン文字:keras
古代ギリシャ語の κέρας(角)に由来。印欧祖語の「角、頭」を表す語根から続き、英語 horn、ラテン語 cornu(角)、ギリシャ語由来の rhinoceros(サイ、「鼻に角」)や triceratops(トリケラトプス、「三つの角の顔」)、keratin(ケラチン、角質)も同じ語源に連なる。現代ギリシャ語では文語的な語で、日常の「角」には中世以降に生まれた派生形 κέρατο が使われる。合成語 αἰγόκερως(やぎの角を持つもの)から来た Αιγόκερως(やぎ座、山羊座)の後半要素にも残る。
ギリシャ語:μελιτζανί
読み方:メリジャニ・メリジャニー
ラテン文字:melitzani
μελιτζανί(ナス色の、茄子色の、ナス色)は、μελιτζάνα(ナス)から派生した色名である。不変化形容詞として立ち、ナスの皮のような濃い紫を言う。名詞としては το μελιτζανί(ナス色)とも使う。
βιολετί(すみれ色の、青紫の、すみれ色) や μοβ(モーブ、紫)よりも、μελιτζανί はもっと深く暗い紫を指す。
意味はナス色の、茄子色の、ナス色。濃い紫系の色合いをいう。
ギリシャ語:βιολετί
読み方:ヴィオレティ・ヴィオレティー
ラテン文字:violeti
βιολετί(すみれ色の、青紫の、すみれ色)は、βιολέτα(スミレ)から派生した色名である。不変化形容詞として立ち、スミレのような青紫色を言う。名詞としては το βιολετί(すみれ色)とも使う。
花の名では βιολέτα(スミレ)があり、近い色名には μενεξελί(すみれ色、菫色) がある。βιολετί は不変化の色名として現れやすい。
意味はすみれ色の、青紫の、すみれ色。服、壁、花の色にも、色名そのものにも使える。
ギリシャ語:ταραξάκο
読み方:タラクサコ・タラクサーコ
ラテン文字:taraxako
ταραξάκο(タンポポ)は、学名 Taraxacum に連なる語形から入った植物名である。現代ギリシャ語では、タンポポを指すもう一つの呼び方として見られる。
πικραλίδα(タンポポ) が日常の花名として立ちやすいのに対して、ταραξάκο はより植物名らしい呼び方として見えやすい。
意味はタンポポ。黄色い花をつける草本植物をいう。
ギリシャ語:αγριοράδικο
読み方:アグリオラディコ・アグリオラーディコ
ラテン文字:agrioradiko
αγριοράδικο(野生のチコリー、野草のラディキ)は、αγριο-(野生の)と ράδικο(ラディキ、チコリー系の野草)からできた複合語である。現代ギリシャ語では、野に生える苦みのある草を指す。
πικραλίδα(タンポポ) も近い野草として重なることがあるが、αγριοράδικο は食用の野草、ラディキ系の草として言われやすい。
意味は野生のチコリー、野草のラディキ。花や草全体を言うが、食べる野草として意識されることも多い。
ギリシャ語:παγκάκι
読み方:パガキ・パガーキ・パンガキ・パンガーキ
ラテン文字:pagkaki
παγκάκι(ベンチ、腰掛け)は、πάγκος(台、長い台、カウンター)からできた指小形である。現代ギリシャ語では、公園や広場などに置かれた小さな腰掛け、ベンチを言う。
πλατεία(広場、広場空間) が場所そのものを言うのに対して、παγκάκι はその中に置かれた座るための設備を言う。
意味はベンチ、腰掛け。公園、通り、広場などにある簡単な座席を表す。
ギリシャ語:ατύχημα
読み方:アティヒマ・アティーヒマ
ラテン文字:atychima
ατύχημα(事故、不運な出来事)は、α-(否定の接頭辞)と τύχη(運、めぐり合わせ)からできた語である。文字どおりには「運がよくないこと」で、現代ギリシャ語では事故や不慮の出来事を広く表す。
ζημιά(損害、損失、故障) が起きた結果の損害を言いやすく、τραυματισμός(負傷、けが) は人が受けたけがに焦点を当てる。ατύχημα はその出来事全体を言う。
意味は事故、不運な出来事。交通事故や家庭内事故から、広い意味の不運まで表せる。
ギリシャ語:σύμβολο
読み方:シムヴォロ・シームヴォロ
ラテン文字:symvolo
古代ギリシャ語の σύμβολον(しるし、合図、符)から。もともとは、二つに割った札を合わせて本人確認のしるしにするような具体的な「符」の感覚を持っていた。
英語の symbol も同じ語源にさかのぼる。
μυστικός(神秘的な、秘密の、内密の) が隠された意味や秘められた領域を言いやすいのに対して、σύμβολο はその意味を目に見える形で示すしるしを言う。
意味は象徴、シンボル、記号。具体的なしるしにも、抽象的な象徴にも使える。
ギリシャ語:τραπουλόχαρτο
読み方:トゥラプロハルト・トゥラプローハルト
ラテン文字:trapoulocharto
ギリシャ語:μπαλόνι
読み方:バロニ・バローニ
ラテン文字:baloni
μπαλόνι(風船、バルーン)は、イタリア語方言 ballon(e)(風船)から入った借用語である。現代ギリシャ語では、薄い素材を空気やガスでふくらませた風船を言うのが基本になる。
φούσκα(泡、ふくらみ、水ぶくれ、バブル) も膨らんだものを言えるが、μπαλόνι は玩具や飾りとしての風船をよりはっきり指しやすい。αέρας(空気) は、実際に風船をふくらませる中身として自然に結びつく。
基本の意味は風船、バルーン。そこから、丸くふくらんだものをたとえて言うことや、気球を言うこともある。
ギリシャ語:μουσταρδί
読み方:ムスタルディ・ムスタルディー
ラテン文字:moustardi
μουσταρδί(からし色の、マスタード色の)は、μουστάρδα(マスタード、からし)からできた色名である。現代ギリシャ語では、マスタードを思わせる黄土寄りの黄色を表す。
不変化形容詞として名詞の性・数にかかわらずそのまま使われるほか、中性名詞としてからし色そのものも指す(το μουσταρδί(からし色))。
ώχρα(黄土色、オーカー) が土っぽい黄土色を言うのに対して、μουσταρδί はもう少し鮮やかで、からしの黄色を指す。光沢や明るさのある金寄りの黄色では χρυσαφένιος(黄金色の、金色の) のほうが近い。
意味はからし色の、マスタード色の、からし色。服、布、小物、壁の色に使いやすい。
ギリシャ語:φραουλί
読み方:フラウリ・フラウリー
ラテン文字:fraouli
φράουλα(イチゴ)からできた色名である。イチゴの実の赤みとピンクみをあわせた色合いを表す。
現代ギリシャ語では不変化形容詞として、名詞の性・数にかかわらずそのまま使われるほか、中性名詞としていちご色そのものも指す(το φραουλί(いちご色))。
ροδακινί(桃色の、ピーチ色の) よりも、φραουλί はもっと赤みが強い。はっきりしない赤み全般では κοκκινωπός(赤みがかった、赤っぽい) に近づくこともあるが、φραουλί には果実らしい明るさが残る。
意味は、いちご色の、赤みのあるピンクの、いちご色。服や小物、化粧品の色に使いやすい。
ギリシャ語:κεραμιδί
読み方:ケラミディ・ケラミディー
ラテン文字:keramidi
κεραμιδί(瓦色の、赤茶色の)は、κεραμίδι(瓦、屋根瓦)からできた色名である。現代ギリシャ語では、焼いた瓦を思わせる赤茶色を表す。
不変化形容詞として名詞の性・数にかかわらずそのまま使われるほか、中性名詞として瓦色そのものも指す(το κεραμιδί(瓦色))。
μπορντό(ボルドー色の、深い赤紫の、ボルドー色) が紫みのある深い赤を指すのに対して、κεραμιδί はもっと土っぽい赤茶色を言いやすい。茶色寄りの暗さでは σοκολατί(チョコレート色の、濃い茶色の、チョコレート色) と近づくが、κεραμιδί には焼いた土の赤みが残る。
意味は瓦色の、赤茶色の、瓦色。屋根、壁、布、小物、焼き物の色に使いやすい。
ギリシャ語:σοκολατί
読み方:ソコラティ・ソコラティー
ラテン文字:sokolati
σοκολατί(チョコレート色の、濃い茶色の)は、σοκολάτα(チョコレート)からできた色名である。現代ギリシャ語では、チョコレートのような深い茶色を表す。
不変化形容詞として名詞の性・数にかかわらずそのまま使われるほか、中性名詞としてチョコレート色そのものも指す(το σοκολατί(チョコレート色))。
καφέ(茶色の、茶色) が茶色全般を広く言うのに対して、σοκολατί はもっと濃く甘い印象の茶色を指す。明るさのある茶色では μελί(蜂蜜色の、ハニー色の、蜂蜜色) のほうが近い。
意味はチョコレート色の、濃い茶色の、チョコレート色。服、家具、髪、小物の色に使いやすい。
ギリシャ語:μπορντό
読み方:ボルド・ボルドー・ボルンド・ボルンドー
ラテン文字:bordo
μπορντό(ボルドー色の、深い赤紫の)は、フランスの地名 Bordeaux とそのワイン名に関わる色名から入った語である。現代ギリシャ語では、濃い赤に紫みや茶みが差した色を言う。
不変化形容詞として名詞の性・数にかかわらずそのまま使われるほか、中性名詞としてボルドー色そのものも指す(το μπορντό(ボルドー色))。
κόκκινος(赤い、赤色の) よりも、μπορντό は暗く深い赤紫を指す。紫みが前に出る場面では μελιτζανί(ナス紺の、茄子色の) に近づくが、μπορντό はワイン色らしい赤みを保ちやすい。
意味はボルドー色の、深い赤紫の、ボルドー色。服、口紅、家具、内装の色などで使いやすい。
ギリシャ語:μελί
読み方:メリ・メリー
ラテン文字:meli
μελί(蜂蜜色の、ハニー色の)は、μέλι(蜂蜜、ハチミツ) からそのまま色名として使われるようになった語である。現代ギリシャ語では、黄色と薄茶の間にあるやわらかい色を言う。
不変化形容詞として名詞の性・数にかかわらずそのまま使われるほか、中性名詞として蜂蜜色そのものも指す(το μελί(蜂蜜色))。
λεμονής(レモン色の、薄黄色の) よりも、μελί は黄みの中に茶色や琥珀色が混じりやすい。もっと甘い茶色に寄る場面では καραμελί(キャラメル色の)とも近づくが、μελί は蜂蜜らしい透明感を保ちやすい。
意味は蜂蜜色の、ハニー色の、蜂蜜色。髪、木、布、石の色に使いやすい。
ギリシャ語:φυστικί
読み方:フィスティキ・フィスティキー
ラテン文字:fystiki
φυστικί(ピスタチオ色の、薄い黄緑の)は、φυστίκι(ピスタチオ)から色名として使われるようになった語である。現代ギリシャ語では、淡い緑に黄みが少し差した色を言う。
πράσινος(緑の、緑色の) よりも、φυστικί はもっと明るく、黄みのあるやわらかな緑を指す。もっと冷たく青みのある淡緑では μέντας(ミント色の、淡い緑の)とも近づくが、φυστικί はピスタチオらしい黄緑を保ちやすい。
意味はピスタチオ色の、薄い黄緑の。服、壁、小物、菓子の色に使いやすい。
ギリシャ語:μέντας
読み方:メダス・メーダス・メンダス・メーンダス
ラテン文字:mentas
μέντας(ミント色の、淡い緑の)は、μέντα(ミント)からできた色名である。現代ギリシャ語では、白や青が少し混じったような軽い緑を言う。
φυστικί(ピスタチオ色の、薄い黄緑の)が黄みを含むやわらかな緑を指すのに対して、μέντας はもっと冷たく、青みのある淡緑を言いやすい。πράσινος(緑の、緑色の) よりも軽く淡い色合いに向く。
意味はミント色の、淡い緑の。壁、服、包装、小物の明るい緑に使いやすい。
ギリシャ語:πιστοποιητικό
読み方:ピストピイティコ・ピストピイティコー・ピストピギティコ・ピストピギティコー
ラテン文字:pistopoiitiko
πιστοποιητικό(証明書)は、πιστοποιώ(証明する、確認する)に由来する形からできた語である。現代ギリシャ語では、公的・私的な証明書類を広く指す。
ταυτότητα(身分証明書、IDカード) が本人確認の身分証明書を言うのに対して、πιστοποιητικό は出生、婚姻、在学、健康状態など、ある事実を証明する書類を広く言う。領収の証拠としての απόδειξη(領収書、レシート) とも役割が違う。
意味は証明書。行政手続きや学校、病院などで出される証明文書に使える。
ギリシャ語:γραφείο
読み方:グラフィオ・グラフィーオ
ラテン文字:grafeio
γραφείο(オフィス、事務所、机)は、γράφω(書く)に関わる語形成からできた語である。現代ギリシャ語では、仕事をする事務所にも、書き物や事務作業をする机にも使われる。
υπάλληλος(職員、社員、事務員) がそこで働く人を言うのに対して、γραφείο はその仕事場を言う。会議や打ち合わせなら συνάντηση(会合、打ち合わせ)がその中で行われる。
意味はオフィス、事務所、机。文脈で部屋にも家具にもなる。
ギリシャ語:αμπέλι
読み方:アベリ・アベーリ・アンベリ・アンベーリ
ラテン文字:ampeli
αμπέλι(ブドウの木、ブドウ畑)は、中世ギリシャ語 αμπέλι(ブドウの木、ブドウ畑)から受け継がれた語である。現代ギリシャ語では、一本のつるにも、植えられた畑全体にも使う。
τρύγος(ブドウの収穫、収穫期) が収穫の行為や季節を言うのに対して、αμπέλι はその作物や畑を言う。そこから κρασί(ワイン)の文脈にもつながりやすい。
意味はブドウの木、ブドウ畑。文脈によって一本にも畑全体にもなる。
ギリシャ語:αεροδρόμιο
読み方:アエロドゥロミオ・アエロドゥローミオ
ラテン文字:aerodromio
αεροδρόμιο(空港)は、αέρας(空気)に関わる要素と δρόμος(走路、道)に由来する語形成からできた語である。現代ギリシャ語では、飛行機が離着陸する空港を指す。
αεροπλάνο(飛行機)が乗り物そのものを言うのに対して、αεροδρόμιο はその離着陸と出発・到着の場を言う。旅行では ξενοδοχείο(ホテル) とも結びつきやすい。
意味は空港。国際空港にも地方空港にも使える。
ギリシャ語:λιμάνι
読み方:リマニ・リマーニ
ラテン文字:limani
λιμάνι(港、港湾)は、中世ギリシャ語 λιμάνι(港)から受け継がれた語である。現代ギリシャ語では、船が出入りし荷物や人を扱う港を指す日常語である。
πλοίο(船)が乗り物そのものを言うのに対して、λιμάνι はその発着する場を言う。陸上交通の σταθμός(駅、停留所、ステーション) に近い位置づけで使える。
意味は港、港湾。小さな港にも大きな港湾施設にも使える。
ギリシャ語:μουσείο
読み方:ムシオ・ムシーオ
ラテン文字:mouseio
詩神 Μοῦσα から派生した古代ギリシャ語の中性名詞 Μουσεῖον(ムーサたちに属する場所, 学問の場)に由来。ラテン語 museum, イタリア語 museo を経て再輸入される形で現代ギリシャ語 μουσείο の語形に定着し, 「博物館」の意味に結びついた。英語 museum も同じラテン語 museum にさかのぼる。
同じ語族に Μούσα(ムーサ, 詩神), μουσική(音楽), μουσικός(音楽の)。派生に μουσειακός(博物館の), μουσειολογία(博物館学)。
ギリシャ語:νοσοκομείο
読み方:ノソコミオ・ノソコミーオ
ラテン文字:nosokomeio
古代ギリシャ語の νοσοκομεῖον(病人の世話をする場所)から。現代ギリシャ語では、診療や入院を行う病院を指す基本語である。
νοσοκόμα(看護師、ナース) が病院で働く看護職を言い、γιατρός(医師、医者)が診療する人を言うのに対して、νοσοκομείο はその場となる施設を言う。
意味は病院。総合病院にも地域の病院にも使える。
ギリシャ語:ξενοδοχείο
読み方:クセノドヒオ・クセノドヒーオ
ラテン文字:xenodocheio
古代ギリシャ語の ξενοδοχεῖον(旅人を受け入れる場所)から。現代ギリシャ語では、旅行者が泊まるホテルや宿泊施設を指す。
αεροδρόμιο(空港) や σταθμός(駅、停留所、ステーション) が移動の出発点や到着点であるのに対して、ξενοδοχείο は滞在の場を言う。
意味はホテル。大きなホテルにも小さな宿にも使える。
ギリシャ語:συμβόλαιο
読み方:シヴォレオ・シヴォーレオ・シムヴォレオ・シムヴォーレオ
ラテン文字:symvolaio
συμβόλαιο(契約、契約書)は、中世ギリシャ語 συμβόλαιον(契約文書)から受け継がれた語である。現代ギリシャ語では、法的な契約内容そのものにも、それを書いた文書にも使う。
υπογραφή(署名、サイン) が個々のサインを言うのに対して、συμβόλαιο はそのサインが入る契約全体を言う。内容によっては απόφαση(決定、裁定)よりも当事者間の合意に重心がある。
意味は契約、契約書。売買、雇用、賃貸など広い場面で使える。
ギリシャ語:μάρμαρο
読み方:マルマロ・マールマロ
ラテン文字:marmaro
古代ギリシャ語の男性名詞 μάρμαρος(光輝, 光る石, 印欧祖語で「輝く」を表す語根にさかのぼる説がある)が女性形を経て中性 μάρμαρον(大理石)となり, 語尾 -ον が脱落して現代ギリシャ語の μάρμαρο に至った。同じ語根に動詞 μαρμαίρω(輝く, きらめく)もある。英語 marble はラテン語 marmor を経て同じ μάρμαρος にさかのぼる。
派生に μαρμάρινος(大理石の), μαρμαρένιος(大理石の, 大理石のように冷たい), μαρμαράς(大理石職人), μαρμαράδικο(大理石加工場), μαρμαρώνω(大理石にする, 凍りつかせる), μαρμαρυγή(きらめき, 輝き), μαρμαρόσκονη(大理石の粉)。合成語に μαρμαρογλύπτης(大理石彫刻家), μαρμαρογλυπτική(大理石彫刻), μαρμαρόστρωση(大理石舗装), καλλιμάρμαρος(美しい大理石の)。
ギリシャ語:ορυκτό
読み方:オリクト・オリクトー
ラテン文字:orykto
ορυκτό は、動詞 ορύσσω(掘る、採掘する)に由来する形容詞 ορυκτός(掘り出された)が名詞化した語である。現代ギリシャ語では、地中から採れる鉱物を指す一般名になっている。
λίθος(石、宝石、試金石、結石) が個々の石を言うのに対して、ορυκτό はより広い分類としての鉱物を言う。μέταλλο(金属) は鉱物の一部をなす分類として結びつく。
主な意味は「鉱物」。地質学や博物展示、採掘資源の説明で使われる。
ギリシャ語:τοπάζι
読み方:トパジ・トパージ・トパズィ・トパーズィ
ラテン文字:topazi
古代ギリシャ語の τοπάζιον(トパーズ)から。現代ギリシャ語でも、そのまま宝石名として使われている。
λίθος(石、宝石、試金石、結石) が宝石を広く言う文語的な語であるのに対して、τοπάζι は個別の宝石名である。
意味は基本的に「トパーズ」のみ。宝石としての石そのものや、その色名的な連想で現れる。
ギリシャ語:αλουμίνιο
読み方:アルミニオ・アルミニーオ
ラテン文字:alouminio
αλουμίνιο は、近代ヨーロッパ語 aluminium / aluminum に連なる語から入った借用語である。現代ギリシャ語では、軽くて加工しやすい金属としてのアルミニウムを指す。
μέταλλο(金属) の中でも、軽さ、耐食性、日用品への使いやすさで語られやすい。窓枠、鍋、缶、箔などの材料名でよく出てくる。
主な意味は「アルミニウム」「アルミ」。工業材料としても、日用品の材質名としても使う。
ギリシャ語:ατσάλι
読み方:アトゥサリ・アトゥサーリ
ラテン文字:atsali
ατσάλι はトルコ語 çelik(鋼)に由来する借用語である。現代ギリシャ語では、硬くて強度の高い金属材料としての鋼、スチールを言う基本語として定着している。
μέταλλο(金属) の中でも、構造材や刃物、工具などに使う鋼を指す語である。σίδερο(鉄、アイロン) が鉄を広く言うのに対して、ατσάλι はより加工された鋼材の感じが強い。
主な意味は「鋼」「スチール」。硬さ、耐久性、刃や構造材への適性と結びつきやすい。
ギリシャ語:κεραμικό
読み方:ケラミコ・ケラミコー
ラテン文字:keramiko
κεραμικό は、古代ギリシャ語 κέραμος(陶土、焼き物)に由来する形容詞 κεραμικός(陶製の)が名詞化した語である。現代ギリシャ語では、焼き物やセラミック素材を指す中性名詞として使われる。
πηλός(粘土、泥) が成形前の土の材料を指すのに対して、κεραμικό は焼成後の陶器や、その種の素材を指しやすい。
主な意味は「陶器」「セラミック」。器やタイルのような製品にも、素材分類としてのセラミックにも使える。
ギリシャ語:σίδερο
読み方:シデロ・シーデロ
ラテン文字:sidero
σίδερο は古代ギリシャ語 σίδηρος(鉄)に由来し、中世ギリシャ語 σίδερον(鉄)を経て現代ギリシャ語に至った語である。現代ギリシャ語では、中性形 σίδερο が日常的な形として定着している。
μέταλλο(金属) の一種としての鉄を言う基本語であり、ρούχο(布製品、服、衣類) の文脈では、しわを伸ばす道具としてのアイロンの意味にも広がる。
主な意味は「鉄」。そこから、熱して衣類のしわを伸ばすアイロンを言うのにも使う。
ギリシャ語:λάστιχο
読み方:ラスティホ・ラースティホ
ラテン文字:lasticho
λάστιχο は、国際語 elastic に連なる近代語から入った語で、現代ギリシャ語ではゴムや弾力のある素材を指す形に定着している。素材そのものを言うだけでなく、その素材でできた製品名にも広がりやすい。
ποδήλατο(自転車) ではタイヤの意味で、ποτίζω(水をやる、灌漑する) に関わる場面では散水ホースの意味で出やすい。用途によって何を指すかが決まる語である。
主な意味は「ゴム」。そこから、車や自転車のタイヤ、水道や庭仕事のホースを言うのにも使われる。
ギリシャ語:πλαστικό
読み方:プラスティコ・プラスティコー
ラテン文字:plastiko
古代ギリシャ語の πλαστικός(形づくる、成形できる)から。現代ギリシャ語では πλαστική ύλη(塑性材料)という言い方を背景に、中性形 πλαστικό が独立して名詞化し、素材としてのプラスチックを指すようになった。
γυαλί(ガラス) や μέταλλο(金属) と同じく、材質を言うときに並びやすい語である。容器、部品、日用品の材質を説明するときに πλαστικό かどうかを区別する言い方が多い。
主な意味は素材としての「プラスチック」。そこから、その素材でできた物や部品をまとめて指すのにも使う。
ギリシャ語:εμπόριο
読み方:エボリオ・エボーリオ・エンボリオ・エンボーリオ
ラテン文字:emporio
古代ギリシャ語の ἐμπόριον(交易の場、商い)に由来。ἐν-(中に)+ πόρος(通路、道)からなる ἔμπορος(旅する商人)に、場所を表す -ιον が付いた語で、商人が行き交う場を指した。πόρος は英語 port(港)、portal(入り口)と同じ印欧祖語の語根から。現代ギリシャ語にはカサレヴサを通じて入り、フランス語 commerce、英語 trade からの意味借用で「貿易、商業」を言う語として整えられた。
英語 emporium(大商店、通商地)もラテン語を経てこの ἐμπόριον から。
派生語に εμπορικός(商業の)、εμπορεύομαι(商う、取引する)、έμπορος(商人)、εμπόρευμα(商品)。関連語に αγορά(市場)、κατάστημα(店舗)、συναλλαγή(取引)、κέρδος(利益)など。
ギリシャ語:όπλο
読み方:オプロ・オープロ
ラテン文字:oplo
古代ギリシャ語 ὅπλον(道具、装備、武器)に由来する語で、現代ギリシャ語の όπλο になった。古くは道具や装備を広く指す語だったが、複数形 ὅπλα が武装・武具を表すところから武器の意味が前に出た。核兵器や化学兵器、生物兵器などの複合語的な使い方はフランス語 arme の影響で近代に整えられた。
派生語・関連語に οπλισμός(武装、軍備)、οπλίζω(武装する)、οπλίτης(重装歩兵)、άοπλος(武器を持たない)、οπλοστάσιο(武器庫)。関連語に στρατιώτης(兵士、軍人)、επίθεση(攻撃、襲撃)。
ギリシャ語:δικαστήριο
読み方:ディカスティリオ・ディカスティーリオ
ラテン文字:dikastirio
ギリシャ語:κόμμα
読み方:コマ・コーマ
ラテン文字:komma
古代ギリシャ語の κόμμα(切り取られた部分、切片、刻印、文の一句)に由来。動詞 κόπτω(切る、打ち切る)から作られた名詞で、古代では切り分けられた物の一片、貨幣に打たれた刻印、修辞で文の短い一句といった使い方があった。現代の「政党」としての使い方はフランス語 parti からの翻訳借用、句読点の「コンマ」としての使い方はフランス語 virgule からの意味借用で、近代にそれぞれ定着した。
派生語・関連語に κόβω(切る)、κομμάτι(一片、部分)、κομματικός(政党の、党派的な)、κομματιάζω(ばらばらに切る、小分けにする)、αποκόπτω(切り離す)。関連語に κράτος(国家)、κοινωνία(社会)。
ギリシャ語:δικαίωμα
読み方:ディケオマ・ディケーオマ
ラテン文字:dikaioma
古代ギリシャ語の δικαίωμα(正当とされた行い、正当化)を継承。
動詞 δικαιόω(正当とする、正しいとみなす)に結果・動作を表す接尾辞 -μα が付いた形。
現代の「権利」としての用法は、フランス語の droit、英語の right、ドイツ語の Recht などの概念を取り入れた意味借用により定着したもの。
δίκη(正義、裁判)系の関連語には、δικαστήριο(裁判所)や δικαιοσύνη(正義、司法)のほか、δίκαιος(正しい)、δικαιολογία(言い訳、正当化)といった語がある。
ギリシャ語:κράτος
読み方:クラトス・クラートス
ラテン文字:kratos
古代ギリシャ語の κράτος(力、支配、最高権)に由来。古代では人や神の持つ「力、優越、支配力」を表した語で、政治体としての「国家」そのものを指す使い方はフランス語 état、ドイツ語 Staat からの意味借用で近代に定着した。「国家権力」の側面では古代からの「支配力」の核がそのまま響いている。合成語末の -κρατία(〜支配)も同じ系列で、δημοκρατία(民主主義)、αριστοκρατία(貴族政)、γραφειοκρατία(官僚主義)などに現れる。
派生語・関連語に κρατώ(保つ、持つ、統治する)、κρατικός(国家の、公的な)、κρατικοποίηση(国有化)、υπερκράτος(超国家、超大国)。関連語に κοινωνία(社会)、δημόσιος(公の、公共の)。
ギリシャ語:τσιγάρο
読み方:ツィガロ・ツィガーロ
ラテン文字:tsigaro
北イタリアの海洋都市ヴェネツィアで話されたヴェネツィア語 cigaro からの借用。もとはスペイン語 cigarro から続く語。
派生語に αποτσίγαρο(吸い殻), τσιγαράδικο(たばこ店), τσιγαροθήκη(たばこケース), τσιγαρόβηχας(たばこ咳)。関連語は πούρο(葉巻)。英語 cigarette も同じ語源で、フランス語 cigarette(小さい cigare)から来ている。
ギリシャ語:αναψυκτικό
読み方:アナプシクティコ・アナプシクティコー
ラテン文字:anapsyktiko
形容詞 αναψυκτικός(冷やす、元気づける)の中性形が名詞として定着した語であり、フランス語 rafraîchissement(爽快にするもの、冷たい飲み物)の概念をなぞって作られた翻訳借用語である。
動詞 αναψύχω(冷やす、元気づける)からの派生で、ἀνα-(再び、戻す)と古代ギリシャ語 ψύχω(冷やす、息をつかせる)の合成から成る。
類義語には、具体的な種類を指す λεμονάδα(レモネード)や πορτοκαλάδα(オレンジ飲料)などが挙げられる。
ギリシャ語:βερίκοκο
読み方:ヴェリココ・ヴェリーココ
ラテン文字:verikoko
古代ギリシャ語の πραικόκκιον を継承。ラテン語 praecox(早熟の)から入った語で、アンズがほかの果物より早く熟すことからついた名前。praecox は prae-(前に)と coquo(煮る、熟す)の合成。中世に βερίκοκκον となって今の形に続く。
派生語に βερικοκιά(アンズの木), βερικοκί(アンズ色), βερικοκέλαιο(アンズ油)。近い語に καΐσι(大きめの品種、トルコ語から)。英語 apricot は、このギリシャ語がアラビア語 al-barqūq に渡り、カタルーニャ語・フランス語を経て英語に入った同語源の語。英語 precocious(早熟な)も同じ praecox からきた語。
ギリシャ語:κολοκύθι
読み方:コロキシ・コロキーシ・コロキティ・コロキーティ
ラテン文字:kolokythi
中世ギリシャ語の κολοκύθι を継承。
古代ギリシャ語 κολοκύνθη(ひさご、瓜)の指小形として後古典期に誕生した κολοκύνθιον(小さなひさご)に由来。これが音変化を経て中世に入った形で、指小の意味は抜け、瓜・ひさご類を広く指す基本形となった。近代以降に入ってきたズッキーニにもこの語が当てられ、今は日常ではズッキーニを指すことが多い。
κολοκύνθη は前ギリシャ語の基層語からの借用と見られる。地中海一帯で栽培された瓜類の古い名にさかのぼる。
派生語に κολοκυθιά(瓜やズッキーニの株、つる)、κολοκυθάκι(ズッキーニ、κολοκύθι の指小形)、κολοκυθόπιτα(ズッキーニのパイ)、κολοκυθόσπορος(瓜類・かぼちゃの種、パンプキンシード)などがある。
ギリシャ語:κουτάλι
読み方:クタリ・クターリ
ラテン文字:koutali
ヘレニズム期の κώταλις(くぼみのある器, ひしゃく)の指小形として中世ギリシャ語に κουτάλι(ν) が作られ, 指小の意味は抜けて「スプーン」を指す語になった。もとの κώταλις は現代に伝わらず, 同じ語群から派生した κουτάλα(お玉, 大さじ)が大ぶりの道具の名として残っている。
現代ギリシャ語では食卓のスプーンそのものに加えて、そこから派生した「一さじ分」の量も表す。
派生語に κουταλάκι(小さなスプーン、ティースプーン)、κουταλιά(一さじ分)などがある。
ギリシャ語:μυρμήγκι
読み方:ミルミギ・ミルミーギ・ミルミンギ・ミルミーンギ
ラテン文字:myrmigi
中世ギリシャ語 μυρμήγκι(ν) を継承。
古代ギリシャ語 μύρμηξ(蟻)の指小形 μυρμηκίον が、中世に中性名詞 μυρμήγκι(ν) の形に整えられて受け継がれた。μύρμηξ は蟻を表す印欧祖語の語根をもとにした語。
派生語に μυρμηγκιά(蟻の巣、蟻の大群、しびれ)、μυρμήγκιασμα(しびれ、ちくちくする感じ)、μυρμηγκοφωλιά(蟻の巣)などがある。共通の語源を持つ関連語に、ラテン語 formica、サンスクリット vamrá- などがある。
ギリシャ語:σύμπαν
読み方:シバン・シーバン・シンバン・シーンバン
ラテン文字:sympan
σύν(ともに)と πᾶς(すべて)からなる形容詞 σύμπας(全体の)の中性形を名詞として使った古代ギリシャ語の中性名詞 σύμπαν(全体, すべてを合わせたもの)に由来。「宇宙」の意味はフランス語 univers, 英語 universe からの意味借用で入った近代の用法。
同じ σύμπαν から派生した語に συμπαντικός(宇宙の), συμπαντολογία(宇宙論), συμπαντογένεση(宇宙創成)。
κόσμος(世界, 秩序, 宇宙)も宇宙を言うが, κόσμος が秩序ある全体に重心を置くのに対して, σύμπαν は存在するものの総体をまとめて言う。英語 universe, フランス語 univers, ドイツ語 Universum, イタリア語 universo はラテン語 universum(全体の)を経由した語族で, ラテン語の側もギリシャ語 σύμπαν と同じく「ひとつにまとまった全体」という発想から作られている。
ギリシャ語:άγχος
読み方:アンホス・アーンホス
ラテン文字:agchos
古代ギリシャ語の動詞 ἄγχω(絞める、息を詰まらせる)を語源とする。
ψεύδω(欺く)→ ψεῦδος(嘘)、πνίγω(窒息させる)→ πνῖγος(蒸し暑さ)といった動詞から名詞を派生させる規則に基づき、カサレヴサにおいて ἄγχω に接尾辞 -ος を加えて構成された。
ἄγχω は古代から比喩的に「圧迫する、悩ます」の意味でも用いられていたが、現代の「不安、ストレス」という語義はフランス語 angoisse からの意味借用によって定着したものである。英語 anxiety も印欧祖語の同一語根に由来する。
φόβος(恐怖)や不安から生じる、強く持続する不快感・圧迫感の状態を指す。動詞形は άγχομαι(不安になる、気が揉める)。
ギリシャ語:Πάσχα
読み方:パスハ・パースハ
ラテン文字:pascha
ギリシャ語:στομάχι
読み方:ストマヒ・ストマーヒ
ラテン文字:stomachi
古代ギリシャ語の στόμαχος(胃、のど)から。コイネーの στομάχιον(小さな胃)を経て現在の形に至った。古い語形の στόμαχος は文語的な形として今も残る。さらに古代語では στόμα(口)とつながっており、食べ物の入口から奥へ続く器官として理解されていたことが見えやすい。
英語の stomach も、ラテン語を経て同じ古代ギリシャ語 στόμαχος に由来する。現代ギリシャ語の στομάχι は、日常語としての「胃」に定着した形。
基本の意味は「胃」「胃袋」。そこから、胃の具合、消化の持ちこたえ具合、食欲の出方にも使う。
ギリシャ語:φεγγαρόφωτο
読み方:フェンガロフォト・フェンガローフォト
ラテン文字:fengarofoto
ギリシャ語:ξενύχτι
読み方:クセニフティ・クセニーフティ
ラテン文字:xenychti
ギリシャ語:παλτό
読み方:パルト・パルトー
ラテン文字:palto
ギリシャ語:πρωί
読み方:プロイ・プロイー
ラテン文字:proi
ギリシャ語:φύλλο
読み方:フィロ・フィーロ
ラテン文字:fyllo
印欧祖語で「葉」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 φύλλον(葉)を継承。ラテン語 folium(葉, 紙片), 英語 folio, foliage も同じ語族。
派生に φυλλάδιο(冊子, パンフレット), φυλλάριο(小葉, 薄片), φύλλωμα(葉の茂り, 樹冠), φυλλωσιά(葉の密生)。合成語は φυλλο- の形で作られ, φυλλοβολία(落葉), φυλλοβόλος(落葉性の)。接尾 -φυλλο を使った τριαντάφυλλο(バラ,「三十枚の花びら」の意)も同じ語族。
ギリシャ語:κλαδί
読み方:クラディ・クラディー
ラテン文字:kladi
ギリシャ語:φθινόπωρο
読み方:フシノポロ・フシノーポロ・フティノポロ・フティノーポロ
ラテン文字:fthinoporo
古代ギリシャ語 φθινόπωρον(秋)から。φθίνω(衰える, 減っていく)と ὀπώρα(晩夏の果実, 実りの季節)の合成で, 果実が少なくなっていく季節を表した。語末の -ν が脱落して現代ギリシャ語の φθινόπωρο の形になった。
派生に φθινοπωρινός(秋の), φθινοπωριάτικος(秋の, 秋らしい), φθινοπωριάζει(秋になる, 非人称), φθινοπώριασμα(秋の兆し)。同じ意味の言い方に χινόπωρο(φ が落ちた形), μεθόπωρο / μετόπωρο(古風な形)がある。
ギリシャ語:νησί
読み方:ニシ・ニシー
ラテン文字:nisi
νησί(島)は、古代ギリシャ語 νῆσος(島)の指小形 νησίον(小島)にさかのぼり、それが中世ギリシャ語 νησίν(島)を経て、現代ギリシャ語の基本語として定着したものだ。
文語や地名では、古い形を受け継ぐ νήσος(島)も今なお見られる。日常会話では νησί が普通で、古い語形はより書きことば寄りである。
θάλασσα(海)は海そのもの、πέλαγος(外洋、海、沖合)はより広い海域や沖合を指しやすい。νησί はその水の中に切り出された陸地という位置づけで、海の語と強く結びついている。
指小語の νησάκι(小島)は、地図や旅行の話だけでなく、愛着を込めて小さな島影を言うときにもよく使われる。
意味の中心は「島」。海や湖、川の水に囲まれた陸地を言い、文脈によっては「自分の故郷の島」のように、その人にとってなじみ深い島を指すこともある。
ギリシャ語:μεσημέρι
読み方:メシメリ・メシメーリ
ラテン文字:mesimeri
μεσημέρι(正午、昼どき)は、中世ギリシャ語の μεσημέρι(正午、昼どき)に由来し、そのもとにはヘレニズム期の形容詞 μεσημέριος(正午の、昼の)がある。形容詞の中性形が名詞化して、一日の中央にあたる時刻やその前後の時間帯を表す語になった。
μέρα(日、昼間)が日全体を広く言うのに対して、μεσημέρι はその中央の時間帯に焦点がある。βράδυ(晩、夕方、夜)や νύχτα(夜)はその後に続く時間帯で、μεσημέρι はそこへ向かう前のもっとも明るい時間を切り出す語である。
指小語の μεσημεράκι(昼下がり、ちょっとした昼どき)は、昼のやわらかい感じを親しみを込めて言う形である。派生語には μεσημεριανός(昼の、昼食の)、μεσημεριάτικος(真っ昼間の)がある。
主な意味は「正午」。そこから、正午のあと二、三時間の昼どき、さらに朝寝坊したときなどに感じる「もう昼じゃないか」という遅い朝の時間にも使われる。
ギリシャ語:σύννεφο
読み方:シネフォ・シーネフォ
ラテン文字:sinefo
σύννεφο(雲)は、中世ギリシャ語の σύννεφο(雲)に由来し、そのもとにはヘレニズム期の形容詞 σύννεφος(曇った、雲に覆われた)がある。もともとは空が曇っている状態を言う形が、中性形で名詞化して「雲」そのものを表すようになった。
ουρανός(空)が雲の浮かぶ場所全体を指すのに対して、σύννεφο はそこに現れる雲そのものを言う。καπνός(煙)や σκόνη(ほこり、粉)は、空中に広がる様子から σύννεφο と比喩的に重なりやすい。
指小語の συννεφάκι(小さな雲)は、かわいらしい小さな雲を言う形で、子ども向けの言い方や情景描写で出やすい。派生語には συννεφόκαμα(蒸し暑い曇天)がある。
主な意味は「雲」。そこから、煙やほこりや虫の群れのように雲状に広がるもの、不安や災いの影のような暗い気配にも広がる。
ギリシャ語:όνειρο
読み方:オニロ・オーニロ
ラテン文字:oneiro
古代ギリシャ語の ὄνειρον(夢)から。古い時代から眠っているあいだに見る夢を表す語として使われ続け、現代ギリシャ語でもその中心的な意味を保っている。
英語の oneiric(夢のような)や oneirology(夢の研究)に見える oneir- / oneiro- も、この古代ギリシャ語に由来する。
ύπνος(眠り、睡眠)が夢を生む状態そのものを表すのに対して、όνειρο はその間に現れる内容を指す。悪夢として強い不快感や圧迫感を前面に出すときは εφιάλτης(悪夢、悪夢のようなもの)が自然に立つ。
派生語には、現実離れした考え方をする ονειροπολώ(夢想する)、そうした人を言う ονειροπόλος(夢見がちな)、夢占いの本を表す ονειροκρίτης(夢判断の本)がある。語の中心には、眠りの中の映像から、そこからふくらむ想像や願いへ広がる流れがある。
主な意味は「夢」。そこから、心に思い描く理想や願望、さらに「夢のようにすばらしい」「現実離れしている」と感じる物事にも使われる。
ギリシャ語:πιάτο
読み方:ピアト・ピアート
ラテン文字:piato
πιάτο は古代ギリシャ語の πλατύς(広い、平たい)につながる語で、俗ラテン語、イタリア語 piatto を経て中世ギリシャ語に戻ってきた。いったんギリシャ語から外へ出た語が別のかたちで戻ってきた反借用語である。
英語の plate も同じ πλατύς に由来するので、πιάτο と plate は遠いところで同じ「平たいもの」の感覚を共有している。
もっとも近いのは φαγητό(食べ物、料理)で、πιάτο はそれを載せる皿でもあり、載った一皿の料理でもある。τραπέζι(テーブル、食卓)や μαχαίρι(ナイフ)と並んで、食卓の基本語の一つとして使われる。
指小語の πιατάκι(小皿、受け皿)は小皿、受け皿、ソーサーのような小さめの皿を表す。大きさだけでなく、ちょっとした軽い感じや親しみも出せる形である。
主な意味は「皿」。そこから、一皿に盛られた量、その料理自体、さらに皿に似た形をした物へと意味が広がる。
ギリシャ語:ποτήρι
読み方:ポティリ・ポティーリ
ラテン文字:potiri
古代ギリシャ語の ποτήριον(飲み物を入れる器、杯)から。現代ギリシャ語でも、飲み物を注いで飲むための器を指す基本語としてそのまま残っている。
ποτό(飲み物、酒)が中身を言いやすいのに対して、ποτήρι はまず器そのものを表す。ただし、νερό(水)や κρασί(ワイン)のような語と結びつくと、ποτήρι νερό(コップ一杯の水)、ποτήρι κρασί(グラス一杯のワイン)のように量の意味にも自然に広がる。
指小語の ποτηράκι(小さなグラス、ちょっとした一杯)は小さなグラス、ショットグラス、ちょっとした一杯を表す。文語的な ποτήριον は教会語や定型表現に残っており、現代の ποτήρι と地続きの関係にある。
主な意味は「コップ、グラス」。そこから、中に入っている一杯分の量、さらに一杯の酒そのものも指す。
ギリシャ語:γιασεμί
読み方:ヤセミ・ヤセミー
ラテン文字:giasemi
ギリシャ語:γρασίδι
読み方:グラシディ・グラシーディ
ラテン文字:grasidi
γρασίδι は、古代ギリシャ語 γράστις(青草、飼い葉)にさかのぼる語群に属する。そこから γράσσις(青草)を経た指小形が想定され、中世ギリシャ語 γρασίδι を経て、現代ギリシャ語の γρασίδι になった。さらに元をたどると、γράω(食べる、かじる)に結びつく。
近い χορτάρι(草、牧草、芝生、雑草、ターフ)はもっと広く草全般を言える語で、γρασίδι はその中でも短く青い芝を言いやすい。近い語に χλόη(青草、草地、芝生)や χλοοτάπητας(芝生、芝のマット)、γκαζόν(芝生、ローン)もある。
主な意味は、低く青く生えた芝や芝生。そこから、その芝でおおわれた面や地面全体も指し、刈った芝や人工芝にも使える。
公園や庭では、座る、寝転ぶ、転がるといった場面でよく使う。掲示では Μην πατάτε το γρασίδι(芝生に入らないで、直訳「芝を踏まないで」)の形でも見かける。
ギリシャ語:τζιτζίκι
読み方:トゥジトゥジキ・トゥジトゥジーキ・トゥジトゥズィキ・トゥジトゥズィーキ・トゥズィトゥジキ・トゥズィトゥジーキ・トゥズィトゥズィキ・トゥズィトゥズィーキ
ラテン文字:tzitziki
ギリシャ語:σκαθάρι
読み方:スカサリ・スカサーリ・スカタリ・スカターリ
ラテン文字:skathari
σκαθάρι は、古代ギリシャ語 κάνθαρος(甲虫や魚の名)から σκάνθαρος(甲虫名)が現れ、そこから中世ギリシャ語 σκανθάριον(小さな甲虫名)を経て現在の形になった語。現在の形では、語中の n と θ(ギリシャ文字)の並びが同化して単純化され、語頭の s- も冠詞と続けて発音される中で定着したと説明される。
虫の意味では κανθαρίδα(ツチハンミョウ)や σκαραβαίος(フンコロガシ、スカラベ)と近く、魚の意味では κάνθαρος(文語的な魚名・甲虫名)と重なる。車の意味でも σκαραβαίος(フンコロガシ、スカラベ)という呼び方がある。
主な意味はコウチュウ目の虫を広く指す語。そこから、地中海の ψάρι(魚)である Spondyliosoma cantharus の名にも、Volkswagen Beetle という αυτοκίνητο(自動車、車)の愛称にも使われる。
ギリシャ語:χταπόδι
読み方:フタポディ・フタポーディ
ラテン文字:chtapodi
χταπόδι は中世ギリシャ語の οκταπόδι(タコ)に由来する。現代ギリシャ語では語頭の o が落ちた χταπόδι が日常形として定着している。
やや硬い文脈では οκτάπους(タコ)という形も見られる。まれに κταπόδι(タコ)という形も使われるが、ふつうは χταπόδι が最も自然で一般的である。
海の生き物を広くいう ψάρι(魚)に対して、χταπόδι は頭足類としてのタコを具体的に指す語。生息環境の語としては θάλασσα(海)と結びつきやすく、近い海産物として καλαμάρι(イカ)や σουπιά(コウイカ)も並ぶ。類義語として πολύποδας(タコ、ポリプ)もあるが、χταπόδι のほうが日常的で食卓の語としてもなじみやすい。
指小語の χταποδάκι(小さなタコ)は、小ぶりのタコや、やわらかく親しみをこめた言い方として使われる。
主な意味は、八本の腕を持つ海の動物としての「タコ」。食材としてもそのまま使われる。そこから、触手のように何本も伸びる形にたとえて、荷物を固定する伸縮ゴムひもや、車の排気マニホールドも χταπόδι と呼ぶ。
ギリシャ語:ρυάκι
読み方:リアキ・リアーキ
ラテン文字:ryaki
ρυάκι は古代ギリシャ語の ῥύαξ(流れ、小川)に由来する。中世ギリシャ語では ρυάκιον(小川)の形が使われ、そこから現在の ρυάκι になった。
ποταμός(川)より小さい自然の水の流れを指す語で、ρεματάκι(小さな沢、小川)や ρείθρο(細い流れ、水路)に近い。いっぽう、αυλάκι(溝、水路)や χαντάκι(掘り溝、どぶ)のように人工の溝や掘られた溝をいう語とは少しずれる。
主な意味は、小さく流れる自然の水路としての「小川」。森や谷を流れる浅い流れによく合う語で、さらさら流れる様子も連想させる。そこから、水以外でも液体が細く続いて流れる筋をいうことがある。
ギリシャ語:λιλά
読み方:リラ・リラー
ラテン文字:lila
フランス語の lilas(ライラック、ライラック色)からの借用語。英語の lilac も同じ借用系列に属する。フランス語では花木としてのライラックとその花の色の両方を指し、この語はさらにアラビア語の līlak を経て、ペルシア語系の語にさかのぼる。
現代ギリシャ語では外来の色名として定着し、性・数・格によって語形が変化しない不変化形容詞として使われる。名詞としても同じ形でライラック色そのものを表す。
淡い紫、薄い紫を指す語で、日常的な紫色全般を広くカバーする μοβ(紫色の、紫色)よりも、明るくやわらかい色合いを指す。近い語として βιολετί(バイオレット)、ιώδες(すみれ色の、文語・学術寄り)、μελιτζανί(茄子色)、μενεξεδί(すみれ色)がある。
花やアイシャドー、服などに使う明るい紫、ライラック色を表す。形容詞として名詞を修飾するほか、名詞として色名そのものも指す。
ギリシャ語:άλογο
読み方:アロゴ・アーロゴ
ラテン文字:alogo
古代ギリシャ語の形容詞 ἄλογος(理性のない, 言葉をもたない)の中性形が名詞化して, ヘレニズム期コイネーの ἄλογον(馬)を経て継承。もとは軍で兵士(λόγος を持つ存在)と対比される「理性をもたない動物」を指し, やがて馬に特化した。「馬力」の用法は現代の ίππος(馬, 馬力)からの意味借用。
派生に αλογάκι(子馬), αλογίσιος(馬の), αλογοκλέφτης(馬泥棒), αλογόμυγα(アブ), αλογότριχα(馬毛), αλογέμπορας(馬商人)。
類義語に ίππος(改まった言い方), άτι(駿馬, 古風), φοράδα(雌馬), πουλάρι(子馬)。
ギリシャ語:κουνέλι
読み方:クネリ・クネーリ
ラテン文字:kouneli
κουνέλι(ウサギ)は、古代ギリシャ語の κύνικλος(ウサギ) / κόνικλος(ウサギ)、ラテン語 cuniculus(ウサギ)、イタリア語 coniglio と重なり合う系統の中で、中世ギリシャ語の κουνέλι(ウサギ)が現れ、現代ギリシャ語の κουνέλι(ウサギ)へ続いた語と考えられている。
κουνέλι は、長い後ろ脚を持ち λαγός(ノウサギ)に似た動物として意識されるが、ふつうは飼育されるウサギやその野生化したものを指しやすい。雌を明示するなら κουνέλα(雌ウサギ)、小さい個体や親しみをこめた言い方なら κουνελάκι(子ウサギ、小さなウサギ)、まれに男性形 κούνελος(雄ウサギ)も使う。
主な意味は「ウサギ、兎」。長い後ろ脚、やわらかい毛、短いふさふさした尾を持つ動物を指し、野生のもの、白ウサギ、ペット、繁殖用の個体などに広く使う。そこから料理では κρέας(肉、肉体)としてのウサギ肉や、その料理名にもなる。
ギリシャ語:τσακάλι
読み方:ツァカリ・ツァカーリ
ラテン文字:tsakali
τσακάλι はトルコ語の çakal から現代ギリシャ語に入った借用語。まずは野生動物のジャッカルを指す語として使われ、そこから、素早く抜け目のないイメージを人にも重ねる口語表現へ広がった。
ジャッカルは σκύλος(イヌ、犬、雄犬)や λύκος(狼、オオカミ)に近いイヌ科の動物として捉えられる。灰黄色の毛並み、細く高い脚、尖って立った耳、赤みを帯びたふさふさの尾を持つ夜行性の肉食獣として語られることが多い。
主な意味はジャッカル。そこから口語では、頭の回転が速く、有能で、要領よく立ち回れる人を褒めて言うこともある。
人についての τσακάλι は、褒め言葉としての σπίρτο(切れ者)や αστέρι(星、転じてスター・秀才)に近い。口語の近い語には γάτα(抜け目のない人、切れ者)や τσάκαλος(やり手、切れ者)があり、より要領のよさや世渡りのうまさを前に出すなら επιτήδειος(如才ない人、有能な人)、καπάτσος(抜け目のない人、世渡り上手)、τζιμάνι(切れ者、できるやつ)も近い。
指小形の τσακαλάκι(親しみを込めた「切れ者」)は、とくにこの比喩の意味で使われやすい。子どもや若い人に向かって「この切れ者」と軽く褒める響きにもなりやすい。
ギリシャ語:βουβάλι
読み方:ヴウヴァリ・ヴウヴァーリ
ラテン文字:vouvali
ギリシャ語:γεράκι
読み方:イェラキ・イェラーキ・ゲラキ・ゲラーキ
ラテン文字:geraki
鳥名としての γεράκι は、中世ギリシャ語 γεράκιν(タカ、ハヤブサ)にさかのぼる。政治や軍事の文脈で「タカ派」を指す用法は、英語の hawk に対応して広がった。
中性形の γεράκι が基本形で、雄を表す形として γέρακας(オスのタカ、ハヤブサ)、雌を表す形として γερακίνα(メスのタカ、ハヤブサ)も使われる。
主な意味は、鋭い視力をもつ昼行性の猛禽。そこから、獲物を狙うように利に群がる人や、好戦的な将軍・政治家を指す比喩にも広がる。強欲な人を指す用法は κοράκι(カラス)と近く、政治では平和志向の περιστερά(ハト)と対置される。
ギリシャ語:σπουργίτι
読み方:スプルイティ・スプルイーティ・スプルギティ・スプルギーティ
ラテン文字:spourgiti
後期ギリシャ語の πυργίτης(塔に住むスズメ)に遡り、中世ギリシャ語の σπουργίτης(スズメ)を経て現代ギリシャ語の σπουργίτι になった。14世紀ごろから、現在の中性形 σπουργίτι も文献に見られる。
男性形の σπουργίτης(スズメ)も同じ語を表す別形として使われる。類義的な τσιροπούλι(小鳥)は、特定のスズメというより小鳥一般を広く指す語である。
英語の sparrow とは、意味のうえでは対応するが、直接の語源的なつながりはない。分類学では Passer(スズメ属)に対応する名として扱える。
主な意味はスズメ。広くスズメ目の小鳥全般を指すこともある。指小語の σπουργιτάκι(小さなスズメ)は、小さなスズメや愛らしいスズメを表す。
ギリシャ語:τρέξιμο
読み方:トゥレクシモ・トゥレークシモ
ラテン文字:treximo
τρέξιμο は中世ギリシャ語の τρέξιμον(走ること)を受け継いだ語で、動詞 τρέχω(走る)にさかのぼる。現代ギリシャ語では、体を使って走ることを言う基本語として残り、日常のランニングから競技の走り方まで広く表す。
コンピュータの τρέξιμο του προγράμματος(プログラムの実行)は、英語 running の影響を受けた用法で、プログラムを動かすこと、実行することを表す。
主な意味は、体を使って走ること、そのためのランニング。そこから、用事や面倒ごとで走り回る慌ただしさ、コンピュータでの実行、まれに水の流れまで言える。複数形の τρεξίματα(奔走、雑事)は、とくに πρόβλημα(問題、課題、不具合)に追われる感じを出しやすい。
運動としての τρέξιμο は άσκηση(運動、練習)より具体的で、走る動作そのものを指す。ζέσταμα(準備運動、加熱)の一部として軽く走ることにも使われ、軽い走りでは τζόκινγκ(ジョギング)とも重なる。競技の文脈では αγώνας δρόμου(競走)や σπριντ(短距離走、スプリント)のような語と隣り合う。
ギリシャ語:κολύμπι
読み方:コリビ・コリービ・コリンビ・コリーンビ
ラテン文字:kolympi
κολύμπι は現代ギリシャ語の動詞 κολυμπώ / κολυμπάω(泳ぐ)を土台にした日常的な名詞で、「泳ぐこと」「泳ぎ」を表す。背後には古い κολυμβάω(潜る、泳ぐ)にさかのぼる語群があり、現代ギリシャ語では動詞に近い口語的な形として κολύμπι がよく使われる。
より形式的・競技的な言い方では κολύμβηση(水泳)も使われるが、日常会話では κολύμπι のほうが「泳ぎそのもの」や泳げるかどうかの話に乗りやすい。
μπάνιο(風呂、入浴、水浴び、水泳)は、海やプールに入って楽しむこと全体をやわらかく言える語で、水浴びや海水浴にも広く触れられる。これに対して κολύμπι は、実際に泳ぐ行為そのものや泳ぎの技量に重心がある。
κολύμπι は πισίνα(プール)や θάλασσα(海)と結びつきやすく、κολύμπι στην πισίνα(プールで泳ぐこと)、κολύμπι στη θάλασσα(海で泳ぐこと)のように使う。競技の文脈では、自由形、平泳ぎ、背泳ぎのように各泳法名と組み合わさって「その泳ぎ方」を表す。
主な意味は、水の中を進む行為としての「泳ぎ」「水泳」。趣味や余暇としての泳ぎにも、泳げるかどうかの能力の話にも使う。スポーツでは、自由形や平泳ぎなど個別の泳法名を添えて、その種目・泳ぎ方を表すこともある。
ギリシャ語:χόμπι
読み方:ホビ・ホービ・ホンビ・ホーンビ
ラテン文字:chompi
χόμπι は英語 hobby に由来する借用語で、現代ギリシャ語では外来語らしく不変化の中性名詞として使うことが多い。古い綴りには χόμπυ(旧綴り)がある。
διασκέδαση(娯楽、楽しみ、気晴らし)が楽しんで過ごすことや娯楽一般を広く言えるのに対し、χόμπι は自由時間に自分で続ける個人の楽しみを指しやすい。たとえば μουσική(音楽)や園芸、釣りのような活動を、その人の「趣味」としてまとめて言える。
主な意味は、自由時間に楽しみとして続ける、職業ではない活動。スポーツ、園芸、模型作り、音楽、切手集めのように、長く続ける個人的な楽しみを表す。そこから、何かを楽しみのために行うことも表せる。
定番の言い方として、「私の趣味は...だ」「趣味で何かをする」「趣味を仕事にした」のような形がよく使われる。
ギリシャ語:λεωφορείο
読み方:レオフォリオ・レオフォリーオ
ラテン文字:leoforeio
λεωφορείο は、1863年にフランス語 omnibus(乗合馬車、乗合バス)の訳語として作られた語。古いアッティカ形 λεώς(民衆。現代の λαός(民衆、人々)にあたる)をもとにした λεω-(民衆を表す要素)と、φορείο(運ぶための乗り物、運搬具)を組み合わせてできた。
ふつうの λαός ではなく古い λεώς が選ばれたのは、同じ語源をもつ λεωφόρος(大通り、並木道)という語がすでに使われていたためで、語の響きをそろえる意図があったとされる。英語の bus も、同じ omnibus を短くした形にあたる。
都市内の電線式バスを指す τρόλεϊ(トロリーバス)や、観光・長距離移動に使う πούλμαν(コーチ、観光バス)と比べると、λεωφορείο は市内路線、学校送迎、空港連絡、都市間移動まで含めて広く使える基本語である。
主な意味は、多くの乗客を乗せて運ぶ大型の車両としての「バス」。市内バス、急行バス、スクールバス、連節バス、都市間バスまで広く言える。定期運行のバスを表すときは γραμμή(線、路線、回線、方針)との組み合わせ λεωφορείο της γραμμής(定期バス)がよく使われる。指小語の λεωφορειάκι(小型バス、ミニバス)も日常的に使われる。
ギリシャ語:τραπέζι
読み方:トゥラペジ・トゥラページ・トゥラペズィ・トゥラペーズィ
ラテン文字:trapezi
古代ギリシャ語の τραπέζιον(卓、食卓)から。中世ギリシャ語の τραπέζιν を経て現代の形になった。
家具として並べるなら、καρέκλα(椅子、役職、権力の座)がもっとも自然な組み合わせになる。食事の意味では、整った言い方の γεύμα(食事、食事の席、会食)や、食べ物そのものを指す φαγητό(食べ物、料理、食事)と比べると、τραπέζι は「食卓に着くこと」「食事の席が設けられること」まで含みやすい。
主な意味は、ものを載せたり人が囲んだりするテーブル。そこから、料理が並ぶ食事の場そのものや、その場でとる会食にも広がる。さらに主に複数形では、双方が向き合って話し合う交渉や協議の席も表す。
指小語の τραπεζάκι(小さなテーブル、サイドテーブル)と τραπεζίδιο(小卓)は、家具としての小ぶりな机や卓をやわらかく言う形。固定表現では、στρογγυλό(丸い) τραπέζι / στρογγυλή τράπεζα(円卓会議、ラウンドテーブル討論)のように、形から転じて話し合いの形式そのものを言うこともある。
ギリシャ語:αυτοκίνητο
読み方:アフトキニト・アフトキーニト
ラテン文字:aftokinito
αυτοκίνητο は、19世紀末ごろにフランス語 automobile の影響で定着した近代の語。語の形そのものは αυτο-(自分で)と κινητός(動く、可動の)に対応しており、「自力で動くもの」という意味を表している。
日常会話では、自動車を αμάξι(車)と言うことも非常に多い。αυτοκίνητο のほうが中立的で、公的な表現や車種説明、技術的な言い方にもそのまま使いやすい。
拡大形の αυτοκινητάρα(でかくて立派な車)は「大きくて豪華な車」「排気量の大きい立派な車」のような言い方。指小形の αυτοκινητάκι(小さな車)は、小さな車や玩具の車をやわらかく言うときに使われる。
主な意味は、自前のエンジンで走る四輪車としての「自動車、車」。乗用車を中心に、用途、車体の型、駆動方式などを言い分けるときの土台になる語で、公用車、私用車、商用車、四輪駆動車、ハッチバック、セダン系の車などにも広く使われる。
ギリシャ語:αρκουδάκι
読み方:アルクダキ・アルクダーキ
ラテン文字:arkoudaki
αρκουδάκι は αρκούδα(クマ)に -άκι(指小接尾辞)が付いた形。文字どおりには「小さなクマ」だが、現代ギリシャ語では実際の子グマよりも、クマをかたどった玩具や小さなクマの絵柄を指す語として使われることが多い。
同じぬいぐるみを αρκούδος(テディベア)とも言う。αρκουδάκι は小ささや親しみを出しやすく、子ども向けの持ち物や柄物の説明でよくなじむ。一般におもちゃを広く言うときは παιχνίδι(おもちゃ、遊び、試合、駆け引き)を使う。
主な意味はテディベア、クマのぬいぐるみ。そこから、チョコレートや寝具などに付いたクマ形の飾りやクマ柄も指す。後者では複数形 αρκουδάκια(クマたち、クマ柄のモチーフ)で現れることが多い。
ギリシャ語:δωμάτιο
読み方:ドマティオ・ドマーティオ
ラテン文字:domatio
印欧祖語で「家」を表す語根にさかのぼる名詞 δῶμα, δόμος(家, 建物)に指小の接尾辞 -άτιον がついた古代ギリシャ語の中性名詞 δωμάτιον(小さな家, 寝室)に由来。もとは「小さな家」「寝室」を意味し, 現代の δωμάτιο は家や建物の中の部屋を幅広く指す。ラテン語 domus も同じ系統で, 英語 domestic(家庭の), dome(ドーム)はこのラテン語経由の同系語。
部屋を表す関連語として、κάμαρα(部屋、寝室)、σαλόνι(居間、応接間)、κοιτώνας(寝室、寮)、ξενώνας(客室、ゲストハウス)、θάλαμος(病室、船室)など、用途に応じた語がある。δωματιάκι(小部屋)は指小形、δωματιάρα(大きな部屋)は拡大形。
ギリシャ語:καπέλο
読み方:カペロ・カペーロ
ラテン文字:kapelo
καπέλο(帽子)は中世ギリシャ語の καπέλο(帽子)を経た借用語で、そのもとはヴェネツィア語 capelo にある。西欧由来の服飾語が現代ギリシャ語に入った例のひとつで、今では日常語として完全に定着している。
衣類全般を広く言う ρούχο(布製品、服、衣類)に対して、καπέλο は頭にかぶる帽子そのものを指す。素材や用途を添えて言うことが多く、ふだんの帽子から軍帽まで広く使える。
主な意味は頭にかぶる帽子。そこから、似た形で上にかぶさる部分という感覚で、λάμπα(ランプ、電球、照明器具)の笠や μανιτάρι(キノコ)の傘、煙突の覆いのような部分も言う。さらに口語では、値段や請求に上から載せられる不当な割増にも意味が広がっている。
指小語 καπελάκι(小さな帽子)は、小さな帽子のほか、顔のまわりを帽子のように囲む短いボブの髪型も指す。成句では、感服して「脱帽する」、話題を切り分けて「それは別の話だ」、皮肉を込めて「お偉方」と言うような言い方によく現れる。
ギリシャ語:πανταλόνι
読み方:パダロニ・パダローニ・パンダロニ・パンダローニ
ラテン文字:pantaloni
παντελόνι の別綴り。意味は同じ。
ギリシャ語:παντελόνι
読み方:パデロニ・パデローニ・パンデロニ・パンデローニ
ラテン文字:panteloni
παντελόνι は、古代ギリシャ語の人名 Πανταλέων(パンタレオン)に由来するヴェネツィア方言の Pantalone を遠い起点に持つ。Pantalone はイタリア喜劇 commedia dell'arte の登場人物で、特徴的な長ズボンをはいていたことから、まずフランス語の pantalon が衣類名として定着した。そこからイタリア語の複数形 pantaloni が広まり、ギリシャ語ではその形が中性単数として取り入れられて παντελόνι になった。
別綴りに πανταλόνι(ズボン、パンツ) があり、こちらは借用元に近い母音を保つ形。指小語 παντελονάκι(小さなズボン、短めのズボン)は、小さなズボンや短めのズボンを言うときに使う。
ρούχο(布製品、服、衣類) の中でも、左右の脚を別々に包み、腰で留めて下半身を覆う衣類を指す。素材や形、用途に応じた複合表現が多く、ふだん着から乗馬用、迷彩柄のものまで広く言える。
主な意味は「ズボン、パンツ」。革、コーデュロイ、ジーンズのように素材で言い分けたり、καμπάνα(ベルボトム、裾広がり)や σωλήνας(パイプ型、細身)のようにシルエットで種類を言い分けたりする。裾の筒、折り返し、ポケットなど各部位の話にもそのまま使う。
ギリシャ語:φόρεμα
読み方:フォレマ・フォーレマ
ラテン文字:forema
φόρεμα は動詞 φορώ(着る、身につける)からできた名詞で、もともとは「身につけること」と結びついた語。現在では、その意味から発展して、女性が一枚で着るドレスやワンピースを指す語として定着している。
衣類全般を広く言うのは ρούχο(布製品、服、衣類)で、φόρεμα はその中でも、上下一体になった女性用の服を指す。日常語では φουστάνι(ドレス、ワンピース)も近い言い方として使われる。
指小語 φορεματάκι(小さなドレス、かわいらしいワンピース)は、小さなドレスや、かわいらしさをこめて言うワンピースを表す。
主な意味は、女性が着る一枚仕立てのドレスやワンピース。丈、素材、場面、飾りを添えて細かく言い分けることが多い。口語ではそこから広がって、靴や制服などを身につけることも表す。
複合語では φόρεμα-μπλούζα(ブラウス風ワンピース)や φόρεμα-πουλόβερ(セーター風ワンピース)のような言い方もある。
ギリシャ語:παπούτσι
読み方:パプツィ・パプーツィ
ラテン文字:papoutsi
παπούτσι は中世ギリシャ語の παπούτσιον(靴)から来た語で、そのもとにはトルコ語 papuç / pabuç(靴、スリッパ)がある。借用語として定着したのち、現代ギリシャ語で日常的な「靴」の基本語になった。
指小語 παπουτσάκι(小さな靴、子ども向けの靴)もある。
衣類全体を指す ρούχο(服、衣類)に対して、παπούτσι は足に履く靴そのものをいう。ふつうは足首を大きく越えない靴を広く指し、より高さのある履き物は別語で言い分けることが多い。
主な意味は「靴、シューズ」。紳士靴、婦人靴、子ども靴、革靴、ひも靴、夏用の靴、整形外科用の靴、安全靴、作業靴、運動靴のように幅広く使える。サイズが合うかどうか、きついか、靴ずれするかといった言い方にもよく現れる。
スポーツでは χρυσό παπούτσι(ゴールデンシュー)が得点王表彰の名として使われる。成句では、貧しさ、引退、相手を強く支配すること、相手を気にも留めないことなどを表す。
ギリシャ語:πουκάμισο
読み方:プカミソ・プカーミソ
ラテン文字:poukamiso
πουκάμισο はラテン語 camisia にさかのぼる語群に属する。そこから文語的な καμίσιον(シャツ)や、中世ギリシャ語の πουκάμισον(シャツ)を経て、現代ギリシャ語の πουκάμισο になった。
現代ギリシャ語では、上半身に着て前で留めるシャツを指す日常語として定着している。
衣類全般を広く言うのは ρούχο(布製品、服、衣類)で、πουκάμισο はその中でも、前をボタンで留めるえり付きのシャツを指すことが多い。
そこから意味が広がって、正教会で崇敬の対象になる聖像であるイコンを覆う銀の被せ飾りや、φίδι(ヘビ、蛇)が脱皮して残す皮も言う。
主な意味はシャツ。とくに長袖や半袖で前開きのものを指し、素材や色を添えて具体的に言うことが多い。別の意味では、イコンにかぶせる銀の覆いと、ヘビの抜け殻も表す。
指小語 πουκαμισάκι(小さなシャツ)は、小さなシャツや小ぶりのシャツを言うときに使う。
成句では、πουκάμισο は中身のないものや、つまらないことでの争い、相手を次々取り替えることのたとえにもなる。
ギリシャ語:άλας
読み方:アラス・アーラス
ラテン文字:alas
古代ギリシャ語の ἅλας(塩)に由来。食卓の塩や料理には古代の指小語 ἁλάτιον を継承した αλάτι(塩、食塩)が使われ、άλας は化学や改まった文脈に残る。「地の塩(το άλας της γης)」のように、塩そのものを指す語義は文語。
化学の塩(えん)、および複数形 άλατα が指すミネラル、水垢、バスソルトなどの用法は、ドイツ語 Salz とフランス語 sel からの意味借用。
英語 halogen(ハロゲン)は ἅλς(塩。ἅλας の古代の基本形)と γεν-(生じる)をもとにした語。halo-(halite=岩塩など)も同じ語源。
ギリシャ語:δενδρολίβανο
読み方:デヌドゥロリヴァノ・デヌドゥロリーヴァノ
ラテン文字:dendrolivano
コイネー・ギリシャ語の δενδρολίβανον(ローズマリー)を受け継いで、現代ギリシャ語の δενδρολίβανο になった語。古い形では、δένδρον(木、樹木)に対応する要素と λίβανος(乳香、香)に対応する要素が合わさった複合語で、樹木のように茂る姿と、樹脂を思わせる強い香りをあわせて表した名と考えられる。
別綴りに δεντρολίβανο(ローズマリー)があり、同義語として δυοσμαρίνι(ローズマリー)も使われる。料理の香りづけに使う地中海のハーブとしては、βασιλικός(バジル) や δυόσμος(スペアミント) と並んで親しまれている。
主な意味は「ローズマリー」。地中海に生える常緑の芳香低木で、紫がかった花と針のような葉をつける。葉は料理や菓子、香料、薬用の材料として使われる。
ギリシャ語:καρότο
読み方:カロト・カロート
ラテン文字:karoto
古代ギリシャ語の καρωτόν(ニンジン)が出発点で、この語はラテン語 carota に入り、さらにイタリア語 carota やフランス語 carotte などの同系形へ続いた。中世ギリシャ語の同系形を経て、現代ギリシャ語の καρότο(ニンジン)もこの系統に連なる形として定着した。
食材としては λαχανικό(野菜)の一種を指す。料理の文脈では λάχανο(キャベツ)と並んで現れることも多く、χυμός(ジュース)の材料としてもよく出る。指小語に καροτάκι(小さなニンジン)がある。
基本の意味は、食用になる肥大した根としての「ニンジン」と、その植物全体である。そこから比喩では、人を動かすために差し出す「見返り」や「誘因」を表す。さらにまれに、掘削で抜き取った円筒状のコア試料をいうこともある。
ギリシャ語:αλάτι
読み方:アラティ・アラーティ
ラテン文字:alati
印欧祖語で「塩」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 ἅλς / ἅλας(塩)の指小形 ἁλάτιον を経て, 中世ギリシャ語の αλάτι を継承。ラテン語 sal, 英語 salt も同じ語族。
派生に αλατίζω(塩をかける), αλατώνω(塩漬けにする), αλατιέρα(塩入れ), αλάτινος(塩の), αφαλάτωση(脱塩), αλατοπίπερο(塩コショウ), αλατόνερο(塩水), αλατωρυχείο(岩塩鉱)。
文語形の άλας は改まった「塩」や化学の「塩類」に残る。同じ語族の αλμυρός は塩気を帯びた味や状態を表す語で, 物質としての αλάτι と対になる。
ギリシャ語:κρεμμύδι
読み方:クレミディ・クレミーディ
ラテン文字:kremmydi
κρεμμύδι は、古代ギリシャ語の κρόμμυον(タマネギ)がコイネー期の κρέμμυον(タマネギ)、中世ギリシャ語の κρεμμύδιν(タマネギ)を経て受け継がれた語である。語尾がしだいに簡略化されて、現在の形に落ち着いた。
口語では κρομμύδι(タマネギ)という形もあり、こちらは古い段階の /o/ の響きをより強く残した言い方として並んで使われる。
σκόρδο(ニンニク)は、κρεμμύδι と同じく鱗茎を食べる近い野菜で、料理でも並んで現れやすい。λαχανικό(野菜)という広い分類の中では、κρεμμύδι はとくに香味野菜としてよく意識される。
指小語の κρεμμυδάκι(小さな玉ねぎ、若い玉ねぎ)は、小ぶりなものを指すのに使われる。増大語の κρεμμύδα(大きな玉ねぎ)は、大ぶりの玉ねぎを指す言い方である。
主な意味はタマネギ。植物全体を指すこともあるが、日常的には食材としての球根を指すことが多い。黄色、赤、白の品種があり、乾燥させたもの、みずみずしい新しいもの、葉つきの若いものまで、ふだんの料理の中で幅広く使われる。
生でサラダやギュロスに添えるほか、炒める、揚げる、焼くといった調理でも基本の食材になる。輪切りにしたオニオンリングのように、切り方そのものを言い分ける表現も多い。
ギリシャ語:μολύβι
読み方:モリヴィ・モリーヴィ
ラテン文字:molyvi
μολύβι は古代ギリシャ語の μόλυβδος(鉛)につながり、中世ギリシャ語の μολύβιν(鉛)と μολύβι(鉛)を経た語。もともとは鉛そのもの、あるいは鉛を使ったものを指し、そこから芯を持つ細長い筆記具にも意味が広がった。近代にはフランス語 crayon(鉛筆、クレヨン)の意味的な影響も重なり、現代ギリシャ語の μολύβι では「鉛筆」がもっとも基本の意味になっている。
日常語で「鉛筆」と言うときは μολύβι が基本で、化学や金属の文脈で「鉛」をはっきり言うときは μόλυβδος のほうが改まった言い方になる。ペンシル型の化粧品も同じ語で呼ばれ、μάτι(目)、χείλος(唇)、φρύδι(眉)の輪郭を取る道具を表す。
指小語の μολυβάκι(小さな鉛筆、小ぶりのペンシル)は、小さな鉛筆や短い鉛筆、また化粧用のペンシルをやわらかく言う形としてよく使われる。
主な意味は「鉛筆」。そこから、アイライナーやリップライナーのようなペンシル型コスメ、口語の「鉛」や「弾丸」、さらに鉛のように重く沈む感覚へと意味が広がっている。χαρτί(紙)と並ぶと、計算やメモを始める具体的な道具立てを表しやすい。比喩では βαρύς(重い)の形容詞的な感覚と重なりやすい。
ギリシャ語:κλειδί
読み方:クリディ・クリディー
ラテン文字:kleidi
印欧祖語で「鍵, 閉じる道具」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 κλείς(鍵, かんぬき)の指小形 κλειδίον(小さな鍵)を経て, 中世ギリシャ語の κλειδί(ν) を継承。語末の -ν が脱落して現代ギリシャ語の κλειδί の形になった。
派生に κλείδα(鎖骨, 鍵), κλειδάκι(小さな鍵, 指小形), κλειδαράς(錠前師), κλειδαριά(錠, 鍵穴), κλειδώνω(鍵をかける)。合成語に αντικλείδι(合鍵), γαντζόκλειδο(鉤爪レンチ), κλειδαμπαρώνω(しっかり閉ざす), κλειδάριθμος(PIN コード), κλειδοκύμβαλο(クラヴィコード, 鍵盤楽器), κλειδομαντεία(鍵占い), μπουλονόκλειδο(ボックスレンチ), μπουζόκλειδο(プラグレンチ)。
ギリシャ語:ψαλίδι
読み方:プサリディ・プサリーディ
ラテン文字:psalidi
ψαλίδι(はさみ、ハサミ)は、ヘレニズム期の ψαλίδιον(小さなはさみ)にさかのぼる語で、これは古代ギリシャ語 ψαλίς(はさみ)を小さくした形である。そこから中世ギリシャ語の ψαλίδι(はさみ)を経て、現代ギリシャ語でもほぼ同じ形で受け継がれた。
μαχαίρι(ナイフ、包丁)が一本の刃で切る道具を広く指すのに対して、ψαλίδι は二枚の刃が開閉して切る道具を具体的に指す。形が似ていることから、髪を整える器具や車の部材などにも意味が広がっている。
主な意味は「はさみ、ハサミ」。そこから、見た目や動きが似た器具や部材、さらに予算や給付の削減、スポーツや体操でのはさみのような動きも表す。指小語 ψαλιδάκι(小ばさみ)は、爪用の小ばさみや、脚や腕を交差させる運動の言い方としてよく使われる。
ギリシャ語:χαμόγελο
読み方:ハモイェロ・ハモーイェロ・ハモゲロ・ハモーゲロ
ラテン文字:chamogelo
χαμόγελο は動詞 χαμογελώ(笑顔を見せる、ほほえむ)からできた名詞で、さらにさかのぼると χαμο-(下へ、低く、控えめに)と γελώ(笑う)に分かれる。χαμο- は古い複合語要素で、もともとは声を立てず、口元だけで静かに笑う動きが核にあったと考えられる。
この「低く笑う」「そっと笑う」という感覚から、現代ギリシャ語ではごく普通の「笑顔、ほほえみ」を表す基本語として定着した。名詞の χαμόγελο と動詞の χαμογελώ、形容詞の χαμογελαστός(ほほえんだ、笑顔の)は同じ語族をなす。
χαρά(喜び) が内側にある喜びそのものを指しやすいのに対し、χαμόγελο はそれが πρόσωπο(顔) に現れた表情を指す語である。口元だけに出る静かな表情なので、声や動きを伴いやすい γέλιο(笑い) よりも控えめな場面によく合う。見た目の動きとしては χείλος(唇) の端が持ち上がることが中心にあり、そこから比喩的に「喜び」そのものや、服の襟ぐり、整った歯並びまで意味が広がっている。
主な意味は「笑顔、ほほえみ」。そこから、その表情が示す「喜び」、横に広く開いた襟ぐり、見映えのよい白い歯並びも表す。指小語 χαμογελάκι(小さな笑み)は顔文字 :) や :-) を指すこともある。
ギリシャ語:νεύρα
読み方:ネヴラ・ネーヴラ
ラテン文字:nevra
νεύρα は語形としては νεύρο(神経)の複数形で、その底には古代ギリシャ語の νεῦρον(腱、神経、弓の弦)がある。そこから現代ギリシャ語では、νεύρο の複数形として νεύρα が保たれている。
英語の neuron(ニューロン)や接頭辞 neuro-(神経の)も、同じ古代ギリシャ語にさかのぼる。
現代ギリシャ語で「神経が張りつめた状態」「そこから来るいらだちや怒り」を表すこの言い方は、フランス語 nerfs(神経、神経過敏)の影響を受けて広まったとされる。身体の器官としての神経そのものより、感情がぴりついて落ち着かない状態を言うことが多い。
θυμός(怒り)はもっと広く一般的な「怒り」を言え、οργή(激しい怒り、憤怒)はより重く強い怒りを表す。これに対して νεύρα はもっと口語的で、神経が逆立っている感じ、不機嫌さ、ぴりぴりした怒りをまとめて言う。
主な意味は、神経が張りつめている状態や、そのせいで起こるいらだち、怒り。この意味ではほぼ複数形で使い、τα νεύρα μου(私の神経、つまり「いらいら」)のように定冠詞や所有代名詞と結びつきやすい。口語では指小形の νευράκια(ちょっとしたいらだちを軽く言う形)も使われる。
ギリシャ語:γέλιο
読み方:イェリョ・イェーリョ・ゲリョ・ゲーリョ
ラテン文字:gelio
γέλιο(笑い、笑い声)は中世ギリシャ語の γέλιο(笑い、笑い声)に由来する。現代ギリシャ語では、顔に出る笑いと、耳に聞こえる笑い声の両方をひとまとめに言う基本語として使われている。
χαρά(喜び)や κέφι(上機嫌、陽気な気分)は感情や気分そのものを言う語だが、γέλιο はそれが表情や声として外に出た状態を指しやすい。口元だけの χαμόγελο(微笑み)よりも大きく、表情や声の動きを伴う笑いに合う。比較される語に γέλως(笑い)という形もある。
主な意味は「笑い、笑い声」。自然にこぼれる笑いから、皮肉や気まずさを含んだ笑い、響きとして聞こえる笑い声まで広く言える。複数形の γέλια(大笑い、笑いの連続)では、その場が笑いで満ちることや、どっと笑いが起こることも表す。
ギリシャ語:κασκόλ
読み方:カスコル・カスコール
ラテン文字:kaskol
κασκόλ はフランス語の cache-col(首を隠すもの)から入った借用語。cache は cacher(隠す)、col は首を表し、首元を覆って寒さをしのぐ用途がそのまま語形に残っている。
κασκόλ は、首に巻いたり掛けたりして使う ρούχο(布製品、服、衣類)の一種。ギリシャ語では中性名詞だが、不変化語として扱われ、格によって語形が変わらない。
細長い布を首に巻いたり掛けたりする防寒具を指す。毛皮、ウール、ニットなど素材を問わず使え、筒状のものは κασκόλ σωλήνας(筒状のネックウォーマー)と言う。スポーツでは、チーム名や色の入った応援用のマフラーも同じ語で呼ぶ。
ギリシャ語:μεσάνυχτα
読み方:メサニフタ・メサーニフタ
ラテン文字:mesanychta
古代ギリシャ語の μέσος(まんなかの)と νύξ(夜)からなる複合語がもとになり、中世ギリシャ語の μεσάνυκτον(真夜中)を経て、現在の μεσάνυχτα につながった。文字どおり「夜のまんなか」という発想の語。
後半の νύξ は現代ギリシャ語の νύχτα(夜)につながる語で、英語の night やドイツ語の Nacht とも同じインドヨーロッパ語系の語源をもつ。
文語寄りの別形に μεσονύκτιο(真夜中)があり、やや口語寄りの形として μεσονύχτι(真夜中)も使われる。
βράδυ(晩、夕方、夜)が日没から夜の前半を広く言えるのに対し、μεσάνυχτα は夜のかなり遅い時点に焦点がある。νύχτα は夜全体を指せるが、μεσάνυχτα はそのなかでも午前0時前後、またはそれ以降の深い時間帯に限って使う。
主な意味は「真夜中」。きっかり午前0時そのものを指すほか、そこから夜明け前までの深い夜を広く言うこともある。現代ギリシャ語では複数形だけで使うのが普通で、定刻としても時間帯としても言える。
ギリシャ語:λαχανί
読み方:ラハニ・ラハニー
ラテン文字:lachani
ギリシャ語:μέλι
読み方:メリ・メーリ
ラテン文字:meli
古代ギリシャ語の μέλι(蜂蜜)を継承。印欧祖語で蜂蜜を表す語根から続き、ラテン語 mel、ゴート語 miliþ、古アルメニア語 mełr と共通する。ミケーネ期の線文字Bに me-ri として記録がある。英語 mellifluous(甘美な)はラテン語 mel + fluere(流れる)から。
派生語に μέλισσα(ミツバチ)、μελίσσι(ミツバチの巣、群れ)、指小形 μελάκι、合成語に υδρόμελι(蜂蜜酒)、ροδόμελι(バラの蜂蜜)、μελίμηλον(蜂蜜のリンゴ)など。英語 marmalade(マーマレード)は μελίμηλον がラテン語・ポルトガル語を経てできた語。古代ギリシャ語の属格 μέλιτος は ταξίδι του μέλιτος(新婚旅行)、μήνας του μέλιτος(蜜月期)のような決まった言い方に残る。
ギリシャ語:λαδί
読み方:ラディ・ラディー
ラテン文字:ladi
形容詞 λαδής(オリーブ色の)の中性単数形が、色名として名詞的に用いられるようになったもの。
オリーブ油のような、黄みを帯びたくすんだ緑色そのものを指す。
ギリシャ語:ροζ
読み方:ロズ・ローズ
ラテン文字:roz
ラテン語の rosa(バラ)にさかのぼるフランス語 rose(ピンク)から入った借用語。フランス語の rose は、もともとバラを意味する語から色名になったもので、現代ギリシャ語の ρόδο(バラ)とも同じ語源につながる。
現代ギリシャ語では、μπλε(青)や γκρι(グレー)と同じく、性・数・格で形が変わらない不変化語として定着している。
基本は、淡い赤を帯びた色としての「ピンク」。形容詞として色を表すだけでなく、名詞としてピンク色そのものやピンク色の服も指す。κόκκινο(赤)よりやわらかく、μοβ(紫)に寄りすぎない中間的な色合いを広くカバーする。
近い色名として、ροζέ(ロゼ色)、σομόν(サーモンピンク)、φούξια(フューシャ)なども並べられる。
そこから俗語的に、性的でいかがわしい内容をもつものを表す意味にも広がる。とくに ροζ ξενοδοχείο(ラブホテル)は、情事のために使うホテルを指す。
指小形には ροζάκι(小さめのピンク、かわいらしいピンク)、ροζουλί(やわらかいピンク)があり、どちらも小ささややわらかさを感じさせる「ピンク」の言い方として使われる。
成句では ροζ σύννεφο(ピンクの雲)が、現実を離れて理想化された夢見心地の状態を表す。また ροζ τηλέφωνα / ροζ γραμμή(有料のエロティックな電話サービス)は、性的な会話や録音メッセージを提供する回線を指す。
ギリシャ語:λάδι
読み方:ラディ・ラーディ
ラテン文字:ladi
λάδι(油)は中世ギリシャ語の λάδι(油)を受け継ぐ語。基本は食べ物としての「油」で、とくにオリーブの実から取る油を指しやすい。そこから現代では、植物油、化粧用や機械用のオイル、燃料用の油、さらに油彩作品までをまとめて言える。
料理の脂としては、固形寄りの βούτυρο(バター)と対比されやすく、λάδι は液体の油全般を指しやすい。文脈だけでオリーブ油を表すことも多く、λαδο-(油の)という連結形で λαδόξιδο(油と酢を合わせたドレッシング)のような語をつくる。指小語 λαδάκι(小さな油、食用油のやわらかい言い方)は食用油の意味でやわらかく言う形。
主な意味は食用油。とくにオリーブ油が中心だが、植物油全般や、化粧品・薬品・機械・燃料に使う油性の液体にも広がる。口語では美術作品の「油絵」を省略して λάδι と言うこともある。
成句では、φωτιά(火)と結びついた ρίχνω λάδι στη φωτιά(火に油を注ぐ)や、βγάζω κάποιον λάδι(誰かをおとがめなしに済ませる)、χάνει λάδια(オイルが漏れる / 様子がおかしい)のような言い方が目立つ。
ギリシャ語:κρύο
読み方:クリオ・クリーオ
ラテン文字:kryo
ギリシャ語:σκοτάδι
読み方:スコタディ・スコターディ
ラテン文字:skotadi
古代ギリシャ語の σκότος(闇)をもとに、中世ギリシャ語の σκοτάδι(闇)を経て現在の σκοτάδι になった。σκότος は現代ギリシャ語でも文語的・文学的な響きをもつ対応語として残っている。
反対語は φως(光)。一方で σκιά(影)は、何かが光を遮ってできる部分的な暗さを指し、σκοτάδι は光が届かず視界が利かない状態そのものを表す。
この語は物理的な暗さから、知識がないこと、事情が見えないこと、先行きの暗い社会状況や気分まで広く表す。πνευματικό σκοτάδι(精神的な無知)や πολιτικό σκοτάδι(政治的な暗黒)のような言い方があり、「誰かを闇の中に置く」「闇から出す」という比喩的な表現にも自然につながる。
主な意味は「暗闇」。そこから比喩的に、無知、不透明さ、陰鬱さも表す。成句では、死や失踪、極端な無知を表す言い方にも使われる。
ギリシャ語:τζάκι
読み方:ヅァキ・ヅァーキ
ラテン文字:tzaki
τζάκι はトルコ語の ocak に由来する借用語。現代ギリシャ語では、室内に造りつけられ、煙突につながって火を焚ける設備を指す語として定着している。
家全体を言うのは σπίτι(家、住居)で、実際に燃えている火そのものは φωτιά(火、炎)と言うことが多い。τζάκι は、その火を囲む造りつけの暖炉を指しやすく、そこから暖炉の中で燃えている火自体を言うこともある。
主な意味は暖炉。石や金属で作られた室内の火床で、暖を取ったり雰囲気を作ったりするために使う。比喩では、長く影響力を持つ οικογένεια(家族、一族)や家柄を指し、とくに政界や上流社会の名門をやや批判的に言うことがある。
ギリシャ語:κερί
読み方:ケリ・ケリー
ラテン文字:keri
中世ギリシャ語の κερίν(ろう、蝋)に由来する。語源欄では語末子音を括弧に入れて示すこともある。
同じ語では、μελισσοκέρι(蜜蝋)や αγιοκέρι(教会に供えるろうそく)のような複合語がある。比較語として κηρίο(巣房、蜂の巣の板)や λαμπάδα(長いろうそく)が挙げられ、素材名としては παραφίνη(パラフィン)や στεατίνη(ステアリン)の語も合わせて現れる。
主な意味は「ろう、蝋、ワックス」で、μέλισσα(ミツバチ)が巣を作るときに分泌する蜜蝋のような天然のろうから、合成ワックスや脱毛用ワックス、その商品としてのろうそくまで含む。別の意味では、αυτί(耳)にたまる耳あかも κερί と言う。指小語の κεράκι(小さなろうそく、ろうそく形の小型電球)は、特に誕生日用の小さなろうそくや、ろうそく形の小型電球に使われる。
ギリシャ語:σπίρτο
読み方:スピルト・スピールト
ラテン文字:spirto
σπίρτο はイタリア語の spirito(アルコール、スピリッツ)から入った借用語。もとの「アルコール」の意味は、現代ギリシャ語でも俗語としての「強い酒」や、化学の言い方の σπίρτο του άλατος(塩酸)に残っている。
現代の日常語では、そこから意味が大きく広がり、まず「マッチ」を指す語として定着している。さらに比喩では、ぱっと火がつく感じから、頭の回転が速い人を言うくだけた言い方にもなる。
火をつける道具としては、やや古風な言い方に πυρείο(マッチ、火打ち具)があり、現代の日常語では αναπτήρας(ライター) が対応する。比喩の「切れ者」という意味では、σπίθα(火花、きっかけ、残り火)も近い。
酒の語としては、ποτό(飲み物、酒、飲酒)が飲み物や酒全般を広く言えるのに対し、σπίρτο は俗に度数の強い酒やアルコールを荒っぽく指す。ワインのように酒の種類を限って言う κρασί(ワイン)とは守備範囲が違う。
主な意味はマッチ。そこから、くだけた比喩で「とても頭の切れる人」、俗語で「強い酒、アルコール」、固定した化学の言い方では「塩酸」も表す。
人を褒めて σπίρτο と言うと、頭の回転が速くて要領のいい人を表す。言い方によっては素直な称賛にも、軽い皮肉にもなる。
ギリシャ語:μπάνιο
読み方:バニョ・バーニョ
ラテン文字:banio
古代ギリシャ語の βαλανεῖον(浴場、浴室)が起源。そこからラテン語の balneum / ballineum、後期ラテン語の bannium、イタリア語の bagno を経て、現代ギリシャ語の μπάνιο になった。
基本の意味は、家で体全体を洗う入浴や風呂。その延長で、家の中の浴室そのものも指す。さらに、海や川、プールに入る水浴びや海水浴にも広く使われ、口語では「泳ぎ」の意味でも言う。複数形の μπάνια(温泉場、保養地)は、療養のために行く温泉場や保養地を指すことがある。
夏場には θάλασσα(海)や παραλία(海岸、ビーチ)の文脈で、「泳ぎに行く」「水浴びする」という意味でよく使う。複数形では、治療や保養のために行く温泉施設のまとまりを指す言い方にもなる。
指小語の μπανάκι(小さなお風呂、ベビーバス)は、親しみをこめた「お風呂」や小さなお風呂を表す形。特に μωρό(赤ん坊)を洗うための小さなたらいやベビーバスも指す。
ギリシャ語:υγρός
読み方:イグロス・イグロース
ラテン文字:ygros
印欧祖語で「濡れる」を表す語根の子孫で, 物質が液体であることや物が濡れていることを言う古代ギリシャ語の形容詞 ὑγρός(液体の, 湿った)を継承。文法用語の υγρά σύμφωνα(液音)はフランス語 liquide からの意味借用で, ヘレニズム期の ὑγρά στοιχεῖα(液体の文字群)の言い方を受けつつ, 近代の文法概念として整えられた。ふつうは λ(ラムダ)と ρ(ロー)を指す。
同じ ὑγρός から派生した語に動詞 υγραίνω(湿らせる), 名詞 ύγρανση(湿らせること, 加湿), 形容詞 υγραντικός(保湿の), 名詞 υγρασία(湿気, 湿度), υγρότητα(湿り気, 液状性)。合成語では υγραέριο(液化ガス), υγρόφιλος(親水性の), υγροποίηση(液化), υγρομετρία(湿度測定), υγρογράφος(湿度記録計)が並ぶ。
「水」そのものを言うには νερό(水)か ύδωρ(水)を使い, 中性形の υγρό は水に限らず液体全般を指す。英語 hygrometer(湿度計), hygroscopic(吸湿性の), hygrograph(湿度記録計)は ὑγρός から経由した語族。ラテン語 ūmor(湿り気), ūmidus(湿った), 英語 humid(湿った), humidity(湿度)も同じ印欧語根の子孫とされる。
ギリシャ語:κουράγιο
読み方:クライオ・クライーオ・クラギオ・クラギーオ
ラテン文字:kouragio
イタリア語の coraggio に由来する。借用の過程で語頭の o が u に寄り、現代ギリシャ語の κουράγιο になった。
近い語に θάρρος(勇気、胆力)や τόλμη(大胆さ、思い切り)がある。既存ページのある ψυχή(魂、心、勇気)も「勇気、不屈の精神」を表せるが、ψυχή が内面の強さやガッツを言うのに対して、κουράγιο は苦しい状況をしのぐ気力や、人を励ますときの「元気を出して」に自然に寄る。
主な意味は、苦しい状況に向き合うための気力や精神的な持久力。そこから、真実を言ったり相手に言い返したりするだけの勇気や度胸も表す。呼びかけの κουράγιο! は「気をしっかり」「頑張って」のような励ましにもなる。
ギリシャ語:ρολόι
読み方:ロロイ・ロローイ
ラテン文字:roloi
ρολόι は、古代ギリシャ語の ὡρολόγος(時を扱う人、時を整えて読む人)にさかのぼる。ὡρολόγος は ὥρα(時間、時刻)と λέγω(並べる、整える)からできた語である。そこに、道具名や物の名を作る接尾辞 -ιον(道具名や物の名を作る語尾)が付いて ὡρολόγιον(時を示すもの、時計)という形になった。その後、語頭の ὡ-(語頭の要素)が落ち、現代ギリシャ語の ρολόι になった。
ώρα(時間、時刻)が時間そのものを言うのに対し、ρολόι はそれを示す機械や器具を指す。針は δείκτης(指針、指示棒、人差し指、指数、添字)と呼ばれ、壁掛け時計、腕時計、日時計、デジタル時計までまとめてこの語で言える。指小形 ρολογάκι(小さな時計、かわいく言う腕時計)は、小さな時計や腕時計をくだけて言うときに使う。
植物名では、つる性で目立つ花をつけるアサガオを指すことがある。この意味では ιπομέα(アサガオ、朝顔)のような呼び名と重なる。
主な意味は「時計」。そこから、町なかの時計台、水道や電気のメーター、車の計器類にも広がる。比喩的には βιολογικό ρολόι(体内時計)も言い、成句では「きっかり計る」「物事が順調に進む」「機械が正確に動く」といった意味にもなる。
ギリシャ語:μαγαζί
読み方:マガジ・マガジー・マガズィ・マガズィー
ラテン文字:magazi
μαγαζί はヴェネツィア語系の *magazin に由来し、さらにアラビア語 mahāzin(店の倉庫、保管場所)にさかのぼる。ギリシャ語では語末の n が落ちて現在の形になり、もとの「保管する場所」から、商品を並べて売る「店」を表す日常語として定着した。
同じアラビア語源は英語 magazine にもつながる。
買い物の場を表す近い語には αγορά(市場、購買、アゴラ)がある。κατάστημα(店舗)という言い換えもあり、指小語 μαγαζάκι(小さな店、こぢんまりした店)は親しみをこめた形として使われる。
最も基本的には、商品を並べて売る個々の店を指す。そこから、歌手が出演するような娯楽の店、くだけた言い方では事業や役所、さらに複数形では商店街にも広がる。営業しているかどうかの文脈では ανοιχτός(開いている、営業している)と対で現れやすい。
ギリシャ語:αστείο
読み方:アスティオ・アスティーオ
ラテン文字:astio
名詞 ἄστυ(町)から派生した「都会風の, 垢抜けた」を意味する古代ギリシャ語の形容詞 ἀστεῖος(洗練された, 気の利いた)の中性形 ἀστεῖον が「しゃれ, 気の利いた言い回し」を指す名詞として用いられ, καθαρεύουσα が再び取り入れた語に由来。フランス語 plaisanterie からの意味借用も重なり, 今の「冗談」の用法が定着した。
派生に αστειάκι(ちょっとした冗談)。同じ語族に形容詞 αστείος(面白い, 気の利いた), 動詞 αστειεύομαι(冗談を言う, ふざける)。類義語に ανέκδοτο(逸話, ジョーク)。
ギリシャ語:πράγμα
読み方:プラグマ・プラーグマ
ラテン文字:pragma
古代ギリシャ語の πρᾶγμα(物, 事, 事業)に由来。πράττω(行う, する)の名詞形で, 「行われたこと, 扱われる物・事」の意味から出ている。現代の抽象的な「こと, 情勢, 現実」の用法はフランス語 chose, ドイツ語 Ding からの意味借用で輪郭が整った。
くだけた形の πράμα / 複数 πράματα は中世の段階で子音連続 γμ が同化・単純化して生まれた別形で, ふだんの会話や俗な言い回しでよく出てくる。小さく言う πραγματάκι / πραματάκι も同じ場面で使う。
同じ πρᾶγμα の語族に πραγματικός(現実の), πραγματικότητα(現実), πραγματεία(論考), πραγματεύομαι(扱う, 論じる), πραγματοποιώ(実現する)。意味の受け皿が広く, はっきり「問題, 困りごと」を指したいときは πρόβλημα(問題, 課題)のほうが明確。
ギリシャ語:χιόνι
読み方:ヒョニ・ヒョーニ
ラテン文字:chioni
古代ギリシャ語の女性名詞 χιών(雪)に由来する。そこからヘレニズム期の指小形 χιόνιον(小さな雪、小さな雪片)が生まれ、中世ギリシャ語の χιόνι(雪)を経て、現代ギリシャ語の χιόνι(雪)に至った。今の形は、古い「雪」の語が指小形を経て日常語として定着したものにあたる。
χειμώνας(冬)が季節としての「冬」を指すのに対し、χιόνι はその時期に降る雪や積もった雪そのものを指す。βροχή(雨)が液体の雨なのに対して、χιόνι は大気中の凍った水分が結晶になって地上に降るものを言う。
指小語 χιονάκι(小雪、小さな雪片)は小雪や小さな雪片をやわらかく言う形。関連語 χιονιά(雪玉)もある。
基本の意味は「雪」。そこから、雪のような白さ、氷のような冷たさ、テレビ画面に出る白い砂嵐にも意味が広がる。
ギリシャ語:έδαφος
読み方:エダフォス・エーダフォス
ラテン文字:edafos
古代ギリシャ語の ἔδαφος(地面、地表、底)からの学術借用。ἕδος(座、土台)に -φος が付いた形と考えられ、さらに ἕζομαι(座る)の根につながる。比喩の「土台、条件」として使う用法は、フランス語 terrain(地面、活動の場)の影響による。
派生語に εδαφικός(土壌の、領土の)、εδάφιο(節、聖書や法律の一節;古代 ἐδάφιον「底、節」から)、εδαφολογία(土壌学)、εδαφοτεχνική(土質工学)など。関連語に γη(地球、大地)、χώμα(土、土壌)、επικράτεια(領域、版図)、χώρα(国、土地)。
英語 edaphic(土壌の)は同じ古代ギリシャ語 ἔδαφος をもとにした生態学・農学の学術語で、土壌条件による生物の差を論じるときに使う。
ギリシャ語:βιολί
読み方:ヴィオリ・ヴィオリー
ラテン文字:violi
βιολί(バイオリン)は、中世ギリシャ語の βιολί(バイオリン)に由来する語。現代ギリシャ語では、肩とあごのあいだに支えて弓で弾く四弦の擦弦楽器を指す基本語になっている。
もっとも基本的な意味は、オーケストラや室内楽、民俗音楽で使うバイオリン。その複数形 βιολιά(小編成の楽団、生演奏)は、くだけた言い方で小さな楽団やその場の生演奏を指すこともある。
指小語 βιολάκι(小さなバイオリン、子供向けのバイオリン)がある。演奏することを言うときには παίζω(弾く、演奏する)を使い、演奏の場面全体では μουσική(音楽)と結びつくことが多い。同じ擦弦楽器の仲間として βιόλα(ヴィオラ)、κοντραμπάσο(コントラバス)、τσέλο(チェロ)が並ぶ。
ギリシャ語:μπουμπούκι
読み方:ブブキ・ブブーキ・ブンブキ・ブンブーキ
ラテン文字:boumpouki
語源は確定していないが、古代ギリシャ語の βομβύκιον(蚕の繭)にさかのぼるとする説がある。これは βόμβυξ(カイコ)をもとにした語形で、そこから現代ギリシャ語の μπουμπούκι になったと考えられている。
この説明では、語中の [mb] のような唇音の影響で母音が [u] に寄ったことが、現在の音形につながったとされる。
λουλούδι(花)や άνθος(花)は開いた花そのものを指すのに対し、μπουμπούκι はまだ開いていない段階を指す。οφθαλμός(芽、眼)は植物学で「芽」を表す、より技術的な言い方。
最も基本的には、まだ開いていない花や、まだ伸びきっていない植物の芽を指す。比喩では、まだ成長の途中にあるきれいな少女を言うことがあり、皮肉を込めると、ずるくてろくでもない人物も指す。
指小語に μπουμπουκάκι(小さなつぼみ、愛称形)がある。
ギリシャ語:τσάι
読み方:ツァイ・ツァーイ
ラテン文字:tsai
中国語の chá(茶)に由来する語が, ロシア語の tšay とトルコ語の çay(茶)を経て現代ギリシャ語に入った借用語。
英語の chai も同じ系統の語で、東方起源の「茶」を表す借用語の並びに属する。
日常語としては、茶葉そのものと、それをいれて飲むお茶の両方を広く表す。植物を煮出した温かい飲み物を表す ζεστό(ハーブティー、煎じ薬)とは少し役割が異なり、同じ温かい飲み物の καφές(コーヒー)と並んで日常会話でよく使われる。
主な意味は「茶葉」と「お茶」。そこから、定型句 τσάι του βουνού(山のお茶、シデリティス)ではギリシャの山地に生える香草の茶を指し、午後にお茶と菓子を囲む集まりも表す。親しみを込めた指小形 τσαγάκι(一杯のお茶、ちょっとしたお茶)は、とくに飲み物としての一杯のお茶について使われる。
ギリシャ語:δευτερόλεπτο
読み方:デフテロレプト・デフテローレプト
ラテン文字:defterolepto
中世ギリシャ語の δευτερόλεπτον(天文学で、角の一分をさらに六十分した単位)が土台にあり、近代にはフランス語 seconde の影響も重なって、現代ギリシャ語の δευτερόλεπτο が日常的な時間の単位として定着した。
ώρα(時間、時刻)が時計の時刻や一時間を言い、χρόνος(時間、時、期間、年、時制、タイム、拍)が時間の流れや長さを広く言うのに対し、δευτερόλεπτο はその中のごく短い一区切りを数える語である。さらに数学では、γωνία(角、隅、アングル材)や弧を測る細かな単位にも使う。
主な意味は時間の単位としての「秒」。そこから転じて「ほんの一瞬」「すぐに」という言い方にもなり、幾何や天文では角度の細かな単位である「角秒」も表す。
速さを強調するときは、σε κλάσμα δευτερολέπτου(ほんの一瞬で)や υπόθεση δευτερολέπτων(ほんの数秒のこと)のような言い回しがよく使われる。
ギリシャ語:φάρμακο
読み方:ファルマコ・ファールマコ
ラテン文字:farmako
古代ギリシャ語 φάρμακον(薬, 毒薬)から。古代では治療薬と毒薬の両方を指したが, 今は「治療薬」の側が中心。近代にはフランス語 médecine, 英語 medicine からの意味借用が重なり, 「医薬品」「打開策」の意味でも使われる。
派生に φαρμάκι(毒, 苦さ, 辛さ), φαρμακώνω(毒を盛る, 苦しめる), φαρμακερός(毒のある)。同じ語族に φαρμακευτικός(薬の, 薬学の), φαρμακευτική(薬学)。合成語に φαρμακείο(薬局), φαρμακοποιός(薬剤師), φαρμακολογία(薬理学, 薬学), αντιφάρμακο(解毒剤, 対処薬)。
類義語の γιατρικό は「薬」の素朴な言い方。πανάκεια(万能薬)は理想化された「すべてを治す薬」の意味で区別される。
ギリシャ語:σχολείο
読み方:スホリオ・スホリーオ
ラテン文字:scholeio
古代ギリシャ語の σχολή(講義, 学びの場)から派生したヘレニズム期の σχολεῖον(学ぶ場所, 学校)に由来する文語的な形。近代にはフランス語の école やドイツ語の Schule に対応する語としても意味が整えられ, 現代の「学校」を表す語になった。
母音が続く並びを発音しやすく読む中で、別形 σχολειό(学校)も使われる。意味の中心は σχολείο と同じである。
学校に通う人は μαθητής(生徒、弟子)と呼ぶ。σχολείο が制度や場を指すのに対して、μαθητής はそこに通う人を指す。
主な意味は「学校」。子供や青少年を教育する機関そのもの、そこが入る校舎、そこで行われる授業や学校生活、さらに生徒と職員を含めた学校全体まで指す。比喩的には、人が生きる上で必要なことを身につける場も言う。
ギリシャ語:λεπτό
読み方:レプト・レプトー
ラテン文字:lepto
λεπτό は中世ギリシャ語の λεπτόν(細かいもの、小単位)を受け継いだ語で、現代では時間の「分」、ユーロや旧ドラクマの補助単位、角度の「分」に使われる。時間や角度を細かく区切る小単位として日常語にも専門語にもまたがっている。
ώρα(時間、時刻)は「1時間」や時計の時刻を表し、λεπτό はその ώρα を60に割った単位を表す。χρόνος(時間、時、期間、年、時制、タイム、拍)はより広い「時間」全体や長さを言えるが、λεπτό は数えて測る短い単位に使う。
角度では μοίρα(度)をさらに60に分けた単位を表す。口語では λεφτό(同語の口語綴り)と綴ることもあり、指小形 λεπτάκι / λεπτούλι(かわいく言う「ちょっと」「ちょっとだけ」)は「ちょっと待って」のような柔らかい言い方で使われる。
主な意味は「分」。そこから「ほんの短い時間」「セント硬貨の単位」「角度の分」へ広がる。日常会話では待ち時間や所要時間を表すほか、料金、携帯電話の無料通話分、黙祷、実況のような分刻みの進行でもよく使う。
ギリシャ語:ξινό
読み方:クシノ・クシノー
ラテン文字:xino
形容詞 ξινός(酸っぱい、すえた、気難しい)の中性単数形が名詞として用いられるようになったもの。
ξινό は、味覚では「酸味」を表す名詞として使われる。味を対比して言うときには、το γλυκό(甘味)、το πικρό(苦味)、το ξινό(酸味)、το αλμυρό(塩味)が並ぶ。
料理や製菓の文脈では、ξινό が κιτρικό οξύ(クエン酸)をくだけて指すことがある。ただし、物質名としての正式な言い方は κιτρικό οξύ(クエン酸)。
主な意味は味覚としての酸味や、口に残るすっぱい後味。そこから、料理まわりの口語ではクエン酸を指すこともある。
ギリシャ語:ταξίδι
読み方:タクシディ・タクシーディ
ラテン文字:taxidi
古代ギリシャ語の τάξις(整列、隊列)をもとにした指小形 ταξίδιον(遠征)がヘレニズム期に現れ、中世ギリシャ語で ταξίδι になり、現代ギリシャ語の ταξίδι に続く。もとは軍事的な遠征を表した語だったが、のちに一般的な「旅、旅行」を指すようになった。
προσκύνημα(礼拝、聖地、巡礼地)は宗教的・精神的な目的を持つ訪問を指し、ταξίδι より用途が限られる。ταξίδι は観光、出張、長旅、宇宙旅行まで含めて広く使える。
主な意味は、ある場所から別の場所へ移り、しばらくそこに滞在する旅や旅行。そこから、戻らない旅として θάνατος(死)をやわらかく言ったり、想像の中で夢や未来へ移る心の旅、さらに幻覚剤によるトリップも表す。指小形 ταξιδάκι(ちょっとした小旅行)は、軽い響きで使われる。
挨拶では καλό ταξίδι(よい旅を)と言い、船乗りには καλά ταξίδια(よい航海を)と言う。ταξίδι του μέλιτος(新婚旅行)は定番の言い方で、το μεγάλο ταξίδι(最後の旅)は死をぼかして表す。
ギリシャ語:ρούχο
読み方:ルホ・ルーホ
ラテン文字:roucho
ρούχο は中世ギリシャ語の ρούχον(布製品、衣類)に由来し、そのもとにはスラヴ語 ruho がある。もともとは布を裁って縫った品を広く指す語で、現代ギリシャ語でもその広がりを残している。
指小語 ρουχαλάκι(小さな服、赤ちゃんの服)と ρουχάκι(小さな服、赤ちゃんの服)は、どちらも小さな服や赤ちゃんの服を表す。
寝具や衣類のような縫製品全般を指せるが、日常語ではその中でも「服」「着るもの」の意味が中心になる。複数形 ρούχα(衣類一式、服)で衣類一式を言うことが多く、成句でもこの形がよく現れる。
成句では、着る物の有無から貧しさを言ったり、腹立ちや不機嫌さを表したりする。口語では έχει τα ρούχα της(月経中である)の形で、月経中であることを遠回しに言う表現にもなる。
ギリシャ語:χρώμα
読み方:フロマ・フローマ
ラテン文字:chroma
名詞 χρώς(肌, 表面)から派生した古代ギリシャ語の中性名詞 χρῶμα(肌, 肌の色, 色)を継承。「表面に現れる色」を核にする語で, 古代ギリシャ語の時点ですでに音楽の半音階(色合いを帯びた音階)の意味も持っていた。
派生語に χρωματικός(色の、半音階の)、χρωματιστός(色のついた、カラーの)、χρωματισμός(着色、彩色)、απόχρωση(色合い、色調)、αποχρωματίζω(脱色する)など。
英語 chroma(彩度)、chromatic(半音階の、色彩の)、chromatography(クロマトグラフィー)、monochrome(単色)、polychrome(多色)は同じ古代ギリシャ語 χρῶμα をもとにした学術語。chromosome(染色体)は χρῶμα と σῶμα(体)の合成で「染色で見える体」から、chromium / chrome(クロム)は化合物の鮮やかな色合いから命名された。
ギリシャ語:τραγούδημα
読み方:トゥラグディマ・トゥラグーディマ
ラテン文字:tragoudima
τραγούδι(歌)と同じ語族の名詞で、動詞 τραγουδώ(歌う)の行為をそのまま名詞化した形にあたる。語源の流れは τραγούδι のページでも触れている。
同じく歌う行為を表す並行形に τραγούδισμα(歌うこと、歌唱)がある。どちらも「歌」という作品より、歌うという動作や営みそのものを言うときに向く。
τραγούδημα(歌うこと、歌唱)は、歌うという行為そのものを表す語。個々の楽曲ではなく、歌っていること、歌唱という営みを指す。
ギリシャ語:τραγούδισμα
読み方:トゥラグディズマ・トゥラグーディズマ
ラテン文字:tragoudisma
τραγούδι(歌)と同じ語族の名詞で、動詞 τραγουδώ(歌う)の行為をそのまま名詞化した形にあたる。語源の流れは τραγούδι のページでも触れている。
同じく歌う行為を表す並行形に τραγούδημα(歌うこと、歌唱)がある。どちらも「歌」という作品より、歌うという動作や営みそのものを言うときに向く。
τραγούδισμα(歌うこと、歌唱)は、歌うという行為そのものを表す語。個々の楽曲ではなく、歌っていること、歌唱という営みを指す。
ギリシャ語:γλυκό
読み方:グリコ・グリコー
ラテン文字:glyko
形容詞 γλυκός(甘い)の中性形が名詞として用いられるようになったもの。中世ギリシャ語で、すでに「甘いもの、菓子」の意味で使われていた形が、そのまま現代ギリシャ語に残っている。
γλυκό は一個の菓子や一皿のデザートにも使えるが、ふつうは複数形 γλυκά(菓子類、甘いもの)で「お菓子」「甘いもの全般」をまとめて言うことが多い。家庭で作る焼き菓子から店で買うデザートまで、広い範囲を自然に包みこむ言い方になる。
γλυκά του ταψιού(オーブン焼きのシロップ菓子)は、天板や型に入れて焼く甘い菓子をまとめて言う表現。γλυκό του κουταλιού(果物や花の砂糖煮、スプーン菓子)は、βύσσινο(サワーチェリー)や κεράσι(サクランボ)などの果物、ときに τριαντάφυλλο(バラ)の花びらを砂糖で煮た保存菓子を指す。
主な意味は「菓子」「甘いもの」「デザート」。砂糖や甘味料を使った広い意味の甘い食べ物を指し、家で作る菓子、店で買う洋菓子、食後のデザート、来客に出す保存菓子まで含めて使える。
ギリシャ語:τραγούδι
読み方:トゥラグディ・トゥラグーディ
ラテン文字:tragoudi
τραγούδι(歌)は、中世ギリシャ語の τραγούδι(歌)に由来する語で、動詞 τραγουδώ(歌う)から作られた名詞にあたる。動作を表す動詞から、その結果として生まれるものを表す名詞ができた形で、現代ギリシャ語でもそのまま「歌」を表す基本語になっている。
主な意味は、旋律にのせて歌われる詞や歌そのもの。そこから、一定の特徴をもつ歌のまとまりや歌の流派、歌う技術としての歌唱、さらに鳥や水が立てる旋律的な音にも使われる。
指小形 τραγουδάκι(小さな歌、子供向けの歌)は、子供向けの小さな歌をやわらかく言う形として使われるほか、できの悪い取るに足らない歌を軽く見て言うこともある。
歌うという行為そのものを名詞で言うときには、τραγούδημα(歌うこと、歌唱)や τραγούδισμα(歌うこと、歌唱)のような形も使われる。τραγούδι が「歌」という作品や曲そのものを指すのに対して、こちらは行為としての歌唱に重心がある。
歌う人を言うときには、τραγουδιστής(歌手、歌い手)と、その女性形の τραγουδίστρια(歌手、歌い手)を使う。こちらは作品としての「歌」ではなく、それを歌う人に焦点が移った形である。
ギリシャ語:μοσχάρι
読み方:モスハリ・モスハーリ
ラテン文字:moschari
μοσχάρι(子牛、子牛肉、仔牛革)は、後期古代の μοσχάριον(子牛)に由来する。そこから語尾が縮まり、現代ギリシャ語の μοσχάρι になった。民間的・口語的な形に μοσκάρι(子牛)もある。
牛をまとめて言う総称には βοοειδή(牛類、家畜のウシ)がある。その中で μοσχάρι は αγελάδα(雌牛、乳牛)の子を指す基本語で、成獣になる前の段階を表す。成獣の去勢牛は βόδι(去勢牛)、繁殖用の雄は ταύρος(雄牛)という。近い語の δαμάλι(若い牛)は、子牛より育った若い牛を意識するときに使われる。
主な意味は子牛。そこから転じて、その肉や革も同じ語で表す。比喩では、太っていて動きの鈍い人、あるいは無神経で無作法だったり、意志が弱く愚かだったりする人を罵って言うこともある。
ギリシャ語:θέατρο
読み方:セアトゥロ・セーアトゥロ・テアトゥロ・テーアトゥロ
ラテン文字:theatro
古代ギリシャ語の θέατρον(見る場所、劇場)から。語根は θέα(眺め、見ること)で、もともとは「人が何かを観る場所」を表していた。
この語はラテン語の theatrum(劇場)にも入り、そこから英語の theatre、theater をはじめとするヨーロッパ諸語にも広がった。現代ギリシャ語の θέατρο は、そうした外来語ではなく、古い語形がそのまま近い形で保たれた語である。
θέατρο は、舞台で演じられる芸術としての演劇、公演そのもの、上演のための戯曲や作品群、建物としての劇場、さらに劇場組織や観客まで含めて言える。ひとつの語で「演じるもの」「上演そのもの」「それを受け止める場」まで覆うのが特徴である。
影絵芝居を指す θέατρο σκιών(影絵芝居)や、操り人形を使う θέατρο μαριονετών(マリオネット劇)のように、上演形式を添えて種類を言い分けることも多い。
主な意味は「演劇」「劇場」。そこから、公演、戯曲という文学ジャンル、特定の作者や国に属する劇作品群、劇団や劇場組織、客席全体の観客、さらに比喩的な「出来事が展開する現場」へと広がる。
成句では、人前で恥をさらす γίνομαι θέατρο(見世物になる、笑いものになる)や、わざとらしくふるまう παίζω θέατρο(芝居を打つ、しらばっくれる)のような言い方がある。近い言い方に γίνομαι θέαμα(見世物になる)があり、どちらも「人に見られる場」という核のイメージから生まれた表現である。
ギリシャ語:βόδι
読み方:ヴォディ・ヴォーディ
ラテン文字:vodi
βόδι(牛、去勢牛)は、古代ギリシャ語の βοῦς(牛)の指小形をもとにする後期古代の βοΐδιον(小さな牛、牛)に由来する。そこから語形が縮まり、現代ギリシャ語の βόδι になった。民間的・口語的な形に βόιδι(牛、去勢牛)もある。
牛をまとめて言う総称には βοοειδή(牛類、家畜のウシ)がある。その中で βόδι は広く牛を指すこともあるが、とくに去勢された雄牛を中心に表す。雌は αγελάδα(雌牛、乳牛)、繁殖用の雄は ταύρος(雄牛)、子は μοσχάρι(子牛)という。
βοδινός(牛の、牛肉の)は βόδι から出た形容詞で、中性形 το βοδινό(牛肉)は牛肉を指す。
主な意味は牛、去勢牛。動物としての牛を広く言うこともあるが、ふつうは肉を取るため、あるいは昔は農作業にも使うために去勢した雄牛を指す。複合表現では χολή βοδιού(牛胆汁、オックスゴール)のような専門的な言い方もある。比喩では、太っていて粗野だったり、愚かだったりする人を罵って言うこともある。
ギリシャ語:βοοειδή
読み方:ヴォオイディ・ヴォオイディー
ラテン文字:vooeidi
古代ギリシャ語の βοῦς(牛)と -ειδής(〜に似た)からなる βοοειδής(牛に似た)から。そこからヘレニズム期の古代ギリシャ語の βοοειδής(牛に似た)が現れ、現代ギリシャ語の βοοειδή ではその中性複数形が名詞として使われるようになった。
現代ギリシャ語では複数形 βοοειδή が基本で、この形が名詞として動物の一群をまとめて表す。動物学で「ウシ科」を指す意味は、もともとあったギリシャ語の語形に、学名 Bovidae やフランス語 bovidés(ウシ科動物)などに対応する近代の学術的な意味が重なって定着したと考えられる。
学名 Bovidae はラテン語の Bos(牛)に科名を表す -idae が付いた形で、Bos は古代ギリシャ語の βοῦς と同根語である。つまり、現代の βοοειδή は古代ギリシャ語由来の形そのものを土台にしつつ、近代の分類学の中で学術語として意味が整理された語だと言える。
この語は牛をまとめて言う総称として使われるが、個々の家畜を日常的に言い分けるときは別の語が立つ。雌牛や乳牛は αγελάδα(雌牛、乳牛)、去勢された雄は βόδι(去勢牛)、繁殖用の雄は ταύρος(雄牛)、子は μοσχάρι(子牛)という。
主な意味は牛類、家畜のウシ。畜産の文脈では、牛を一頭ずつではなく種類や群れとしてまとめていうときに使う。動物学では、より広くウシ科の動物全体を指す総称にもなる。
ギリシャ語:κεφάλι
読み方:ケファリ・ケファーリ
ラテン文字:kefali
古代ギリシャ語 κεφαλή(頭)を継承。ヘレニズム期の指小形 κεφάλιον(小さな頭)が中世ギリシャ語の κεφάλιν を経て, 語末の -ν が脱落して現代ギリシャ語の κεφάλι の形になった。
派生に κεφαλιά(頭突き, ヘディング), κεφαλάκι(小さな頭, 指小形), κεφάλα(大きな頭, 増大形), κεφάλας(大頭の人)。同じ語族に κεφάλαιο(資本, 章), κεφαλαίος(大文字の), κεφαλικός(頭の), κέφαλος(ボラ)。合成語に κεφαλόδεσμος(鉢巻), κεφαλοκλείδωμα(ヘッドロック), κεφαλόποδα(頭足類), περικεφαλαία(兜), πονοκέφαλος(頭痛)。
ギリシャ語:βοδινός
読み方:ヴォディノス・ヴォディノース
ラテン文字:vodinos
ギリシャ語:ψάρι
読み方:プサリ・プサーリ
ラテン文字:psari
古代ギリシャ語の ὄψον(調理された食べ物、おかず)から、ヘレニズム時代の縮小辞 ὀψάριον(小さな魚、魚の切り身)が生まれ、さらに中世ギリシャ語の ψάρι(魚)を経て現在の ψάρι(魚)に至った。
この語群は古い段階では、とくに魚料理を指すこともあった。
現在の形になった背景には、το οψάριον(その魚、小さな魚)のように冠詞と続けて発音される中で、語頭の母音 ο(オミクロン)が落ちたとされる音変化がある。
古代ギリシャ語由来の ιχθύς(魚)は、現代では魚座や魚類のような硬い表現に残る。一方、日常会話で「魚」を表す基本語は ψάρι である。
派生語には ψαράκι(小さな魚)、ψαρούκλα(大きな魚)、ψαράκας(間抜けな人、新兵のような未熟者をからかって言う語)がある。数量や釣果を表す関連語に ψαριά(漁獲、漁獲量)がある。
主な意味は、水中に生息する脊椎動物としての「魚」。食材としての魚も同じ語で表す。比喩では沈黙や環境へのなじみにくさを表すことがあり、俗語では騙されやすい人や新兵、無口な人、歌の下手な人を指すこともある。
ギリシャ語:ρόδο
読み方:ロド・ロード
ラテン文字:rodo
古代ギリシャ語の ῥόδον(バラ)から。
現代ギリシャ語では、日常的な「バラ」は τριαντάφυλλο(バラ)で表すのが一般的で、ρόδο(バラ)は文語的、文学的な響きをもつ語として使われる。
ρόδο(バラ)からは ροζ(ピンク)といった語も派生している。主な意味はバラの花で、美しさや若々しさの象徴として現れることもある。
主に文語的、文学的な表現でバラを指す語。
ギリシャ語:κίνημα
読み方:キニマ・キーニマ
ラテン文字:kinima
動詞 κινέω(動かす)から派生した古代ギリシャ語の中性名詞 κίνημα(動き, 運動)を継承。「社会運動」の用法はフランス語 mouvement からの訳語借用。英語 cinema は κίνημα と γράφω(書く)から作られた κινηματογράφος(映画機)をもとにした語。
関連語に κίνηση(動き、動作)、κινητικός(運動の)、κινηματογράφος(映画)。
ギリシャ語:χείλος
読み方:ヒロス・ヒーロス
ラテン文字:cheilos
古代ギリシャ語の χεῖλος(唇、縁、くちばし、岸)に由来。さらなる起源は確かでない。日常的な同義語に χείλι(唇)がある。
派生語に χειλικός(唇の)、χειλορραφία(口唇縫合)、χειλοσχιστία(口唇裂)、音声学の χειλοδοντικός(唇歯音)、χειλοϋπερωικός(唇軟口蓋音)など、医学・音声学の用語を多く作る語根。
英語 cheilitis(口唇炎)、cheiloplasty(口唇形成術)、cheiloschisis(口唇裂)も同じ古代ギリシャ語 χεῖλος をもとにした語。
ギリシャ語:παιχνίδι
読み方:ペフニディ・ペフニーディ
ラテン文字:paichnidi
中世ギリシャ語の παιγνίδι(おもちゃ、遊び、試合、駆け引き)に由来する。現代ギリシャ語では発音に沿った綴りとして παιχνίδι(おもちゃ、遊び、試合、駆け引き)が標準形になり、古い形を保った παιγνίδι(おもちゃ、遊び、試合、駆け引き)もまれに口語で見られる。
指小語の παιχνιδάκι(小さなおもちゃ、たやすいこと)は、小さなおもちゃの意味でも、何かがたやすいことの意味でも使われる。複合表現では ηλεκτρονικά παιχνίδια(電子ゲーム)や παιχνίδι ρόλων(ロールプレイ)のように、英語を受けた言い方も定着している。
子供向けのおもちゃや遊具、ルールのある遊びやゲーム、スポーツの試合が基本の意味。そこから、誰かに振り回される立場、裏の駆け引き、光のゆらめきまで広がる。遊びやゲームでは参加者を παίκτης(プレーヤー、賭け事をする人、選手)と言う。
ギリシャ語:πρόσωπο
読み方:プロソポ・プローソポ
ラテン文字:prosopo
古代ギリシャ語の πρόσωπον(顔、人、前面)から。
現代ギリシャ語の「人物」「登場人物」「自然人・法人」のような抽象的な意味には、ヘレニズム期以来の用法を文語的に引き継いだ面がある。とくに「人」まわりの意味ではフランス語 personne や personnage、「外観」の意味ではフランス語 face の影響も加わっている。
口語で「表」「正面」を表す使い方には、φάτσα(顔つき、面)に引かれた意味の広がりも見られる。
主な意味は「顔」だが、そこから「人物」「本性や身元」「面目」「法律上の主体」「物語の登場人物」「文法上の人称」「物事の様相や外観」へと広がっている。具体的な顔つきから抽象的な人格や表れ方まで、一つの語で大きくカバーする語である。
表現では κατά πρόσωπο(面と向かって)や πρόσωπο με πρόσωπο(顔を合わせて)がよく使われる。γη(大地)や θεός(神)と結びついた成句もあり、文字どおりの「顔」から離れて、対面性や面目、消息の有無まで表す。
ギリシャ語:φελί
読み方:フェリ・フェリー
ラテン文字:feli
ギリシャ語:αγγούρι
読み方:アングリ・アングーリ
ラテン文字:angouri
古代ギリシャ語 ἄγγουρον の指小形 ἀγγούριον(キュウリ)を経て, 中世ギリシャ語の αγγούρι を継承。ἄγγουρον 自体はアラビア語 ʾājurr を介した借用で, アラム語, アッカド語, シュメール語まで遡る。
派生に αγγουράκι(小キュウリ), αγγουριά(キュウリの木), αγγουρόσπορος(キュウリの種), αγγουρόσουπα(キュウリのスープ), αγγουρόφλουδα(キュウリの皮), αγγουροσαλάτα(キュウリのサラダ), αγριάγγουρο(野生のキュウリ), πικράγγουρο(苦いキュウリ)。
ギリシャ語:φρούτο
読み方:フルト・フルート
ラテン文字:frouto
φρούτο(果物)はイタリア語の frutto(果物)から入った借用語。現代ギリシャ語では、食べ物としての果物を日常的に言うときの基本語として定着している。
καρπός(果実、実)が植物学的な果実や比喩的な成果まで広く指すのに対して、φρούτο は市場や食卓に並ぶ「果物」に寄った言い方として使いやすい。複数形の φρούτα(果物類、複数の果物)で、旬の果物、盛り合わせ、果物全般をまとめて言うことが多い。
複合語では、φρούτα της θάλασσας(シーフード、食用の貝や甲殻類)、φρούτο του πάθους(パッションフルーツ)、μύγα των φρούτων / του ξιδιού(ショウジョウバエ、果実バエ)のような言い方がある。θάλασσα(海)を含むこの表現は、字面では「海の果物」にあたる。指小語の φρουτάκι(小さな果物)は、小さな果物や親しみを込めた言い方として使える。
主な意味は、甘みのある食用の果物。とくに複数形 φρούτα で、季節ごとの果物や加工前の生の果物を広く指す。そこから比喩的には、癖の強い人や妙な代物を皮肉って言うこともある。
ギリシャ語:πεπόνι
読み方:ペポニ・ペポーニ
ラテン文字:peponi
中世ギリシャ語の πεπόνι(メロン)は、後期ギリシャ語の πεπόνιον(メロン)にさかのぼる。現代ギリシャ語でもほぼ同じ形で受け継がれ、果物のメロンを指す基本語として使われている。
英語の melon(メロン)はこの語そのものから出た形ではないが、古代ギリシャ語の μηλοπέπων(果物のようなウリ)をラテン語経由で受け継いだ語で、語源的には近いところにある。
果実がなる植物は πεπονιά(メロンの株、植物体)という。夏の果物としては καρπούζι(スイカ)と並べて言うことが多い。
主な意味はメロン。丸い、またはやや楕円形で、黄みや緑みのある皮を持ち、甘く水分の多い果肉と小さな種を中に持つ果実を指す。比喩では κεφάλι σαν πεπόνι(メロンのような頭)と言って、頭が細長いことを表す。
ギリシャ語:τετράγωνο
読み方:テトゥラゴノ・テトゥラーゴノ
ラテン文字:tetragono
古代ギリシャ語の τετράγωνον(正方形、四角いもの)から。語の形としては、数を表す τετρα-(四)と、γωνία(角)に対応する要素から成り、文字どおりには「四つの角をもつもの」という造りである。
現代ギリシャ語でも、図形としての「正方形」の意味はこの古い語からそのまま続いている。一方、数学で αριθμός στο τετράγωνο(数の二乗)のように使う意味は、フランス語の carré(四角形、二乗)に対応する近代的な用法である。さらに οικοδομικό τετράγωνο(街区、街の一区画)は、英語の square に対応する複合表現として使われる。
いちばん近い基本語は γωνία(角、角度)。正方形は四つの直角をもつ図形なので、語の芯もここにつながっている。図形としては τρίγωνο(三角形)と並べて覚えやすい。指小語の τετραγωνάκι(小さな四角、マス目)もよく使われ、布地の小さな四角模様、クロスワードのマス、チェック欄の小さな箱のような場面で出てくる。
主な意味は幾何学の「正方形」。そこから、正方形のマス目、数の二乗、道路に囲まれた街の一区画にも広がる。
ギリシャ語:τρίγωνο
読み方:トゥリゴノ・トゥリーゴノ
ラテン文字:trigono
古代ギリシャ語の τρίγωνον(三角形、三角の)から。語の形としては、数を表す τρι-(三)と、γωνία(角)と同じ系統の要素が合わさったもので、文字どおりには「三つの角をもつもの」という造りになっている。
現代ギリシャ語でも、幾何学の「三角形」という中心の意味はこの古い語からそのまま続いている。フランス語や英語の triangle は意味も形もよく対応するが、τρίγωνο 自体はそれらから来た語ではなく、古代ギリシャ語から受け継がれた語である。近代の複合表現には、フランス語や英語の triangle と重なる言い方も見られる。
いちばん近い基本語は γωνία(角、角度)。三角形は三つの角をもつ図形なので、語の意味の芯もここにつながっている。指小語の τριγωνάκι(小さな三角形)もあるが、これは小さな三角形や三角形の小物を指すときの軽い形で、通常は独立した説明を立てるほどではない。
主な意味は幾何学の「三角形」。そこから、三角形の物、体の部位名や星座名、町の一角の呼び名、菓子、楽器、角度を測る道具にも広がる。
ギリシャ語:ροδάκινο
読み方:ロダキノ・ロダーキノ
ラテン文字:rodakino
ροδάκινο(モモ、桃)は、ラテン語 duracinum(桃)を経て、中世ギリシャ語 ροδάκινον(モモ)から現代ギリシャ語に続いた語である。現在は、やわらかい果肉を持つ桃の実を言う基本語として定着している。
実は ροδάκινο、木は ροδακινιά(モモの木) と言い分ける。果実名と木の名がきれいに対応する型である。
意味はモモ、桃。生の果実にも、缶詰やコンポートにする桃にも使える。
ギリシャ語:σχήμα
読み方:スヒマ・スヒーマ
ラテン文字:schima
古代ギリシャ語の σχῆμα(形, 姿, ふるまい)に由来。ἔχω(持つ)のアオリスト語幹 σχ- に結果を表す -μα を付けて作られた語で, 持ち方・構えから形や姿へと意味が定まった。印刷の版型や書式を指す用法は, ドイツ語 Format の意味配置と重なって整った。図案や編成を指す用法は, フランス語 forme からの意味借用で加わった。インターネットの URL スキームやデータベースのスキーマは, 英語 scheme, schema を経由した専門用法。
英語 scheme, schema, フランス語 schéma, ドイツ語 Schema はラテン語 schēma を経て同じ語源。派生に σχηματίζω(形作る), σχηματισμός(形成, 編成), σχηματικός(概略の), μετασχηματίζω(変形する), μετασχηματιστής(変圧器)。
修道者の僧衣や位階を指す用法は, 中世ギリシャ語の σχῆμα を経て続いてきた宗教の語。古代の「姿, 身なり」から, 宗教生活における定まった身なりへと特殊化した。
ギリシャ語:κερασί
読み方:ケラシ・ケラシー
ラテン文字:kerasi
κεράσι(サクランボ)に由来する口語の不変化語。サクランボのような赤みを帯びた色を表し、形容詞としても名詞としても使われる。
同じサクランボ色を表す語に κερασένιος がある。κερασί は不変化語として形容詞にも名詞にも使えるのに対し、κερασένιος は語尾変化する形容詞。
比較対象として βυσσινί、κεραμιδί、μπορντό が挙がる。
口語で、サクランボのような赤みを帯びた色合いを表す。形容詞として名詞の後ろに置かれ、名詞では色そのものを指す。
ギリシャ語:κριάρι
読み方:クリアリ・クリアーリ
ラテン文字:kriari
中世ギリシャ語の κριάρι(雄羊。語末子音を伴う形もある)に由来する語。現代ギリシャ語では、雄羊を表す基本語として定着している。
羊全般の基本語は πρόβατο(羊)。そのうち雄を特に言うときが κριάρι(雄羊)、雌は προβατίνα(雌羊)、子は αρνί(子羊)で、さらに小ささや親しみを込めた形に αρνάκι(小さな子羊、乳飲み仔羊)がある。
同義語に κριός(雄羊)がある。日常語では κριάρι が普通で、κριός はやや文語的な形として現れる。先頭を大文字にした Κριός(牡羊座、おひつじ座)は、星座そのものの名。口語で、その星座の人を κριάρι と呼ぶ用法がここから生まれている。
近い語として τράγος(雄ヤギ)もあり、こちらは羊ではなくヤギの雄を指すので区別される。
主な意味は雄羊、牡羊。角のある成獣の雄を指す。口語では、星占いでおひつじ座の人を指すのにも使われる。星座名そのものは Κριός という。指小語の κριαράκι(小さな雄羊)はその小さい形を表す。
ギリシャ語:πρόβατο
読み方:プロヴァト・プローヴァト
ラテン文字:provato
動詞 προβαίνω(進む, 歩み出る)から派生した古代ギリシャ語の πρόβατον(羊)に由来。
現代ギリシャ語では、羊全般の基本語が πρόβατο で、雄を特に言うときは κριάρι、雌を特に言うときは προβατίνα、子を言うときは αρνί を使う。日常語では αρνάκι も、小さな子羊や料理の名前としてよく現れる。
主な意味は羊、ヒツジ。家畜として群れで飼われ、μαλλί、γάλα、肉のために飼育される。比喩では、自分で考えず集団に従う人や、気弱で害のない人を指すこともある。
成句では、集団の中で浮いて受け入れられにくい人を μαύρο πρόβατο と言う。英語の black sheep に近い使い方で、「一家の厄介者」のような響きがある。
ギリシャ語:κερασένιο
読み方:ケラセニョ・ケラセーニョ
ラテン文字:kerasenio
形容詞 κερασένιος(サクランボ色の、サクランボ風味の)の中性形が名詞として用いられるようになったもの。
サクランボ色そのものを指す。
ギリシャ語:αρνί
読み方:アルニ・アルニー
ラテン文字:arni
ギリシャ語:κεράσι
読み方:ケラシ・ケラーシ
ラテン文字:kerasi
ヘレニズム期の κεράσιον(サクランボ)から、中世ギリシャ語の κεράσι(ν)(サクランボ)を経て現代ギリシャ語の κεράσι になった。
果実の木は κερασιά。指小語 κερασάκι は小さなサクランボを表すほか、サクランボの γλυκό του κουταλιού、つまり果実をシロップで煮たスプーンスイーツも指す。
主な意味はサクランボで、春に熟す小ぶりで丸い果実を指す。つやのある赤い皮と、甘く香りのよい果肉のイメージから、赤くふっくらした唇をたとえる言い方にも使われる。
ことわざでは、大きな話や大きな約束をすぐ信じず慎重に受け取る態度を表す。指小語 κερασάκι を使った定型表現では、なくてもよい余計なおまけを指す言い方がある。
ギリシャ語:μαχαίρι
読み方:マヘリ・マヘーリ
ラテン文字:maxairi
古代ギリシャ語 μάχαιρα(刃物, 刀剣)の指小形 μαχαίριον(小さな刃物)から。中世ギリシャ語の μαχαίρι(ν) を経て, 語末の -ν が脱落して現代ギリシャ語の μαχαίρι の形になった。
派生に μαχαιράκι(小さなナイフ, 指小形), μαχαιράς(ナイフ使い), μαχαιρένιος(ナイフの, 鋭い), μαχαιριά(刺し傷, 一撃), μαχαίρωμα(刺すこと), μαχαιρώνω(刺す)。合成語に μαχαιροπίρουνο(ナイフとフォーク, カトラリー), μαχαιροποιός(ナイフ職人), μαχαιροβγάλτης(刃物を抜く荒くれ者), τραπεζομάχαιρο(食卓ナイフ), κοντομάχαιρο(短剣), χασαπομάχαιρο(肉切り包丁)。
σουγιάς(折りたたみ式の小刀), νυστέρι(医療用メス), λεπίδι(刃, 刃先), εγχειρίδιο(短剣)はそれぞれ特定の刃物を指す。
ギリシャ語:δαχτυλίδι
読み方:ダフティリディ・ダフティリーディ
ラテン文字:dachtylidi
古代ギリシャ語の δακτύλιος(指輪)をもとにした、ヘレニズム期の指小形 δακτυλίδιον(小さな指輪)から来た語。中世ギリシャ語の δαχτυλίδι(ον)(指輪)を経て、現代ギリシャ語の δαχτυλίδι になった。
音韻面では、この過程で子音連続 [kt] が [xt] に変わっている。形のうえでは小ささを表す指小形がもとだが、現代ギリシャ語ではふつうに「指輪」を表す日常語として定着している。
基本の意味は、指にはめる κόσμημα としての指輪。そこから、輪の形をした部品や帯のようなものにも広がり、ピストンリング、シガーバンド、καπνός の輪、輪のようにくるんとした髪を言うのにも使われる。
ギリシャ語:γράμμα
読み方:グラマ・グラーマ
ラテン文字:gramma
古代ギリシャ語の γράμμα(書かれたもの、文字)を継承。動詞 γράφω(書く)に -μα を付けた名詞。古代から、一つの文字、書類や手紙、複数形 γράμματα で「書物」「読み書き」「学問」まで幅広く指した。
同じ語根から γραμμή(線)。派生語に γραμματέας(秘書), γραμματική(文法), γραμμάριο(グラム、重量単位)。英語 grammar はこの γραμματική(文字を扱う技術)からラテン語・古フランス語を経て入った語で、telegram, diagram, program, epigram のような -gram の付く語もすべて同じ γράμμα から。
ギリシャ語:μυαλό
読み方:ミアロ・ミアロー
ラテン文字:myalo
古代ギリシャ語 μῠελός(骨髄、髄)が起源。もとは骨の中の「髄」全般を指していたが、ヘレニズム期に μυαλός(髄)の形が生まれ、中世ギリシャ語では μυαλόν(脳)と中性化した。これは κεφάλι(頭)などの中性名詞の語尾に引かれたものとされる。現代ギリシャ語では μυαλό の形で定着している。
やがて頭蓋骨の中にある「脳」を主に指すようになり、さらに「知性」や「考え方」の意味も表すようになった。英語の myeloid(骨髄性の)や myelin(ミエリン)と語源を共有する。
類義語の νους(精神、理性)に比べ、μυαλό はより日常的で具象的な表現に用いられる。
主な意味は物質としての「脳」で、食用の動物の脳も指す。そこから思考の拠点としての「知性」「精神」、さらに「思慮」「分別」「正気」も表す。
ギリシャ語:στολίδι
読み方:ストリディ・ストリーディ
ラテン文字:stolidi
古代ギリシャ語の στολή(装束、装備)から派生した動詞 στολίζω(飾る)に、接尾辞 -ίδι が付いた形。英語の stole(ストール)は στολή がラテン語 stola を経て借用されたもので、stall(失速する、もとは場所を整える意)も同じ語源から来ている。
古代ギリシャ語には形の似た στολίδιον(短いチュニック)という語があるが、現代の στολίδι とは意味のつながりがない。
「飾り」を意味する一般的な語で、装飾品から装身具までを指す。文脈により芸術的価値のない小物、あるいは派手な装身具というニュアンスを含む。比喩的には、優れた才能や高い質を備えた人や物を称えるのにも使われる。
ギリシャ語:σκουλαρίκι
読み方:スクラリキ・スクラリーキ
ラテン文字:skoulariki
中世ギリシャ語の σκουλαρίκιον(skularikion)から。これはさらに、宮廷警護兵を指す σχολάριος(scholarios)に指小辞がついた σχολαρίκιον(skolarikion)に由来する。当時、宮廷警護兵が耳飾りを着用する習慣があったことから、この名がついたとされる。
音韻の変化としては、[sx] から [sk] への異化(σχολ- → σκολα-)、および軟口蓋音 [k] と流音 [l] の影響による母音の変化([o] → [u])を経て現在の σκουλαρίκι となった。
σχολάριος は、後期ラテン語で「宮廷の近衛隊」を意味した schola から派生した scholaris(近衛兵)を起源とする。この schola のさらに古い源流は、古代ギリシャ語で「閑暇、講義」を意味した σχολή(scholē)であり、英語の school(学校)や scholar(学者)とも語源を共有している。
指小辞がさらについた σκουλαρικάκι(小さなイヤリング)という派生語もある。
花の形が垂れ下がったイヤリングに似ることから、σκουλαρικιά(フクシア)は σκουλαρίκι に植物を表す接尾辞 -ιά がついてできた語で、ギリシャ語ではこの通称が定着している。
主な意味は「耳に着用する装身具」で、イヤリングやピアスを指す。
ギリシャ語:βραχιόλι
読み方:ヴラヒョリ・ヴラヒョーリ
ラテン文字:vrachioli
ラテン語の bracchiale(腕の装飾品)に由来する。ヘレニズム期に βραχιάλιον としてギリシャ語に入り、中世ギリシャ語で βραχιόλιον を経て、現在の形になった。途中の母音の変化(a → o)は、同じく「腕の装飾品」を意味する βραχιόνιον の影響とされる。
βραχίονας(腕)に関連する語であり、英語の bracelet(ブレスレット)や brace(支え具)とも起源を共有する。いずれも古代ギリシャ語の βραχίων(腕)からラテン語 bracchium(腕)を経た派生にあたる。
装飾品としてのブレスレット(腕輪)を指すのが基本だが、工業用の金属リングや、口語で手錠の俗称としても使われる。
χρυσό βραχιόλι(金のブレスレット)は、学歴による女性の経済的自立を象徴する成句としても使われる。
ギリシャ語:κτίριο
読み方:クティリオ・クティーリオ
ラテン文字:ktirio
古代ギリシャ語の οἰκητήριον(住居、住む場所)が起源。οἶκος(家)から派生した動詞 οἰκέω(住む)に、場所を表す接尾辞 -τήριον がついた語で、もとは「人が住む場所」を意味していた。
中世ギリシャ語の時代に、「建てる、築く」を意味する動詞 κτίζω に似ているとして結びつけられ、κτίριον という形に変わった。この現象は語源俗解と呼ばれ、本来の語源とは異なるが音の似た語に引きずられて語形が変化するもの。κτίζω から実際に派生した κτίσμα(建造物)とは成り立ちが異なるが、現代では意味の近い語として並んでいる。κτίριον の語末の -ν が落ちて、現在の κτίριο になった。
語源にある οἶκος は英語にも痕跡を残しており、economy(経済。もとは「家の管理」の意)や ecology(生態学。もとは「住む環境についての学問」)の eco- がこれにあたる。
κτίριο は英語の structure(構造物)や edifice(大建築物)にあたり、単なる「家」を指す σπίτι よりも、公共施設やオフィスビルなど規模の大きな建築物を指すことが多い。近い語に、より抽象的な「建造物」を意味する κτίσμα や、住居としての「住宅」を指す κατοικία がある。
居住、仕事、娯楽など、さまざまな目的で建てられた建物やビルを意味する。
ギリシャ語:αίνιγμα
読み方:エニグマ・エーニグマ
ラテン文字:ainigma
ギリシャ語:προάστιο
読み方:プロアスティオ・プロアースティオ
ラテン文字:proastio
古代ギリシャ語の προάστιον(郊外)から。これは「〜の前、外」を意味する接頭辞 προ- と、「都市、町」を意味する ἄστυ(アスチュ)が組み合わさった語で、「都市の前面にあるもの」を表していた。
英語の suburb は、ラテン語の sub(下に)と urbs(都市)から成り、「都市の下(周辺)」という構成になっている。一方、ギリシャ語の προάστιο は「都市の前面」という構成で、同じ「郊外」を指しながら空間の捉え方が異なる。
類義語に περίχωρα(ペリホラ、周辺地域)があるが、こちらはより広い範囲を指すことが多い。προάστιο は大都市に隣接し、居住などの都市機能の一部を担う特定の地区や集落を指す。
主な意味は「郊外」で、大都市の外側に位置しながら非常に近い距離にある居住区を表す。
ギリシャ語:ζαρκάδι
読み方:ザルカディ・ザルカーディ
ラテン文字:zarkadi
古代ギリシャ語の ζορκάς(ガゼルの一種)に由来する。ζορκάς は δορκάς(ガゼル)の別形で、ヘレニズム時代から中世にかけて指小辞形 ζορκάδιον が生まれた。その後、母音調和により o が a に変わり、現代ギリシャ語の ζαρκάδι となった。
英語の dorcas(ガゼルの一種)も同じ古代ギリシャ語の δορκάς に由来する。
ζαρκάδι はノロジカを指す語で、シカ全般を表す ελάφι とは区別される。ελάφι がシカ科の動物を広く指すのに対し、ζαρκάδι はノロジカに限定される。ほかにも πλατόνι(ダマジカ)、τάρανδος(トナカイ)など、シカの仲間にはそれぞれ固有の語がある。
森に生息するシカの仲間で、優雅な身のこなしと足の速さで知られる。「ζαρκάδι のように走る」という言い回しがあり、非常に速いことのたとえに使われる。
ギリシャ語:κρεβάτι
読み方:クレヴァティ・クレヴァーティ
ラテン文字:krevati
古代ギリシャ語の κράββατος(粗末な寝床)に由来する。中世ギリシャ語の κρεβάτιον(κράββατος の指小形)を経て、現代ギリシャ語の一般的な「ベッド」を指す語となった。
類義語に κλίνη(寝台、病床)がある。κλίνη はより格式まった表現で、医療や文章語の文脈に出やすい。一方、κρεβάτι は日常のベッドを指すふつうの語として広く使われる。
主な意味は、人が眠ったり休息したりするためのベッドや寝床。そこから、病院やホテルで人を収容できる単位としての「ベッド、床数」も指す。結婚式の前に、新婚夫婦のベッドへ客人がお金を投げ入れる伝統儀式を指す用法もある。
指小語 κρεβατάκι は「小さなベッド」を表す。
ギリシャ語:άλγος
読み方:アルゴス・アールゴス
ラテン文字:algos
古代ギリシャ語の ἄλγος(苦痛)から。πόνος が痛み全般を広く表すのに対し、άλγος は医学的な文脈や深い精神的苦痛に使われる。医学用語の接尾辞 -αλγία(νευραλγία=神経痛など)はこの語から。英語 nostalgia も νόστος(帰郷)と ἄλγος をもとにした語。
ギリシャ語:άστυ
読み方:アスティ・アースティ
ラテン文字:asty
古代ギリシャ語の ἄστυ(都市、市街)に由来。城壁に囲まれた居住区を指し、宗教的・政治的な中枢であるアクロポリスや、国家としての都市 πόλη(古代 πόλις)と対比して使われた。
派生語に αστικός(都市の、民事の。古代 ἀστικός を継承)、αστυνομία(警察。古代 ἀστυνόμος「都市の法を司る役人」に由来し、ἄστυ と νόμος の結合による語)、αστυνόμος(警官)、αστυφύλακας(警官)など。
印欧諸語の同源語にサンスクリット vāstu(住居の地)、ラテン語 Vesta(かまどを守る女神)、トカラ語 waṣt / ost(家)があり、共通して「住みか、住む場所」を表す。
ギリシャ語:χωριό
読み方:ホリオ・ホリオー
ラテン文字:chorio
古代ギリシャ語 χωρίον(小さな場所, 区画)を経て, 中世ギリシャ語の χωριόν を継承。χωρίον は χώρα(場所, 土地, 国)の指小形で, 古代の「小さな場所」からヘレニズム期に「都市に対する農村地域」の意味で使われ, 中世以降に「村」として定着した。
文章の「一節」を指す χωρίο は同じ古代 χωρίον を改めて取り入れた形で, アクセント位置で区別される。
派生に χωριουδάκι(小さな村, 可愛い村), χωριανός(同郷の人)。同じ語族に χωριάτης(村人), χωρικός(村人, 農民), χωριάτικος(村の, 田舎風の), χωριατιά(野暮な振る舞い)。合成語に χωριατόσπιτο(田舎の家), χωριατόπαιδο(村の子)。接尾 -χώρι は βλαχοχώρι(ヴラフ人の村), κεφαλοχώρι(中心的な村)など多くの地名で使われる。
ギリシャ語:χωρίο
読み方:ホリオ・ホリーオ
ラテン文字:chorio
古代ギリシャ語 χωρίον(場所, 箇所, 一節)に由来。χώρος(場所, 空間)の指小形で, 古代では「小さな場所」から「要塞地」「農地」「文章の箇所」まで指した。
χωριό(村)は日常の用法で χωρίον を受け継いだ形, χωρίο は文章の「一節」の意味で古代の形を改めて取り入れた形で, アクセント位置で区別される。
同じ語族に χώρα(国, 地域), χώρος(場所, 空間), χωρικός(土地の, 村の), χωροταξία(国土計画), χωρίζω(分ける, 隔てる)。
ギリシャ語:επίθετο
読み方:エピセト・エピーセト・エピテト・エピーテト
ラテン文字:epitheto
古代ギリシャ語の ἐπίθετον(付加されたもの)から。ἐπί-(〜に)+ τίθημι(置く)からなる ἐπιτίθημι(添える、加える)の形容詞 ἐπίθετος の中性形が名詞化した語。τίθημι は英語 theme(主題)、thesis(テーゼ)、hypothesis(仮説)、thesaurus(類語辞典)の語源でもある。
英語 epithet(形容語句)はこの ἐπίθετον から。英語 adjective はラテン語 adiectīvum(「投げ加えられた」)で、ἐπίθετον の翻訳借用。どちらも名詞に「添えられる語」の発想を名称にしている。
「姓」の意味は、下の名前に添えられる家族名として現代ギリシャ語で定着した用法。派生語に επίθεση(付加、攻撃)、επιθετικός(形容詞的な、攻撃的な)など。関連語に όνομα(名前)、επώνυμο(姓、同じく ἐπί- を用いる)、ουσιαστικό(名詞)など。
ギリシャ語:στόμα
読み方:ストマ・ストーマ
ラテン文字:stoma
古代ギリシャ語の στόμα(口)を継承。印欧祖語で「口」を表す語根に続き, アヴェスタ語 staman(犬の口), ウェールズ語 safn(口, 顎), ヒッタイト語 ištāman-(耳)と同じ語族の仲間。「扶養すべき人」「話す人」「くちばし」「開口部」「気孔」まで含む使い分けは, フランス語 bouche, 英語 mouth の意味配置と重なって整った。
派生に指小形 στοματάκι(小さな口), 増大形 στοματάρα(大きな口), 形容詞 στοματικός(口の, 経口の)。合成語に στοματίτιδα(口内炎), στοματολογία(口腔医学), ξηροστομία(口の渇き), αθυρόστομος(口の悪い), εκστομίζω(口に出す, 言い放つ)。
ギリシャ語:είδωλο
読み方:イドロ・イードロ
ラテン文字:eidolo
古代ギリシャ語の εἴδωλον(像、形、幻、神像)から。είδος(形)に指小の -ωλον が付いた語。「見る、知る」の語根に連なり、ιδέα(考え、観念)や είδηση(ニュース)とは兄弟語。
ラテン語 īdōlum を経て英語 idol(偶像)、その複数形から idola(イドラ、偏見)が生まれ、eidolon(幻影)、pareidolia(パレイドリア、無意味なものに顔や形を見る現象)も同じ語源。
派生語・関連語に ειδωλολατρία(偶像崇拝)、ειδώλιο(小像、フィギュア)、ξόανο(古代の木製神像)、ίνδαλμα(憧れの的、典型)など。
ギリシャ語:δόντι
読み方:ドディ・ドーディ・ドンディ・ドーンディ
ラテン文字:donti
古代ギリシャ語の ὀδούς(歯)の語幹 ὀδοντ- から派生した中世ギリシャ語 δόντι(ο)ν(歯)から。語頭の弱い音が落ち、現代ギリシャ語では δόντι の形になった。英語の tooth やラテン語の dens(歯)も、同じ「歯」を表す印欧系の語源を共有している。
派生語に δοντάκι(小さい歯)と δοντάρα(大きな歯)がある。δοντάκι は小さな歯のほか、ニンニクの小さな1片を表すときにも使う。
主な意味は、人間や一部の脊椎動物の口の中に生える「歯」。そこから、櫛、のこぎり、歯車などにある歯のような細長い突起、さらにニンニクの1片も指す。
ギリシャ語:φυλαχτό
読み方:フィラフト・フィラフトー
ラテン文字:filachto
動詞 φυλάσσω(守る、現代ギリシャ語では φυλάω)から派生した語。ヘレニズム時代に形容詞 φυλακτός(守られるべき、保存可能な)が生まれ、その中性形が名詞として独立した。中世に「守られるべきもの」から「身につけて守ってくれるもの」へと意味が移り、魔除けやお守りを指すようになった。
音韻面では、[kt] が [xt] へ摩擦音化して現代ギリシャ語の φυλαχτό になったが、古典回帰的な影響から元の綴り φυλακτό も併用される。
英語の prophylaxis(予防法)にも、同じ φύλαξ(番人)という語源が含まれている。
物理的な守護と精神的な支えの両方を意味する。魔除けやお守りとしての用法が中心で、比喩的に心の拠り所も表す。幸運をもたらす γούρι(縁起物)とは対照的に、災いから守るものを指す。
ギリシャ語:υπερφυσικός
読み方:イペルフィシコス・イペルフィシコース
ラテン文字:yperfysikos
υπερ-(超えて)と φυσικός(自然の)の合成語。現代ギリシャ語において、フランス語の surnaturel(超自然的な)の訳語として定着した。ラテン語の super- とギリシャ語の υπερ- はどちらも「上に、超えて」を意味し、同じ語源から分かれた語で、英語の supernatural とも接頭辞と語の構造が一致している。
類義語に υπερκόσμιος(この世ならぬ、超俗的な)がある。並外れた規模の大きさを指す場合には τεράστιος(巨大な)も使われる。
同じ -φυσικός を含む語に μεταφυσικός(形而上学的な)や παραφυσικός(超心理学的な、パラノーマルな)がある。
自然法則を超えた事象や、科学的に説明不可能な出来事を表す。中性単数形 το υπερφυσικό は名詞として超自然的なものを指す。比喩的に、並外れた大きさや途方もない規模にも使われる。
ギリシャ語:μυστήριο
読み方:ミスティリオ・ミスティーリオ
ラテン文字:mystirio
古代ギリシャ語の動詞 μύω(閉じる)から派生した μυστήριον(儀式、秘密の教え)が起源。μύω は「口を閉じる」「目を閉じる」の意で、ここから μυστήριον は選ばれた者だけに明かされる事柄を指すようになった。ヘレニズム期以降、キリスト教の「秘跡」としての語義が定着し、現代ギリシャ語の μυστήριο に至る。
英語の mystery もこの語に由来する。
現代ギリシャ語では、理屈では説明できない不思議な現象や推理小説的な「謎」の意味で日常的に使われる。そのほか、キリスト教の秘跡や宗教上の教義、古代ギリシャの密儀、中世の宗教劇(神秘劇)の意味もある。
ギリシャ語:γούρι
読み方:グリ・グーリ
ラテン文字:gouri
トルコ語の uğur(良い兆し、幸運)に由来する。語頭の無アクセントの [u] が異化により脱落し、現代ギリシャ語の γούρι となった。
派生語に γουρλής(幸運を運ぶ人)、γουρλίδικος(幸運をもたらすような)、γουριάζω(幸運をもたらす、縁起を担ぐ)がある。
幸運をもたらすと信じられている縁起物やジンクスを指す。単なる運を表す τύχη とは異なり、特定の物や事象に結びついた幸運を意味する。対義語は γρουσουζιά(不運、縁起の悪さ)。
ギリシャ語:μέλος
読み方:メロス・メーロス
ラテン文字:melos
古代ギリシャ語の μέλος(手足、歌)に由来。現代ギリシャ語の「組織の構成員」の意味は、フランス語 membre、英語 member からの意味借用で広がった。
派生語に διαμελισμός(バラバラにすること、切断)、合成語に μελόδραμα(メロドラマ)、μελοποίηση(曲づけ)など。古代ギリシャ語 μελῳδία(歌、節)からラテン語 melodia を経て英語 melody や melisma が生まれた。
ギリシャ語:ιερό
読み方:イェロ・イェロー
ラテン文字:iero
古代ギリシャ語の形容詞 ἱερός(聖なる)の中性形 ἱερόν が起源で、「聖なる場所」を意味した。古代では神や女神に捧げられた神殿とその周辺の聖域全体を指していた。
ヘレニズム期には「教会」を指す広い意味で使われたが、ビザンチン時代にキリスト教の「至聖所」を指す語に変わった。この変遷にはヘブライ語の概念からの意味借用も含まれる。
英語の hierarchy(階層、聖職階級)は、ἱερός と ἀρχή(支配)から成る古代ギリシャ語 ἱεραρχία に由来する。hieroglyph(象形文字)の hiero- も同じ語源。
古代の神殿や聖域全体を指すほか、キリスト教の聖堂内で最も神聖な空間である「至聖所」も意味する。
ギリシャ語:προσκύνημα
読み方:プロスキニマ・プロスキーニマ
ラテン文字:proskynima
古代ギリシャ語の動詞 προσκυνέω(ひれ伏して敬意を示す)は、προσ-(〜に向かって)と κυνέω(口づけする)から成る。その名詞形 προσκύνημα は拝礼や敬意の表明を指し、中世ギリシャ語を経て現代ギリシャ語に至る。現代の動詞形は προσκυνώ(礼拝する、ひれ伏す)。
英語の proskynesis(古代の拝礼の儀式を指す歴史用語)は同じ語源から来ている。
単なる旅行ではなく、宗教的・精神的な行為を表す語。宗教的な崇拝の現れとしての礼拝や、故人への敬意の表明が基本的な意味で、信者が参拝する聖地や巡礼地そのものも指す。比喩的に、感情的な結びつきがある場所を訪れることにも使われる。歴史的には、支配者に対する帰順の意味もあった。
ギリシャ語:φρένο
読み方:フレノ・フレーノ
ラテン文字:freno
φρένο はイタリア語の freno(ブレーキ)に由来する。現代ギリシャ語では主に複数形 φρένα で用いられる。
工学・技術用語としての「制動装置」から、日常的な乗り物のブレーキ、比喩的な「抑制」まで幅広く使われる。類義語に τροχοπέδη(制動機)があるが、日常会話では φρένο が一般的。
関連する複合語に αερόφρενο(エアブレーキ)、ποδόφρενο(フットブレーキ)、σερβόφρενο(サーボブレーキ、倍力装置)、χειρόφρενο(ハンドブレーキ)がある。動詞形は φρενάρω(ブレーキをかける)。
主な意味は、移動中または回転中の物体、主に車両を減速・停止させるためのブレーキ。換喩として、急ブレーキをかける際に発生する摩擦音を指すこともある。比喩的には、何かを食い止めたり、制限したり、進行を遅らせたりする表現にも使われる。
ギリシャ語:μελτέμι
読み方:メルテミ・メルテーミ
ラテン文字:meltemi
トルコ語の meltem に由来する。古代ギリシャ語では同じ風を ετησίαι(年ごとの風。ετήσιος「年ごとの」から)と呼んでいた。現代ギリシャ語での類義語は ετησίες。
指小語の μελτεμάκι は穏やかなエテジアン、心地よい夏のそよ風を指す。
夏季の東地中海、とくにエーゲ海で日中に吹く乾燥した強い季節風。北からの風。
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ギリシャ語:γένια
読み方:イェニャ・イェーニャ・ゲニャ・ゲーニャ
ラテン文字:genia
古代ギリシャ語の γένειον(ゲネイオン:顎、顎ひげ)の指小辞形が変化し、中世ギリシャ語の γένιν(顎、顎ひげ)を経て現在の形に至る。英語の chin(顎)やラテン語の gena(頬)と語源を共有し、いずれも「顎」を意味する印欧語の語根から生まれた。解剖学用語の genial(下顎骨の)も同じ流れにある。
μούσι(顎ひげ)は主に顎部分のひげ、μουστάκι(口ひげ)は鼻の下のひげを指すのに対し、γένια は顔の下半分のひげ全般を区別せずに指すことが多い。長く伸ばしたひげは一般に γενειάδα と呼ばれる。頭髪全体は μαλλιά、個別の毛は τρίχα で表す。
なお、綴りは同じだがストレスの位置が異なる γενιά(イェニャー/ゲニャー:世代、一族)はまったく別の語で、語源も異なる。
男性の顔の下半分に生える毛の総称で、顎ひげ、頬ひげ、口ひげを区別せずに指すことが多い。単数形 γένι は特に顎ひげを指す。
ギリシャ語:νοτιοανατολικά
読み方:ノティオアナトリカ・ノティオアナトリカー
ラテン文字:notioanatolika
νοτιοανατολικός(南東の)の中性複数形。νότιος(南の)の接頭辞 νοτιο- と ανατολικός(東の)が合わさった形容詞の中性複数形で、方角名・方向ラベルとして一語で立つ。
南東から吹く風の名には σιρόκος と εύρος がある。σιρόκος はイタリア語由来の地中海の航海語で、εύρος は古代ギリシャ語に由来する名称。
方角としての南東を表す。名詞として「南東部」、副詞として「南東へ」の用法もある。
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ギリシャ語:νοτιοδυτικά
読み方:ノティオディティカ・ノティオディティカー
ラテン文字:notiodytika
νοτιοδυτικός(南西の)の中性複数形。νότιος(南の)の接頭辞 νοτιο- と δυτικός(西の)が合わさった形容詞の中性複数形で、方角名・方向ラベルとして一語で立つ。
南西から吹く風の名には γαρμπής と λίβας がある。γαρμπής はイタリア語由来の地中海の航海語で、λίβας は古代ギリシャ語に由来する名称。
方角としての南西を表す。名詞として「南西部」、副詞として「南西へ」の用法もある。
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ギリシャ語:βορειοδυτικά
読み方:ヴォリオディティカ・ヴォリオディティカー
ラテン文字:voreiodytika
βορειοδυτικός(北西の)の中性複数形。βόρειος(北の)の接頭辞 βορειο- と δυτικός(西の)が合わさった形容詞の中性複数形で、方角名・方向ラベルとして一語で立つ。
北西から吹く風の名には μαΐστρος と σκίρων がある。μαΐστρος はイタリア語由来の地中海の航海語で、σκίρων は古代ギリシャ語に由来する名称。
方角としての北西を表す。名詞として「北西部」、副詞として「北西へ」の用法もある。
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ギリシャ語:βορειοανατολικά
読み方:ヴォリオアナトリカ・ヴォリオアナトリカー
ラテン文字:voreioanatolika
βορειοανατολικός(北東の)の中性複数形。βόρειος(北の)の接頭辞 βορειο- と ανατολικός(東の)が合わさった形容詞の中性複数形で、方角名・方向ラベルとして一語で立つ。
北東から吹く風の名には γραίγος と μέσης がある。γραίγος はイタリア語由来の地中海の航海語で、μέσης は古代ギリシャ語に由来する名称。
方角としての北東を表す。名詞として「北東部」、副詞として「北東へ」の用法もある。
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ギリシャ語:μωρό
読み方:モロ・モロー
ラテン文字:moro
古代ギリシャ語で「愚かな、鈍い」を意味した μωρός(モロス)が語源。中世ギリシャ語では中性形 μωρόν(モロン)が「分別のない者」から転じて幼い子供を指すようになり、現代ギリシャ語で「赤ん坊」を意味する μωρό として定着した。
英語の moron(馬鹿)は同じ古代ギリシャ語 μωρός に由来する。
類義語には、より医学的な νεογνό(新生児)や νήπιο(幼児)がある。
主な意味は「赤ん坊、乳児」で、動物の子にも使われる。比喩的に、大人でありながら子供じみた振る舞いをする人を指すこともある。
μωράκι、μωρουδάκι、μωρουδέλι のような愛称でも呼ばれる。μωρό μου は子供や恋人への呼びかけとして広く使われ、口語では魅力的な人を褒める表現にもなる。
ギリシャ語:θαύμα
読み方:サヴマ・サーヴマ・タヴマ・ターヴマ
ラテン文字:thavma
古代ギリシャ語の θαῦμα(驚き, 驚異)を継承。θεάομαι(観る)と語源を共有し, もとは「見て驚くもの」。現代の「経済の奇跡」「技術の奇跡」「奇跡のワクチン」など比喩で幅広い驚異を指す用法はフランス語 miracle, merveille と英語 miracle からの意味借用で輪郭が整った。話しことばや文学ではアクセントを移した θάμα という短縮形も使う。
同じ θαῦμα の語族に動詞 θαυμάζω(感嘆する), 形容詞 θαυμάσιος(素晴らしい, 見事な)と θαυμαστός(感嘆に値する), 名詞 θαυμασμός(感嘆), θαυμαστής(愛好者, ファン), θαυμαστικό(感嘆符), 合成語 θαυματοποιία, θαυματουργία(奇跡を起こす業), αξιοθαύμαστος(感嘆に値する)。θαυμάσιος が日常で広く使われ, θαυμαστός は格式高い場面で出てくる。
θεάομαι からは θέατρον(観る場所)が派生して現代の θέατρο になり, ラテン語 theatrum を経て英語 theatre(劇場)になった。英語 thaumaturgy(奇跡的な業, マジック)は θαυματουργία を経て入ったもの。年齢にそぐわない才能を持つ子を指す παιδί-θαύμα(神童)は独語 Wunderkind, 英語 child prodigy, 仏語 enfant prodige の意味借用で生まれた合成語。
ギリシャ語:σημείο
読み方:シミオ・シミーオ
ラテン文字:simeio
古代ギリシャ語 σῆμα(しるし)から派生した σημεῖον(目印、信号、図形)を起源とする。σημεῖον は物理的な目印から証拠や前兆のような抽象的な「しるし」まで広い意味で使われ、中世ギリシャ語を経て語尾が変化し、現代ギリシャ語の σημείο になった。
σημείο と同じ σῆμα から、σημαία(旗)、σημειώνω(記す)、σημαντικός(重要な)など多くの語が生まれた。英語の semiotics(記号論)、semantics(意味論)、semaphore(腕木通信)も同じ語源を持つ。
類義語に ίχνος(痕跡)、σύμπτωμα(症状)、όριο(限界)がある。
主な意味は「点」と「しるし」。物理的な場所を指す用法から、文章や計画の「箇所」、時間の流れにおける「段階」、質的な「程度」まで、あらゆる文脈で特定の一点を示すのに使われる。また、回復や疲労の「兆候」、句読点や数学記号などの「記号」、幾何学上の「点」も表す。
ギリシャ語:κέντρο
読み方:ケドゥロ・ケードゥロ・ケンドゥロ・ケーンドゥロ
ラテン文字:kentro
動詞 κεντέω(刺す, 突く)から派生した古代ギリシャ語の中性名詞 κέντρον(家畜を追い立てる尖った棒, 針, 円規の足)に由来。円規の尖った足が紙面に刺さる点を κέντρον と呼んだことから「円の中心」の意味が生まれた。語尾 -ον が脱落して現代ギリシャ語の κέντρο の形になり, 現代の用法の多くはラテン語 centrum を経たフランス語 centre からの意味借用。英語 center / centre も同じ centrum にさかのぼる。
派生に κεντράκι(こぢんまりした店, 指小形), κεντρί(針, 棘), κεντρίζω(刺激する), κεντρικός(中心の), κεντρώνω(接ぎ木する), κέντρωμα(接ぎ木), άκεντρος(針のない, 中心のない)。合成語に επίκεντρο(震源, 中心点), ομόκεντρος(同心の), φυγόκεντρος(遠心の), έκκεντρος(偏心の, 奇矯な), συγκεντρώνω(集中させる), απόκεντρος(中心から遠い)。
μέση(真ん中)が位置を指すのに対し, κέντρο は機能や活動が集まる点, 拠点や施設を指す。
ギリシャ語:πιπέρι
読み方:ピペリ・ピペーリ
ラテン文字:piperi
さらに古い段階では、サンスクリット語 pippalī(長胡椒)などのインド・アーリア系の語が想定される。この語は中期インド語やペルシア語などを介して古代ギリシャ語の πέπερι(コショウ)に入り、ヘレニズム期には並行形の πίπερι(コショウ)も使われた。そこから中世ギリシャ語の指小形 πιπέρι(ον)(コショウの指小形)を経て、現代ギリシャ語の πιπέρι に至った。
同じ流れから、ラテン語 piper(コショウ)、古英語 pipor(コショウ)を経て、英語の pepper も生まれた。
πιπέρι は、粉末や粒状にした香辛料全般を指す。トウガラシ属由来の κόκκινο πιπέρι(赤コショウ、パプリカ)のような言い方もあり、πιπέρι からは、植物やその実を指す πιπεριά(ピーマン、パプリカ、トウガラシ)も作られる。
主な意味は調味料としての「コショウ」。熱帯植物の小さく暗色の球状の果実を、粉末または粒の状態にして調味料として使うものを指す。
成句では、βάζω πιπέρι στο στόμα κάποιου の形で、汚い言葉や悪口を言った人、特に子供を罰する言い方にも使われる。
ギリシャ語:θυμάρι
読み方:シマリ・シマーリ・ティマリ・ティマーリ
ラテン文字:thymari
ヘレニズム期の古代ギリシャ語 θύμος(タイム)に指小辞が付き、中世ギリシャ語の θυμάριον(小さなタイム)とされる形を経て、現代ギリシャ語の θυμάρι になった。英語の thyme(タイム)とも語源を共有する。
主な意味は「タイム」。香気のある小さな低木で、青く小さな花を咲かせる植物を指す。乾燥した痩せ地でも育つたくましい植物の象徴としても使われる。
指小語 θυμαράκι は小さなタイムを表す。複数形 θυμαράκια を含む στα θυμαράκια は、墓地や埋葬された状態を婉曲に指す表現になる。
ギリシャ語:σαμιαμίδι
読み方:サミアミディ・サミアミーディ
ラテン文字:samiamidi
中世ギリシャ語の σαμιαμίθι(ν)(サミアミティン)の指小形 σαμιαμίθιον(サミアミティオン)に由来する。語末が縮まり現在の形になった。θ を保った σαμιαμίθι の形も地域によって使われる。
σαμιαμίδι には μολυντήρι(モリンティリ)という別名もある。「汚すもの」を意味し、ヤモリが触れたものを汚すという迷信に基づく呼び名。
小型で素早いトカゲの一種。動物としての意味のほか、体が小さくきびきびした人、主に子供を指す口語的な比喩にも使う。
ギリシャ語:άνηθος
読み方:アニソス・アーニソス・アニトス・アーニトス
ラテン文字:anithos
古代ギリシャ語の中性名詞 ἄνηθον(ディル)を起源とする。現代ギリシャ語では、もとの中性名詞 άνηθο に加えて、対格の形に基づいて生まれた男性名詞 άνηθος も使われるようになり、現在では両方の性が用いられる。
ἄνηθον は、ギリシャ語成立以前の地域言語から入った植物名と見る説がある。ラテン語には anethum として借用され、植物学名 Anethum graveolens の Anethum にもこの形が残っている。
アニスを表す古代ギリシャ語には ἄνισον / ἄννησον(アニス)があり、英語の anise(アニス)は古フランス語 anis、ラテン語 anisum を経てこのギリシャ語に連なる。ἄνηθον と ἄννησον は形が似ており、同じ先ギリシャ語系の植物名として関連づけられることがあるが、古くから混同されることもあった別の植物名である。植物学的にもディルとアニスは別種である。
主な意味は「ディル」。料理に使用される草本状の芳香植物で、ギリシャ料理に爽やかな香りを添えるハーブとして欠かせない。
指小語 ανηθάκι は少量のディルや可愛らしく呼ぶ形を表す。複合語 ανηθόριζα は「ディルの根」を意味し、フェンネル(ウイキョウ)を指す。
ギリシャ語:φίδι
読み方:フィディ・フィーディ
ラテン文字:fidi
古代ギリシャ語の ὄφις(óphis, ヘビ)に由来する。ὄφις の指小辞形 ὀφίδιον(ophídion, 小さなヘビ)が中世ギリシャ語を経て語頭の ο が脱落し、現在の φίδι となった。英語の ophidian(ヘビ類の)や ophiology(蛇類学)はこの ὄφις から派生した学術語で、φίδι と語源を共有する。
類義語の όφις は古代ギリシャ語の ὄφις がそのまま現代ギリシャ語に残ったもので、学術的・文語的な響きを持つ。日常的にはもっぱら φίδι が使われる。
爬虫類としてのヘビを指すほか、悪意に満ちた狡猾な人物を比喩的に表すのにも使われる。
ギリシャ語ではヘビの種類ごとに ανακόντα(アナコンダ)、βόας(ボア)、κόμπρα(コブラ)、κροταλίας(ガラガラヘビ)、πύθωνας(ニシキヘビ)などの語がある。
ギリシャ語:δαμασκηνί
読み方:ダマスキニ・ダマスキニー
ラテン文字:damaskini
δαμασκηνής の不変化形。名詞の性・数に関わらず「プラム色の」を表す不変化形容詞として、また中性名詞として色そのものを指す。口語では語尾変化する δαμασκηνής より広く使われる。
ギリシャ語:δαμάσκηνο
読み方:ダマスキノ・ダマースキノ
ラテン文字:damaskino
古代ギリシャ語の δαμασκηνόν(ダマスカスのもの)に由来。プラムの主要な産地だったシリアのダマスカス(Δαμασκός)にちなんで果実の名として定着し、中世ギリシャ語 δαμάσκηνον を経て現代の δαμάσκηνο に至る。英語 damson(ダムソン・プラム)、damask(ダマスク織)、damascene(ダマスカスの、象嵌細工の)はいずれも同じダマスカス由来で、damson は後期ラテン語 prūnum damascēnum 経由で入った。
派生語に δαμασκηνιά(スモモの木)、δαμασκηνής(プラム色の、濃い紫色の)。
ギリシャ語:μοβ
読み方:モヴ・モーヴ
ラテン文字:mov
フランス語の mauve(モーヴ)からの借用語で、英語の mauve と同じ語源を持つ。フランス語の mauve はラテン語の malva(ゼニアオイ)に由来し、もともとはアオイ科の植物を指していた。薄紫色の花を咲かせるこの植物から、その花の色も mauve と呼ばれるようになった。ギリシャ語では以前 μωβ と綴られていたが、現在は μοβ が標準的な綴り。μπλε(青)や γκρι(グレー)と同様、性・数・格で変化しない不変化形容詞として使われている。指小辞は μοβάκι。
紫系の色を表すギリシャ語は豊富で、βιολετί(バイオレット、イタリア語・フランス語由来)、μενεξεδί(スミレ色、μενεξές(スミレ)から)、λιλά(ライラック色、フランス語 lilas から)、μελιτζανί(茄子色、μελιτζάνα(ナス)から)、σικλαμέν(シクラメン色)、ιώδες(スミレ色、古代ギリシャ語 ἴον(スミレ)から派生した学術的な語)などがある。μοβ はこれらのなかで特定の色合いに限定されず、紫色全般をカバーする日常語として最も広く使われる。
紫色を表す形容詞として使われるほか、名詞として紫色そのものや紫色の衣服も指す。
ギリシャ語:όριο
読み方:オリオ・オーリオ
ラテン文字:orio
名詞 ὅρος(hóros, 境界石, 境界標)から派生した古代ギリシャ語の中性名詞 ὅριον(hórion, 境界)に由来。ὅρος はもともと土地の境を示す石や杭を指し, そこから「境界, 限界」を表す ὅριον が作られた。語源的には ὄρος(óros, 山)とも関連があり, 山が自然の境界として機能していたことと結びつく。
英語の horizon(地平線、水平線)は、ὅρος から派生した動詞 ὁρίζω(horízō、境を定める)の分詞 ὁρίζων(限界を定めるもの)を起源とし、視界の限界線を意味する。同様に aphorism(格言、箴言)も、ἀφορίζω(区切る、定義する)から派生した ἀφορισμός(定義)に由来し、考えを簡潔に区切り出したものという意味を持つ。
γραμμή(線)が物理的な線としての連続性を強調するのに対し、όριο はそれが区切りとして機能する面に焦点を当てる。
主な意味は「境界、限界」。国境や敷地の境界線のような空間的な区切りから、善悪の境界や社会階層の壁のような比喩的な区切り、人間の耐性や忍耐の限界、速度制限のような上限・下限、さらに数学における極限値や物理学の限界点にも用いられる。
ギリシャ語:γαρίφαλο
読み方:ガリファロ・ガリーファロ
ラテン文字:garifalo
古代ギリシャ語の καρυόφυλλον(丁子、文字通り「クルミの葉」)に由来する。この語がラテン語 caryophyllum、ベネチア語 garofolo を経て、中世ギリシャ語で γαρόφαλο / γαρίφαλο として再導入された。
当初は香辛料のクローブを指していたが、カーネーションがクローブに似た香りを持つことから、のちに花のカーネーションも指すようになった。英語の clove も同じ καρυόφυλλον から来た語で、carnation もこの系統に由来するとする説がある。
カーネーションの花を指すほか、開いたカーネーションの形に見立てた比喩としても使われる。また、香辛料のクローブ(丁子)も指す。
ギリシャ語:μάγια
読み方:マヤ・マーヤ
ラテン文字:magia
綴りは同じだが語源の異なる二つの語がある。
魔法の意味の τα μάγια(中性・複数のみ)は、中世ギリシャ語でヘレニズム期の形容詞 μάγιος(魔術の)が名詞化したもの。語源は μάγος(魔法使い)で、μαγεία(魔法、魔術)と同じ語根を持つ。μαγεία が概念としての魔法を表すのに対して、τα μάγια は具体的な魔術行為やまじないの手段、それによってもたらされる効果を指す。
レオタードの意味の η μάγια(女性・単数)は、フランス語の maillot(網目、編み物)に由来すると推測される。
なお、ストレス位置が異なる μαγιά(女性)はトルコ語 maya に由来するまったく別の語で、酵母を意味する。
主な意味は、魔術行為やまじないの手段、およびそれによる効果としての「魔法」。比喩的に、人を惹きつける魅力も表す。まったく別の語として、レオタードの意味もある。
ギリシャ語:ξόρκι
読み方:クソルキ・クソールキ
ラテン文字:xorki
お祓いをする、追い払うを意味する動詞 ξορκίζω から生まれた名詞で、ξορκίζω 自体は古代ギリシャ語の ἐξορκίζω(誓わせる、追い払う)に由来する。もとは悪霊や災いを退けるための儀式的な言葉を指していたが、現代ギリシャ語では広く「呪文」として使われる。英語の exorcism(悪魔祓い)と語源を共有する。
派生語の εξορκισμός は、悪霊を祓う儀式としてのエクソシズムを指す。
επωδή も「呪文」を意味するが、文語的・学術的な響きがある。ξόρκι は日常的に使われ、呪文を指す語としてはもっとも一般的。
悪霊や災いを追い払うための呪文。現代ギリシャ語では広義に呪文やまじないを指す。
ギリシャ語:πορτοκαλί
読み方:ポルトカリ・ポルトカリー
ラテン文字:portokali
形容詞 πορτοκαλής(オレンジ色の)の中性形が名詞として用いられるようになったもの。
オレンジ色そのものを指す。
ギリシャ語:καρύδι
読み方:カリディ・カリーディ
ラテン文字:karydi
古代ギリシャ語の κάρυον(カリュオン、核果、ナッツ)の指小辞 καρύδιον に由来する。中世ギリシャ語を経て現代の καρύδι となった。
英語の kernel(核)とは、印欧語レベルで遠い親戚にあたる可能性がある。
植物学的な総称や文語では κάρυο が使われ、日常語としてはこちらが一般的。クルミの木は καρυδιά(女性名詞)と呼ばれる。
クルミの実を指す。比喩的に「頑固者」を表したり、形状の類似から喉仏を指したりもする。指小語 καρυδάκι はクルミのシロップ漬け菓子としても知られる。
ギリシャ語:πορτοκάλι
読み方:ポルトカリ・ポルトカーリ
ラテン文字:portokali
語源はオレンジの初期の導入国であるポルトガルの国名。イタリア語ではポルトガルを Portogallo と呼び、そこから来た甘いオレンジも portogallo と呼ばれるようになった。ギリシャ語にはおそらく南イタリア方言の portocallo(オレンジ)を通じて入り、その複数形 portocalli が中性単数形として解釈されて現在の πορτοκάλι の形になった。
派生語に πορτοκαλιά(オレンジの木)、πορτοκαλάδα(オレンジジュース)がある。また、オレンジ色を表す形容詞 πορτοκαλί もこの語から派生した。
オレンジの木の実で、球形で果汁が多い。
ギリシャ語:κάρυο
読み方:カリオ・カーリオ
ラテン文字:karyo
古代ギリシャ語 κάρυον(堅果, クルミ)に由来。英語の接頭辞 karyo-(核の, eukaryote, karyotype など)も同じ κάρυον にさかのぼる。
派生に καρυά(クルミの木)。合成語に καρυοθραύστης(くるみ割り器), καρυότυπος(核型, カリオタイプ), καρυόφυλλο(クローブ, 丁字), ευκαρυωτικός(真核生物の), προκαρυωτικός(原核生物の)。
καρύδι は古代 κάρυον の指小形 καρύδιον から受け継がれ, クルミを指すときはふつう καρύδι を使う。
ギリシャ語:ψέμα
読み方:プセマ・プセーマ
ラテン文字:psema
古代ギリシャ語の動詞 ψεύδω(欺く)から派生した名詞 ψεῦσμα(嘘)を起源とする。子音群の簡略化による [s] の脱落を経てヘレニズム期に ψεῦμα となり、中世ギリシャ語において同化と簡略化([vm] > [mm] > [m])が起こり、現代の ψέμα に至った。
英語の pseudo-(偽の〜)もまた、ψεύδω から派生した形容詞 ψευδής(偽りの)がラテン語を経て英語に入った接頭辞で、ψέμα と語源を共有する。
ψέμα が日常的な「嘘」を表す語であるのに対し、αναλήθεια(不真実)は事実に反する性質を中立的に指す文語的な表現で、意図的な欺きのニュアンスを含まない。
αλήθεια(真実)の対義語であり、意図的な虚偽から、比喩的に「儚いもの」「幻想」の意味でも使われる。
ギリシャ語:λεμονί
読み方:レモニ・レモニー
ラテン文字:lemoni
λεμόνι(レモン)に接尾辞 -ί を付けた色名で、果物のレモンの色に由来する。変化形として男性形 λεμονής、女性形 λεμονιά もあるが、不変化形の λεμονί が広く使われる。なお女性形 λεμονιά はレモンの木を意味する名詞と同形。
類義語の κίτρινος(黄色の)が黄色全般を表すのに対し、λεμονί はレモンのような薄い黄色に限られる。派生語に λεμονάδα(レモネード)、λεμονάτος(レモン風味の)がある。
主な意味は「レモン色の、薄黄色の」。形容詞のほか、中性名詞として色そのものも指す。恐怖による顔面蒼白を強調する文脈でも使われる。
ギリシャ語:κάστανο
読み方:カスタノ・カースタノ
ラテン文字:kastano
古代ギリシャ語 κάστανον(クリ)を継承。小アジアの地名「カスタナ」に由来するという説がある。ラテン語に castanea として入り, そこから英語 chestnut, フランス語 châtaigne, イタリア語 castagna が生まれた。
派生に καστανιά(クリの木), καστανάς(焼き栗売り), καστανός(栗色の, 形容詞), καστανάκι(小さな栗, 指小形)。合成語に καστανόχρωμος(褐色の), καστανομάλλης(栗色の髪の), καστανομάτης(栗色の目の), καστανοπώλης(栗売り), αγριοκάστανο(セイヨウトチノキの実)。
ギリシャ語:καφέ
読み方:カフェ・カフェー
ラテン文字:kafe
フランス語の café(カフェ、コーヒー)からの借用語。もとはアラビア語の qahwa(カフワ、コーヒー)がトルコ語に kahve(カフヴェ、コーヒー)として入り、さらにフランス語を経てギリシャ語に取り入れられた。フランス語の形がそのまま借用されたため、ギリシャ語の格変化を持たない不変化語として使われる。英語の coffee、cafe、cafeteria もアラビア語 qahwa を共通の起源とする。
現代ギリシャ語ではカフェ(飲料を供する場所)を指す中性名詞として、またコーヒーの色から転じて茶色を表す形容詞として用いられる。飲料としてのコーヒーは男性名詞の καφές(カフェス)で区別される。
καφετί(カフェティ)は、より口語的に茶色を表す派生語。καφεκοπτείο(カフェコプティオ)はコーヒー豆の販売や焙煎を行う店を指す複合語。
主な意味はカフェ(飲料を供する場所)と茶色。茶色は形容詞として名詞を修飾するほか、名詞として色そのものも指す。
ギリシャ語:μπλε
読み方:ブレ・ブレー
ラテン文字:ble
ギリシャ語:κίτρο
読み方:キトゥロ・キートゥロ
ラテン文字:kitro
ギリシャ世界では古くから知られている柑橘のひとつ。ヘレニズム期のギリシャ語 κίτρον(キトロン)から来ており、κίτρον はラテン語 citrum(シトロンの木)からの借用。英語の citron(シトロン)や citrus(柑橘類)も同じ語に由来する。
このラテン語 citrus 自体が古代ギリシャ語の κέδρος(ヒマラヤスギ) から来ており、針葉樹の名がラテン語で柑橘の名に変わり、ギリシャ語に戻ってきた往復借用にあたる。
シトロンの木(κιτριά)の果実を指す。日本語では丸仏手柑(まるぶしゅかん)とも呼ばれる。
ギリシャ語:λεμόνι
読み方:レモニ・レモーニ
ラテン文字:lemoni
アラビア語やペルシャ語の līmūn(レモン)が地中海交易を通じてヨーロッパの諸言語に入り、中世ギリシャ語では λεμόνιον(レモン)の形で定着した。ここから現代の λεμόνι になった。同じ語源からイタリア語の limone、英語の lemon も生まれた。
レモンの木は λεμονιά と呼ぶ。類義語に λάιμ(ライム)、κίτρο(シトロン)、μοσχολέμονο(ベルガモット)がある。
合成語の要素 λεμονο- や -λέμονο としても使われ、λεμονόκηπος(レモン園)などをつくる。
主にレモンの果実やその果汁、香りを指す。調理や製菓の材料、加工食品や香料としても広く使われる。σαν λεμόνι(レモンのように)の形で比喩的にも用いられる。
指小語 λεμονάκι は「小さなレモン」や、親しみを込めた「レモンちゃん」の意味で使われる。
ギリシャ語:κυανό
読み方:キャノ・キャノー
ラテン文字:kyano
形容詞 κυανός(青い)の中性単数形。色名として名詞的に用いられる。
青、青色を指す色名。
ギリシャ語:κέδρο
読み方:ケドゥロ・ケードゥロ
ラテン文字:kedro
κέδρος(ヒマラヤスギ、シダー) の中性名詞の形。
マツ科ヒマラヤスギ属の常緑針葉樹、およびその木材を指す。ギリシャではビャクシン属の木も広くこの語で呼ぶ。
ギリシャ語:ήλεκτρο
読み方:イレクトゥロ・イーレクトゥロ
ラテン文字:ilektro
古代ギリシャ語 ἤλεκτρον(輝くもの, 琥珀)に由来。古代では琥珀のほか金と銀の天然合金(エレクトラム)も指した。擦ると静電気を帯びる琥珀の性質にちなみ, 近代に英語 electricity(電気), electron(電子)が作られ, 現代ギリシャ語ではそこから逆輸入する形で電気関係の語彙が広がった。
派生に ηλεκτρίζω(帯電させる, しびれさせる), ηλεκτρικός(電気の), ηλεκτρισμός(電気)。合成語は ηλεκτρο- の形で作られ, ηλεκτρόνιο(電子), ηλεκτρονικός(電子の), ηλεκτρόλυση(電気分解), ηλεκτρομαγνητικός(電磁気の)など電気・電子に関わる語群を形成する。
琥珀を指すときはトルコ語由来の κεχριμπάρι を使うことが多い。
ギリシャ語:οπάλιο
読み方:オパリョ・オパーリョ
ラテン文字:opalio
サンスクリット語の upala(宝石)を語源とする説があり、古代ギリシャ語の ὀπάλλιος(オパリオス)を経て、現代ギリシャ語では綴りが簡略化され οπάλιο となった。英語の opal と語源を共有する。
派生語に οπαλίνα(乳白色のガラス、オパリンガラス)がある。
現代ギリシャ語では中性名詞 οπάλιο のほかに男性名詞 οπάλιος の形もある。中性形が基本形とされるが、宝石店や鉱物情報サイトでは男性形もよく使われる。鉱物名には男性形(-ος)と中性形(-ο)の両方が並存するものが少なくなく、意味の違いはない。
非晶質のシリカからなる鉱物で、遊色効果を持つ貴石として知られる。
ギリシャ語:κεχριμπάρι
読み方:ケフリバリ・ケフリバーリ・ケフリンバリ・ケフリンバーリ
ラテン文字:kechrimpari
ペルシャ語 kahrubā(藁を引きつけるもの)に由来する。琥珀は擦ると静電気を帯び、藁のような軽いものを引きつける性質があり、その性質がそのまま名前になった。ペルシャ語からトルコ語 kehribar(琥珀)を経て、ギリシャ語に κεχριμπάρι として入った。
古代ギリシャ語では琥珀を ἤλεκτρον(エーレクトロン)と呼んだ。現代ギリシャ語にもそこから ήλεκτρο(琥珀)の形で残るが、日常的には κεχριμπάρι のほうが一般的に使われる。
天然樹脂の化石である琥珀の日常的な名称。宝石としての琥珀のほか、透き通った黄色を形容する表現としても用いられる。
ギリシャ語:γυαλί
読み方:ヤリ・ヤリー
ラテン文字:gyali
古代ギリシャ語 ὕαλος(hýalos、ガラス)が起源。中世ギリシャ語で ὑαλίν(hyalín)の形を経て γυαλίν となり、現在の γυαλί に至る。英語の hyaline(ガラス状の、透明な)と同じ語源を持つ。
日常的な「窓ガラス」を指す τζάμι や、より学術的・専門的な響きを持つ ύαλος と意味が近いが、γυαλί は材質そのものや日常品を指す最も一般的な語。
φυσητό γυαλί(吹きガラス)は息を吹き込んで成形する技法とその製品を指し、χυτό γυαλί(鋳造ガラス)は型に流し込んで作る技法を指す。また γυαλί ταμπούρ は弓で弾くタイプのタンプール(弦楽器)を指す。
物質としてのガラスが基本義。口語ではテレビの画面やテレビ業界を換喩的に指すのにも使う。比喩的に、ガラスのように滑らかで光沢のある状態も表す。
γυαλάκι(το)は γυαλί の指小語。
ギリシャ語:κρύσταλλο
読み方:クリスタロ・クリースタロ
ラテン文字:krystallo
κρύσταλλος の中性名詞形。
ギリシャ語:γαλανό
読み方:ガラノ・ガラノー
ラテン文字:galano
形容詞 γαλανός(澄んだ青の)の中性単数形。色名として名詞的に用いられる。
澄んだ明るい青色を指す色名。
ギリシャ語:γαλάζιο
読み方:ガラジオ・ガラージオ・ガラズィオ・ガラーズィオ
ラテン文字:galazio
形容詞 γαλάζιος(空色の)の中性単数形。色名として名詞的に用いられる。
空色、青色を指す色名。
ギリシャ語:ασήμι
読み方:アシミ・アシーミ
ラテン文字:asimi
ギリシャ語:κρεμ
読み方:クレム・クレーム
ラテン文字:krem
ギリシャ語:γκρι
読み方:グリ・グリー
ラテン文字:gkri
フランス語の gris(灰色)に由来する借用語。英語の gray / grey もゲルマン祖語で「灰色」を意味する同じ語から派生している。
現代ギリシャ語では性・数・格によって語形が変化しない不変化形容詞として定着している。同じフランス語由来の色名 μπεζ(ベージュ)も同様の特徴をもつ。
白と黒の中間色全般を指す。古代ギリシャ語には φαιός(灰色の、暗い)という語があったが、現代の日常ではこの γκρι が最も広く使われる。
同じ灰色を表す σταχτής は στάχτη(灰)から派生した口語的な語で、灰そのものの色合いを感じさせる。一方、γκρι はニュートラルな「グレー」として色名全般に使われる。形容詞としてはこの γκρι のほかに、語形変化をもつ γκρίζος(グレーの)もある。
形容詞と同じ形で中性名詞としても使われ、灰色という色そのものを指す(το γκρι)。
白と黒の中間にある色を表す。明暗の幅が広く、σκούρο(暗い)や ανοιχτό(明るい)を付けてダークグレーやライトグレーを表す。
ギリシャ語:σμαράγδι
読み方:ズマラグディ・ズマラーグディ
ラテン文字:smaragdi
古代ギリシャ語の σμάραγδος(エメラルド)から。σμάραγδος はオリエント諸語からの借用語とされる。後の時代に指小辞の付いた σμαράγδιον(smaragdion)を経て、現代ギリシャ語の σμαράγδι となった。英語の emerald も同じ語源で、俗ラテン語を経由する過程で語頭の s が脱落し、大きく形が変わった。
派生形容詞に σμαραγδένιος(エメラルド製の、エメラルド色の)がある。
深い緑色をした透明な貴石を指す。
ギリシャ語:λάπις λάζουλι
読み方:ラピス ラズリ・ラーピス ラズリ
ラテン文字:lapis lazouli
ラテン語の lapis(石)と、ペルシア語に由来するアラビア語 lāzaward(鮮やかな青)を組み合わせた中世ラテン語 lapis lazuli に由来する。「青い石」を意味する。フランス語・英語を経由して現代ギリシャ語に入った借用語で、英語の lapis lazuli も同じ中世ラテン語から来ている。
ラピスラズリの主成分にあたる鉱物は λαζουρίτης(青金石)と呼ばれる。名前の似た λαζουλίτης(天藍石)は別の鉱物で、リン酸塩からなる青い石を指す。顔料としての青色は ουλτραμαρίνα(ウルトラマリン)と呼ばれる。
鮮やかな青色をした半貴石を指す。性・数で語形が変化せず、男性名詞としても中性名詞としても使われる。
ギリシャ語:ζαφείρι
読み方:ザフィリ・ザフィーリ
ラテン文字:zafeiri
ヘブライ語 sappir に由来する語で、ヘレニズム時代のギリシャ語では σάπφειρος の形で用いられていた。当時この語が指していたのはサファイアではなくラピスラズリ、つまり青い半貴石だった。
初期の格変化において、対格で冠詞の末尾 n と結合したことにより語頭の s が z に有声化した。その後の音韻変化も経て、中世ギリシャ語では ζαφείρι(ν) の形となり、現代に至る。英語の sapphire と同語源で、いずれもヘブライ語 sappir に由来する。
日常的にはこの口語形 ζαφείρι が一般的だが、鉱物学的な文脈や格調高い表現では古代ギリシャ語の形を保った σάπφειρος が用いられる。
淡い色から濃い色まで、あらゆる色調の青色を持つ鉱物・貴石を指す。
ギリシャ語:χρυσάφι
読み方:フリサフィ・フリサーフィ
ラテン文字:chrysafi
古代ギリシャ語で「金」を意味する χρυσός から、ヘレニズム期に指小語 χρυσάφιον が生まれ、中世ギリシャ語で χρυσάφι(ν) を経て現代の形に至った。もとは χρυσός の縮小形だったが、指小の意味は失われ、日常的に「金」を指す語として定着した。χρυσός が学術的・公的な場面でも用いられるのに対し、χρυσάφι は口語的な響きを持つ。
英語の chrysalis(さなぎ)や chrysanthemum(菊)も同じ χρυσός を語源に持つ。
χρυσάφι からは色彩を表す形容詞 χρυσαφής(金色の)が派生した。その中性形 χρυσαφί(黄金色)は色の名詞としても使われ、χρυσάφι(金)と綴りは同じだがストレスの位置が異なる。
主な意味は金属としての金や金製品。そこから富や財産の象徴、比喩的に非常に価値のあるもの、親愛の情を込めた呼びかけにも使われる。
ギリシャ語:τουρκουάζ
読み方:トゥルクアズ・トゥルクアーズ
ラテン文字:tourkouaz
τιρκουάζの母音の逆行同化による別形。
τιρκουάζ と同じく、宝石のターコイズおよびターコイズブルーの色を指す。
ギリシャ語:τιρκουάζ
読み方:ティルクアズ・ティルクアーズ
ラテン文字:tirkouaz
フランス語の turquoise に由来する。turquoise は pierre turquoise(トルコの石)を縮めたもので、この石がトルコを経由してヨーロッパに伝わったことからそう呼ばれた。英語の turquoise も同じ語源から来ている。
ギリシャ語には τιρκουάζ の形で借用されたが、母音の逆行同化により τουρκουάζ という形も生まれた。現代ギリシャ語ではどちらの形も使われる。
宝石としてのターコイズ(トルコ石)と、その石の色に由来する緑がかった明るい青色(ターコイズブルー)の両方を指す。名詞としても形容詞としても語形が変化しない不変化語で、形容詞的に用いるときもそのまま名詞の後ろに置く。
ギリシャ語:μαργαριτάρι
読み方:マルガリタリ・マルガリターリ
ラテン文字:margaritari
ヘレニズム時代のギリシャ語 μαργαρίτης(真珠)に指小辞 -άριον が付いた、中世ギリシャ語の μαργαριτάρι(ο)ν(真珠)に由来する。指小辞は小ささを表す接尾辞だが、μαργαριτάρι ではその意味合いは失われている。μαργαρίτης 自体は東洋言語からの借用語と考えられており、同じ語からヒナギクを指す μαργαρίτα も派生している。
主な意味は「真珠」で、貝の中で形成される有機宝石を指す。白く輝く形状から、涙や歯など真珠に似たものの比喩にも用いられる。また、皮肉的に文章や発言における「ひどい間違い」を指すこともある。
ギリシャ語:σιντέφι
読み方:シデフィ・シデーフィ・シンデフィ・シンデーフィ
ラテン文字:sintefi
σεντέφι の別綴り。意味は同じ。
ギリシャ語:σεντέφι
読み方:セデフィ・セデーフィ・センデフィ・センデーフィ
ラテン文字:sentefi
トルコ語の sedef(真珠層)に由来する。sedef はアラビア語の ṣadaf(貝殻)から来ており、トルコ語では貝殻の内側の光沢ある層を指すようになった。中世以降のギリシャ語で語末に -ι が付いて σεντέφι の形が定着した。
発音の変化により σιντέφι とも綴られる。非強勢の ε が ι に変わるのは、鼻音の前で母音が上昇する、ギリシャ語に広く見られる音変化による。
同じく真珠層を表す μάργαρο という語もあるが、日常的には σεντέφι が一般的で、μάργαρο はより学術的・古典的な文脈で用いられる。σεντέφι の層の中で形成される宝石は μαργαριτάρι(真珠)と呼ばれる。
主な意味は真珠層で、多くの軟体動物の貝殻の内側を覆う虹色に輝く物質のこと。装飾品や螺鈿細工の素材として古くから用いられてきた。比喩的に、真珠層のような白さや光沢を指すこともある。
ギリシャ語:διαμάντι
読み方:ディアマディ・ディアマーディ・ディアマンディ・ディアマーンディ・ディアマディ・ディアマーディ
ラテン文字:diamanti
古代ギリシャ語の ἀδάμας(征服しがたい、不屈の)に由来する。中世ラテン語に入って diamas となり、さらにイタリア語の diamante を経て、再びギリシャ語に取り入れられた。もとはギリシャ語だった語がラテン語・イタリア語を回って戻ってきた返り借用語にあたる。語頭が ἀδ- から δια- に変化した背景には、古代ギリシャ語の διαφανής(透明な)の影響があるとされている。
同じ ἀδάμας から英語の diamond や adamant(断固とした)も生まれた。現代ギリシャ語でも αδάμας の形は残るが、専門的な文脈に限られ、日常的には διαμάντι が使われる。
主な意味はダイヤモンド(金剛石)で、硬度と光沢に優れた炭素の結晶体を指す。宝石としての利用のほか、比喩的に非常に澄んだものや、優れた人格の持ち主を形容するのにも使われる。指小語 διαμαντάκι は「小さなダイヤモンド」のほか、愛称として「可愛い人」の意味でも使われる。
ギリシャ語:μετέωρο
読み方:メテオロ・メテーオロ
ラテン文字:meteoro
古代ギリシャ語の形容詞 μετέωρος(空中に吊るされた、高い所にある)の中性形複数 τά μετέωρα(天体現象)から。これが中世ラテン語 meteora を経てフランス語 météore となり、そこから現代ギリシャ語に逆輸入された。英語の meteor(流星)や meteorology(気象学)も同じ起源から生まれた。
派生語には気象学を意味する μετεωρολογία や気象予報士の μετεωρολόγος がある。
宇宙から飛来した小さな岩体は、大気圏に入る前の段階では μετεωροειδές(流星体)と呼ばれる。それが大気圏に突入して光を放つ現象が μετέωρο であり、燃え尽きずに地表に到達した物質は μετεωρίτης(隕石)にあたる。
日常会話で「流れ星」と言うときは、πέφτω(落ちる)と αστέρι(星)の合成語である πεφταστέρι が最もよく使われる。μετέωρο はやや学術的な響きがあり、文語では διάττων αστήρ(流れ星)とも言う。
広義には大気中の現象全般を指すが、現代の日常会話では主に流星や流れ星を指す。
ギリシャ語:μανιτάρι
読み方:マニタリ・マニターリ
ラテン文字:manitari
ヘレニズム時代のギリシャ語 ἀμανίτης(キノコ)を起源とする。この語に縮小接辞が付いた αμανιτάριν から、中世ギリシャ語で語頭の無アクセント母音が脱落し、μανιτάριν を経て現在の μανιτάρι に至った。
語源の ἀμανίτης は、テングタケ属の学名 Amanita の由来でもある。
派生語に、指小辞の μανιταράκι(小さなキノコ)がある。
日常的にキノコを指す場合は μανιτάρι が一般的で、μύκητας(菌類)は生物学や医学の文脈で用いられることが多い。
主な意味は「キノコ」。湿った土壌に自生し、傘のような形をした菌類を指す。比喩的には、短期間で爆発的に増える様子や、核爆発による雲の形を表すのにも用いられる。
ギリシャ語:κοράκι
読み方:コラキ・コラーキ
ラテン文字:koraki
古代ギリシャ語の κόραξ(カラス)の指小辞である、ヘレニズム時代の κοράκιον に由来する。もともとは「小さなカラス」にあたる形だったが、現代ギリシャ語ではカラスを指す最も一般的な語として定着した。英語の raven や crow、ラテン語の corvus とも同じ語源につながる。
より形式的な言い方や古風な表現では κόρακας も使われる。派生語の κορακί は、カラスの羽のような深い黒色を表す。
主な意味はカラスで、そこから黒い服の葬儀屋、弱い者に群がる詐欺師、さらに非常に勉強熱心で頭の切れる生徒を指す比喩にも広がる。
ギリシャ語:καβούρι
読み方:カヴリ・カヴーリ
ラテン文字:kavouri
ギリシャ語:μαρτύριο
読み方:マルティリオ・マルティーリオ
ラテン文字:martyrio
名詞 μάρτυς(証人)から派生した古代ギリシャ語の中性名詞 μαρτύριον(証言, 証拠)から。ヘレニズム期以降キリスト教の文脈で信仰を証しして死ぬこと, すなわち殉教を表すようになった。その意味はカサレヴサ(学術的な書き言葉)を経て現代ギリシャ語 μαρτύριο に受け継がれ, さらに肉体的・精神的な激しい苦しみ全般も指すようになった。
同じ語族に μάρτυρας(証人, 殉教者), μαρτυρία(証言, 供述), μαρτυρώ(証言する, 殉教する), μαρτυρικός(証言の, 殉教の)。英語 martyr, martyrdom はラテン語 martyr を経て同じ μάρτυς にさかのぼり, 考古学で使う martyrium(殉教者記念礼拝堂)も同じ語族から取り入れられた。
βασανιστήριο(拷問, 拷問具)が加えられる行為や道具を指し, ταλαιπωρία(苦労, 労苦)が一般的な苦労を指すのに対し, μαρτύριο は信仰や忍耐を伴う逃れがたい苦難という含みを帯びる。
ギリシャ語:στοιχείο
読み方:スティヒオ・スティヒーオ
ラテン文字:stoicheio
古代ギリシャ語の στοιχεῖον(列をなすもの、段階)から。転じて「物質の構成成分」「基本単位」「アルファベットの文字」を指すようになった。近代以降はフランス語の élément(要素)や principe(原理)の語義に対応する形で、科学、法学、社会学など幅広い分野で用いられる。
英語の element の語源はラテン語の elementum(要素)だが、これはギリシャ語の στοιχεῖον の概念を翻訳借用したものと考えられている。
同じ στοιχεῖον を起源とする στοιχειό(守護霊、精霊) とはアクセントの位置が異なる別の語である。
派生語に στοιχειώδης(初歩的な、基本的な)や στοιχειώνω(幽霊が出る、根付く)がある。
主な意味は「要素」「成分」で、物質や事柄を構成する最小単位を指す。比喩的に、人の性格、情報のデータ、あるいは自分が得意とする分野(本領)を指す際にも使われる。化学では元素(χημικό στοιχείο)、印刷では活字、哲学では四元素というように、幅広い分野でそれぞれ専門的な意味を持つ。文脈に応じて συστατικό(成分)や δεδομένα(データ)とも言い換えられる。
ギリシャ語:στοιχειό
読み方:スティヒョ・スティヒョー
ラテン文字:stoicheio
古代ギリシャ語の στοιχεῖον(構成要素、原理)から。ヘレニズム期には「黄道十二星座の符号」の意味を持ち、中世ギリシャ語の στοιχείον(悪霊、デーモン)を経て、母音衝突を避けるための音節短縮(シニゼーシス)が起こり、現代の στοιχειό の形に至った。
古代ギリシャ語の στοιχεῖον は、ラテン語に elementum(要素)として訳され、英語の element の語源にもなっている。
στοιχειό は、στοιχεῖον の本来の「構成要素」の意味を受け継いだ στοιχείο(要素、データ)とは同じ語源だが、アクセントの位置も意味も異なる別の語である。
類義語として φάντασμα(幽霊)があるが、στοιχειό は単なる死者の霊というよりも、特定の場所(家や橋など)に結びつき、そこを守護または支配する「土地の精霊」としてのニュアンスが強い。
主な意味は「守護霊」「精霊」で、特定の場所に結びつく超自然的な存在を指す。人魚など、超自然的な存在全般にも使われる。比喩的には、不気味なほど背が高く痩せた人を形容する際にも使われる。
ギリシャ語:μέταλλο
読み方:メタロ・メータロ
ラテン文字:metallo
古代ギリシャ語 μέταλλον(鉱山, 採掘場)から。そこから採掘される鉱物や金属に意味が移り, 語尾 -ον が脱落して現代ギリシャ語の μέταλλο の形になった。英語 metal はラテン語 metallum を経て同じ μέταλλον にさかのぼる。
派生に μεταλλικός(金属の, 金属質の), μετάλλινος(金属製の), μεταλλώνω(金属化する), μετάλλιο(メダル), μετάλλευμα(鉱石, 鉱物), μεταλλείο(鉱山), μεταλλουργία(冶金学), αμέταλλο(非金属)。合成語に μεταλλοβιομηχανία(金属工業), μεταλλογνωσία(金属学), μεταλλόφωνο(鉄琴), μεταλλωρυχείο(鉱山)。
ギリシャ語:χώμα
読み方:ホマ・ホーマ
ラテン文字:choma
古代ギリシャ語の動詞 χώννυμι(積み上げる、埋める)から派生した χῶμα(土手、盛り土)を継承。
近い語に γη(大地、地球)があるが、γη は「地球」「大地」「土地」まで含む、より広い意味をもつ。έδαφος は地質学的な「土壌」や足元にある「床」「地面」のニュアンスが強く、σκόνη は「埃」「粉末」を指す。χώμα も、非常に細かい乾いた土を言うときには「土埃」「粉塵」に近い意味で使われる。
主な意味は「土」。地球の表面を覆う細かい粒状の物質を指し、そこから「地面」「墓」「故郷の地」にも意味が広がる。キリスト教的な死生観では、人が土から生まれて土に還ることを表す語としても用いられ、比喩的には商才や死そのものを言うこともある。
複数形 χώματα は大量の土を表すほか、土をいじって遊ぶことや、土砂に埋もれることを言うときにもよく使われる。
ギリシャ語:χωράφι
読み方:ホラフィ・ホラーフィ
ラテン文字:chorafi
古代ギリシャ語の χώρα(場所、土地、国)の指小辞である、ヘレニズム期のギリシャ語 χωράφιον に由来する。古代ギリシャ語 χώρα は、英語の chorography(地誌学)などの接頭辞 choro- の語源でもある。
類義語として αγρός(農地、耕作地)があるが、χωράφι はより日常的で、特に一年生植物を育てる区画を指すことが多い。
一方、κατοικία(住居)や οίκος(家、家系)は居住空間を指す言葉であり、土地そのものを指す χωράφι とは区別される。
主な意味は「耕作地、畑」。一年生植物が栽培される土地を指す。比喩的には、個人の管轄範囲や、精通している専門分野などを指して用いられる。
ギリシャ語:αεροπλάνο
読み方:アエロプラノ・アエロプラーノ
ラテン文字:aeroplano
フランス語の aéroplane(飛行機。「空中をさまようもの」の意の合成語)からの外来借用で、19世紀後半のフランスで作られた語が国際語化してギリシャ語にも入った。文語形 ἀεροπλάνον が後に口語化して αεροπλάνο の形に落ち着き、口語ではアクセント位置が移った αερόπλανο の形も並行する。フランス語の aéroplane 自体は、両構成要素ともに古代ギリシャ語由来の学術合成で、ἀέρ- / ἀήρ(空気、空)と πλάνος(さまよう、さまよい歩く)から作られた。古代ギリシャ語にもヘレニズム期に ἀεροπλάνος(空中をさまよう)という形容詞が存在したが、現代の「飛行機」を指す名詞用法はフランス語経由で取り入れられた再借用(αντιδάνειο)にあたる。英語 airplane(米), aeroplane(英)も同じフランス語経由の並行借用。
類義語に αεροσκάφος(航空機。古代 σκάφος「船」+ ἀέρ- の合成、軍事・公式・技術文書の硬い形で、ヘリコプターを含む飛行機械全般を指す), ιπτάμενο μέσο(飛行体、飛行機械。書き言葉の硬い形)。αεροπλάνο は翼とエンジンを備えた固定翼機を指すふつうの形として広く使う。派生に αεροπλανάκι(小さな飛行機、おもちゃの飛行機。指小形), αεροπλανοφόρο(航空母艦、空母), αεροπλανικός(飛行機の、航空機の)。関連語に αέρας(空気、風。第一構成要素 ἀέρ- の元), αερο-(航空・空中を表す結合辞)。
ギリシャ語:πουλί
読み方:プリ・プリー
ラテン文字:pouli
ラテン語で「動物の子供、小鳥、雛」を意味する pullus に由来する。コイネーの時代にギリシャ語へ πούλλος として入り、その指小形 πουλλίον を経て中世ギリシャ語で πουλλί となった。中世後半の音韻変化で λλ が λ に簡略化され、現在の形になった。
英語の pullet(若鶏)や poultry(家禽)も同じラテン語 pullus から来ている。
同じ「鳥」を表す πτηνό という語もあるが、πτηνό は学術的・フォーマルな表現で、日常的には πουλί が使われる。
主な意味は鳥全般で、小さな鳥や鶏の雛を指すこともある。親しみを込めた呼びかけや比喩にも使われ、成句にもよく登場する。
指小形の πουλάκι もよく使われる。
ギリシャ語:βράδυ
読み方:ブラディ・ブラーディ
ラテン文字:vrady
古代ギリシャ語の βραδύς(緩慢な、遅い)から。アクセント位置の変化には、ヘレニズム期の副詞 βράδιον(より遅く)の影響があったと考えられている。
この語の語源である βραδύς は、英語では brady-(緩慢な、遅い)として bradycardia(徐脈)などの医学用語に残る。
類義語の νύχτα も「夜」を表すが、βράδυ は主に日没から真夜中ごろまでの晩の時間を指し、νύχτα は暗い時間帯全体や就寝時間まで含めて広く言いやすい。
主な意味は「晩」「夕方」「夜」。日が暮れるころから深夜までの時間を指すほか、文脈によっては夜の暗がりそのものも表す。副詞的に「夜に」の意味でも使われ、指小語 βραδάκι は宵の口や晩の早い時間を指す。
ギリシャ語:κέφι
読み方:ケフィ・ケーフィ
ラテン文字:kefi
トルコ語の keyif(楽しみ、気晴らし。方言では kef)から入った語で、さらにその背景にはアラビア語系の語がある。
χαρά も「喜び」を表すが、κέφι は単なる喜びよりも動きのある語で、内側から湧く上機嫌さ、ノリの良さ、何かをしたくなる勢いを表す。パーティーや音楽で場が盛り上がっているときや、何かに熱中する気分を言うときによく使う。
主な意味は、上機嫌で陽気な気分。また、何かをしたいという意欲や気分も指す。複数形 κέφια では、そのときどきの機嫌や調子をまとめて言うこともある。
ギリシャ語:βούτυρο
読み方:ヴティロ・ヴーティロ
ラテン文字:voutyro
古代ギリシャ語の βούτυρον(牛のチーズ、バター)から。βοῦς(牛)と τυρός(チーズ)の合成語で、もともとは「牛のチーズ」、すなわちバターを指していた。なお現代ギリシャ語でチーズは τυρί。
ラテン語の butyrum を経て、英語の butter やフランス語の beurre など多くの言語に借用されている。
連結形 βουτυρο- / βουτυρό- は複合語の第一成分として使われ、βουτυροκομείο(バター製造所)、βουτυρομηχανή(バター攪拌機)などの語をつくる。
また、蔑称的に、過保護に育てられたひ弱な人物を指す語にも使われる。βουτυρόπαιδο は甘やかされて育った子ども(バター坊や)、βουτυρομπεμπές はなよなよした若者(バター赤ちゃん)を表す。
主な意味は γάλα(牛乳)などから作られるバター。植物の種子から抽出される固形油脂(ココアバターなど)にも使われる。類義語の μαργαρίνη(マーガリン)とは異なり、一般的に乳脂肪由来のものを指す。
比喩的には「ψωμί(パン)の上のバター」の形で、誰かにとって好都合な状況を表す表現にも使われる。
ギリシャ語:δίπλωμα
読み方:ディプロマ・ディープロマ
ラテン文字:diploma
古代ギリシャ語の δίπλωμα を継承。動詞 διπλόω(二重にする、折り畳む)に結果を示す接尾辞 -μα がついた語で、もとは「二重のもの、折り畳まれたもの」を意味した。古代には「銀河の二重の流れ」「胎児の折り畳まれた姿勢」のような具体的な意味から、折り畳まれた書面、すなわち推薦状や通行証、旅行許可証を指す用法までを含んだ。ローマ期にラテン語 diploma が公的文書の意味で定着し、中世以降はヨーロッパで学業修了や権限付与を示す公文書を指すようになった。現代ギリシャ語の「学位証、免許、証書」の意味は、古代からの「折り畳まれた公文書」の流れを受け継ぎつつ、ラテン語 diploma やフランス語 diplôme の用法と連動して確立したもの。
類義語に πτυχίο(学位、大学卒業証)、πιστοποιητικό(証明書)、βεβαίωση(証明書類)、άδεια(免許、許可証)など。同じ語から枝分かれした διπλωμάτης(外交官)、διπλωματία(外交)、διπλωματικός(外交的な)は、外交官が折り畳まれた公文書を携えたことにちなむ語族。英語 diploma、diplomat、diplomacy もこの系統の同系語。
ギリシャ語:γιαούρτι
読み方:ヤウルティ・ヤウールティ
ラテン文字:giaourti
トルコ語の yoğurt に由来。英語 yogurt など多くの言語に取り入れられた語で、ギリシャ語にはバルカン半島のトルコ語方言またはアルーマニア語(ブラフ語)を経由して入った。ブルガリア語 yagurt、ルーマニア語 yaurt も同じ語源。日本で馴染み深い「ヤクルト」も、エスペラント語で「ヨーグルト」を意味する jahurto をもとにした商品名で、同じトルコ語に行き着く。
トルコ語 yoğurt の中間音 [ğ] は、ギリシャ語に取り込まれる際に消失、あるいは滑らかな発音へと変化している。指小語 γιαουρτάκι は少量のヨーグルト、または可愛らしい言い方として使われる。
ギリシャ語:ψωμί
読み方:プソミ・プソミー
ラテン文字:psomi
古代ギリシャ語で「一口、ちぎった破片」を意味した ψωμός に由来する。ヘレニズム期(コイネー)にその指小辞 ψωμίον が「パンの一切れ」を指すようになり、中世以降、現在の「パン」という意味で定着した。ψωμάς(パン屋)などの派生語がある。
類義語に άρτος がある。ψωμί は日常的な話し言葉で使われるが、άρτος はより古風、あるいは宗教的・公式な文脈(聖体拝領のパン、日々の糧としてのパンなど)で好まれる。
主な意味は「パン」。小麦粉、水、塩、酵母を混ぜて焼いた主食を指す。転じて「生活の糧、生計」や、口語では比喩的に「利益、将来性」を意味することもある。
指小語 ψωμάκι は小さなパンを指すほか、口語の複数形 ψωμάκια は腰回りの脂肪の意味でも使われる。
ギリシャ語:περιστέρι
読み方:ペリステリ・ペリステーリ
ラテン文字:peristeri
古代ギリシャ語の περιστερά(ハト)から。中世ギリシャ語で περιστέριν となり、現代ギリシャ語の περιστέρι に至った。もともとは「小さなハト」を意味する指小辞だったが、時代を経て指小の意味合いは薄れ、ハトを指す最も一般的な語となった。
ギリシャ語にはハトを表す語として περιστερά(ペリステラー)もある。日常的にはもっぱら περιστέρι が使われるが、περιστερά は格式高い文語的な表現にあたり、宗教的な文脈や象徴的な意味合いで好まれる。キリスト教で聖霊を象徴する鳩やノアが放った鳩にも用いられる。
アクセントの位置だけが異なる περιστέρα(ペリステラ)という語もある。περιστερά が末尾の -ά にアクセントを置くのに対し、περιστέρα は -έ- にアクセントを置く。こちらは口語でメスのハトを指すほか、女性への愛称や、平和を支持する政治家を指す比喩としても使われる。
ハトのヒナを指す πιτσούνι もよく使われる語で、口語では子供や恋人への親愛を込めた呼びかけにもなる。複数形 πιτσούνια は熱愛中のカップルを指すこともあり、からかいのニュアンスを帯びることもある。指小形の πιτσουνάκι やその複数形 πιτσουνάκια も同様に、仲睦まじいカップルの愛称として使われる。
主な意味はハトで、中程度の大きさの体と比較的小さな頭を持ち、つがいで生活する鳥の総称。野生のものも飼いならされたものもいる。言論や芸術表現では平和、無垢、純潔の象徴として、キリスト教では聖霊の象徴としても用いられる。
指小語として περιστεράκι も用いられる。
ギリシャ語:τυρί
読み方:ティリ・ティリー
ラテン文字:tyri
古代ギリシャ語の τυρός(凝固した乳製品、チーズ)から、その指小形 τυρίον(小さなチーズ)を経て、中世ギリシャ語の τυρί(ν) となり、現代の形に至る。
古代ギリシャ語の τυρός は「凝固したもの」を広く指す語で、そこから派生した語は専門用語にも残る。化学用語のチロシン(tyrosine)は、チーズから初めて発見されたアミノ酸であることにちなむ。
主な意味はチーズ。また、Τι;(何?)に対し韻を踏んで返す皮肉な返答としても使われる。τυράκι は τυρί を親しみを込めて呼ぶ指小語。
ギリシャ語:χελιδόνι
読み方:ヘリドニ・ヘリドーニ
ラテン文字:chelidoni
古代ギリシャ語の χελιδών(ツバメ)の指小形 χελιδόνιον(ヘレニズム期に「小さなツバメ」)が、中世ギリシャ語の χελιδόνι(ν) を経て、指小辞の意味を失って単に「ツバメ」を指す形として今に至る継承語。古代の χελιδών 自体は印欧祖語にさかのぼる確実な同根語が見当たらず、Beekes は語末の -ιδ- が非インド・ヨーロッパ語に多い形態であることから先ギリシャ語基層からの借用語と位置づけている。ラテン語 hirundō(ツバメ)も同じ地中海系基層語からの並行借用と考えられている。同じ χελιδόνιον は薬草の名としても古代から使われた。ツバメの到来とともに咲くとされたクサノオウ(Chelidonium majus)の古名で、植物学名 Chelidonium、英語 chelidonine(ケリドニン、クサノオウ由来のアルカロイド)の語源にもなった。
χελιδόνι は背中が黒く腹が白い、二股に分かれた尾を持つ小型の渡り鳥(Hirundo rustica)を指す形として広く使い、ある土地への到来が春の訪れの前兆とされる文化的シンボルでもある。派生に χελιδονάκι(小さなツバメ。指小形), χελιδόνισμα(春のツバメの渡来を祝う民俗的な歌謡), χελιδονοφωλιά(ツバメの巣)。関連語に χελιδόνα(古代 χελιδών の女性形を保った別形), χελιδών(古代由来の文語・学術形), άνοιξη(春。ツバメの到来と結びつく季節)。
ギリシャ語:πλοίο
読み方:プリオ・プリーオ
ラテン文字:ploio
古代ギリシャ語の動詞 πλέω(航海する、浮く)から派生した πλοῖον(航海するもの)に由来する。現代ギリシャ語で πλοίο の形になった。
πλοίο は公式な響きを持ち、大型の船舶を指すニュアンスがある。日常会話では καράβι がより一般的に使われ、σκάφος はボートや小型船舶を含めた「艇」全般を指す。
指小辞を付けた πλοιάριο(形式的な表現)や πλοιαράκι(口語的な表現)もある。
主な意味は「船」。比喩的には Το πλοίο της ερήμου(砂漠の船)としてラクダの別称にも使われる。
ギリシャ語:όρος
読み方:オロス・オーロス
ラテン文字:oros
古代ギリシャ語の ὅρος(境界、限界、定義)と ὄρος(山)に由来。
男性名詞のもとになった ὅρος は、もともと土地の境界を示す標石を指した。そこから論理学の「項」や「定義」の意味が生まれ、さらに「条件」「用語」へと広がった。同じ語源の動詞 ὁρίζω(境界を定める)は、英語 horizon(地平線)の語源でもある。
中性名詞 ὄρος は古代から一貫して「山」を意味する。現代ギリシャ語では文語的・地理学的な語で、日常的には βουνό が使われる。
現代ギリシャ語では気息記号が廃止され、どちらも όρος と書かれるが、文法上の性で区別が残り、男性名詞 ο όρος が条件や用語を、中性名詞 το όρος が山を表す。
ギリシャ語:άλικο
読み方:アリコ・アーリコ
ラテン文字:aliko
形容詞 άλικος(鮮紅色の)の中性形が名詞として用いられるようになったもの。
鮮紅色そのものを指す。
ギリシャ語:αχλαδόμηλο
読み方:アフラドミロ・アフラドーミロ
ラテン文字:achladomilo
αχλάδι(ナシ)と μήλο(リンゴ)からなるギリシャ語内の合成語で、ともに古代ギリシャ語から継承された構成要素を組み合わせて作られた。リンゴのように丸い形をしたナシ、つまりアジア原産のナシ(和梨)を指し、英語 Asian pear, apple pear に相当する。並行する呼称として日本語の「梨」をそのまま音写した外来借用 νάσι もあるが、ふつうは αχλαδόμηλο が使われる。
類義語に νάσι(和梨。日本語「梨」からの外来借用)。αχλαδόμηλο は和梨を指すふつうの形として広く使う。派生に αχλαδομηλιά(和梨の木。-ιά は果樹を表す語尾)。関連語に αχλάδι(ナシ、洋梨。第一構成要素), μήλο(リンゴ。第二構成要素)。
ギリシャ語:αχλάδι
読み方:アフラディ・アフラーディ
ラテン文字:achladi
古代ギリシャ語の ἀχράς(野生のナシ。属格 ἀχράδος)を継承。ヘレニズム期コイネーで変異形 ἀχλάς が生まれ、中世ギリシャ語ではその指小形 ἀχλάδιον(小さなナシ)が日常のナシ全般を指す形として定着して今の αχλάδι に落ち着いた。やがて単数の素形は αχλάδα として「大きなナシ」を指す側に分かれ、αχλάδι がふつうのナシを担う形になった。古代の ἀχράς は印欧祖語の古い果樹名にさかのぼる独立した古層の語で、明確な近縁の同族語は他の古典語にあまり残っていない。
類義語に απίδι(ナシ。話し言葉や地域的な言い方), άπιον(ナシ。古代ギリシャ語由来で、今は事実上使わない)。αχλάδι はナシ全般、特に洋梨を指すふつうの形として広く使う。派生に αχλαδάκι(小さなナシ。指小形), αχλάδα(大きなナシ。素形が増大形相当に分かれた語), αχλαδιά(ナシの木), αχλαδεώνας(ナシ畑、果樹園), αχλαδής(ナシ色の、薄黄緑の)。合成語に αγριαχλάδι(野生のナシ), αγριαχλαδιά(野生のナシの木), αχλαδόμηλο(和梨、ナシリンゴ), αχλαδόσχημος(ナシ形の)。
ギリシャ語:βύσσινο
読み方:ヴィシノ・ヴィーシノ
ラテン文字:vyssino
古代ギリシャ語の βύσσινος(亜麻布製の、亜麻布の色をした)の中性形 βύσσινον が、中世ギリシャ語以降に名詞化されてサワーチェリーの果実を指す形として使われるようになった継承語。βύσσινος は古代ギリシャ語の βύσσος(亜麻布、上等な麻布、絹)に -ινος(〜製の、〜由来の)が付いた形容詞で、布地の色合いから「深紅色の」の意味も帯び、深い赤色をしたサワーチェリーの果実の名として定着した。古代の βύσσος 自体はセム語派からの借用語で、ヘブライ語 בּוּץ(būṣ、亜麻布), アラム語 בּוּצָא(būṣā、亜麻布)と同根で、地中海交易を介して古代ギリシャ語に入った古層の語。同じ βύσσος からラテン語 byssus を経て、英語 byssus(イガイ類の足糸)も派生した。
類義語に κεράσι(サクランボ。古代 κεράσιον 由来の継承語で、Prunus avium、甘くて大粒の品種を指す)。βύσσινο はサクランボより小ぶりで酸味の強い Prunus cerasus(スミミザクラ、モレロチェリー類)の果実と、それを煮詰めたシロップ漬けの伝統菓子(γλυκό του κουταλιού)を指す形として広く使う。派生に βυσσινιά(サワーチェリーの木。-ιά は果樹を表す語尾), βυσσινής / βυσσινί(えんじ色の、サワーチェリー色の), βυσσινάδα(サワーチェリーのジュース、シロップ)。合成語に βυσσινόκηπος(サワーチェリーの果樹園)。
ギリシャ語:χάλι
読み方:ハリ・ハーリ
ラテン文字:chali
トルコ語の hâl(状態、状況、有様)からの外来借用で、トルコ語自体はアラビア語 ḥāl(حال、状態)を語源とする。オスマン期にギリシャ語に入り、口語で「ひどい状態」「惨状」というネガティブな意味に偏って定着した。日常では複数形 χάλια の形で補語・副詞的に用いられ、「ボロボロだ」「気分が最悪だ」といった意味を表すことが多い。同綴の χαλί(絨毯)はアクセント位置(語末)も語源(トルコ語 halı < ペルシャ語 qālī)も異なる別語で、χάλι はアクセントが語頭にあり状態の悪さを指す側に分かれている。
類義語に κατάσταση(状態。古代ギリシャ語由来で中立的に状態を指し、悪い意味に限らない硬い文脈で広く使う), χαμός(混乱、騒動、惨状。χάνω「失う」由来), ρεζίλι(恥さらし、無様な様子。トルコ語 rezil 由来の外来借用), κουρέλι(ぼろ、ぼろ切れ。比喩的にぼろぼろの状態を指す)。χάλι は物理的な汚れから健康・経済・精神まで、あらゆる悪い状態をひっくるめて指す形として広く使う。
ギリシャ語:κυπαρίσσι
読み方:キパリシ・キパリーシ
ラテン文字:kyparissi
古代ギリシャ語 κυπάρισσος(イトスギ)の指小形 κυπαρίσσιον を経て, 中世ギリシャ語の κυπαρίσσι(ν) を継承。語末の -ν が脱落して現代ギリシャ語の κυπαρίσσι の形になった。英語 cypress, フランス語 cyprès もラテン語 cupressus を経て同じ κυπάρισσος にさかのぼる。
派生に κυπαρισσάκι(小さなイトスギ, 指小形), κυπαρισσένιος(イトスギ材の), κυπαρισσί(イトスギ色の, 濃緑色の), κυπαρισσώνας(イトスギ林)。合成語に κυπαρισσέλαιο(イトスギ油), κυπαρισσόμηλο(イトスギの実), κυπαρισσόξυλο(イトスギ材)。
ギリシャ語:μήλο
読み方:ミロ・ミーロ
ラテン文字:milo
古代ギリシャ語 μῆλον(果実全般)を継承。古代にはリンゴのほかマルメロや桃など木の実全般を指したが, 現代ギリシャ語ではリンゴに意味が絞られ, 語尾 -ον が脱落して μῆλο / μήλο の形になった。英語 melon は μῆλον と πέπων(熟したウリ)の合成語 μηλοπέπων がラテン語 melopepo を経て変化したもので, 同じ μῆλον にさかのぼる。
派生に μηλιά(リンゴの木), μηλίτης(リンゴ酒, シードル), μήλινος(リンゴ色の, 淡黄緑色の), μηλιώνας(リンゴ園)。合成語に μηλόπιτα(リンゴのパイ), μηλομαρμελάδα(リンゴジャム), μηλόκρασο(リンゴ酒), μηλοχυμός(リンゴジュース), μηλοπέπονο(カンタロープ), μηλοκύδωνο(マルメロ), ξινόμηλο(酸っぱいリンゴ), μηλολόνθη(コガネムシ)。
ギリシャ語:κλήμα
読み方:クリマ・クリーマ
ラテン文字:klima
ギリシャ語:σταφύλι
読み方:スタフィリ・スタフィーリ
ラテン文字:stafyli
ヘレニズム期に古代ギリシャ語 σταφυλή(ブドウの一房)の縮小辞 σταφύλιον が作られ, 中世ギリシャ語の σταφύλιν を経て, 現代ギリシャ語の σταφύλι に至った。
派生語の σταφυλιά(スタフィリャ)はブドウの棚やブドウの木を指す。ブドウの木そのものは κλήμα(クリーマ)とも呼ばれ、κλήμα から派生した κληματαριά(クリマタリア)は枝を棚状に仕立てたブドウ棚を指す。αμπέλι(アンベリ)はブドウ畑やブドウ園を意味する。
主な意味はブドウの果実で、中央の茎から枝分かれして垂れ下がる粒の集合体を指す。
ギリシャ語:χαλάκι
読み方:ハラキ・ハラーキ
ラテン文字:chalaki
χαλί(絨毯)に指小辞 -άκι がついた形。
小さな絨毯のほか、玄関に置く靴拭き用のドアマットを指すのによく使われる。
ギリシャ語:χαλί
読み方:ハリ・ハリー
ラテン文字:chali
トルコ語の halı(絨毯)からの外来借用で、トルコ語自体はペルシャ語 قالی(qālī、絨毯)を語源とする。オスマン期にギリシャ語に入った語で、絨毯文化と結び付いて家庭用の床敷物を指す形として定着した。同綴の χάλι(ひどい状態)はアクセント位置(語頭)も語源(トルコ語 hâl < アラビア語 ḥāl)も異なる別語で、χαλί はアクセントが語末にあり敷物を指す側に分かれている。
類義語に τάπητας(絨毯、織物。古代ギリシャ語 τάπης 由来で、行政・公式・装飾文化の硬い文脈で使う), μοκέτα(カーペット。フランス語 moquette 由来の外来借用で、壁から壁まで敷き詰める固定式の絨毯を指す), κιλίμι(キリム。トルコ語 kilim 由来の外来借用で、毛足のない平織り絨毯を指す)。χαλί は床に置く取り外し自在な絨毯全般を指すふつうの形として広く使う。派生に χαλάκι(小さな絨毯、玄関の靴拭きマット。指小形)。
ギリシャ語:χαρτί
読み方:ハルティ・ハルティー
ラテン文字:charti
古代ギリシャ語の χάρτης(パピルスの巻物、紙)の指小形 χαρτίον が、ヘレニズム期には指小辞の意味を失って紙そのものを指す形として日常で用いられ、中世ギリシャ語の χαρτίν を経て今の χαρτί に落ち着いた継承語。χάρτης 自体はエジプトでパピルス紙を指した語で、古代ギリシャから地中海各地にパピルスの製法とともに広まった。トランプの札の意味は、中世以降のイタリア語 carte(カード、トランプ)から入った意味借用(σημασιολογικό δάνειο)。古代の χάρτης はラテン語 charta を経て、英語 chart(海図), charter(憲章), card(カード、仏 carte 経由), cartoon(漫画), cartography(地図学), フランス語 carte(カード、地図), イタリア語 carta(紙、カード), スペイン語 carta(手紙、カード), 日本語のカルタ(ポルトガル語 carta 経由)など、世界中の「紙・カード」関連の語の源になった。
類義語に κάρτα(カード、ハガキ。同じ古代の χάρτης から伊 carta 経由で戻ってきた再借用で、プラスチック製のカードや回路基板を指す), σελίδα(ページ。書面の片面を指す)。χαρτί は工業製品としての紙、書類、トランプの札を指すふつうの形として広く使う。派生に χαρτάκι(小さな紙、メモ紙。指小形), χάρτινος(紙製の), χαρτόνι(厚紙、ボール紙), χαρτονένιος(厚紙の), χαρτιάζω(カード遊びをする)。関連語に χάρτης(地図、海図、憲章。同じ古代の χάρτης の素形を保った形で硬い意味で残る)。合成語に χαρτονόμισμα(紙幣), χαρτοφύλακας(書類入れ、ブリーフケース), χαρτοπαίκτης(カード賭博師), χαρτοπαιξία(カード遊び、賭博), χαρταετός(凧), γυαλόχαρτο(紙やすり), τραπουλόχαρτο(トランプの札), εφημεριδόχαρτο(新聞紙)。
ギリシャ語:κλάμα
読み方:クラマ・クラーマ
ラテン文字:klama
古代ギリシャ語の κλαῦμα(泣くこと、嘆き)を継承。動詞 κλαίω(泣く)に行為・結果を表す接尾辞 -μα が付いた中性名詞で、中世ギリシャ語で発音 [klavma] の子音連続が同化して [klamma] となり、二重子音が単純化して [klama] に落ち着いた。古代の κλαίω は印欧祖語に確実な同根語が見当たらず、アルバニア語 qaj(泣く)と結び付く可能性のほか、先ギリシャ語基層からの継承や擬音的な起源も想定されている。
類義語に θρήνος(嘆き、哀歌。儀礼的・公的な嘆きを指す古代由来の硬い形), οδυρμός(号泣、嘆き悲しむ声。書き言葉の硬い形), λυγμός(むせび泣き、しゃくり), δάκρυ(涙のしずく。一滴一滴の涙そのものを指す)。κλάμα は涙を流して泣く行為や泣き声そのものを指す形として、子供のぐずりから大人の悲嘆まで幅広く使う。関連語に κλαίω(泣く。動詞、κλάμα の元の動詞), κλαψιάρης(泣き虫。κλαψ- 系の派生), κλαψουρίζω(めそめそ泣く)。
ギリシャ語:αυτί
読み方:アフティ・アフティー
ラテン文字:afti
古代ギリシャ語の οὖς(耳。属格 ὠτός、語幹 ὠτ-)の指小形 ὠτίον が、日常では指小辞の意味を失って本来の「耳」を指す形として用いられたものを継承。中世ギリシャ語で冠詞つき複数形 τὰ ὠτία の連続発音の中で、母音衝突を避けて ω が半母音 [w] となり、無声子音 [t] の前で [f] に変化した [taftía] が新しい語幹として再分析され、単数形 αὐτί(ν) または ἀφτί が生まれて今に至る。表記は語源に忠実な αφτί と、のちに αὐτός(自分)と結び付けて綴った民間語源の αυτί が並存し、現在は αυτί の表記が広く使われる。「耳」を表す印欧祖語の語根にさかのぼり、ラテン語 auris(耳), 英語 ear と語根を共有する。英語の医学接頭辞 oto-(耳科学)も同じ ὠτ- からラテン語経由で入った学術借用で、αυτί と語根を共有する。
派生に αυτάκι(小さな耳、取っ手の耳、ページの折り目。指小形), αυτάρα(大きな耳。増大形)。関連語に ους(耳。古代ギリシャ語由来で、今は ωτ- 系の医学・解剖の硬い形にのみ残る), ωτίτιδα(中耳炎、外耳炎), ωτορινολαρυγγολογία(耳鼻咽喉科学。oto-「耳」+ rhino-「鼻」+ laryngo-「喉頭」+ -logy「学」のすべて古代ギリシャ語の部品で構成される学術借用)。
ギリシャ語:μαλλί
読み方:マリ・マリー
ラテン文字:malli
古代ギリシャ語の μαλλός(一房の羊毛、髪のひと房)の指小形 μαλλίον が、ヘレニズム期から中世にかけて指小辞の意味を失って羊毛・髪を指す形として日常で用いられ、中世ギリシャ語の μαλλίν を経て今の μαλλί に落ち着いた継承語。古代の μαλλός は印欧祖語に確実な同根語が見当たらず、先ギリシャ語基層からの借用、あるいはアラビア語・アルメニア語との古い接触からの借用とする説もある。
類義語に τρίχα(毛、髪の毛一本。一本ずつの毛を指す), κόμη(豊かな髪、髪型。文学的・古風な形), τούφα(一房、ひと束。まとまった髪・羊毛の一束), γένια(あごひげ)。μαλλί は単数形で羊毛や素材としての毛を指し、複数形 μαλλιά で人の頭髪を指す形として広く使う。派生に μαλλάκι(やわらかな髪、産毛。指小形), μαλλιαρός(毛深い、毛むくじゃらの), μάλλινος(羊毛の、ウールの), μαλλιάζω(毛だらけになる、毛が伸びる)。
ギリシャ語:ελάφι
読み方:エラフィ・エラーフィ
ラテン文字:elafi
古代ギリシャ語の ἔλαφος(シカ)が、中世ギリシャ語の ελάφι(ν) を経て現代ギリシャ語の ελάφι になった。
英語の elaphine(シカの)や、学名 Cervus elaphus(アカシカ)の elaphus も、この古代ギリシャ語と語源を共有する。
ελάφι はシカ全般を指す最も一般的な語。文語では古い形の έλαφος、口語や詩的な表現では λάφι も使われる。
シカの仲間を細かく言い分けるときは、ζαρκάδι(ノロジカ)、πλατόνι(ダマジカ)、τάρανδος(トナカイ)などの語もある。
主な意味は「シカ」。森林に生息する反芻動物を指し、雌を特に言うときは女性形の ελαφίνα を使う。比喩的には、その ελαφίνα が、すらりとした美しい女性を表すこともある。
ギリシャ語:όνομα
読み方:オノマ・オーノマ
ラテン文字:onoma
古代ギリシャ語の ὄνομα(名前)を継承。印欧祖語で「名前」を表す語根に続き、ラテン語 nōmen, サンスクリット語 nā́man, 英語 name, アルメニア語 anun などと同じ語源。語頭の ο- を外した -νομα に、ラテン nōmen, 英語 name に通じる n…m の骨格が見える。
英語の接尾辞 -onym(synonym 同義語, antonym 反意語, homonym 同音異義語, pseudonym 偽名)は ὄνομα から。onomatopoeia(擬声語)も ὄνομα + ποιέω(作る)からなる合成語 ὀνοματοποιία に由来し、「名を作ること」の意。
動詞は ονομάζω(名づける、呼ぶ), μετονομάζω(改名する)。形容詞に ονομαστικός(名の、主格の), ονομαστός(名高い), ανώνυμος(無名の)。合成語に ονοματεπώνυμο(氏名), ονοματοδοσία(命名)。姓を指すのは επώνυμο。
ギリシャ語:πρόβλημα
読み方:プロヴリマ・プローヴリマ
ラテン文字:provlima
古代ギリシャ語の πρόβλημα(前に差し出されたもの, 課題)に由来。πρό(前に)+ βάλλω(投げる, 置く)からできた προβάλλω(前に出す, 差し出す)の名詞形で, 突き出た地形や防御物, 検討用の課題など複数の意味が重なる。現代ギリシャ語の「問題, 不具合」「学問上の設題」の用法は, フランス語 problème, 英語 problem の意味配置と重なって整った。
英語 problem, フランス語 problème, ドイツ語 Problem もラテン語 problema を経て同じ語源。派生に προβληματικός(問題のある, 疑わしい), προβληματίζω(悩ませる, 考えさせる), προβληματισμός(熟考, 問題意識)。
ζήτημα(事項, 案件)は話し合うべき事柄, θέμα(テーマ, 話題)は主題や話題を言うことが多い。πρόβλημα は対処や解決を要する困難や不具合を指すことが多い。
ギリシャ語:κάπνισμα
読み方:カプニズマ・カープニズマ
ラテン文字:kapnisma
古代ギリシャ語の κάπνισμα(香を焚くこと, 燻蒸)に由来。動詞 καπνίζω(煙を出す, 燻す)に結果・動作を表す -μα が付いてできた語で, 背景には καπνός(煙)の語族がある。もとは神殿での香焚きや燻蒸の作業を指していたが, たばこの普及とともに「喫煙」が中心の意味に移り, フランス語 fumage からの意味借用で輪郭が整った。
同じ καπνός の語族に καπνίζω(煙を出す, たばこを吸う), καπνιστής(喫煙者), καπνιστός(燻製にした), καπνιστήριο(喫煙所)。英語の capno-(煙の)もこの καπνός から入った接頭辞で, capnomancy(煙占い), hypercapnia(高二酸化炭素血症)に見られる。
口語の φούμα, φουμάρισμα はイタリア語 fumare(煙を出す)から入った語。άτμισμα(電子たばこを吸うこと, ベイピング)は ατμός(蒸気)からの造語で, 従来の「喫煙」と区別する文脈で用いる。
ギリシャ語:πνεύμα
読み方:プネヴマ・プネーヴマ
ラテン文字:pnevma
古代ギリシャ語の πνεῦμα(息, 風, 気息)に由来。印欧祖語で「吹く」を表す語根に続く πνέω(吹く)から, 結果を表す接尾辞 -μα を付けて作られた語。「吹くこと」「呼吸」から, 目に見えない生命力, 精神, 霊へと意味が広がり, のちに文法用語の「気息記号」も指すようになった。「法の精神」「文章の趣旨」のように字面の裏にある真意を指す用法は, フランス語 esprit からの意味借用で整った。
英語 pneumatic(空気圧の), pneumonia(肺炎)も同じ語源。同じ語根から πνεύμονας(肺), πνοή(息, 息吹)も派生。派生に πνευματικός(精神の, 空気圧の), πνευματιστής(心霊主義者), πνευματισμός(心霊主義)。
心を扱う語では, 感情は καρδιά(心臓, 心), 思考や理性は νους(精神, 理性), 魂や生命全体は ψυχή(魂)。πνεύμα は知性, 集団や時代の理念, 霊性の側面を扱う。
ギリシャ語:μυστικό
読み方:ミスティコ・ミスティコー
ラテン文字:mystiko
動詞 μύω(口を閉ざす)から派生した古代ギリシャ語の名詞 μύστης(秘儀参入者), その形容詞形 μυστικός(秘儀に関する, 神秘の)を継承した現代ギリシャ語の形容詞 μυστικός の中性形 μυστικό が名詞化した語。「秘密」の意味は近代にフランス語・英語 secret の訳語として定着した。英語 mystery, mystic, mysticism も同じ μύω の語族にさかのぼる。
同じ語族に μυστικός(神秘の, 秘密の), μυστήριο(秘儀, 秘跡, 謎), μυστικότητα(秘匿性, 神秘性), μύηση(入信, 秘儀参入), μυστικιστής(神秘主義者)。
類義語に απόρρητο(機密), αίνιγμα(謎, 難問)。αίνιγμα は解き明かすべき謎を指し, μυστικό は隠されている事柄や神秘を指す。
ギリシャ語:κόσμημα
読み方:コズミマ・コーズミマ
ラテン文字:kosmima
印欧祖語で「告げる, 整える」を表す語根にさかのぼり, ラテン語 cēnseō(評定する, 査定する)やサンスクリット śaṃsati(褒め称える)と同源の語族に連なる古代ギリシャ語の中性名詞 κόσμημα(飾り, 装飾品。κόσμος「秩序, 装飾」から派生した動詞 κοσμέω「整える, 飾る」に結果を表す接尾辞 -μα を付けた形)を継承。κόσμος はもとは「秩序」「調和」の意で, そこから「世界の秩序」としての「宇宙」と「整え飾ること」としての「装飾」の二方向に意味が分かれ, κόσμημα は後者の系譜に属する。英語 cosmos(宇宙), cosmetic(化粧品)は κόσμος からラテン語・フランス語を経由して入った学術借用で, κόσμημα と語根を共有する。
類義語に στολίδι(飾り、装飾品。飾り全般を指す), μπιζού(アクセサリー。フランス語 bijou からの外来借用で、主にファッション小物や安価な装飾品を指す)。κόσμημα は貴金属や宝石を用いた芸術的・金銭的価値の高い宝飾品を指す形として使う。派生に κοσμηματάκι(小さな宝飾品。指小形), κοσμηματοπώλης(宝飾商), κοσμηματοπωλείο(宝飾店), κοσμηματοθήκη(ジュエリーケース)。関連語に κόσμος(世界、宇宙), κοσμέω(整える、飾る), κοσμικός(世俗の、社交界の)。
ギリシャ語:μαρούλι
読み方:マルリ・マルーリ
ラテン文字:marouli
ラテン語で「苦い」を意味する amārus の縮小形 amarula(苦い植物)が語源。この語が中世ギリシャ語に μαρούλιν(maroúlin)として取り入れられ、語頭の a- が落ちて現在の μαρούλι になった。レタスの苦味に由来する名前。
より広い「野菜」を指す λαχανικά のほか、特定の品種を表す άισμπεργκ(アイスバーグレタス)や λόλα(ロロレタス)がある。また、野生の苦いレタスを指す πικρομάρουλο という合成語もある。
キク科アキノノゲシ属の植物で、学名は Lactuca sativa。生食のほか、ギリシャ料理では煮込み料理の具材としても一般的に使われる。
ギリシャ語:στήθος
読み方:スティソス・スティーソス・スティトス・スティートス
ラテン文字:stithos
古代ギリシャ語の στῆθος(胸)を継承。印欧祖語までは確かな再建形は立っていない。
派生に指小形 στηθάκι(小さな胸, 乳房), 形容詞 στηθικός(胸の)。合成語 στηθοσκόπιο(聴診器)は στῆθος と σκοπέω(観察する)を組み合わせた語で, フランス語 stéthoscope, 英語 stethoscope の語源。他に στηθάγχη(狭心症), γυμνόστηθος(胸をあらわにした)。
στέρνο(胸骨)は胸の骨の部分を, μπούστο(バスト, 胴体)はイタリア語 busto 経由の借用で女性の上半身や衣服の胸回りを指し, どちらも στήθος の内側にある部分や側面を区切って言う。感情の宿る「胸, 心」の比喩では καρδιά(心臓)を使うことが多い。
ギリシャ語:μάγουλο
読み方:マグロ・マーグロ
ラテン文字:magoulo
後期ラテン語の magulum(顎、口)がヘレニズム期ギリシャ語に入って μάγουλον となり、中世ギリシャ語を経て今の形に落ち着いた外来借用。magulum 自体は語源不確定で、ラテン語 māla(頬骨、顎)と関係づける説もあるがはっきりしない。
類義語に παρειά(頬。古代ギリシャ語由来で解剖や文芸の文脈で使う硬い形)。μάγουλο は頬を指すふつうの形として広く使う。派生に μαγουλάκι(小さな頬、可愛い頬。指小形), μαγούλα(頬、大きな頬), μαγουλάς(頬の大きい男), μαγουλού(頬の大きい女), μαγουλάδες(おたふくかぜ)。合成語に ροδομάγουλος(バラ色の頬の)。
ギリシャ語:ζαρζαβατικό
読み方:ザルザヴァティコ・ザルザヴァティコー
ラテン文字:zarzavatiko
ペルシャ語の sabz/sabza(緑、青物、野菜)の複数形 sabzavāt が、トルコ語 zerzevat(青物、野菜)として借用され、それがオスマン期にギリシャ語へ ζαρζαβάτι(青物、野菜)として入った外来借用。これに「〜に関するもの」を表す接尾辞 -ικό が付き、ζαρζαβατικό の形になった。日常では複数形 ζαρζαβατικά で「野菜類」を指して使うことが多い。
類義語に λαχανικό(野菜。標準的・正式な形で、栄養学・農学・流通など硬い文脈で広く使う), χορταρικό(野菜、青物。葉物や草を中心に指す)。ζαρζαβατικό は市場や台所、料理の場面で使うくだけた形として広く使う。関連語に ζαρζαβάτι(青物、野菜。-ικό 抜きの形でも単独で野菜を指し、ζαρζαβατικό はこれに -ικό を付けた形)。
ギリシャ語:λαχανικό
読み方:ラハニコ・ラハニコー
ラテン文字:lachaniko
λάχανο(キャベツ)に、「〜に関するもの」を表す接尾辞 -ικό が付いた形。語源をたどると、古代ギリシャ語の λάχανον(野生のハーブ、野菜)に行き着く。
古代ギリシャ語では λάχανον が食用植物全般を意味していたが、λάχανο が「キャベツ」に意味を狭めた一方で、λαχανικό が「野菜」全般を引き継いだ。ヘレニズム期の λαχανικός は「野菜税」の文脈で使われており、現在の「野菜」とは異なる用法だった。
類義語として ζαρζαβατικό(トルコ語由来。庭で採れるような野菜を指す口語)があるが、λαχανικό のほうが標準的で広い概念を指す。
食用となる草本植物、特に菜園で栽培されるものを指す。通常は複数形 λαχανικά で用いられる。
ギリシャ語:λάχανο
読み方:ラハノ・ラーハノ
ラテン文字:lachano
古代ギリシャ語の λάχανον(掘り起こされたもの、食用植物)から。中世ギリシャ語の λάχανον を経て、現代ギリシャ語ではおもに「キャベツ」を指すようになった。
英語の植物学用語で使われる接頭辞 lachano-(野菜の〜)も、この古代ギリシャ語に由来する。
類義語として μάπα(丸いキャベツ)がある。また、学術的・専門的な呼称として κράμβη(アブラナ属、ケール等)が使われることもある。
λαχανο- は「野菜の、キャベツの」を意味する接頭辞で、λαχανικό(野菜)の語源でもある。
主な意味は植物の「キャベツ」。複数形 λάχανα は青物や葉物野菜を指すのにも使われる。料理名や日常的な比喩表現、ことわざにも頻繁に登場する。
ギリシャ語:τριαντάφυλλο
読み方:トゥリアダフィルロ・トゥリアダーフィルロ・トゥリアンダフィルロ・トゥリアンダーフィルロ
ラテン文字:triantafyllo
中世ギリシャ語の τριαντάφυλλον(三十枚の花びらを持つ花。τριάκοντα「三十」+ φύλλον「葉、花びら」の合成)を継承。多くの花弁を持つバラの形態を捉えた中世期のギリシャ語内合成で、古代の ῥόδον に代わってバラを指す形として広まった。古代の ῥόδον も今は ρόδο として詩歌や文芸の硬い文脈に残り、ラテン語 rosa を経由して英語 rose, ドイツ語 Rose, イタリア語 rosa などのバラを指す語の語源になった。英語 rhododendron(シャクナゲ。直訳「バラの木」)はこの ῥόδον からラテン語経由で入った学術借用で、τριαντάφυλλο とは別系統。τριαντάφυλλο 自体もバルカンや東欧の周辺言語に広がり、アルバニア語 trëndafil, ルーマニア語 trandafir, ブルガリア語 трендафил, ウクライナ語 троянда などの形で借用された。
類義語に ρόδο(バラ。古代ギリシャ語由来で詩歌・文芸の硬い形), γκιούλι(バラ。トルコ語 gül 経由でペルシャ語 gul「花」から入った外来借用で、くだけた話し言葉や方言で使う)。τριαντάφυλλο はバラを指すふつうの形として広く使う。派生に τριανταφυλλάκι(小さなバラ。指小形), τριανταφυλλιά(バラの木), τριανταφυλλένιος(バラ色の、バラのような), τριανταφυλλής(バラ色の), τριανταφυλλί(バラ色)。合成語に τριανταφυλλόνερο(バラ水、ローズウォーター), τριανταφυλλόξιδο(バラ酢)。
ギリシャ語:αυγό
読み方:アヴゴ・アヴゴー
ラテン文字:avgo
印欧祖語で「卵」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 ᾠόν(卵)を継承。ヘレニズム期の ὠόν を経て, 中世ギリシャ語で母音の連続を避けて γ が挿入された αυγό(ν) / αβγό(ν) の形が定着した。ラテン語 ovum, 英語 egg, ドイツ語 Ei も同じ語族。英語の接頭辞 ovo- も同じ源。
派生に αυγουλάκι(小さな卵)。αβγό は音の変化をそのまま反映した綴りで, 発音は同じ。
古代 ᾠόν を直接受け継いだ ωόν は, 生物学の「卵細胞」や σιγά τα ωά のような成句に残る。卵子を指す ωάριο も同じ源。
ギリシャ語:κρέας
読み方:クレアス・クレーアス
ラテン文字:kreas
ギリシャ語:κρασί
読み方:クラシ・クラシー
ラテン文字:krasi
古代ギリシャ語の κρᾶσις(混合)を継承。動詞 κεράννυμι(混ぜる)の語幹に状態・結果を表す接尾辞 -σις を付けた形で、もとは κρᾶσις οἴνου(ワインの混合)と言って水で割ったワインを指した表現が、やがて οἴνου を省いて κρᾶσις 単独でワインそのものを指すようになり、中世ギリシャ語 κρασίν を経て今の形に落ち着いた。英語 crater(火口、酒を混ぜる器が原義)や idiosyncrasy(気質、体質。ἴδιος「自分の」+σύν「共に」+κρᾶσις「混合」から)もこの κεράννυμι 系譜からラテン語を経由して入った学術借用。
類義語に οίνος(ワイン。古代ギリシャ語由来でラベル表記や詩歌・文芸の文脈で使う硬い形)。英語 wine や oenology(ワイン学)は οίνος から入った借用で、κρασί と同じワインを指すが語源は別系統。κρασί はワインを指すふつうの形として広く使う。派生に κρασάκι(一杯のワイン、愛称。指小形), κρασάς(ワイン好き、酒飲み), κρασάτος(ワインで煮込んだ、ワイン色の), κρασωμένος(ワインで酔った)。合成語に κρασοβάρελο(ワイン樽), κρασοπότηρο(ワイングラス), κρασοπότι(ワイングラス、盃)。
ギリシャ語:βλέμμα
読み方:ヴレマ・ヴレーマ
ラテン文字:vlemma
古代ギリシャ語の βλέμμα(視線, 眼差し)を継承。動詞 βλέπω(見る)の名詞形で, -μα は動詞の結果や産物を指す接尾辞。「見ること」「見た様子」「目つき」を指す。
同じ βλέπω の語族に βλέψη(視覚, 視力), βλέφαρο(まぶた), βλεφαρίδα(まつ毛), βλεφαρίτιδα(眼瞼炎), 合成語 διαβλέπω(見抜く), παραβλέπω(見逃す), προβλέπω(予見する), επιβλέπω(監督する)。
「ちらっと見ること」を言うには ματιά(一瞥, 視線)を使い, 目そのものは μάτι(目)。βλέμμα はその中間で, 視線の向け方に加え, そこににじむ表情や感情を含む。英語 ablepsia(盲目), hemiblepsia(半盲)のような医学用語も同じ βλέπω の系統を引く。
ギリシャ語:βουνό
読み方:ヴノ・ヴノー
ラテン文字:vouno
古代ギリシャ語の βουνός(丘、小山)から。もともとはドーリス方言、あるいはキレナイカ地方(リビア)の言葉であったとされる。
古典期から中世にかけて、「丘」よりも大きな「山」を指す一般的な語として定着し、中世ギリシャ語の βουνόν を経て現在の形に至る。
βουνό は日常的に最も広く使われる「山」の語。より公的・地理学的な文脈では όρος(山)が用いられ、標高の低い λόφος(丘)とは区別される。
接頭辞 βουνο- として βουνοκορφή(山頂)などの合成語をつくるほか、形容詞 βουνίσιος(山の、山に住む)も派生する。παγόβουνο は πάγος(氷)と βουνό の合成で「氷山」を意味する。
主な意味は標高300メートルを超える「山」。そこから山がちな地域やその周辺も指す。比喩的には、山のように積み上がった「大量のもの」や、克服が困難な「大きな障害」を表す。
ギリシャ語:πέλαγος
読み方:ペラゴス・ペーラゴス
ラテン文字:pelagos
古代ギリシャ語の πέλαγος(海、外洋)に由来。印欧祖語で「平らに広がる」を表す語根に続くとされる。
ラテン語 pelagus と語源を共有する。英語 archipelago は中世イタリア語 arcipelago を経て古代ギリシャ語の ἀρχιπέλαγος(主たる海)に連なり、もとはエーゲ海を指した。エーゲ海には島が多いため、のちに「多島海、列島」の意味でも使われるようになった。
同じ語根からギリシャ語内に πλατύς(広い), πλάγιος(斜めの), πλάξ(平板), παλάμη(手のひら)が派生。派生に πελάγιος(外洋の), πελαγικός(外洋性の), πελαγίζω(水びたしになる), πελαγώνω(途方に暮れる)。合成に αρχιπέλαγος, αρχιπέλαγο(群島、列島), βαθυπελαγικός(深海の)。海全般には θάλασσα を使い、πέλαγος は沖合の広い海域にかぎって使う。大洋は ωκεανός で区別する。
ギリシャ語:έαρ
読み方:エアル・エーアル
ラテン文字:ear
古代ギリシャ語の ἔαρ(春)をそのまま受け継いだ学術借用で、文語・雅語として用いられる。日常的に「春」を指すのは άνοιξη。
印欧祖語で「春」を表す根に由来し、ラテン語 vēr、サンスクリット vasantá-、古ノルド語 vár、古アルメニア語 garun、古代教会スラヴ語 vesna、ペルシャ語 bahâr など、印欧諸語で「春」を表す語と同源。
派生語に εαρινός(春の、古代 ἐαρινός)、εαρινή ισημερία(春分)など。英語 vernal(春の)、vernal equinox(春分)はラテン語 vēr から vernālis を経由した同源語。
ギリシャ語:γαϊδουροκαλόκαιρο
読み方:ガイドゥロカロケロ・ガーイドゥロカロケロ
ラテン文字:gaidourokalokero
γάιδαρος(ロバ)と καλοκαίρι(夏) の合成語。構成要素の γάιδαρος は、古代ギリシャ語の κάνθων(荷役獣)が中世ギリシャ語で γαϊδάριον となり、現在の形に至った語。
接頭辞的に使われる γαϊδουρο- は「ロバのような」から転じて「しつこい、過度な」という意味を付加する。直訳すると「ロバの夏」。
猛暑の意味では、より気象用語に近い καύσωνας(熱波)がある。小春日和の意味では、μικρό καλοκαιράκι(小さな夏)という言い方もある。
主な意味は耐え難いほどの猛暑。また、秋に訪れる小春日和も指す。真夏ならしつこく居座る暑さ、秋なら去り際に戻ってくる夏の暑さで、どちらもロバの頑固さになぞらえた表現。
ギリシャ語:καλοκαίρι
読み方:カロケリ・カロケーリ
ラテン文字:kalokeri
古代ギリシャ語の καλός(良い)と καιρός(時、天気、季節)の合成語 καλοκαίριον から、中世ギリシャ語 καλοκαίρι(ν) を経て今に至る継承。もとは「穏やかな天候、好機」の意で、ギリシャでは一年で最も良い季節とされることから、やがて「夏」そのものを指すようになった。καλός は英語の calligraphy(カリグラフィー)や kaleidoscope(万華鏡)にも借用要素として残り、いずれも「良い、美しい」の意を共有する。
類義語に θέρος(夏)。θέρος は古典・詩歌の文脈で使う硬い語で、特に「収穫期」としての夏を指すことが多い。ふつうは καλοκαίρι が「夏」を表す形として定着している。派生に καλοκαιράκι(気持ちのよい夏の日), καλοκαιρία(好天), καλοκαιριάζω(夏めく、夏になる), καλοκαιρεύω(夏を過ごす), καλοκαιριάτικος(夏の〜), καλοκαιρινός(夏の〜)。合成語に κατακαλόκαιρο(真夏), μεσοκαλόκαιρο(夏の中頃), αποκαλόκαιρο(夏の終わり), αποκαλοκαιρινός(夏の終わりの〜), γαϊδουροκαλόκαιρο(小春日和、猛暑)。
ギリシャ語:χέρι
読み方:ヘリ・ヘーリ
ラテン文字:cheri
印欧祖語で「手」を表す語根にさかのぼり, 古代ギリシャ語の χείρ(手)を継承。ヘレニズム期の指小形 χέριον, 中世ギリシャ語の χέριν を経て, 語末の -ν が落ちた形で今に至る。英語の接頭辞 chiro-(chirography「筆跡」, chiropractic「カイロプラクティック」, chiromancy「手相占い」)はこの χείρ から新ラテン語を経由して入った学術借用。
類義語に μπράτσο(腕、特に上腕部の力強さを表すのに使う), παλάμη(手のひら), βραχίονας(解剖学の「腕」)。派生に χεριά(ひとかき、ひと掴み), χερούλι(取っ手、ハンドル), χεράκι(小さな手。指小形), χερούκλα(大きな手。拡大形), χερακώνω(手荒に扱う)。関連語に χειρ- 系の硬い形の語として χειρίζομαι(扱う、操作する), χειριστήριο(操作機器), δεξιόχειρας(右利き), αριστερόχειρας(左利き), εγχειρίδιο(手引き、マニュアル)。
ギリシャ語:μάτι
読み方:マティ・マーティ
ラテン文字:mati
印欧祖語で「目」を表す語根にさかのぼり, 英語 eye と同じ語根を共有する古代ギリシャ語の ὄμμα(目)の指小形 ὀμμάτιον(小さな目)から, 中世ギリシャ語 μάτι(ν) を経て今に至る継承。冠詞つきの το ομμάτιον が τομμάτιν と再分節され, 先頭の音が落ちて今の形に落ち着いた。
類義語に οφθαλμός(目。医学や公式な文脈で使う硬い形), βλέμμα(眼差し)。英語の接頭辞 ophthalmo-(ophthalmology「眼科学」)はこの οφθαλμός から新ラテン語を経由して入った学術借用。派生に ματάκι(小さな目。指小形。のぞき穴や赤ちゃん用の魔除けも指す), ματιά(視線、一瞥), ματιάζω(邪視をかける), μάτιασμα(邪視), ξεματιάζω(邪視を解く)。合成語に ματόκλαδο(まつ毛), ματόχαντρο(邪視よけのビーズ)。
ギリシャ語:παιδί
読み方:ペディ・ペディー
ラテン文字:paidi
印欧祖語で「少ない, 幼い」を表す語根にさかのぼり, ラテン語 puer(子供)やサンスクリット putrá(息子)と同源の語族に連なる古代ギリシャ語 παῖς(子供, 少年)の指小形 παιδίον(小さな子)から, 中世ギリシャ語 παιδίν を経て今に至る継承。英語の接頭辞 ped(o)-(pedagogy「教育学」, pediatrics「小児科学」)はこの παῖς/παιδ- からラテン語・新ラテン語を経由して入った学術借用。
類義語に τέκνο(子、子女。公的・文芸の文脈で「子孫」のニュアンスを帯びる硬い形), βρέφος(乳児), μωρό(赤ちゃん), νεογέννητο(新生児)。派生に παιδάκι(小さな子、お子さん。指小形), παιδαρέλι(若造), παίδαρος(立派な体格の青年), παιδικός(子供の、子供らしい)。合成語に παιδότοπος(子供の遊び場), εκπαίδευση(教育), εκπαιδευτικός(教育の、教育関係者)。関連語に παιδεία(教育、教養), παίδευση(教育、鍛錬)。
ギリシャ語:χρήμα
読み方:フリマ・フリーマ
ラテン文字:chrima
古代ギリシャ語の動詞 χράομαι(使用する、必要とする)から派生した χρῆμα(必要なもの、物、財産)に由来。現代ギリシャ語では主に「金」「通貨」を表す。
類義語に λεφτά(より口語的・日常的)、παράδες(トルコ語由来、口語)、φράγκα(俗語的、元はフラン貨に由来)がある。これらが日常的な「お金」を指すのに対し、χρήμα は公式な文脈や経済用語として使われやすい。
派生語に χρηματικός(金銭の)、χρηματίζω(金銭を動かす、収賄する)、χρηματιστήριο(証券取引所)、χρηματαγορά(金融市場)がある。
形容詞と組み合わせて μαύρο χρήμα(ブラックマネー)、ζεστό χρήμα(現金、またはホットマネー)、ηλεκτρονικό χρήμα(電子マネー)、ψηφιακό χρήμα(デジタル通貨)、δημόσιο χρήμα(公金)など、経済や報道で使われる専門表現を多く作る。
主な意味は「金(かね)」「通貨」。経済用語としての公式な支払い手段から、日常的な現金、さらには富や権力の象徴としても使われる。複数形 χρήματα は「金額」「現金」の意味で用いられることが多い。
ギリシャ語:αστέρι
読み方:アステリ・アステーリ
ラテン文字:asteri
印欧祖語で「星」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 ἀστήρ(星)の指小形 ἀστέριον を経て, 中世ギリシャ語の ἀστέρι を継承。ラテン語 stella, 英語 star も同じ語族。
派生に αστερώνω(星で飾る), αστερωτός(星形の), αστεράτος(星に恵まれた), αστερισμός(星座)。合成語に αστεροειδής(星のような, 小惑星), πεφταστέρι(流れ星), ξαστεριά(晴れた星空), ξάστερος(晴れた, 星の出た)。
ギリシャ語:άστρο
読み方:アストゥロ・アーストゥロ
ラテン文字:astro
印欧祖語で「星」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 ἄστρον(星)を継承。ラテン語 astrum, 英語 astro-(astronomy, asteroid など)も同じ語族。「運命の星」の意味は中世ギリシャ語の時代から。幾何学図形や記章としての「星」はフランス語 étoile, 「星の戦争」の言い方は英語 star からの意味借用。
派生に αστράκι(小さな星), αστρικός(星の, 恒星の)。同じ語族に έναστρος(星のある, 星の出た), άναστρος(星のない)。合成語は αστρο- の形で作られ, αστρονομία(天文学), αστροφυσική(天体物理学), αστροφεγγιά(星明かり)などがある。
αστέρι は日常の星に, αστέρας は天文学や著名人の比喩に使われ, άστρο は文学や詩, 運命や宗教的シンボルの文脈で好まれる。
ギリシャ語:φεγγάρι
読み方:フェンガリ・フェンガーリ
ラテン文字:fengari
古代ギリシャ語の φέγγος(光、輝き)の指小形 φεγγάριον(小さな光)から、中世ギリシャ語 φεγγάρι(ν) を経て今に至る継承。「光るもの」の意から月を指す語として定着した。
類義語に σελήνη(月)。σελήνη は天文学や暦、公的・学術的な文脈で使うことが多く、φεγγάρι はふだんの月を指す形として広く定着している。派生に φεγγαράκι(小さな月。指小形), φεγγαράδα(月明かり), φεγγαριάτικος(月の〜), φεγγαρίσιος(月の〜), αφέγγαρος(月のない)。合成語に μισοφέγγαρο(半月), φεγγαροβραδιά(月の夜), φεγγαρόλουστος(月光を浴びた), φεγγαρόφωτο(月光), φεγγαροπρόσωπος(月のような顔の), φεγγαροφώτιστος(月光に照らされた)。関連語に φως(光), φέγγω(光る、輝く)。
ギリシャ語:σπίτι
読み方:スピティ・スピーティ
ラテン文字:spiti
ラテン語の hospitium(もてなし、宿。hospes「客、主人」から)がヘレニズム期ギリシャ語に入って ὁσπίτιον となり、中世ギリシャ語 ὁσπίτιν を経て今に至る継承。冠詞 το と結びついて τὸ ὁσπίτιν が τὸ σπίτιν と再分節され、語頭の ο- が落ちて今の形に落ち着いた。英語 hospital(病院), hospitality(もてなし), hostel(ホステル), host(主人)はいずれも同じ hospes の系譜からラテン語・古フランス語を経由して入った借用で、σπίτι と語根を共有する。
類義語に κατοικία(住居。行政や公式の文脈で使う硬い語), οίκος(家、館。古代ギリシャ語由来で企業名や施設名に残る硬い語), νοικοκυριό(所帯、家政), σπιτικό(家庭、一家。建物よりも家庭生活の意味合いが強い)。σπίτι は住まいそのものをふつうに指す形として広く使う。派生に σπιτάκι(小さな家、物置、犬小屋。指小形), σπιταρόνα(大邸宅。増大形), σπιτικός(家庭の、自家製の), σπιτίσιος(家庭の〜), σπιτώνω(住まわせる、囲う)。合成語に ξυλόσπιτο(ログハウス), αγροτόσπιτο(農家), δεντρόσπιτο(ツリーハウス), σκυλόσπιτο(犬小屋), παράσπιτο(離れ), πυργόσπιτο(塔のある家), φτωχόσπιτο(貧しい家), χαμόσπιτο(あばら家)。関連語に σπιτάλι(病院。ヴェネツィア語 spedal 等から入った別系統の借用だが、同じ hospitium 語族から出る)。
ギリシャ語:βεγγαλικό
読み方:ヴェンガリコ・ヴェンガリコー
ラテン文字:vengaliko
地名 Βεγγάλη(ベンガル。英語 Bengal、ベンガル語の自称 Bangla から入った外来借用)を形容詞化した βεγγαλικός(ベンガル風の)の中性名詞形で、英語 Bengal light(ベンガル花火)を写した意味借用(σημασιολογικό δάνειο)として花火を指す名詞に定着した。もとは πυροτέχνημα βεγγαλικό(ベンガル風の花火)と修飾関係で使われていた中性形容詞が単独で名詞化した形。ベンガル花火は、ベンガル地方で信号用に使われた青白い光を放つ火薬を指し、手持ちや信号弾として燃やすタイプのものだった。
類義語に πυροτέχνημα(花火。やや硬い語)。βεγγαλικό は打ち上げ・手持ちの両方を含む花火全般を指す形として広く使う。通常は複数形 βεγγαλικά で用いる。関連語に βαρελότο(爆竹), κροτίδα(クラッカー、爆竹), στρακαστρούκα(爆竹), φωτοβολίδα(照明弾、信号弾), βεγγαλικός(ベンガル風の。形容詞形)。
ギリシャ語:πυροτέχνημα
読み方:ピロテフニマ・ピロテーフニマ
ラテン文字:pyrotechnima
古代ギリシャ語の πυρο-(πῦρ「火」から)と τέχνημα(工芸品、技術で作られたもの。τέχνη「技術、芸術」から)を組み合わせて作られた学術借用で、フランス語 feu d'artifice(花火。直訳「技の火」)の意味を写した翻訳借用(μεταφραστικό δάνειο)。語頭の πυρο- は πυρκαγιά(火災)や πυροδοτώ(起爆する)にも現れる合成要素。
類義語に βεγγαλικό(花火、ベンガル花火)。βεγγαλικό は打ち上げ・手持ちの両方を含む花火全般をふつうに指す形で、πυροτέχνημα はやや硬い語。関連語に花火・爆薬の類語として βαρελότο(爆竹), κροτίδα(クラッカー、爆竹), σκορδάκι(かんしゃく玉), φωτοβολίδα(照明弾、信号弾)。英語の pyrotechnics(花火術)は同じ πῦρ と τέχνη から新ラテン語 pyrotechnicus、フランス語 pyrotechnique を経由して入った学術借用で、πυροτέχνημα と語構成を共有する。
ギリシャ語:κάψιμο
読み方:カプシモ・カープシモ
ラテン文字:kapsimo
古代ギリシャ語の動詞 καίω(燃やす、焼く)のアオリスト語幹 καψ- に行為・状態を表す接尾辞 -ιμο を付けた形で、中世ギリシャ語の κάψιμο(ν) を経て今に至る継承。コンピュータで「焼く(CD や DVD に書き込む)」という意味は、英語 burn から来た意味借用。
類義語に καύση(燃焼)。καύση は化学・工学や火葬の文脈で使う硬い語で、κάψιμο は焼くこと・燃えることをふつうに指す形として広く使う。関連語に καψάλα(焦げ跡), καψάλισμα(軽く焼くこと、きつね色に焼くこと), καύσωνας(猛暑、熱波), καούρα(胸焼け), εμπρησμός(放火), αποτέφρωση(火葬), ζεμάτισμα(熱湯火傷、やけど), τσούξιμο(しみるような痛み)。
ギリシャ語:καύσιμος
読み方:カフシモス・カーフシモス
ラテン文字:kafsimos
古代ギリシャ語の καύσιμος(燃やすのに適した)に由来。動詞 καίω(燃やす)と同じ語根 καυ- からの形容詞。現代ギリシャ語で中性複数形 τα καύσιμα が「燃料」を指す名詞として使われる用法は、フランス語 carburants からの意味借用で定着した。
同じ語根から καύση(燃焼), καυστικός(腐食性の、辛辣な), καυστήρας(バーナー)など。英語 caustic(腐食性の、辛辣な)はラテン語経由で古代ギリシャ語の καυστικός から。holocaust は ὅλος(全部の)と καίω の合成 ὁλόκαυστον(丸ごと焼いた供物)から。
ギリシャ語:ζέσταμα
読み方:ゼスタマ・ゼースタマ
ラテン文字:zestama
古代ギリシャ語の ζεστός(沸騰した、熱い)と、その動詞形である ζεσταίνω(温める) に由来する語。さらに起源は ζέω(煮える、沸騰する)につながり、現代ギリシャ語では「温めること」や「準備運動」の意味で日常的に使われる。
英語の zest(熱意、風味)も、もとをたどれば同じ ζέω から派生したフランス語やラテン語を経由している。
再加熱には αναθέρμανση や ξαναζέσταμα があり、物理的な加熱については θέρμανση(暖房、加熱)とも近い。ただし ζέσταμα はより日常的で、特にスポーツの文脈でよく使われる。対義語には、運動後の αποθεραπεία(クールダウン)や χαλάρωμα(リラックス、弛緩)、冷却を表す κρύωμα がある。
主な意味は、運動前の準備運動と、物体を温めること。そこから、何かの本番に向けた準備の段階を比喩的に言うこともある。
ギリシャ語:ποτό
読み方:ポト・ポトー
ラテン文字:poto
古代ギリシャ語の ποτόν(飲み物)から。動詞 πίνω(飲む)に関連する名詞でもある。
英語の potable(飲料に適した)や potion(一服、水薬)、フランス語の poison(毒。もとは飲み物の意)も、印欧祖語で「飲む」を意味する語根から来たラテン語を経由しており、ποτό と起源を共有している。
文脈によっては飲み物全般を指すが、αναψυκτικό(清涼飲料水)や οινόπνευμα(アルコール)と使い分けられる。口語や俗語では πιοτό という形もあり、親しみを込めた指小語には ποτάκι(ちょっとした一杯、お酒)がある。
:::vocab
主な意味は飲料だが、現代の日常生活では特に酒類、アルコール飲料を指すことが多い。そこから、習慣的な飲酒や酒に頼る状態を指すこともある。
ギリシャ語:θερμός
読み方:セルモス・セルモース・テルモス・テルモース
ラテン文字:thermos
古代ギリシャ語の形容詞 θερμός(温かい, 燃えるような)を継承。印欧祖語で「温かい, 熱い」を表す語根に連なる語で, 同じ語根から古代ギリシャ語の θέρος(夏)や θέρω(温める)が来ている。現代の比喩「熱烈な, 激しい」の用法はフランス語 chaleureux や英語 warm, heated からの意味借用で輪郭が整った。
名詞の θερμός(魔法瓶)は別の経路で, 20世紀初頭に英語で商標化された Thermos(1907年)がフランス語と英語から現代ギリシャ語に入った形。もとをたどれば同じ古代ギリシャ語の θερμός に行き着く再借入となっている。
同じ語族に θερμότητα(熱), θέρμανση(暖房, 加熱), θερμαίνω(温める), θερμικός(熱の), 合成語 θερμόμετρο(温度計, 体温計), θερμοστάτης(サーモスタット), θερμοκρασία(温度)。英語 thermal, thermometer, thermodynamics の thermo- もこの θερμός から入った接頭辞。
物理的な温度は ζεστός(温かい, 熱い)がふつうの会話で使われるのに対し, θερμός は学術的・気象的な場面や, 比喩の「熱烈な」「激しい」で選ばれる。対義語は κρύος(冷たい), ψυχρός(寒い, 冷淡な)。
ギリシャ語:παράθυρο
読み方:パラシロ・パラーシロ・パラティロ・パラーティロ
ラテン文字:parathyro
古代ギリシャ語 παρά(傍らに、沿って)と θύρα(戸、ドア)からの中世ギリシャ語 παράθυρον を継承。もとは「ドアの横にある開口部」の意。
派生に παραθυρόφυλλο(鎧戸、雨戸), παραθυράκι(小窓、抜け穴), εκπαραθυρώνω(追い出す、放逐する), ψευδοπαράθυρο(偽窓、機能しない窓)。関連語に φινιστρίνι(舷窓、船の丸窓)。
ギリシャ語:φαγητό
読み方:ファイト・ファイトー・ファギト・ファギトー
ラテン文字:fagito
古代ギリシャ語 ἔφαγον(食べた)/ φαγεῖν(食べる、不定詞)の語幹 φαγ- に -ητόν を付けて作られた中世ギリシャ語 φαγητόν(食べ物)に由来する。この φαγ- は現代動詞 τρώω(食べる)の過去語幹として今も生きている。
日常寄りの φαΐ(食べ物、食事)に比べると少し整った響きで、料理された食べ物を指すことが多い。ごちそう寄りの語に έδεσμα(料理、ごちそう)。英語 -phagy(食性)や phagocyte(食細胞)も同じ φαγ- を起源とする。
派生の指小形に φαγητούλι(親愛の情を込めた「ごはん」、「おいしいごはん」)。
ギリシャ語:φαΐ
読み方:ファイ・ファイー
ラテン文字:fai
古代ギリシャ語 φαγεῖν(食べる、不定詞、完結相 ἔφαγον から)を継承。中世ギリシャ語 φαγί を経て今の形になった。この φαγ- は現代動詞 τρώω(食べる)の過去語幹として今も生きている。
同じ φαγ- を語幹にもつ φαγητό(食べ物、料理、食事)に比べると、φαΐ はくだけた響きで日常会話によく使う。派生の指小形に φαγάκι(ちょっとした食事、親愛を込めた「おいしいごはん」)。関連語に προσφάι(おかず、添え物)。
英語 sarcophagus(石棺、文字通り「肉を食う石」)や phagocyte(食細胞)の -phag- も同じ φαγ- から。
ギリシャ語:ύδωρ
読み方:イドル・イードル
ラテン文字:ydor
古代ギリシャ語の ὕδωρ(水)からの学術借用。ふだんの「水」は νερό(水)に譲り, 学術・公的・法的・宗教的な文脈の書き言葉に残る。印欧祖語で「水」を表した語根の子孫で, ヘレニズム期以降に νηρόν(新鮮な水)を縮めた νερό がふつうの水を指すようになり, ύδωρ は改まった場面に限られた。
同じ ὕδωρ の語族に派生形容詞 υδάτινος(水の, 水状の), υδατικός(水に関する), υδατώδης(水のような, 水っぽい)。合成語では υδρο- を冠する語が数十並び, υδρογόνο(水素), υδραυλικός(水道工, 水力の), υδροηλεκτρικός(水力発電の), υδροφόρος(給水の), υδρόβιος(水生の), υδατάνθρακας(炭水化物), υδροκέφαλος(水頭症の)などが続く。
ふだんの νερό に対し, ύδωρ は法令・科学・宗教の用語に現れる改まった語。複数形 ύδατα は水域や各種の水をまとめて言うときに使う。近代の言い方では βαρύ ύδωρ(重水), εσωτερικά ύδατα(内水), χωρικά ύδατα(領海)など, フランス語 eau lourde, 英語 inland waters, フランス語 eaux territoriales からの翻訳借用が並び, 専門用語の体系はこうして整った。英語 hydro-, hydrogen, hydraulic, hydrant, ラテン語 unda(波), 英語 water, ドイツ語 Wasser は同じ印欧語根の子孫。
ギリシャ語:βαρελότο
読み方:ヴァレロト・ヴァレロート
ラテン文字:vareloto
イタリア語 barilotto(小さな樽)からの借用で、祝祭や行事で使う爆竹を表す。barilotto は barile(樽)に指小辞 -otto を付けた形。ギリシャ語 βαρέλι(樽)はイタリア語 barile から、英語 barrel は古フランス語 baril から来ていて、いずれも同じ語族につながる。
類義語に κροτίδα(爆竹、クラッカー), στρακαστρούκα(爆竹、かんしゃく玉), μπομπάκι(小型爆弾), δυναμιτάκι(小型ダイナマイト)。関連語に βεγγαλικό(手持ち花火、ベンガル花火), πυροτέχνημα(花火), φωτοβολίδα(照明弾、信号弾)。
ギリシャ語:δέντρο
読み方:デドゥロ・デードゥロ・デンドゥロ・デーンドゥロ
ラテン文字:dendro
古代ギリシャ語の δένδρον(木、樹木)に由来し、中世ギリシャ語の δέντρο(ν) を経て現代の形になった。現代ギリシャ語の基本形は δέντρο で、古い形を保った異形として δένδρο という綴りもある。こちらは古風、文語、学術寄りの文脈で見られる。英語の dendro-、dendrology、rhododendron なども、この δένδρον を起源とする。
ξύλο(木材、材木、殴打、お仕置き、薪) が材料としての木を指すのに対して、δέντρο はふつう生えている木、樹木そのものを指す。類義語の θάμνος(低木、灌木) は、主幹がはっきりしない低い木を言うことが多い。比喩では、平和や自由の象徴としての木や、図式的な構造としての樹形図にも広がる。
接頭辞 δενδρο- は樹木に関する語を作り、δενδροδιάγραμμα(樹形図)のような語にも見られる。主な意味は樹木で、そこから系統樹やツリー図にも使われる。
:::vocab
:::example
ギリシャ語:ξύλο
読み方:クシロ・クシーロ
ラテン文字:xylo
古代ギリシャ語の ξύλον(切られた木、棒、木材)から。古代から現代に至るまで、植物としての木そのものではなく、材料としての木材や、それで作られた棒を指す語として発達した。英語の xylophone の xylo- も、この ξύλον を語源としている。
木そのものは δέντρο(木、樹木)で言うことが多く、材木や木材工業の文脈では ξυλεία も使われる。接頭辞 ξυλο-(木製の、打撃の)は、ξυλουργός(大工)や ξυλοδαρμός(殴打)のように、多くの語を作る。
:::vocab
主な意味は木材。樹木の幹や枝の硬い組織や、それを材料にしたものを指す。比喩では殴打やお仕置き、寒さなどで体が硬くなった状態にも使われる。複数形 ξύλα は、燃料としての薪を指すことも多い。
ギリシャ語:κάρβουνο
読み方:カルヴノ・カールヴノ
ラテン文字:karvouno
ラテン語 carbō(炭)に由来し、ヘレニズム期ギリシャ語 κάρβων、中世ギリシャ語 κάρβουνον を経て今に至る。英語 carbon(ラテン語 → フランス語 carbone 経由)も同じ carbō を起源とする。
現代ギリシャ語で化学の炭素を指すのは άνθρακας で、κάρβουνο は燃料や画材の炭、炭火を広く指す。木炭は ξυλοκάρβουνο と ξυλάνθρακας, 石炭は πετροκάρβουνο と γαιάνθρακας のように、κάρβουνο 側と άνθρακας 側で並行して合成語を作る。
派生に καρβουνιάζω(真っ黒に焦がす、炭にする), καρβουνιάρης(石炭を扱う人、昔の蒸気機関車), καρβουνάκι(小さな炭)。
ギリシャ語:πυρ
読み方:ピル
ラテン文字:pyr
古代ギリシャ語の πῦρ(火)に由来。印欧祖語で「火」を表す語根に続く語で, 英語 fire, ドイツ語 Feuer, ヒッタイト語 paḫḫur も同じ語根の仲間。英語 pyre(火葬の薪), pyro-(火の〜), pyromania(放火癖)はこの語からラテン語経由で英語に入った。
射撃や砲火を指す用法は, フランス語 feu, 英語 fire からの意味借用で加わった。派生に πυρά(篝火, 砲火), πυρετός(熱, 熱病), πυροσβέστης(消防士), πυροβόλο(大砲)。
ふだん「火」と言うときは φωτιά, πυρ は軍事や宗教, 哲学の文脈や慣用句に使うことが多い。
ギリシャ語:φως
読み方:フォス・フォース
ラテン文字:fos
古代ギリシャ語の φῶς(光)を継承。英語 photo-(photograph, photon など)はこの語の結合形 φωτο- に由来する。
類義語に λάμψη(輝き)、対義語に σκοτάδι(闇)など。指小語 φωτάκι は小さな光、小さなランプ。
主な意味は物理的な光や明かり。比喩的に「知識」「真相」「視力」なども意味する。また、愛する人への呼びかけとしても使われる。複数形 φώτα で知識・知恵を表す用法は、フランス語の lumière からの意味借用で、啓蒙思想(Les Lumières)の時代に「光=知」の比喩がギリシャ語に取り入れられた。
ギリシャ語:ζώο
読み方:ゾオ・ゾーオ
ラテン文字:zoo
古代ギリシャ語の ζῷον(生き物、動物)から。ζῷον は ζωός(生きている)に指小辞 -ιον がついた形で、もとは「小さな生き物」を意味した。この語は ζωή(命)や ζω(生きる)と語根を共有している。英語の zoology(動物学)や zoo(動物園)、接頭辞の zoo- は、この古代ギリシャ語が起源である。
類義語として、文脈により ζωντανό(家畜、生き物)、αγρίμι(野生動物)、θηρίο(猛獣)、κτήνος(獣、非道な人間)などと使い分けられる。
主な意味は、植物と対比される動物全般を指すが、とくに人間(άνθρωπος)や鳥(πουλί)、魚(ψάρι)、昆虫(έντομο)を除いた哺乳類(θηλαστικό)を指すことも多い。比喩的には、教養のない人や愚かな人に対する罵倒語としても使われる。
指小語の ζωάκι は小さな動物、または親しみを込めた「動物ちゃん」。
ギリシャ語:σκυλί
読み方:スキリ・スキリー
ラテン文字:skyli
中世ギリシャ語の σκυλί(ον) に由来する。さらに遡ると、古代ギリシャ語で「子犬」を意味した σκύλαξ と関連がある。もとは子犬を指す指小語だったが、現在は性別を問わず犬全般を指す口語として使われる。
類義語の σκύλος がより一般的・中立的な語であるのに対し、σκυλί は口語的で、親しみや比喩的な意味を含みやすい。子犬は κουτάβι と呼ぶ。
主な意味は犬。口語では「働き者」や「強靭な人・物」を指すのにも使われる。また比喩的に、外見や性格への蔑称、あるいは非常に苦しい状況を表す際にも使われる。
指小語の σκυλάκι は子犬、または親しみを込めた「ワンちゃん」。類義語に κουτάβι。σκυλί μονάχο は、非常に鍛え抜かれた人、あるいは極めて耐久性の高い機械を指す。
ギリシャ語:φυτό
読み方:フィト・フィトー
ラテン文字:fyto
動詞 φύω(生長させる, 生む)から派生した古代ギリシャ語の中性名詞 φυτόν(植えられたもの, 植物)を継承。語尾 -ν が脱落して現代ギリシャ語の φυτό の形になった。英語の接頭辞 phyto-(植物の〜, phytochemical など)も同じ φυτόν にさかのぼる。
派生に φυτεύω(植える), φυτικός(植物の), φυτάριο(苗木, 指小語), φυτούλι(小さな植物, 指小語), φυτώριο(苗床, 苗圃), φύτουκλας(ガリ勉, 増大語)。合成語に φυτολογία(植物学), φυτοπαθολογία(植物病理学), φυτοφάρμακο(農薬), φυτόπλαγκτον(植物プランクトン)。
ギリシャ語:λουλούδι
読み方:ルルディ・ルルーディ
ラテン文字:louloudi
中世ギリシャ語の λουλούδι(ν) に由来する。古代ギリシャ語の ἄνθος(花)が、中世以降にアルバニア語あるいはラテン語の lulus(花)の影響を受けて変化したという説がある。現代ギリシャ語において、最も一般的かつ日常的な「花」を表す言葉である。
代替語形として λούλουδο(口語的・文学的)、まれに民俗詩などで λελούδι とも言われる。派生語に αγριολούλουδο(野の花)、νεκρολούλουδο(供え花)、νυχτολούλουδο(夜に咲く花)がある。
類義語の άνθος は公式・学術的な文脈で用いられる語で、日常会話では λουλούδι が一般的。φιόρο はベネチア語由来の類義語で、主にイオニア諸島で使われる。
主な意味は植物の「花」。そこから転じて、花が咲いた枝や、花をつける草木・低木そのものも指す。比喩的には、愛らしい人物(主に子供)への親称として、あるいは皮肉を込めて「ろくでなし」といった意味でも使われる。
λουλουδάκι は小さな花、または愛情を込めた呼びかけ。
英語 flower children(1967年)からの借用で、ヒッピーを指す。
ギリシャ語:άνθος
読み方:アンソス・アーンソス・アントス・アーントス
ラテン文字:anthos
古代ギリシャ語の ἄνθος(花、芽吹き、最盛)に由来。印欧祖語で「花、芽吹き」を意味する語根から生まれた古い語で、ヴェーダ・サンスクリットの ándhas(ソーマ、草)と同根。λουλούδι(花)に対して、άνθος は改まった言い方で残る。男性形に ανθός(文語的な「花」)。派生語に ανθάκι(小さな花)、ανθόγαλα(生クリーム)、ανθηρός(花咲いている、栄えている)など。
英語 anthology(選集。もとは「花集め」)は古代ギリシャ語 ἄνθος と λέγω(集める)をもとにした語。anther(葯)は ἀνθηρός(花の)からフランス語を経て入った。
「精髄、全盛」や「表面の薄層」の用法はフランス語 fleur の比喩用法からの意味借用。
ギリシャ語:χωνάκι
読み方:ホナキ・ホナーキ
ラテン文字:honaki
古代ギリシャ語 χώνη(漏斗、るつぼ)が中世ギリシャ語で χωνίον となり、現代ギリシャ語の χωνί(漏斗)へと変化した。χωνάκι はこの χωνί に指小辞 -άκι が付いた形で、もとは「小さな漏斗」。派生語に χωνοειδής(漏斗状の、円錐形の)。
ギリシャ語:ζεστό
読み方:ゼスト・ゼストー
ラテン文字:zesto
形容詞 ζεστός(熱い、温かい)の中性単数形が名詞として使われるようになったもの。カモミールや紅茶などの植物を煮出した温かい飲み物を指す。通常は治療目的などで温かいうちに飲むもの(煎じ薬)を表す。αφέψημα(煎じ液)と同義。
ギリシャ語:κρίνο
読み方:クリノ・クリーノ
ラテン文字:krino
語源は不詳の借用語とみられる古代ギリシャ語 κρίνον(ユリ)を継承。古代ギリシャ語にはすでに中性形 κρίνον と男性形 κρίνος の両形があり, 中性形では語尾 -ον が脱落して現代ギリシャ語の κρίνο となり, 男性形 κρίνος と並んで使われている。
派生に κρινάκι(小さなユリ, 指小形), κρινένιος(ユリのような, ユリ色の), κρινώδης(ユリ状の)。合成語に αγριόκρινο(野生のユリ), νερόκρινο(水生のユリ), κρινολούλουδο(ユリの花), ροδόκρινο(バラ色のユリ), κρινάνθι(ユリの花), κρινόριζα(ユリの球根), κρινόλαδο(ユリの油)。
ギリシャ語:λείριον
読み方:リリオン・リーリオン
ラテン文字:lirion
古代ギリシャ語の λείριον(ユリ、とくに白ユリ、スイセン属の花など)に由来。東地中海の言語からの借用語とみられ、ラテン語 lilium を経て英語 lily の語源にもなった。古代では κρίνον がユリ全般を指し、λείριον はとくにマドンナリリー(Lilium candidum)を指すことが多かった。現代ギリシャ語では κρίνος が一般的で、λείριον はより学術的・文学的。
λείριον から派生した λειρί は、オンドリの頭にある赤い肉質のとさかを指す。花の形がとさかに似ていることからの意味転用。
トサカケイトウ(とさか状の花序をもつ Celosia argentea の cristata 品種)はλειρί του κόκορα(オンドリのとさか)と呼ばれる。学名 Celosia のギリシャ語転記 σελόσια も広く使われる。
ギリシャ語:λειρί
読み方:リリ・リリー
ラテン文字:leiri
古代ギリシャ語で「ユリ(百合)」を意味する λείριον を起源とする。中世ギリシャ語の λειρίον を経て、現代ギリシャ語の λειρί となった。鶏のトサカの形がユリの花弁に似ていることから、この名称で呼ばれるようになった。
英語の lily も、このギリシャ語 λείριον を借用したラテン語 lilium に由来しており、語源を共有している。
ケイトウ(トサカケイトウ)の通称 λειρί του κόκορα(オンドリのとさか)の前部要素でもある。ニワトリ、鶏全般を広く表す語は κοτόπουλο。
主な意味は「トサカ」。比喩的に、トサカのように突き出たものや、うぬぼれた態度を指すこともある。
ギリシャ語:κοκόρι
読み方:ココリ・ココーリ
ラテン文字:kokori
古代ギリシャ語の κίκκος(鶏の鳴き声の擬声語)または κόκκος(粒)に関連するとされる κόκορας(雄鶏)の指小形。擬声語的な響きを持つ言葉から、中世を経て、親しみや小ささを表す指小辞 -ι が付いた κοκόρι という形が定着した。
κοκόρι は基本的には「小さな雄鶏、若鶏」を指す。κόκορας が一般的な「雄鶏」を指す標準的な語であるのに対し、κοκόρι は口語的、あるいは日常的で親しみを込めたニュアンスが強い。さらなる指小形に κοκοράκι がある。ニワトリ、鶏全般を広く表す語は κοτόπουλο。
主な意味は「小さな雄鶏、若鶏」で、一般的に食用や家畜としての若い鶏を指す際に使われる。また、比喩的な表現やことわざの中で、運の良さ、早朝の時間帯、喧嘩っ早い様子などを表すために多用される。
ギリシャ語:ορνίθι
読み方:オルニシ・オルニーシ・オルニティ・オルニーティ
ラテン文字:ornithi
古代ギリシャ語で「鳥」を意味する ὄρνις の指小辞 ὀρνίθιον に由来する。ὀρνίθιον はもともと「小鳥」や「家禽」を指し、中世を経て現代ギリシャ語の ορνίθι となり、「ニワトリ、鶏」を表すようになった。英語の ornithology(鳥類学)などの接頭辞 ornitho- も、共通の語源である古代ギリシャ語 ὄρνις に遡る。
ορνίθι は口語や方言、あるいは特定の料理の文脈で使われることが多い。最も一般的に「ニワトリ、鶏」を表す語は κοτόπουλο である。
主な意味は「ニワトリ、鶏」。
ギリシャ語:κοτόπουλο
読み方:コトプロ・コトープロ
ラテン文字:kotopoulo
語源は、古代ギリシャ語の「κόττος(鶏)」に由来する「κότα(メンドリ)」と、指小辞の「-πουλο(〜の子、雛)」が組み合わさったもの。中世ギリシャ語の「κοττόπουλλον」を経て、現代ギリシャ語の「κοτόπουλο」となった。もともと若鶏を指したが、現代では「ニワトリ」や「鶏肉」を広く表す語として使われる。
接尾辞の「-πουλο」は、ラテン語の「pullus(若い動物)」と同じ印欧祖語で「若い動物」を意味する語根に遡る。この pullus は古フランス語を経て、英語の「pullet(若鶏)」や「poultry(家禽)」の語源ともなっている。
現代ギリシャ語では連結母音を伴った「-όπουλο」の形で、動物の子どもを表す接尾辞として使われる(例: γατόπουλο = 子猫、αρνόπουλο = 子羊)。
κοτόπουλο のほか、ニワトリには性別や成長段階に応じたさまざまな呼称がある。
オンドリとメンドリにはそれぞれ別の語がある。
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古代ギリシャ語 ὄρνις(鳥)に由来する語群で、文語・方言的にニワトリを指す。
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κοτόπουλο 自体がもともと「メンドリの子」の意だが、さらに幼い段階を指す語もある。
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主な意味は、食用として飼育される若鶏。また、その肉である鶏肉や鶏肉料理を指す。比喩的には、疲れや眠気でふらふらになっている状態を表す際にも使われる。
ギリシャ語:νερό
読み方:ネロ・ネロー
ラテン文字:nero
古代ギリシャ語の形容詞 νηρός(湿った、新鮮な)を継承。νηρός 自体は νεαρός(若い、新鮮な)の縮約で、νηρόν ὕδωρ(新鮮な水)のように ὕδωρ(水)を修飾する形容詞だったが、名詞が省略されて νηρόν だけで「水」を指すようになり、コイネーの νηρόν、中世ギリシャ語 νερό(ν) を経て今の形になった。
接頭辞 νερο- として νερομπογιά(水彩絵の具), νεροποντή(豪雨)などの合成語を作る。指小形 νεράκι、派生の動詞 νερώνω(水で薄める), 形容詞 νερουλός(水っぽい), 名詞 νερουλάς(水売り)。
同じ「水」を表す ύδωρ は、かしこまった場面や Ε.ΥΔ.Α.Π.(水道局)のような公的な名称に限られ、日常では νερό が一般的。