#🏛️ 社会
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ギリシャ語:ένωση
読み方:エノシ・エーノシ
ラテン文字:enosi
古代ギリシャ語の ἕνωσις(結合、一体化)を継承。動詞 ἑνόω(ひとつにする、結合する)に結果を表す接尾辞 -σις を付けて作った名詞。ἑνόω は εἷς / ἕν(一、一つ)から作られた語。
εἷς は印欧祖語で「一、同じ」を表す語根から出た語で、ラテン語 simul(同時に)、semper(いつも、常に)と同系。英語 simple、similar、simultaneous、same、single もすべてこの語根から。
団体や国の連合の意味はフランス語 union、化学の「化合物」の意味はドイツ語 Verbindung からの意味借用で定着した。
関連語に ενώνω(結びつける、一つにする)、ενωμένος(結合した)、ενωσιακός(連合の)。同じ語族の基本語は ένας(一、ある)。
ギリシャ語:βασιλεύς
読み方:ヴァシレフス・ヴァシレーフス
ラテン文字:vasilefs
古代ギリシャ語の βασιλεύς(王, 君主)を継承。ミュケナイ期の線文字Bにすでに qa-si-re-u として現れる古い語で, ギリシャ語以前の何らかの言語からの借用とする説があるものの, 確かな語源はわかっていない。
同じ語族に βασιλιάς(王, 国王), βασίλισσα(女王), βασιλικός(王の, 王に関する, バジル), βασιλεία(王政, 王国), βασιλεύω(王として治める), βασιλικοφανής(王のような), βασιλόπαις(王子)。今, 日常で「王」を言うのは βασιλιάς で, βασιλεύς は古代史や歴史上の君主の肩書き, 学術的な文脈に残る。
現代の βασιλιάς は古代の対格 βασιλέα が中世に βασιλιά-ς として主格化したもの。英語 basilica(バシリカ, もとは「王の柱廊」), basilisk(バジリスク, 「小さな王」の意)もラテン語を経てこの βασιλεύς の語族。
ギリシャ語:βασιλιάς
読み方:ヴァシリャス・ヴァシリャース
ラテン文字:vasilias
βασιλιάς(王、国王)は、古代ギリシャ語の βασιλεύς(王)にさかのぼる語である。古代の語形がそのまま日常語として残ったのではなく、中世以後の話しことばの形を経て、いまのギリシャ語では βασιλιάς が基本語になった。
そのため、いまの語では βασιλιάς がまず中心にあり、古い文脈や語源説明で βασιλεύς(王、君主、バシレウス) が現れると考えると整理しやすい。対応する女性形は βασίλισσα(女王、王妃) である。
βασιλικός(王の、王に関する、バジル) はこの語群の代表的な派生語である。王に属すること、王にふさわしいことを表す形容詞として広がり、植物名の「バジル」にもなった。
さらに、Βασιλίσκος(小さな王、レグルス) は「王」を核にした別の派生語で、しし座の明るい恒星レグルスの名にもつながる。
主な意味は王、国王。君主制の国家の最高位の君主を指す。
ギリシャ語:μάρτυρας
読み方:マルティラス・マールティラス
ラテン文字:martyras
中世ギリシャ語 μάρτυρας に由来し、さかのぼると古代ギリシャ語 μάρτυς/μάρτυρος(証人、証言する人)にいたる。古くは見聞きしたことを公に明らかにする人を広く指した語で、ヘレニズム期から初期キリスト教の文脈で、信仰の真実を命をかけて証しした人、すなわち殉教者の意味も加わった。現代の苦しみを受ける人という比喩的な使い方はフランス語 martyr の影響で近代に整えられた。英語 martyr も同じギリシャ語にさかのぼる。
派生語・関連語に μαρτυρία(証言、証拠)、μαρτυρώ(証言する、証しする)、μαρτύριο(殉教、苦しみ)、μάρτυρας κατηγορίας(検察側証人)。関連語に δικαστήριο(裁判所、法廷)。
ギリシャ語:βουλή
読み方:ヴリ・ヴリー
ラテン文字:vouli
古代ギリシャ語の βουλή(評議, 意志, 決断)に由来。動詞 βούλομαι(望む, 決意する)に -ή が付いた動詞名詞で, 相談して決めることを指していた。現代の「議会」の用法はフランス語 Parlement, 英語 Parliament からの意味借用で輪郭が整った。
同じ βούλομαι の語族に βουλεύω(熟議する), βουλευτής(議員), βουλευτήριο(議場), βούλευμα(起訴状, 決定), βούληση(意志, 意向), 合成語 κοινοβούλιο(国会, κοινός「共通の」と合わせた語), κοινοβουλευτικός(議会制の), συμβουλή(助言), επιβουλή(陰謀, 策略)。
書き言葉に残る βουλές(意志, 決意)は άγνωστες οι βουλές του Θεού(神の御心は知れない)のような言い回しで使う。英語 voluntary, volition もラテン語 voluntas を介して, βούλομαι と同じ「望む」を表す語根に連なる。
ギリシャ語:υποχρέωση
読み方:イポフレオシ・イポフレーオシ
ラテン文字:ypochreosi
古代ギリシャ語の形容詞 ὑπόχρεος(借りのある、義務を負った)から作られた動詞 υποχρεώνω(義務づける)をもとに、抽象名詞を作る -ση を付けて作られた語。ὑπόχρεος は ὑπό(下に)と χρέος(借り、負い目)の合成。現代の「義務」の用法はフランス語 obligation の翻訳借用で広がった。
派生語に υποχρεώνω(義務づける), υπόχρεος(義務を負った、お世話になっている), υποχρεωτικός(義務の、強制の), υποχρεωτικά(必ず、強制的に)。対義語に δικαίωμα(権利)。
ギリシャ語:δικαίωμα
読み方:ディケオマ・ディケーオマ
ラテン文字:dikaioma
古代ギリシャ語の δικαίωμα(正当とされた行い、正当化)を継承。
動詞 δικαιόω(正当とする、正しいとみなす)に結果・動作を表す接尾辞 -μα が付いた形。
現代の「権利」としての用法は、フランス語の droit、英語の right、ドイツ語の Recht などの概念を取り入れた意味借用により定着したもの。
δίκη(正義、裁判)系の関連語には、δικαστήριο(裁判所)や δικαιοσύνη(正義、司法)のほか、δίκαιος(正しい)、δικαιολογία(言い訳、正当化)といった語がある。
ギリシャ語:δημόσιος
読み方:ディモシオス・ディモーシオス
ラテン文字:dimosios
名詞 δῆμος(民衆)から派生した古代ギリシャ語の形容詞 δημόσιος(公の, 民衆に属する)に由来。古代より私的な ἴδιος に対する「公的な概念」を表した。現代の公共や国家の制度に属することを指す用法は, フランス語 public や英語 public からの意味借用によって整えられたもの。
派生語には δημοσιεύω(公表する、掲載する)、δημοσίευση(公表)、δημοσιογράφος(ジャーナリスト)、δημοσιότητα(公衆の注目)など。対義語に ιδιωτικός(私的な)。関連語には κράτος(国家、国家権力)、κοινωνία(社会)、δημοκρατία(民主主義)など。
ギリシャ語:κανόνας
読み方:カノナス・カノーナス
ラテン文字:kanonas
古代ギリシャ語の κανών(物差し、定規、基準)に由来。κάννα(葦、細い管)からの派生語。葦で作った測定用の棒から、判断や行動の「基準、規範」へと古代のうちに意味が展開した。
教会法の「教会規則(カノン)」は中世ギリシャ語 κανών から継承。近代における「規則、ルール」としての使い方は、フランス語 règle や英語 rule からの意味借用によって定着した。
派生語に κανονικός(規則的な、正規の)、κανονισμός(規程、規則集)、κανονίζω(規則を定める、調整する)、παρακανόνας(例外、規格外)など。
関連語に δικαίωμα(権利)、νόμος(法律)、αρχή(原則)などがある。
英語 canon(教会法、正典)はラテン語 canon 経由で同じ κανών から継承。英語・イタリア語の cannon(大砲)は κάννα 経由で同じ系列。
ギリシャ語:κοινωνία
読み方:キノニア・キノニーア
ラテン文字:koinonia
古代ギリシャ語の κοινωνία(共有、交わり、結びつき)に由来。
κοινός(共通の)から派生した κοινωνός(共に持つ者、仲間)を抽象化した名詞で、動詞 κοινωνέω(分かちあう、共にする)と対になる。
古代では財・祭祀・生活を共にする結びつきを広く表し、キリスト教では「聖体拝領、交わり」の専門語としても使われた。
現代ギリシャ語で「社会」の意味の基本語として使われるのは、フランス語 société からの意味借用で近代に整えられたもの。
派生語に κοινωνικός(社会的な、人付き合いのよい)、κοινωνιολογία(社会学)、κοινωνικοποίηση(社会化)。共通の語源を持つ関連語に κοινωνός(共にあずかる者)、κοινότητα(共同体)、κράτος(国家)。
ギリシャ語:κοινότητα
読み方:キノティタ・キノーティタ
ラテン文字:koinotita
古代ギリシャ語の κοινότης(共通性、共通のもの、共同体)に由来。
κοινός(共通の)に抽象名詞を作る接尾辞 -της を付けた語で、現代ギリシャ語では古代の対格形 κοινότητα がそのまま主格として使われている。古代では「共通であること」そのものや財の共有などを指した。
現代の「地域共同体、コミュニティ」の意味はフランス語 communauté から、学校や自治体の区画としての使い方はフランス語 commune からの意味借用によってそれぞれ整えられた。
派生語に κοινοτικός(共同体の、地域の)、κοινωφελής(公益の、共同体のためになる)など。共通の語源を持つ関連語に κοινωνία(社会)、κράτος(国家)がある。
ギリシャ語:κράτος
読み方:クラトス・クラートス
ラテン文字:kratos
古代ギリシャ語の κράτος(力、支配、最高権)に由来。古代では人や神の持つ「力、優越、支配力」を表した語で、政治体としての「国家」そのものを指す使い方はフランス語 état、ドイツ語 Staat からの意味借用で近代に定着した。「国家権力」の側面では古代からの「支配力」の核がそのまま響いている。合成語末の -κρατία(〜支配)も同じ系列で、δημοκρατία(民主主義)、αριστοκρατία(貴族政)、γραφειοκρατία(官僚主義)などに現れる。
派生語・関連語に κρατώ(保つ、持つ、統治する)、κρατικός(国家の、公的な)、κρατικοποίηση(国有化)、υπερκράτος(超国家、超大国)。関連語に κοινωνία(社会)、δημόσιος(公の、公共の)。
ギリシャ語:τραπέζι
読み方:トゥラペジ・トゥラページ・トゥラペズィ・トゥラペーズィ
ラテン文字:trapezi
古代ギリシャ語の τραπέζιον(卓、食卓)から。中世ギリシャ語の τραπέζιν を経て現代の形になった。
家具として並べるなら、καρέκλα(椅子、役職、権力の座)がもっとも自然な組み合わせになる。食事の意味では、整った言い方の γεύμα(食事、食事の席、会食)や、食べ物そのものを指す φαγητό(食べ物、料理、食事)と比べると、τραπέζι は「食卓に着くこと」「食事の席が設けられること」まで含みやすい。
主な意味は、ものを載せたり人が囲んだりするテーブル。そこから、料理が並ぶ食事の場そのものや、その場でとる会食にも広がる。さらに主に複数形では、双方が向き合って話し合う交渉や協議の席も表す。
指小語の τραπεζάκι(小さなテーブル、サイドテーブル)と τραπεζίδιο(小卓)は、家具としての小ぶりな机や卓をやわらかく言う形。固定表現では、στρογγυλό(丸い) τραπέζι / στρογγυλή τράπεζα(円卓会議、ラウンドテーブル討論)のように、形から転じて話し合いの形式そのものを言うこともある。
ギリシャ語:καρέκλα
読み方:カレクラ・カレークラ
ラテン文字:karekla
古代ギリシャ語の καθέδρα(座席、椅子)にさかのぼる語で、後期ラテン語やヴェネツィア語系の形を経たのち、中世ギリシャ語の καρέκλα(椅子)に現れ、現代ギリシャ語に定着したと考えられている。古いギリシャ語由来の語が外来形を経て戻った、再借用の例として扱われることもある。
制度的でやや改まった「席」「議席」には έδρα(本部、議席、本拠地、座席、面)が近く、もっと広く「位置、ポスト」を言うなら θέση(位置、場所、座席、姿勢、順位、地位、職、枠、状況、立場、役割)が使いやすい。これに対して καρέκλα は実際の椅子を表す日常語から出発しつつ、比喩では「その椅子にしがみつく」ような語感を帯びやすい。
家具として並べるなら、τραπέζι(テーブル)は食卓や机の側を指し、καρέκλα はそこに合わせる一人用の椅子を指す。もっとゆったりした肘掛け椅子なら πολυθρόνα(アームチェア、肘掛け椅子)、背もたれのない簡単な腰掛けなら σκαμπό(スツール、腰掛け)を使うことが多い。
主な意味は、背もたれのある一人用の椅子。そこから、車いすや診察用の椅子のような専用の座席も指す。比喩では、組織や政治の中で人が占める役職や権力の座も表し、競争や失脚の話でよく目立つ。
指小語の καρεκλάκι(小さな椅子、子ども用の椅子)と καρεκλίτσα(小さな椅子)は、家具としての小ぶりな椅子をやわらかく言う形。固定表現では η πολιτική της άδειας καρέκλας(空席戦術、不参加で妨害するやり方)や μουσικές καρέκλες(椅子取りゲーム)のように、席の不在や奪い合いを表す言い方にも現れる。
ギリシャ語:δημιουργία
読み方:ディミウルイア・ディミウルイーア・ディミウルギア・ディミウルギーア
ラテン文字:dimiourgia
δῆμος(人民)と ἔργον(仕事)が結びついた古代ギリシャ語の δήμια ἔργα(公共の仕事)にさかのぼる名詞 δημιουργός(職人, 創造者)から動詞 δημιουργώ(創造する)が派生し, その名詞形 δημιουργία を継承。表面的には δημιουργός は δήμιος(公の)と -ουργός(働く者, ἔργον「仕事」から派生した後接辞)の合成にあたる。
古代ギリシャ語の δημιουργός は、まず「職人、手工業者、技芸をもつ者」を指す語だった。ペロポネソス諸邦では「行政官、為政者」を表す用法もあった。さらに哲学の文脈では、プラトン『ティマイオス』で「世界の制作者(デミウルゴス)」として語られ、宇宙を形づくる存在を意味するようになった。このプラトン的な用法がヘレニズム期以降の神学に受け継がれ、キリスト教文化圏での「天地創造」「被造世界」の意味にもつながっている。
派生語に δημιουργός(創造者)、δημιουργώ(創造する)、δημιουργικός(創造的な)、δημιουργικότητα(創造性)、δημιούργημα(創作物)、αναδημιουργία(再創造)など。
ギリシャ語:αλλαγή
読み方:アライ・アライー・アラギ・アラギー
ラテン文字:allagi
形容詞 ἄλλος(別の)をもとにした動詞 ἀλλάσσω(変える, 交換する, 現代 αλλάζω)から派生した古代ギリシャ語の女性名詞 ἀλλαγή(変化, 交換)を継承。類義語は μεταβολή。合成語に ανταλλαγή(交換), εναλλαγή(交替), παραλλαγή(変異), συναλλαγή(取引)など。
ἄλλος は英語 else と同じ語源で、学術用語の接頭辞 allo-(他の、異なる)もここから。allophone(異音)、allograft(他家移植)など。
ギリシャ語:πράγμα
読み方:プラグマ・プラーグマ
ラテン文字:pragma
古代ギリシャ語の πρᾶγμα(物, 事, 事業)に由来。πράττω(行う, する)の名詞形で, 「行われたこと, 扱われる物・事」の意味から出ている。現代の抽象的な「こと, 情勢, 現実」の用法はフランス語 chose, ドイツ語 Ding からの意味借用で輪郭が整った。
くだけた形の πράμα / 複数 πράματα は中世の段階で子音連続 γμ が同化・単純化して生まれた別形で, ふだんの会話や俗な言い回しでよく出てくる。小さく言う πραγματάκι / πραματάκι も同じ場面で使う。
同じ πρᾶγμα の語族に πραγματικός(現実の), πραγματικότητα(現実), πραγματεία(論考), πραγματεύομαι(扱う, 論じる), πραγματοποιώ(実現する)。意味の受け皿が広く, はっきり「問題, 困りごと」を指したいときは πρόβλημα(問題, 課題)のほうが明確。
ギリシャ語:φίλος
読み方:フィロス・フィーロス
ラテン文字:filos
古代ギリシャ語の φίλος を継承。古代では形容詞「親愛な、愛しい」と名詞「友、味方」の両義を持ち、ホメロス詩ではしばしば「自分の、身近な」という所有・帰属のニュアンスでも用いられた(ἐμὰ φίλα τέκνα「わが子ら」)。印欧語の語源については諸説あり確定しないが、古アイルランド語 bil(善良な、穏やかな)や西ゲルマン系の「穏やかな、親切な」を意味する語と同根とみる説がある。Beekes は「愛しい」ではなく「自分に属する、伴う」がもとの意味だった可能性を指摘しており、ホメロスでの用法ともよく合う。
語頭の φιλο- と語尾の -φιλος は古代から現代まで続くきわめて生産的な合成要素で、「何かを愛する・好む・親しむ人」を表す合成語を数多く生み出してきた。人名の Θεόφιλος(テオフィロス「神の友」)、Φίλιππος(フィリポス「馬を愛する者」)をはじめ、φιλοσοφία(哲学「知を愛すること」)、φιλάνθρωπος(博愛の、人類愛の)、φιλελεύθερος(自由を愛する、自由主義的な)、βιβλιόφιλος(愛書家)など枚挙にいとまがない。この合成要素は西欧諸語にも取り入れられ、英語の philo-/-phile(philosophy、philanthropy、bibliophile など)はすべてこの φίλος に由来する。
親しみをこめた呼び方には φιλαράκι(親友、仲間)、φιλάρας(相棒)、くだけた会話では φίλε や φίλε μου(やあ君、友よ)があり、親しい関係そのものは名詞 φιλία(友情、友愛)、関係の土台になる好感は συμπάθεια(好意、親しみ)で言う。反対の位置を占めるのは εχθρός(敵)、αντίπαλος(対抗者、ライバル)、国家間の関係では εχθρικός(敵対的な)。
ギリシャ語:συνείδηση
読み方:シニディシ・シニーディシ
ラテン文字:syneidisi
古代ギリシャ語の συνείδησις(意識、良心)から。近代にはフランス語 conscience(良心、意識)の意味の影響も重なり、現代ギリシャ語では語尾が -ση(抽象名詞を作る現代的な語尾)の形に整えられた語として、古くからの「良心」に加えて「意識」「自覚」「職業的良心」「信条」といった周辺の用法も広く担うようになった。
哲学的な「意識」の意味はヘレニズム期の用法にさかのぼる。一方で、日常的な「自覚」や、社会的な文脈での「歴史意識」「階級意識」のような広がりは、近代以後の意味の押し広げ方を反映している。
主な意味は、心の働きとしての「意識」「自覚」と、道徳的な判断を支える「良心」。そこからさらに、意識のある状態、哲学用語としての意識、仕事への責任感、集団への帰属意識、個人の信条まで幅広く表す。
συνείδηση は固定表現の多い語でもある。たとえば καθαρή συνείδηση(清らかな良心)、κρίση συνειδήσεως(良心の葛藤)、επαγγελματική συνείδηση(職業的良心)、ιστορική συνείδηση(歴史意識)、αντιρρησίας συνείδησης(良心的兵役拒否者、良心的反対者)のように、個人の内面から社会的立場までを一語でまとめて言える。
ギリシャ語:κίνημα
読み方:キニマ・キーニマ
ラテン文字:kinima
動詞 κινέω(動かす)から派生した古代ギリシャ語の中性名詞 κίνημα(動き, 運動)を継承。「社会運動」の用法はフランス語 mouvement からの訳語借用。英語 cinema は κίνημα と γράφω(書く)から作られた κινηματογράφος(映画機)をもとにした語。
関連語に κίνηση(動き、動作)、κινητικός(運動の)、κινηματογράφος(映画)。
ギリシャ語:κύκλος
読み方:キクロス・キークロス
ラテン文字:kyklos
古代ギリシャ語の κύκλος(円、輪、車輪)を継承。周期、シリーズ、人の輪、範囲、循環といった現代の抽象的・専門的な用法の多くはフランス語 cycle, cercle、英語 cycle からの意味借用で広がった。
修辞学には、一文の冒頭と末尾に同じ語を置いて円を描くように閉じる技法があり、これを κύκλος と呼ぶ。たとえば新約聖書『ピリピ人への手紙』4章4節の Χαίρετε ἐν Κυρίῳ πάντοτε· πάλιν ἐρῶ, χαίρετε(常に主にあって喜べ。もう一度言う、喜べ)は、冒頭と末尾が χαίρετε(喜べ)で閉じられている。
英語 cycle もラテン語 cyclus を経て同じ語源。印欧祖語の「回る」を表す語根から来た語で、英語 wheel も同じ語根を共有する。
ギリシャ語:αγώνας
読み方:アゴナス・アゴーナス
ラテン文字:agonas
古代ギリシャ語の動詞 ἄγω(導く, 率いる)から派生した ἀγών(集まり, 競技, 闘争)を継承。
同じ語族に αγωνία(苦悩), αγωνίζομαι(戦う, 競う), αγωνιστής(闘士), ανταγωνιστής(敵対者), ανταγωνισμός(競争, 対抗), διαγωνισμός(コンテスト, 試験), πρωταγωνιστής(主役)。
英語 agony(苦悩), antagonist(敵対者)もラテン語経由で同じ語源。
類義語の μάχη は戦闘行為を, πόλεμος は国家間の武力衝突を指すのに対し, αγώνας は競技や社会運動にも使う。
ギリシャ語:μέλος
読み方:メロス・メーロス
ラテン文字:melos
古代ギリシャ語の μέλος(手足、歌)に由来。現代ギリシャ語の「組織の構成員」の意味は、フランス語 membre、英語 member からの意味借用で広がった。
派生語に διαμελισμός(バラバラにすること、切断)、合成語に μελόδραμα(メロドラマ)、μελοποίηση(曲づけ)など。古代ギリシャ語 μελῳδία(歌、節)からラテン語 melodia を経て英語 melody や melisma が生まれた。
ギリシャ語:καθυστέρηση
読み方:カシステリシ・カシステーリシ・カティステリシ・カティステーリシ
ラテン文字:kathysterisi
καθυστέρηση は、動詞 καθυστερώ(遅れる、遅らせる)から派生した女性名詞。動詞の動作や結果を名詞化し、「遅れること」「遅らせること」を表す。
近い語には αργοπορία(遅刻)、επιβράδυνση(減速)、χρονοτριβή(時間の浪費)などがある。対義語には επιτάχυνση(加速) や επίσπευση(促進)がある。
時間的な遅延や遅刻を表すのが中心で、列車や船の遅れ、納期の遅れ、返事の遅れなどに広く使われる。口語では、女性について生理が遅れていることを指すこともある。
社会、経済、文化、技術などの発展が遅れていることや、音楽で和音の構成音を次の和音まで引き伸ばすことを指すのにも使われる。
サッカーなどでは複数形 καθυστερήσεις が、試合の規定時間に加えられるアディショナルタイムを指す。発達に関する表現では、καθυστέρηση του λόγου や καθυστέρηση της ομιλίας が、子供の言語習得が平均より遅れることを表す。
ギリシャ語:γενιά
読み方:イェニャ・イェニャー・ゲニャ・ゲニャー
ラテン文字:genia
古代ギリシャ語の γενεά(ゲネアー、生まれ、血筋、世代)を起源とし、中世ギリシャ語の γενιά(世代)を経て現在の形に至る。英語の generation やフランス語の génération と同じ語源から生まれた語で、「生む」を意味する印欧語の語根に行き着く。
なお、綴りは同じだがストレスの位置が異なる γένια(イェニャ/ゲニャ:ひげ)という語があり、こちらは γένι(あごひげ)の複数形でまったく別の語。
同義語に σοΐ(家系・一族)や、より口語的な φάρα(一族・徒党)がある。特定の世代を表す表現として、μπιτ γενιά(ビート・ジェネレーション)や χαμένη γενιά(失われた世代)もよく知られている。
同時期に生きる人々の集団、共通の家系、約30年の時間単位、技術の進歩段階など、さまざまな場面で用いられる。日本語でもおなじみの「ジェネレーション」にあたる語で、日常会話から生物学まで幅広い。
ギリシャ語:έδρα
読み方:エドゥラ・エードゥラ
ラテン文字:edra
古代ギリシャ語の ἕδρα(座席、座る場所)からの学術借用。印欧祖語で「座る」を表す根に由来し、ἕζομαι(座る)と同根。ラテン語 sedēre(座る)、サンスクリット sad-(座る)、英語 sit / seat も同じ根から来た語。
古代ギリシャ語から続く合成語が多く、現代語でもそのまま使う:καθέδρα(椅子、教授職。κατά- + ἕδρα)、εξέδρα(演壇、桟敷。ἐξ- + ἕδρα)、ενέδρα(待ち伏せ。ἐν- + ἕδρα)、συνέδριο(会議。σύν- + ἕδρα)、πρόεδρος(議長、大統領。πρό- + ἕδρα)、πάρεδρος(陪席、助手。παρά- + ἕδρα)、πολύεδρο(多面体)、τετράεδρο(四面体)など。動詞形 εδρεύω は「本部を置く」。
英語 cathedral(大聖堂)、chair(椅子)は καθέδρα がラテン語 cathedra を経て入った語で、「司教座・教師が座る椅子」のイメージから分かれた。幾何学の polyhedron(多面体)、tetrahedron(四面体)、dihedral(二面の)、建築の exedra(壁龕、半円形のベンチ)、薬用植物 ephedra(マオウ)/ephedrine(エフェドリン)は ἕδρα の合成語から取った学術語。「座る」の根からは、ラテン語を経て英語 sedentary(座りがちの)、session(会期)も生まれている。
ギリシャ語:θέση
読み方:セシ・セーシ・テシ・テーシ
ラテン文字:thesi
古代ギリシャ語の θέσις(置くこと、設置)に由来する。θέσις は「置く」を意味する動詞 τίθημι から派生した名詞で、もともとは「置くこと」「置かれた状態」を表した。中世ギリシャ語を経て現代ギリシャ語の θέση となり、基本義である「置かれた場所」から、物理的な位置、座席、姿勢、社会的な地位、意見の立場まで幅広く指すようになった。
フランス語 place(場所、地位)や position(位置、立場)の語義の影響も受けている。
英語の thesis(テーゼ、命題)も、古代ギリシャ語の θέσις(置くこと、設置)と同じ語源から来ている。「置くこと」から「提示された考え」「主張」へ意味が広がった語で、現代ギリシャ語の θέση が「見解、立場」も指すこととつながりがある。
類義語には μέρος(場所、部分)、χώρος(空間、場所)、στάση(姿勢、態度)、πόστο(役職、持ち場)がある。μέρος は部分や場所、χώρος は広がりのある空間、στάση は体の姿勢や態度、πόστο は職場での持ち場やポストを指す。
主な意味は「位置、場所」。人や物が置かれた場所から、座席、体や物の姿勢、順位、社会的な地位や職務、募集枠、置かれた状況、見解や立場、社会や人生における役割や重要性まで、広い範囲で使われる。
指小語の θεσούλα は、皮肉を込めて公務員の安定したポストを指すことがあるほか、ちょっとした席や小さなスペースも指す。複合表現には χάρτης θέσης(位置図、所在マップ)や φώτα θέσης(車幅灯)がある。
ギリシャ語:βασιλικός
読み方:ヴァシリコス・ヴァシリコース
ラテン文字:vasilikos
古代ギリシャ語の形容詞 βασιλικός(王の, 王にふさわしい)を継承。βασιλεύς(王)に「〜の, 〜に属する」を表す接尾辞 -ικός を付けた形。植物バジルを指す男性名詞としての用法は中世ギリシャ語で生まれ, 香りの気高さから「王の草」と呼ばれたことによる。
同じ βασιλεύς の語族に βασιλιάς(王, 国王), βασίλισσα(女王), βασιλεία(王政, 王国), βασιλεύω(王として治める), βασιλικότητα(王の威厳), 副詞 βασιλικά(王のように, 豪華に), 合成語 φιλοβασιλικός(親王制の, 王党派の), αντιβασιλικός(反王制の), βασιλομήτωρ(王母)。
英語 basil(バジル)はラテン語 basilicum, 古フランス語 basile を経て植物名の βασιλικός の系統を引く。basilica(バシリカ)は古代ギリシャ語 βασιλική στοά「王の柱廊」の βασιλική から, basilisk(バジリスク, 伝説上の蛇王)は指小形 βασιλίσκος(小さな王)を経てラテン語 basiliscus から入った。フランス語 basilic も同じ経路。
ギリシャ語:πολίτης
読み方:ポリティス・ポリーティス
ラテン文字:politis
古代ギリシャ語の πολίτης(ポリスの自由市民)に由来。πόλη(都市)の古代形 πόλις に「〜に属する人」を表す -ίτης が付いた形。現代の「国民, 市民」の用法はフランス語 citoyen からの意味借用で輪郭が整った。中世には Πολίτης が「コンスタンティノープル住民」の呼び名として固有名化した。
同じ πόλις・πόλη の語族に πολιτεία(国家, 市民権), πολιτεύομαι(政治に携わる), πολιτικός(政治の, 政治家), πολιτισμός(文明), πολιτογράφηση(帰化), 合成語 συμπολίτης(同郷人, 同胞), κοσμοπολίτης(コスモポリタン), μητροπολίτης(首都出身者, 大主教)。
英語 politics(政治), policy(政策), cosmopolitan(世界市民)もラテン語を経由してこの πόλις の語族に連なる。κάτοικος(住民)が住んでいる事実を指すのに対し, πολίτης は権利と義務を持つ市民の立場を指す。
ギリシャ語:λαός
読み方:ラオス・ラオース
ラテン文字:laos
古代ギリシャ語の λαός(民衆, 人々, 軍勢)を継承。もとは「武装した人々」を指したとされ, 印欧祖語で「軍事行動」を表す語根に連なる説と, ギリシャ語以前の基層から来たとする説がある。現代の「国民, 民族, 庶民」の用法はフランス語 peuple からの意味借用で輪郭が整った。
派生に λαϊκός(庶民の, 民俗の, 世俗の), λαογραφία(民俗学), λαοθάλασσα(人の海, 群衆), λαοσυναξία(大衆の集まり)。英語 lay(俗人の), laity(俗人階層), liturgy(典礼)も, λαός を含むギリシャ語合成語(λαϊκός, λειτουργία)からラテン語経由で入った。
類義語 έθνος は歴史, 言語, 文化を共有する「民族, 国民」を指すのに対し, λαός は国民, 民衆, 庶民までを幅広く受ける。πληθυσμός は統計的な「人口」を指す。κόσμος は会話で「人々, 大勢の人」を表すときに使い, κοσμάκης は同情や軽い卑下を込めた「庶民, 民草」を指す。
ギリシャ語:κοινός
読み方:キノス・キノース
ラテン文字:koinos
古代ギリシャ語の κοινός(共通の、公共の)に由来。対義的な語に ίδιος(自分の、固有の)など。
主な意味は「共通の」「共同の」「一般的な」。人々が集団で共有する性質や、複数の人が一緒に使うもの、あるいは特別な特徴のない平凡なものを指す。
副詞形は κοινώς / κοινά で、「一般に」「俗に」の意味になる。また κοινός を含む固定表現も多く、言語、世論、市場、病名などを表す連語に広く使われる。
ギリシャ語:σύγκρουση
読み方:シググルシ・シーググルシ・シングルシ・シーングルシ
ラテン文字:sygkrousi
古代ギリシャ語の σύγκρουσις(互いにぶつかり合うこと)から。「共に」を意味する接頭辞 συν- と「打つ、叩く」を意味する動詞 κρούω が組み合わさったもので、もともとは物理的なぶつかり合いを表していた。
中世を経て現代ギリシャ語に至り、物理的な衝突だけでなく、意見や利益の対立、武力紛争、心理的な葛藤まで幅広く使われるようになった。動詞形は συγκρούομαι(衝突する、対立する)。
σύγκρουση と近い意味を持つ語もあるが、それぞれ用法の幅が異なる。πρόσκρουση は物体が固定物にぶつかる「衝撃」に重点を置く。τρακάρισμα は車の衝突事故を指す口語。αντιπαράθεση や διαμάχη は意見や立場の「対立・論争」に使われ、肉体的な衝突を含まないことが多い。
主な意味は、物体同士の物理的な衝突、意見や利益の対立、武力による紛争、そして心理的な葛藤。武力紛争については、πόλεμος(戦争)が組織的・長期的な紛争を指すのに対し、σύγκρουση は個々の衝突や散発的な小競り合いにも使われる。
σύγκρουση は σύγκρουση συμφερόντων(利益相反)や σύγκρουση των πολιτισμών(文明の衝突)のように、法律、政治学、心理学でも定着した複合表現に使われる。
ギリシャ語:πόλεμος
読み方:ポレモス・ポーレモス
ラテン文字:polemos
古代ギリシャ語の πόλεμος(争い, 戦闘)を継承。起源は明らかでない。ギリシャ語以前の基層言語に由来する可能性と, 「揺する, 打つ」を表す πάλλω(振り回す), πελεμίζω(震わせる)などと同じく印欧祖語の語根「打つ, 押す」に続くとする説がある。ラテン語 pello(押す, 打ち負かす)や英語 feel との結びつきも示唆されるが, いずれも定説ではない。「派閥の戦い」「麻薬撲滅運動」のような比喩・キャンペーンの用法は, 英語 war, フランス語 guerre からの意味借用で加わった。
英語 polemic(論争的な), polemics(論争術)も同じ語源。派生に πολεμώ(戦う), πολεμικός(戦争の, 軍事の), πολεμιστής(戦士), πολεμοχαρής(好戦的)。
μάχη(戦闘)は個々の戦い, πόλεμος はより長期にわたる全体の戦いを指す。σύγκρουση(衝突, 対立)は物理的な衝突から意見対立まで指し, πόλεμος より広い。対義語は ειρήνη(平和)。
ギリシャ語:ειρήνη
読み方:イリニ・イリーニ
ラテン文字:eirini
古代ギリシャ語の εἰρήνη(平和、静寂)を継承。さらなる起源は確かでなく、ギリシャ語以前の基層語とする見方が有力。ギリシャ神話の平和の女神 Εἰρήνη(エイレネ、ホーライ「季節の女神たち」の一柱)もこの語そのもので、英語の女性名 Irene(アイリーン)も同じ名の系譜。フランス語 Irène、ロシア語 Ирина などヨーロッパ各国の女性名として残る。
派生語に ειρηνικός(平和な;太平洋の、Ειρηνικός Ωκεανός「太平洋」)、ειρηνεύω(平和にする、和解する)、ειρηνιστής(平和主義者)、ειρηνισμός(平和主義)など。類義語に γαλήνη(平穏、静穏)、ηρεμία(落ち着き)。対義語は πόλεμος(戦争)。
英語 irenic(平和的な、宥和的な)、irenology(平和学)は同じ εἰρήνη をもとにした学術語。
ギリシャ語:λευτεριά
読み方:レフテリア・レフテリアー
ラテン文字:lefteria
古代ギリシャ語 ἐλευθερία(自由)から3つの音変化を経て生まれた口語形。まず語末の -ερία が -εριά に縮約して母音の連続を避け、アクセントが最終音節に移った。次に ευθ の発音 [fθ] で摩擦音が2つ続くのを嫌い、θ が破裂音の τ に変わった。最後に語頭のアクセントのない ε- が脱落して、現在の λευτεριά の形になった。
ελευθερία(自由)の口語的な形であり、民衆語(ディモティキ)や文学的な文脈で用いられる。より感情的、情熱的な響きを持つ。
ギリシャ語:ελευθερία
読み方:エレフセリア・エレフセリーア・エレフテリア・エレフテリーア
ラテン文字:eleftheria
古代ギリシャ語の ἐλευθερία(自由、自由身分)に由来。古代ギリシャでは人の身分が ἐλεύθεροι(自由民)と δοῦλοι(奴隷)に法律上分かれており、形容詞 ἐλεύθερος は「自由民の」「奴隷ではない」という身分を指す語だった。抽象名詞 ἐλευθερία もまずは「自由民であること、奴隷でない法的身分」を意味し、そこから国家の独立、行動・言論の自由、哲学的な自由意志まで、抽象的な「自由」一般に意味が広がった。印欧祖語まで遡ると「人々の仲間に属する者」を意味する語根にたどりつき、自由民とはもともと共同体に属する人のことだった。
派生語に ελευθερώνω(自由にする、解放する)、ελευθερωτής(解放者)、ελευθερωτικός(解放の)。口語的な λευτεριά は民衆歌や文学で使われ、感情のこもった響きを持つ。複数形 ελευθερίες は「個々の自由、諸権利」を指す。対義語に ανελευθερία(不自由)、δουλεία(隷属)、σκλαβιά(奴隷状態)。
ギリシャ語:σκλαβιά
読み方:スクラヴィア・スクラヴィアー
ラテン文字:sklavia
中世ギリシャ語の σκλαβιά に由来する。もとは「スラブ人」を指す Σκλάβος から派生した語で、中世から近世にかけて「奴隷状態」を意味するようになった。英語の slave(奴隷)も、同じ Σκλάβος がラテン語を経て変化したもの。
σκλαβιά は状態を表す抽象名詞で、奴隷そのものを指す場合は σκλάβος(男性形)、σκλάβα(女性形)を用いる。
類義語に δουλεία(奴隷制度) があるが、δουλεία がより概念的・法的な用語であるのに対し、σκλαβιά は「残酷な」「耐え難い」といった感情的なニュアンスを伴うことが多い。歴史的な隷属を語る文脈で好まれる。対義語は ελευθερία(自由)。
主な意味は「奴隷の身分」「隷属状態」。民族や国家の支配について語る際に用いられるほか、比喩的に社会・経済的な「縛り」についても使われる。
ギリシャ語:δουλεία
読み方:ドゥリア・ドゥリーア
ラテン文字:douleia
古代ギリシャ語の δουλεία(奴隷状態、隷属、隷属の身分)に由来する学術借用(διαχρονικό δάνειο)。動詞 δουλεύω(仕える、奴隷として働く)+ 行為・状態を表す名詞語尾 -εία の合成で、δοῦλος(奴隷)にさかのぼる。法律用語の「地役権」の用法はフランス語 servitude(隷属、地役権)からの意味借用(σημασιολογικό δάνειο)で近代に加わった。古代の δοῦλος 自体は印欧祖語にさかのぼる確実な同根語が見当たらず、ミケーネ・ギリシャ語にすでに do-e-ro の形で現れているため、エーゲ系基層からの語とする説が有力。同じ古代 δοῦλος から、キリスト教神学のラテン語化を経て、ラテン語 dulia(聖人崇敬。神への崇拝 latria と区別される下位の敬礼)が生まれた。同じ綴りで強勢位置だけが異なる δουλειά(仕事)は同じ δοῦλος 由来だが、中世ギリシャ語で「奴隷の作業」から「労働一般」へと意味が動いた継承語で、δουλεία とは経路が異なる。
類義語に σκλαβιά(奴隷の身分、隷属。中世のスラブ系民族 Σκλάβοι に由来する継承語で、感情的・歴史的な文脈、とくにオスマン帝国支配下のギリシャを指すときに使う), υποτέλεια(属国状態、貢納義務。古代由来の書き言葉の硬い形), υποδούλωση(隷属化、奴隷化)。δουλεία は概念的・法的な用語として奴隷制度・隷属を指し、また法律用語として地役権を指す形として広く使う。派生に δουλικός(奴隷の、卑屈な), δουλικότητα(卑屈さ、屈従)。関連語に δοῦλος(奴隷。古代由来の元の語), δουλειά(仕事。同源で強勢位置の異なる継承語), δουλεύω(働く、仕える。動詞), υπόδουλος(隷属した), δουλοσύνη(隷属、奴隷状態。詩歌的・古風な形)。合成語に δουλοκτησία(奴隷所有制), δουλεμπόριο(奴隷貿易), δουλοπάροικος(農奴)。
ギリシャ語:κοινή λογική
読み方:キニロイキ・キニーロイキ・キニロギキ・キニーロギキ
ラテン文字:koini logiki
κοινός(共通の)と λογική(論理)からなる連語。ギリシャ語では「共通の論理」と表現するが、英語の common sense やフランス語の sens commun、ドイツ語の Gemeinsinn など、多くのヨーロッパ言語では「共通の感覚」と表現する。
この違いのもとには、アリストテレスが五感の情報を統合・判断する能力として提唱した「共通感覚(κοινή αἴσθησις)」という概念がある。もともとは個人の感覚的な能力を指していたが、時代を経て、社会全体で共有される知識や判断力という意味に変わった。ラテン語で sensus communis と訳されたことで、西欧諸語には「感覚(sense)」の語が定着した。一方、現代ギリシャ語では λογική(論理)が選ばれ、κοινή λογική の形になった。
κοινός νους(共通の知性)も同義で使われる。近い語には γνώμη(意見)、φρόνηση(分別、思慮)がある。
主な意味は「常識」。深く考えるまでもなく、経験や知識から自然にわかる判断力を指す。そこから、ある社会や集団で広く共有されている考え方や慣習としての「社会通念」も表す。
ギリシャ語:σημαία
読み方:シメア・シメーア
ラテン文字:simaia
古代ギリシャ語の σῆμα(印、信号、目印)から派生したヘレニズム期ギリシャ語 σημαία(軍旗、信号旗)を中世ギリシャ語が公式・軍事の文脈で書き継ぎ、現代ギリシャ語に学術借用として戻って「旗」全般を指す形に落ち着いた。英語 semantic(意味論の), semaphore(手旗信号), semiotics(記号論)はいずれも同じ σῆμα からラテン語・フランス語を経由して入った学術借用で、σημαία と語根を共有する。
類義語に λάβαρο(幟。ローマ帝政期の軍旗 labarum 由来で、宗教儀式や式典の旗を指す硬い語), παντιέρα(旗。イタリア語 bandiera 由来の外来借用で、出帆や戦闘の場面で使うやや古風な語), μπαϊράκι(旗。トルコ語 bayrak 由来の外来借用で、くだけた俗な響き)。σημαία は国家・組織・思想の象徴としての旗を指すふつうの形として広く使う。派生に σημαιάκι, σημαιούλα(小さな旗。指小形)。合成語に σημαιοφόρος(旗手), σημαιοστολισμός(旗での飾り付け), σημαιοστολισμένος(旗で飾られた)。関連語に σήμα(印、信号、標章), σημείο(点、徴候、場所), σημαίνω(意味する、合図する), σημείωση(メモ、注記)。

男性名詞
生物
社会 
化学 

法 


形容詞 



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