ギリシャ語:Κασσιόπη
読み方:カシオピ・カシオーピ
ラテン文字:kassiopi
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ギリシャ語:Κασσιόπη
読み方:カシオピ・カシオーピ
ラテン文字:kassiopi
ギリシャ語:Ανδρομέδα
読み方:アンドゥロメダ・アンドゥロメーダ
ラテン文字:andromeda
ギリシャ語:κένταυρος
読み方:ケダヴロス・ケーダヴロス・ケンダヴロス・ケーンダヴロス
ラテン文字:kentavros
古代ギリシャ語の κένταυρος(ケンタウロス)を継承。語源は不明。英語 centaur もラテン語 centaurus を経て同じ語源。
先頭大文字の Κένταυρος は南天のケンタウルス座を指す。隣の Λύκος(おおかみ座)はケンタウロスが狙う獣の姿という伝承があり、現在の Σταυρός του Νότου(みなみじゅうじ座)の星々もかつてはケンタウルス座の後ろ足の一部とされていた。
ギリシャ語:βωμός
読み方:ヴォモス・ヴォモース
ラテン文字:vomos
印欧祖語で「歩む, 踏み出す」を表した語根にさかのぼる動詞 βαίνω(歩む, 上る)から派生した古代ギリシャ語の名詞 βωμός(段, 台, 祭壇)を継承。一段高くなった場所を指し, そこから神に供物を捧げる台の意味に移った。
同じ βαίνω の語族に βάση(基盤, 土台), βήμα(一歩, 演壇), βάθρο(基壇, 台座), βατός(通行可能な), 合成語 εμβαίνω(入る), διαβαίνω(渡る), αναβαίνω(上る), καταβαίνω(下る)。祭壇まわりの語には θυσία(犠牲, 供物), σπονδή(献酒), ναός(神殿, 教会), ιερό(聖域)が並ぶ。
類義の θυσιαστήριο(犠牲を捧げる場所)は θυσιάζω(犠牲を捧げる)から作られた語で, キリスト教の祭壇 Αγία Τράπεζα(聖卓)を言うのに使うことが多い。βωμός は古代の異教の祭壇に結びつくが, 正教会では聖卓の同義語にもなる。先頭大文字の Βωμός は南天の星座さいだん座を指し, ラテン語 Ara, 英語 Ara, フランス語 l'Autel と同じ「祭壇」の意で, どれも古代の観測者が天に見立てた祭壇。
ギリシャ語:ιχθύς
読み方:イフシス・イフシース・イフティス・イフティース
ラテン文字:ichthys
古代ギリシャ語の ἰχθύς(魚)に由来。中世以降、魚を表す一般的な単語として使われるようになったのは ψάρι(ὀψάριον から)で、ιχθύς は書き言葉や学術的な文脈、οστεϊχθύες(硬骨魚類)、χονδριχθύες(軟骨魚類)のような分類名で残っている。英語 ichthyology(魚類学)、ichthyosaur(魚竜)の ichthyo- も同じ起源。先頭大文字の Ιχθύς は星座名、全大文字の ΙΧΘΥΣ はキリスト教で Ιησούς Χριστός Θεού Υιός Σωτήρ(イエス・キリスト、神の子、救世主)の頭字語として用いられる。
ギリシャ語:λαμπάδα
読み方:ラバダ・ラバーダ・ランバダ・ランバーダ
ラテン文字:lampada
λαμπάδα(ろうそく、細長い蝋燭)は、古代ギリシャ語の λαμπάς(松明、たいまつ) と同じ語群に属する。核にあるのは「燃えて光るもの」という発想で、むき出しの火を持つ松明から、長い蝋燭を表す語へと移ってきた。
λάμπα(ランプ、電球) は現代的な照明器具の語で、λαμπάς(松明、たいまつ) は古い火の光源を表す。λαμπάδα はその中間で、炎をともす細長い蝋燭を指す語として見やすい。
さらに、古いギリシャ語名 Λαμπαδίας(ランバディアス、アルデバランの古いギリシャ語名) も同じ語群に属する。
現代ギリシャ語では、教会や復活祭の文脈で λαμπάδα がとてもよく現れる。特に復活祭に手に持つ長い蝋燭は代表的な用法である。
主な意味はろうそく、細長い蝋燭。特に教会行事や復活祭で手に持つ長いキャンドルを指しやすい。
ギリシャ語:ιερέας
読み方:イェレアス・イェレーアス
ラテン文字:iereas
ιερέας(司祭、神父、祭司)は、古代ギリシャ語 ἱερεύς(祭司)から受け継がれた語である。現代ギリシャ語では、とくにキリスト教の司祭や神父を指す場面で最もよく使われる。
εκκλησία(教会、聖堂、教会組織) が場や制度を言うのに対して、ιερέας はその場で奉仕する聖職者を言う。Πάσχα(復活祭、パスハ) のような宗教行事でも自然に現れる。
主な意味は司祭、神父。広く祭司一般を言うこともあるが、現代の日常文脈では教会の聖職者を指すことが多い。
ギリシャ語:Πάσχα
読み方:パスハ・パースハ
ラテン文字:pascha
ギリシャ語:πασχαλιά
読み方:パスハリャ・パスハリャー
ラテン文字:paschalia
中世ギリシャ語の πασχαλία(復活祭の時期)に由来し、さらにさかのぼると πάσχα(復活祭)に関わる語群につながる。先頭大文字の Πασχαλιά(復活祭)は、この古い「復活祭の時期」という意味を口語的に受け継いだ形である。
植物名の πασχαλιά は、復活祭のころに咲く花木を指す語として定着した。現在は、おもに香りのよい花を咲かせる観賞用の低木、ムラサキハシドイ属のライラックを表す。
植物としては θάμνος(低木、灌木)に属する観賞用の花木で、花の色から連想される λιλά(ライラック色、薄紫色)とも結びつきやすい。復活祭を口語で言うときは Πασχαλιά とも呼び、同じく民間的な呼び名に Λαμπρή(復活祭、晴れの祝日)もある。
主な意味は、紫や白の香り高い花をつけるライラックと、先頭大文字で書かれる口語の「復活祭」。同じ形でも、小文字では植物名、大文字では祝祭名として使い分ける。
ギリシャ語:δράκος
読み方:ドゥラコ・ドゥラーコ
ラテン文字:drakos
古代ギリシャ語の δράκων(蛇)に由来。δράκων は動詞 δέρκεσθαι(鋭く見る)から派生し、蛇の鋭い眼差しにちなむ名前とされる。古代にはこの語が巨大な蛇や怪物も指すようになり、ラテン語 draco(蛇、竜)として取り入れられ、古フランス語を経て英語 dragon の語源にもなった。
中世ギリシャ語で δράκων から δράκος の形が生まれ、民間伝承に登場する人間型の魔物を指す語として定着した。竜を指すより一般的な語に δράκοντας(竜)があるが、δράκος は主に昔話の文脈で使われる。現代ギリシャ語で蛇を指す日常語は φίδι(蛇)で、こちらは古代ギリシャ語 ὄφις を起源とする別系統の語。
ギリシャ語:εκκλησία
読み方:エクリシア・エクリシーア
ラテン文字:ekklisia
古代ギリシャ語の ἐκκλησία(民会、市民の集会)からの学術借用。ἐκ-(外へ)+ καλέω(呼ぶ)から作られた ἔκκλητος(呼び出された)に -ία を加えた形で、直訳は「呼び集められたもの」。古代アテネなどでは民主政の中核をなす市民の公的集会を指した。新約聖書の時代にキリスト教徒の共同体を表す語として取り入れられ(マタイ伝 16:18 が有名)、のちに建物としての教会、教会組織全体までを指すようになった。
派生語に εκκλησιαστικός(教会の)、εκκλησιαστής(伝道者、旧約「コヘレト」Ἐκκλησιαστής の称号)、口語形 εκκλησιά など。類義語に θρησκεία(宗教)、ιερό(聖域、神殿)。
ラテン語 ecclēsia を経由してロマンス諸語の「教会」として広く残る:フランス語 église、スペイン語 iglesia、イタリア語 chiesa、ポルトガル語 igreja。英語の church は別系統(古代ギリシャ語 κυριακόν「主の家」由来)だが、ecclesiastical(教会の)、ecclesiastic(聖職者)、ecclesiology(教会論)、旧約書名 Ecclesiastes(コヘレトの言葉)は同じ ἐκκλησία をもとにした学術語。
ギリシャ語:πουκάμισο
読み方:プカミソ・プカーミソ
ラテン文字:poukamiso
πουκάμισο はラテン語 camisia にさかのぼる語群に属する。そこから文語的な καμίσιον(シャツ)や、中世ギリシャ語の πουκάμισον(シャツ)を経て、現代ギリシャ語の πουκάμισο になった。
現代ギリシャ語では、上半身に着て前で留めるシャツを指す日常語として定着している。
衣類全般を広く言うのは ρούχο(布製品、服、衣類)で、πουκάμισο はその中でも、前をボタンで留めるえり付きのシャツを指すことが多い。
そこから意味が広がって、正教会で崇敬の対象になる聖像であるイコンを覆う銀の被せ飾りや、φίδι(ヘビ、蛇)が脱皮して残す皮も言う。
主な意味はシャツ。とくに長袖や半袖で前開きのものを指し、素材や色を添えて具体的に言うことが多い。別の意味では、イコンにかぶせる銀の覆いと、ヘビの抜け殻も表す。
指小語 πουκαμισάκι(小さなシャツ)は、小さなシャツや小ぶりのシャツを言うときに使う。
成句では、πουκάμισο は中身のないものや、つまらないことでの争い、相手を次々取り替えることのたとえにもなる。
ギリシャ語:γιορτή
読み方:ヨルティ・ヨルティー
ラテン文字:giorti
古代ギリシャ語の ἑορτή(祭り、祝日)に由来する。中世ギリシャ語の段階で eo の連続が jo に寄る音変化を起こし、現代ギリシャ語では γιορτή(祭り、祝日)になった。文語では古い形を保った εορτή(祝日、祝祭)も並行して使われる。
複数形の οι γιορτές(祝祭期、ホリデーシーズン)は、クリスマスから新年にかけての祝祭期をまとめて言うときの定番表現。διακοπές(休暇、バカンス)は学校や仕事の休み、旅行や休暇そのものを言いやすく、γιορτή のような祝祭性は前面に出ない。
感情そのものとしての「喜び」は χαρά(喜び)が自然で、γιορτή は人が集まって祝う場、そのための日、その場に漂うお祭りらしさを表しやすい。
公開の催しとしての祭りや式典、記念日、教会暦の祝日や名の日を広く表す語。複数形では年末年始の祝祭期を指すことが多い。比喩的には、華やかさや喜びに満ちた状態も言える。
ギリシャ語:δημιουργία
読み方:ディミウルイア・ディミウルイーア・ディミウルギア・ディミウルギーア
ラテン文字:dimiourgia
δῆμος(人民)と ἔργον(仕事)が結びついた古代ギリシャ語の δήμια ἔργα(公共の仕事)にさかのぼる名詞 δημιουργός(職人, 創造者)から動詞 δημιουργώ(創造する)が派生し, その名詞形 δημιουργία を継承。表面的には δημιουργός は δήμιος(公の)と -ουργός(働く者, ἔργον「仕事」から派生した後接辞)の合成にあたる。
古代ギリシャ語の δημιουργός は、まず「職人、手工業者、技芸をもつ者」を指す語だった。ペロポネソス諸邦では「行政官、為政者」を表す用法もあった。さらに哲学の文脈では、プラトン『ティマイオス』で「世界の制作者(デミウルゴス)」として語られ、宇宙を形づくる存在を意味するようになった。このプラトン的な用法がヘレニズム期以降の神学に受け継がれ、キリスト教文化圏での「天地創造」「被造世界」の意味にもつながっている。
派生語に δημιουργός(創造者)、δημιουργώ(創造する)、δημιουργικός(創造的な)、δημιουργικότητα(創造性)、δημιούργημα(創作物)、αναδημιουργία(再創造)など。
ギリシャ語:ενθουσιασμός
読み方:エンスシアズモス・エンスシアズモース・エントゥシアズモス・エントゥシアズモース
ラテン文字:enthousiasmos
ギリシャ語:γέννηση
読み方:イェニシ・イェーニシ・ゲニシ・ゲーニシ
ラテン文字:gennisi
動詞 γεννώ / γεννάω(産む, 生む)から派生した古代ギリシャ語の女性名詞 γέννησις(誕生, 出生)を経て, 中世ギリシャ語の γέννηση を継承。古代 -σις が -ση に変わった形が中世から定着した。
派生に γεννητικός(生殖の), γεννητούρια(出産祝い), γεννησιά(誕生の時, 生まれ)。同じ語族に γέννα(出産), γεννήτορες(両親), γενέθλια(誕生日), γενιά(世代, 一族), γένος(種族, 性)。
誕生日を指すときは γενέθλια を使う。
ギリシャ語:κόρη
読み方:コリ・コーリ
ラテン文字:kori
古代ギリシャ語の κόρη(少女、娘)を継承。古くは κούρη の語形もあり、ミュケナイ時代の線文字 B に ko-wa として記録が残る。印欧祖語で「養う、育てる」を表す語根につながり、同じ語根の動詞 κορέννυμι(満たす、充足させる)が古代ギリシャ語にあった。
瞳孔の意味は、μάτι(目)を覗きこんだときにそこに映る小さな人影を「娘」に見立てた古代の比喩から。近代に入って、西洋考古学で英語 kore、フランス語 korê、ドイツ語 Kore として使われた学術用語の意味借用で、古拙期の女性立像を κόρη と呼ぶ用法も加わった。対になる男性像は κούρος。
ギリシャ語:έρωτας
読み方:エロタス・エーロタス
ラテン文字:erotas
中世ギリシャ語の έρωτας(恋愛、性愛)に続く語で、現代では恋愛や性愛を表す基本語になっている。愛する感情そのものだけでなく、その相手や性交まで指せる広がりを持つ。
先頭を大文字にした Έρωτας(愛の神エロス)は、古代ギリシャ語の Ἔρως(愛の神)にさかのぼる。
αγάπη(愛)がより広く「愛」全般を指せるのに対し、έρωτας は恋愛や性的な情熱に重心がある。στοργή(家族的な慈しみ)は家族的な愛情、φλερτ(いちゃつき、軽い恋の駆け引き)は恋の駆け引きや軽い色気を表す語として近い。
主な意味は、ほかの人に向かう強い恋愛感情や性的な欲望。そこから、恋の相手、性交、何かへの熱中も表す。複数形 έρωτες(色恋沙汰、浮ついた恋愛ごと)では、くだけた響きが出る。先頭大文字の Έρωτας は愛の神、植物名ではインパチェンスも指す。
ギリシャ語:σχήμα
読み方:スヒマ・スヒーマ
ラテン文字:schima
古代ギリシャ語の σχῆμα(形, 姿, ふるまい)に由来。ἔχω(持つ)のアオリスト語幹 σχ- に結果を表す -μα を付けて作られた語で, 持ち方・構えから形や姿へと意味が定まった。印刷の版型や書式を指す用法は, ドイツ語 Format の意味配置と重なって整った。図案や編成を指す用法は, フランス語 forme からの意味借用で加わった。インターネットの URL スキームやデータベースのスキーマは, 英語 scheme, schema を経由した専門用法。
英語 scheme, schema, フランス語 schéma, ドイツ語 Schema はラテン語 schēma を経て同じ語源。派生に σχηματίζω(形作る), σχηματισμός(形成, 編成), σχηματικός(概略の), μετασχηματίζω(変形する), μετασχηματιστής(変圧器)。
修道者の僧衣や位階を指す用法は, 中世ギリシャ語の σχῆμα を経て続いてきた宗教の語。古代の「姿, 身なり」から, 宗教生活における定まった身なりへと特殊化した。
ギリシャ語:μητρόπολη
読み方:ミトゥロポリ・ミトゥローポリ
ラテン文字:mitropoli
古代ギリシャ語の μήτηρ(母)と πόλις(都市)の合成語 μητρόπολις から。もとは「母都市」で、古代ギリシャ世界において植民都市の母体となった都市国家を指した。
中世には正教会の組織用語として取り入れられ、府主教が管轄する管区を意味するようになった。管区の拠点となる大聖堂や、府主教の官邸もこの語で呼ばれる。現代ギリシャ語ではフランス語 métropole の影響を受け、植民地に対する宗主国や巨大都市を指す用法も加わった。英語 metropolis も同じ語源。
ギリシャ語:τύχη
読み方:ティヒ・ティーヒ
ラテン文字:tychi
古代ギリシャ語の τύχη(偶然、運、神の意志)を継承。動詞 τυγχάνω(巡り合わせる、出会う、手に入れる)からできた名詞。「物事のその後、行方」を問う現代ギリシャ語の使い方は、フランス語 sort からの意味借用で広がった。
派生語に τυχαίος(偶然の)。合成語に ευ-(よい)を付けた ευτυχία(幸福)、δυσ-(悪い)を付けた δυστυχία(不幸)、ατυχία(不運)、τυχοδιώκτης(投機家、山師)。
類義語に μοίρα。μοίρα はもともと「分け前、取り分」を指し、定められて動かせない宿命を言う。τύχη は偶然の巡り合わせを指すことが多い。古代ギリシャの運命の女神テュケーは豊穣の角と舵を持つ姿で表され、英語でも Tyche の名で神話の文脈に残る。
ギリシャ語:μοίρα
読み方:ミラ・ミーラ
ラテン文字:moira
古代ギリシャ語の μοῖρα(分前、運命)を継承。動詞 μείρομαι(分配を受ける)から作られた語で、「割り当てられたもの」がもとの意味。印欧祖語で分配・割り当てを表す語根から続き、英語 merit(功績)もラテン語 mereō(値する)を経て同じ語源。
ギリシャ神話では Μοίρες(運命の三女神)が人の生死や境遇を定める存在として語られる。
軍の部隊名(大隊、飛行隊)と角度の「度」には、それぞれフランス語 escadron と degré からの意味借用が入って定着した。
派生語に μοιράζω(分ける、配る), μοιραίος(運命的な、致命的な), μοιρασιά(分け前、取り分)。合成語に κακόμοιρος(不幸な、かわいそうな), μεμψίμοιρος(文句の多い、不平を言う)。
類義語に τύχη(運命、幸運)。τύχη は偶然や巡り合わせを指し、μοίρα はあらかじめ定められた運命を指す。
ギリシャ語:τάφος
読み方:タフォス・ターフォス
ラテン文字:tafos
古代ギリシャ語の τάφος(墓, 埋葬)を継承。印欧祖語で「埋葬する」を表す語根に続き, 同じ語族に動詞 θάπτω(埋葬する, 葬る), その動作名詞 ταφή(埋葬, 葬儀)。
派生に ταφικός(墓の, 葬儀の)。合成語に επιτάφιος(墓碑の, 墓前の), ταφόπλακα(墓石)。英語 epitaph, フランス語 épitaphe はこの επιτάφιος をもとにした学術借用語。英語 cenotaph(空墓, 慰霊碑)も κενός(空の)と τάφος から作られた語。
μνήμα(墓, 記念碑)は個々の墓を指して日常で多く使われ, τάφος は考古学や宗教の文脈, 比喩的な表現で強く残る。Πανάγιος Τάφος(聖墳墓, キリストの墓)はギリシャ正教の中心になる言い方。
ギリシャ語:μυστικισμός
読み方:ミスティキズモス・ミスティキズモース
ラテン文字:mystikismos
フランス語の mysticisme からの借用語。フランス語 mysticisme は、ギリシャ語由来のフランス語 mystique(神秘的な、秘儀の)に、-isme(〜主義、〜論)が加わったもの。英語の mysticism と語源を共有する。
近い語に μυστήριο(秘跡、謎、密儀)や μυστικό(秘密、神秘)がある。どちらも「秘儀」「神秘」「秘密」の領域に近い語だが、μυστικισμός は思想や態度としての神秘主義を指す。
また、近い領域の語に αποκρυφισμός(オカルティズム)や εσωτερισμός(秘教)がある。αποκρυφισμός が超感覚的な力に関する知識や実践に寄り、εσωτερισμός が入門者だけに共有される教義体系に寄るのに対し、μυστικισμός は直感や脱魂を通じた絶対者・神性との合一に重点がある。
派生語には μυστικιστής(神秘主義者)、μυστικιστικός(神秘主義的な)がある。
主な意味は「神秘主義」。感覚や理性を介さず、直感や脱魂(エクスタシー)を通じて絶対者や神性との合一を目指す思想や態度を指す。そこから、隠微なものや神秘的なものに過度に惹かれる傾向、あるいは物事を秘密にしようとする性質を指すこともある。
ギリシャ語:είδωλο
読み方:イドロ・イードロ
ラテン文字:eidolo
古代ギリシャ語の εἴδωλον(像、形、幻、神像)から。είδος(形)に指小の -ωλον が付いた語。「見る、知る」の語根に連なり、ιδέα(考え、観念)や είδηση(ニュース)とは兄弟語。
ラテン語 īdōlum を経て英語 idol(偶像)、その複数形から idola(イドラ、偏見)が生まれ、eidolon(幻影)、pareidolia(パレイドリア、無意味なものに顔や形を見る現象)も同じ語源。
派生語・関連語に ειδωλολατρία(偶像崇拝)、ειδώλιο(小像、フィギュア)、ξόανο(古代の木製神像)、ίνδαλμα(憧れの的、典型)など。
ギリシャ語:αποκάλυψη
読み方:アポカリプシ・アポカーリプシ
ラテン文字:apokalypsi
古代ギリシャ語の動詞 ἀποκαλύπτω(覆いを取る)から派生した ἀποκάλυψις(覆いを取ること)に由来。ἀποκαλύπτω は接頭辞 ἀπο-(離れて, 取り除く)と動詞 καλύπτω(覆う)から成る。
同じ語族に動詞 αποκαλύπτω(暴く, 明かす), 形容詞 αποκαλυπτικός(黙示的な, 啓示的な), αποκαλυπτήρια(除幕式)。対義語に συγκάλυψη(隠蔽)。
英語 apocalypse(黙示)は ἀποκάλυψις をラテン語経由で借用したもの。
ギリシャ語:απόκρυφος
読み方:アポクリフォス・アポークリフォス
ラテン文字:apokryfos
古代ギリシャ語の ἀπόκρυφος(隠された)から。ἀπό(〜から離れて)と κρύπτω(隠す)からなり、もとは「隠し置かれた」の意。教会が正典と認めない書物「外典」の意味でも使われる。後期ラテン語 apocryphus を経て英語 apocryphal の語源にもなった。
「オカルトの」の語義は19世紀にフランス語 occulte の翻訳借用として加わった。派生語の αποκρυφισμός(オカルティズム)もこの語義から。
ギリシャ語:φυλαχτό
読み方:フィラフト・フィラフトー
ラテン文字:filachto
動詞 φυλάσσω(守る、現代ギリシャ語では φυλάω)から派生した語。ヘレニズム時代に形容詞 φυλακτός(守られるべき、保存可能な)が生まれ、その中性形が名詞として独立した。中世に「守られるべきもの」から「身につけて守ってくれるもの」へと意味が移り、魔除けやお守りを指すようになった。
音韻面では、[kt] が [xt] へ摩擦音化して現代ギリシャ語の φυλαχτό になったが、古典回帰的な影響から元の綴り φυλακτό も併用される。
英語の prophylaxis(予防法)にも、同じ φύλαξ(番人)という語源が含まれている。
物理的な守護と精神的な支えの両方を意味する。魔除けやお守りとしての用法が中心で、比喩的に心の拠り所も表す。幸運をもたらす γούρι(縁起物)とは対照的に、災いから守るものを指す。
ギリシャ語:εσωτερισμός
読み方:エソテリズモス・エソテリズモース
ラテン文字:esoterismos
古代ギリシャ語で「内側」を意味する ἔσω から派生した形容詞 ἐσωτερικός(内側の、内輪の)が語源。古代の哲学では、門弟にのみ教える秘密の教義を ἐσωτερικά(内側のもの)と呼び、一般向けの ἐξωτερικά(外向きのもの)と区別していた。
英語の esoteric もこの ἐσωτερικός から生まれた語で、名詞形の esotericism やフランス語の ésotérisme へと展開した。εσωτερισμός はこれらの西欧語から現代ギリシャ語に取り入れられた。
類義語に αποκρυφισμός(オカルティズム)や μυστικισμός(神秘主義)がある。
主な意味は、入門者のみに知識を共有する秘教的な教義体系。宗教的、神秘的、哲学的エゾテリズムといった使い分けがある。また、作品が持つ内面的な深みを指す「内面性」の意味もある。
ギリシャ語:μυστήριο
読み方:ミスティリオ・ミスティーリオ
ラテン文字:mystirio
古代ギリシャ語の動詞 μύω(閉じる)から派生した μυστήριον(儀式、秘密の教え)が起源。μύω は「口を閉じる」「目を閉じる」の意で、ここから μυστήριον は選ばれた者だけに明かされる事柄を指すようになった。ヘレニズム期以降、キリスト教の「秘跡」としての語義が定着し、現代ギリシャ語の μυστήριο に至る。
英語の mystery もこの語に由来する。
現代ギリシャ語では、理屈では説明できない不思議な現象や推理小説的な「謎」の意味で日常的に使われる。そのほか、キリスト教の秘跡や宗教上の教義、古代ギリシャの密儀、中世の宗教劇(神秘劇)の意味もある。
ギリシャ語:δεισιδαίμονας
読み方:ディシデモナス・ディシデーモナス
ラテン文字:deisidaimonas
古代ギリシャ語の δείδω(恐れる)と δαίμων(神霊)の合成語。元来は「神々を畏れ敬う」という肯定的な意味もあったが、のちに「理不尽な恐怖に駆られて神を信じる」という否定的なニュアンスへと変化した。δαίμων の部分は英語の demon(悪魔)と語源を共有する。
類義語の προληπτικός(縁起を担ぐ人、迷信深い人)に比べ、より非合理的で超自然的な力に対する恐れのニュアンスが強い。
派生語として δεισιδαιμονία(迷信)や δεισιδαιμονικός(迷信の、迷信的な)がある。
迷信を信じる人を指す。書き言葉では、考え方や習慣が迷信に基づいていることを表す形容詞としても使われる。
ギリシャ語:παράδεισος
読み方:パラディソス・パラーディソス
ラテン文字:paradeisos
古代ペルシア語の pairi-daēza(周囲を囲われた場所、庭園)に由来する。古代ギリシャ語に借用された当初は、ペルシア貴族の狩猟園や公園を指していた。ヘレニズム期に七十人訳聖書でヘブライ語の「エデンの園」にあたる語として採用され、宗教的な意味を帯びるようになった。新約聖書を経てキリスト教的な「天国」の意味が定着し、現代ギリシャ語でもこの宗教的な意味が中心になっている。
「素晴らしい場所」「理想的な活動拠点」といった世俗的な語義は、フランス語 paradis からの翻訳借用による。英語の paradise も同じ語源から来ている。
対義語はκόλαση(地獄)。
新約聖書における「天国」、旧約聖書における「エデンの園」のほか、比喩的に美しく心地よい場所や、特定の活動にとって理想的な場所も表す。宗教的な意味では先頭大文字の Παράδεισος、比喩的な意味では小文字の παράδεισος と書き分ける。
ギリシャ語:τελετουργία
読み方:テレトゥルイア・テレトゥルイーア・テレトゥルギア・テレトゥルギーア
ラテン文字:teletourgia
古代ギリシャ語の τελετή(儀式、秘儀)と ἔργον(仕事、行い)の合成語に由来。もとは「儀式を執り行うこと」で、ヘレニズム期から用いられ、現代ギリシャ語へと引き継がれた。同じ ἔργον に由来する接尾辞 -ουργία を含む語に λειτουργία(典礼、機能)があり、英語 liturgy も λειτουργία から来ている。形容詞は τελετουργικός(儀式的な、儀礼的な)、副詞は τελετουργικά(儀式に則って)。
語源に含む τελετή(式典、儀式)は卒業式や開会式のような世俗的な行事にも広く使えるのに対し、τελετουργία は宗教的な文脈に限られやすい。近い語に ιεροτελεστία(宗教的で厳かな儀式)、μυσταγωγία(秘儀への入門、秘跡)、έθιμο(慣習、しきたり)など。
ギリシャ語:βίβλος
読み方:ヴィヴロス・ヴィーヴロス
ラテン文字:vivlos
古代ギリシャ語の βίβλος(パピルス, 巻物, 書物)から。フェニキアの港町 Βύβλος(現レバノンのジュベイル)がパピルスの交易地だったことから, そこで扱われた素材の名がギリシャ語に入った。指小形 βιβλίον の複数 τὰ βιβλία はヘレニズム期以降のキリスト教でギリシャ語訳聖書を指すようになり, ラテン語 biblia を経て英語 Bible になった。
同じ βίβλος の語族に βιβλίο(本), βιβλιάριο(小冊子, 通帳), βιβλιοθήκη(図書館, 本棚), βιβλιοπωλείο(書店), βιβλιογραφία(書誌学, 参考文献目録), βιβλικός(聖書の), βιβλιόφιλος(愛書家), βιβλιοδεσία(製本)。ふつうの「本」には βιβλίο を使い, βίβλος は先頭大文字 Βίβλος の聖書と, λευκή βίβλος「白書」のような硬い公文書名に限られる。
λευκή βίβλος「白書」, κυανή βίβλος「青書」, μαύρη βίβλος「黒書」のような色+βίβλος の公文書名は英語 White Paper, Blue Paper, フランス語 Livre Noir からの翻訳借用。英語 Bible, bibliography(書誌学), bibliophile(愛書家)もこの βιβλίον・βίβλος の語族。
ギリシャ語:νηστεία
読み方:ニスティア・ニスティーア
ラテン文字:nisteia
古代ギリシャ語の νηστεία(断食)に由来。形容詞 νῆστις(食べていない)から作られた抽象名詞で、νῆστις は否定の νη- と動詞 ἐσθίω(食べる)の語根からなる。ἐσθίω は英語 eat、ラテン語 edere(食べる)と同じ印欧祖語の語根に続く。
動詞は νηστεύω(断食する), 形容詞に νηστίσιμος(断食中でも食べられる)。近い語に αφαγία(絶食)= α-(否定)+ φαγεῖν(食べる)の合成。関連する行為に προσευχή(祈り)。
ギリシャ語:ιερό
読み方:イェロ・イェロー
ラテン文字:iero
古代ギリシャ語の形容詞 ἱερός(聖なる)の中性形 ἱερόν が起源で、「聖なる場所」を意味した。古代では神や女神に捧げられた神殿とその周辺の聖域全体を指していた。
ヘレニズム期には「教会」を指す広い意味で使われたが、ビザンチン時代にキリスト教の「至聖所」を指す語に変わった。この変遷にはヘブライ語の概念からの意味借用も含まれる。
英語の hierarchy(階層、聖職階級)は、ἱερός と ἀρχή(支配)から成る古代ギリシャ語 ἱεραρχία に由来する。hieroglyph(象形文字)の hiero- も同じ語源。
古代の神殿や聖域全体を指すほか、キリスト教の聖堂内で最も神聖な空間である「至聖所」も意味する。
ギリシャ語:προσκύνημα
読み方:プロスキニマ・プロスキーニマ
ラテン文字:proskynima
古代ギリシャ語の動詞 προσκυνέω(ひれ伏して敬意を示す)は、προσ-(〜に向かって)と κυνέω(口づけする)から成る。その名詞形 προσκύνημα は拝礼や敬意の表明を指し、中世ギリシャ語を経て現代ギリシャ語に至る。現代の動詞形は προσκυνώ(礼拝する、ひれ伏す)。
英語の proskynesis(古代の拝礼の儀式を指す歴史用語)は同じ語源から来ている。
単なる旅行ではなく、宗教的・精神的な行為を表す語。宗教的な崇拝の現れとしての礼拝や、故人への敬意の表明が基本的な意味で、信者が参拝する聖地や巡礼地そのものも指す。比喩的に、感情的な結びつきがある場所を訪れることにも使われる。歴史的には、支配者に対する帰順の意味もあった。
ギリシャ語:δέηση
読み方:デイシ・デーイシ
ラテン文字:deisi
古代ギリシャ語で「乞う、必要とする」を意味する動詞 δέομαι から派生した名詞 δέησις(請い、祈り)が起源。中世ギリシャ語を経て語末が -σις から -ση に変化し、現代ギリシャ語の δέηση となった。キリスト教の祈祷で中心的に使われる語のひとつで、επιμνημόσυνη δέηση(追悼祈祷)のような複合語にも用いられる。
同じ「祈り」を表す προσευχή が礼拝、感謝、神との対話を含む広い意味での祈りを指すのに対し、δέηση は「乞う」ニュアンスが強く、神への切実な願いや公的な祈祷に用いられる。ικεσία(嘆願)や παράκληση(哀願)と比べても、より儀礼的・教会的な響きがある。
ひとつめの意味は神に対する祈りの行為や公的な祈祷で、特に教会における儀式的な祈りを指す。また、美術用語として、キリストを中心に聖母マリアと洗礼者ヨハネが執り成しの祈りを捧げる図像「デーシス」の意味もある。
ギリシャ語:δεισιδαιμονία
読み方:ディシデモニア・ディシデモニーア
ラテン文字:deisidaimonia
古代ギリシャ語から引き継がれた語で、δείδω(恐れる)と δαίμων(神霊、超自然的存在)の合成語。もとは「神々への恐れ」を意味した。δαίμων は古代ギリシャ語では善悪を問わない超自然的存在を広く指し、ラテン語の daemon を経て英語の demon(悪魔)の語源にもなった。古代には敬虔さの意味合いも持っていたが、ヘレニズム期を経て否定的なニュアンスが強まり、現代ギリシャ語では非科学的な恐怖に基づく迷信を指すようになった。英語の superstition に相当する。
類義語の πρόληψη(縁起担ぎ、予断)と混同されることが多いが、δεισιδαιμονία はより非合理的で超自然的な力に対する恐れのニュアンスが強い。
δεισιδαίμονας は「迷信深い人」や「迷信深い」を意味し、名詞としても形容詞としても使われる。
偶然の出来事や特定の行為、物体に対して非合理的に超自然的な性質を認め、それらが運命や人生に悪影響を及ぼすと信じること。
ギリシャ語:προσευχή
読み方:プロセフヒ・プロセフヒー
ラテン文字:prosefchi
古代ギリシャ語で「願う、祈る」を意味する動詞 εὔχομαι に、方向を示す接頭辞 πρός(〜に向かって)が付き、「神に祈る」を意味する動詞 προσεύχομαι が生まれた。その名詞形が προσευχή で、新約聖書が書かれたコイネーの時代から現代に至るまで、一貫して「神への祈り」を意味している。
類義語の δέηση(請願、祈願)が何かを「乞う」ニュアンスが強いのに対し、προσευχή は礼拝、感謝、神との対話を含む、より広い意味での「祈り」を指す。
祈りの行為そのもの、つまり人間が神に対して崇拝や感謝を表し何かを願うコミュニケーションを指すほか、祈祷文や祈りの特定のテキストを指すのにも使われる。
ギリシャ語:πίστη
読み方:ピスティ・ピースティ
ラテン文字:pisti
古代ギリシャ語の動詞 πείθω(説得する)から派生した名詞 πίστις(信頼、確信)が起源。もとは「説得されて信じること」で、現代ギリシャ語で πίστη となった。
英語 faith(信仰)はラテン語 fidēs(信頼)から古フランス語を経て入った語で、fidelity(忠実さ)や fealty(忠誠)、スペイン語 fe(信仰)も同じ fidēs から。ギリシャ語 πίστις とこれらは「信じる」を意味する同じ印欧語根を共有する。
ギリシャ語:θρησκεία
読み方:スリスキア・スリスキーア・トゥリスキア・トゥリスキーア
ラテン文字:thriskeia
後古典期ギリシャ語の θρησκεία(神への崇拝, 儀式)に由来。動詞 θρησκεύω(宗教儀礼を行う)から抽象名詞を作る -εία が付いてできた語で, もとは個人の信念ではなく神への儀礼的な奉仕を指した。近代に入り教義や組織を含む体系としての「宗教」全般を指す意味が加わった。
同じ θρησκεύω の語族に形容詞 θρησκευτικός(宗教的な), 名詞 θρήσκος(信心深い人)。
πίστη(信仰)が個人の内面的な信じる行為に, λατρεία(崇拝, 礼拝)が神に対する儀礼的な崇拝行為に焦点があるのに対し, θρησκεία はそれらを含む体系全体を指す。
ギリシャ語:βλαστήμια
読み方:ヴラスティミア・ヴラスティーミア
ラテン文字:vlastimia
βλαστήμια は古代ギリシャ語の βλασφημία(誹謗、不敬な言葉)に由来する。英語の blasphemy(冒涜)の語源でもある。
類義語の βρισιά(罵倒) と比べると、βλαστήμια は宗教的・神聖な対象を汚すニュアンスがより強い。ただし現代ギリシャ語では、口汚い罵り言葉全般を指すこともある。
不敬な言葉や卑俗な罵り言葉を総称する語で、神への冒涜から日常的な罵言まで幅広く使われる。
ギリシャ語:ευσέβεια
読み方:エフセヴィア・エフセーヴィア
ラテン文字:efseveia
古代ギリシャ語の εὐσέβεια(敬虔、信仰心)からの学術借用。形容詞 εὐσεβής(敬虔な、εὖ「よく」+ σέβομαι「畏れ敬う」+ -ής)から作られた抽象名詞で、直訳は「よく畏れ敬うこと」。σέβομαι は印欧祖語で「避ける、離れる」を表す根に由来し、神聖なものから身を退いて敬うという感覚がもとにある。サンスクリット tyaj-(離れる、捨てる)が同源。
派生・関連語に ευσεβής(敬虔な)、ευσεβώς(敬虔に)、ευσεβισμός(敬虔主義)、ευσεβιστής(敬虔主義者)、ασέβεια(不敬、不遜)、σέβας(畏敬、尊崇)、σέβομαι(敬う)、σεβασμός(敬意、尊敬)、σεβαστός(尊敬すべき)など。
固有名 Ευσέβιος(エウセビオス、「敬虔な者」)は古代からの男性名で、4世紀の教会史家カイサリアのエウセビオスで広く知られる。英語 Eusebius も同じ名。
ギリシャ語:κόλαση
読み方:コラシ・コーラシ
ラテン文字:kolasi
動詞 κολάζω(罰する)から派生した古代ギリシャ語の女性名詞 κόλασις(罰, 懲戒)から。ヘレニズム以降キリスト教の文脈で死後の罰を受ける場所を表すようになり, そこから「地獄」の意味が定着した。語尾 -σις が -ση に変わって現代ギリシャ語の κόλαση の形になった。
同じ語族に κολάζω(罰する), κολαστήριο(拷問室, 責め苦の場), κολασμένος(呪われた, 地獄に落ちた)。
ギリシャ語:αίρεση
読み方:エレシ・エーレシ
ラテン文字:airesi
動詞 αἱρέω(取る, 選ぶ)から派生した古代ギリシャ語の女性名詞 αἵρεσις(選択, 傾向, 学派)に由来。語尾 -σις が -ση に変わって現代ギリシャ語の αίρεση の形になった。
派生に αιρετικός(異端の, 選挙の), αιρεσιάρχης(異端の指導者), εξαίρεση(例外)。
英語 heresy(異端)もラテン語 haeresis を経て同じ語源。
ギリシャ語:θαύμα
読み方:サヴマ・サーヴマ・タヴマ・ターヴマ
ラテン文字:thavma
古代ギリシャ語の θαῦμα(驚き, 驚異)を継承。θεάομαι(観る)と語源を共有し, もとは「見て驚くもの」。現代の「経済の奇跡」「技術の奇跡」「奇跡のワクチン」など比喩で幅広い驚異を指す用法はフランス語 miracle, merveille と英語 miracle からの意味借用で輪郭が整った。話しことばや文学ではアクセントを移した θάμα という短縮形も使う。
同じ θαῦμα の語族に動詞 θαυμάζω(感嘆する), 形容詞 θαυμάσιος(素晴らしい, 見事な)と θαυμαστός(感嘆に値する), 名詞 θαυμασμός(感嘆), θαυμαστής(愛好者, ファン), θαυμαστικό(感嘆符), 合成語 θαυματοποιία, θαυματουργία(奇跡を起こす業), αξιοθαύμαστος(感嘆に値する)。θαυμάσιος が日常で広く使われ, θαυμαστός は格式高い場面で出てくる。
θεάομαι からは θέατρον(観る場所)が派生して現代の θέατρο になり, ラテン語 theatrum を経て英語 theatre(劇場)になった。英語 thaumaturgy(奇跡的な業, マジック)は θαυματουργία を経て入ったもの。年齢にそぐわない才能を持つ子を指す παιδί-θαύμα(神童)は独語 Wunderkind, 英語 child prodigy, 仏語 enfant prodige の意味借用で生まれた合成語。
ギリシャ語:δύναμη
読み方:ディナミ・ディーナミ
ラテン文字:dynami
古代ギリシャ語の δύναμις(能力、力)に由来する。δύναμις は「できる」を意味する動詞 δύναμαι から派生した名詞で、もともと「何かをする能力」を表した。中世ギリシャ語を経て語末の -ις が -η に変化し、現代ギリシャ語の δύναμη となった。
英語の dynamic(動的な)、dynamite(ダイナマイト)、dynamo(発電機)は、いずれもこの δύναμις を語源とする。
類義語に ισχύς(効力、威力)や σθένος(強健さ、気概)がある。対義語は αδυναμία(弱さ、無力)で、否定の接頭辞 α- が付いた形。
δύναμη は多くの定型表現に用いられる。軍事では Ένοπλες Δυνάμεις(軍隊)、Ειδικές Δυνάμεις(特殊部隊)、αεροπορική δύναμη(空軍力)、δύναμη πυρός(火力)、政治・経済では δημόσια δύναμη(公権力)、Μεγάλες Δυνάμεις(列強)、αγοραστική δύναμη(購買力)などがある。
ήρεμη δύναμη は「静かなる強さ」を意味し、実力をひけらかさないが能力のある人を指す比喩表現。
日本語の「力」と同様に、身体的・精神的な能力から、物の作用や効能、政治・経済的な勢力、軍事力、物理学の力、数学の累乗、超自然的な存在まで非常に幅広い意味を持つ。
ギリシャ語:δαίμονας
読み方:デモナス・デーモナス
ラテン文字:daimonas
古代ギリシャ語 δαίμων(神性、神的な力)に由来。もとは「運命を割り当てるもの」を意味し、善悪を問わない超自然的な存在、神と人間の中間に位置する精霊のような存在を指した。ヘレニズム期以降、キリスト教の影響で「下級の神」から「悪霊」へと意味が変わり、中世ギリシャ語を経て現代の δαίμονας に至る。英語 demon はラテン語 daemon を介してこの語に由来する。
中性形の δαιμόνιο は新約聖書で人に取り憑く悪霊を指し、現代ギリシャ語では「天才的な才能」の意味でも使われる。類義語に διάβολος(悪魔、もとは「中傷者」)、σατανάς(サタン、ヘブライ語からの借用)など。
ギリシャ語:ψαλμωδία
読み方:プサルモディア・プサルモディーア
ラテン文字:psalmodia
古代ギリシャ語の ψαλμῳδία(竪琴の伴奏に合わせた歌)に由来。ψαλμός(竪琴の伴奏付きの歌, 賛美歌)と ᾠδή(歌)からできた語で, 聖書翻訳とキリスト教典礼を通じて詩篇や聖歌の詠唱を指すようになった。現代ギリシャ語の用法は, フランス語 psalmodie, 英語 psalmody の意味配置と重なって整った。
英語 psalmody, フランス語 psalmodie はラテン語 psalmodia を経て同じ語源。ψαλμός と ᾠδός(歌い手)からできた並行する合成語 ψαλμωδός(詩篇歌い, 詠唱者)も同じ語族。派生に ψαλμωδικός(詠唱の), ψαλμωδώ(詠唱する)。
ύμνος(賛美歌, 賛歌)や άσμα(歌)は世俗の歌も指すのに対し, ψαλμωδία は教会の典礼で歌う場面に使うことが多い。
ギリシャ語:μάγος
読み方:マゴス・マーゴス
ラテン文字:magos
古代ギリシャ語の μάγος(ペルシアの祭司、魔術師)を継承。古代ペルシア語 maguš(祭司階級の呼び名)からギリシャ語に入った語で、ヘレニズム期に「魔術師」の意味が加わった。ラテン語 magus を経て、英語の magic や magician もここから。現代の「名手、奇術師」の意味は、フランス語 magicien、英語 magician からの意味借用で広がった。
女性形は μάγισσα(魔女)で、中世ギリシャ語で生まれた形。東方の祭司や三博士には当てない。派生語に動詞 μαγεύω(魅了する、魔法をかける)、形容詞 μαγικός(魔法の、不思議な)、抽象名詞 μαγεία(魔法、魔術)、中性複数 τα μάγια(具体的な魔術行為)など。
ギリシャ語:σατανάς
読み方:サタナス・サタナース
ラテン文字:satanas
ヘブライ語 שטן(śāṭān, 敵対者)がギリシャ語に Σατανᾶς の形で借用され, 七十人訳聖書・新約聖書を通じて悪魔の名として用いられ, そのまま現代ギリシャ語に受け継がれた。
同じ σατανάς の語族に σατανικός(悪魔的な), σατανικότητα(悪魔的な性質), σατανισμός(悪魔崇拝), σατανιστής(悪魔崇拝者), αρχισατανάς(大魔王)。
英語 Satan, フランス語 Satan も同じヘブライ語を源にし, ギリシャ語訳聖書を経由して各言語に入った。日常の慣用表現では διάβολος(悪魔, ギリシャ語で「中傷する者」)のほうが圧倒的に多く使われ, σατανάς は宗教的・格式高い文脈と, 「ずる賢い人」「いたずらっ子」の比喩で出てくる。
ギリシャ語:ψαλμός
読み方:プサルモス・プサルモース
ラテン文字:psalmos
古代ギリシャ語の ψαλμός(弦を弾くこと, 竪琴の歌)に由来。ψάλλω(弦を弾く, はじく)から結果を表す -μός を付けて作られた語で, 弦の演奏から竪琴の伴奏の歌へ, さらにヘレニズム期の聖書翻訳とキリスト教典礼を通じて賛美歌の意味に移った。現代ギリシャ語の用法は, フランス語 psaume, 英語 psalm の意味配置と重なって整った。
英語 psalm, フランス語 psaume, ドイツ語 Psalm はラテン語 psalmus を経て同じ語源。派生に ψαλμωδία(詠唱)。同じ ψάλλω(弦を弾く)を源に持つ仲間に ψάλτης(詠唱者), ψαλτήρι(詩篇集, 竪琴)。
ύμνος(賛美歌, 賛歌)や άσμα(歌)は世俗の歌も指すのに対し, ψαλμός は聖書由来の詩篇や典礼の詠唱に使うことが多い。
ギリシャ語:ύμνος
読み方:イムノス・イームノス
ラテン文字:ymnos
古代ギリシャ語の ὕμνος(神や英雄を称える歌、賛歌)を継承。国歌や公的な頌歌の広い用途は、近代にフランス語 hymne、英語 hymn からの意味借用で入った。
派生語に υμνώ(賛美する)、υμνητής(賛美者)、合成語に υμνογραφία(賛歌の作詞)、υμνολογία(賛歌学、賛歌集)。
類義語に άσμα(歌)、ωδή(頌歌)、ψαλμός(詩編)。ψαλμός は旧約聖書『詩編』の賛美歌に限られ、ύμνος は宗教的な歌のほか世俗の称賛や国歌にも使う。英語 hymn、フランス語 hymne、イタリア語 inno はラテン語 hymnus を経て ὕμνος と同じ語源につながる。正教会の聖歌には Ακάθιστος Ύμνος(座らずに聴く賛歌)、Τρισάγιος Ύμνος(三度聖なる賛歌)、国家の公式歌は Εθνικός Ύμνος(国歌)。
ギリシャ語:διάβολος
読み方:ディアヴォロス・ディアーヴォロス
ラテン文字:diavolos
古代ギリシャ語の動詞 διαβάλλω(中傷する、告発する)から派生した名詞で、もとは「中傷者」「告発者」を意味した。δια-(越えて)と βάλλω(投げる)の合成語で、「言葉を投げつける」から「中傷する」の意になったもの。
ヘレニズム期に、ヘブライ語聖書のギリシャ語訳(七十人訳聖書)で、ヘブライ語の śāṭān(敵対者)の訳語にこの語があてられた。キリスト教の広がりとともに「悪魔」「サタン」の意味が定着し、もともとの「中傷者」の意味は失われた。英語の devil は、ラテン語 diabolus を経てこの語に由来する。
現代ギリシャ語の口語形 διάολος(ディアオロス)は、不吉な名前をそのまま呼ぶのを避けるために間音 [v] が脱落した形。
類義語の σατανάς(サタン)はヘブライ語からの直接の借用で、宗教的な文脈で使われることが多い。日常の慣用表現には διάβολος のほうがはるかに頻繁に登場する。
δαίμονας(デモナス)は、古代ギリシャ語では善悪を問わない超自然的存在を指したが、キリスト教の影響で「悪霊」の意味に変わった語で、英語 demon の語源にあたる。中性形の δαιμόνιο(デモニオ)は新約聖書で人に取り憑く悪霊を指し、現代ギリシャ語では「天才的な才能」の意味でも使われる。
Εωσφόρος(エオスフォロス)は「光をもたらす者」の意味で、堕天使ルシファーを指す。
主な意味は悪の精神を具現化した存在としての「悪魔」で、複数形は悪霊全般を、定冠詞付きの単数形は悪魔の長であるサタンを指す。驚きや怒りを表す間投詞や、知恵者・いたずらっ子の比喩としても日常的に使われ、ギリシャ語で最も慣用表現の多い語のひとつ。
指小形は、おもにかわいげのあるいたずらっ子の呼び名として使われる。
ギリシャ語:ήρωας
読み方:イロアス・イーロアス
ラテン文字:iroas
古代ギリシャ語 ἥρως(hḗrōs、英雄)が起源。対格の ἥρωα を経て現代ギリシャ語の ήρωας となった。もともとは古代神話において卓越した能力を持ち、死後に崇拝の対象となった存在を指す語だった。
古代ギリシャ語 ἥρως はラテン語に hērōs として借用され、さらにフランス語の héros へと受け継がれた。フランス語では「勇敢な人物」や「物語の主人公」の意味が発達し、現代ギリシャ語はこの用法を逆輸入する形で取り入れた(意味借用)。英語の hero も同じくラテン語経由でこの語に由来し、日本語のヒーローもここから来ている。女性形は ηρωίδα で、古代ギリシャ語 ἡρωίς(対格 -ίδα)から来ている。
神話上の超人的な存在から、勇気ある行動をとる人物、物語の登場人物までを指す。
ギリシャ語:ουράνιος
読み方:ウラニョス・ウラーニョス
ラテン文字:ouranios
古代ギリシャ語の οὐράνιος(空の, 天の)を継承。ουρανός(空, 天)に形容詞の語尾 -ιος を付けた形。
ουρανός の語族に Ουρανός(ウラノス神, 天王星), ουρανίσκος(口蓋, ベッドの天蓋), 合成語 επουράνιος(天上の, 至高の), ουρανοξύστης(摩天楼), ουράνιο τόξο(虹, もとは「天の弓」), ουράνιος θόλος(大空, 天蓋), ουράνια σφαίρα(天球)。
英語 Uranus(天王星)は神話のティタン神 Οὐρανός から新ラテン語を経て命名された。元素の uranium(ウラン)も Uranus にちなむ。
ギリシャ語:θεά
読み方:セア・セアー・テア・テアー
ラテン文字:thea
古代ギリシャ語の θεά(女神)に由来。男性名詞 θεός(神)の女性形で, 印欧祖語で「神聖な, 宗教的な」を表す語根に続く語。
派生に増大形 θεάρα(美女を強めて言うときの言い方)。成句 στρογγυλή θεά(丸い女神)はサッカーやサッカーボール自体を指す言い方。
同じ綴りでアクセント位置が異なる θέα(眺め, 景色)は別の語で, 動詞 θεάομαι(見つめる)に由来する。英語 theology(神学), enthusiasm(熱狂)の接頭辞 theo- はこの θεός / θεά と同じ語根から。
καλλονή(絶世の美女), κούκλα(人形のような美貌)は姿かたちの美しさを言うが, θεά は「神々しい, 圧倒的な」美しさの形容として使う。
ギリシャ語:μαρτύριο
読み方:マルティリオ・マルティーリオ
ラテン文字:martyrio
名詞 μάρτυς(証人)から派生した古代ギリシャ語の中性名詞 μαρτύριον(証言, 証拠)から。ヘレニズム期以降キリスト教の文脈で信仰を証しして死ぬこと, すなわち殉教を表すようになった。その意味はカサレヴサ(学術的な書き言葉)を経て現代ギリシャ語 μαρτύριο に受け継がれ, さらに肉体的・精神的な激しい苦しみ全般も指すようになった。
同じ語族に μάρτυρας(証人, 殉教者), μαρτυρία(証言, 供述), μαρτυρώ(証言する, 殉教する), μαρτυρικός(証言の, 殉教の)。英語 martyr, martyrdom はラテン語 martyr を経て同じ μάρτυς にさかのぼり, 考古学で使う martyrium(殉教者記念礼拝堂)も同じ語族から取り入れられた。
βασανιστήριο(拷問, 拷問具)が加えられる行為や道具を指し, ταλαιπωρία(苦労, 労苦)が一般的な苦労を指すのに対し, μαρτύριο は信仰や忍耐を伴う逃れがたい苦難という含みを帯びる。
ギリシャ語:μύθος
読み方:ミソス・ミーソス・ミトス・ミートス
ラテン文字:mythos
古代ギリシャ語の μῦθος(言葉, 話, 物語)を継承。現代の「神話, 寓話, 筋書き」の用法はドイツ語 Mythos, フランス語 mythe, 英語 myth からの意味借用で輪郭が整った。
同じ μῦθος の語族に μυθικός(神話的な, 伝説的な), μύθευμα(作り話), μυθώδης(神話のような, 伝説のような), 合成語 μυθολογία(神話学, 神話体系), μυθιστόρημα(小説), μυθοπλασία(フィクション, 創作), μυθομανία(虚言癖), μυθοποιός(神話を作る, 神話化する)。
類義語 θρύλος は歴史的事実を核に伝承がついた「伝説」, παραμύθι は子ども向けに語られる「おとぎ話」を指すのに対し, μύθος は世界の成り立ちや神々・英雄を扱う構造のある物語で使う。英語 myth, mythology, mythical もこの μῦθος の語族からラテン語経由で入った。
ギリシャ語:κατάρα
読み方:カタラ・カターラ
ラテン文字:katara
古代ギリシャ語の κατά-(〜に対して)と ἀρά(祈り)からなる κατάρα(呪い)を継承。
対義語は ευχή(願い、祝福)と ευλογία(祝福)。同じ祈りでも、相手の幸いを願うのが ευχή、災いを願うのが κατάρα。
ギリシャ語:στοιχειό
読み方:スティヒョ・スティヒョー
ラテン文字:stoicheio
古代ギリシャ語の στοιχεῖον(構成要素、原理)から。ヘレニズム期には「黄道十二星座の符号」の意味を持ち、中世ギリシャ語の στοιχείον(悪霊、デーモン)を経て、母音衝突を避けるための音節短縮(シニゼーシス)が起こり、現代の στοιχειό の形に至った。
古代ギリシャ語の στοιχεῖον は、ラテン語に elementum(要素)として訳され、英語の element の語源にもなっている。
στοιχειό は、στοιχεῖον の本来の「構成要素」の意味を受け継いだ στοιχείο(要素、データ)とは同じ語源だが、アクセントの位置も意味も異なる別の語である。
類義語として φάντασμα(幽霊)があるが、στοιχειό は単なる死者の霊というよりも、特定の場所(家や橋など)に結びつき、そこを守護または支配する「土地の精霊」としてのニュアンスが強い。
主な意味は「守護霊」「精霊」で、特定の場所に結びつく超自然的な存在を指す。人魚など、超自然的な存在全般にも使われる。比喩的には、不気味なほど背が高く痩せた人を形容する際にも使われる。
ギリシャ語:αθανασία
読み方:アサナシア・アサナシーア・アタナシア・アタナシーア
ラテン文字:athanasia
古代ギリシャ語の ἀθανασία(不死)に由来。αθάνατος に相当する古代形 ἀθάνατος(不死の、死なない)に -ία を付けた抽象名詞で、さらに ἀ-(否定)と θάνατος(死)にさかのぼる。
類義語に αιωνιότητα(永遠)、αφθαρσία(不滅、不朽)など。
英語 athanasy(不死、不朽)は古代ギリシャ語 ἀθανασία がそのまま入った語で、現代では古語として文学的な文脈に限られる。人名の Athanasius / Athanasia(アタナシオス、アタナシア)は同じ語から「不死の者」を表す名で、4世紀のアレクサンドリアの教父アタナシオスにちなむ Athanasian Creed(アタナシオス信条)も広く知られる。ギリシャ神話の死神 Θάνατος(Thanatos)、英語 euthanasia(安楽死、eu- + θάνατος)も同じ語根 θάνατος を含む。
ギリシャ語:ουρανός
読み方:ウラノス・ウラノース
ラテン文字:ouranos
古代ギリシャ語の οὐρανός(空, 天)を継承。神話では「空」を擬人化したティタン神 Οὐρανός が同名で, クロノスの父にあたる。現代の「ベッドや乗り物の天蓋」の用法はフランス語 ciel de lit(ベッドの空)からの翻訳借用。惑星名 Ουρανός は神名 Οὐρανός から新ラテン語 Uranus を経て入った。
同じ οὐρανός の語族に ουράνιος(空の, 天の), ουρανίσκος(口蓋, 天蓋), επουράνιος(天上の), 合成語 ουρανοξύστης(摩天楼), ουράνιο τόξο(虹, もとは「天の弓」)。宗教文脈では複数形 ουρανοί が「天, 天国」の意味でよく出てくる。
英語 uranium(ウラン)は天王星 Uranus にちなむ元素名で, 神名 Οὐρανός に連なる。「天国」では παράδεισος(楽園, パラダイス, ペルシア語起源)も近く, ουρανοί が神の住まう天を広く指すのに対し, παράδεισος は祝福された者が至る楽園を指す。
ギリシャ語:λόγος
読み方:ロゴス・ローゴス
ラテン文字:logos
λόγος は古代ギリシャ語の λέγω(集める、選ぶ、話す)に由来する名詞。古代から「言葉」「話」「理性」「根拠」「計算」などを広く表し、現代ギリシャ語でもその多義性を引き継いでいる。
英語の logic は、λόγος から派生した古代ギリシャ語 λογική(論理学)を経て伝わった語。-logy も λόγος を含む -λογία に由来し、「〜についての学」「論」をつくる。λόγος は現代ギリシャ語の日常語であると同時に、英語の学術語にも痕跡を残している。
通常の複数は λόγοι だが、具体的な「言葉、発言」を表すときは λόγια がよく使われる。λόγια は古代の λόγιον(託宣、キリストの言葉)に由来する形で、現代ギリシャ語では口語的な「言葉、話」として広く現れる。
ομιλία(演説、スピーチ)は、まとまった話を指しやすい。κουβέντα(日常のおしゃべり、会話)は、よりくだけた会話に寄る。派生語には、ちょっとした言葉を表す λογάκι(ちょっとした言葉)や、短くつまらない演説を皮肉っぽく言う λογύδριο(短くつまらない演説)がある。
主な意味は「言葉」「話」「理性」「理由」。人間の話す能力、具体的な発言、演説、評判、命令や約束、説明責任や理由、理性的な判断、神学上の「ロゴス」、数学的な比率まで、非常に広い範囲をカバーする。
さらに口語では του λόγου (σου/του...) の形で、「あなた様」「彼自身」のように、やや丁寧または親愛をこめて人を指すことがある。こうした言い方は、日常の呼びかけや定型句にも残っている。
ギリシャ語:πατέρας
読み方:パテラス・パテーラス
ラテン文字:pateras
古代ギリシャ語の πατήρ(父)に由来する。対格(目的語の形)πατέρα をもとに、中世ギリシャ語を経て現代の πατέρας となった。
印欧祖語で「父」を意味する語から派生しており、英語の father、ラテン語の pater と同じ起源を持つ。英語の paternal(父親の)や patriarch(家長)もこの語根に由来する。
日常的には μπαμπάς(パパ、お父さん)が使われるが、πατέρας はよりフォーマルな響きを持つ。「父親」という存在そのものや、社会的・宗教的な役割を指す場合に適している。
派生語には πατερούλης(お父ちゃん、親愛の情を込めた指小語)、πατρικός(父親の、父方の)、πατερικός(教父の、教父学の)、πατρίδα(祖国)がある。
基本義は「父親」。そこから祖先、動物の種牡、学問の創始者、キリスト教における神や聖職者への尊称、初期教会の教父など、さまざまな意味で用いられる。
ギリシャ語:πνεύμα
読み方:プネヴマ・プネーヴマ
ラテン文字:pnevma
古代ギリシャ語の πνεῦμα(息, 風, 気息)に由来。印欧祖語で「吹く」を表す語根に続く πνέω(吹く)から, 結果を表す接尾辞 -μα を付けて作られた語。「吹くこと」「呼吸」から, 目に見えない生命力, 精神, 霊へと意味が広がり, のちに文法用語の「気息記号」も指すようになった。「法の精神」「文章の趣旨」のように字面の裏にある真意を指す用法は, フランス語 esprit からの意味借用で整った。
英語 pneumatic(空気圧の), pneumonia(肺炎)も同じ語源。同じ語根から πνεύμονας(肺), πνοή(息, 息吹)も派生。派生に πνευματικός(精神の, 空気圧の), πνευματιστής(心霊主義者), πνευματισμός(心霊主義)。
心を扱う語では, 感情は καρδιά(心臓, 心), 思考や理性は νους(精神, 理性), 魂や生命全体は ψυχή(魂)。πνεύμα は知性, 集団や時代の理念, 霊性の側面を扱う。
ギリシャ語:κύριος
読み方:キリオス・キーリオス
ラテン文字:kyrios
古代ギリシャ語の κύριος(権限を持つ者、支配者)に由来。κῦρος(権威、力)に -ιος が付いてできた語。男性への丁寧な敬称・呼びかけとしての用法は、中世ギリシャ語を経てフランス語 monsieur、イタリア語 signore からの意味借用で広まった。「紳士」としての用法は英語 gentleman からの意味借用で加わった。
派生した κυριακόν(主の家)は、ゲルマン語を経て英語 church(教会)の語源になった。「キリエ・エレイソン(主よ、憐れみたまえ)」の Kyrie は呼格 κύριε にあたる。
女性形は κυρία(女性への敬称)。
ギリシャ語:θεός
読み方:セオス・セオース・テオス・テオース
ラテン文字:theos
古代ギリシャ語の θεός(神)を継承。印欧祖語で「置く, 為す」を表す語根に続き, ラテン語 feriae(祭日), fanum(神殿), festus(祝祭の)と同じ語族の仲間。古代の多神教の神々から, ビザンティン以降はキリスト教の唯一神を指す語として引き継がれた。
派生に θεϊκός(神聖な, 素晴らしい), 指小形 θεούλης(神さま。親しみを込めた言い方)。女性形は θεά(女神)。合成語 αποθεώνω(神格化する, 絶賛する)は από- と θεός から作られた動詞。英語 theology(神学), theism(有神論), atheist(無神論者), enthusiasm(熱狂。もとは「神が内に宿る」の意), apotheosis(神格化)はこの語族から作られた学術借用語。
キリスト教における神の呼称には Κύριος(主), Κτίστης(創造主), Πλάστης(造り主)がある。θεότητα は神性や神格を指し, 多神教の個別の神にも使う。
ギリシャ語:σελήνη
読み方:セリニ・セリーニ
ラテン文字:selini
古代ギリシャ語の σελήνη(月)に由来。σέλας(輝き, 光)と同じ語族で, 印欧祖語で「輝く」を表す語根から作られた語。「明るく輝くもの」という見方から, 夜空で光る天体の月を指すようになった。ギリシャ神話では月の女神セレーネー(Σελήνη)の名でもある。
英語 seleno-(月の〜, selenology 月学, selenography 月面図)は σελήνη からの学術的な連結形。化学元素の σελήνιο(セレン, 原子番号34)は, 地球の随伴天体という意味合いで, 先に命名された τελλούριο(テルル, ラテン tellus「大地」)と対になるように, スウェーデンの化学者ベルセリウスが月の名から名づけた。派生に σεληνιακός(月の), πανσέληνος(満月), ημισέληνος(半月), σεληνοφώτιστος(月光に照らされた), σεληνιάζομαι(てんかん発作を起こす, 月憑きになる)。
日常会話で「月」を指すときは φεγγάρι が一般的で, σελήνη は天文用語や公式の場面に使うことが多い。
ギリシャ語:ύδωρ
読み方:イドル・イードル
ラテン文字:ydor
古代ギリシャ語の ὕδωρ(水)からの学術借用。ふだんの「水」は νερό(水)に譲り, 学術・公的・法的・宗教的な文脈の書き言葉に残る。印欧祖語で「水」を表した語根の子孫で, ヘレニズム期以降に νηρόν(新鮮な水)を縮めた νερό がふつうの水を指すようになり, ύδωρ は改まった場面に限られた。
同じ ὕδωρ の語族に派生形容詞 υδάτινος(水の, 水状の), υδατικός(水に関する), υδατώδης(水のような, 水っぽい)。合成語では υδρο- を冠する語が数十並び, υδρογόνο(水素), υδραυλικός(水道工, 水力の), υδροηλεκτρικός(水力発電の), υδροφόρος(給水の), υδρόβιος(水生の), υδατάνθρακας(炭水化物), υδροκέφαλος(水頭症の)などが続く。
ふだんの νερό に対し, ύδωρ は法令・科学・宗教の用語に現れる改まった語。複数形 ύδατα は水域や各種の水をまとめて言うときに使う。近代の言い方では βαρύ ύδωρ(重水), εσωτερικά ύδατα(内水), χωρικά ύδατα(領海)など, フランス語 eau lourde, 英語 inland waters, フランス語 eaux territoriales からの翻訳借用が並び, 専門用語の体系はこうして整った。英語 hydro-, hydrogen, hydraulic, hydrant, ラテン語 unda(波), 英語 water, ドイツ語 Wasser は同じ印欧語根の子孫。