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竜、ドラゴン

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基本情報

ギリシャ語

δράκος

読み方

ドゥラコ・ドゥラーコ

ラテン文字表記

drakos

変化パターン

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日本語訳

  1. 竜、ドラゴン(民間伝承)
  2. 極悪人(比喩)

英語訳

dragon

語源・派生・関連語

中世ギリシャ語 δράκος(蛇、竜、伝承の魔物)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世形は、古代ギリシャ語 δράκων(蛇、大蛇)が、東方の竜の表象の影響を受けて意味の中心が「人間型の魔物」へと移り、語末も -ος に再形成(μετάπλαση、← γέρων > γέρος の同類のパラダイム整理)された結果生まれた形。古代の δράκων からは、対格形を主格化した δράκοντας と、-ος 語尾化した δράκος の二形が中世期に成立し、現代まで並走している。

源にある古代の δράκων(蛇、大蛇、想像上の怪物)は、動詞 δέρκεσθαι / δέρκομαι(鋭く見る、じっと見つめる)からの派生で、印欧祖語の「見る、視線」を表す語根に由来する。「鋭く見るもの」が原義で、蛇の鋭い視線から「蛇」を意味するようになったという解釈が古代から続く。同じ語根からはサンスクリット dr̥ś-(見る), アイルランド語 derc(目)が並ぶ古層語族。

ラテン語経由の系譜では、ラテン語 dracō(蛇、竜、軍旗)から、フランス語 dragon, スペイン語 dragón, イタリア語 dragone, 英語 dragon, ドイツ語 Drache の語源となり、ヨーロッパ各語の「竜」語彙の共通祖となった。古代ギリシャ語 δράκων が西欧文化の竜のイメージそのものの源流にある、神話・伝承語彙の中核。

ギリシャの民間伝承では δράκος は、山に住む人型または超自然的な怪物として語られ、英雄譚(昔話、伝説)の中で英雄が打ち倒すべき敵役として登場する。アンドレアス・カルカヴィッツァスやニコラオス・ポリティスら 19–20 世紀の民俗学者が収集したギリシャ民話の中で、δράκος の像は、頭が複数あり、火を吐き、姫を捕らえ、財宝を守り、最後に英雄に倒される、典型的なドラゴン像として体系化されている。同じ伝承の領域には、女の魔物の λάμια(ラミア、← 古代 Λάμια), 悪霊の δαίμονας, 神霊の τέρας(怪物、奇跡)が並ぶ。

派生・関連語族として δράκοντας(竜、より一般的な書きことば形), δράκαινα(雌竜、女の竜), δρακάκι(小さな竜、指小形、ペット用の竜のキャラクターにも使う), δρακούλης(小さなドラゴン、子供への愛称), δρακογενής(竜から生まれた), δρακοκυνήγι(竜狩り), δρακοκτόνος(竜殺し)。現代ギリシャ語で「蛇」を指す日常語は別系統の φίδι(蛇、← 古代 ὄφις)で、δράκος / δράκοντας は神話・伝承の専門語として棲み分けられる。

文学的用法では、ニコス・カザンザキスの『キリスト最後の試み』のキリスト・ドラゴン像、ミシェル・ファイベルの世界文学論など、西欧の竜伝承全体の中で δράκος は東地中海の独特の表象を象徴する語として位置づけられる。慣用句 Καλό το παραμύθι σου, αλλά δεν έχει δράκο(お前のおとぎ話はいいが、竜が出てこない)は、話に肝心なものが欠けている、信じがたい話だ、という意味で使われる、伝承文学の比喩を介した懐疑表現。

竜、ドラゴン

ギリシャの民間伝承やおとぎ話に登場する人間型の魔物を指す。人間や動物を食べるとされ、δαίμονας(悪霊)や λάμια(女の魔物)と並んで昔話の代表的な怪物として語られる。

極悪人

比喩的に、非常に邪悪な人間を指す口語表現。

  • αδίστακτος δράκος(冷酷な悪人)

成句・表現

  • Καλό το παραμύθι σου, αλλά δεν έχει δράκο.
  • 話や言い訳が信じがたいときに使う表現(直訳:お前のおとぎ話はいいが、竜が出てこない)
  • Your fairy tale is good, but it doesn’t have a dragon.

関連項目

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