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ヒマラヤスギ、シダー

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基本情報

ギリシャ語

κέδρος

読み方

ケドゥロス・ケードゥロス

ラテン文字表記

kedros

変化パターン

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日本語訳

  1. ヒマラヤスギ
  2. 類似の針葉樹(広義)

英語訳

cedar

語源・派生・関連語

語源

古代ギリシャ語の κέδρος(ケドロス、特定の属に限らず香りの強い樹脂質の針葉樹)を継承。語の起源は不明で、ギリシャ先住の言語からの借用とする説がある。

針葉樹とシトロンの木

κέδρος がラテン語に入る際に、ふたつの異なる語形に分かれた。

ひとつは、もとの「針葉樹」の意味を引き継いだ cedrus。当時のラテン語では特にケードネズ(Juniperus oxycedrus)を指し、現在は Cedrus(ヒマラヤスギ属)の学名として用いられている。英語の cedar やフランス語の cèdre はこの系統から来ている。

もうひとつは、「シトロンの木」を意味する語に変わった citrus。κέδρος から citrus への音の変化(母音 e→i、子音 dr→tr)は、エトルリア語を経由したためと考えられている。なぜ針葉樹の名がシトロンを指す語になったのかは定かでないが、古代ローマの医師ガレノスは複数の可能性を挙げている。未熟なシトロンの実がスギの球果に似ていること、どちらの木の葉にもトゲがあること、果実や葉の香りがスギに似ていることなどが候補。

cedrus 系の語形は針葉樹の意味を保つ一方で、一部の言語では意味が変わった。イタリア語の cedro は「シトロン」を意味し、フランス語の cédrat も同じくシトロンを指す。cedrus 系と citrus 系の両方から、それぞれ別の経路で「シトロン」を意味する語が生まれたことになる。

citrus 系からは英語 citrus(ミカン属の属名)が生まれたほか、フランス語 citron はレモンを、英語 citron はシトロンそのものを指す語になった。そしてこの citrus 系の語は、ラテン語 citrum の形で古代ギリシャ語に逆輸入され、κίτρον(シトロン)になった。現代ギリシャ語では κίτρο(シトロン)。ギリシャ語から出てラテン語を経由し、ふたたびギリシャ語に戻ってきた往復借用の例。

ギリシャのケドロス

現代ギリシャ語で κέδρος はヒマラヤスギ属(Cedrus)を指す標準的な名称だが、ギリシャ各地ではビャクシン(ジュニパー、Juniperus 属)の俗称としても広く使われている。ギリシャ本土にヒマラヤスギ属は自生しておらず、各地で κέδρα と呼ばれる木のほとんどはビャクシン属。植物学上の正式な名称は άρκευθος(アルケフソス)だが、日常語としては κέδρος のほうが通りがよい。

ヒマラヤスギ

背の高い常緑の針葉樹(マツ科ヒマラヤスギ属)。芳香性が高く耐久性のある木材で知られ、防虫効果もあるため衣類の収納やクローゼットの内張りにも使われてきた。楽器の素材としても用いられる。レバノンスギ(κέδρος του Λιβάνου)は古代から木材として珍重された木。キプロス島のトロードス山脈には固有種のキプロスシダー(κέδρος της Κύπρου、Cedrus brevifolia)が自生する。

  • κέδρος της Κύπρου(キプロスシダー)
  • κέδρος του Λιβάνου(レバノンスギ)
  • καπάκι κιθάρας από κέδρο(シダー製のギターの表面板)

類似の針葉樹

ギリシャ各地では、ビャクシン(ジュニパー、Juniperus 属)をはじめ、ヒマラヤスギに似た針葉樹を広く κέδρος と呼ぶ。クレタ島やガヴドス島の南海岸では θαλασσόκεδρος(海のケドロス)と呼ばれるビャクシンが砂丘に群生し、独特の景観をつくっている。

  • κόκκινος κέδρος(レッドシダー)
  • λευκός κέδρος(ホワイトシダー)
  • θαλασσόκεδρος(海のケドロス。海岸性のビャクシン)

関連項目

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