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スミレ、菫

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基本情報

ギリシャ語

βιολέτα

読み方

ヴィオレタ・ヴィオレータ

ラテン文字表記

violeta

変化パターン

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日本語訳

  1. スミレ、菫

英語訳

violet

語源・派生・関連語

イタリア語 violetta(小さなスミレ、ヴィオレッタ、← viola「スミレ」+ -etta 指小接尾辞)からギリシャ語に入った外来借用(δάνειο)。フランス語 violette(小さなスミレ)も同じ系譜の指小形で、ヨーロッパ各語の「スミレ」語彙の中核を成す。源にあるラテン語 viola(スミレ、紫色)は、古代ギリシャ語 ἴον / ϝίον(スミレ、← *wiwón)からの借用とされ、地中海・前ギリシャ語基層の植物名が、ローマ・西欧文化を経てギリシャ語に戻ってきた逆方向の系譜を持つ。

源にある古代の ἴον(スミレ)は、ホメロス以来「春の象徴・愛の象徴」として詩・神話に頻出する花の名で、ギリシャ神話のクラチノスの女神イオン(Ἰών), アテナイの伝説的祖先の名にもなった。同じ語族には、πρόσφατο ἴον(新鮮なスミレ), λευκό ἴον(白いスミレ), μέλαν ἴον(黒スミレ、暗紫色のスミレ)など、古代詩の植物描写で使われた語彙が残る。現代ギリシャ語の伝統的な「スミレ」語彙は、別系統の μενεξές(スミレ、← トルコ語 menekşe < ペルシア語)が日常語として根付いており、植物名の領域では二つの系譜が並走する。

ラテン語 viola からの派生語族は、ヨーロッパ各語に広く展開し、フランス語 violette / violet(紫色), スペイン語 violeta(スミレ、紫色), イタリア語 violetta / viola, ポルトガル語 violeta, 英語 violet(スミレ、紫色), ドイツ語 Veilchen(スミレ、← Veil + 指小)が並ぶ。同じラテン語の viola からは音楽の楽器名(βιόλα, 仏 viole「中世の弦楽器」)も派生し、植物・色・音楽の三層の語族をなす珍しい例。

ギリシャ語の植物名の領域では、βιολέτα(イタリア語経由の植物学・園芸用語), μενεξές(トルコ・ペルシア起源の伝統語), ίον(古代ギリシャ語の詩語、書きことば)が三つの系譜で並走し、文脈・伝統・専門性で使い分けられる。書きことばの ίον は、現代の生物学用語(イオン、← 化学の電解質、別系統)と発音・綴りが偶然似ているが、語源は別系統。

派生・関連語族として βιολετάκι(小さなスミレ、口語の指小形), βιολετιά(スミレ畑、書きことば), βιολετί(スミレ色、不変化色語), βιολετένιος(スミレ色の、形容詞)。同じスミレ・紫系の植物名・色名の領域には、近い概念として μενεξές(スミレ、トルコ語起源), μενεξεδής(すみれ色の), μενεξεδί(すみれ色), λιλά(ライラック色), μοβ(紫), ιώδης(紫色の、書きことばの古典形)が並ぶ。

植物学的にはスミレ科(Violaceae)の Viola 属の植物で、Viola odorata(ニオイスミレ), Viola tricolor(パンジー、サンシキスミレ), Viola wittrockiana(園芸種パンジー)など多様な種類を含む。ギリシャでは野生のスミレが春の山野に咲き、その甘い香り(άρωμα βιολέτας)はバラと並んで香水の原料として古代から珍重されてきた。ナポレオン・ボナパルトが愛した花としても有名で、近代ヨーロッパの宮廷文化や象徴的なロマンチックな花のイメージを担う。

スミレ

植物名としてスミレを指す。園芸や花の話では、花そのものを言うときにも使われる。

  • άγρια βιολέτα(野生のスミレ)
  • άρωμα βιολέτας(スミレの香り)
  • βιολέτες στον κήπο(庭のスミレ)
  • Μάζεψε μια βιολέτα από τον κήπο.
  • 彼女は庭からスミレを一輪摘んだ。
  • She picked a violet from the garden.

関連項目

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