#樹木
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ギリシャ語:κόμη
読み方:コミ・コーミ
ラテン文字:komi
古代ギリシャ語の κόμη(頭髪、葉の茂み)に由来。起源は特定できず、ギリシャ先住の言語から来たとする説や、アッカド語 qimmatum(毛束、冠)などセム語族の系統とする説もある。日常語では μαλλιά(髪)を使い、κόμη は文語寄りに残る。
彗星の尾を流れる髪に見立てて、ἀστήρ κομήτης(髪の長い星)と呼ばれた。この ἀστήρ が省かれ、κομήτης だけで「彗星」を言うようになり、現代ギリシャ語 κομήτης にそのまま続く。ラテン語 cometa、英語 comet、フランス語 comète も同じ語源。天文学で彗星を取り巻くガス雲を κόμη と呼ぶのは、英語 coma、フランス語 chevelure からの意味借用で加わった用法。
派生語に κομήτης(彗星)、κομμωτής(美容師)。星座 Κόμη Βερενίκης(かみのけ座)は、女王ベレニケーが夫の無事を願って捧げた髪が天に上げられた、という神話に由来する名。
ギリシャ語:ελιά
読み方:エリャ・エリャー
ラテン文字:elia
中世ギリシャ語の ελιά を継承。古代ギリシャ語 ἐλαία(オリーブ、オリーブの木)の縮約形で、中世以降は木と実の両方を指す言葉として定着した。
派生語には ελαιόδεντρο(オリーブの木)、ελαιόλαδο(オリーブ油)、ελαιώνας(オリーブ畑)、ελαιοπαραγωγός(オリーブ生産者)など。
英語の olive やフランス語の olive はラテン語 olīva を経て、ελιά と同じ古代ギリシャ語 ἐλαίᾱ の語根に由来する。
ギリシャ語:πλάτανος
読み方:プラタノス・プラータノス
ラテン文字:platanos
古代ギリシャ語の πλάτανος(プラタナス)を継承。形容詞 πλατύς(広い、平たい)と結びつけて、広い葉にちなむ名と古くから説明されてきた。元は女性名詞(ἡ πλάτανος)だったが、-ος で終わる名詞の多くが男性であることにつられて、中世以降は男性名詞として使われるようになった。口語では中性形の πλατάνι もある。
英語 plane tree もラテン語 platanus を経て同じ語源。
ギリシャ語:γαύρος
読み方:ガヴロス・ガーヴロス
ラテン文字:gavros
魚の γαύρος(アンチョビ)は、古代ギリシャ語の ἔγγραυλίς(ヨーロッパアンチョビ)にさかのぼる。これがビザンツ期の ἔγγραυλος(イワシ、アンチョビの類)となり、音の入れ替わりや同化を経て、現代ギリシャ語の γαύρος になった。学名 Engraulis encrasicholus の属名 Engraulis も、この古い語形とつながる。
樹木の γαύρος(シデノキ)は、魚の語義とは別系統と考えられている。γάβρος / γράβος(シデノキ)のような古い形と結びつけられ、シデノキを指す異形や地方形が、現在の発音に寄って γαύρος と重なったものとみられる。
日常語で広く「魚」を表す基本語は ψάρι(魚)で、γαύρος はその中でも群れで泳ぐ小型の海の魚を指す。近い小魚として σαρδέλα(イワシ)があり、どちらも食卓にのぼる身近な魚だが、γαύρος はアンチョビの類をいう。樹木の意味では δέντρο(木、樹木)の一種として使われる。指小語に γαυράκι(小さなアンチョビ、小ぶりの γαύρος)もある。
ギリシャ語:πορτοκαλιά
読み方:ポルトカリャ・ポルトカリャー
ラテン文字:portokalia
πορτοκάλι(オレンジ)に果樹を表す接尾辞 -ιά を付けた女性名詞。
オレンジの木を指す。
ギリシャ語:καρυδιά
読み方:カリディア・カリディアー
ラテン文字:karydia
καρύδι(クルミ)に接尾辞 -ιά がついた女性名詞で、クルミの木を指す。
クルミの木を指す。
ギリシャ語:λεμονιά
読み方:レモニャ・レモニャー
ラテン文字:lemonia
λεμόνι(レモン)に果樹を表す接尾辞 -ιά を付けた女性名詞。
レモンの木を指す。
ギリシャ語:κέδρο
読み方:ケドゥロ・ケードゥロ
ラテン文字:kedro
古代・ヘレニズム期のギリシャ語 κέδρος(女性名詞、のち男性名詞、ヒマラヤスギ、シダー)を継承。対格形をもとに中性名詞として再形成され、今の形になった。男性形 κέδρος も並んで使い続けられ、両方の性が共存する。
古代の κέδρος はもともと針葉樹を指す広い樹木名であった。これはギリシャ語成立以前の地中海地域の言語層に由来する先ギリシャ語基層からの借用語。ラテン語に cedrus として入り、英語 cedar、フランス語 cèdre など、ヨーロッパ諸語の「シダー」に関する語彙の源となった。
レバノン杉(Cedrus libani)は、フェニキア人の交易と造船で古代地中海世界に名を馳せた。聖書や古代文学にも頻繁に登場し、地中海文化に深く根ざしている。
同じ κέδρος から派生した語にラテン語 citrus(柑橘)がある。これは針葉樹の名から柑橘の名へ意味が転じた例。ラテン語経由で再びギリシャ語に取り入れられた κίτρο(シトロン)や κίτρινος(黄色の)などは、意味借用の一種といえる。
派生語には κεδρόμηλο(シダーの実)や κεδρένιος(シダー製の)など。類義語にはギリシャの山地でよく見られる πεύκο(マツ)、έλατο(モミ)、κυπαρίσσι(イトスギ)などが並ぶ。
なお、現代ギリシャ語の κέδρος / κέδρο は、厳密な学名 Cedrus 属に限定されない。ビャクシン属(Juniperus)など、類似の針葉樹も日常的にこの語で呼ぶ。
ギリシャ語:κέδρος
読み方:ケドゥロス・ケードゥロス
ラテン文字:kedros
古代ギリシャ語の κέδρος(香りの強い針葉樹)を継承。語源ははっきりせず、先ギリシャ語基層からの借用と見る説がある。中性形の κέδρο も並んで使われる。
ラテン語に cedrus として入り、英語 cedar やフランス語 cèdre などの語源になった。同じ κέδρος からは、ラテン語 citrus(シトロン、柑橘類など)も生まれた。針葉樹の名がラテン語側で柑橘の名に転じ、そこから κίτρο(シトロン)や κίτρινος(黄色の)などがラテン語経由で再びギリシャ語に入った。
レバノンスギは古代地中海世界で木材としてよく知られ、聖書や古代文学にも登場する。木材は香りと耐久性に優れ、収納材や楽器の素材などにも使われる。
植物学ではヒマラヤスギ属 Cedrus を指すが、ギリシャ各地ではビャクシン属 Juniperus なども κέδρος と呼ぶ。ギリシャ本土にヒマラヤスギ属は自生せず、各地の κέδρα の多くはビャクシン属。植物名としては άρκευθος とも言う。クレタ島やガヴドス島の南海岸には、θαλασσόκεδρος(海のケドロス)と呼ばれる海岸性のビャクシンも見られる。
ギリシャ語:φλοιός
読み方:フリオス・フリオース
ラテン文字:floios
古代ギリシャ語の φλοιός(樹皮、外皮)を継承。木や実を覆う固い皮を古代から表した。現代の地殻や大脳皮質のような外層を指す使い方は、フランス語 croûte(地殻)、cortex(皮質)からの意味借用で広がった。
日常で果物や野菜の皮を言うときは φλούδα のほうで、φλοιός は植物学・地質学・解剖学など専門的な文脈で使う。
ギリシャ語:αχλαδομηλιά
読み方:アフラドミリャ・アフラドミリャー
ラテン文字:achladomilia
和梨(αχλαδόμηλο)の果実がなる木。
ギリシャ語:κυπαρίσσι
読み方:キパリシ・キパリーシ
ラテン文字:kyparissi
古代ギリシャ語 κυπάρισσος(イトスギ)の指小形 κυπαρίσσιον を経て, 中世ギリシャ語の κυπαρίσσι(ν) を継承。語末の -ν が脱落して現代ギリシャ語の κυπαρίσσι の形になった。英語 cypress, フランス語 cyprès もラテン語 cupressus を経て同じ κυπάρισσος にさかのぼる。
派生に κυπαρισσάκι(小さなイトスギ, 指小形), κυπαρισσένιος(イトスギ材の), κυπαρισσί(イトスギ色の, 濃緑色の), κυπαρισσώνας(イトスギ林)。合成語に κυπαρισσέλαιο(イトスギ油), κυπαρισσόμηλο(イトスギの実), κυπαρισσόξυλο(イトスギ材)。
ギリシャ語:δέντρο
読み方:デドゥロ・デードゥロ・デンドゥロ・デーンドゥロ
ラテン文字:dendro
古代ギリシャ語の δένδρον(木、樹木)に由来し、中世ギリシャ語の δέντρο(ν) を経て現代の形になった。現代ギリシャ語の基本形は δέντρο で、古い形を保った異形として δένδρο という綴りもある。こちらは古風、文語、学術寄りの文脈で見られる。英語の dendro-、dendrology、rhododendron なども、この δένδρον を起源とする。
ξύλο(木材、材木、殴打、お仕置き、薪) が材料としての木を指すのに対して、δέντρο はふつう生えている木、樹木そのものを指す。類義語の θάμνος(低木、灌木) は、主幹がはっきりしない低い木を言うことが多い。比喩では、平和や自由の象徴としての木や、図式的な構造としての樹形図にも広がる。
接頭辞 δενδρο- は樹木に関する語を作り、δενδροδιάγραμμα(樹形図)のような語にも見られる。主な意味は樹木で、そこから系統樹やツリー図にも使われる。
女性名詞
植物 
身体・健康 


動物
食べ物 
信仰・神話
生物
家族