ギリシャ語:αντηλιακός
読み方:アンディリアコス・アンディリアコース
ラテン文字:antiliakos
αντιηλιακός(日焼け止めの、日焼け止め)の別形。意味の中心は同じで、日焼け止めクリームの連語では αντηλιακή κρέμα の形がよく使われる。
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ギリシャ語:αντηλιακός
読み方:アンディリアコス・アンディリアコース
ラテン文字:antiliakos
αντιηλιακός(日焼け止めの、日焼け止め)の別形。意味の中心は同じで、日焼け止めクリームの連語では αντηλιακή κρέμα の形がよく使われる。
ギリシャ語:ευλογιά
読み方:エヴロヤ・エヴロヤー
ラテン文字:evlogia
中世ギリシャ語の ευλογιά(天然痘)に由来。これは「祝福」を意味する ευλογία から生じた婉曲的な病名であり、恐ろしい病をあえて「祝福」と呼ぶ発想に基づく。
形態面では、ευλογία の母音の連続が縮まり、強勢位置も変化して ευλογιά になった。
強勢位置の異なる ευλογία は「祝福」を指す。一方の ευλογιά は「天然痘」を指し、両者は同根であるが、現代ギリシャ語では意味も発音も分かれた別の単語として扱う。
類義語に βλογιά(天然痘、口語)。関連語に νόσος(疾病)、ασθένεια(病気)、πρόσωπο(顔)、ουλή(傷跡、瘢痕)など。動物については ευλογιά των προβάτων(羊痘)や ευλογιά των χοίρων(豚痘)などのように用いる。
ギリシャ語:ιερός
読み方:イェロス・イェロース
ラテン文字:ieros
古代ギリシャ語の ἱερός(聖なる、神に属する)に由来。さらに印欧祖語で「聖なる、強い、活力ある」を表す語根に遡るとされる。
英語 hierarchy(階層、聖職階級)、hieroglyph(象形文字)、hieratic(神官の、神聖文字の)などに含まれる hiero- も、古代ギリシャ語 ἱερός に由来。
中性形 ιερό は名詞として「聖域、神殿、至聖所」を指す。派生語や関連語には ιερέας(司祭、神父)、ιεραρχία(聖職者の階級制、ヒエラルキー)、ιεροσύνη(聖職)などが挙げられる。
類義語には άγιος(聖なる、聖人の)、θεϊκός(神の、神的な)、όσιος(敬虔な、聖者の)などがある。比喩的には、強い尊重や義務を伴うものにも使われる。
ギリシャ語:αντηλιακή κρέμα
読み方:アンディリアキ クレマ・アンディリアキー クレーマ
ラテン文字:antiliaki krema
αντηλιακός(日焼け止めの、日焼け止め)の女性形 αντηλιακή と κρέμα(クリーム)からなる連語。
αντηλιακή κρέμα は、ήλιος(太陽)の日差しから肌を守るためのクリーム状の日焼け止めを指す。形としては αντιηλιακή κρέμα も使われる。
関連語には το αντιηλιακό と το αντηλιακό(日焼け止め)、αντιηλιακό λάδι(日焼け止めオイル)、ηλιακά εγκαύματα(日焼け、日光による火傷)などがある。
ギリシャ語:αντιηλιακός
読み方:アンディイリアコス・アンディイリアコース / アンディリアコス・アンディリアコース
ラテン文字:antiiliakos
αντί(〜の代わりに、〜に対して)の合成形 αντι- / αντ(ι)- と ηλιακός(太陽の、太陽光線の)から作られた形容詞。
ηλιακός は ήλιος(太陽)に由来。
形には αντιηλιακός と αντηλιακός がある。中性形 το αντιηλιακό と το αντηλιακό は名詞として「日焼け止め」を指す。
関連語には κρέμα(クリーム)、αντιηλιακή κρέμα、αντηλιακή κρέμα(日焼け止めクリーム)、αντιηλιακό λάδι(日焼け止めオイル)などがある。
ギリシャ語:οδοντικός
読み方:オドンディコス・オドンディコース
ラテン文字:odontikos
ヘレニズム期ギリシャ語の ὀδοντικός(歯の)に由来。これは古代ギリシャ語 ὀδούς(歯、語幹 ὀδοντ-)から作られた形容詞で、δόντι(歯)と同じ語族に属する。ὀδούς はさらに印欧祖語で「歯」を表す語根に遡り、ラテン語 dens, dentis や英語 tooth も同じ系統に属する。
英語 dental, dentist はラテン語 dens, dentis から、orthodontics や odontology はギリシャ語 ὀδοντ- を含む語から作られている。
οδοντικός は歯や歯科に関わるものを表し、οδοντικό νεύρο(歯の神経)や οδοντική πλάκα(歯垢、プラーク)などのように使う。身体の手入れでは οδοντική κλωστή(デンタルフロス)という連語もある。
言語学では οδοντικά σύμφωνα(歯音)を指し、γλώσσα(舌)の先などを上の歯の裏側付近に当てて発音する音をいう。中性複数形 τα οδοντικά は名詞的に「歯音」を指す。
関連語には φατνιακός(歯茎音の、歯槽音の)、μεσοδοντικός(歯間音の)、χειλοδοντικός(唇歯音の)などがある。
ギリシャ語:πρώτες βοήθειες
読み方:プロテス ヴォイシエス・プローテス ヴォイーシエス・プロテス ヴォイティエス・プローテス ヴォイーティエス
ラテン文字:protes voitheies
πρώτος(第一の、最初の)の女性複数形 πρώτες と βοήθεια(助け、援助)の複数形 βοήθειες からなる連語。英語 first aid に対応し、日本語の「応急処置、救急」などにあたる。
πρώτες βοήθειες は、けがや急病の人に対して、十分な医療を受ける前に行う基本的な医療的処置を指す。ギリシャ語では複数形だけで使われる。
関連表現として、κουτί πρώτων βοηθειών(救急箱)、παροχή πρώτων βοηθειών(応急処置の提供)、ιατρική περίθαλψη(医療、医療ケア)、τραυματισμός(けが、負傷)などが挙げられる。
ギリシャ語:φυσική αγωγή
読み方:フィシキ アゴイ・フィシキー アゴイー・フィシキ アゴギ・フィシキー アゴギー
ラテン文字:fysiki agogi
φυσικός(身体の、肉体の)の女性形 φυσική と αγωγή(教育、しつけ)を組み合わせた連語。英語の physical education に対応し、日本語の「体育」にあたる。
φυσική αγωγή は、学校教育などで身体を鍛え、運動能力や健康に関わる習慣を育てる科目や教育分野を指す。
関連語に γυμναστική(体操、体育)、άσκηση(運動、練習)、αθλητισμός(スポーツ)、σωματική άσκηση(身体運動)、μάθημα γυμναστικής(体育の授業)などがある。
ギリシャ語:φυσικός
読み方:フィシコス・フィシコース
ラテン文字:fysikos
古代ギリシャ語の φυσικός(自然に関する、自然の)に由来。これは φύση(自然、本性)に対応する古代ギリシャ語 φύσις から作られた形容詞で、さらに動詞 φύω(生じる、育つ、生やす)へと遡る。語根は「育つ、生まれる」を表す印欧祖語にまで至る。
現代の「自然の、天然の、自然な」という意味の一部は、フランス語 naturel や英語 natural からの意味借用によって整えられた。「物理の、物理学の」や名詞の「物理学者」の意味は、フランス語 physique, physicien や英語 physics, physicist との対応によって定着したもの。古代には φυσικός φιλόσοφος(自然を探究する哲学者、自然哲学者)という表現も存在した。
英語 physics, physical, physician, physiology なども同じ古代ギリシャ語 φύσις の語族に属する。関連語として φύση(自然、本性)、φυσική(物理学)、φυσικά(自然に、もちろん)、φυσιολογία(生理学)、φυσιολογικός(生理的な、正常な)などがある。
名詞としては、ο φυσικός / η φυσικός が「物理学者、物理教師」を指す。女性にも同じ形 φυσικός を用いる。中性形 το φυσικό は「性質、気質」のほか、印刷・図版などで実物と同じ大きさを指す用法などを持つ。
ギリシャ語:ανθρωπινός
読み方:アンスロピノス・アンスロピノース・アントゥロピノス・アントゥロピノース
ラテン文字:anthropinos
中世ギリシャ語の ανθρωπινός を継承。ανθρώπινος(人間の、人間らしい)の語幹 ανθρώπ- に、形容詞を作る接尾辞 -ινός が付いた形。
ανθρωπινός は、強勢位置が違う ανθρώπινος とは別の単語。ανθρώπινος より意味が狭く、人として最低限まともだと言える水準を満たすことを指す。ほかに、人の身体や肉を表す語を修飾して「人間の、人の」という意味でも使われる。
関連語に άνθρωπος(人間、人)、ανθρώπινος(人間の、人間らしい)、αξιοπρέπεια(尊厳、品位)など。身体に関わる用法では κρέας(肉)などと結びつく。
ギリシャ語:δημόσια υγεία
読み方:ディモシア イイア・ディモーシア イイーア・ディモシア イギア・ディモーシア イギーア
ラテン文字:dimosia ygeia
ギリシャ語:τάση
読み方:タシ・ターシ
ラテン文字:tasi
古代ギリシャ語の τάσις(張ること、伸ばすこと、緊張)に由来。τάσις は動詞 τείνω(張る、伸ばす)から作られた名詞で、τείνω は印欧祖語で「張る、伸ばす」を表す語根に遡る。現代形 τάση は、古代語の -σις が -ση に変化して整えられた形。
電気の「電圧」や力学の「応力」、身体の「張り」の意味は、フランス語 tension からの意味借用で加わった。tension はラテン語 tendere(張る、伸ばす)に由来し、英語 tension, tense, tendency も同じ語族に属する。
同じ語族の関連語に τόνος(アクセント、トーン)、πρόταση(提案、文)、προτείνω(提案する、差し出す)、ένταση(強さ、緊張)などがある。
傾向や性向の文脈では ροπή(傾向)、κλίση(傾向、適性)、προδιάθεση(素因、傾向)などが近い。電気分野では ρεύμα(電流)、κύκλωμα(回路)、δυναμικό(電位)などが関連用語として並ぶ。
ギリシャ語:τομή
読み方:トミ・トミー
ラテン文字:tomi
古代ギリシャ語の τομή(切ること、切断、切れ目)に由来。τομή は動詞 τέμνω(切る、切り分ける)から作られた名詞。τέμνω はさらに印欧祖語で切ることを表す語根に遡る。
幾何や図面の「交わり、断面」の意味は、フランス語 coupe や section からの意味借用で定着した。
韻律で詩行の途中に置かれる切れ目を指す用法はヘレニズム期ギリシャ語にも見られる。
比喩的な「根本的な革新、転換」は、ドイツ語 Einschnitt からの意味借用。
関連語に τέμνω(切る)、τμήμα(部分、区分)、τομέας(部門、分野)、ανατομία(解剖学)、καισαρική τομή(帝王切開)など。
幾何では σημείο τομής(交点)、χρυσή τομή(黄金比、妥協点)という連語でも使う。
ギリシャ語:κλωστή
読み方:クロスティ・クロスティー
ラテン文字:klosti
古代ギリシャ語の動詞 κλώθω(紡ぐ)から派生した κλωστός(紡がれた)の女性形をもとにした中世ギリシャ語 κλωστή(糸)を継承。κλώθω 自体のさらに前の由来ははっきりしない。
派生語に κλωστίτσα(小さな糸)や κλωστούλα(小さな糸)など。類義語には νήμα(糸、糸状のもの)、ίνα(繊維)などがある。縫う道具としては βελόνα(針)とセットで使うほか、身体の手入れでは οδοντική κλωστή(デンタルフロス)という連語で使う。
表現 κρέμεται από μια κλωστή は、命や計画などが危うい状態にあることを指す。物語の始まりの決まり文句には、κόκκινη κλωστή δεμένη(赤い糸が結ばれて)などがある。
ギリシャ語:φακός
読み方:ファコス・ファコース
ラテン文字:fakos
古代ギリシャ語の φακός(レンズ豆)を継承。
語源は古代から「レンズ豆」を表してきた語で、両凸の形がレンズ豆に似ていたことから、後にガラスや結晶を磨いた光学器具の名としても使われるようになった。
同じ発想はラテン語 lens(レンズ豆)にも見られ、ここから英語 lens、フランス語 lentille などが生まれた。古代ギリシャ語と古代ラテン語が、光学器具を別々にレンズ豆の形になぞらえたことになる。
現代ギリシャ語では、もとの「レンズ豆」の意味は φακή(女性形、複数 φακές)が引き継ぎ、男性形 φακός は光学レンズ・カメラ・懐中電灯の側に特化している。性の違いで意味が分かれた語の対の一つ。
カメラの意味はフランス語 lentille や英語 lens、また objectif などの近代光学・写真用語の流入を経て広がった。
「懐中電灯」の意味は、光を放つ道具の名としてさらに発展したもの。
派生語に ενδοφακός(眼内レンズ)、φακούλι(指小形、まれ)など。
光学・カメラ関連の語に κάμερα(カメラ)、φωτογραφική μηχανή(写真機)、αντικειμενικός(対物レンズ)、προσοφθάλμιος(接眼レンズ)など。
懐中電灯の文脈では φανός(ランタン、街灯)、φανάρι(ランプ)などが近い。
ギリシャ語:επαφή
読み方:エパフィ・エパフィー
ラテン文字:epafi
ヘレニズム期ギリシャ語 ἐπαφή(接触、触れること)を継承。
古代ギリシャ語の ἐπί-(〜の上に、〜に)と ἁφή(触れること、触覚)からなる合成語。ἁφή はさらに動詞 ἅπτω(触る、つかむ、火をつける)から派生した。語根は印欧祖語にさかのぼり、「触る、結びつける」を表す語に起源を持つ。英語の haptic(触覚の)は、同じく ἁφή を語源とする借用語。
「交流、コミュニケーション」「電気的な接続」「コンタクト情報」のような近代以降の用法は、フランス語や英語の contact からの意味借用によって広がったもの。
派生語に αφή(触覚、触ること)、απτός(触れられる、有形の)、ψηλάφηση(触診、手探り)など。
「交流、つながり」の意味での類義語に επικοινωνία(コミュニケーション、通信)などがある。
身体的な接触については、άγγιγμα(軽く触れること)、ψηλάφηση(触診、手探り)などが近い表現。
電気的な接続では、σύνδεση(接続)などの語も同じ場面で用いられる。
ギリシャ語:οδός
読み方:オドス・オドース
ラテン文字:odos
古代ギリシャ語の ὁδός(道、道筋、旅)を継承。
語根は印欧祖語で「行く、進む」を表す語に起源を持つ。
ὁδός は接頭辞と組み合わさって古代ギリシャ語で多くの合成語を作り、その多くが現代まで伝わった: μέθοδος(μετά + ὁδός「後を追う道」= 方法、英 method)、σύνοδος(συν + ὁδός「共に行く道」= 教会会議、英 synod)、έξοδος(εξ + ὁδός「外への道」= 出口、英 exodus)、είσοδος(εις + ὁδός「内への道」= 入口)、περίοδος(περί + ὁδός「巡る道」= 周期、英 period)、πάροδος(παρά + ὁδός「脇の道」= 通過、横道)、επεισόδιο(επ + είσοδος「入ることに加えて」= 一場面、英 episode)。
日常会話で「道」「通り」を言うのは δρόμος。οδός は通り名(οδός Ακαδημίας「アカデミー通り」)、合成語(εθνική οδός「国道」)、医学用語(αναπνευστική οδός「気道」)、慣用句(καθ' οδόν「道中で」)で使う。
派生語に οδικός(道路の)、οδηγός(案内人、ドライバー、ガイド)、οδηγώ(運転する、案内する)。
類義語に δρόμος(道、通り)、λεωφόρος(大通り、並木道)、δρομάκι / δρομίσκος(小道、路地)。
ギリシャ語:αγωγή
読み方:アゴイ・アゴイー・アゴギ・アゴギー
ラテン文字:agogi
古代ギリシャ語の ἀγωγή(導くこと、引率、教育)を継承。古代ギリシャ語の動詞 ἄγω(導く、連れて行く)から派生した語で、もとは「導く行為」「連れて行くこと」を表し、そこから「人を導いて育てる教育」「精神や身体を導いて形作るしつけ」の意味に展開した。
語根は印欧祖語で「駆る、進める」を表す語に起源を持ち、ラテン語の動詞 ago / agere(行う、駆る、進める)と同根。ラテン語経由で英語の act, action, agent, agile などの語族が広がっている。
中世ギリシャ語で「裁判での主張、訴訟」の意味が加わった。
近代になってフランス語 procès(訴訟、過程)からの意味借用で「治療の経過、療法」の意味が、英語 conduction からの意味借用で物理学の「伝導(電気・熱の)」の意味が定着した。
教育の意味では αγωγή は「しつけ、教育の理念」寄りで、「教育」を表す語には εκπαίδευση(学校教育、訓練)、παιδεία(教養、人格形成)、μόρφωση(教養、修養)などが広く使われる。「家庭での育ち、しつけ」を ανατροφή で表すこともある。
αγωγή が前面に出るのは φυσική αγωγή(体育)、σεξουαλική αγωγή(性教育)のような合成語の中。
法律の意味では αγωγή は民事訴訟の正式な法律用語。関連語に δίκη(裁判、公判そのもの)、μήνυση(刑事告訴)、καταγγελία(告発、苦情申立)など。
治療の意味では αγωγή は医学の文脈で「処方された一連の治療コース」を指して使う。「治療、療法」一般には θεραπεία が広く使われる。
物理学の伝導は専門用語として αγωγή が標準。関連用語に αγωγιμότητα(伝導性)。
ギリシャ語:σύστημα
読み方:システィマ・シースティマ
ラテン文字:systima
古代ギリシャ語の σύστημα(組み合わさったもの、組織体)を継承。σύν-(共に)と ίστημι(立てる)からなる動詞 συνίστημι(一緒に立てる、組織する)から派生した抽象名詞で、字義は「共に立てて組み立てたもの」。
英語 system はラテン語 systema を経てギリシャ語 σύστημα に由来する。フランス語 système、ドイツ語 System も同じ経路。現代の多様な意味(政治体制、医学の器官系、コンピュータのオペレーティングシステムなど)はヨーロッパ諸語と並走しながら発展した。
派生語に形容詞 συστηματικός(系統的な、組織的な、繰り返し的な)、副詞 συστηματικά(系統的に)、生物分類学を指す συστηματική など。
ギリシャ語:οδύνη
読み方:オディニ・オディーニ
ラテン文字:odyni
ギリシャ語:αέριο
読み方:アエリオ・アエーリオ
ラテン文字:aerio
古代ギリシャ語の形容詞 ἀέριος(空気の)の中性形に由来する名詞。αέρας(空気)と同語源であり、近代に入って「気体」の意味で使われるようになった。
口語では、ガス燃料のことを γκάζι とも呼ぶ。これはフランス語 gaz から入った借用語で、フランス語 gaz はオランダ語 gaz、ラテン語 chaos を経由して古代ギリシャ語の χάος(混沌、宇宙の最初の状態)に遡る。古代ギリシャ語の語が西欧を巡って現代ギリシャ語に戻った逆借用(αντιδάνειο)として知られる。
ギリシャ語:διαβήτης
読み方:ディアヴィティス・ディアヴィーティス
ラテン文字:diavitis
古代ギリシャ語の動詞 διαβαίνω(またいで進む、通り抜ける)から派生した διαβήτης(またぎ渡るもの、コンパス)に由来。
もとは二本脚で距離をまたぐ道具の名で、円を描く製図用コンパスなどを指す。
医学においては、水分がそのまま体内を通り抜けていくように多尿となる疾患を指し、διαβήτης が病名へと転じた。現代ギリシャ語では σακχαρώδης διαβήτης と呼ぶことで糖尿病を明確に指す。
先頭大文字の Διαβήτης は南天の星座名で、日本語のコンパス座にあたる。道具名や病名は小文字の διαβήτης、星座名は固有名詞として大文字で書く。
ギリシャ語:κόμη
読み方:コミ・コーミ
ラテン文字:komi
古代ギリシャ語の κόμη(頭髪、葉の茂み)に由来。起源は特定できず、ギリシャ先住の言語から来たとする説や、アッカド語 qimmatum(毛束、冠)などセム語族の系統とする説もある。日常語では μαλλιά(髪)を使い、κόμη は文語寄りに残る。
彗星の尾を流れる髪に見立てて、ἀστήρ κομήτης(髪の長い星)と呼ばれた。この ἀστήρ が省かれ、κομήτης だけで「彗星」を言うようになり、現代ギリシャ語 κομήτης にそのまま続く。ラテン語 cometa、英語 comet、フランス語 comète も同じ語源。天文学で彗星を取り巻くガス雲を κόμη と呼ぶのは、英語 coma、フランス語 chevelure からの意味借用で加わった用法。
派生語に κομήτης(彗星)、κομμωτής(美容師)。星座 Κόμη Βερενίκης(かみのけ座)は、女王ベレニケーが夫の無事を願って捧げた髪が天に上げられた、という神話に由来する名。
ギリシャ語:φούσκα
読み方:フスカ・フースカ
ラテン文字:fouska
古代ギリシャ語の φύσκη / φούσκα(詰めた腸、膀胱)を継承。薄い膜に空気や中身が入って丸くふくらんだ形を基本の感覚に、「泡、ふくらみ、水ぶくれ」へ続く。経済の「バブル」は英語 bubble からの意味借用。
派生語に φουσκώνω(ふくらむ、ふくらませる)、φούσκωμα(ふくらみ)、φουσκωμένος(ふくらんだ)、ξεφουσκώνω(しぼませる)、παραφουσκώνω(ふくらませすぎる)。合成語に σαπουνόφουσκα(シャボン玉)、τσιχλόφουσκα(ガムの泡)。玩具や飾りの風船は μπαλόνι(風船、バルーン)。
ギリシャ語:εξέταση
読み方:エクゼタシ・エクゼータシ
ラテン文字:exetasi
古代ギリシャ語 ἐξέτασις(属格 -εως、調査、吟味、検査、← 動詞 ἐξετάζω「詳しく調べる、吟味する」, ← ἐκ-「徹底的に、外へ」+ ἐτάζω「試す、確かめる」)を、近代以降に書きことばから再導入した学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。語末は古代の -σις が中世以降のパターン -ση に音変化を経て整えられた形。さらに、近代の用法「学校試験、入学試験」の意味は、フランス語 examen(試験、検査)の意味用法を取り込んだ意味借用(σημασιολογικό δάνειο)の層を併せ持つ、二層構造の近代教育・医療用語。
源にある古代の動詞 ἐξετάζω は、ἐτάζω(試す、確かめる)に強調の接頭辞 ἐκ- / ἐξ- を付けた合成で、印欧祖語の「真実、本物」を表す語根に由来する説と、地中海固有の語根とする説が論じられる。古代ギリシャ語の文献では、プラトンの『ソクラテスの弁明』のソクラテスの「自分自身を吟味する人生(ὁ ἀνεξέταστος βίος οὐ βιωτὸς ἀνθρώπῳ)」(吟味のない人生は人間にとって生きるに値しない)の有名な引用句が、現代の哲学・教育・倫理思想の基礎概念として広く知られる。
近代教育の発達とともに、ヨーロッパ各語の「試験」語彙が整備された:英語 examination(< 仏 examen < ラ exāmen「秤、測定、調査」), フランス語 examen, スペイン語 examen, イタリア語 esame, ドイツ語 Examen / Prüfung。ラテン語 exāmen の語源は ex-「外へ」+ agō「動かす、はかる」で、もとは「秤の針の動き」を意味し、そこから「測定、評価」へと意味が広がった経緯がある。ギリシャ語 εξέταση は、ラテン語 exāmen とは別系統だが、近代の意味用法を共有して教育・医療の場面で広く使われる。
派生・関連語族として εξετάζω(調べる、試す、診察する、動詞), εξεταζόμενος(受験者、診察対象者、現在分詞), εξεταστικός(試験の、検査の、形容詞), εξεταστικό κέντρο(試験会場), εξεταστής(試験官、診察医、男性形), εξετάστρια(試験官、女性形), ανεξέταστος(吟味されていない、未検査の), εξεταστική περίοδος(試験期間), εξεταστική επιτροπή(試験委員会), ιατρική εξέταση(診察、検査), εργαστηριακή εξέταση(検査室の検査), μικροβιολογική εξέταση(細菌検査), αιματολογική εξέταση(血液検査)。
教育用語としての εξέταση は、近代ギリシャの教育制度(ελληνικό εκπαιδευτικό σύστημα)の中核的な用語として、γυμνάσιο(中学校), λύκειο(高校), πανεπιστήμιο(大学)の各段階の試験を指す。とくに高校卒業後の大学入学試験(πανελλαδικές εξετάσεις、汎ヘラス試験、← παν-「全体の」+ ελλάς「ギリシャ」, 全国統一試験)は、ギリシャの若者の進路を決める重要な行事として、社会的な議論の対象にもなる近代教育の中核制度。
医療用語としての εξέταση は、診察・検査の場面で広く使われ、ιατρική εξέταση(診察), προληπτική εξέταση(予防的検査), διαγνωστική εξέταση(診断的検査), ακτινολογική εξέταση(放射線検査), καρδιολογική εξέταση(心臓検査)など、近代医療の語彙体系の中核を成す。
同じ「調査・検査・吟味」の領域には、近い概念として έλεγχος(点検、コントロール), διάγνωση(診断), ανάλυση(分析), μελέτη(研究、検討), διερεύνηση(探究、調査), έρευνα(研究、調査)が並び、目的・対象・方法で言い分けられる。εξέταση は具体的な「試験・検査・診察」の場面で機能する中心語として、教育・医療・行政の中核語彙の一翼を担う。