古代ギリシャ語の χάρτης(パピルスの巻物、紙)の指小形 χαρτίον が、ヘレニズム期には指小辞の意味を失って紙そのものを指す形として日常で用いられ、中世ギリシャ語の χαρτίν を経て今の χαρτί に落ち着いた継承語。χάρτης 自体はエジプトでパピルス紙を指した語で、古代ギリシャから地中海各地にパピルスの製法とともに広まった。トランプの札の意味は、中世以降のイタリア語 carte(カード、トランプ)から入った意味借用(σημασιολογικό δάνειο)。古代の χάρτης はラテン語 charta を経て、英語 chart(海図), charter(憲章), card(カード、仏 carte 経由), cartoon(漫画), cartography(地図学), フランス語 carte(カード、地図), イタリア語 carta(紙、カード), スペイン語 carta(手紙、カード), 日本語のカルタ(ポルトガル語 carta 経由)など、世界中の「紙・カード」関連の語の源になった。
類義語に κάρτα(カード、ハガキ。同じ古代の χάρτης から伊 carta 経由で戻ってきた再借用で、プラスチック製のカードや回路基板を指す), σελίδα(ページ。書面の片面を指す)。χαρτί は工業製品としての紙、書類、トランプの札を指すふつうの形として広く使う。派生に χαρτάκι(小さな紙、メモ紙。指小形), χάρτινος(紙製の), χαρτόνι(厚紙、ボール紙), χαρτονένιος(厚紙の), χαρτιάζω(カード遊びをする)。関連語に χάρτης(地図、海図、憲章。同じ古代の χάρτης の素形を保った形で硬い意味で残る)。合成語に χαρτονόμισμα(紙幣), χαρτοφύλακας(書類入れ、ブリーフケース), χαρτοπαίκτης(カード賭博師), χαρτοπαιξία(カード遊び、賭博), χαρταετός(凧), γυαλόχαρτο(紙やすり), τραπουλόχαρτο(トランプの札), εφημεριδόχαρτο(新聞紙)。