ギリシャ語:πυρηνική ενέργεια
読み方:ピリニキ エネルイア・ピリニキー エネールイア・ピリニキ エネルギア・ピリニキー エネールギア
ラテン文字:pyriniki energeia
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ギリシャ語:πυρηνική ενέργεια
読み方:ピリニキ エネルイア・ピリニキー エネールイア・ピリニキ エネルギア・ピリニキー エネールギア
ラテン文字:pyriniki energeia
ギリシャ語:πυρηνικός
読み方:ピリニコス・ピリニコース
ラテン文字:pyrinikos
πυρήνας(核、中心、果実の種)の語幹 πυρην- に、形容詞を作る接尾辞 -ικός が付いた語。
物理・化学の「核の、原子力の」という意味は、フランス語 nucléaire や英語 nuclear からの意味借用によって整えられた。nucléaire / nuclear はラテン語 nucleus(核、種の中身、小さな木の実)に由来し、中心にある核を指す発想が πυρήνας と対応している。
原子核の文脈では άτομο(原子)、πρωτόνιο(陽子)、νετρόνιο(中性子)、ηλεκτρόνιο(電子)などと結びつく。生物では κύτταρο(細胞)の核、軍事では核兵器、社会学では πυρηνική οικογένεια(核家族)を表す。
関連語に πυρήνας(核)、πυρηνοκίνητος(原子力で動く)、σκληροπυρηνικός(強硬派の、筋金入りの)など。近い語に ατομικός(原子の、原子力の)がある。
ギリシャ語:ηλεκτρομαγνητικός
読み方:イレクトゥロマグニティコス・イレクトゥロマグニティコース
ラテン文字:ilektromagnitikos
英語 electromagnetic をもとにした学術語。ギリシャ語では、電気を表す ηλεκτρο- と「磁気の」を表す μαγνητικός を組み合わせた形として受け入れられた。
electro- は「電気の」を表す連結形で、現代ギリシャ語の ηλεκτρικός(電気の)や ηλεκτρισμός(電気)、琥珀を表す ήλεκτρο(琥珀、エレクトラム)と同じ語族に属する。もとは古代ギリシャ語の ἤλεκτρον(琥珀)に遡る。琥珀をこすると軽いものを引きつける性質があることから、電気をめぐる語彙が作られた。
magnetic は magnet(磁石)から作られた語で、さらにラテン語 magnes、古代ギリシャ語 μαγνῆτις λίθος(磁鉄鉱、マグネシアの石)に遡る。Μαγνησία(マグネシア)という地名に結びつく語で、英語 magnet, magnetic も同じ語源に属する。
関連語に ηλεκτρομαγνητισμός(電磁気学、電磁気)、ηλεκτρομαγνητικό πεδίο(電磁場)、ηλεκτρομαγνητική ακτινοβολία(電磁放射)、ηλεκτρομαγνητικά κύματα(電磁波)などがある。
ギリシャ語:κλιματιστικό μηχάνημα
読み方:クリマティスティコ ミハニマ・クリマティスティコー ミハーニマ
ラテン文字:klimatistiko michanima
κλιματιστικός(空調の、エアコン)の中性形 κλιματιστικό と μηχάνημα(機械、装置)からなる連語。
κλιματιστικό μηχάνημα は「空調の機械、空調機器」という構成。中性名詞単独の το κλιματιστικό でも「エアコン、空調機」を指す。
関連語には κλιματιστική εγκατάσταση(空調設備)、κλιματισμός(空調)、λειτουργία του κλιματιστικού(エアコンの運転)などがある。
ギリシャ語:κλιματιστικός
読み方:クリマティスティコス・クリマティスティコース
ラテン文字:klimatistikos
κλιματισμός(空調)に、形容詞を作る接尾辞 -ιστικός が付いた語。
κλιματισμός は κλίμα(気候、雰囲気)から作られた語で、同じ語族に κλιματικός(気候の)、κλιματική αλλαγή(気候変動)などがある。
中性形 κλιματιστικό は、κλιματιστικό μηχάνημα(空調機器)の省略として単独で「エアコン、空調機」を指す。
関連語に κλιματισμός(空調)、κλιματιστική εγκατάσταση(空調設備)、κλιματιστικό μηχάνημα(空調機器)、καύσωνας(猛暑、熱波)などがある。
ギリシャ語:πέδιλο
読み方:ペディロ・ペーディロ
ラテン文字:pedilo
古代ギリシャ語の πέδιλον(サンダル)に由来。πέδιλον は「足」を表す語根に遡り、古代ギリシャ語の πούς(足)、現代ギリシャ語の πόδι(足、脚)と同じ語族に属する。
同じ語根からは πεδίο(場、領域、フィールド)や πεδιάδα(平野)も出ている。足で踏む場所、地面、足に履くものが同じ語族の中でつながっている。
技術分野で、機械や構造物の下に付ける接地部・支持部を指す用法は、フランス語 sabot からの意味借用。sabot は木靴、またそこから転じて機械や構造物の「靴」「当て部材」を指す語でもある。
関連語に παπούτσι(靴)、σανδάλι(サンダル)、υπόδημα(履物)、πέλμα(足裏、靴底)、πεντάλι(ペダル)などがある。特殊用途の履物では παγοπέδιλο(アイススケート靴)、βατραχοπέδιλο(フィン)などが並ぶ。
ギリシャ語:καλώδιο
読み方:カロディオ・カローディオ
ラテン文字:kalodio
古代ギリシャ語の καλῴδιον(小さな綱、小さな船索)に由来。καλῴδιον は κάλως(太い綱、船の索)に指小辞 -ίδιον が付いた形。
現代の電気・通信ケーブルの意味は、フランス語 câble からの意味借用で定着した。フランス語 câble は船の太い綱を指す語から、電信・通信・電気の線を指す語にもなった。ギリシャ語の καλώδιο も、もとは綱に関わる語だったため、「束ねられた線、ケーブル」という意味を受け入れやすかった。
関連語に αγωγός(導体、管)、σύρμα(針金、ワイヤー)、καλωδιάκι(細いケーブル、短いコード)などがある。電気の文脈では ηλεκτρικός(電気の)、χαλκός(銅)、ηλεκτρικό ρεύμα(電流)などと並ぶ。
ギリシャ語:ηλεκτρισμός
読み方:イレクトゥリズモス・イレクトゥリズモース
ラテン文字:ilektrismos
フランス語 électricité または英語 electricity からの借用。ギリシャ語では、フランス語 -ité、英語 -ity に対応する名詞語尾として -ισμός が使われ、ηλεκτρισμός の形になった。
électricité / electricity は新ラテン語 electricitas に由来。ラテン語 electrum(琥珀)を経て、古代ギリシャ語の ἤλεκτρον(琥珀)に遡る。
琥珀をこすると軽いものを引きつける性質がある。その観察から、電気をめぐる語彙が作られた。
関連語に ήλεκτρο(琥珀、エレクトラム)、κεχριμπάρι(琥珀)、ηλεκτρικός(電気の)、ηλεκτρο-(電気〜)、ηλεκτρόνιο(電子)など。
物理の文脈では ενέργεια(エネルギー)、ρεύμα(電流)、ηλεκτρικό φορτίο(電荷)、ηλεκτρικά φαινόμενα(電気現象)などが挙げられる。
ギリシャ語:κινητήρας
読み方:キニティラス・キニティーラス
ラテン文字:kinitiras
古代ギリシャ語の κινητήρ(動かすもの、始動させるもの)に由来。κινητήρ は動詞 κινέω(動かす、動き出させる)に、行為者や道具を表す接尾辞 -τήρ が付いた形。κινέω の語根は印欧祖語で「動き出させる、動く」を表す概念に遡る。
モーターやエンジンを指す意味は、フランス語 moteur と英語 motor からの意味借用で加わった。moteur と motor はラテン語 movere(動かす)に由来し、「動かすもの」という発想が κινητήρ と対応している。
関連語に κίνηση(動き、運動)、κινώ(動かす)、κινητικός(運動の)、κινητήριος(動かす、推進する)、κινητός(動く、携帯の)など。機械の文脈では μηχανή(機械、エンジン)、μηχάνημα(機械、装置)、γεννήτρια(発電機)などと並ぶ。
ギリシャ語:κύκλωμα
読み方:キクロマ・キークロマ
ラテン文字:kykloma
古代ギリシャ語の κύκλωμα(円形のもの、車輪)に由来。κύκλωμα は κύκλος(円、輪、車輪)から作られた名詞で、結果やまとまりを表す接尾辞 -ωμα が付いた形。κύκλος は印欧祖語で「回る」を表す語根に起源を持ち、英語 cycle もラテン語 cyclus を経て同じ語源に遡る。英語 wheel も同じ語根を共有する。
電気回路の意味は、フランス語 circuit からの意味借用で加わった。circuit はラテン語 circuitus(周りを行くこと)に由来し、電流が通る閉じた経路という発想が κύκλωμα と対応している。
流通や販売の仕組み、利害で閉じた集団を指す意味には、英語 ring からの意味借用が重なっている。犯罪組織の文脈では σπείρα(一味、犯罪グループ)という表現も近い。
関連語に κύκλος(円、周期)、κυκλικός(円形の、周期的な)、βραχυκύκλωμα(短絡、ショート)など。電気分野では ρεύμα(電流)、αγωγός(導体)、ενέργεια(エネルギー)、πεδίο(場)などの用語と並ぶ。
ギリシャ語:τάση
読み方:タシ・ターシ
ラテン文字:tasi
古代ギリシャ語の τάσις(張ること、伸ばすこと、緊張)に由来。τάσις は動詞 τείνω(張る、伸ばす)から作られた名詞で、τείνω は印欧祖語で「張る、伸ばす」を表す語根に遡る。現代形 τάση は、古代語の -σις が -ση に変化して整えられた形。
電気の「電圧」や力学の「応力」、身体の「張り」の意味は、フランス語 tension からの意味借用で加わった。tension はラテン語 tendere(張る、伸ばす)に由来し、英語 tension, tense, tendency も同じ語族に属する。
同じ語族の関連語に τόνος(アクセント、トーン)、πρόταση(提案、文)、προτείνω(提案する、差し出す)、ένταση(強さ、緊張)などがある。
傾向や性向の文脈では ροπή(傾向)、κλίση(傾向、適性)、προδιάθεση(素因、傾向)などが近い。電気分野では ρεύμα(電流)、κύκλωμα(回路)、δυναμικό(電位)などが関連用語として並ぶ。
ギリシャ語:γεννήτρια
読み方:イェニトゥリア・イェニートゥリア・ゲニトゥリア・ゲニートゥリア
ラテン文字:gennitria
ヘレニズム期ギリシャ語の γεννήτρια(母、生む者)に由来。γεννήτρια は γεννάω / γεννώ(生む、発生させる)に女性の行為者名詞を作る接尾辞 -τρια が付いた形。さらに γεννάω は γένος(種、家系)や γίγνομαι(生じる、なる)と同じ語族で、印欧祖語で「生む、発生させる」を表す語根に遡る。
発電機を指す意味は、フランス語 génératrice(発電機、生成するもの)からの意味借用で定着した。フランス語 génératrice はラテン語 generare(生む、作り出す)に由来し、発想としては γεννάω の語族と対応している。
関連語に γέννηση(誕生、発生)、γεννάω / γεννώ(生む、発生させる)、ηλεκτρογεννήτρια(発電機)、δυναμό(ダイナモ、直流発電機)、εναλλακτήρας(交流発電機)、κινητήρας(モーター、エンジン)などがある。
ギリシャ語:αγωγός
読み方:アゴゴス・アゴゴース
ラテン文字:agogos
古代ギリシャ語の ἀγωγός(導く人、案内する人)に由来。ἀγωγός は動詞 ἄγω(導く、連れて行く、進める)から作られた名詞で、ἄγω はさらに印欧祖語で「駆る、進める」を表す語根に遡る。
物理学における「導体」の意味は、フランス語 conducteur からの意味借用。conducteur もラテン語 conducere(導く、連れて行く、集める)に由来し、「導くもの」という発想が αγωγός と対応している。
関連語に αγωγή(教育、伝導)、οδηγός(運転手、案内者)、αγωγιμότητα(伝導性)、ημιαγωγός(半導体)などがある。管としての意味では σωλήνας(管、パイプ)が近く、物理では ηλεκτρικός αγωγός(電気導体、電線)、αγωγός της θερμότητας(熱の導体)など。
ギリシャ語:μηχάνημα
読み方:ミハニマ・ミハーニマ
ラテン文字:michanima
古代ギリシャ語の μηχάνημα(機械仕掛け、装置、機械的な発明)に由来。μηχάνημα は μηχανάω / μηχανάομαι(工夫する、仕掛ける)に、結果を表す名詞を作る接尾辞 -μα が付いた形。さらにその遡源には古代ギリシャ語 μηχανή(仕掛け、道具、工夫)がある。
μηχανή のさらに前の由来は確定していない。印欧祖語で「できる、力を持つ」ことを表す語根に結びつける説がある一方、ギリシャ語以前の言語に由来すると見る説もある。
関連語に μηχανή(機械、エンジン)、μηχανικός(技師、整備士)、μηχανική(機械工学、力学)、μηχανισμός(機構、仕組み)、μηχανάκι(スクーター、原付)など。指小辞を用いた μηχανηματάκι(小型の機械、小さな装置)などもある。
類義語には μηχανή(機械、エンジン)、συσκευή(装置、機器)、εργαλείο(道具)などが挙げられる。英語の machine、mechanic、mechanism も、同じ μηχανή の語族に属する。
ギリシャ語:τομή
読み方:トミ・トミー
ラテン文字:tomi
古代ギリシャ語の τομή(切ること、切断、切れ目)に由来。τομή は動詞 τέμνω(切る、切り分ける)から作られた名詞。τέμνω はさらに印欧祖語で切ることを表す語根に遡る。
幾何や図面の「交わり、断面」の意味は、フランス語 coupe や section からの意味借用で定着した。
韻律で詩行の途中に置かれる切れ目を指す用法はヘレニズム期ギリシャ語にも見られる。
比喩的な「根本的な革新、転換」は、ドイツ語 Einschnitt からの意味借用。
関連語に τέμνω(切る)、τμήμα(部分、区分)、τομέας(部門、分野)、ανατομία(解剖学)、καισαρική τομή(帝王切開)など。
幾何では σημείο τομής(交点)、χρυσή τομή(黄金比、妥協点)という連語でも使う。
ギリシャ語:ηλεκτρικός
読み方:イレクトゥリコス・イレクトゥリコース
ラテン文字:ilektrikos
ήλεκτρο(琥珀)に基づく形容詞で、フランス語 électrique、英語 electric、ドイツ語 elektrisch からの意味借用として近代ギリシャ語に定着した。
古代ギリシャ人は琥珀の摩擦電気を観察していたが、それを体系的な「電気」現象として研究したのは 16-17 世紀のヨーロッパ。古代ギリシャ語の ἤλεκτρον(琥珀)の名がラテン語 electrum を経て電気現象の名となり、再びギリシャ語に戻ってきた経路。
連語に ηλεκτρικό ρεύμα(電流)、ηλεκτρική ενέργεια(電気エネルギー)、ηλεκτρικό αυτοκίνητο(電気自動車)、ηλεκτρική κιθάρα(エレクトリックギター)など多数。派生語に ηλεκτρισμός(電気現象、電気)。
ギリシャ語:ρεύμα
読み方:レヴマ・レーヴマ
ラテン文字:revma
古代ギリシャ語の ῥεῦμα(流れ)を継承。動詞 ῥέω(流れる)から派生した抽象名詞で、印欧祖語で「流れる」を表す語根に起源を持つ。
同じ語根からは英語の rheumatic(リウマチの)、diarrhea(下痢、διά+ῥέω「貫通して流れる」)、catarrh(カタル、κατά+ῥέω「下に流れる」)なども派生している。
古代の本来の意味は液体・気体の物理的な流れ。電流(ηλεκτρικό ρεύμα)、人や車の流れ、思想の流派、空気の流れ(隙間風)など多様な意味は、フランス語 courant(流れ、電流)からの意味借用で広がった。
主な連語には ηλεκτρικό ρεύμα(電流)、εναλλασσόμενο ρεύμα(交流、AC)、συνεχές ρεύμα(直流、DC)、θαλάσσιο ρεύμα(海流)、ρεύμα αέρα(気流)などがある。
ギリシャ語:ηλιακός
読み方:イリアコス・イリアコース・イリャコス・イリャコース
ラテン文字:iliakos
古代ギリシャ語の ἡλιακός(太陽の)を継承。ήλιος(太陽)に関係形容詞を作る -ακός が付いた形。
英語 solar、フランス語 solaire はラテン語 sol(太陽)からの形容詞で、ηλιακός とは別系統。現代ギリシャ語の技術用語(ηλιακή ενέργεια「太陽エネルギー」、ηλιακή κυψέλη「ソーラーセル」、ηλιακός θερμοσίφωνας「ソーラー温水器」など)はこれら欧州諸語の概念を取り入れた意味借用で発展した。
連語に ηλιακό σύστημα(太陽系)、ηλιακή ενέργεια(太陽エネルギー)、ηλιακό πάρκο(ソーラーパーク)、ηλιακό στέμμα(コロナ)、ηλιακός κύκλος(太陽周期)、ηλιακή έκλειψη(日食)など。
ギリシャ語:σύστημα
読み方:システィマ・シースティマ
ラテン文字:systima
古代ギリシャ語の σύστημα(組み合わさったもの、組織体)を継承。σύν-(共に)と ίστημι(立てる)からなる動詞 συνίστημι(一緒に立てる、組織する)から派生した抽象名詞で、字義は「共に立てて組み立てたもの」。
英語 system はラテン語 systema を経てギリシャ語 σύστημα に由来する。フランス語 système、ドイツ語 System も同じ経路。現代の多様な意味(政治体制、医学の器官系、コンピュータのオペレーティングシステムなど)はヨーロッパ諸語と並走しながら発展した。
派生語に形容詞 συστηματικός(系統的な、組織的な、繰り返し的な)、副詞 συστηματικά(系統的に)、生物分類学を指す συστηματική など。
ギリシャ語:τεχνικός
読み方:テフニコス・テフニコース
ラテン文字:technikos
古代ギリシャ語の τεχνικός(技巧の、技能に関わる)に由来。名詞 τέχνη(技術、技芸、技巧)に形容詞を作る -ικός をつけた語。
英語 technical、フランス語 technique、ドイツ語 technisch も、ラテン語 technicus を経て同じ語源に遡る。
名詞としての「技術者」という用法は、フランス語の technicien や英語の technician などからの意味借用によって広まった。
ギリシャ語:εργαλείο
読み方:エルガリオ・エルガリーオ
ラテン文字:ergaleio
ギリシャ語:γέφυρα
読み方:イェフィラ・イェーフィラ・ゲフィラ・ゲーフィラ
ラテン文字:gefyra
古代ギリシャ語の γέφυρα(橋)を継承。起源は印欧系ではなく、ギリシャ以前からこの地で話されていた古い言語、あるいは小アジアのアナトリア諸語からの借用とする説が有力。古代ギリシャ内にも方言差があり、ボイオティアでは βέφυρα、クレタでは δέφυρα、ラコニア(スパルタ周辺)では δίφουρα と呼ばれた。
古アルメニア語 kamurǰ(橋)、ハッティ語 ḫamuruwa(梁)などとも比較される。
船の艦橋、歯科のブリッジ、ネットワーク機器のブリッジといった使い方は、イタリア語 ponte、英語 bridge からの意味借用によって近代に加わった。
派生語に γεφυρώνω(橋を架ける、橋渡しをする)、γεφύρι(小さな橋)など。複合語には πεζογέφυρα(歩道橋)、αερογέφυρα(空輸)、σιδηροδρομική γέφυρα(鉄道橋)がある。
ギリシャ語:χταπόδι
読み方:フタポディ・フタポーディ
ラテン文字:chtapodi
中世ギリシャ語 οκταπόδι(タコ)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世形は、ヘレニズム期 ὀκτάπους(八本足の、タコ、← 古代 ὀκτώ「八」+ ποῦς「足」)の指小形 *οκταπόδιον(小さな八本足、母音連続の回避を経て)から派生したもの。現代ギリシャ語では、語頭の無強勢母音 [o] が脱落(αποβολή)し、定冠詞続き発音 το οκταπόδι > τοκταπόδι > το χταπόδι の経路で再分節し、子音連続 [kt] が中世期に同化変化(ανομοίωση τρόπου άρθρωσης)で [xt] に変わって、現代の χταπόδι の形に定着した。
源にある古代の ὀκτώ(八)は、印欧祖語の「八」を表す語根に由来し、ラテン語 octō, サンスクリット aṣṭáu, 英語 eight, ドイツ語 acht と同族。地中海・印欧語の数詞「八」を表す最古層の語彙の一つで、極めて広範な国際語彙の根幹を成す。同じ語根からはオクターブ(οκτάβα、← 仏 octave), 八角形(οκτάγωνο), 八重奏(οκτέτο), 八月(Οκτώβριος、ただし古代ローマ暦では本来「八番目の月」だった), タコ(χταπόδι)が出ており、数を介した造語の中核。
源にある古代の ποῦς(属格 ποδός、足)は、印欧祖語の「足」を表す語根に由来し、ラテン語 pēs(属格 pedis、← 英 pedal, pedestrian, pedicure), サンスクリット pā́d-, 英語 foot, ドイツ語 Fuß と同族。古代ギリシャ語の ποῦς は現代ギリシャ語の πόδι(足、← μσν. πόδι(ν) < ελνστ. ποδίον υποκορ.)として継承されており、この χταπόδι は数詞「八」と「足」の合成で、文字どおり「八本足」を意味するシンプルな解剖学的命名。
書きことばの古典形 οκτάπους / πολύπους(タコ、文字どおり「多くの足」)は、現代ギリシャ語にも書きことば・専門語として並走する。πολύπους は近代の動物学・医学では πολύποδας(ポリプ、ポリープ、生物学のヒドラ・サンゴ等)として使われ、英語 polyp(ポリプ)の語源にもなった。
派生・関連語族として χταποδάκι(小さなタコ、指小形、口語), χταπόδια κρεμασμένα(つるされたタコ、複数形), χταποδόψαρο(タコ魚、複合語), χταποδολίκι(タコの吸盤), οκτάπους / οκτάποδας(書きことばの古典形), πολύπους / πολύποδας(ポリプ、書きことば、医学用語)。
頭足類(κεφαλόποδα)の領域には、近い海産物として καλαμάρι(イカ、← 中世 καλαμάρι < ラ calamarium「インク壺」), σουπιά(コウイカ、← 古代 σηπία)が並び、地中海料理の主要な海産物として広く食卓に登場する。χταπόδι は食材としてはギリシャ伝統料理の中心の一つで、χταπόδι κρασάτο(ワイン煮), χταπόδι ξιδάτο(酢漬け), χταπόδι στιφάδο(玉ねぎ煮込み), χταπόδι στα κάρβουνα(炭火焼き)など多彩な調理法を持つ。タコを岩に打ちつけて柔らかくする伝統的な下処理(χτυπώ το χταπόδι στα βράχια)も、地中海漁村の生活文化として知られる。
比喩用法では、八本の腕の形が「枝分かれして広がるもの」のイメージを生み、荷物を固定する伸縮ゴムひもの χταπόδι(バンジーコード), 車の排気マニホールドの χταπόδι(複数の排気管が一点に集まる枝分かれ部品)など、近代の道具・機械語彙にも比喩的に展開している。慣用句の χτυπιέμαι σαν χταπόδι(タコのようにのたうち回る、激しく抗議する)も、タコの動きの激しさを介した感情表現の典型例。
ギリシャ語:παπαγάλος
読み方:パパガロス・パパガーロス
ラテン文字:papagalos
アラビア語 ببغاء(babbaghāʾ、擬音起源)を中世ギリシャ語が παπαγάς(オウム)として取り入れ、そこから派生したイタリア語 pappagallo が現代ギリシャ語に再導入された語。語の反復音はオウムの鳴き声を思わせる。
同義に ψιττακός。指小形の παπαγαλάκι は小型のオウムのほか、情報を流す工作員や情報の運び屋をくだけて言う。派生動詞 παπαγαλίζω(機械的に繰り返す), 形容詞 παπαγαλίστικος(オウム的な)がある。