ギリシャ語:δίνω
読み方:ディノ・ディーノ
ラテン文字:dino
古代ギリシャ語の δίδωμι(与える)が、ヘレニズム期に δίδω に縮まり、さらに中世ギリシャ語で -νω 型の現在形に整えられた語。
印欧祖語で「与える」を表す語根から出た語で、ラテン語 do(与える、英語 donate の元)、サンスクリット dā(与える)とも同じ系統。派生語に δόση(投与、分割払いの一回分)、δώρο(贈り物)、δότης(提供者)。
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ギリシャ語:δίνω
読み方:ディノ・ディーノ
ラテン文字:dino
古代ギリシャ語の δίδωμι(与える)が、ヘレニズム期に δίδω に縮まり、さらに中世ギリシャ語で -νω 型の現在形に整えられた語。
印欧祖語で「与える」を表す語根から出た語で、ラテン語 do(与える、英語 donate の元)、サンスクリット dā(与える)とも同じ系統。派生語に δόση(投与、分割払いの一回分)、δώρο(贈り物)、δότης(提供者)。
ギリシャ語:παίρνω
読み方:ペルノ・ペールノ
ラテン文字:pairno
中世ギリシャ語の παίρνω を継承。古代ギリシャ語の ἐπαίρω(持ち上げる、ἐπί「〜に」+ αἴρω「持ち上げる」)から続き、弱い ε が落ちて今の形になった。完結相過去形は πήρα(古代形 ἐπῆρα から)。
ギリシャ語:βάζω
読み方:バゾ・バーゾ・ヴァゾ・ヴァーゾ
ラテン文字:vazo
中世ギリシャ語の βάζω を継承。古代ギリシャ語の動詞 βιβάζω(上げる、乗せる)が音変化を経た形で、βιβάζω は βαίνω(行く、進む)から作られた使役形。完結相過去形 έβαλα は別系統で、古代の βάλλω(投げる、置く)から続く。未完了相と完結相で由来の違う語幹が合わさっている。
ギリシャ語:χάνω
読み方:ハノ・ハーノ
ラテン文字:chano
ギリシャ語:κερδίζω
読み方:ケルディゾ・ケルディーゾ
ラテン文字:kerdizo
中世ギリシャ語で κέρδος(利益、得)に -ίζω を付けてできた動詞。古代ギリシャ語の同系の動詞は κερδαίνω。
ギリシャ語:μυρίζω
読み方:ミリゾ・ミリーゾ
ラテン文字:myrizo
名詞 μύρον(香油, 芳香油)に動詞化の -ίζω がついた古代ギリシャ語の動詞 μυρίζω(香油を塗る, 香りがする)を継承。古代は「香油を塗る」と「香りがする」の二つの意味があったが, 現代では前者の意味は失われ, 「においがする, においをかぐ」の意味に集約された。同じ μύρον から派生した μυρωδιά(におい、香り)と μυρώνω(香油を塗る、聖別する)が同族の語で、μυρίζω との合成語に μοσχομυρίζω(とてもよい香りがする)がある。名詞 μυρωδιά は άρωμα(香水、芳香)より意味が広く、よい香りにも嫌なにおいにも使いやすい。元の μύρον はセム語からの借用とする見方が有力で、英語 myrrh(没薬)も同じ源泉からラテン語経由で別ルートで入った親戚にあたる。
ギリシャ語:παρατηρώ
読み方:パラティロ・パラティロー
ラテン文字:paratiro
古代ギリシャ語の παρατηρῶ(傍らで見張る、監視する)を継承。παρά(傍らに)と τηρέω(見守る、見張る)を合わせた動詞。現代の「観察する、気づく、指摘する」の意味は、フランス語 observer、remarquer からの意味借用で広がった。派生に παρατήρηση(観察、指摘)、παρατηρητής(観察者)、παρατηρητικός(観察力のある)。
ギリシャ語:απορώ
読み方:アポロ・アポロー
ラテン文字:aporo
古代ギリシャ語の ἀπορῶ を継承。名詞 απορία(当惑、疑問)と同じ語根。形容詞 ἄπορος(手立てがない)からできた動詞。
ギリシャ語:εκπλήσσομαι
読み方:エクプリソメ・エクプリーソメ
ラテン文字:ekplissomai
古代ギリシャ語の ἐκπλήσσομαι に由来。能動形 ἐκπλήσσω の受動態で、ἐκ-(外へ、強く)と πλήσσω(打つ)を合わせた動詞。「強く打たれて正気を失う」感覚が、驚きに打ちのめされる意味へ移って定着した。
πλήσσω は印欧祖語で「打つ」を表す語根から出た語。ラテン語 plaga(打撃、傷、のち「災厄」)を経由した英語 plague(疫病、災厄)、同じ πλήσσω から出たギリシャ語の αποπληξία(卒中、英語 apoplexy の元)も同系。
能動形は εκπλήσσω(驚かせる)、名詞は έκπληξη(驚き)、形容詞に έκπληκτος(驚いた)、εκπληκτικός(驚くほどの)。
ギリシャ語:τρομάζω
読み方:トゥロマゾ・トゥロマーゾ
ラテン文字:tromazo
古代ギリシャ語の動詞 τρομέω(震える, 怖がる)から派生した τρομάσσω(怖がる, 怖がらせる)が, 中世ギリシャ語で τρομάζω の形になった。名詞は τρόμος(恐れ, 震え)。
ギリシャ語:υποφέρω
読み方:イポフェロ・イポフェーロ
ラテン文字:ypofero
古代ギリシャ語 ὑποφέρω(下で支える、耐える)を継承。ὑπό(下で)と φέρω(運ぶ、担う)からできた合成語で、担いながら持ちこたえる動きから「耐える」「苦しむ」の意味に及んだ。現代の痛みや病気に苦しむ用法は、フランス語 souffrir の影響で定着した。
派生語・関連語に ανυπόφορος(耐えがたい、我慢ならない)、υποφερτός(耐えられる、まずまずの)、φέρω(運ぶ、担う)、υπομένω(耐え忍ぶ)。関連語に πόνος(痛み、苦しみ)、πάσχω(病む、苦しむ)。
ギリシャ語:αγανακτώ
読み方:アガナクト・アガナクトー
ラテン文字:aganakto
古代ギリシャ語の ἀγανακτῶ(憤る、苛立つ、ἀγανακτέω の無縮約形)を継承。派生語に αγανάκτηση(憤り)、αγανακτισμένος(腹を立てている、イライラしている)。
αγαναχτώ の形も並んで使われる。古代 ἀγανακτῶ からの口語的な系譜で、中世ギリシャ語で κτ が χτ に変化してできた。
ギリシャ語:εκνευρίζω
読み方:エクネヴリゾ・エクネヴリーゾ
ラテン文字:eknevryzo
古代ギリシャ語の ἐκνευρίζω に由来。εκ-(外へ、切り離して)と νεῦρον(腱、神経)を合わせた動詞で、もともとは「腱を切る」ことを言った。現代の「いらいらさせる」の意味は、フランス語 énerver からの意味借用で定着した。
関連語に νεύρα(神経、いらだち)、νευρικός(神経質な、神経の)、εκνευρισμός(いらだち)。
ギリシャ語:φωνάζω
読み方:フォナゾ・フォナーゾ
ラテン文字:fonazo
中世ギリシャ語の φωνάζω を継承。古代ギリシャ語の φωνέω / φωνῶ(声を出す、呼ぶ)に反復・強意を表す -άζω を付けた形で、φωνή(声)から作られた動詞。強く、または繰り返し声を出す感覚が出発点。
関連語に φωναχτός(声の大きい)、φωνασκώ(声を張り上げる)、εκφωνώ(はっきり発音する、読み上げる)、συμφωνώ(同意する)、διαφωνώ(意見が合わない)、άφωνος(声を失った、無言の)。
ギリシャ語:τσακώνομαι
読み方:ツァコノメ・ツァコーノメ
ラテン文字:tsakonomai
τσακώνω(捕まえる、つかまえる)の中動相・受動相から出た動詞で、「互いに捕まえ合う」から「言い争う、口げんかする」へ意味が分かれた。もとの動詞は中世ギリシャ語から続く語で、刃物を意味する中世ギリシャ語 τσακίον からきたと推定される。
ギリシャ語:γελώ
読み方:イェロ・イェロー・ゲロ・ゲロー
ラテン文字:gelo
ギリシャ語:φιλώ
読み方:フィロ・フィロー
ラテン文字:filo
古代ギリシャ語の φιλέω-φιλῶ(愛する、親しむ、やがて「キスする」)を継承。φίλος(親しい、大切な、友)に状態を表す動詞接尾辞 -έω を付けて作った語。古典期には「愛する、親しむ」の意味が中心で、後に「キスをする」の意味が加わり、現代ではこちらが主流になった。
同じ φίλος から φιλία(友情)、φιλικός(友好的な)も作られている。φίλο- の形で多くの複合語を作り、φιλοσοφία(哲学、「知を愛する」)、φιλόλογος(言語学者、「ことばを愛する」)、Φίλιππος(フィリップ、「馬を愛する者」)、φιλάνθρωπος(人類愛の、慈善家)などが同じ語族。
名詞は φιλί(キス)。別形に φιλάω。
ギリシャ語:αερίζω
読み方:アエリゾ・アエリーゾ
ラテン文字:aerizo
中世ギリシャ語で αέρας(空気、風)から作られた動詞。関連語に εξαερίζω(排気する、強制換気する)がある。
ギリシャ語:λάμπω
読み方:ラボ・ラーボ・ランボ・ラーンボ
ラテン文字:lampo
印欧祖語で「輝く」を表す語根に起源を持ち、古代ギリシャ語の λάμπω(輝く、光る)を継承。派生形 λαμπάς(たいまつ)はラテン語 lampas、フランス語 lampe を経て英語 lamp の語源になった。
派生・関連語は光源や光のイメージに関わるものが多い。λάμπα(ランプ、電球), λαμπάδα(ろうそく), λαμπάς(たいまつ), λαμπτήρας(電球), λαμπυρίδα(ほたる)など。形容詞 λαμπερός(輝かしい、明るい), 名詞 λάμψη(輝き)もこの動詞の語群。復活祭の呼び名 Λαμπρή もここから。星名 Λαμπαδίας(アルデバランの古いギリシャ語名)は λαμπάς(たいまつ)からの派生。
ギリシャ語:μαγεύω
読み方:マイェヴォ・マイェーヴォ・マゲヴォ・マゲーヴォ
ラテン文字:magevo
古代ギリシャ語の μαγεύω(魔術を行う、魔法をかける)を継承。
μάγος(マギ、魔術師)に動詞を作る接尾辞 -εύω が付いてできた形で、古代ではペルシャ由来のマギたちが行う魔術、占い、秘儀の行いを広く指した。
現代ギリシャ語の「人の心を魅了する、心をつかむ」という比喩的な使い方は、フランス語 enchanter からの意味借用により近代に広まったもの。同様の表現は英語の enchant やドイツ語の bezaubern にも共通している。
派生語に μαγεμένος(魅了された、魔法にかけられた)、共通の語源を持つ関連語に μάγος(魔術師)、μάγισσα(魔女)、μαγεία(魔法、魔術)、μαγικός(魔法の)、類義語に γοητεύω(魅了する)などがある。
ギリシャ語:καπνίζω
読み方:カプニゾ・カプニーゾ
ラテン文字:kapnizo
ギリシャ語:καίγομαι
読み方:ケゴメ・ケーゴメ
ラテン文字:kaigomai
ギリシャ語:σκιάζω
読み方:スキャゾ・スキャーゾ・スカゾ・スカーゾ
ラテン文字:skiazo
古代ギリシャ語の σκιάζω から二つの道筋で現代ギリシャ語に入った語。「影を落とす, おおう」の意味は古代形がそのまま書き言葉に再び入った学術借用で, 「怖がらせる, ぎょっとさせる」の意味は中世ギリシャ語の σκιάζω(驚かす)を経て民間に継承された。いずれも σκιά(影, 日陰)に名詞から動詞を作る接尾辞 -άζω を付けた古い動詞で, 古代から影を落とすことも絵に陰影をつけることも言った。
同じ σκιάζω から派生した語に σκίαση(陰影, シェーディング), σκίασμα(影の効果), σκιάδι(日よけ, ひさし), 合成語 επισκιάζω(かすませる, しのぐ), γραμμοσκιάζω(ハッチングを入れる)。「怖がらせる」方の流れでは受動形 σκιάχτηκα(ぎょっとした, 驚いた)がよく出る。
絵画・写真の用語としての σκίαση は英語 shading, フランス語 ombrage に対応する概念を扱い, 比喩の επισκιάζω(かすませる, しのぐ)は英語 overshadow と同じ発想で物事を覆い隠す感じを言う。「怖がらせる」の意味では同じ方向の φοβίζω(怖がらせる), τρομάζω(怖がらせる, 怖がる)が並ぶが, σκιάζω のこの用法は影や物音にぎくりとする瞬間的な恐怖に結びついた言い方。
ギリシャ語:ποτίζω
読み方:ポティゾ・ポティーゾ
ラテン文字:potizo
古代ギリシャ語の ποτίζω(水をやる、飲ませる)を継承。名詞 πότος(飲み物)に動詞化の -ίζω が付いてできた語で、πότος は πίνω(飲む)と同じ語根から出ている。
派生語に ποτιστήρι(じょうろ)、πότισμα(水やり)、ποτιστικός(灌漑用の)。
英語 potable(飲める)、potion(薬剤、飲み物)もラテン語を経て同じ語根につながる。
ギリシャ語:παγώνω
読み方:パゴノ・パゴーノ
ラテン文字:pagono
中世ギリシャ語 παγώνω を継承。
古代ギリシャ語 παγῶ(凍る、固まる)が中世に παγώνω の形に整えられて受け継がれた。πάγος(霜、氷、硬いもの)と同じく「固まる」を核とする語群で、もとは液体が冷えて氷に変わることを表した。
「恐怖や驚きで体が凍りつく、動けなくなる」という比喩的な用法は、フランス語 geler、glacer、英語 freeze からの意味借用で近代に広まった。
派生語に παγωνιά(厳しい寒さ、凍てつき)、παγωμένος(凍った、冷えた)、παγωτό(アイスクリーム)、ξεπαγώνω(解凍する)などがある。共通の語源を持つ関連語に πάγος(氷)などがある。
ギリシャ語:βράζω
読み方:ヴラゾ・ヴラーゾ
ラテン文字:vrazo
古代ギリシャ語の βράσσω(激しく揺する、はね散らす)を継承。コイネーで βράζω の形となり、激しく動く湯のさまから「沸く、煮る」の意味へ移った。
派生語に αναβράζω(沸き立つ、湧き上がる), σιγοβράζω(とろ火で煮る), βρασμός(沸騰、騒然とした状態), βραστός(茹でた)。慣用句に βράσε ρύζι(もうお手上げ), βράζει το αίμα(血が騒ぐ), καζάνι που βράζει(煮え立つ釜、緊迫した情勢)。
ギリシャ語:σβήνω
読み方:ズヴィノ・ズヴィーノ
ラテン文字:svino
σβήνω(消す、消える)は古代ギリシャ語の σβέννυμι(消す、消える)に由来し、中世ギリシャ語の σβήνω(消す、消える)を経て現代ギリシャ語に続く。火や光が消えることを表す古い動詞が、そのまま日常語として受け継がれた形である。
以前は σβύνω(古い綴りの形)という綴りも広く見られたが、現在は σβήνω が標準的である。反対の動きは ανάβω(火をつける、点ける)で、点火と消火、点灯と消灯を対で言うときによく並ぶ。
主な意味は φωτιά(火)や φως(光、明かり)を消すこと。そこから、機械や画面が止まること、文字やデータを消すこと、比喩で ελπίδα(希望)や ζωή(命、人生)、πίστη(信仰、確信)のようなものが失われること、さらに料理で仕上げに液体を加えることまで表す。
ギリシャ語:έρχομαι
読み方:エルホメ・エールホメ
ラテン文字:erchomai
古代ギリシャ語の ἔρχομαι(来る)を継承。人や物がこちらへ来ることを表す、現代ギリシャ語の基本動詞の一つ。
過去形 ήρθα(文語では ήλθα)は、古代のアオリスト ἦλθον から来ており、現在形 έρχομαι とは別の語根に由来する。同じ語根からは έλευση(到来)や προέλευση(由来、出どころ)も派生している。命令形 έλα・ελάτε(来い、来て)はさらに別で、古代の ἐλαύνω(馬車を駆る)の命令形が、中世ビザンツ期に馬車競技場の掛け声として使われたのがもとではないかとされる。έρχομαι は現在・過去・命令がそれぞれ別の語源を持つ補充法動詞である。
合成動詞は多く、εισέρχομαι(入る)、εξέρχομαι(出る)、προέρχομαι(由来する)、συνέρχομαι(集まる、意識を取り戻す)、παρέρχομαι(過ぎ去る)など。現在分詞 ερχόμενος は「来たる、次の」の意で日付や時期によく使われる。
関連する動詞に「行く」の πάω / πηγαίνω、「去る」の φεύγω、「着く」の φτάνω、「入る」の μπαίνω、「出る」の βγαίνω など。
ギリシャ語:πληρώνω
読み方:プリロノ・プリローノ
ラテン文字:plirono
古代ギリシャ語の πληρόω(満たす、いっぱいにする)に由来する。中世ギリシャ語で現在の πληρώνω の形になり、ヘレニズム期にはすでに「払い終える、弁済する」の意味が現れていた。もとの「満たす」から、勘定や義務を満額にして済ませることを言うようになり、現代の「払う」へつながった。
基本は χρήμα(金、お金、通貨、貨幣) を渡して代金や請求を済ませることを言う。そこから、人に金を渡して動かす「買収する」、さらに罪や失敗や勝利のために何かを失う「代償を払う」まで意味が広がっている。受け身の πληρώνομαι(支払いを受ける、給料をもらう)もよく使う。
日常の会計、家賃や税金の支払い、賃金の支給、買収、報復、つけを払うことまで幅広く言える動詞である。成句では、πληρώνω από την τσέπη μου(自腹で払う)、πληρώνω τα σπασμένα(他人の失敗のしわ寄せを受ける)、πληρώνω κάποιον με το ίδιο νόμισμα(同じやり方でやり返す)などがよく使われる。
ギリシャ語:τηλεφωνώ
読み方:ティレフォノ・ティレフォノー
ラテン文字:tilefono
τηλεφωνώ は、フランス語 téléphoner または英語 telephone の影響を受けて近代ギリシャ語に入った文語的な動詞で、名詞 τηλέφωνο(電話)を土台にしている。英語の telephone や phone と同じ国際語系に属し、語の後半は φωνή(声)と同じ語根につながる。
語形には τηλεφωνώ と τηλεφωνάω(電話する)がある。口語では受動側の τηλεφωνιέμαι(電話で連絡し合う)が、誰から誰へ電話したかを立てずに「電話で連絡し合う」「電話で話す」のような相互的な意味でも使われる。
主な意味は「電話する」。相手の番号に電話をかけること、その電話で相手と話すこと、電話で何かを知らせることまでをまとめて言える。口語の受動形では、二人が電話でやりとりすることも表せる。
ギリシャ語:αντιλαμβάνομαι
読み方:アディラムヴァノメ・アディラムヴァーノメ・アンディラムヴァノメ・アンディラムヴァーノメ
ラテン文字:antilamvanomai
古代ギリシャ語の ἀντιλαμβάνομαι(受け取る、捉える、気づく)に由来。αντί(対して、応じて)と λαμβάνω(取る、受け取る)を合わせた中動相の動詞で、もとは「自分の側へ取り込む」の意味。そこから感覚や思考で対象を捉えることを表すようになった。書き言葉では三人称で αντελήφθη のような古風な形も現れる。
名詞形は αντίληψη(知覚、理解)。動詞 βλέπω(見る、見える)が視覚を広く担うのに対し、αντιλαμβάνομαι は気づく、事情をのみこむ、意図を読み取るところまで含む。
λαμβάνω は印欧祖語で「取る、つかむ」を意味する語根にさかのぼり、同じ動詞から συλλαμβάνω(ともに取る、捕える → 英語 syllable)、επιλαμβάνομαι(〜に取りかかる → 英語 epilepsy)など多くの合成語が作られた。
ギリシャ語:παίζω
読み方:ペゾ・ペーゾ
ラテン文字:paizo
印欧祖語で「少ない, 幼い」を表す語根にさかのぼる名詞 παῖς(子供)から派生した古代ギリシャ語の動詞 παίζω(子供らしくふるまう, 遊ぶ)を継承。現代の「相場が推移する」「メディアで流れる」などの意味はフランス語 jouer, 英語 play からの意味借用で整った。
同じ語根にラテン語 puer(少年), paucus(少ない), pauper(貧しい), 英語 few が並ぶ。英語には παῖς を直接含む合成語として pediatrics(小児科学、παῖς + ἰατρός), pedagogue(教育者、παῖς + ἀγωγός), encyclopedia(百科事典、ἐγκύκλιος παιδεία「全般の教育」から)がある。
派生に παιχνίδι(おもちゃ、遊び、試合、駆け引き), παίκτης(プレーヤー、選手), παίγνιο(遊び、もてあそび), εμπαίζω(あざける、ばかにする)。
ギリシャ語:φοβάμαι
読み方:フォヴァメ・フォヴァーメ
ラテン文字:fovamai
古代ギリシャ語の φοβοῦμαι(逃げ惑う、恐れる)に由来する。古代ギリシャ語では名詞 φόβος(恐怖、逃走)から動詞 φοβέω(怖がらせる)が派生し、その中動態 φοβοῦμαι が「恐れる」の意味で用いられた。中世を経て語形が φοβάμαι に変化し、現代ギリシャ語に至る。
英語の phobia(恐怖症)は同じ φόβος を語源とする。
似た意味の語に τρομάζω(怖がる、驚く)、ανησυχώ(心配する)、τρέμω(震える、ひどく恐れる)がある。派生語には ψιλοφοβάμαι(少し怖がる)、ευθυνόφοβος(責任を恐れる人)などがある。
「恐怖を感じる」という直接的な感情のほか、口語では「懸念する」「予感がする」という推測の意味にも使う。
ギリシャ語:λαμπυρίζω
読み方:ラビリゾ・ラビリーゾ・ランビリゾ・ランビリーゾ
ラテン文字:lampyrizo
この語は、古代ギリシャ語の λάμπω(光る、輝く)を語根とする語群に属し、ヘレニズム時代のコイネーに見られる λαμπυρίζω(きらめく、またたく)に由来する。
英語の lamp(ランプ)や lantern(ランタン)も、ギリシャ語の λαμπάς(たいまつ)や λαμπτήρ(灯火)を経た同じ語群に属する。
λάμπω が力強く継続的に光る様子を表すのに対し、λαμπυρίζω は断続的に小さくまたたくことや、きらきらと光を反射する様子を指す。派生語には λαμπυρίδα(ホタル)がある。
主な意味は、小さく断続的に光を放つこと。星や水面の反射、宝石の輝きなどに対して用いられる。
ギリシャ語:εργάζομαι
読み方:エルガゾメ・エルガーゾメ
ラテン文字:ergazomai
古代ギリシャ語の ἐργάζομαι(働く、行う)に由来。古代の基本語 ἔργον(仕事、作品)に中動態の接尾辞 -άζομαι が付いた動詞。ἔργον は英語 work と同語源。ἐν-(中に)+ ἔργον の合成語 ἐνέργεια は、ενέργεια(エネルギー)と英語 energy の共通の源。
日常で「働く」を広く指す δουλεύω に対し、εργάζομαι はよりフォーマルで、公的・職業的な文脈で使われやすい。
派生語に εργασία(労働、仕事)、εργάτης(労働者)、έργο(仕事、作品)、εργοστάσιο(工場)、εργαλείο(道具)、εργοδότης(雇用主)など。合成動詞に επεξεργάζομαι(処理する、加工する)、συνεργάζομαι(協力する)、κατεργάζομαι(加工する)、περιεργάζομαι(詳しく調べる)など。
ギリシャ語:γράφω
読み方:グラフォ・グラーフォ
ラテン文字:grafo
古代ギリシャ語の γράφω(刻む、引っかいて描く、書く)を継承。石や板に引っかいて字や絵を刻むことが古代の中心の意味で、道具の変化にともなって「書く」が中心になった。現代の「録音する、録画する」の用法は、英語 record、フランス語 enregistrer からの意味借用。
派生語に γραφή(書き込み、書類), γραφείο(事務所), γραφικός(絵画的な)。同じ語根から γραμμή(線), γράμμα(文字), διαγράφω(線を引く、消す), συγγράφω(執筆する)など。英語 graph, graphic や biography, photography, geography のような -graphy の付く語もすべて同じ古代ギリシャ語から。
ギリシャ語:βλέπω
読み方:ヴレポ・ヴレーポ
ラテン文字:vlepo
古代ギリシャ語の βλέπω(見る)を継承。ギリシャ語以前の何らかの言語からの借用とされ, 確かな語源はわかっていない。現在系列は βλέπω で残るが, 完結相(過去)は別語源の είδα が担う。είδα は古代ギリシャ語の完結相過去形 εἶδον に由来し, ラテン語 video(見る), 英語 wit(知恵), wise(賢い), ドイツ語 wissen(知る)と同じ印欧語根で「見る, 知る」を表した語の子孫。一つの動詞の現在と過去で別系統の語根が並んで残った形。
同じ βλέπω の語族に βλέμμα(視線, 眼差し), βλέψη(視覚), βλέφαρο(まぶた), βλεφαρίδα(まつ毛), 合成語 αναβλέπω(見上げる), αποβλέπω(目標にする), διαβλέπω(見抜く), επιβλέπω(監督する), παραβλέπω(見逃す), προβλέπω(予見する), ξαναβλέπω(再会する), πρωτοβλέπω(初めて見る)。
意識して「眺める」を言う κοιτάζω に対し, βλέπω は「見える」から「見守る」まで幅広い。抽象的な「知覚する」には αντιλαμβάνομαι, 「理解する」には κατανοώ が並ぶ。辞書や注記の略号 βλ. は βλέπε(参照せよ)の略。「薔薇色の目で見る(βλέπω τα πάντα ρόδινα)」のような成句はフランス語 voir tout en rose からの翻訳借用。
ギリシャ語:σκάω
読み方:スカオ・スカーオ
ラテン文字:skao
古代ギリシャ語 σχάζω(切り開く、流し出す)を継承。σχάζω には σχάω の別形もあり、[sx] が [sk] に変わって σκάζω/σκάω となった。中世以降、二形のうち σκάω の形が広く使われるようになり、σκάζω は同じ意味でまれに見られる。「破裂する、はじける」の意味は、フランス語 éclater(破裂する)、crever(破裂する、裂ける)からの意味借用による。
派生語に σκάσιμο(破裂、パンク)、σκασμένος(破裂した、ひどくへこんだ)、σκασίλα(悩み、憂さ、無関心)。合成には χολή(胆汁)と結んだ χολοσκάω(気を揉む、悩む)、ξε- を前に付けた ξεσκάω(気晴らしする、息抜きする)などがある。関連語に εκρήγνυμαι(爆発する)。折れる・割れる動きには σπάω を使う。
ギリシャ語:ανάβω
読み方:アナヴォ・アナーヴォ
ラテン文字:anavo
古代ギリシャ語の ἀνάπτω(火をつける、結びつける)を継承。ἀνα-(上へ)と ἅπτω(つける、触れる)の合成語で、完結形(アオリスト)の語幹 αναψ- は現代形 άναψα(火をつけた)にそのまま残り、現在形の語尾が -πτω から -βω に変わって今に至る。
感情や興味をかき立てる意では εξάπτω(興奮させる), κεντρίζω(刺激する), προκαλώ(引き起こす)が近い。火や騒ぎが勢いよく燃え上がるときは φουντώνω(勢いよく燃える)、高熱や顔の火照りは κορώνω(頂点に達する), πυρώνω(焼けるように熱する)、ひどい暑さは καψώνω(焼けつかせる)。逆に「消す、消える」は σβήνω。
派生に αναμμένος(火がついた、熱狂した), άναμμα(点火、点灯), αναπτήρας(ライター), ξανάβω(再び火をつける、再燃する)。
ギリシャ語:εκρήγνυμαι
読み方:エクリグニメ・エクリーグニメ
ラテン文字:ekrignymai
ギリシャ語:πυροδοτώ
読み方:ピロドト・ピロドトー
ラテン文字:pyrodoto
古代ギリシャ語の πῦρ(火)と δίδωμι(与える)を πυρο- + -δοτώ の形で組み合わせた学術借用で、19 世紀中頃に作られた。フランス語 mettre le feu(〜に火をつける、爆発装置に点火する)の意味を写した翻訳借用で、「爆発装置を作動させる」の語義はここから定着した。
類義語に πυρπολώ(火を放つ、放火する)。派生に πυροδότηση(起爆、点火), πυροδότης(起爆装置、引き金となる人・要因), πυροδότρα(女性の起爆者), πυροδοτικός(起爆用の), αναπυροδοτώ(再起爆する), αποπυροδοτώ(起爆解除する)。
ギリシャ語:ζεσταίνω
読み方:ゼステノ・ゼステーノ
ラテン文字:zestaino
ギリシャ語:απανθρακώνω
読み方:アパンスラコノ・アパンスラコーノ・アパントゥラコノ・アパントゥラコーノ
ラテン文字:apanthrakono
前置詞 από(〜から、完全に)と άνθρακας(炭、炭素)からの合成動詞。接頭辞 από- の「完全に」の含意から、物質が熱で完全に炭化することを表す。
類義語に αποτεφρώνω(灰にする), καρβουνιάζω(炭にする、焦がす), κατακαίω(焼き尽くす、焼き払う)。英語 anthracite, anthrax も ἄνθραξ を起源とする。
ギリシャ語:καίω
読み方:ケオ・ケーオ
ラテン文字:kaio
古代ギリシャ語の καίω(燃やす)を継承。中世に母音間に γ が挿入された καίγω も現代で並行して使われる。コンピュータ用語の「CDを焼く」用法は英語 burn からの意味借用で定着した。
派生語に καύσιμος(可燃性の、燃料), καύση(燃焼), κάψιμο(火傷、焦げ), έγκαυμα(火傷), καυστικός(腐食性の、辛辣な)など。焼き方を細かく言い分ける近い動詞に απανθρακώνω(炭化させる), αποτεφρώνω(灰にする), καψαλίζω(軽くあぶる)。英語 caustic, cauterize, holocaust はいずれもラテン語経由で、καίω と同じ語根をもつ古代ギリシャ語(καυστικός, καυτηριάζω, ὁλόκαυστον)から来ている。