ギリシャ語:ζηλοτυπία
読み方:ジロティピア・ジロティピーア・ズィロティピア・ズィロティピーア
ラテン文字:zilotypia
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ギリシャ語:ζηλοτυπία
読み方:ジロティピア・ジロティピーア・ズィロティピア・ズィロティピーア
ラテン文字:zilotypia
ギリシャ語:ζηλοφθονία
読み方:ジロフソニア・ジロフソニーア・ジロフトニア・ジロフトニーア・ズィロフソニア・ズィロフソニーア・ズィロフトニア・ズィロフトニーア
ラテン文字:zilofthonia
中世ギリシャ語の ζηλοφθονία を継承。古代ギリシャ語の ζῆλος(ζήλια の元になった「熱意、競争心、嫉妬」)と φθόνος(妬み、悪意)を合わせた合成語で、「他人と同じものを欲しがる嫉妬(ζήλια)」と「他人の幸運を妬み憎む感情(φθόνος)」の両方を含み込んだ強い感情を表す。
辞書では「φθόνος の境界に達するほど強い ζήλια」と説明される。日常では ζήλια より重く、悪意や卑小さ(μικρότητα)を含むニュアンスがある。
キリスト教神学の七つの大罪(επτά θανάσιμα αμαρτήματα)のひとつ「妬み」を、現代の口語・近代訳ではこの ζηλοφθονία の名で呼ぶことが多い。古典的・教父的な伝統では φθόνος が標準形。
近い語に κακία(悪意)、μικρότητα(卑小さ、心の狭さ)。
ギリシャ語:φθόνος
読み方:フソノス・フソーノス・フトノス・フトーノス
ラテン文字:fthonos
古代ギリシャ語の φθόνος(妬み、悪意)を継承。古代では動詞 φθονέω(妬む、出し惜しむ)と密接に関連し、「他人の幸運を出し惜しむ」「自分は持っていても他人には渡したくない」という心の働きを核に持つ語だった。
印欧祖語までは確定的にたどれないが、古代ギリシャ語の動詞 φθίω / φθίνω(衰える、滅びる、消耗する)と同じ語族の可能性が指摘されており、「他人の繁栄を見て自分が衰える、損なわれる」という感情の捉え方が背景にあると考えられる。
古代ギリシャ神話には Φθόνος という嫉妬・妬みの擬人化神があり、ローマ神話の Invidia に対応する。古代ギリシャの宗教観では、φθόνος は神々が幸運な人間に対して抱く嫉妬として頻繁に現れ、人間の傲慢さ(ὕβρις)が神の φθόνος を招き、それが nemesis(懲罰、Νέμεσις)につながるという観念があった。
ζήλια / ζηλεία が「自分も同じものを得たいと願う感情」(憧憬を含む)を表すのに対し、φθόνος は「他者の優位や繁栄を妬み憎む否定的な感情」に重心がある。
キリスト教神学の七つの大罪(επτά θανάσιμα αμαρτήματα)のひとつとして、伝統的には φθόνος の名で挙げられる。教父文献やギリシャ正教の古典的なリストでは φθόνος が標準だが、現代の口語・近代訳では同じ「妬み」を ζηλοφθονία(ζήλια と φθόνος の合成語)と呼ぶこともある。
合成語の ζηλοφθονία(嫉妬とねたみ)は ζήλια と φθόνος を重ねた語で、両概念を融合した感情を表す。近い語に μοχθηρία(悪意)。
ギリシャ語:ζήλια
読み方:ジリャ・ジーリャ・ズィリャ・ズィーリャ
ラテン文字:zilia
中世ギリシャ語の ζήλεια / ζηλιά(嫉妬)を継承。古代ギリシャ語の ζῆλος(熱意、競争心、嫉妬、ねたみ)に由来。
古代では「他人を見て自分も同じものを得たいと願う熱心な思い」と「他人の優位を妬む否定的な感情」の両方を含んでいた。
英語の zeal(熱意、ラテン語 zelus 経由)と jealous / jealousy(嫉妬、ラテン語 zelosus を経て古フランス語 jaloux 経由)は、どちらも同じ古代ギリシャ語 ζῆλος を語源とし、ζήλια と同系統の語彙。
文語形の ζηλεία(嫉妬)も同義だが、日常的には口語の ζήλια が広く使われる。
同義語に φθόνος(妬み、ねたみ)、合成語 ζηλοφθονία(嫉妬、ねたみ)など。恋愛文脈に特化した ζηλοτυπία(嫉妬)などの表現もある。
ギリシャ語:αγανακτώ
読み方:アガナクト・アガナクトー
ラテン文字:aganakto
古代ギリシャ語の ἀγανακτῶ(憤る、苛立つ。-εω 動詞 ἀγανακτέω の縮約形)を継承。派生語に αγανάκτηση(憤り)、αγανακτισμένος(腹を立てている、イライラしている)など。
αγαναχτώ の形も併用される。古代の ἀγανακτῶ から続く口語的な系譜であり、中世ギリシャ語において κτ が χτ に変化したことで成立した。
ギリシャ語:εκνευρίζω
読み方:エクネヴリゾ・エクネヴリーゾ
ラテン文字:eknevryzo
古代ギリシャ語の ἐκνευρίζω に由来。εκ-(外へ、切り離して)と νεῦρον(腱、神経)を合わせた動詞で、もともとは「腱を切る」ことを言った。
現代の「いらいらさせる」の意味は、フランス語 énerver からの意味借用で定着した。
関連語に νεύρα(神経、いらだち)、νευρικός(神経質な、神経の)、εκνευρισμός(いらだち)など。
ギリシャ語:φωνάζω
読み方:フォナゾ・フォナーゾ
ラテン文字:fonazo
中世ギリシャ語の φωνάζω を継承。
古代ギリシャ語の φωνέω(声を出す、呼ぶ)に反復・強意を表す -άζω を付けた形で、φωνή(声)から作られた動詞。
関連語に φωναχτός(声の大きい)、φωνασκώ(声を張り上げる)、εκφωνώ(はっきり発音する、読み上げる)、συμφωνώ(同意する)、διαφωνώ(意見が合わない)、άφωνος(声を失った、無言の)など。
ギリシャ語:τσακώνομαι
読み方:ツァコノメ・ツァコーノメ
ラテン文字:tsakonomai
τσακώνω(捕まえる、つかまえる)の受け身形から出た動詞。
もとの τσακώνω は中世ギリシャ語から続く語で、刃物を意味する中世ギリシャ語 τσακίον に由来すると考えられている。「捕まえる、つかむ」から、相手とつかみ合うような対立を経て、「言い争う、口げんかする」の意味に広がった。
名詞形に τσακωμός(口げんか、言い争い)がある。
ギリシャ語:έξαλλος
読み方:エクサルロス・エークサルロス
ラテン文字:exallos
古代ギリシャ語の ἔξαλλος(普通と違う、際立った)に由来。ἐξ(〜の外へ)と ἄλλος(他の)の合成で、「他のものから外れている、通常の範囲を超えている」が初義。古代の動詞 ἐξάλλομαι(高く跳び上がる)と取り違えられたとも言われ、その影響もあって今は怒りや喜びで「我を忘れている」状態、祝祭やリズムが「度を越して激しい」さま、見た目が「奇抜すぎる」ことなどに使う。
派生語に名詞 εξαλλοσύνη(取り乱した状態、奇行)、副詞 έξαλλα(取り乱して、どぎつく)。怒りの文脈では θυμός(怒り)、喜びの文脈では χαρά(喜び)と結びつく。成句 εν εξάλλω καταστάσει/σε έξαλλη κατάσταση は「ひどく興奮した状態で」を指す改まった表現。
ギリシャ語:νεύρα
読み方:ネヴラ・ネーヴラ
ラテン文字:nevra
νεύρο(神経)の複数形 νεύρα が、感情の領域で「神経の張りつめ、いらだち、怒り」を表す pluralia tantum 的用法として独立して使われている語。基本となる νεύρο 自体は、古代ギリシャ語 νεῦρον(腱、神経、弓の弦)を、近代以降に書きことばから再導入した学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)の側面と、ヘレニズム期に新たに加わった「神経」の意味を意味借用(σημασιολογικό δάνειο)として保持する側面を併せ持つ。
「いらだち、怒り」の用法は、近代以降にフランス語 nerfs(神経、神経過敏、いらだち)の意味展開を取り込んだ意味借用の層によるもので、英語 nerves(神経、ぴりぴり、神経過敏), ドイツ語 Nerven も同じ比喩展開を共有している。身体器官としての神経が、感情・心理状態の比喩へと転じる用法は、19 世紀以降のヨーロッパ語に共通する近代的な意味展開。
源にある古代の νεῦρον は、印欧祖語の「腱、繊維」を表す語根に由来し、ラテン語 nervus(腱、筋、活力、神経、← 英 nerve, sinew の語源), サンスクリット snāvan-(腱)と同族。古代ギリシャ語の νεῦρον は最初は「腱」を中心に指し、弓の弦(弓の腱)にも使われたが、ヘレニズム期の医学(ガレノスら)で解剖学的な「神経」の概念が発達するにつれて、現代の neuron, neurology の意味の出発点となった。
近代以降、フランス語の名詞接頭辞 névr(o)- / neur(o)- としてヨーロッパの医学・心理学語彙に再輸出され、neurology, neuralgia, neurasthenia, neurosis などの近代造語の素材になった。これらはギリシャ語にも逆輸入される形で、νευρολογία(神経学), νευραλγία(神経痛), νευρασθένεια(神経衰弱), νεύρωση(神経症)として再借用されている、典型的な国際造語要素。
派生・関連語族として νεύρο(単数形、神経、書きことば、心理用法では一般的), νευρικός(神経の、神経質な、形容詞), νευρικότητα(神経質さ、書きことば), νευράκια(ちょっとしたいらだち、指小形、口語), νευριάζω(いらつく、動詞), νευριασμένος(いらいらした、過去分詞), εκνευρίζω(人をいらつかせる), εκνευρισμός(いらだち、書きことば), νευρικό σύστημα(神経系)。
同じ「怒り・いらだち」の領域には、広い「怒り」の θυμός(怒り、立腹), 重く深い「憤怒」の οργή(激しい怒り), 短気な「かんしゃく」の τσαντίλα(かんしゃく、口語), ぴりついた「神経の張り」の νεύρα が並び、強さと持続性で言い分けられている。νεύρα は最も口語的で、瞬間的・継続的なぴりつきを軽く言える幅広い使い勝手を持つ。慣用句では γερά / ατσάλινα / σιδερένια νεύρα(鉄の神経、肝が据わっていること), πόλεμος νεύρων(神経戦), τα νεύρα μου!(もううんざりだ)が頻出する、口語表現の宝庫になっている。
ギリシャ語:εμπάθεια
読み方:エバシア・エバーシア・エバティア・エバーティア・エンバシア・エンバーシア・エンバティア・エンバーティア
ラテン文字:empatheia
ヘレニズム期のギリシャ語 ἐμπάθεια(自然な感情の影響、激情、情念、← ἐν-「中で」+ πάθος「感情、受苦」)を、近代以降に書き言葉から再導入した学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。古代の中立的な「強い感情、情念」の意味から、現代では否定的な「悪意、敵対心、偏見」の意味に固まった(Tri は「形容詞 εμπαθής の意味変化に従って」と注記)。
源にある古代の πάθος(属格 πάθους、感情、受苦、苦悩、激情)は、動詞 πάσχω(被る、苦しむ、感じる)から派生した抽象名詞で、もとは「外的な力を受けて感じること」を意味した。プラトン、アリストテレスの哲学では、感覚や感情の働き全般を指す重要な術語として用いられ、ストア派哲学では「悪しき感情、克服すべき情念」のニュアンスに重心が置かれた。
英語 empathy は 1909 年にイギリスの心理学者エドワード・ティチェナーがドイツ語 Einfühlung(感情移入、← ein「中に」+ Fühlung「感じ取り」)を翻訳するために造語した近代英語で、構造的にギリシャ語の ἐν + πάθος をモデルにしている。ところがギリシャ語自体の εμπάθεια は古代以来「悪意、敵対心」の方向に意味が定着していたため、英語 empathy の「共感」の意味と正反対の用法になっており、現代ギリシャ語では英語 empathy に対応する概念に ενσυναίσθηση(共感、← εν-「中に」+ συν-「共に」+ αίσθηση「感覚」)という別の語が造られた。
派生・関連語族として εμπαθής(悪意のある、敵対的な、偏見を持った), εμπαθώς(悪意をもって、副詞)。類義語に έχθρα(敵意、憎しみ), μίσος(憎悪), κακία(悪意、悪徳), προκατάληψη(偏見、先入観), μνησικακία(恨み、根に持つこと)。同じ πάθος から接頭辞を変えた συμπάθεια(好感、同情、← συν-「共に」+ πάθος)と対の関係で、εν-(中に)が悪意、συν-(共に)が好意を生む構造の対照が、ギリシャ語の感情語彙の中で印象的なペアを成している。
ギリシャ語:οργή
読み方:オルイ・オルイー・オルギ・オルギー
ラテン文字:orgi
印欧祖語で「働く, 動く」を表す語根の子孫で, ἔργον(仕事)や ἐνέργεια(働くこと)と同じ語族にあたる古代ギリシャ語の女性名詞 ὀργή(気質, 衝動, 怒り)を継承。現代では「激しい怒り」に絞り込まれた。
英語 orgasm は ὀργή から派生した動詞 ὀργάω の名詞形 ὀργασμός に由来。orgy も同じ語族の ὄργια(ディオニュソスの秘儀)から。同じ語根に英語 energy, organ, work も連なる。
類義語に θυμός, 文語で μήνις(神々の怒り)。派生語に οργίζομαι(怒る), οργισμένος(怒った)。
キリスト教神学の七つの大罪(επτά θανάσιμα αμαρτήματα)では、現代の一般的な一覧で οργή が「憤怒」にあたる語として挙げられる。正教系・教会系の説明では θυμός ή οργή と並べられることもある。対応する美徳としては μακροθυμία(寛容、忍耐)が挙げられる。
ギリシャ語:θυμός
読み方:シモス・シモース・ティモス・ティモース
ラテン文字:thymos
古代ギリシャ語の θῡμός(魂, 精神, 息, 勇気, 情熱)を継承。印欧祖語で「煙」を表す語根に続き, サンスクリット dhūmá(煙), リトアニア語 dūmas, ラテン語 fūmus(煙), 古代教会スラヴ語 dymŭ, アルバニア語 tym と同じ語族の仲間。英語 fume(煙, 立腹する)はラテン語 fūmus から。古代には魂や生命の息吹を幅広く指したが, 現代ギリシャ語では「怒り」に意味がしぼられた。
派生に動詞 θυμώνω(怒る), その過去分詞 θυμωμένος(怒っている)。
アクセント位置が異なる θύμος(胸腺)は別の語源で, タイム(百里香)の名から解剖学用語になった。類義の οργή(激しい怒り, 憤怒)は瞬間的な激情を, θυμός は一過性から持続的なものまで幅広い怒りを指す。
キリスト教神学の七つの大罪では、正教系・教会系の説明で θυμός ή οργή として「怒り」が挙げられることがある。現代の一般的な七つの大罪の一覧では οργή が「憤怒」にあたる語として使われやすい。対応する美徳としては μακροθυμία(寛容、忍耐)が挙げられる。