ギリシャ語:αερίζω
読み方:アエリゾ・アエリーゾ
ラテン文字:aerizo
中世ギリシャ語で αέρας(空気、風)から作られた動詞。関連語に εξαερίζω(排気する、強制換気する)がある。
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ギリシャ語:αερίζω
読み方:アエリゾ・アエリーゾ
ラテン文字:aerizo
中世ギリシャ語で αέρας(空気、風)から作られた動詞。関連語に εξαερίζω(排気する、強制換気する)がある。
ギリシャ語:κυκλώνας
読み方:キクロナス・キクローナス
ラテン文字:kyklonas
英語 cyclone からの借用。cyclone は、19世紀半ばに気象学者ヘンリー・ピディントンが、古代ギリシャ語の κυκλῶν(回転する)をもとに作った造語。
一度ギリシャ語から英語へ渡り、再びギリシャ語に再導入された語にあたる。語根は κύκλος(円、車輪)など。
関連語に気象分野の τυφώνας(台風)など。
ギリシャ語:σίφουνας
読み方:シフナス・シーフナス
ラテン文字:sifounas
古代ギリシャ語の σίφων(管、くだ、水を吸い上げる器具)を継承。
古代の3変化名詞(属格 σίφωνος)の対格 τὸν σίφωνα を基に、中世以降の主格 σίφωνας が新たに作られた(対格を基に主格を作り直すパターンは中世ギリシャ語によくある)。さらに、語中の ω [o] が前の唇音 [f] と後ろの鼻音 [n] の影響で [u] に変化して、現在の σίφουνας になった。
英語 siphon も同じ語源。
近い語に ανεμοστρόβιλος(つむじ風、竜巻)など。
ギリシャ語:μπουνάτσα
読み方:ブナツァ・ブナーツァ
ラテン文字:bounatsa
中世ギリシャ語の μπο(υ)νάτσα を継承。もとはイタリア語の bonaccia または北イタリアのヴェネツィア語の bonazza(海の凪)からの借用で、ラテン語の bonus(よい)に由来する「よい天気」といった意味。
類義語に νηνεμία(無風、凪)など。νηνεμία は風がない状態全般を指し、μπουνάτσα は特に海の穏やかさを表す。対義語は φουρτούνα(時化)や θαλασσοταραχή(海のしけ)など。
ギリシャ語:νηνεμία
読み方:ニネミア・ニネミーア
ラテン文字:ninemia
古代ギリシャ語の νηνεμία(無風、凪)に由来。
否定の接頭辞 νη-(〜がない)に άνεμος(風)と名詞化接尾辞の -ία が組み合わさった形で、字義は「風がないこと」。νη- は ἀ-/ἀν- と並ぶ古い否定辞で、英語の un- や in- などに相当する。
άνεμος は「息をする」を表す印欧祖語の語根にさかのぼり、同じ語根からラテン語の animus(心、精神)や anima(息、魂)、英語の animate(生き生きとさせる)や animal(動物)などが生まれた。
関連語に νήνεμος(無風の、静かな)という形容詞がある。
海の静けさを表す言葉では μπουνάτσα(凪)や γαλήνη(静けさ、平穏)などが類義語として挙げられる。νηνεμία はまず風がない状態そのものを指し、海だけでなく空気が動かない静かな状態全般に使われる。
ギリシャ語:μελτέμι
読み方:メルテミ・メルテーミ
ラテン文字:meltemi
トルコ語 meltem(夏のそよ風、季節風)にギリシャ語の中性語尾 -ι がついた外来借用(δάνειο)。オスマン期の地中海交易・海運の文脈で、エーゲ海特有の夏の季節風を指す語としてギリシャ語に取り入れられた。
トルコ語 meltem 自体はトルコ語固有の語で、エーゲ海・地中海の古代以来「年ごとに吹く風」として知られていた風を指す。古代ギリシャ語では同じ風を ἐτησίαι(属格 ἐτησίων、年ごとの風、← ἐτήσιος「年ごとの」< ἔτος「年」)と呼んでおり、この古代の表現が現代にも ετησίες の形で文章語・気象学用語として並んで生きている。
エーゲ海の夏(5 月から 9 月頃、特に 7 月から 8 月)に北または北西から強く吹く乾燥した季節風で、ギリシャの夏の風物詩・気象現象として島々の航海、漁業、葡萄栽培、避暑文化と深く結びつく。風速が時に強く、夏のピーク時には航路の運休も起こすため、ギリシャ国内の島々間移動の重要な気候要因。
派生に μελτεμάκι(穏やかなエテジアン、心地よい夏のそよ風、指小形)。類義語的に古代由来の ετησίες(エテジアン、年ごとの風、文章語・気象学), σιρόκο(シロッコ、サハラからの熱風、イタリア語経由), λίβας(南風、リバス、リビア由来)。エーゲ海の夏の代名詞ともいえる風で、ギリシャ詩・観光・海洋文化の象徴的存在。
ギリシャ語:νότιος
読み方:ノティオス・ノーティオス
ラテン文字:notios
古代ギリシャ語の νότιος(南の、湿った)に由来。名詞 νότος(南、南風)に形容詞語尾 -ιος が付いた派生形。南風が湿った空気を運ぶことから、古代には「湿った」の意味も担ったが、現代ギリシャ語では方角の「南の」で使う。
類義語に μεσημβρινός。μεσημβρία(正午)からの派生で、北半球では正午に太陽が南に来るところから「正午の」が「南の」へと意味が広がった。天文・地理では μεσημβρινός κύκλος(子午線)のような用法もある。
天文の合成語に Νότιος Σταυρός(Σταυρός του Νότου とも、みなみじゅうじ座), Νότιο Σέλας(南極光), Νότιος Δεσμός της Σελήνης(月の軌道の降交点、ドラゴンテイル)。
文語では νότιος が男性名詞としても使われ、南風の意。日常は νοτιάς、地中海の航海語では όστρια。中性複数形 νότια は副詞「南へ」や名詞「南部」にも使う。対義語は βόρειος(北の)。
ギリシャ語:νότος
読み方:ノトス・ノートス
ラテン文字:notos
古代ギリシャ語の νότος(南, 南風)を継承。古代ギリシャ語より前の語源は定かでない。先頭を大文字にした Νότος は古代神話で擬人化された南風の神の名でもある。
同じ νότος の語族に νότιος(南の, 南からの), νοτιάς(南風), νοτιάδα(南風の雨), 合成語 νοτιοανατολικός(南東の), νοτιοδυτικός(南西の), νοτιοευρωπαϊκός(南欧の)。νότιος の中性複数形 νότια は副詞で「南へ, 南に」, 方向ラベルで「南方向」を指す。
対義語は βορράς(北)。南風の名としては νοτιάς が一般的で, 地中海・航海語寄りに όστρια もある。
ギリシャ語:βορράς
読み方:ヴォラス・ヴォラース
ラテン文字:vorras
古代ギリシャ語の βορρᾶς(北風、北)に由来。北風の神 Βορέας(ボレアス)のアッティカ方言形で、神名そのものが方角と風の名も兼ねた。
派生の形容詞に βόρειος(北の)、北風に限って使う異形に βοριάς、その指小語に βοριαδάκι(心地よい北風、そよ風)。対義語は νότος(南)。地中海・航海の文脈で使う北風名にイタリア語 tramontana「山の向こう」からの τραμουντάνα、夏のエーゲ海で吹く北寄りの季節風に μελτέμι(メルテミ)。
英語 boreal(北の、北方の)、boreal forest(北方林、タイガ)、Aurora Borealis(オーロラ、直訳「北の夜明け」)はラテン語 borealis を経て βορρᾶς・Βορέας と同じ語源につながる。