ギリシャ語:πετριχώρ
読み方:ペトゥリホル・ペトゥリホール
ラテン文字:petrichor
英語 petrichor からの借用。1964年にオーストラリアの科学者ベアとトーマスが古代ギリシャ語の πέτρα(石)と ἰχώρ(神々の体液)を合わせて名づけた語で、ギリシャ語には再借用として入った。
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ギリシャ語:πετριχώρ
読み方:ペトゥリホル・ペトゥリホール
ラテン文字:petrichor
英語 petrichor からの借用。1964年にオーストラリアの科学者ベアとトーマスが古代ギリシャ語の πέτρα(石)と ἰχώρ(神々の体液)を合わせて名づけた語で、ギリシャ語には再借用として入った。
ギリシャ語:νέφος
読み方:ネフォス・ネーフォス
ラテン文字:nefos
古代ギリシャ語の νέφος(雲、雲の群れ)を継承。「雲、霧」を表す印欧祖語の語根から続き、同じ語根からラテン語 nebula(霧)、英語 nebula(星雲)、ドイツ語 Nebel(霧)などの仲間がある。派生に νέφωση(曇ること、医学では混濁)、同族の νεφέλη(雲、詩や文章で使う形)から νεφελώδης(雲の多い、比喩で漠然とした)と νεφέλωμα(星雲)が続く。日常の「雲」は σύννεφο と言い、νέφος は気象や天文、物理の文脈のほか、大気汚染・スモッグを指すのに使うことが多い。アテネのスモッグを指す νέφος της Αθήνας は20世紀後半から定着した用法で、英語 cloud(of smoke/pollution)の用法をなぞったもの。
ギリシャ語:νεροποντή
読み方:ネロポディ・ネロポディー・ネロポンディ・ネロポンディー
ラテン文字:neroponti
νερό(水)と -ποντή からできた合成語で、-ποντή は ποντίζω(水に沈める、水没させる)からの逆形成。ποντίζω はさらに古代ギリシャ語の πόντος(海、深い水)に動詞化の -ίζω がついてできた語で、「水浸しにする、叩きつけるような水」のイメージがもとになっている。元の πόντος は「道、通り道」を表す印欧祖語の語根にさかのぼり、同じ語根からラテン語 pons(橋)と、その派生の英語 pontoon(浮橋)が生まれた。激しく落ちてくる雨という意味はここから来る。雨一般は βροχή、風まじりの雨は ανεμόβροχο と言う。
ギリシャ語:κυκλώνας
読み方:キクロナス・キクローナス
ラテン文字:kyklonas
英語 cyclone から入った語。cyclone は19世紀半ばに気象学者ヘンリー・ピディントンが古代ギリシャ語の κυκλῶν(回転する)をもとに作った語。ギリシャ語から英語を経て再びギリシャ語に戻ってきた語にあたる。もとは κύκλος(円、車輪)。関連語に気象分野の τυφώνας(台風)。
ギリシャ語:σίφουνας
読み方:シフナス・シーフナス
ラテン文字:sifounas
古代ギリシャ語の σίφων(管、くだ、水を吸い上げる器具)を継承。対格 τὸν σίφωνα から主格が作り直されたうえ、[f] と [n] の影響で [o] が [u] に移って今の形になった。英語 siphon も同じ語源。近い語に ανεμοστρόβιλος(つむじ風、竜巻)。
ギリシャ語:μπουνάτσα
読み方:ブナツァ・ブナーツァ
ラテン文字:bounatsa
中世ギリシャ語の μπο(υ)νάτσα を継承。もとは北イタリアの海洋都市ヴェネツィアで話されたヴェネツィア語 bonazza(海の凪)からの借用で、ラテン語の bonus(よい)をもとにした「よい天気」の意。
類義語に νηνεμία(無風、凪)。νηνεμία は風がないこと全般、μπουνάτσα はとくに海の穏やかさを言う。反対は φουρτούνα(時化)、θαλασσοταραχή(海のしけ)。
ギリシャ語:νηνεμία
読み方:ニネミア・ニネミーア
ラテン文字:ninemia
古代ギリシャ語の νηνεμία(無風、凪)に由来。否定の接頭辞 νη-(〜がない)と άνεμος(風)に名詞化の -ία がついてできた形で、字義は「風がないこと」。νη- は ἀ-/ἀν- と並ぶ古い否定辞で、英語の un-, in- にあたる。άνεμος は「息をする」を表す印欧祖語の語根にさかのぼり、同じ語根からラテン語 animus(心、精神), anima(息、魂)、英語 animate(生き生きとさせる)、animal(動物)が生まれた。関連語に νήνεμος(無風の、静かな)という形容詞がある。海の静けさでは μπουνάτσα(凪)や γαλήνη(静けさ、平穏)が近く、νηνεμία はまず風がない状態そのものを指し、海だけでなく空気が動かない静かな状態にも使う。
ギリシャ語:ομίχλη
読み方:オミフリ・オミーフリ
ラテン文字:omichli
古代ギリシャ語 ὀμίχλη(霧、もや)を継承。
雲や霧を表す印欧祖語の語根にさかのぼる古い語で、サンスクリット megha(雲)、古スラヴ語 mьgla(霧)も同じ語根の系列に連なる。視界や頭の中のぼやけを言う比喩的な用法も古くから自然に見られた。
派生語に ομιχλώδης(霧の多い、ぼんやりした)、ομιχλομέτρης(視程計)などがある。
ギリシャ語:καταιγίδα
読み方:カテイダ・カテイーダ・カテギダ・カテギーダ
ラテン文字:kataigida
古代ギリシャ語 καταιγίς(嵐)に由来。κατά(下へ, 激しく)と αἰγίς(ゼウスの山羊皮の盾, アイギス)の合成で, 神話でゼウスがアイギスを振ると嵐が起こるとされたことによる。古代 -ίς が現代ギリシャ語で -ίδα に変わった形で受け継がれた。英語 aegis(庇護, 後ろ盾)は同じ αἰγίς にさかのぼる。
派生に καταιγιστικός(激しい, 嵐のような), καταιγισμός(激しい嵐, 集中砲火), καταιγιδοφόρος(嵐をもたらす)。合成語に ηλιοκαταιγίδα(太陽嵐), ιδεοκαταιγίδα(ブレインストーミング), χιονοκαταιγίδα(吹雪), φοροκαταιγίδα(増税の嵐)。
ギリシャ語:υγρασία
読み方:イグラシア・イグラシーア
ラテン文字:ygrasia
古代ギリシャ語の ὑγρασία(湿り気)に由来。形容詞 ὑγρός(湿った、液状の → υγρός)に抽象名詞を作る -ασία を付けた形。
同じ語根の語に υγραίνω(湿らせる)、υγροποίηση(液化)、υγροσκοπικός(吸湿性の)。対義語は ξηρασία(乾燥)。
英語 hygrometer(湿度計)、hygroscopic(吸湿性の)、hygrograph(湿度記録計)は古代ギリシャ語 ὑγρός をもとにした学術造語で、同じ語源につながる。
ギリシャ語:σύννεφο
読み方:シネフォ・シーネフォ
ラテン文字:sinefo
σύννεφο(雲)は、中世ギリシャ語の σύννεφο(雲)に由来し、そのもとにはヘレニズム期の形容詞 σύννεφος(曇った、雲に覆われた)がある。もともとは空が曇っている状態を言う形が、中性形で名詞化して「雲」そのものを表すようになった。
ουρανός(空)が雲の浮かぶ場所全体を指すのに対して、σύννεφο はそこに現れる雲そのものを言う。καπνός(煙)や σκόνη(ほこり、粉)は、空中に広がる様子から σύννεφο と比喩的に重なりやすい。
指小語の συννεφάκι(小さな雲)は、かわいらしい小さな雲を言う形で、子ども向けの言い方や情景描写で出やすい。派生語には συννεφόκαμα(蒸し暑い曇天)がある。
主な意味は「雲」。そこから、煙やほこりや虫の群れのように雲状に広がるもの、不安や災いの影のような暗い気配にも広がる。
ギリシャ語:κεραυνός
読み方:ケラヴノス・ケラヴノース
ラテン文字:keravnos
ギリシャ語:αστραπή
読み方:アストゥラピ・アストゥラピー
ラテン文字:astrapi
ギリシャ語:ξηρός
読み方:クシロス・クシロース
ラテン文字:xiros
古代ギリシャ語の ξηρός(乾いた)に由来。中世以降の音変化を経た ξερός が一般の形として使われ、ξηρός は古い綴りのまま並んで残った。辛口ワインの ξηρός οίνος、ドライアイスの ξηρός πάγος、乾電池の ξηρό στοιχείο など現代ギリシャ語の定型表現の多くは、フランス語 sec / sèche の対応形に倣って加わった。
派生語に ξηρασία(乾燥、干ばつ)、ξηραίνω(乾燥させる)、ξηρότητα(乾燥度)。合成語に ξηροθερμικός(高温乾燥の)、ξηρόμυαλος(ドライな頭脳の、理屈っぽい)。対義語は υγρός(湿った、液体の)。
英語 xerophyte(乾生植物)、xerostomia(口腔乾燥症)、xerography(乾式電子写真、複写機 Xerox の由来)は古代ギリシャ語 ξηρός をもとにした学術造語で、同じ語源につながる。
ギリシャ語:υγρός
読み方:イグロス・イグロース
ラテン文字:ygros
印欧祖語で「濡れる」を表す語根の子孫で, 物質が液体であることや物が濡れていることを言う古代ギリシャ語の形容詞 ὑγρός(液体の, 湿った)を継承。文法用語の υγρά σύμφωνα(液音)はフランス語 liquide からの意味借用で, ヘレニズム期の ὑγρά στοιχεῖα(液体の文字群)の言い方を受けつつ, 近代の文法概念として整えられた。ふつうは λ(ラムダ)と ρ(ロー)を指す。
同じ ὑγρός から派生した語に動詞 υγραίνω(湿らせる), 名詞 ύγρανση(湿らせること, 加湿), 形容詞 υγραντικός(保湿の), 名詞 υγρασία(湿気, 湿度), υγρότητα(湿り気, 液状性)。合成語では υγραέριο(液化ガス), υγρόφιλος(親水性の), υγροποίηση(液化), υγρομετρία(湿度測定), υγρογράφος(湿度記録計)が並ぶ。
「水」そのものを言うには νερό(水)か ύδωρ(水)を使い, 中性形の υγρό は水に限らず液体全般を指す。英語 hygrometer(湿度計), hygroscopic(吸湿性の), hygrograph(湿度記録計)は ὑγρός から経由した語族。ラテン語 ūmor(湿り気), ūmidus(湿った), 英語 humid(湿った), humidity(湿度)も同じ印欧語根の子孫とされる。
ギリシャ語:καύσωνας
読み方:カフソナス・カーフソナス
ラテン文字:kafsonas
文語由来の語で、ヘレニズム期ギリシャ語の καύσων(焼けつく暑さ、猛暑)にさかのぼる。そこから対格形 καύσωνα(猛暑を)を経て、現代ギリシャ語の καύσωνας になった。
同じ猛暑でも、γαϊδουροκαλόκαιρο(猛暑、小春日和) は口語的で、「しつこく居座る暑さ」や秋の小春日和まで含むことがある。これに対して καύσωνας は、気象条件としての猛暑や熱波を指す語として使いやすい。
主な意味は、異常に高い気温が続く気象条件としての「猛暑、熱波」。天気予報、報道、注意喚起などで、危険な暑さの到来やその被害、対策を述べるときによく使う。
ギリシャ語:ανοιχτός
読み方:アニフトス・アニフトース
ラテン文字:anoichtos
ヘレニズム期の古代ギリシャ語 ἀνοικτός(開けられる、開くことができる)に由来する。中世ギリシャ語では子音連続 kt が xt に変化した民衆形から ανοιχτός(一般的な綴り)が定着し、いっぽうで文語的な借り直しとして ανοικτός(文語的な綴り)も残った。現代では ανοιχτός がより一般的で、対義語には κλειστός(閉じた)が立つ。
意味の核は「閉じていない」「閉ざされていない」。πέλαγος(外洋、海、沖合)のように広く開けた場所、μυαλό(脳、知性、正気)の柔軟さ、ουρανός(空、天)の晴れ具合、営業中の店、まだ決着していない問題など、物理的な開き方から比喩的な広がりまでを広く表す。
副詞 ανοιχτά(開けたままに、率直に) / ανοικτά(同じ意味の別綴り)では、「開けたまま」「沖で」「営業している」のほか、「率直に」「気前よく」の意味でも使う。成句では、手の内を隠さずに進める言い方や、温かく迎える言い方にもよく現れる。
ギリシャ語:χιόνι
読み方:ヒョニ・ヒョーニ
ラテン文字:chioni
古代ギリシャ語の女性名詞 χιών(雪)に由来する。そこからヘレニズム期の指小形 χιόνιον(小さな雪、小さな雪片)が生まれ、中世ギリシャ語の χιόνι(雪)を経て、現代ギリシャ語の χιόνι(雪)に至った。今の形は、古い「雪」の語が指小形を経て日常語として定着したものにあたる。
χειμώνας(冬)が季節としての「冬」を指すのに対し、χιόνι はその時期に降る雪や積もった雪そのものを指す。βροχή(雨)が液体の雨なのに対して、χιόνι は大気中の凍った水分が結晶になって地上に降るものを言う。
指小語 χιονάκι(小雪、小さな雪片)は小雪や小さな雪片をやわらかく言う形。関連語 χιονιά(雪玉)もある。
基本の意味は「雪」。そこから、雪のような白さ、氷のような冷たさ、テレビ画面に出る白い砂嵐にも意味が広がる。
ギリシャ語:βροχή
読み方:ヴロヒ・ヴロヒー
ラテン文字:vrochi
動詞 βρέχω(濡らす, 雨が降る)から派生した古代ギリシャ語の女性名詞 βροχή(濡れ, 降り注ぐこと)を継承。古代では「雨」を言う中心語は ὑετός や ὄμβρος で, βροχή は副次的な語だったが, ヘレニズム期以降はこの βροχή が「雨」そのものを指す語として主流になった。非人称の βρέχει(雨が降っている)は今もよく使う言い方。
同じ βρέχω の語族に指小形 βροχούλα(小雨), 増大形 βροχάρα(大雨), 形容詞 βροχερός(雨の多い), βρόχινος(雨の), 名詞 βροχόπτωση(降水量), 合成語 ανεμοβρόχι(風雨), χιονόβροχο(みぞれ), ψιλόβροχο(霧雨), βροχόμετρο(雨量計), αδιάβροχο(レインコート, 防水の)。νερό(水)と組み合わせた νεροποντή(豪雨)も同じ圏にある。
δάσος βροχής(熱帯雨林)は英語 rain forest からの翻訳借用, τεχνητή βροχή(人工降雨)も英語 artificial rain と対応する形で取り入れられた。現代の気象用語は仏英からの訳語経路で整ったものが多い。
ギリシャ語:μετέωρο
読み方:メテオロ・メテーオロ
ラテン文字:meteoro
古代ギリシャ語の形容詞 μετέωρος(空中に吊るされた、高い所にある)の中性形複数 τά μετέωρα(天体現象)から。これが中世ラテン語 meteora を経てフランス語 météore となり、そこから現代ギリシャ語に逆輸入された。英語の meteor(流星)や meteorology(気象学)も同じ起源から生まれた。
派生語には気象学を意味する μετεωρολογία や気象予報士の μετεωρολόγος がある。
宇宙から飛来した小さな岩体は、大気圏に入る前の段階では μετεωροειδές(流星体)と呼ばれる。それが大気圏に突入して光を放つ現象が μετέωρο であり、燃え尽きずに地表に到達した物質は μετεωρίτης(隕石)にあたる。
日常会話で「流れ星」と言うときは、πέφτω(落ちる)と αστέρι(星)の合成語である πεφταστέρι が最もよく使われる。μετέωρο はやや学術的な響きがあり、文語では διάττων αστήρ(流れ星)とも言う。
広義には大気中の現象全般を指すが、現代の日常会話では主に流星や流れ星を指す。
ギリシャ語:ουρανός
読み方:ウラノス・ウラノース
ラテン文字:ouranos
古代ギリシャ語の οὐρανός(空, 天)を継承。神話では「空」を擬人化したティタン神 Οὐρανός が同名で, クロノスの父にあたる。現代の「ベッドや乗り物の天蓋」の用法はフランス語 ciel de lit(ベッドの空)からの翻訳借用。惑星名 Ουρανός は神名 Οὐρανός から新ラテン語 Uranus を経て入った。
同じ οὐρανός の語族に ουράνιος(空の, 天の), ουρανίσκος(口蓋, 天蓋), επουράνιος(天上の), 合成語 ουρανοξύστης(摩天楼), ουράνιο τόξο(虹, もとは「天の弓」)。宗教文脈では複数形 ουρανοί が「天, 天国」の意味でよく出てくる。
英語 uranium(ウラン)は天王星 Uranus にちなむ元素名で, 神名 Οὐρανός に連なる。「天国」では παράδεισος(楽園, パラダイス, ペルシア語起源)も近く, ουρανοί が神の住まう天を広く指すのに対し, παράδεισος は祝福された者が至る楽園を指す。
ギリシャ語:αγέρας
読み方:アイェラス・アイェーラス・アゲラス・アゲーラス
ラテン文字:ageras
古代ギリシャ語の ἀήρ(空気、霧、もや。属格 ἀέρος)を継承する αέρας と並んで、中世ギリシャ語以降に母音連続 [a-e] を埋める半母音 [j] が挿入された別形 αγέρας が口語と詩歌の中で生まれた。αέρας と αγέρας は語源を共有する別形の対をなし、αγέρας のほうが肌に感じる風や民謡・詩歌の文脈で好まれる響きを持つ。古代の ἀήρ は「夜明け、東」を表す印欧祖語の語根にさかのぼり、もとは「朝もや、薄霧」を指す語で、古代ギリシャ語 αὔρα(そよ風), ラテン語 aurōra(夜明け、暁の女神)と同根。英語の接頭辞 aero-(航空・空気の)や air(空気、仏 air 経由)も同じ ἀήρ に由来する学術借用。
類義語に αέρας(空気、風。同じ ἀήρ から母音連続をそのまま保った形で、空気そのものや風を指す日常の形として広く使う), άνεμος(風。古代ギリシャ語由来で、気象学・詩歌の硬い形), αύρα(そよ風、空気の流れ。古代 αὔρα 由来), μπάτης(凪の風、海風・陸風)。αγέρας は口語的・文学的な響きで風や肌に感じる空気の動きを指す形として、民謡・詩・地方の話し言葉でよく使う。派生に αγεράκι(そよ風、心地よい風。指小形)。関連語に αήρ(空気。古代 ἀήρ の素形を保った形で硬い文脈に残る)。
ギリシャ語:άνεμος
読み方:アネモス・アーネモス
ラテン文字:anemos
古代ギリシャ語の ἄνεμος(風)を継承。印欧祖語で「息をする、吹く」を意味する語根に起源を持ち、同じ語根からはラテン語 animus(心、精神)、anima(息、魂)が生まれ、英語 animate(生気を与える)、animal(動物)の語源にもなった。
関連語に αέρας(空気、風)、その口語・文学形 αγέρας。派生語に ανεμώνη(アネモネ)、ανεμόμυλος(風車)、ανεμοζάλη(暴風)など。
英語 anemometer(風速計)は ἄνεμος と μέτρον(測ること)をもとにした語。「変化の風」のような比喩用法は、フランス語 vent や英語 wind の比喩からの意味借用。
ギリシャ語:αέρας
読み方:アエラス・アエーラス
ラテン文字:aeras
印欧祖語で「夜明け, 東」を表す語根にさかのぼり, もとは「朝もや」を指した古代ギリシャ語の ἀήρ(下層の空気, 霧)を継承。やがて空気一般を指すようになり, 対格形 ἀέρα から主格が再形成され, 中世ギリシャ語を経て今の形に落ち着いた。ラテン語 aurōra(夜明け)は同じ語根から出た同源の語。英語の接頭辞 aero-(aeroplane「飛行機」)や名詞 air(空気)はこの ἀήρ を借用要素として受け継いでいる。雰囲気・堂々とした態度の意味は, フランス語 air からの意味借用(σημασιολογικό δάνειο)。
類義語に αγέρας(風。詩歌や民謡の中で使う古風な形), άνεμος(風。気象や文芸の文脈で使う硬い形), ατμόσφαιρα(大気、空気感)。αέρας は空気・風を指すふつうの形として広く使う。派生に αεράκι(そよ風。指小形), αέριος(気体の), αέρινος(空気のように軽い), αερίζω(風を通す、換気する), αερικό(風の精、妖精), αεράτος(風通しのよい、のびやか), ανάερος(空中の)。合成語に αεροπλάνο(飛行機), αεραντλία(空気ポンプ), αερολιμένας(空港), αεροδρόμιο(飛行場), αεροπόρος(飛行士), αερόσακος(エアバッグ)。
ギリシャ語:γαϊδουροκαλόκαιρο
読み方:ガイドゥロカロケロ・ガーイドゥロカロケロ
ラテン文字:gaidourokalokero
γάιδαρος(ロバ)と καλοκαίρι(夏) の合成語。構成要素の γάιδαρος は、古代ギリシャ語の κάνθων(荷役獣)が中世ギリシャ語で γαϊδάριον となり、現在の形に至った語。
接頭辞的に使われる γαϊδουρο- は「ロバのような」から転じて「しつこい、過度な」という意味を付加する。直訳すると「ロバの夏」。
猛暑の意味では、より気象用語に近い καύσωνας(熱波)がある。小春日和の意味では、μικρό καλοκαιράκι(小さな夏)という言い方もある。
主な意味は耐え難いほどの猛暑。また、秋に訪れる小春日和も指す。真夏ならしつこく居座る暑さ、秋なら去り際に戻ってくる夏の暑さで、どちらもロバの頑固さになぞらえた表現。
ギリシャ語:ήλιος
読み方:イリョ・イーリョ
ラテン文字:ilios
印欧祖語で「太陽」を表す語根に起源を持ち、古代ギリシャ語の ἥλιος(太陽)を継承。ラテン語 sol、英語 sun、ドイツ語 Sonne は同じ語根の別系統。
派生語に ηλιακός(太陽の), ηλιοθεραπεία(日光浴), ηλιοστάσιο(至点), λιάζομαι(日なたぼっこをする)など。関連語に ηλίανθος(ヒマワリ、ήλιος + άνθος「花」の合成語で、口語では ήλιος だけでも呼ぶ), φως(光)。英語 helium は太陽のスペクトルで発見された元素で、ラテン語経由で ἥλιος をもとにした語。heliocentric(太陽中心の), heliosphere(太陽圏)なども同じ語源。
ギリシャ語:καιρός
読み方:ケロス・ケロース
ラテン文字:keros