#季節
該当語 22 件。単語の詳細は各ページで確認できます。
ギリシャ語:Πάσχα
読み方:パスハ・パースハ
ラテン文字:pascha
ヘレニズム期ギリシャ語 Πάσχα(過越祭、← ヘブライ語 פֶּסַח pesah「過越、過越祭」, アラム語 פִּסְחָא pisḥā)からギリシャ語に入った外来借用(δάνειο)。紀元前 3 世紀の七十人訳聖書(Septuagint)でユダヤ教の過越祭の名前として翻訳・取り入れられて以来、ギリシャ語のキリスト教文化の中核を成す宗教用語として現代まで継承されている。
源にあるヘブライ語 pesah は、動詞 פָּסַח pasaḥ(過ぎ越す、跳び越える)の派生で、出エジプト記 12 章のエジプトの初子皆殺しの夜に、ユダヤ人の家を「過ぎ越した」(pasaḥ)出来事に由来する祭の名。ユダヤ教の最重要祭の一つで、エジプトからの解放と神との契約を記念する春の祭りとして、現在もユダヤ教徒によって祝われている。
新約聖書のギリシャ語では Πάσχα が、最初はユダヤ教の過越祭を指していたが、キリスト教の発展とともに「キリストの受難と復活」と過越祭の象徴的な結びつきが強調され、4 世紀のニカイア公会議(325 年)でキリスト教の復活祭の名前として正式に採用された。「キリストは我らの過越」(Παντὶ καιρῷ καὶ πάσῃ ὥρᾳ Πάσχα Χριστὸς ἡμῶν, パウロ、コリント前書 5:7)の神学的解釈が、この語の意味の中心移動の根拠となった。
ヨーロッパ各語の「復活祭」語彙では、ラテン語 Pascha(イースター)が、フランス語 Pâques, スペイン語 Pascua, イタリア語 Pasqua, ポルトガル語 Páscoa, ドイツ語 Ostern(別系統、ゲルマンの春の女神 Ēostre 由来), 英語 Easter(同じくゲルマン語起源)として広まり、ロマンス諸語と東方教会・正教会では Pascha 系、ゲルマン諸語では Ostern / Easter 系という二つの系譜が並走する。
派生・関連語族として πασχάζω(過越祭・復活祭を祝う、書きことば), πασχαλιά(復活祭、口語、← μσν. πασχαλία), πασχαλινός(復活祭の、形容詞), πασχαλιάτικος(復活祭向きの、復活祭の時期の、口語), πασχάλιος(復活祭の、書きことば), πασχαλίτσα(てんとう虫、口語、← パスハに飛ぶ虫の意), Λαμπρή(復活祭の口語形、← λαμπρός「輝かしい」、復活祭の祝いの「輝き」を強調)。
ギリシャの東方正教会では、復活祭は最大の宗教行事で、独特の慣習と祝祭文化を持つ:聖週間(Μεγάλη Εβδομάδα), 聖金曜日(Μεγάλη Παρασκευή)の Επιτάφιος 行列, 復活の夜(土曜深夜から日曜未明)の Ανάσταση 礼拝、復活の蝋燭(λαμπάδα), 赤い卵(κόκκινα αβγά), 子羊の丸焼き(αρνί στη σούβλα), 復活祭のパン(τσουρέκι)など、宗教・食・家族・地域共同体が一体となった祭典として祝われる。
挨拶では、復活祭前後に Καλό Πάσχα(よい復活祭を), Χριστός Ανέστη!(キリストは復活された!), Αληθώς ανέστη!(まことに復活された!)が交わされ、宗教文化と日常生活が密接に結びついた語として機能する。
ギリシャ語:πρασινάδα
読み方:プラシナダ・プラシナーダ
ラテン文字:prasinada
形容詞 πράσινος(緑の)の語幹に、抽象名詞・物質名詞をつくる接尾辞 -άδα(〜であること、〜の塊・量)を付けたギリシャ語内部の派生(εσωτερικός σχηματισμός)で、中世ギリシャ語期に形成されて現代まで使われる継承語(κληρονομιά)。「緑であること」「緑の広がり」を物量的に捉える名詞化の典型例。
源にある πράσινος(緑の)は、古代ギリシャ語 πράσινος(ニラ色の、緑色の)の継承形で、語源は名詞 πράσον(ニラ、ポロネギ)に -ινος 形容詞接尾辞を付けた形。古代ギリシャ語のニラの色彩が「緑」の典型として捉えられ、色名として確立されたという経緯を持つ。同じ語族からは πράσο(ポロネギ、← 古代 πράσον), πράσινο(緑色、中性形が名詞化), πρασινίζω(緑色になる、動詞), πρασινωπός(緑がかった、形容詞)が並ぶ。
接尾辞 -άδα は、形容詞・名詞の語幹に付いて「〜であること、〜の量・塊・性質」を表す抽象・物質名詞をつくる現代ギリシャ語の生産的な造語要素。同じパターンで作られた語族には、ασπράδα(白さ、← άσπρος「白い」), μαυρίλα / μαυράδα(黒さ、← μαύρος「黒い」), κιτρινάδα(黄色っぽさ、← κίτρινος「黄色い」), μπλάδα(青さ、← μπλε「青い」、口語), γλυκάδα(甘さ、← γλυκός「甘い」), κρυάδα(冷たさ), ζεστάδα(暖かさ), ξεραΐδα(乾燥), μαλακάδα(柔らかさ)が並ぶ、口語の感覚・性質名詞の中核を成す。
派生・関連語族として πρασινίλα(緑色の輝き、緑色の汚れ、口語), πρασινάκι(淡い緑、口語の指小形), πρασινωπός(緑がかった), πρασινάδα τοπίου(風景の緑、書きことば寄り), πράσινη πρασινάδα(鮮やかな緑、強調表現), πρασινίζω(緑色になる), ξεπρασίνισμα(緑が抜けること)。
意味の領域は、植物の緑(草・葉・木の緑)から、葉物野菜・青菜(食卓の青物), 物体に帯びた緑色の感じ(金属の緑青、写真の緑がかり)まで連続的に展開する。最も活発な使い方は風景・自然描写の文脈で、ανοιξιάτικη πρασινάδα(春の緑), η πρασινάδα του κήπου(庭の緑), ξάπλωσα στην πρασινάδα(草の上に寝転んだ)のように、春・初夏の景色や、休息・癒しのイメージとともに使われる。
同じ「緑・植物」の領域には、色そのものの πράσινο(緑色、中性形), 形容詞の πράσινος(緑の), 抽象的な πρασινίλα(緑の汚れ、緑のしたたり), 学術的な χλωροφύλλη(葉緑素、← χλωρός「緑、新鮮」+ φύλλον「葉」), 自然全般の χλωρίδα(植物相、フローラ), 葉物野菜の χόρτα(青菜類、口語)が並び、自然・食材・色彩の語彙体系の中で位置づけられる。
慣用表現としては、η πρασινάδα του χωραφιού(畑の青さ、← 春に芽吹いた緑の畑), βγάζω πρασινάδες(青菜を収穫する、口語), χάρηκα την πρασινάδα(緑を満喫した、心和ませた)が頻出する、自然と心の状態を結ぶ慣用句の語彙。
ギリシャ語:φθινοπωρινός
読み方:フシノポリノス・フシノポリノース・フティノポリノス・フティノポリノース
ラテン文字:fthinoporinos
古代ギリシャ語 φθινοπωρινός(秋の、秋に属する、← φθινόπωρον「秋」+ -ινός 形容詞接尾辞)を、近代以降に書きことばから再導入した学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。古典形がそのまま現代に取り入れられた、典型的な学術借用の形容詞。
源にある古代の φθινόπωρον(秋)は、動詞 φθίνω(衰える、減る、すり減る)と ὀπώρα(夏の終わり、果実の実る時期、晩夏)の合成で、文字どおり「衰え行く晩夏」「実りが衰える時期」を意味した。古代ギリシャ人にとっての秋は、夏の豊穣な実りが終わり、しだいに自然が衰えていく時期として認識されていた、季節感の表現が直接的に語形に反映された語。
源にある古代の φθίνω(衰える、減少する、消えていく)は、印欧祖語の「衰える、滅びる」を表す語根に由来し、サンスクリット kṣiṇāti(破壊する), ヒッタイト語 ḫazta-(弱る)と関連する古層語。同じ語根からは、φθίσις(衰え、結核、← 英 phthisis「肺結核」), φθορά(破壊、損耗), αφθαρσία(不滅、不朽、書きことば), ανθεκτικός(耐久性のある)が並び、「衰え・損耗・破壊」の概念領域の中核を成す。
源にある古代の ὀπώρα(晩夏、秋、果実の実る時期)は、ホメロス以来「夏の終わりから秋にかけての果樹の実る季節」を指す古い季節語で、現代ギリシャ語の οπωρικά(果物類、果樹園の実、書きことば), οπωροφόρος(果樹の、果実をつける), οπωροπωλείο(果物店)として継承されている。
派生・関連語族として φθινόπωρο(秋、季節名), φθινοπωρινά(秋に、副詞), φθινοπωριάτικος(秋らしい、形容詞、口語の異形), φθινοπωριάζω(秋になる、動詞)。
季節の語族では、四季の体系が、άνοιξη(春)/ ανοιξιάτικος(春の), καλοκαίρι(夏)/ καλοκαιρινός(夏の), φθινόπωρο(秋)/ φθινοπωρινός(秋の), χειμώνας(冬)/ χειμερινός(冬の)と整然と並び、形容詞は接尾辞 -ινός / -ιάτικος の二系統で派生する。φθινοπωρινός は書きことば寄り、φθινοπωριάτικος は口語寄り、と棲み分けがあり、現代では φθινοπωρινός が標準形として広く使われる。
意味の領域は、季節そのものに属する(秋の天気、秋の月、秋分), 雰囲気・色合いが秋らしい(秋の色、秋の悲しみ、秋の空気), 季節に向いた服装・品物(秋物のコート、秋向きの服)の三層に展開し、自然描写から比喩・実用まで広く使える形容詞として機能する。
ギリシャ語:καλοκαιρινός
読み方:カロケリノス・カロケリノース
ラテン文字:kalokerinos
中世ギリシャ語 καλοκαιρινός(夏の、← καλοκαίρι「夏」+ -ινός 形容詞接尾辞)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。語幹は名詞 καλοκαίρι(夏、← καλός「良い」+ καιρός「時、天気」、文字どおり「良い時」)に、季節・場所・素材を表す接尾辞 -ινός を付けた、ギリシャ語内部の派生(εσωτερικός σχηματισμός)。
源にある καλοκαίρι は、中世ギリシャ語の合成造語で、古代の καλὸς καιρός(良い時、好天)が一語化したもの。古代ギリシャ語の伝統的な「夏」語彙は θέρος(夏、刈り入れ時、← θέρω「熱する」)で、現代ギリシャ語にも書きことばの θέρος, 形容詞 θερινός(夏の、夏季の、書きことば)として並走する。古代の θέρος が「刈り入れ・暑さ」の側面に焦点を当てた語だったのに対し、中世以降の καλοκαίρι は「好ましい時」「快適な季節」のポジティブな評価を含む新しい命名で、地中海の季節感の変化を反映する語形成。
接尾辞 -ινός は古代ギリシャ語以来の生産的な形容詞接尾辞で、季節・場所・素材を表す形容詞をつくる中心的な造語要素。同じパターンで作られた季節形容詞には、ανοιξιάτικος(春の), ανοιξινός(春の、書きことば), φθινοπωρινός(秋の), χειμερινός / χειμωνιάτικος(冬の)が並び、四季の形容詞体系の中で καλοκαιρινός は標準的な「夏の」を担う。
派生・関連語族として καλοκαιρίνια(複数中性の名詞用法、夏物の服), τα καλοκαιρινά(夏物、夏服、複数形), καλοκαιριάτικος(夏の、夏向きの、口語の異形), καλοκαιριάζω(夏になる、暑くなる、動詞), καλοκαιριά(うららかな夏の天気、口語), μεσοκαλόκαιρο(真夏、← μέσο「真ん中」+ καλοκαίρι)。
書きことばの θερινός(夏の、夏季の、← 古代 θερινός)は、現代ギリシャ語の正式・科学的文脈で並走しており、θερινό ωράριο(夏時間、サマータイム), θερινές διακοπές(夏休暇、書きことば), θερινός ολυμπιακός αγώνας(夏季オリンピック)のような、行政・科学・公式表現で使われる。日常会話の καλοκαιρινός と書きことばの θερινός の二形が分担する。
意味の領域は、季節そのもの(καλοκαιρινός καιρός「夏の天気」, καλοκαιρινοί μήνες「夏の月」)から、夏に行われる活動(καλοκαιρινές διακοπές「夏休み」, καλοκαιρινό μπάνιο「夏の海水浴」), 夏の食材(καλοκαιρινά φρούτα「夏の果物」、καρπούζι/πεπόνι/βερίκοκο 等), 夏物の衣類・道具(καλοκαιρινά παπούτσια「夏向きの靴」, τα καλοκαιρινά「夏服一式」)まで幅広く展開する。
慣用句では το κάνω καλοκαιρινό(場所をめちゃくちゃにする、ひどく荒らす、文字どおり「夏物にする」)が、夏物の衣類が冬には不要になることから「役に立たないもの・乱雑な状態」の比喩として定着した、季節衣料を介した独特の口語表現。
ギリシャ語:εποχή
読み方:エポヒ・エポヒー
ラテン文字:epochi
古代ギリシャ語の ἐποχή(天体が止まって見える点、一定の時期)に由来。動詞 ἐπέχω(〜の上で止まる、保持する)から作られた語で、古代天文学で星が運行の頂点で止まって見える点を指したのが起点。そこから「時間の区切り」を表すようになり、近代に「季節」「歴史上の時代」の意味はフランス語 époque、période からの意味借用で加わった。英語 epoch も同じギリシャ語から。
派生語に εποχικός(季節の、時代の)。類義語の καιρός(天気、時、好機)が状況やタイミングを言うのに対し、εποχή はまとまった期間としての区切りを表す。μέρα(日)よりは長く、χειμώνας(冬)のような一つの季節は εποχή の下位区分にあたる。
ギリシャ語:παλτό
読み方:パルト・パルトー
ラテン文字:palto
イタリア語 palto(コート、外套)からギリシャ語に入った外来借用(δάνειο)。源にあるイタリア語 palto は、さらにフランス語 paletot(コート、外套、ガウン)の借用で、フランス語 paletot は中世フランス語 palletoque, palletot(外套、長い上着、← オランダ語 paltrok「巡礼者の長衣」, ← palt「ぼろ布」+ rok「上着」)にさかのぼる、ゲルマン語起源の中世の衣類語。
源にあるオランダ語 paltrok(巡礼者の長衣、ぼろぼろの長着)は、巡礼や旅人の上に羽織る簡素な長衣を指す中世西欧の衣類語で、フランス語に入った後、近代の都会的な「コート」のイメージへと意味の中心が移った。19 世紀のパリで paletot は男性の正式な外套として流行し、その語が地中海・ヨーロッパ各地に広まった経緯がある。
イタリア語 palto は、フランス語 paletot を音韻的に短縮した形で、イタリア語の音韻にあわせた借用形。ギリシャ語にはイタリア語経由で入り、現代ギリシャ語の不変化中性名詞 παλτό として定着した。同じパターンの不変化外来語として、κασκόλ(マフラー、← 仏 cache-col), μπαρ(バー), ταξί(タクシー、← 仏 taxi), μενύ(メニュー、← 仏 menu)が並び、近代以降のフランス語・イタリア語からの借用が中性で不変化扱いになる典型例。
ヨーロッパ各語の「コート」語彙では、英語 paletot(古語、現代では coat / overcoat が一般), ドイツ語 Paletot(古語), スペイン語 paletó(コート), ポルトガル語 paletó(ジャケット)が並走し、19 世紀フランスのファッション文化の遺産として、各国語に残っている。現代の英語では coat(コート、← 古フランス語 cote)が主流で、paletot は古風な響きを持つ。
派生・関連語族として παλτουδιά(厚手のコート、口語の増大形、← παλτό + -ουδιά), παλτό-βεστόνι(短めのコート風ジャケット、複合語), ζεστό παλτό(暖かいコート), βαρύ παλτό(重いコート), μάλλινο παλτό(ウールのコート), καμπαρντίνα(トレンチコート、← イタリア語 gabardina < 古フランス語)。
同じ防寒・上着の領域には、より重く正装的な マントー(μαντό、外套), 短めのジャケットの σακάκι(上着、ジャケット), スーツの κουστούμι(スーツ), トレンチコートの καμπαρντίνα(トレンチコート), セーターの πουλόβερ(プルオーバー、← 英 pullover), アノラックの ανοράκ(アノラック、← イヌイット語)が並び、形・用途・季節で言い分けられる。
ギリシャの冬の生活文化では、παλτό は χειμώνας(冬)の象徴的な衣類で、雪の少ないギリシャ南部でも 12–2 月の冷え込みに対応する必須アイテムとして位置づけられる。慣用句では Φόρεσε το παλτό σου(コートを着なさい)が母親や年長者の優しい注意の定型句として日常会話に頻出し、家族の気遣いと寒さの実用性が結びついた表現として機能する。
ギリシャ語:φθινόπωρο
読み方:フシノポロ・フシノーポロ・フティノポロ・フティノーポロ
ラテン文字:fthinoporo
古代ギリシャ語 φθινόπωρον(秋)から。φθίνω(衰える, 減っていく)と ὀπώρα(晩夏の果実, 実りの季節)の合成で, 果実が少なくなっていく季節を表した。語末の -ν が脱落して現代ギリシャ語の φθινόπωρο の形になった。
派生に φθινοπωρινός(秋の), φθινοπωριάτικος(秋の, 秋らしい), φθινοπωριάζει(秋になる, 非人称), φθινοπώριασμα(秋の兆し)。同じ意味の言い方に χινόπωρο(φ が落ちた形), μεθόπωρο / μετόπωρο(古風な形)がある。
ギリシャ語:πασχαλιά
読み方:パスハリャ・パスハリャー
ラテン文字:paschalia
ギリシャ語:τζιτζίκι
読み方:トゥジトゥジキ・トゥジトゥジーキ・トゥジトゥズィキ・トゥジトゥズィーキ・トゥズィトゥジキ・トゥズィトゥジーキ・トゥズィトゥズィキ・トゥズィトゥズィーキ
ラテン文字:tzitziki
ギリシャ語:καύσωνας
読み方:カフソナス・カーフソナス
ラテン文字:kafsonas
ヘレニズム期ギリシャ語 καύσων(属格 καύσωνος、焼けつく暑さ、熱風)の対格 καύσωνα を主格として再形成した形を、近代以降に書きことばから再導入した学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。
源にあるヘレニズム期の καύσων は、動詞 καίω(焼く、燃やす)の派生で、もとは焼けつくような暑さや灼熱の風を指した。新約聖書ヤコブ書 1:11「ἀνέτειλεν γὰρ ὁ ἥλιος σὺν τῷ καύσωνι(太陽が灼熱とともに昇った)」など、ヘレニズム期の文献で灼熱・熱波・東風の意味で使われた。
源にある古代の καίω(焼く)は印欧祖語の「燃やす、熱を加える」を表す語根に由来し、同じ語根からは καύση(燃焼), καύσιμο(燃料), καυστικός(焼けつくような、辛辣な), καυτός(熱い), εγκαύμα(やけど), ηλιακό έγκαυμα(日焼け)が出ている。
派生・関連語族として καυσώνας(同じ語の異綴), αντικαύσωνας(猛暑対策)。同じ「猛暑、暑さ」の領域には、γαϊδουροκαλόκαιρο(しつこく居座る猛暑、口語), ζέστη(暑さ、一般語), ζέστη φούρνος(うだるような暑さ、文字どおり「窯の暑さ」)が並ぶ。καύσωνας は天気予報や報道で使う気象用語寄りで、危険な高温が続く期間をまとめて言うのに向き、対策・被害・到来の文脈で目立つ語。
ギリシャ語:χιόνι
読み方:ヒョニ・ヒョーニ
ラテン文字:chioni
古代ギリシャ語 χιών(女性名詞、雪)の指小形 χιόνιον(小さな雪、雪片)が、中世ギリシャ語 χιόνι を経て現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。指小辞が原形と入れ替わって新しい主格となるのは、ギリシャ語の名詞語形成によく見られるパターン。
源にある古代の χιών は、印欧祖語の「雪、寒冷」を表す語根に由来し、ラテン語 hiems(冬), ヒッタイト語 gimi-(冬), サンスクリット hima-(雪、寒冷、ヒマラヤ「雪の住処」の hima- と同根), アルメニア語 jiwn(雪)など、印欧語族の「雪・冬」語彙の中核を成す。同じ χιών から派生した英語 chionophile(雪好き、寒冷好き), ラテン語 chioneus(雪のような)など、近代の地理学・生態学の専門用語が広まる。
派生・関連語族として χιονιάς(吹雪、雪嵐), χιονιά(雪玉、ひと雪), χιονάκι(小雪、小さな雪片、指小形), χιονοθύελλα(吹雪), χιονόπτωση(降雪), χιονοδρομικό κέντρο(スキー場), χιονονιφάδα(雪片), χιονισμένος(雪の積もった), χιονώδης(雪のような), χιονοστιβάδα(雪崩), Χιονάτη(白雪姫、Snow White の翻訳借用)。類義語的に χειμώνας(冬、季節としての冬)と対の関係。
比喩的に「白さ・冷たさ」「テレビの砂嵐(受信不良時の白いノイズ)」を指す用法も日常で広く使われ、Τα χέρια μου είναι χιόνι(手が氷のように冷たい), Η τηλεόραση κάνει χιόνι(テレビに砂嵐が出る), Θα 'ρθουν χιόνια στα μαλλιά σου(髪に雪が降る = 白髪になる)など、定型表現が豊富。
ギリシャ語:χειμώνας
読み方:ヒモナス・ヒモーナス
ラテン文字:cheimonas
印欧祖語で「雪, 冬」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 χειμών(冬, 嵐)を経て, 中世ギリシャ語の χειμώνας を継承。ラテン語 hiems(冬), 英語 hibernate(冬眠する), サンスクリット Himalaya(「雪の住処」)も同じ語族。
派生に動詞 χειμωνιάζει(冬になる, 非人称), 形容詞 χειμωνιάτικος(冬の)。同じ語族に χειμερινός(冬季の, 改まった形), χειμέριος(冬の, 詩的), χειμάζομαι(冬を過ごす, 嵐に翻弄される), χειμαδιό(冬営地), χείμαρρος(急流, 激流)。合成語に διαχειμάζω(越冬する), ξεχειμωνιάζω(冬を過ごし終える), καταχείμωνο(真冬), βαρυχειμωνιά(厳しい冬)。
ギリシャ語:έαρ
読み方:エアル・エーアル
ラテン文字:ear
古代ギリシャ語の ἔαρ(春)をそのまま受け継いだ学術借用で、文語・雅語として用いられる。日常的に「春」を指すのは άνοιξη。
印欧祖語で「春」を表す根に由来し、ラテン語 vēr、サンスクリット vasantá-、古ノルド語 vár、古アルメニア語 garun、古代教会スラヴ語 vesna、ペルシャ語 bahâr など、印欧諸語で「春」を表す語と同源。
派生語に εαρινός(春の、古代 ἐαρινός)、εαρινή ισημερία(春分)など。英語 vernal(春の)、vernal equinox(春分)はラテン語 vēr から vernālis を経由した同源語。
ギリシャ語:άνοιξη
読み方:アニクシ・アーニクシ
ラテン文字:anoiksi
古代ギリシャ語の ἄνοιξις(開くこと、開扉)を継承。ανοίγω(開く)の動詞語幹 ἀνοιγ- に行為・状態を表す接尾辞 -ση を付けた形で、「(自然や花が)開く時期」の意で冬と夏の間の季節を指すようになり、中世ギリシャ語を経て今の形に落ち着いた。古代ギリシャ語で春は ἔαρ と呼ばれていたが、やがて ἄνοιξις が春を指す語として定着し、古典語の ἔαρ は今では学術借用 έαρ として詩歌や文芸の中に残るのみ。
類義語に έαρ(春。古代ギリシャ語由来で詩歌や公式・文芸の文脈で使う硬い形)。άνοιξη は春を指すふつうの形として広く使う。派生に ανοιξιάτικος(春の〜、春らしい)。関連語に動詞 ανοίγω(開く), 名詞 άνοιγμα(開き、開口部)。
ギリシャ語:γαϊδουροκαλόκαιρο
読み方:ガイドゥロカロケロ・ガーイドゥロカロケロ
ラテン文字:gaidourokalokero
γάιδαρος(ロバ)と καλοκαίρι(夏)の合成語。直訳「ロバの夏」で、接頭辞的に使う γαϊδουρο- は「ロバのような」から「しつこい、過度な」の意味を付け加える。γάιδαρος は古代ギリシャ語の κάνθων(荷役獣)が中世ギリシャ語で γαϊδάριον となって今の形になった。
近い語に、気象用語の καύσωνας(熱波)と、小春日和の μικρό καλοκαιράκι(小さな夏)。
ギリシャ語:καλοκαίρι
読み方:カロケリ・カロケーリ
ラテン文字:kalokeri
古代ギリシャ語の καλός(良い)と καιρός(時、天気、季節)の合成語 καλοκαίριον から、中世ギリシャ語 καλοκαίρι(ν) を経て今に至る継承。もとは「穏やかな天候、好機」の意で、ギリシャでは一年で最も良い季節とされることから、やがて「夏」そのものを指すようになった。καλός は英語の calligraphy(カリグラフィー)や kaleidoscope(万華鏡)にも借用要素として残り、いずれも「良い、美しい」の意を共有する。
類義語に θέρος(夏)。θέρος は古典・詩歌の文脈で使う硬い語で、特に「収穫期」としての夏を指すことが多い。ふつうは καλοκαίρι が「夏」を表す形として定着している。派生に καλοκαιράκι(気持ちのよい夏の日), καλοκαιρία(好天), καλοκαιριάζω(夏めく、夏になる), καλοκαιρεύω(夏を過ごす), καλοκαιριάτικος(夏の〜), καλοκαιρινός(夏の〜)。合成語に κατακαλόκαιρο(真夏), μεσοκαλόκαιρο(夏の中頃), αποκαλόκαιρο(夏の終わり), αποκαλοκαιρινός(夏の終わりの〜), γαϊδουροκαλόκαιρο(小春日和、猛暑)。

女性名詞 
信仰・神話 
植物 
時
秋
形容詞 



衣類 
虫
昆虫 
天気
温度 
物質 

