#🌫️ 物質
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ギリシャ語:ώχρα
読み方:オフラ・オーフラ
ラテン文字:ochra
ギリシャ語:λάσπη
読み方:ラスピ・ラースピ
ラテン文字:laspi
中世ギリシャ語の λάσπη を継承。
それ以前の語源は定かではなく、中世期から土と水が混じった泥を指す語として文献に現れる。
比喩で相手の評判を汚す「中傷、悪口」を表す使い方は、フランス語 boue(泥)からの意味借用とされる近代的な用法。λασπολογία(中傷合戦、誹謗中傷の応酬)のような合成語でもこの感覚が生きている。
派生語に λασπώδης(泥のような、ぬかるんだ)、λασπώνω(泥まみれにする、泥をはねる)、λασπωμένος(泥まみれの)、λασπολογία(中傷合戦)、λασποτόπι(ぬかるみの地)などがある。
ギリシャ語:άμμος
読み方:アモス・アーモス
ラテン文字:ammos
印欧祖語にさかのぼらない地中海圏の基層語からの借用とされる古代ギリシャ語の ἄμμος(砂)を継承。同じ「砂」を表す ψάμμος とは語形が混ざり合った可能性も指摘されている。
派生語に αμμώδης(砂地の)、αμμουδιά(砂浜)、αμμόλοφος(砂丘)、αμμόλιθος(砂岩)、αμμοθύελλα(砂嵐)、αμμοθεραπεία(砂療法)など。
英語の科学用語で「砂」を表す接頭辞 psamm(o)-(psammophile=好砂性生物、psammon=砂中生物群集など)は、同じ意味の古代ギリシャ語 ψάμμος をもとにした語。
ギリシャ語:ατμός
読み方:アトゥモス・アトゥモース
ラテン文字:atmos
古代ギリシャ語の ἀτμός(蒸気、湯気、匂い)に由来。古い形 ἀετμός にさかのぼり、さらなる起源は確かでないが、伝統的に ἄημι(吹く、息を送る)と結びつけられてきた。
ατμός は、νερό(水)が熱で気体になったもの、あるいは πάγος(氷)が昇華してできるもので、水や氷の気体の相に当たる語。
派生語・複合語に ατμόσφαιρα(大気、雰囲気。σφαῖρα「球」との合成)、ατμομηχανή(蒸気機関)、ατμόπλοιο(蒸気船)、ατμοστρόβιλος(蒸気タービン)、εξατμίζω(蒸発させる)、εξάτμιση(蒸発、排気管)など、蒸気にまつわる語を幅広く作る語根。
英語 atmosphere(大気、雰囲気)は同じ古代ギリシャ語 ἀτμός をもとにした語で、atmospheric(大気の、雰囲気のある)、atmospherics(雰囲気作りの演出)などもここから派生している。接頭辞 atmo- は atmometer(蒸発計)など気象・気化関連の学術語にも使われる。
ギリシャ語:βράχος
読み方:ブラホス・ブラーホス・ヴラホス・ヴラーホス
ラテン文字:vrachos
古代ギリシャ語の形容詞 βραχύς(浅い)から派生した複数形 βράχεα(浅瀬, 浅い海の場所)を背景にもつ語。浅瀬にある危険な岩場や突き出た岩そのものへ意味が寄り, ヘレニズム期の中性名詞 βράχος(岩)を経て中世ギリシャ語の βράχος(岩, 大岩)に至った。現代では男性名詞として使われるが, これは大きくごつごつしたものとして再解釈された結果と考えられている。
λίθος(石)が石材や文語的な「石」を広く言うのに対して、βράχος はもっと大きく、地形として迫ってくる岩や岩壁を言いやすい。θάλασσα(海)の近くでは、岩礁や岩場としての意味が前に出る。
主な意味は「大きな岩、岩壁」。そこから、海辺や沖合の岩場、さらに比喩で、圧力に負けない頑丈で揺るがない人も表す。
ギリシャ語:ελαιώδης
読み方:エレオディス・エレオーディス
ラテン文字:elaiodis
古代ギリシャ語の ἐλαιώδης(油のような, 油を帯びた)に由来。ἔλαιον(油, オリーブ油)に性質を作る -ώδης(〜のような, 〜を帯びた)が付いてできた形容詞。ラテン語 oleum(油)も同じ ἔλαιον の系統から入った語で, そこから英語 oil も Romance 経由で入った。現代の「油性の, 含油の」の用法はフランス語 huileux, oléagineux と英語 oily, oleaginous からの意味借用で整った。
同じ ἔλαιον の語族に λάδι(油, オイル), ελαιούχος(含油の), ελαιόλαδο(オリーブ油), ελαιοπαραγωγός(オリーブ生産者)。
λάδι が油そのものを指すのに対し, ελαιώδης は質感や成分について「油っぽい」「油を含む」と言うときに使う。υγρός(液体の, 液状の, 湿った)が液体一般を指すのに対し, ελαιώδης は油らしいぬめりや重さ, 油分の含有に焦点がある。
ギリシャ語:άλας
読み方:アラス・アーラス
ラテン文字:alas
古代ギリシャ語の ἅλας(塩)に由来。食卓の塩や料理には古代の指小語 ἁλάτιον を継承した αλάτι(塩、食塩)が使われ、άλας は化学や改まった文脈に残る。「地の塩(το άλας της γης)」のように、塩そのものを指す語義は文語。
化学の塩(えん)、および複数形 άλατα が指すミネラル、水垢、バスソルトなどの用法は、ドイツ語 Salz とフランス語 sel からの意味借用。
英語 halogen(ハロゲン)は ἅλς(塩。ἅλας の古代の基本形)と γεν-(生じる)をもとにした語。halo-(halite=岩塩など)も同じ語源。
ギリシャ語:αλάτι
読み方:アラティ・アラーティ
ラテン文字:alati
印欧祖語で「塩」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 ἅλς / ἅλας(塩)の指小形 ἁλάτιον を経て, 中世ギリシャ語の αλάτι を継承。ラテン語 sal, 英語 salt も同じ語族。
派生に αλατίζω(塩をかける), αλατώνω(塩漬けにする), αλατιέρα(塩入れ), αλάτινος(塩の), αφαλάτωση(脱塩), αλατοπίπερο(塩コショウ), αλατόνερο(塩水), αλατωρυχείο(岩塩鉱)。
文語形の άλας は改まった「塩」や化学の「塩類」に残る。同じ語族の αλμυρός は塩気を帯びた味や状態を表す語で, 物質としての αλάτι と対になる。
ギリシャ語:μέλι
読み方:メリ・メーリ
ラテン文字:meli
古代ギリシャ語の μέλι(蜂蜜)を継承。印欧祖語で蜂蜜を表す語根から続き、ラテン語 mel、ゴート語 miliþ、古アルメニア語 mełr と共通する。ミケーネ期の線文字Bに me-ri として記録がある。英語 mellifluous(甘美な)はラテン語 mel + fluere(流れる)から。
派生語に μέλισσα(ミツバチ)、μελίσσι(ミツバチの巣、群れ)、指小形 μελάκι、合成語に υδρόμελι(蜂蜜酒)、ροδόμελι(バラの蜂蜜)、μελίμηλον(蜂蜜のリンゴ)など。英語 marmalade(マーマレード)は μελίμηλον がラテン語・ポルトガル語を経てできた語。古代ギリシャ語の属格 μέλιτος は ταξίδι του μέλιτος(新婚旅行)、μήνας του μέλιτος(蜜月期)のような決まった言い方に残る。
ギリシャ語:σκόνη
読み方:スコニ・スコーニ
ラテン文字:skoni
古代ギリシャ語の κόνις(塵、粉)に由来し、中世ギリシャ語の σκόνη(埃、塵)を経て現在の形になった。細かな粒が舞い、積もるという核になるイメージは古くからほぼ変わっていない。
σκόνη は、空気中を舞ったり物の表面に積もったりする細かな粒子を言う語。χώμα(土、土壌、地面、土地)は地面や土壌そのものを指しやすく、乾いて細かく舞うときにだけ σκόνη に近づく。καπνός(煙、タバコ)とは καπνός και σκόνη(煙と塵)のように並びやすく、視界を曇らせたり息苦しさをもたらしたりする粒子状のものとして重なる。より強く舞い上がる粉塵や砂煙には κονιορτός(粉塵雲、砂煙)もある。
複合表現では αστρική / κοσμική / διαστημική σκόνη(宇宙塵)のように、宇宙空間を漂う微粒子にも使う。
最も基本の意味は「埃、塵」。そこから、食品、香辛料、薬、洗剤、消火剤のように粉状にしたもの全般も指す。
成句では、舞い上がった塵が視界を遮り、やがて収まって全体が見えるというイメージがよく使われる。κατακάθισε η σκόνη(塵が収まる)は「ひと騒動が収まる」、σηκώνω σκόνη(塵を巻き上げる)は文字どおり土ぼこりを立てるほか、比喩では意図的に騒ぎを起こすことも表す。
ギリシャ語:αφρός
読み方:アフロス・アフロース
ラテン文字:afros
ギリシャ語:λάβα
読み方:ラヴァ・ラーヴァ
ラテン文字:lava
イタリア語 lava から入った借用語。現代ギリシャ語では、火山の噴火で火口から外へ流れ出る溶けた岩石を指す語として使われる。
火山の文脈では、έκρηξη(爆発、激発、急増)が噴火や爆発そのもの、στάχτη(灰、灰燼)が火山灰を指し、λάβα は噴出して流れ出た溶融岩そのものを指す。
流れのまとまりを強調するときは、ποταμός(河川、大量に流れるもの、非常に長いもの)の複数形を使って「溶岩の河」といった言い方をすることもある。
主な意味は溶岩。地質学では火山から噴出した高温の溶融岩を指し、文学的な比喩では、έρωτας(恋愛、恋人、セックス)や πάθος(情熱、激情)が抑えきれずあふれ出る勢いにも重ねられる。
ギリシャ語:κερί
読み方:ケリ・ケリー
ラテン文字:keri
中世ギリシャ語の κερίν(ろう、蝋)に由来する。語源欄では語末子音を括弧に入れて示すこともある。
同じ語では、μελισσοκέρι(蜜蝋)や αγιοκέρι(教会に供えるろうそく)のような複合語がある。比較語として κηρίο(巣房、蜂の巣の板)や λαμπάδα(長いろうそく)が挙げられ、素材名としては παραφίνη(パラフィン)や στεατίνη(ステアリン)の語も合わせて現れる。
主な意味は「ろう、蝋、ワックス」で、μέλισσα(ミツバチ)が巣を作るときに分泌する蜜蝋のような天然のろうから、合成ワックスや脱毛用ワックス、その商品としてのろうそくまで含む。別の意味では、αυτί(耳)にたまる耳あかも κερί と言う。指小語の κεράκι(小さなろうそく、ろうそく形の小型電球)は、特に誕生日用の小さなろうそくや、ろうそく形の小型電球に使われる。
ギリシャ語:υγρός
読み方:イグロス・イグロース
ラテン文字:ygros
印欧祖語で「濡れる」を表す語根の子孫で, 物質が液体であることや物が濡れていることを言う古代ギリシャ語の形容詞 ὑγρός(液体の, 湿った)を継承。文法用語の υγρά σύμφωνα(液音)はフランス語 liquide からの意味借用で, ヘレニズム期の ὑγρά στοιχεῖα(液体の文字群)の言い方を受けつつ, 近代の文法概念として整えられた。ふつうは λ(ラムダ)と ρ(ロー)を指す。
同じ ὑγρός から派生した語に動詞 υγραίνω(湿らせる), 名詞 ύγρανση(湿らせること, 加湿), 形容詞 υγραντικός(保湿の), 名詞 υγρασία(湿気, 湿度), υγρότητα(湿り気, 液状性)。合成語では υγραέριο(液化ガス), υγρόφιλος(親水性の), υγροποίηση(液化), υγρομετρία(湿度測定), υγρογράφος(湿度記録計)が並ぶ。
「水」そのものを言うには νερό(水)か ύδωρ(水)を使い, 中性形の υγρό は水に限らず液体全般を指す。英語 hygrometer(湿度計), hygroscopic(吸湿性の), hygrograph(湿度記録計)は ὑγρός から経由した語族。ラテン語 ūmor(湿り気), ūmidus(湿った), 英語 humid(湿った), humidity(湿度)も同じ印欧語根の子孫とされる。
ギリシャ語:χιόνι
読み方:ヒョニ・ヒョーニ
ラテン文字:chioni
古代ギリシャ語の女性名詞 χιών(雪)に由来する。そこからヘレニズム期の指小形 χιόνιον(小さな雪、小さな雪片)が生まれ、中世ギリシャ語の χιόνι(雪)を経て、現代ギリシャ語の χιόνι(雪)に至った。今の形は、古い「雪」の語が指小形を経て日常語として定着したものにあたる。
χειμώνας(冬)が季節としての「冬」を指すのに対し、χιόνι はその時期に降る雪や積もった雪そのものを指す。βροχή(雨)が液体の雨なのに対して、χιόνι は大気中の凍った水分が結晶になって地上に降るものを言う。
指小語 χιονάκι(小雪、小さな雪片)は小雪や小さな雪片をやわらかく言う形。関連語 χιονιά(雪玉)もある。
基本の意味は「雪」。そこから、雪のような白さ、氷のような冷たさ、テレビ画面に出る白い砂嵐にも意味が広がる。
ギリシャ語:έδαφος
読み方:エダフォス・エーダフォス
ラテン文字:edafos
古代ギリシャ語の ἔδαφος(地面、地表、底)からの学術借用。ἕδος(座、土台)に -φος が付いた形と考えられ、さらに ἕζομαι(座る)の根につながる。比喩の「土台、条件」として使う用法は、フランス語 terrain(地面、活動の場)の影響による。
派生語に εδαφικός(土壌の、領土の)、εδάφιο(節、聖書や法律の一節;古代 ἐδάφιον「底、節」から)、εδαφολογία(土壌学)、εδαφοτεχνική(土質工学)など。関連語に γη(地球、大地)、χώμα(土、土壌)、επικράτεια(領域、版図)、χώρα(国、土地)。
英語 edaphic(土壌の)は同じ古代ギリシャ語 ἔδαφος をもとにした生態学・農学の学術語で、土壌条件による生物の差を論じるときに使う。
ギリシャ語:στάχτη
読み方:スタフティ・スターフティ
ラテン文字:stachti
ヘレニズム時代の形容詞 στακτή(「滴下された」を意味する στακτός の女性形)に由来する。もとは灰を濾した液、つまり灰汁を指した語で、中世ギリシャ語の στάκτη(灰)を経て、調音の変化により kt が xt に変わり、現代ギリシャ語の στάχτη となった。この過程で意味も「灰汁」から「灰」そのものへ移った。
英語の static(静止した)や stay(留まる)と同じ、「立つ」を意味する印欧語の語根につながるとされ、もとは「沈殿したもの」というニュアンスを持つ。
類義語に τέφρα(灰)と σποδός(遺灰、遺骸)がある。τέφρα は学術的・文語的な語で、日常語としては στάχτη が一般的に使われる。
στάχτη からは色の形容詞 σταχτής(灰色の)が派生し、その中性形 σταχτί は名詞として灰色そのものを指す。
燃焼後に残る灰が基本の意味で、火山灰や遺灰にも使われる。さらに、火災や戦争で完全に破壊された状態を表す比喩にも使われ、「灰にする」「灰になる」の形で灰燼(かいじん)に帰すことを表す。「灰の中から」のように、壊滅からの再生を言う表現もある。
ギリシャ語:πέτρα
読み方:ペトゥラ・ペートゥラ
ラテン文字:petra
古代ギリシャ語の πέτρα(岩, 岩盤)を継承。「大きな岩」から「石」全般へ意味が広がった。
英語の人名 Peter, ペテロ は同根の Πέτρος(男性形, 岩)から。新約聖書マタイ 16:18 でイエスが弟子シモンをそう呼んだことに由来する。英語 petroleum(石油)は πέτρα とラテン語 oleum(油)からの合成で「石の油」, petrify(石にする, 恐怖で固まらせる)も同じ系統。
指小形に πετρούλα, πετραδάκι(小石)。派生に πέτρινος(石の), πετρώνω(石化する)。合成に πετρέλαιο(石油), πετρογραφία(岩石学)。λίθος も同じ「石」を指す古代由来の語で, 現代ギリシャ語では鉱物学, 医学, 合成語に残る。ふつうの「石」には πέτρα を使う。
ギリシャ語:λίθος
読み方:リソス・リーソス・リトス・リートス
ラテン文字:lithos
古代ギリシャ語の λίθος(石)に由来。起源はよくわかっていない。英語の接尾辞 -lith, -lite(〜石)や litho-(lithography「石版画」、lithosphere「岩石圏」、monolith「一枚岩」など)、元素名 lithium(リチウム)はこの語から。
現代ギリシャ語は文語的な語で、ふつうは πέτρα を使う。λίθος は地質学や医学、建築の文脈、歴史的な慣用句に残る。男性名詞のほか、λυδία λίθος(試金石)や φιλοσοφική λίθος(賢者の石)のような固定表現では女性名詞として使う。派生語に形容詞 λίθινος(石の)、合成語の ασβεστόλιθος(石灰岩)、λιθόσφαιρα(岩石圏)など。
ギリシャ語:χώμα
読み方:ホマ・ホーマ
ラテン文字:choma
古代ギリシャ語の動詞 χώννυμι(積み上げる、埋める)から派生した χῶμα(土手、盛り土)を継承。
近い語に γη(大地、地球)があるが、γη は「地球」「大地」「土地」まで含む、より広い意味をもつ。έδαφος は地質学的な「土壌」や足元にある「床」「地面」のニュアンスが強く、σκόνη は「埃」「粉末」を指す。χώμα も、非常に細かい乾いた土を言うときには「土埃」「粉塵」に近い意味で使われる。
主な意味は「土」。地球の表面を覆う細かい粒状の物質を指し、そこから「地面」「墓」「故郷の地」にも意味が広がる。キリスト教的な死生観では、人が土から生まれて土に還ることを表す語としても用いられ、比喩的には商才や死そのものを言うこともある。
複数形 χώματα は大量の土を表すほか、土をいじって遊ぶことや、土砂に埋もれることを言うときにもよく使われる。
ギリシャ語:ατμόσφαιρα
読み方:アトゥモスフェラ・アトゥモースフェラ
ラテン文字:atmosfaira
古代ギリシャ語の ἀτμός(蒸気、湯気)と σφαῖρα(球、球体)からなる ἀτμόσφαιρα に由来する学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。構成要素はともに古代ギリシャ語由来だが、合成語としての ἀτμόσφαιρα はもともと古代ギリシャ語にはなく、17世紀の自然学者ジョン・ウィルキンスがラテン語 atmosphaera を新造したのが始まりで、これがフランス語 atmosphère, 英語 atmosphere として国際的に広まり、現代ギリシャ語にも入った。元の構成要素がギリシャ語由来であるため、再借用(αντιδάνειο)の側面も持つ。「雰囲気・ムード」の比喩義はフランス語・英語経由で広がった意味借用。古代の σφαῖρα は印欧祖語にさかのぼる確実な同根語が見当たらず、Beekes は先ギリシャ語基層からの語と位置づけている。同じ古代 σφαῖρα から英語 sphere(球), hemisphere(半球), 独 Sphäre が、また ἀτμός から英語 atomizer(噴霧器)など蒸気・霧化に関する語族が広まっている。
類義語に αέρας(空気、風。日常の空気、室内・身近な雰囲気), κλίμα(気候、風土、世論。場の雰囲気・空気感も指す), διάθεση(気分、ムード。個人の心の状態)。ατμόσφαιρα は地球や天体を取り囲む大気そのもの、物理学の気圧単位、場の雰囲気、文学・映画作品の独特の情緒を指す形として広く使う。派生に ατμοσφαιρικός(大気の、雰囲気のある), ατμοσφαιρικότητα(雰囲気のあるさま)。関連語に ατμός(蒸気), σφαίρα(球), ατμο-(蒸気・大気を表す結合辞)。成句に περιρρέουσα ατμόσφαιρα(社会を取り巻く空気、情勢)。
ギリシャ語:αέρας
読み方:アエラス・アエーラス
ラテン文字:aeras
印欧祖語で「夜明け, 東」を表す語根にさかのぼり, もとは「朝もや」を指した古代ギリシャ語の ἀήρ(下層の空気, 霧)を継承。やがて空気一般を指すようになり, 対格形 ἀέρα から主格が再形成され, 中世ギリシャ語を経て今の形に落ち着いた。ラテン語 aurōra(夜明け)は同じ語根から出た同源の語。英語の接頭辞 aero-(aeroplane「飛行機」)や名詞 air(空気)はこの ἀήρ を借用要素として受け継いでいる。雰囲気・堂々とした態度の意味は, フランス語 air からの意味借用(σημασιολογικό δάνειο)。
類義語に αγέρας(風。詩歌や民謡の中で使う古風な形), άνεμος(風。気象や文芸の文脈で使う硬い形), ατμόσφαιρα(大気、空気感)。αέρας は空気・風を指すふつうの形として広く使う。派生に αεράκι(そよ風。指小形), αέριος(気体の), αέρινος(空気のように軽い), αερίζω(風を通す、換気する), αερικό(風の精、妖精), αεράτος(風通しのよい、のびやか), ανάερος(空中の)。合成語に αεροπλάνο(飛行機), αεραντλία(空気ポンプ), αερολιμένας(空港), αεροδρόμιο(飛行場), αεροπόρος(飛行士), αερόσακος(エアバッグ)。
ギリシャ語:γη
読み方:イ・イー・ギ・ギー
ラテン文字:gi
ギリシャ語:καπνός
読み方:カプノス・カプノース
ラテン文字:kapnos
古代ギリシャ語の καπνός(煙)を継承。印欧祖語で「煙、沸騰、激しい動き」を表す語根に遡るとされる。古代から現代まで基本の意味は「煙」で、そこから植物のタバコや、乾燥・加工した喫煙用のタバコ製品も指す用法が加わった。
派生語に κάπνισμα(喫煙), καπνίζω(喫煙する、燻す), καπνιστής(喫煙者), καπνιστός(燻製の), καπνοδόχος(煙突)。接頭辞 καπνο- で καπνοβιομηχανία(タバコ産業), καπνοκαλλιέργεια(タバコ栽培), καπνοπωλείο(タバコ店)などの合成語を作る。口語で部屋に立ち込める濃い煙は、トルコ語由来の ντουμάνι とも言う。英語の医学用語 hypercapnia(高炭酸ガス血症), hypocapnia(低炭酸ガス血症)の -capnia は、この καπνός を受け継いだ語根。
ギリシャ語:κάρβουνο
読み方:カルヴノ・カールヴノ
ラテン文字:karvouno
ラテン語 carbō(炭)に由来し、ヘレニズム期ギリシャ語 κάρβων、中世ギリシャ語 κάρβουνον を経て今に至る。英語 carbon(ラテン語 → フランス語 carbone 経由)も同じ carbō を起源とする。
現代ギリシャ語で化学の炭素を指すのは άνθρακας で、κάρβουνο は燃料や画材の炭、炭火を広く指す。木炭は ξυλοκάρβουνο と ξυλάνθρακας, 石炭は πετροκάρβουνο と γαιάνθρακας のように、κάρβουνο 側と άνθρακας 側で並行して合成語を作る。
派生に καρβουνιάζω(真っ黒に焦がす、炭にする), καρβουνιάρης(石炭を扱う人、昔の蒸気機関車), καρβουνάκι(小さな炭)。

男性名詞
物質 
宝石・鉱物 
連語 
工学 
色
黄系の色 
素材 

地形 

形容詞
植物 
食べ物 


火・炎 
身体・健康
天気
言葉 
季節
冬 
政治 
生と死
宇宙
物理 
天文 
嗜好品