#🔭 天文
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ギリシャ語:Ιχθύς Νότιος
読み方:イフシスノティオス・イフシースノティオス・イフティスノティオス・イフティースノティオス
ラテン文字:ichthys notios
ιχθύς(魚)と νότιος(南の)からできた連語で、「南の魚」の意味。2世紀のトレミーが挙げた 48 星座の一つで、南天に位置する。
水瓶座から流れる水を、大きな魚が飲んでいる姿で描かれる。シリアの神話では女神デルケトが水に落ちたときにこの魚が救い、そこから星空にあげられたとされ、うお座の2匹の魚はこの魚の子と伝わる。
α星は「魚の口」を意味するアラビア語由来の Fomalhaut(フォーマルハウト)。秋の南の空で孤立して輝く1等星で、「孤独な星」とも呼ばれる。
ギリシャ語:ινδός
読み方:インドス・インドース
ラテン文字:indos
古代ギリシャ語の Ἰνδός(インドの人、インダス川)を継承。古代ペルシャ語 hindūš(インド)からの借用で、そこからインド・イラン祖語で「川」を表す語根につながる。もとはインダス川の名で、そこから川のほとりに住む人やその地方、インド全体の呼び名にも移った。
国名は Ινδία(インド)の形で言う。英語 Indian, Indus も同じ系統。
星座のインディアン座は、16世紀末にオランダの航海者カイザーとデ・ハウトマンが観測した南天の星をもとに、オランダの天文学者プランシウス(プランキウスとも)が考案した星座。新しい星座なので神話はない。
ギリシャ語:Κόμη της Βερενίκης
読み方:コミティスヴェレニキス・コーミティスヴェレニキス
ラテン文字:komi tis verenikis
κόμη(髪)と人名 Βερενίκη(ベレニケ)からなる連語で「ベレニケの髪」を言う。紀元前3世紀、プトレマイオス3世の王妃ベレニケ2世が、夫の無事を祈ってアフロディーテに髪を奉納したところ神殿から消えた。宮廷天文学者コノンがこれを「女神が空に上げた」と解して、一群の星に結びつけたとされる。ラテン語形は Coma Berenices で、英語名もそのまま入った。別形 Κόμη Βερενίκης(属格だけで並べた形)も使う。
ギリシャ語:Κύνες Θηρευτικοί
読み方:キネスシレフティキ・キーネスシレフティキ・キネスティレフティキ・キーネスティレフティキ
ラテン文字:kynes thireftikoi
κύων(犬)の複数形 κύνες と θηρευτικός(狩りの)の複数形 θηρευτικοί からなる連語で「狩りの犬たち」を言う。17世紀にポーランドの天文学者ヘヴェリウスが設定した星座で、新しい星座なので神話はない。もとは中世アラビア語・ラテン語の翻訳過程で「こん棒」が「犬」と取り違えられた流れを、ヘヴェリウスがそのまま星座名に取り入れたとされる。二匹の犬には Αστερίων(北)と Χαρά(南)の名がついている。ラテン語形は Canes Venatici で、英語名もそのまま入った。
ギリシャ語:Σταυρός του Νότου
読み方:スタヴロストゥノトゥ・スターヴロストゥノトゥ
ラテン文字:stavros tou notou
ギリシャ語:Στέφανος Νότιος
読み方:ステファノスノティオス・ステーファノスノティオス
ラテン文字:stefanos notios
στέφανος(冠、花輪)と νότιος(南の)を組み合わせた連語で、「南の冠」の意味。ラテン語の Corona Australis も「南の冠」を指す。プトレマイオスの48星座のひとつで、古代から知られる。古代ギリシャでは冠というより花輪とみなされ、τοξότης(いて座)の弓から落ちた環、あるいは Κένταυρος(ケンタウルス座)の冠という伝承が残る。北半球に対になる Στέφανος Βόρειος(かんむり座)がある。
ギリシャ語:Τρίγωνον Νότιον
読み方:トゥリゴノンノティオン・トゥリーゴノンノティオン
ラテン文字:trigonon notion
ギリシャ語:Μεγάλη Άρκτος
読み方:メガリアルクトス・メガーリアルクトス
ラテン文字:megali arktos
μεγάλος(大きい)の女性形 μεγάλη と άρκτος(クマ)からなる連語で「大きなクマ」を言う。アルテミスに仕えたニンフのカリストが、ゼウスに愛されて子を宿したことから、嫉妬したヘラにクマの姿に変えられた。成長した息子アルカスが狩りの最中に母と知らずに射ようとしたので、ゼウスは二人を天に上げ、母を大きなクマとして空に置いたという神話。子のアルカスは Μικρή Άρκτος(こぐま座)、もしくはうしかい座になったとされる。ラテン語形は Ursa Major で、英語名もそのまま入った。日常の「クマ」は αρκούδα を使うことが多い。
ギリシャ語:Μέγας Κύων
読み方:メガスキオン・メーガスキオン
ラテン文字:megas kyon
μέγας(大きい)と κύων(犬)からなる連語で「大きな犬」を言う。古代ギリシャでは狩人オリオンの猟犬のひとつと見なされ、天ではオリオンのあとに続いて隣のうさぎ座を追う姿に読まれた。別の伝承では、ゼウスがエウロペに贈った猟犬ライラプス(獲物を逃さない犬)が天に上げられたものともされる。星座でいちばん明るい恒星 Σείριος(シリウス)は「焼きつく」の意味の語から来た名。ラテン語形は Canis Major で、英語名もそのまま入った。近くに Μικρός Κύων(こいぬ座)。日常の「犬」は σκύλος を使うことが多い。
ギリシャ語:Μικρή Άρκτος
読み方:ミクリアルクトス・ミクリーアルクトス
ラテン文字:mikri arktos
μικρός(小さい)の女性形 μικρή と άρκτος(クマ)からなる連語で「小さなクマ」を言う。神話では、アルテミスに仕えたニンフのキノスラが、幼いゼウスを隠して育てたお礼に天に上げられて、こぐま座になったという伝承がある。別説では、Μεγάλη Άρκτος(おおぐま座)となった母カリストの息子アルカスがこの姿になったともされる。北極星 Πολικός Αστέρας は、この星座の尾の先の星。ラテン語形は Ursa Minor で、英語名もそのまま入った。日常の「クマ」は αρκούδα を使うことが多い。
ギリシャ語:Μικρός Κύων
読み方:ミクロスキオン・ミクロースキオン
ラテン文字:mikros kyon
古代ギリシャ語の μικρός(小さい)と κύων(犬)からなる連語「小さな犬」に由来。古代から狩人オリオンに従う二匹の犬の小さな方と見なされ、おおいぬ座とともにオリオンのそばに配された。星座でいちばん明るい恒星 Προκύων(プロキオン)は προ-(〜の前に)と κύων(犬)からなる名で、シリウスより先に昇ることから「犬に先んじて昇る」と名づけられた。ラテン語形は Canis Minor で、英語名もそのまま入った。近くに Μέγας Κύων(おおいぬ座)。日常の「犬」は σκύλος を使うことが多い。
ギリシャ語:Πτηνόν Παραδείσιον
読み方:プティノンパラディシオン・プティノーンパラディシオン
ラテン文字:ptinon paradision
πτηνόν(鳥)と παραδείσιον(楽園の)を合わせた連語で、「楽園の鳥」の意味。17世紀にオランダの航海士ケイザーとハウトマンが南天で観測した鳥類を記録し、プランシウス(プランキウスとも)が星座として定めた。新しい星座なので神話はない。英語名 Apus は古代ギリシャ語の ἄπους(脚のない、ἀ-「〜ない」+ πούς「脚」)から来ており、ヨーロッパに持ち帰られたゴクラクチョウの剥製は脚が取り除かれていたため、脚のない鳥と誤って考えられていた。ふつうの「鳥」は πουλί で言う。
ギリシャ語:Φοίνιξ
読み方:フィニクス・フィーニクス
ラテン文字:foinix
古代ギリシャ語の φοῖνιξ を継承。古代ギリシャ語の段階ですでに「紫紅色」「ナツメヤシ」「ナツメの実」「不死鳥」「フェニキア製の弦楽器」と複数の意味を持ち、どれが先かは確定していない。ミケーネ期(紀元前13世紀ごろ)の線文字Bにすでに po-ni-ke の形が現れ、ナツメヤシを指すとされる。
有力な説では、西セム語で赤い染料(アカネ)を表す語からの借用で、「紫紅色」が出発点。フェニキアから運ばれた赤紫の染料が語義の中心にあり、フェニキア人(Φοίνικες)も「赤い染料を扱う人々」の意味から呼ばれたとされる。不死鳥の名も「紫紅色の鳥」「フェニキアの鳥」の感覚から生まれた可能性がある。
鳥とナツメヤシの結びつきには、木の名が鳥に付いたとする説と、鳥の名が木に付いたとする説の両方があり、決着していない。手がかりのひとつがエジプト語 bnw で、この語もまた聖鳥とナツメヤシの実の両方を表していた。
古代ギリシャ語ではナツメヤシの木もその実も同じく φοῖνιξ で言ったが、現代ギリシャ語では木は φοίνικας、φοινικιά、φοινικόδεντρο、実はアラビア語から入った χουρμάς と使い分ける。
星座「ほうおう座」は17世紀はじめに南天に新しく設けられた星座で、ラテン語 Phoenix、フランス語 phénix を経て古代ギリシャ語の Φοίνιξ が星座名として定着した。
関連語に φοίνικας(ナツメヤシ、フェニキア人)、φοινικιά、φοινικόδεντρο(ナツメヤシの木)、φοινικικός(フェニキアの)。英語 phoenix、Phoenician も同じ語族。
ギリシャ語:Κασσιόπη
読み方:カシオピ・カシオーピ
ラテン文字:kassiopi
ギリシャ語:Ωρίων
読み方:オリオン・オリーオン
ラテン文字:orion
古代ギリシャ語の Ὠρίων(オリオン)に由来。ギリシャ神話の巨人の狩人で、アルテミスに愛されたが、サソリに刺されて死んだと伝えられる。天に上げられ、Σκορπιός(さそり座)と追いかけあう対角の位置に置かれたという神話。名前の語源ははっきりせず、アッカド語の Uru-anna「天の光」からという見方がある。近くの星座に Μέγας Κύων(おおいぬ座)と Μικρός Κύων(こいぬ座)があり、オリオンに従う猟犬とされる。
ギリシャ語:Ύδρος
読み方:イドゥロス・イードゥロス
ラテン文字:ydros
ギリシャ語:Τρόπις
読み方:トゥロピス・トゥローピス
ラテン文字:tropis
ギリシャ語:Ύδρα
読み方:イドゥラ・イードゥラ
ラテン文字:ydra
ギリシャ語:Τηλεσκόπιον
読み方:テレスコピオン・テレスコーピオン
ラテン文字:tileskopio
ラテン語 telescopium(望遠鏡)をもとにした星座名で、古代ギリシャ語の τηλέ(遠く)と σκοπέω(見る)からできた形 Τηλεσκόπιον で呼ぶ。現代ギリシャ語で望遠鏡はふつう τηλεσκόπιο と言う。英語 Telescopium も同じラテン語から。
18世紀にフランスの天文学者ラカイユが考案した星座。新しい星座なので神話はない。
ギリシャ語:Λαγωός
読み方:ラゴオス・ラゴオース
ラテン文字:lagoos
古代ギリシャ語の λαγωός(野ウサギ)に由来。ホメロスなど叙事詩で使われる形で、同じ古代ギリシャ語でもふつうは λαγώς、現代ギリシャ語では λαγός と言う。
プトレマイオスの48星座にも含まれる古い星座。北の Ωρίων(オリオン座)とその猟犬の Μέγας Κύων(おおいぬ座), Μικρός Κύων(こいぬ座)に追われる野ウサギの姿、という見立てがある。
ギリシャ語:Περσεύς
読み方:ペルセフス・ペルセーフス
ラテン文字:persefs
ギリシャ語:Ιππάριον
読み方:イプパリオン・イプパーリオン
ラテン文字:ipparion
古代ギリシャ語の ἱππάριον(小さい馬、子馬)を継承。ἵππος(馬)に指小辞 -άριον が付いた形。現代ギリシャ語で馬はふつう άλογο と言い、ἵππος は文語的な言い方として残る。ιππάριο は古生物学で先史時代の小型馬ヒッパリオンも指す。
ヒッパルコスが記しプトレマイオスの48星座にも含まれる古い星座。神話では Πήγασος(ペガスス座)の兄弟の子馬ケレリス(「俊足」)をヘルメスがカストルに贈った、という話があり、別にポセイドンがアテナと争ったとき矛から打ち出した馬とする伝えもある。ペガスス座より先に昇るため「最初の馬」とも呼ばれた。
ギリシャ語:ιστία
読み方:イスティア・イスティーア
ラテン文字:istia
ギリシャ語:Καμηλοπάρδαλις
読み方:カミロパルダリス・カミロパールダリス
ラテン文字:kamilopardalis
古代ギリシャ語の καμηλοπάρδαλις(キリン)を継承。κάμηλος(ラクダ)と πάρδαλις(ヒョウ)からなる語で、ラクダのような長い首とヒョウのようなまだら模様から、こう呼ばれた。現代ギリシャ語ではふつう καμηλοπάρδαλη(キリン)と言う。
17世紀にオランダの天文学者プランシウス(プランキウスとも)が設けた星座で、新しい星座なので神話はない。
ギリシャ語:Γλυφείον
読み方:グリフィオン・グリフィーオン
ラテン文字:glyfeion
古代ギリシャ語の γλυφεῖον(彫る道具、彫刻刀)に由来。γλύφω(彫る、刻む)に道具を表す接尾辞 -ειον を付けた語で、現代ギリシャ語で彫刻刀を表すふつうの語は σμίλη や καλέμι。
18世紀にフランスの天文学者ラカーユが Δίκτυον(レチクル座)などとともに南天に配した星座のひとつで、彫刻家の道具を記念してラテン語 Caelum Sculptoris(彫刻家の彫刻刀)と名付けた。新しい星座なので神話はない。英語 glyph は同じ γλύφω から派生した γλυφή(彫り、刻み)を経て入った語。
ギリシャ語:Βοώτης
読み方:ヴォオティス・ヴォオーティス
ラテン文字:vootis
古代ギリシャ語の Βοώτης(牛飼い、牛追い)を継承。βοῦς(牛)からできた語。英語 Boötes もラテン語 Boōtēs を経て同じ語源。
プトレマイオスの48星座に含まれる古い星座。古代の人は Μεγάλη Άρκτος(おおぐま座)の星並びを牛の引く車に見立て、それを追う人の姿として空に描いたという。別名 Αρκτοφύλαξ(熊の番人)もあり、主星 Αρκτούρος(アルクトゥルス)はこの別名にちなむ。神話では、ゼウスとカリストの子アルカスとされ、熊に変えられた母を追って空に昇ったという伝承もある。
ギリシャ語:Ανδρομέδα
読み方:アンドゥロメダ・アンドゥロメーダ
ラテン文字:andromeda
ギリシャ語:Δράκων
読み方:ドゥラコン・ドゥラーコン
ラテン文字:drakon
古代ギリシャ語の Δράκων に由来。普通名詞 δράκων(龍、大蛇)から固有名に転じた語で、δράκων はさらに動詞 δέρκομαι(注意深く見る、睨む)に由来し、「鋭い目をしたもの」がもとの意味だった。現代ギリシャ語では、龍・ドラゴンを表す普通名詞は δράκος として残り、固有名としては古代形のまま Δράκων が立法者名と星座名に使われている。
男性名 Δράκων は、古代アテネで前7世紀に成文法を制定した立法者の名として特によく知られる。死刑を多用するきわめて厳しい刑罰で名を残し、英語 draconian(苛酷な、厳格な)もこの人物名からラテン語 Dracō を経て入った。英語 Draco(星座名、立法者名)、dragon なども同じ語源。
ギリシャ語:Ηνίοχος
読み方:イニオホス・イニーオホス
ラテン文字:iniochos
古代ギリシャ語の ἡνίοχος(御者)から。ἡνία(手綱)と ἔχω(持つ)からなる合成語で、「手綱を持つ者」の意味。
ギリシャ語:κάμινος
読み方:カミノス・カーミノス
ラテン文字:kaminos
古代ギリシャ語の κάμινος(炉、かまど)に由来。日常の炉、かまどには κάμινος の指小形 καμίνιον からきた καμίνι を使い、κάμινος は工業用の溶解炉や文語的な場面で使う。英語 chimney もラテン語 caminus を経て同じ語源。
先頭大文字の Κάμινος は南天の星座、ろ座を指す。1750年代にフランスの天文学者ラカイユが南天に設けた新しい星座で、ラテン語の Fornax Chemica(化学の炉)から名付けられた。
ギリシャ語:κένταυρος
読み方:ケダヴロス・ケーダヴロス・ケンダヴロス・ケーンダヴロス
ラテン文字:kentavros
古代ギリシャ語の κένταυρος(ケンタウロス)を継承。語源は不明。英語 centaur もラテン語 centaurus を経て同じ語源。
先頭大文字の Κένταυρος は南天のケンタウルス座を指す。隣の Λύκος(おおかみ座)はケンタウロスが狙う獣の姿という伝承があり、現在の Σταυρός του Νότου(みなみじゅうじ座)の星々もかつてはケンタウルス座の後ろ足の一部とされていた。
ギリシャ語:κήτος
読み方:キトス・キートス
ラテン文字:kitos
ギリシャ語:λύρα
読み方:リラ・リーラ
ラテン文字:lyra
古代ギリシャ語の λύρα(リラ)を継承。古代ギリシャ語より前の語源は定かでなく, 外来の借用語と見る説もある。古代の竪琴から, のちに弓で弾くギリシャ伝統の擦弦楽器にも同じ名が使われるようになった。先頭を大文字にした Λύρα(こと座)は, この楽器の形に見立てた星座名がそのまま継承された形。
派生に λυρικός(リラの, 叙情的な, 抒情詩の), λυρισμός(叙情性), λυράρης, λυριτζής(リラ奏者)。ラテン語 lyra を経由して英語 lyre, フランス語 lyre, 英語 lyric, lyricism もこの語族に連なる。
弓で弾くリラはクレタ(κρητική λύρα), ポントス(ποντιακή λύρα)などの地方伝統音楽で中心的な楽器として使われる。撥弦楽器の系統では κιθάρα(ギター, 古代のキタラ)が別にあり, λύρα とは別の系統に位置する。
ギリシャ語:όφις
読み方:オフィス・オーフィス
ラテン文字:ofis
印欧祖語で「ヘビ」を表す語根に起源を持ち、古代ギリシャ語の ὄφις(ヘビ)に由来。サンスクリット語 áhi(ヘビ)と同じ語源。
ふつうのヘビは φίδι。όφις は文語的な語。隣の星座 Ὀφιοῦχος(へびつかい座)は「ヘビを持つ者」の意で、ὄφις + ἔχω(持つ)からなる合成名。
派生語・合成語に οφιόδηκτος(ヘビに噛まれた), οφιολάτρης(ヘビ崇拝者), οφιοειδής(ヘビ形の、波打つ)。英語の動物学用語 ophidian(ヘビ類の), ophiology(蛇類学)も ὄφις をもとにした造語。
ギリシャ語:πρύμνη
読み方:プリムニ・プリームニ
ラテン文字:prymni
古代ギリシャ語の πρύμνη / πρύμνα(船尾)に由来。古代の形容詞 πρυμνός(最後尾の, 奥の)が女性単数形で名詞化した語。現代ギリシャ語では πρύμνη が標準形, πρύμνα は文語的, πρύμη は別綴り。対義語は πλώρη(船首)。派生に πρυμνήσια(船尾綱)。
大文字の Πρύμνη(とも座)はラテン語 Puppis(船尾)を訳した星座名。18世紀にフランスの天文学者ラカイユが巨大な星座 Αργώ(アルゴ船)を三つに分けたときに生まれた, 船尾にあたる部分。元の Αργώ はイアーソーンが金羊毛を求めて航海した伝説の船。
ギリシャ語:τράπεζα
読み方:トゥラペザ・トゥラーペザ
ラテン文字:trapeza
古代ギリシャ語の τράπεζα(食卓, 両替台)を継承。τρι-(三)と πέζα(足, πούς「足」の語族)からなる合成語で, 「三本足の台」がもとの意味。両替商が台の上で金銭を扱ったことから「両替台」の意味が加わり, 現代の「銀行」の意味は英語 bank からの意味借用で整った。ミケーネ時代の線文字 B にも to-pe-za の形で現れる。
英語 trapeze(空中ブランコ), trapezoid(台形), trapezius(僧帽筋)はいずれも同じ τράπεζα から形の連想でできた語。
派生に τραπεζίτης(銀行家), τραπεζικός(銀行の), τραπέζι(テーブル。指小形からできた現代の語形)。
λογαριασμός(勘定, 口座, 請求書)が個別の口座や請求書を指すのに対し, τράπεζα は金融機関そのものを指す。κέρδος(利益, 儲け)は金融活動の結果として残るものを指す。
ギリシャ語:βωμός
読み方:ヴォモス・ヴォモース
ラテン文字:vomos
印欧祖語で「歩む, 踏み出す」を表した語根にさかのぼる動詞 βαίνω(歩む, 上る)から派生した古代ギリシャ語の名詞 βωμός(段, 台, 祭壇)を継承。一段高くなった場所を指し, そこから神に供物を捧げる台の意味に移った。
同じ βαίνω の語族に βάση(基盤, 土台), βήμα(一歩, 演壇), βάθρο(基壇, 台座), βατός(通行可能な), 合成語 εμβαίνω(入る), διαβαίνω(渡る), αναβαίνω(上る), καταβαίνω(下る)。祭壇まわりの語には θυσία(犠牲, 供物), σπονδή(献酒), ναός(神殿, 教会), ιερό(聖域)が並ぶ。
類義の θυσιαστήριο(犠牲を捧げる場所)は θυσιάζω(犠牲を捧げる)から作られた語で, キリスト教の祭壇 Αγία Τράπεζα(聖卓)を言うのに使うことが多い。βωμός は古代の異教の祭壇に結びつくが, 正教会では聖卓の同義語にもなる。先頭大文字の Βωμός は南天の星座さいだん座を指し, ラテン語 Ara, 英語 Ara, フランス語 l'Autel と同じ「祭壇」の意で, どれも古代の観測者が天に見立てた祭壇。
ギリシャ語:αντλία
読み方:アドゥリア・アドゥリーア・アンドゥリア・アンドゥリーア
ラテン文字:antlia
古代ギリシャ語の ἀντλία に由来。もとは ἄντλος(船底にたまった水)に -ία を付けた形で、船底水そのものや、それをかき出すこと、船倉などを指す海事用語だった。現代ギリシャ語で「ポンプ」の意味を持つのは、動詞 αντλώ(くむ、抽出する)に引きよせられて意味がずれたもの。
星座名の Αντλία(ポンプ座)は、18 世紀のフランスの天文学者ラカーユが南天を整理した際、当時発明された空気ポンプを表す la Machine Pneumatique と名づけ、ラテン語で Antlia Pneumatica と訳されたのが始まり。のちに一語に短縮されて Antlia として定着し、英語やギリシャ語に取り入れられた。
ギリシャ語:γλύπτης
読み方:グリプティス・グリープティス
ラテン文字:glyptis
古代ギリシャ語の動詞 γλύφω(彫る、刻む)から派生した γλύπτης(彫刻家)に由来。先頭大文字の Γλύπτης はちょうこくしつ座(南天の星座)を表す。
ギリシャ語:λύκος
読み方:リコス・リーコス
ラテン文字:lykos
古代ギリシャ語の λύκος(狼)を継承。印欧祖語の「狼」を表す語根から続き、ラテン語 lupus、英語 wolf、サンスクリット vṛka、スラヴ祖語 vьlkъ と共通する。英語 lycanthrope(狼男)もラテン語 lycanthrōpus を経て同じ語源で、古代ギリシャ語の合成語 λυκάνθρωπος(λύκος と ἄνθρωπος)から。
派生語に λύκαινα(雌狼)、指小形に λυκάκι、λυκόπουλο(いずれも子狼)、合成語に λυκόφως(薄暮、「狼の光」)など。σκύλος(犬)、αλεπού(狐)、πρόβατο(羊)、αρνί(子羊)と並んで成句や寓話によく登場する。
旧式銃の撃鉄を指すのは、ヘレニズム期ギリシャ語の λύκος にあった「打ち金、てこ」の用法に、フランス語で銃の部品を chien(犬)と呼ぶ慣用が重なったため。同じ用法の類義語に κόκορας(雄鶏)。先頭大文字の Λύκος は南天のおおかみ座で、Κένταυρος(ケンタウルス座)が狙う獣とされる。
ギリシャ語:Δίδυμοι
読み方:ディディミ・ディーディミ
ラテン文字:didymoi
古代ギリシャ語の δίδυμος(二重の、双子の)に由来。δύο(二)の重複からできた形容詞で、印欧祖語で「二」を表す語根につながり、サンスクリット語 dvis(二つ)やラテン語 duplus(二重の)とも系統を同じくする。
男性複数形の Δίδυμοι は、ギリシャ神話のカストルとポルックスの双子兄弟にちなんだ星座名。一方は不死、一方は死すべき定めだったが、死別を悼んで兄弟が願い、二人で夜空にのぼるようになったという神話。ふたご座の主星 α と β もそれぞれ Castor、Pollux と呼ばれる。占星術では黄道十二宮の第三宮の名にも使われる。現代ギリシャ語で一般に「双子」を表すのは中性複数形の δίδυμα で、Δίδυμοι は天文・占星の固有名詞としてのみ用いる。
ギリシャ語:ιχθύς
読み方:イフシス・イフシース・イフティス・イフティース
ラテン文字:ichthys
古代ギリシャ語の ἰχθύς(魚)に由来。中世以降、魚を表す一般的な単語として使われるようになったのは ψάρι(ὀψάριον から)で、ιχθύς は書き言葉や学術的な文脈、οστεϊχθύες(硬骨魚類)、χονδριχθύες(軟骨魚類)のような分類名で残っている。英語 ichthyology(魚類学)、ichthyosaur(魚竜)の ichthyo- も同じ起源。先頭大文字の Ιχθύς は星座名、全大文字の ΙΧΘΥΣ はキリスト教で Ιησούς Χριστός Θεού Υιός Σωτήρ(イエス・キリスト、神の子、救世主)の頭字語として用いられる。
ギリシャ語:Καρκίνος
読み方:カルキノス・カルキーノス
ラテン文字:karkinos
古代ギリシャ語の καρκίνος(カニ)を継承。カニの姿に見立てて同じ語が星座名にも使われ, その用法が現代ギリシャ語の Καρκίνος(かに座, 蟹座)に至る。ラテン語 cancer(カニ, 腫瘍)と同語源とみられ, 英語 Cancer(かに座, がん)はラテン語 cancer から入った。
ギリシャ神話では, Ηρακλής がレルネのヒュドラと戦ったときに足元を挟もうとした大ガニが星座になったとされる。ヘラがヘラクレスを妨害するために送った使いで, 同じ神話に由来する Ύδρα(うみへび座)と近い空域に置かれた。
同じ καρκίνος の語族に καρκίνος(カニ, がん), καρκινικός(がんの), καρκινοπαθής(がん患者), καρκίνωμα(がん腫)。「がん」の意味は, 古代の医学書で腫瘍の形をカニになぞらえたところから始まり, ラテン語 cancer を経て近代の各語に引き継がれた。
ギリシャ語:κριός
読み方:クリオス・クリオース
ラテン文字:krios
古代ギリシャ語の κριός(雄羊)を継承。ふつうは κριάρι(雄羊)を使う。攻城用の破城槌の用法は、雄羊が角で突き当たる姿から。
先頭大文字の Κριός(おひつじ座、牡羊座)は、金毛の雄羊クリソマロス(Χρυσόμαλλος)にちなむ。継母に命を狙われたプリクソスとヘレを背に乗せて空を飛び、コルキスまで運んだ雄羊。プリクソスが到着後に犠牲として捧げた毛皮が「金羊毛」となり、アルゴー船の英雄たちが求めに行ったという話。ゼウスが雄羊を星にした姿。
ギリシャ語:λέων
読み方:レオン・レーオン
ラテン文字:leon
ギリシャ語:παρθένος
読み方:パルセノス・パルセーノス・パルテノス・パルテーノス
ラテン文字:parthenos
古代ギリシャ語の παρθένος(乙女、処女)に由来。印欧祖語で「胸」を表す語根に続き、もとは母となる前の若い女性を指したとされる。転じて形容詞で「手つかずの、純粋な」の意味でも使う。
アテネのアクロポリスの神殿 Παρθενών(パルテノン)は、処女神 Αθηνά Παρθένος を祀ることから παρθένος をもとに名づけられた。星座名として使うときは先頭を大文字にした Παρθένος(おとめ座)と書き、一般名詞と区別する。英語には παρθένος を含む合成語として parthenogenesis(単為生殖、+ γένεσις「誕生」), parthenocarpy(単為結実、+ καρπός「果実」)がある。
派生に παρθενία, παρθενιά(純潔、処女性), παρθενικός(処女の), παρθενογένεση(単為生殖), εκπαρθενεύω(純潔を奪う)。女性形の παρθένα(乙女、処女)は中世ギリシャ語から続く形で、日常では παρθένα のほうをよく使う。
ギリシャ語:σκορπιός
読み方:スコルピオス・スコルピオース
ラテン文字:skorpios
古代ギリシャ語の σκορπίος(サソリ)を継承。母音の衝突を避ける音節の合体(シニゼーシス)で現代の σκορπιός の発音と形になった。先頭大文字の Σκορπιός は星座と占星術でさそり座, その期間に生まれた人を指す固有名的用法。
同じ σκορπίος の語族に σκορπίνα(カサゴ), σκορπαινίδης(カサゴ科), σκορπιώδης(サソリに似た形の)。魚の名として使うときの σκορπιός は σκορπίνα より小型で, 大きな頭部と鰓蓋の棘を持つ近縁種を指す。
英語 scorpion はこの語がラテン語 scorpius / scorpio を経て入ったもの。scorpionfish(カサゴ類の総称)も同じ語源で, 英語でもギリシャ語同様「サソリ」の語が魚の名にも使われている。
ギリシャ語:ταύρος
読み方:タヴロス・ターヴロス
ラテン文字:tavros
古代ギリシャ語の ταῦρος(雄牛)を継承。印欧祖語で「雄牛」を表した語と共通の語源を持ち, ラテン語 taurus(雄牛)も同じ語根から出ている。先頭大文字の Ταύρος は星座と占星術でおうし座, その期間に生まれた人を指す固有名的用法。
同じ ταῦρος の語族に指小形 ταυράκι(小さな雄牛), 形容詞 ταύρειος(雄牛の), 合成語 ταυρομαχία(闘牛), ταυρομάχος(闘牛士), ταυροκαθάψια(古代の牛跳び儀式), ταυροειδής(雄牛のような形の), ταυρόμορφος(雄牛の形をした)。
英語 Taurus(おうし座)はラテン語 taurus を経て入り, tauromachy(闘牛)は ταυρομαχία から。牛の語彙では βόδι(去勢牛)が去勢された使役・食用の牛を指すのに対し, ταύρος は繁殖用の去勢されていない雄牛を指す。
ギリシャ語:τοξότης
読み方:トクソティス・トクソーティス
ラテン文字:toxotis
古代ギリシャ語の τοξότης(弓使い, 射手)を継承。τόξον(弓)に動作主を作る -της が付いてできた語で, 弓を扱う人を言う。
同じ τόξον の語族に τοξοβόλος(弓兵), τοξικός(弓術の, 毒性の), τοξικό(毒), 動詞 τοξεύω(弓を射る)。英語 toxic, toxin も, 古代ギリシャ語 τοξικόν(弓の矢に塗る毒)から入った語で, 同じ語族。
星座の Τοξότης は黄道十二星座の第九宮に当たる。ギリシャ神話で Τοξότης と結び付けられるのは, ケンタウロスの姿をした弓の射手, あるいは弓の発明者とされる森の精クロトスである。
ギリシャ語:Υδροχόος
読み方:イドゥロホオス・イドゥロホーオス
ラテン文字:ydrochoos
Υδροχόος(みずがめ座、水瓶座)は、古いギリシャ語で「水を注ぐ人、水を運ぶ人」を表した語に由来する。水を表す υδρο-(水)と、注ぐ・そそぐ動作に関わる語要素が結びついた形が、黄道十二星座の名称として残った。
もとの語は一般に「水を運ぶ人、水を注ぐ人」という意味を持ち、星座名の Υδροχόος はその姿をそのまま固有名詞にした形である。
主な意味は、黄道十二星座のひとつである「みずがめ座、水瓶座」を指す固有名詞である。占星術では、その期間に生まれた人を指すこともある。
ギリシャ語:ζυγός
読み方:ジゴス・ジゴース・ズィゴス・ズィゴース
ラテン文字:zygos
古代ギリシャ語の ζυγός(くびき, 天秤)を継承。印欧祖語で「くびき」を表す語根に由来し, 英語 yoke と同じ語族。
派生に ζυγαριά(天秤, はかり), ζυγίζω(計量する), ζύγι(重り), υποζύγιο(駄獣), διαζύγιο(離婚), σύζυγος(配偶者)。
星座名の Ζυγός(てんびん座)は同じ語形を固有名詞化したもので, 一般名詞と区別して大文字で書く。
ギリシャ語:Αλντεμπαράν
読み方:アルデバラン・アルデバラーン・アルデンバラン・アルデンバラーン・アルンデバラン・アルンデバラーン・アルンデンバラン・アルンデンバラーン
ラテン文字:Alntebaran
Αλντεμπαράν(アルデバラン)は、アラビア語由来の国際的な星名がギリシャ語に入った形である。語源は「従う者」と説明され、Πλειάδες(プレアデス星団、すばる) の後を追うように昇ることと結びつけられる。
Ταύρος(雄牛、おうし座、牡牛座) の領域で特に目立つ明るい星で、Υάδες(ヒアデス星団) の近くに見える。ギリシャ語では古い別名として Λαμπαδίας(ランバディアス、アルデバランの古いギリシャ語名) がある。
主な意味はアルデバラン。おうし座でひときわ目立つ橙色の明るい恒星を指す。
ギリシャ語:Λαμπαδίας
読み方:ラバディアス・ラバディーアス・ランバディアス・ランバディーアス
ラテン文字:Lampadias
古代ギリシャ語の λαμπαδίας(たいまつのように燃えるもの, 彗星)を継承。λαμπάς(松明, たいまつ)に性質を表す -ίας が付いた形で, 動詞 λάμπω(輝く, 光る)の語族に属する。たいまつや彗星のように強く光るものを呼ぶ語だったが, おうし座の明るい赤い星アルデバランをたいまつの火に見立てた古い呼び名として伝わる。
Αλντεμπαράν(アルデバラン)の古いギリシャ語名として Ταύρος(おうし座)の文脈で現れる。同じおうし座周辺の Υάδες(ヒアデス星団), Πλειάδες(プレアデス星団, すばる)とあわせて位置づけを見るとわかりやすい。
同じ λαμπάς の語族に λάμπα(ランプ, 電球), λαμπάδα(ろうそく, 長い蝋燭), 合成語 λαμπαδηδρομία(トーチリレー, たいまつ競走), λαμπαδηφόρος(たいまつを持つ者)。
ギリシャ語:Πλειάδες
読み方:プリアデス・プリアーデス
ラテン文字:Pleiades
古代ギリシャ語の Πλειάδες(プレアデス)に由来。πλέω(航海する)と結びつけて説明されることが多く, 出没が地中海世界の航海シーズンの目安だったことによるとされる。πέλεια(鳩)の複数形からとする別解もある。神話ではアトラスの娘たちの名としても知られるが, 娘たちより先に星団の名があったとする見方が多い。
英語 Pleiades はラテン語 Pleiades を経て同じ語源。Ταύρος(おうし座)の領域に見え, Αλντεμπαράν(アルデバラン)はその後を追うように昇ることから「従う者」と呼ばれる。同じおうし座の領域には Υάδες(ヒアデス星団)があり, アルデバランの古いギリシャ語名は Λαμπαδίας。
ギリシャ語:βασιλίσκος
読み方:ヴァシリスコス・ヴァシリースコス
ラテン文字:vasiliskos
古代ギリシャ語の βασιλίσκος(小さな王)を継承。βασιλεύς(王、君主、バシレウス)に指小の接尾辞 -ίσκος を付けた形。
同じ語群に βασιλιάς(王、国王)、形容詞の βασιλικός(王の、王にふさわしい、バジル)、女性形の βασίλισσα(女王、王妃)。
しし座のアルファ星の名 Βασιλίσκος(レグルス)は「小さな王」の直訳で、ラテン語 Regulus も同じ発想で作られた。西洋怪物名の英語 basilisk、フランス語 basilic、イタリア語 basilisco はラテン語 basiliscus を経て広まり、元はヘレニズム期のギリシャ語 βασιλίσκος で、眼光や息で害をなすとされる蛇の伝説に結びついた。
ギリシャ語:Υάδες
読み方:ヤデス・ヤーデス
ラテン文字:Yades
Υάδες(ヒアデス、ヒアデス星団)は、古代ギリシャ語の Ὑάδες(ヒアデス)に由来する古い星団名である。いまのギリシャ語でも学術的・伝統的な名としてそのまま用いられる。
Ταύρος(雄牛、おうし座、牡牛座) の顔のあたりに見える有名な星の集まりで、Πλειάδες(プレアデス星団、すばる) と並んで、おうし座の話題ではよく対で現れる。
Αλντεμπαράν(アルデバラン) はこの Υάδες(ヒアデス)の近くに見える明るい星で、古いギリシャ語名 Λαμπαδίας(ランバディアス、アルデバランの古いギリシャ語名) として触れられることもある。
単独の星ではなく、星が集まって見えるまとまりなので、一般語の σμήνος(群れ、群、編隊) を知っていると、星の群れとして理解しやすい。
主な意味はヒアデス星団。おうし座の近くに見える、よく知られた星の集まりを指す。
ギリシャ語:σμήνος
読み方:ズミノス・ズミーノス
ラテン文字:sminos
ギリシャ語:γαλαξίας
読み方:ガラクシアス・ガラクシーアス
ラテン文字:galaxias
ギリシャ語:αστερισμός
読み方:アステリズモス・アステリズモース
ラテン文字:asterismos
古代ギリシャ語の ἀστερισμός(星のまとまり、星座)を継承。αστέρας(恒星)に相当する古代形 ἀστήρ に -ισμός を付けた名詞で、もとから星々が一定の形に見えるまとまりを表した。現代の天文学で星座を体系的に言うときの使い方はフランス語・英語 constellation からの意味借用で定着した。
関連語に αστερίσκος(小さな星、アスタリスク)、αστερίας(ヒトデ、属)、αστρονομία(天文学)、αστρολογία(占星術)など。「勢力圏、陣営」の比喩用法は現代の言い回しで、星座を枠組みに見立てた延長線上にある。
英語 asterism(星群、三つ星の光学現象、※記号)も同じ古代ギリシャ語をもとにした語。
ギリシャ語:έκλειψη
読み方:エクリプシ・エークリプシ
ラテン文字:ekleipsi
古代ギリシャ語の ἔκλειψις(欠如、消失、食)を継承。動詞 ἐκλείπω(欠ける、途切れる、姿を消す)の名詞形で、ἐκ-(外へ)+ λείπω(残す、去る)からなる。λείπω はラテン語 linquō(置き去る)と同じ印欧祖語の語根から出ており、英語 relinquish(放棄する)にもこの根がつながる。
英語 eclipse(食)はラテン語を経てこの ἔκλειψις から。天文用語の ecliptic(黄道)も同じ語源。
関連語に έλλειψη(欠如、楕円)など。派生語に εκλειπτική(黄道)、εκλιπών(亡くなった、故人の)など。
ギリシャ語:κομήτης
読み方:コミティス・コミーティス
ラテン文字:komitis
古代ギリシャ語の κομήτης(長い髪を持つもの)を継承。κόμη(髪)に「〜を持つ者」を表す接尾辞 -της を付けた形で, 人名としてミケーネ期から用例がある。古代の天文書で使った κομήτης ἀστήρ(長い髪を持つ星)という言い方が縮まり, κομήτης 単独で「彗星」を言うようになって, ラテン語 cometa を経由したフランス語 comète, 英語 comet と同じ道筋をたどって今に続く。
元となる名詞は κόμη(髪)で, 動詞 κομάω(髪を長く伸ばす)が兄弟の古い語としてあった。κομήτης 自体から派生する語は限られ, 形容詞 κομητικός(彗星の)が天文学の文脈で使われる程度。
天体の総称は αστέρι(星)で, 流れ星や隕石は μετέωρο(流星, 隕石)。κομήτης はその中で, 尾を引いて見える彗星を指す特定の語。英語 comet, フランス語 comète, イタリア語 cometa, スペイン語 cometa はどれもラテン語 cometa を経由した同じ古代ギリシャ語からの語族。
ギリシャ語:σύμπαν
読み方:シバン・シーバン・シンバン・シーンバン
ラテン文字:sympan
σύν(ともに)と πᾶς(すべて)からなる形容詞 σύμπας(全体の)の中性形を名詞として使った古代ギリシャ語の中性名詞 σύμπαν(全体, すべてを合わせたもの)に由来。「宇宙」の意味はフランス語 univers, 英語 universe からの意味借用で入った近代の用法。
同じ σύμπαν から派生した語に συμπαντικός(宇宙の), συμπαντολογία(宇宙論), συμπαντογένεση(宇宙創成)。
κόσμος(世界, 秩序, 宇宙)も宇宙を言うが, κόσμος が秩序ある全体に重心を置くのに対して, σύμπαν は存在するものの総体をまとめて言う。英語 universe, フランス語 univers, ドイツ語 Universum, イタリア語 universo はラテン語 universum(全体の)を経由した語族で, ラテン語の側もギリシャ語 σύμπαν と同じく「ひとつにまとまった全体」という発想から作られている。
ギリシャ語:δορυφόρος
読み方:ドリフォロス・ドリフォーロス
ラテン文字:doryforos
古代ギリシャ語の δορυφόρος(槍を運ぶ者、護衛兵)に由来。δόρυ(槍)と -φόρος(運ぶ者)からできた語で、古代には支配者のそばに仕える武装した従者、親衛兵を指した。ローマでは皇帝の近衛兵(praetorian guard)も表した。
現代の「衛星」の意味は、フランス語 satellite からの意味借用として近代に加わったもの。フランス語・英語 satellite はラテン語 satelles(護衛兵。エトルリア語起源とも言われる)から来ており、ケプラーが17世紀初頭に木星の月を satelles と呼んだのをきっかけに「惑星の周囲を回る天体」の意味が定着した。つまり「護衛兵→衛星」という意味の展開はラテン語側で独自に起きたもので、δορυφόρος と satellite は語源的には別系統だが、意味の道筋が並行するため、フランス語を介してこの意味だけが δορυφόρος にも乗った。
ギリシャ語:κριάρι
読み方:クリアリ・クリアーリ
ラテン文字:kriari
中世ギリシャ語の κριάρι(雄羊。語末子音を伴う形もある)に由来する語。現代ギリシャ語では、雄羊を表す基本語として定着している。
羊全般の基本語は πρόβατο(羊)。そのうち雄を特に言うときが κριάρι(雄羊)、雌は προβατίνα(雌羊)、子は αρνί(子羊)で、さらに小ささや親しみを込めた形に αρνάκι(小さな子羊、乳飲み仔羊)がある。
同義語に κριός(雄羊)がある。日常語では κριάρι が普通で、κριός はやや文語的な形として現れる。先頭を大文字にした Κριός(牡羊座、おひつじ座)は、星座そのものの名。口語で、その星座の人を κριάρι と呼ぶ用法がここから生まれている。
近い語として τράγος(雄ヤギ)もあり、こちらは羊ではなくヤギの雄を指すので区別される。
主な意味は雄羊、牡羊。角のある成獣の雄を指す。口語では、星占いでおひつじ座の人を指すのにも使われる。星座名そのものは Κριός という。指小語の κριαράκι(小さな雄羊)はその小さい形を表す。
ギリシャ語:ουράνιος
読み方:ウラニョス・ウラーニョス
ラテン文字:ouranios
古代ギリシャ語の οὐράνιος(空の, 天の)を継承。ουρανός(空, 天)に形容詞の語尾 -ιος を付けた形。
ουρανός の語族に Ουρανός(ウラノス神, 天王星), ουρανίσκος(口蓋, ベッドの天蓋), 合成語 επουράνιος(天上の, 至高の), ουρανοξύστης(摩天楼), ουράνιο τόξο(虹, もとは「天の弓」), ουράνιος θόλος(大空, 天蓋), ουράνια σφαίρα(天球)。
英語 Uranus(天王星)は神話のティタン神 Οὐρανός から新ラテン語を経て命名された。元素の uranium(ウラン)も Uranus にちなむ。
ギリシャ語:τροχιά
読み方:トゥロヒャ・トゥロヒャー
ラテン文字:trochia
τροχιά は、古代ギリシャ語の τροχός(車輪、円)を起源とし、もともとは回転する輪や円のイメージをもつ語だった。ヘレニズム時代には「車輪の輪」を意味する語として使われたが、現代ギリシャ語で一般的な「車輪」は ρόδα という。近代に入ると、フランス語の orbite(軌道)の訳語として用いられて、現在の科学的な「軌道」の意味が定着した。
起源にある τροχός(車輪、円)は、英語の trochlea(滑車)や trochoid(トロコイド)とも同じ語源につながる。いずれも回転や円運動を思わせる語群で、τροχιά にもその名残がある。
近い語に πορεία があるが、こちらは「進路、過程、歩み」といった一般的な動きを指すことが多い。τροχιά はそれに対して、数学的・物理学的に描かれる軌道やカーブというニュアンスが強い。
主な意味は、天体や物体が移動するときに描く曲線である「軌道」。天体の公転軌道、発射体の弾道、数学で動点が描く軌跡を指すほか、比喩的に「歩み」「足跡」を表すこともある。さらに、鉄道のレールを指す用法もある。
ギリシャ語:ουρανός
読み方:ウラノス・ウラノース
ラテン文字:ouranos
古代ギリシャ語の οὐρανός(空, 天)を継承。神話では「空」を擬人化したティタン神 Οὐρανός が同名で, クロノスの父にあたる。現代の「ベッドや乗り物の天蓋」の用法はフランス語 ciel de lit(ベッドの空)からの翻訳借用。惑星名 Ουρανός は神名 Οὐρανός から新ラテン語 Uranus を経て入った。
同じ οὐρανός の語族に ουράνιος(空の, 天の), ουρανίσκος(口蓋, 天蓋), επουράνιος(天上の), 合成語 ουρανοξύστης(摩天楼), ουράνιο τόξο(虹, もとは「天の弓」)。宗教文脈では複数形 ουρανοί が「天, 天国」の意味でよく出てくる。
英語 uranium(ウラン)は天王星 Uranus にちなむ元素名で, 神名 Οὐρανός に連なる。「天国」では παράδεισος(楽園, パラダイス, ペルシア語起源)も近く, ουρανοί が神の住まう天を広く指すのに対し, παράδεισος は祝福された者が至る楽園を指す。
ギリシャ語:γη
読み方:イ・イー・ギ・ギー
ラテン文字:gi
ギリシャ語:σελήνη
読み方:セリニ・セリーニ
ラテン文字:selini
古代ギリシャ語の σελήνη(月)に由来。σέλας(輝き, 光)と同じ語族で, 印欧祖語で「輝く」を表す語根から作られた語。「明るく輝くもの」という見方から, 夜空で光る天体の月を指すようになった。ギリシャ神話では月の女神セレーネー(Σελήνη)の名でもある。
英語 seleno-(月の〜, selenology 月学, selenography 月面図)は σελήνη からの学術的な連結形。化学元素の σελήνιο(セレン, 原子番号34)は, 地球の随伴天体という意味合いで, 先に命名された τελλούριο(テルル, ラテン tellus「大地」)と対になるように, スウェーデンの化学者ベルセリウスが月の名から名づけた。派生に σεληνιακός(月の), πανσέληνος(満月), ημισέληνος(半月), σεληνοφώτιστος(月光に照らされた), σεληνιάζομαι(てんかん発作を起こす, 月憑きになる)。
日常会話で「月」を指すときは φεγγάρι が一般的で, σελήνη は天文用語や公式の場面に使うことが多い。
ギリシャ語:αστέρι
読み方:アステリ・アステーリ
ラテン文字:asteri
印欧祖語で「星」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 ἀστήρ(星)の指小形 ἀστέριον を経て, 中世ギリシャ語の ἀστέρι を継承。ラテン語 stella, 英語 star も同じ語族。
派生に αστερώνω(星で飾る), αστερωτός(星形の), αστεράτος(星に恵まれた), αστερισμός(星座)。合成語に αστεροειδής(星のような, 小惑星), πεφταστέρι(流れ星), ξαστεριά(晴れた星空), ξάστερος(晴れた, 星の出た)。
ギリシャ語:άστρο
読み方:アストゥロ・アーストゥロ
ラテン文字:astro
印欧祖語で「星」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 ἄστρον(星)を継承。ラテン語 astrum, 英語 astro-(astronomy, asteroid など)も同じ語族。「運命の星」の意味は中世ギリシャ語の時代から。幾何学図形や記章としての「星」はフランス語 étoile, 「星の戦争」の言い方は英語 star からの意味借用。
派生に αστράκι(小さな星), αστρικός(星の, 恒星の)。同じ語族に έναστρος(星のある, 星の出た), άναστρος(星のない)。合成語は αστρο- の形で作られ, αστρονομία(天文学), αστροφυσική(天体物理学), αστροφεγγιά(星明かり)などがある。
αστέρι は日常の星に, αστέρας は天文学や著名人の比喩に使われ, άστρο は文学や詩, 運命や宗教的シンボルの文脈で好まれる。
ギリシャ語:αστέρας
読み方:アステラス・アステーラス
ラテン文字:asteras
印欧祖語で「星」を表す語根にさかのぼり, 英語 star と同じ語根を共有する古代ギリシャ語の ἀστήρ(星)を継承。中世ギリシャ語で αστέρας の形になり, 今に至る。英語 astronomy は古代ギリシャ語 ἄστρον(星)と νόμος(法則, 秩序)の合成語に, asterisk は ἀστήρ の指小形 ἀστερίσκος(小さな星)にラテン語を経由してさかのぼる。
類義語に αστέρι(星。ふだんの会話で最も一般), άστρο(星。文学や詩でよく出る)。αστέρας は硬い響きで、天文学や著名人を指す比喩、格付けの星の属格複数 αστέρων の形で使うことが多い。派生に ημιαστέρας(クエーサー、半恒星状天体)。関連語に αστερισμός(星座), αστεροειδής(小惑星), αστρικός(星の、星形の), αστρονομία(天文学), αστροναύτης(宇宙飛行士)。
ギリシャ語:φεγγάρι
読み方:フェンガリ・フェンガーリ
ラテン文字:fengari
古代ギリシャ語の φέγγος(光、輝き)の指小形 φεγγάριον(小さな光)から、中世ギリシャ語 φεγγάρι(ν) を経て今に至る継承。「光るもの」の意から月を指す語として定着した。
類義語に σελήνη(月)。σελήνη は天文学や暦、公的・学術的な文脈で使うことが多く、φεγγάρι はふだんの月を指す形として広く定着している。派生に φεγγαράκι(小さな月。指小形), φεγγαράδα(月明かり), φεγγαριάτικος(月の〜), φεγγαρίσιος(月の〜), αφέγγαρος(月のない)。合成語に μισοφέγγαρο(半月), φεγγαροβραδιά(月の夜), φεγγαρόλουστος(月光を浴びた), φεγγαρόφωτο(月光), φεγγαροπρόσωπος(月のような顔の), φεγγαροφώτιστος(月光に照らされた)。関連語に φως(光), φέγγω(光る、輝く)。
ギリシャ語:ήλιος
読み方:イリョ・イーリョ
ラテン文字:ilios
印欧祖語で「太陽」を表す語根に起源を持ち、古代ギリシャ語の ἥλιος(太陽)を継承。ラテン語 sol、英語 sun、ドイツ語 Sonne は同じ語根の別系統。
派生語に ηλιακός(太陽の), ηλιοθεραπεία(日光浴), ηλιοστάσιο(至点), λιάζομαι(日なたぼっこをする)など。関連語に ηλίανθος(ヒマワリ、ήλιος + άνθος「花」の合成語で、口語では ήλιος だけでも呼ぶ), φως(光)。英語 helium は太陽のスペクトルで発見された元素で、ラテン語経由で ἥλιος をもとにした語。heliocentric(太陽中心の), heliosphere(太陽圏)なども同じ語源。

中性名詞 
星座 
人 










信仰・神話 









動物 












道具 

哺乳類 
音楽 

経済 

身体・健康 
職業
軍事 





ウシ亜目 

形容詞 






政治 






物理
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物質
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光と闇 
植物
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