古代ギリシャ語 ὄφις(属格 ὄφεως、ヘビ)の指小形 ὀφίδιον(小さなヘビ)を継承。中世にかけて、母音接続(χασμωδία / hiatus)を避けるための音節融合と、定冠詞との連声によって語頭の ὀ- が落ち、今の形になった。指小辞が原形と入れ替わって新しい主格となるのは、ギリシャ語の名詞語形成によく見られるパターン。
古代の ὄφις は印欧祖語の「ヘビ」を表す語根に由来。サンスクリットの अहि (áhi) や、アヴェスター語の aži-(敵対する蛇神)と同源である。
同じ ὄφις を語源として、英語の ophidian(ヘビ類の)、ophiology(蛇類学)、ophiolite(オフィオライト、蛇紋岩。緑色のまだら模様がヘビに似ることに由来)などの学術語が広まった。
派生語には、φιδάκι(小さなヘビ、可愛らしいヘビなどの指小形)、φιδίσιος(ヘビのような、しなやかで滑らかな性質)、φιδωτός(ヘビのようにくねくねした様子や蛇行)がある。また、古代の ἔχιδνα から派生した οχιά(クサリヘビ、毒蛇の総称)なども関連する。
古代ギリシャ語の語形を保つ όφις は、学術・文章的な単語として残る。合成語には οφιόδηκτος(ヘビに噛まれた)、οφιολάτρης(ヘビ崇拝者)、οφιοειδής(ヘビ形の、波打つ)、οφιόλιθος(蛇紋岩、オフィオライト)などがある。より広く爬虫類全般を指す語には ερπετό がある。
狡猾・邪悪な人物を比喩する用法は古代から続くもので、φίδι στον κόρφο μου(懐のヘビ、恩を仇で返す身近な裏切り者)などの定型句も多い。
具体的な種類としては、ανακόντα(アナコンダ)、βόας(ボア)、κόμπρα(コブラ)、κροταλίας(ガラガラヘビ)、πύθωνας(ニシキヘビ)などが並ぶ。