ギリシャ語:σκουπόξυλο
読み方:スクポクシロ・スクポークシロ
ラテン文字:skoupoxylo
σκούπα(ほうき)と ξύλο(木、棒)を合わせた複合語。
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ギリシャ語:σκουπόξυλο
読み方:スクポクシロ・スクポークシロ
ラテン文字:skoupoxylo
σκούπα(ほうき)と ξύλο(木、棒)を合わせた複合語。
ギリシャ語:εργαλείο
読み方:エルガリオ・エルガリーオ
ラテン文字:ergaleio
古代ギリシャ語の ἐργαλεῖον(道具、作業具)に由来。ἔργον(仕事、働き)に道具を表す接尾辞 -εῖον を付けた名詞で、もともと「仕事の道具」の意味。比喩的に研究や作業の手段を言う用法は、英語 tool、フランス語 outil からの意味借用で定着した。
ἔργον は印欧祖語で「作る、働く」を表す語根から出た語で、英語 work、ドイツ語 Werk と同系。同じ語族に ενέργεια(エネルギー)、όργανο(器官、楽器)、英語 ergonomics(人間工学)、synergy(相乗作用)。
複合語に εργαλειοθήκη(道具箱)、εργαλειομηχανή(工作機械)、πολυεργαλείο(多機能ツール)。
ギリシャ語:κάμινος
読み方:カミノス・カーミノス
ラテン文字:kaminos
古代ギリシャ語の κάμινος(炉、かまど)に由来。日常の炉、かまどには κάμινος の指小形 καμίνιον からきた καμίνι を使い、κάμινος は工業用の溶解炉や文語的な場面で使う。英語 chimney もラテン語 caminus を経て同じ語源。
先頭大文字の Κάμινος は南天の星座、ろ座を指す。1750年代にフランスの天文学者ラカイユが南天に設けた新しい星座で、ラテン語の Fornax Chemica(化学の炉)から名付けられた。
ギリシャ語:αντλία
読み方:アドゥリア・アドゥリーア・アンドゥリア・アンドゥリーア
ラテン文字:antlia
古代ギリシャ語の ἀντλία に由来。もとは ἄντλος(船底にたまった水)に -ία を付けた形で、船底水そのものや、それをかき出すこと、船倉などを指す海事用語だった。現代ギリシャ語で「ポンプ」の意味を持つのは、動詞 αντλώ(くむ、抽出する)に引きよせられて意味がずれたもの。
星座名の Αντλία(ポンプ座)は、18 世紀のフランスの天文学者ラカーユが南天を整理した際、当時発明された空気ポンプを表す la Machine Pneumatique と名づけ、ラテン語で Antlia Pneumatica と訳されたのが始まり。のちに一語に短縮されて Antlia として定着し、英語やギリシャ語に取り入れられた。
ギリシャ語:λύκος
読み方:リコス・リーコス
ラテン文字:lykos
古代ギリシャ語の λύκος(狼)を継承。印欧祖語の「狼」を表す語根から続き、ラテン語 lupus、英語 wolf、サンスクリット vṛka、スラヴ祖語 vьlkъ と共通する。英語 lycanthrope(狼男)もラテン語 lycanthrōpus を経て同じ語源で、古代ギリシャ語の合成語 λυκάνθρωπος(λύκος と ἄνθρωπος)から。
派生語に λύκαινα(雌狼)、指小形に λυκάκι、λυκόπουλο(いずれも子狼)、合成語に λυκόφως(薄暮、「狼の光」)など。σκύλος(犬)、αλεπού(狐)、πρόβατο(羊)、αρνί(子羊)と並んで成句や寓話によく登場する。
旧式銃の撃鉄を指すのは、ヘレニズム期ギリシャ語の λύκος にあった「打ち金、てこ」の用法に、フランス語で銃の部品を chien(犬)と呼ぶ慣用が重なったため。同じ用法の類義語に κόκορας(雄鶏)。先頭大文字の Λύκος は南天のおおかみ座で、Κένταυρος(ケンタウルス座)が狙う獣とされる。
ギリシャ語:ζυγός
読み方:ジゴス・ジゴース・ズィゴス・ズィゴース
ラテン文字:zygos
古代ギリシャ語の ζυγός(くびき, 天秤)を継承。印欧祖語で「くびき」を表す語根に由来し, 英語 yoke と同じ語族。
派生に ζυγαριά(天秤, はかり), ζυγίζω(計量する), ζύγι(重り), υποζύγιο(駄獣), διαζύγιο(離婚), σύζυγος(配偶者)。
星座名の Ζυγός(てんびん座)は同じ語形を固有名詞化したもので, 一般名詞と区別して大文字で書く。
ギリシャ語:κουτάλι
読み方:クタリ・クターリ
ラテン文字:koutali
ヘレニズム期の κώταλις(くぼみのある器, ひしゃく)の指小形として中世ギリシャ語に κουτάλι(ν) が作られ, 指小の意味は抜けて「スプーン」を指す語になった。もとの κώταλις は現代に伝わらず, 同じ語群から派生した κουτάλα(お玉, 大さじ)が大ぶりの道具の名として残っている。
現代ギリシャ語では食卓のスプーンそのものに加えて、そこから派生した「一さじ分」の量も表す。
派生語に κουταλάκι(小さなスプーン、ティースプーン)、κουταλιά(一さじ分)などがある。
ギリシャ語:νεροχύτης
読み方:ネロヒティス・ネロヒーティス
ラテン文字:nerochytis
中世ギリシャ語 νεροχύτης を継承。
νερό(水)と古代ギリシャ語の χύνω(流す、注ぐ)に、行為者を表す -της が付いてできた合成語。文字どおりには「水を流すもの」で、中世以降、家屋の流しや洗い場を指す語として使われてきた。言葉を水のようにだらだら流し続ける人を指す比喩は、現代の口語で加わった用法。
共通の語源を持つ関連語に χύτρα(鍋)などがある。
ギリシャ語:πιάτο
読み方:ピアト・ピアート
ラテン文字:piato
πιάτο は古代ギリシャ語の πλατύς(広い、平たい)につながる語で、俗ラテン語、イタリア語 piatto を経て中世ギリシャ語に戻ってきた。いったんギリシャ語から外へ出た語が別のかたちで戻ってきた反借用語である。
英語の plate も同じ πλατύς に由来するので、πιάτο と plate は遠いところで同じ「平たいもの」の感覚を共有している。
もっとも近いのは φαγητό(食べ物、料理)で、πιάτο はそれを載せる皿でもあり、載った一皿の料理でもある。τραπέζι(テーブル、食卓)や μαχαίρι(ナイフ)と並んで、食卓の基本語の一つとして使われる。
指小語の πιατάκι(小皿、受け皿)は小皿、受け皿、ソーサーのような小さめの皿を表す。大きさだけでなく、ちょっとした軽い感じや親しみも出せる形である。
主な意味は「皿」。そこから、一皿に盛られた量、その料理自体、さらに皿に似た形をした物へと意味が広がる。
ギリシャ語:ποτήρι
読み方:ポティリ・ポティーリ
ラテン文字:potiri
古代ギリシャ語の ποτήριον(飲み物を入れる器、杯)から。現代ギリシャ語でも、飲み物を注いで飲むための器を指す基本語としてそのまま残っている。
ποτό(飲み物、酒)が中身を言いやすいのに対して、ποτήρι はまず器そのものを表す。ただし、νερό(水)や κρασί(ワイン)のような語と結びつくと、ποτήρι νερό(コップ一杯の水)、ποτήρι κρασί(グラス一杯のワイン)のように量の意味にも自然に広がる。
指小語の ποτηράκι(小さなグラス、ちょっとした一杯)は小さなグラス、ショットグラス、ちょっとした一杯を表す。文語的な ποτήριον は教会語や定型表現に残っており、現代の ποτήρι と地続きの関係にある。
主な意味は「コップ、グラス」。そこから、中に入っている一杯分の量、さらに一杯の酒そのものも指す。
ギリシャ語:πεταλούδα
読み方:ペタルダ・ペタルーダ
ラテン文字:petalouda
基本の「蝶」を表す πεταλούδα は、中世ギリシャ語 πεταλούδα の形で現れ、現代ギリシャ語でもそのまま日常語として使われている。さらに古い前史には揺れがあり、πέταλον(葉、花びら)に由来するという見方や、πετηλίς(バッタの一種)との関係をみる説がある。
競泳の「バタフライ」は、英語 butterfly の影響を受けて加わった意味である。カオス理論でいう φαινόμενο της πεταλούδας(バタフライ効果)も、英語 butterfly effect に対応する言い方として広がった。
羽を大きく開いた蝶の姿から、πεταλούδα は似た形のものにも広く使われる。競技では κολύμπι(水泳、泳ぎ、泳法)の泳法名になり、道具では μαχαίρι(ナイフ、包丁、メス、刃)の一種や自動車部品、釣り具を指すことがある。さらに、淡水の ψάρι(魚、騙されやすい人、新兵、無口な人)の一種の名にもなっている。
主な意味は「蝶」。そこから競泳のバタフライ、羽のように開く形のもの、医療用のバタフライ針、さらにフナ属の淡水魚まで指す。
ギリシャ語:χταπόδι
読み方:フタポディ・フタポーディ
ラテン文字:chtapodi
χταπόδι は中世ギリシャ語の οκταπόδι(タコ)に由来する。現代ギリシャ語では語頭の o が落ちた χταπόδι が日常形として定着している。
やや硬い文脈では οκτάπους(タコ)という形も見られる。まれに κταπόδι(タコ)という形も使われるが、ふつうは χταπόδι が最も自然で一般的である。
海の生き物を広くいう ψάρι(魚)に対して、χταπόδι は頭足類としてのタコを具体的に指す語。生息環境の語としては θάλασσα(海)と結びつきやすく、近い海産物として καλαμάρι(イカ)や σουπιά(コウイカ)も並ぶ。類義語として πολύποδας(タコ、ポリプ)もあるが、χταπόδι のほうが日常的で食卓の語としてもなじみやすい。
指小語の χταποδάκι(小さなタコ)は、小ぶりのタコや、やわらかく親しみをこめた言い方として使われる。
主な意味は、八本の腕を持つ海の動物としての「タコ」。食材としてもそのまま使われる。そこから、触手のように何本も伸びる形にたとえて、荷物を固定する伸縮ゴムひもや、車の排気マニホールドも χταπόδι と呼ぶ。
ギリシャ語:παπαγάλος
読み方:パパガロス・パパガーロス
ラテン文字:papagalos
アラビア語 ببغاء(擬音起源)を中世ギリシャ語が παπαγάς(オウム)として取り入れ、そこから派生したイタリア語 pappagallo が現代ギリシャ語に再導入された語。語の反復音はオウムの鳴き声を思わせる。
同義に ψιττακός。指小形の παπαγαλάκι は小型のオウムのほか、情報を流す工作員や情報の運び屋をくだけて言う。派生動詞 παπαγαλίζω(機械的に繰り返す), 形容詞 παπαγαλίστικος(オウム的な)がある。
ギリシャ語:κουζίνα
読み方:クジナ・クジーナ・クズィナ・クズィーナ
ラテン文字:kouzina
κουζίνα は、意味ごとに別の借用経路が重なってできた語。家の中の「台所、キッチン」という意味はヴェネツィア語の cusina から入り、オーブンつきの「コンロ」という意味はフランス語の cuisinière から、国や地域の「料理、料理法」という意味はフランス語の cuisine から入った。現代ギリシャ語では、それらがひとつの形にまとまり、調理する場所、器具、料理の伝統をまとめて表せるようになっている。
器具の意味で近いのは φούρνος(オーブン、かまど、パン屋、工業炉)だが、φούρνος が焼くための炉やオーブンを中心に指すのに対し、κουζίνα は上部に火口があり下にオーブンが付いた一体型の調理器具を指しやすい。台所まわりでは μαχαίρι(ナイフ、包丁、メス、刃)のような語と結びついて μαχαίρι της κουζίνας(台所の包丁)と言い、器具の部位では μάτι(目、視線、穴、邪視)を使って μάτι της κουζίνας(コンロの火口)とも言う。料理の意味では φαγητό(食べ物、料理、食事)が皿の上の食べ物そのものを指しやすいのに対し、κουζίνα は料理様式や店・地域の持ち味を言う。業務用の調理場には μαγειρείο(調理場、まかない場)が近く、食文化全体をやや堅めに言うなら γαστρονομία(ガストロノミー、美食文化)のほうが向いている。
κουζινάκι(小さな台所、ミニキッチン)は小さな台所やミニキッチンを指す。κουζινέτο(小型コンロ、簡易調理台)は第2義の延長で、小型の調理台や簡易コンロを言うときに使いやすい。κουζινούλα(小さな台所、小さなコンロ)と κουζινίτσα(小さな台所、小さなコンロ)は、台所やコンロを小さくかわいらしく言う形で、どちらも第1義と第2義にかかる。
主な意味は、家や店の中で料理をする場所としての台所、火口とオーブンを備えた調理器具としてのコンロ、そして国・地域・店ごとの料理や料理法。ひとつの語で空間、器具、食のスタイルまでをまとめて言える。
ギリシャ語:μολύβι
読み方:モリヴィ・モリーヴィ
ラテン文字:molyvi
μολύβι は古代ギリシャ語の μόλυβδος(鉛)につながり、中世ギリシャ語の μολύβιν(鉛)と μολύβι(鉛)を経た語。もともとは鉛そのもの、あるいは鉛を使ったものを指し、そこから芯を持つ細長い筆記具にも意味が広がった。近代にはフランス語 crayon(鉛筆、クレヨン)の意味的な影響も重なり、現代ギリシャ語の μολύβι では「鉛筆」がもっとも基本の意味になっている。
日常語で「鉛筆」と言うときは μολύβι が基本で、化学や金属の文脈で「鉛」をはっきり言うときは μόλυβδος のほうが改まった言い方になる。ペンシル型の化粧品も同じ語で呼ばれ、μάτι(目)、χείλος(唇)、φρύδι(眉)の輪郭を取る道具を表す。
指小語の μολυβάκι(小さな鉛筆、小ぶりのペンシル)は、小さな鉛筆や短い鉛筆、また化粧用のペンシルをやわらかく言う形としてよく使われる。
主な意味は「鉛筆」。そこから、アイライナーやリップライナーのようなペンシル型コスメ、口語の「鉛」や「弾丸」、さらに鉛のように重く沈む感覚へと意味が広がっている。χαρτί(紙)と並ぶと、計算やメモを始める具体的な道具立てを表しやすい。比喩では βαρύς(重い)の形容詞的な感覚と重なりやすい。
ギリシャ語:κλειδί
読み方:クリディ・クリディー
ラテン文字:kleidi
印欧祖語で「鍵, 閉じる道具」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 κλείς(鍵, かんぬき)の指小形 κλειδίον(小さな鍵)を経て, 中世ギリシャ語の κλειδί(ν) を継承。語末の -ν が脱落して現代ギリシャ語の κλειδί の形になった。
派生に κλείδα(鎖骨, 鍵), κλειδάκι(小さな鍵, 指小形), κλειδαράς(錠前師), κλειδαριά(錠, 鍵穴), κλειδώνω(鍵をかける)。合成語に αντικλείδι(合鍵), γαντζόκλειδο(鉤爪レンチ), κλειδαμπαρώνω(しっかり閉ざす), κλειδάριθμος(PIN コード), κλειδοκύμβαλο(クラヴィコード, 鍵盤楽器), κλειδομαντεία(鍵占い), μπουλονόκλειδο(ボックスレンチ), μπουζόκλειδο(プラグレンチ)。
ギリシャ語:ψαλίδι
読み方:プサリディ・プサリーディ
ラテン文字:psalidi
ψαλίδι(はさみ、ハサミ)は、ヘレニズム期の ψαλίδιον(小さなはさみ)にさかのぼる語で、これは古代ギリシャ語 ψαλίς(はさみ)を小さくした形である。そこから中世ギリシャ語の ψαλίδι(はさみ)を経て、現代ギリシャ語でもほぼ同じ形で受け継がれた。
μαχαίρι(ナイフ、包丁)が一本の刃で切る道具を広く指すのに対して、ψαλίδι は二枚の刃が開閉して切る道具を具体的に指す。形が似ていることから、髪を整える器具や車の部材などにも意味が広がっている。
主な意味は「はさみ、ハサミ」。そこから、見た目や動きが似た器具や部材、さらに予算や給付の削減、スポーツや体操でのはさみのような動きも表す。指小語 ψαλιδάκι(小ばさみ)は、爪用の小ばさみや、脚や腕を交差させる運動の言い方としてよく使われる。
ギリシャ語:αναπτήρας
読み方:アナプティラス・アナプティーラス
ラテン文字:anaptiras
αναπτήρας はドイツ語の Anzünder から入った借用語。現代ギリシャ語では、火花で小さな炎を出して火をつける道具を指す語として定着している。
主な意味はライター。たばこやガスコンロに火をつけるときのほか、車載のシガーライターも含めて言え、燃料の違いで βενζίνη(オイル、ガソリン)や υγραέριο(ガス)を使うタイプのようにも言い分ける。
火をつける道具としては、σπίρτο(マッチ) も近いが、σπίρτο は一本ごとのマッチを指し、αναπτήρας はライターを指す。比較には ζίπο(Zippo ライター)や τσακμάκι(火打ち石、ライター)もあり、火をつける行為を言う動詞は ανάβω(火をつける、つける、点火する) が基本になる。指小語の αναπτηράκι(小さなライター、小型ライター)は、小さめのライターや気軽な言い方として使われる。
ギリシャ語:σπίρτο
読み方:スピルト・スピールト
ラテン文字:spirto
σπίρτο はイタリア語の spirito(アルコール、スピリッツ)から入った借用語。もとの「アルコール」の意味は、現代ギリシャ語でも俗語としての「強い酒」や、化学の言い方の σπίρτο του άλατος(塩酸)に残っている。
現代の日常語では、そこから意味が大きく広がり、まず「マッチ」を指す語として定着している。さらに比喩では、ぱっと火がつく感じから、頭の回転が速い人を言うくだけた言い方にもなる。
火をつける道具としては、やや古風な言い方に πυρείο(マッチ、火打ち具)があり、現代の日常語では αναπτήρας(ライター) が対応する。比喩の「切れ者」という意味では、σπίθα(火花、きっかけ、残り火)も近い。
酒の語としては、ποτό(飲み物、酒、飲酒)が飲み物や酒全般を広く言えるのに対し、σπίρτο は俗に度数の強い酒やアルコールを荒っぽく指す。ワインのように酒の種類を限って言う κρασί(ワイン)とは守備範囲が違う。
主な意味はマッチ。そこから、くだけた比喩で「とても頭の切れる人」、俗語で「強い酒、アルコール」、固定した化学の言い方では「塩酸」も表す。
人を褒めて σπίρτο と言うと、頭の回転が速くて要領のいい人を表す。言い方によっては素直な称賛にも、軽い皮肉にもなる。
ギリシャ語:ρολόι
読み方:ロロイ・ロローイ
ラテン文字:roloi
ρολόι は、古代ギリシャ語の ὡρολόγος(時を扱う人、時を整えて読む人)にさかのぼる。ὡρολόγος は ὥρα(時間、時刻)と λέγω(並べる、整える)からできた語である。そこに、道具名や物の名を作る接尾辞 -ιον(道具名や物の名を作る語尾)が付いて ὡρολόγιον(時を示すもの、時計)という形になった。その後、語頭の ὡ-(語頭の要素)が落ち、現代ギリシャ語の ρολόι になった。
ώρα(時間、時刻)が時間そのものを言うのに対し、ρολόι はそれを示す機械や器具を指す。針は δείκτης(指針、指示棒、人差し指、指数、添字)と呼ばれ、壁掛け時計、腕時計、日時計、デジタル時計までまとめてこの語で言える。指小形 ρολογάκι(小さな時計、かわいく言う腕時計)は、小さな時計や腕時計をくだけて言うときに使う。
植物名では、つる性で目立つ花をつけるアサガオを指すことがある。この意味では ιπομέα(アサガオ、朝顔)のような呼び名と重なる。
主な意味は「時計」。そこから、町なかの時計台、水道や電気のメーター、車の計器類にも広がる。比喩的には βιολογικό ρολόι(体内時計)も言い、成句では「きっかり計る」「物事が順調に進む」「機械が正確に動く」といった意味にもなる。
ギリシャ語:δείκτης
読み方:ディクティス・ディークティス
ラテン文字:deiktis
文語的には、ヘレニズム期の δείκτης(示すもの、明らかにするもの)を土台にした語。のちにフランス語の indice・indicateur やドイツ語の Anzeiger・Anzeige になぞらえる形で意味が広がり、現代ギリシャ語では「針」「指数」「添字」「指示薬」のように、何かを示したり表したりするもの全般を表すようになった。
「人差し指」の意味は、ヘレニズム期の δεικτικός δάκτυλος(指し示す指)に沿う用法で、フランス語の index に対応する。χέρι(手、腕)の親指の隣にある指を指す。
口語寄りの綴りに δείχτης(「指針」「人差し指」で使われる別綴り)もあり、とくに具体物としての「指針」「人差し指」の意味で使われる。これは語中の /kt/ が /xt/ に寄った形。
主な核にあるのは「何かを指し示すもの」という感覚で、計器の針や指示棒のような具体物から、統計や経済の指数、数学や化学で使う添字・指示薬まで広く表す。固定した言い方では οικονομικός δείκτης(経済指標)や δείκτης νοημοσύνης(知能指数、IQ)がよく使われる。
ギリシャ語:κιθάρα
読み方:キサラ・キサーラ・キタラ・キターラ
ラテン文字:kithara
古代ギリシャ語の κιθάρα(竪琴に似た弦楽器)に由来。形はそのままで、現代の「ギター」の意味はイタリア語 chitarra からの意味借用で加わった。
古代の κιθάρα はギリシャ先住の言語から来たとされ、さらに古い起源としてフルリ・ウラルトゥ語の kinnar(竪琴、ハープ)につながるとする説もある。この語形はラテン語 cithara、中世アラビア語 qītāra、イタリア語 chitarra へと渡り、その過程で楽器そのものが今のギターに近い形へと変わっていった。現代ギリシャ語はこの新しい意味だけをイタリア語から取り込み、形は古代のまま残した往復借用の語。英語 guitar もスペイン語 guitarra を経て同じ系統から来ている。
派生語に κιθαρίστας(ギター奏者)、指小形の κιθαρούλα。関連語に μουσική(音楽)、動詞 παίζω(演奏する)。
ギリシャ語:τρίγωνο
読み方:トゥリゴノ・トゥリーゴノ
ラテン文字:trigono
古代ギリシャ語の τρίγωνον(三角形、三角の)から。語の形としては、数を表す τρι-(三)と、γωνία(角)と同じ系統の要素が合わさったもので、文字どおりには「三つの角をもつもの」という造りになっている。
現代ギリシャ語でも、幾何学の「三角形」という中心の意味はこの古い語からそのまま続いている。フランス語や英語の triangle は意味も形もよく対応するが、τρίγωνο 自体はそれらから来た語ではなく、古代ギリシャ語から受け継がれた語である。近代の複合表現には、フランス語や英語の triangle と重なる言い方も見られる。
いちばん近い基本語は γωνία(角、角度)。三角形は三つの角をもつ図形なので、語の意味の芯もここにつながっている。指小語の τριγωνάκι(小さな三角形)もあるが、これは小さな三角形や三角形の小物を指すときの軽い形で、通常は独立した説明を立てるほどではない。
主な意味は幾何学の「三角形」。そこから、三角形の物、体の部位名や星座名、町の一角の呼び名、菓子、楽器、角度を測る道具にも広がる。
ギリシャ語:μπανάνα
読み方:バナナ・バナーナ
ラテン文字:banana
果物、バナナ味のもの、バナナボートの意味では、イタリア語と英語の banana(バナナ)を通って現代ギリシャ語に入った。ウエストポーチ、電気部品、髪型の意味では、フランス語の banane(バナナ)を経た形で使われている。
果実がなる植物は μπανανιά(バナナの木、バナナの株)と呼ばれる。指小語には μπανανίτσα(小さなバナナ)と μπανανούλα(小さなバナナ)があり、小さなバナナや親しみを込めた言い方に使う。
主な意味はトロピカルフルーツのバナナ。そこから、バナナで作ったものやバナナ味の食品を表す形容的な使い方が生まれ、さらに細長い形や黄色い見た目の連想から、海上で遊ぶバナナボート、腰に巻くポーチ、バナナプラグや小型ワイヤレスマイク、巻き上げた髪型も指すようになった。
複合語では、見かけだけ民主的で実質的には不安定な国家を指す δημοκρατία της μπανανίας(バナナ共和国)がよく知られる。別形の δημοκρατία της μπανάνας(バナナ共和国)も使われる。食品名では μπανάνα σπλιτ(バナナスプリット)や μπανάνα τσιπς(バナナチップス)も定着している。
ギリシャ語:σουγιάς
読み方:スヤス・スヤース
ラテン文字:sougias
トルコ語の soya に由来する借用語。
μαχαίρι が包丁やナイフを広く指すのに対して、σουγιάς はポケットに入れて持ち歩ける小型の折りたたみ式の刃物を具体的に指す。
主な意味は「折りたたみ小刀、ポケットナイフ」。刃は一本のことが多く、まれに二本付いたものもある。指小語の σουγιαδάκι は、より小さなものやかわいらしく言う場合に使う。
ギリシャ語:μαχαίρι
読み方:マヘリ・マヘーリ
ラテン文字:maxairi
古代ギリシャ語 μάχαιρα(刃物, 刀剣)の指小形 μαχαίριον(小さな刃物)から。中世ギリシャ語の μαχαίρι(ν) を経て, 語末の -ν が脱落して現代ギリシャ語の μαχαίρι の形になった。
派生に μαχαιράκι(小さなナイフ, 指小形), μαχαιράς(ナイフ使い), μαχαιρένιος(ナイフの, 鋭い), μαχαιριά(刺し傷, 一撃), μαχαίρωμα(刺すこと), μαχαιρώνω(刺す)。合成語に μαχαιροπίρουνο(ナイフとフォーク, カトラリー), μαχαιροποιός(ナイフ職人), μαχαιροβγάλτης(刃物を抜く荒くれ者), τραπεζομάχαιρο(食卓ナイフ), κοντομάχαιρο(短剣), χασαπομάχαιρο(肉切り包丁)。
σουγιάς(折りたたみ式の小刀), νυστέρι(医療用メス), λεπίδι(刃, 刃先), εγχειρίδιο(短剣)はそれぞれ特定の刃物を指す。
ギリシャ語:στολίδι
読み方:ストリディ・ストリーディ
ラテン文字:stolidi
古代ギリシャ語の στολή(装束、装備)から派生した動詞 στολίζω(飾る)に、接尾辞 -ίδι が付いた形。英語の stole(ストール)は στολή がラテン語 stola を経て借用されたもので、stall(失速する、もとは場所を整える意)も同じ語源から来ている。
古代ギリシャ語には形の似た στολίδιον(短いチュニック)という語があるが、現代の στολίδι とは意味のつながりがない。
「飾り」を意味する一般的な語で、装飾品から装身具までを指す。文脈により芸術的価値のない小物、あるいは派手な装身具というニュアンスを含む。比喩的には、優れた才能や高い質を備えた人や物を称えるのにも使われる。
ギリシャ語:φρένο
読み方:フレノ・フレーノ
ラテン文字:freno
φρένο はイタリア語の freno(ブレーキ)に由来する。現代ギリシャ語では主に複数形 φρένα で用いられる。
工学・技術用語としての「制動装置」から、日常的な乗り物のブレーキ、比喩的な「抑制」まで幅広く使われる。類義語に τροχοπέδη(制動機)があるが、日常会話では φρένο が一般的。
関連する複合語に αερόφρενο(エアブレーキ)、ποδόφρενο(フットブレーキ)、σερβόφρενο(サーボブレーキ、倍力装置)、χειρόφρενο(ハンドブレーキ)がある。動詞形は φρενάρω(ブレーキをかける)。
主な意味は、移動中または回転中の物体、主に車両を減速・停止させるためのブレーキ。換喩として、急ブレーキをかける際に発生する摩擦音を指すこともある。比喩的には、何かを食い止めたり、制限したり、進行を遅らせたりする表現にも使われる。
ギリシャ語:πυξίδα
読み方:ピクシダ・ピクシーダ
ラテン文字:pyxida
古代ギリシャ語でツゲの木を意味する πύξος に由来する。ツゲで作られた小箱は πυξίς と呼ばれ、中世以降に磁針を収める箱としてこの名が用いられるようになった。現代ギリシャ語では主に方位磁石を指すが、考古学用語としてもその名を留めている。
英語の box や pyxis(ピクシス:星座の羅針盤座や解剖学・考古学用語)と語源を共有する。
類義語に μπούσουλας があり、イタリア語 bussola(羅針盤)に由来する口語的な表現。合成語としては ραδιοπυξίδα(無線方位測定機)がある。
主な意味は方位磁石・コンパス。比喩的に人生や行動の指針を表すのにも使われる。古代の小箱を指す考古学用語としても残る。なお、日本語で同じく「コンパス」と呼ばれる製図用の円を描く道具は、ギリシャ語では διαβήτης という別の語になる。
ギリシャ語:τροχός
読み方:トゥロホス・トゥロホース
ラテン文字:trochos
古代ギリシャ語の τροχός(車輪、回転体)を継承。印欧祖語で「走る、引く」を表した語根の子孫で、動詞 τρέχω(走る)と同じ語根から出る。
派生語に τροχαλία(滑車)、τροχίσκος(小さな車輪、錠剤、円盤)、τροχαίος(交通の、交通関係の)。合成語に τροχιά(軌道、軌跡)、υδροτροχός(水車)、τροχοφόρος(車輪のついた、輪付きの乗り物)、τροχοπέδη(ブレーキ)。
車輪を言うもう一つの語に ρόδα(車輪)があり、τροχός は技術的な合成や比喩(歯車、ろくろ、運命の輪)で使う。英語 truck(もとは車輪付きの台車)、trochanter(解剖学の転子)はラテン語 trochus を経て τροχός と同じ語源に連なる。
ギリシャ語:κάβουρας
読み方:カヴラス・カーヴラス
ラテン文字:kavouras
古代ギリシャ語の κάραβος(ザリガニ)が起源。コイネーを経て、中世ギリシャ語では κάβαρος(中間形)に近い形が現れ、その後は唇音 [v] の影響で母音が a から u に寄ったとされる。さらに中世ギリシャ語の κάβουρ(ος)(中間形)を経て、現代ギリシャ語の κάβουρας に至った。
英語の crab も、最終的にはこの語と同じ語源につながるとされる。
近い語に καβούρι があり、どちらも一般には「カニ」を指す。派生語には女性形の καβουρίνα や、指小語の καβουράκι がある。καβουράκι は小さなカニを指すほか、帽子の一種の俗称にもなる。
主な意味は「カニ」。そこから、形の似た道具や、横に進む動きになぞらえた編み方も指す。独特の歩き方から、進み方が遅いことや、難しい局面で実力が試されることを言う表現にもよく現れる。
ギリシャ語:ταινία
読み方:テニア・テニーア
ラテン文字:tainia
古代ギリシャ語の ταινία(帯, リボン, 鉢巻き)に由来。印欧祖語で「張る, 伸ばす」を表す語根に続く語で, 同じ語族に動詞 τείνω(張る, 伸ばす)。「映画フィルム」「磁気テープ」「映画作品」の意味は近代にフランス語 bande(帯, フィルム, テープ)の意味配置と重なって加わり, 「サナダムシ」の医学的な意味はすでにヘレニズム期にあり, ラテン語 taenia, フランス語 ténια, 英語 taenia の医学用語の語源にもなった。
派生に指小形 ταινιούλα(小さなリボン, 軽蔑的に「つまらない映画」), 形容詞 ταινιακός(テープ状の)。合成語に βιντεοταινία(ビデオテープ), μαγνητοταινία(磁気テープ), τηλεταινία(テレビ映画)。
映画作品を指すときにもっとも使われるのは ταινία。σινεμά はフランス語 cinéma 由来の借用で, 映画館のほか映画(芸術・産業全体)も指す。κινηματογράφος は κίνημα(動き)と γράφω(記録する)を合わせた語で, 映画館のほか映画という分野そのものも指す。単なる紐やリボンには κορδέλα(紐, リボン)を使い, 幅のある帯や鉢巻き, テープ類には ταινία。
ギリシャ語:χαλάκι
読み方:ハラキ・ハラーキ
ラテン文字:chalaki
χαλί(絨毯)に指小辞 -άκι がついた形。
小さな絨毯のほか、玄関に置く靴拭き用のドアマットを指すのによく使われる。
ギリシャ語:μοκέτα
読み方:モケタ・モケータ
ラテン文字:moketa
フランス語の moquette(厚みのあるパイル織りの織物、敷き詰めカーペット)からの外来借用。19世紀以降、フランスのパイル織り技術が広まる中で住宅・劇場・列車内装材としての敷き詰めカーペットを指す国際語となり、ギリシャ語にもこの語形のまま入った。フランス語 moquette 自体は毛足の長いパイル織物を指す古い職人言葉に由来し、明確な近縁の同族語は他言語に残っていない。同じフランス語からイタリア語 mochetta, スペイン語 moqueta, 英語 moquette も入っている。
類義語に χαλί(絨毯、敷物。トルコ語 halı 由来の外来借用で、床に置く取り外し自在な絨毯全般を指す), τάπητας(絨毯、織物。古代ギリシャ語 τάπης 由来で、行政・公式・装飾文化の硬い文脈で使う), κιλίμι(キリム。トルコ語 kilim 由来の外来借用で、毛足のない平織り絨毯)。μοκέτα は壁から壁まで床面に固定して敷き詰めるロール状のカーペットを指す形として広く使い、車のフロアマットも指す。
ギリシャ語:τάπητας
読み方:タピタス・ターピタス
ラテン文字:tapitas
古代ギリシャ語の τάπης(敷物、絨毯。属格 τάπητος、対格 τάπητα)からの学術借用(διαχρονικό δάνειο)で、対格 τὸν τάπητα を主格として再分析し、現代ギリシャ語の男性名詞 -ας 型に整えなおして τάπητας の形に落ち着いた。フランス語 tapis(絨毯)の意味から、表面を端から端まで覆うもの(舗装面・芝生など)を指す現代の比喩用法も意味借用(σημασιολογικό δάνειο)として加わった。古代の τάπης 自体の起源は明確でなく、イラン語派(ペルシャ語 tanbase「絨毯」など)からの借用説と、先ギリシャ語基層からの語とする説が並ぶ。古代ギリシャ語の τάπης はラテン語 tapete を経て、フランス語 tapis(絨毯), イタリア語 tappeto(絨毯), 英語 tapestry(タペストリー), ドイツ語 Teppich(絨毯)の源になった。
類義語に χαλί(絨毯、敷物。トルコ語 halı 由来の外来借用で、置き敷きの絨毯全般を指す日常の形), μοκέτα(敷き詰めカーペット。フランス語 moquette 由来の外来借用), κιλίμι(キリム。トルコ語 kilim 由来の外来借用、毛足のない平織り)。τάπητας はやや硬い書き言葉で絨毯を指す形として、行政・公式・装飾文化や、表面を端から端まで覆うものの比喩(舗装面、競技場の芝生)で使う。派生に ταπητοστρώνω(絨毯を敷く), ταπητόστρωση(絨毯敷き), ταπητόστρωτος(絨毯敷きの), ταπητουργείο(絨毯工房), ταπητουργία(絨毯製造業), ταπητουργός(絨毯職人)。関連語に ταπί(一文無しの。賭場の毛織りテーブルクロス由来), ταπετσαρία(壁紙、室内張り), ταπετσάρω(壁紙を貼る、布張りする), ταπισερί(タペストリー店、壁掛織り)。合成語に ασφαλτοτάπητας(アスファルト舗装面)。
ギリシャ語:χαλί
読み方:ハリ・ハリー
ラテン文字:chali
トルコ語の halı(絨毯)からの外来借用で、トルコ語自体はペルシャ語 قالی(qālī、絨毯)を語源とする。オスマン期にギリシャ語に入った語で、絨毯文化と結び付いて家庭用の床敷物を指す形として定着した。同綴の χάλι(ひどい状態)はアクセント位置(語頭)も語源(トルコ語 hâl < アラビア語 ḥāl)も異なる別語で、χαλί はアクセントが語末にあり敷物を指す側に分かれている。
類義語に τάπητας(絨毯、織物。古代ギリシャ語 τάπης 由来で、行政・公式・装飾文化の硬い文脈で使う), μοκέτα(カーペット。フランス語 moquette 由来の外来借用で、壁から壁まで敷き詰める固定式の絨毯を指す), κιλίμι(キリム。トルコ語 kilim 由来の外来借用で、毛足のない平織り絨毯を指す)。χαλί は床に置く取り外し自在な絨毯全般を指すふつうの形として広く使う。派生に χαλάκι(小さな絨毯、玄関の靴拭きマット。指小形)。
ギリシャ語:κάρτα
読み方:カルタ・カールタ
ラテン文字:karta
イタリア語の carta(紙、カード)からの外来借用で、carta はラテン語 charta(パピルス紙)を経て、もとは古代ギリシャ語の χάρτης(パピルスの巻物、紙)にさかのぼる。古代ギリシャ語からラテン・イタリアと西欧諸語を巡って戻ってきた再借用(αντιδάνειο)にあたる。同じ χάρτης 由来で継承形のままギリシャ語に残った χαρτί(紙、書類)と、再借用として戻った κάρτα は、語源を共有する別形の対をなす。英語 card(仏 carte 経由), chart(地図), charter(憲章), cartoon(漫画), cartography(地図学)も同じ χάρτης 系譜の借用で、日本語のカルタ(ポルトガル語 carta 経由)も同根。
類義語に χαρτί(紙、トランプの札。同じ χάρτης 由来の継承形), δελτίο(カード、整理券、票。古代ギリシャ語 δέλτος「板、書字板」の指小形 δελτίον 由来で、行政・公式の硬い文脈で使う)。κάρτα はハガキ、身分証、決済カード、回路基板などプラスチック製や厚紙製の小さなカード状のものを指す形として広く使う。派生に καρτούλα, καρτάκι(小さなカード。指小形)。関連語に χάρτης(地図、海図、憲章。同じ古代の χάρτης の素形を保った形), καρτ-ποστάλ(ポストカード。フランス語 carte postale 由来の外来借用)。
ギリシャ語:θερμός
読み方:セルモス・セルモース・テルモス・テルモース
ラテン文字:thermos
古代ギリシャ語の形容詞 θερμός(温かい, 燃えるような)を継承。印欧祖語で「温かい, 熱い」を表す語根に連なる語で, 同じ語根から古代ギリシャ語の θέρος(夏)や θέρω(温める)が来ている。現代の比喩「熱烈な, 激しい」の用法はフランス語 chaleureux や英語 warm, heated からの意味借用で輪郭が整った。
名詞の θερμός(魔法瓶)は別の経路で, 20世紀初頭に英語で商標化された Thermos(1907年)がフランス語と英語から現代ギリシャ語に入った形。もとをたどれば同じ古代ギリシャ語の θερμός に行き着く再借入となっている。
同じ語族に θερμότητα(熱), θέρμανση(暖房, 加熱), θερμαίνω(温める), θερμικός(熱の), 合成語 θερμόμετρο(温度計, 体温計), θερμοστάτης(サーモスタット), θερμοκρασία(温度)。英語 thermal, thermometer, thermodynamics の thermo- もこの θερμός から入った接頭辞。
物理的な温度は ζεστός(温かい, 熱い)がふつうの会話で使われるのに対し, θερμός は学術的・気象的な場面や, 比喩の「熱烈な」「激しい」で選ばれる。対義語は κρύος(冷たい), ψυχρός(寒い, 冷淡な)。
ギリシャ語:αλεποουρά
読み方:アレポウラ・アレポウラー
ラテン文字:alepooura
αλεπού(キツネ)と ουρά(尻尾)を合わせた合成語で、文字どおり「キツネの尻尾」。片手鋸の用法はドイツ語 Fuchsschwanz(キツネの尻尾、片手鋸)からの翻訳借用で、細長い鋸身をキツネの尾に見立てた名。園芸では、花序がキツネの尾に似た羽毛ケイトウ(Celosia plumosa)の通称にもなる。
別形に αλεπονουρά。同じケイトウ属全体は σελόσια、トサカケイトウは λειρί του κόκορα(オンドリのとさか)。