中世ギリシャ語 στρογγυλός(丸い)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世形は、古代ギリシャ語 στρογγύλος(丸い、円形の)のアクセント位置を語末(λήγουσα)に移した活用パラダイム再編(μετακίνηση τόνου)の結果で、ομαλός(平らな), μακρουλός(細長い)といった他の語末アクセント形容詞の類推が働いた。書きことばの古典形 στρογγύλος はアクセント位置(前々から数えて)が中世形と異なり、解剖学の専門用語などで並走する。
源にある古代の στρογγύλος(丸い、球形の、円い)は、語源が確実ではなく、印欧祖語の「強い、固い」を表す語根(→ 英 strong)と関連する説や、地中海の前ギリシャ語基層に属する語とする説が論じられる。古代ギリシャ語の文献では、ホメロス以来の身体描写・船の形状・天体(地球の球形)など、多様な「丸さ」を表すのに使われた。
派生・関連語族として στρογγυλούτσικος(ほぼ丸い、丸っこい、口語の指小形容詞), στρογγυλάδα(丸さ、口語), στρογγυλάδι(丸い形のもの、口語), στρογγύλεμα(丸めること、書きことば), στρογγυλεύω(丸める、概数で言う、動詞), στρογγυλοποιώ(丸める、書きことば), στρογγυλά(丸く、副詞形), στρογγυλόμακρος(細長い、楕円形の), στρογγυλό πρόσωπο(丸顔), στρογγυλό τραπέζι(家具としての丸テーブル)。解剖学・医学の文脈では、書きことば形 στρογγύλος で Στρογγύλος μυς(円筋), στρογγύλος σύνδεσμος(円索)として並走する。
同じ「形・図形」の領域には、上位語の σχήμα(形、図形), 円の κύκλος(円、輪、サイクル), 球の σφαίρα(球、球体), 楕円の οβάλ(楕円、← 仏 ovale), 学術形の έλλειψη(楕円、書きことば、← 古代 ἔλλειψις), 卵形の ωοειδής(卵形の、書きことば)が並ぶ。στρογγυλός は「円や輪のように丸い」性質を表す日常形容詞として、平面的な丸さにも立体的な丸さにも使える基本語として機能する。
比喩用法は活発で、味わいがまろやかな(στρογγυλή γεύση、ワインの味、なめらかで角のない), 言い方が婉曲な(στρογγυλά λόγια、丸めた言葉、文脈により角の取れた言い回しまたは曖昧な物言い), 数字を概数で丸めた(στρογγυλός αριθμός、きりのいい数字)の意味展開を持つ。料理・精肉では中性形 το στρογγυλό(丸いもの)が牛・子牛のもも肉の特定部位を指す業界用語として使われる。慣用句では στρογγυλή τράπεζα(円卓会議、対等の立場での討論会)が頻出し、アーサー王の「円卓の騎士」の伝承から派生した政治・学術の対等性を象徴する慣用表現の中核。家具としての「丸テーブル」は中性形の στρογγυλό τραπέζι を使う。