動詞 υπολογίζω(計算する、見積もる、← υπό「下に」+ λογίζω「数える、勘定する」)の語幹に、動作主名詞接尾辞 -ιστής(〜する人・もの)を付けたギリシャ語内部の派生(εσωτερικός σχηματισμός)。技術用語としての「コンピューター」の意味は、20 世紀後半に英語 computer / 仏語 ordinateur の意味用法を取り込んで加わった意味借用(σημασιολογικό δάνειο)の層を併せ持つ。人を指す「打算的な人」の意味は、フランス語 calculateur(計算する人、打算的な人)の用法を受けた意味借用の別系統。
源にある古代の λογίζομαι / λογίζω(数える、計算する、考える、判断する、← λόγος「言葉、論、計算」)は、印欧祖語の「集める、選び出す」を表す語根に由来し、ラテン語 legō(選ぶ、読む、← 英 legible, legend, intellect), 英語 logic と同根。古代ギリシャ語の λόγος から派生した語族は思考・言語・論理・計算の中核概念をすべて含み、現代ギリシャ語にも λογιστής(会計士), λογιστική(会計学), λογισμός(計算、思考、書きことば), λογισμικό(ソフトウェア), λογαριασμός(勘定、勘定書)が広く展開する。
接頭辞 υπό- は「下に、内に」を表す古代以来の生産的な造語要素で、υπολογίζω の場合は「内側で計算する」「念入りに計算する」の意味で語幹を補強する。同じ造語パターンで作られた語族には、υποκείμενο(主題、主体), υποτίθεμαι(〜と仮定される), υποψία(疑い), υπολογισμός(計算、見積もり), υπολογιστικός(計算上の、形容詞)が並ぶ。
接尾辞 -ιστής は、動詞から動作主名詞をつくる現代ギリシャ語の中心的な造語要素。同じパターンで作られた職業名・装置名には τραγουδιστής(歌手), βιολιστής(バイオリン奏者、ヴィオラ奏者), μαθητής(生徒), αθλητής(アスリート), λογιστής(会計士)が並び、動詞 + -ιστής で「〜する人・もの」を作る生産的なパターンを共有する。
派生・関連語族として υπολογιστική(計算法、コンピューター学、形容詞女性形), υπολογισμός(計算、勘定、見積もり), υπολογιστικός(計算上の、計算機の、形容詞), υπολογισμικός(計算可能な、書きことば), υπολογισμένος(計算された、慎重に計算された), υπολογίστρια(女性の打算家), ηλεκτρονικός υπολογιστής(電子計算機), προσωπικός υπολογιστής(パーソナルコンピューター、PC), φορητός υπολογιστής(ラップトップ), υπολογιστής παλάμης(手のひらサイズのコンピューター), υπολογιστής χειρός(手持ち型コンピューター), υπολογιστής-ταμπλέτα(タブレット型)。
技術用語としての歴史は、20 世紀中葉のコンピューター発達期にギリシャ語の翻訳借用として作られた近代の専門語で、英語 computer に対応する純ギリシャ語表現として「計算する装置」の意味で定着した。日常的には κομπιούτερ(← 英 computer の借用)も併用されるが、書きことば・公的文脈では υπολογιστής が標準。同じ「計算機・コンピューター」の領域には、書きことばの ηλεκτρονικός εγκέφαλος(電子頭脳、古い表現), 口語の κομπιούτερ, 専門の συστήματα πληροφορικής(情報システム)が並ぶ。
人について用いる「打算的な人」の意味では、女性形 υπολογίστρια が独立した名詞として確立しており、利害で動く人を批判的に呼ぶ口語表現として機能する。近い語に συμφεροντολόγος(自己利益本位の人), υστερόβουλος(腹に一物ある人), ωφελιμιστής(功利主義者)が並ぶ、性格・態度を表す否定的評価の語彙の中で位置づけられる。