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司祭、神父、祭司

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基本情報

ギリシャ語

ιερέας

読み方

イェレアス・イェレーアス

ラテン文字表記

iereas

変化パターン

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日本語訳

  1. 司祭
  2. 神父
  3. 祭司

英語訳

priest, clergyman

語源・派生・関連語

ヘレニズム期ギリシャ語 ἱερεύς(属格 ἱερέως、対格 ἱερέα、祭司、犠牲を捧げる者、← 古代 ἱερός「神聖な、聖別された」+ -εύς 行為者を表す名詞接尾辞)を、近代以降に書きことばから再導入した学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。古代の対格 ἱερέα を主格として固定化したパラダイム再編(μετάπλαση)を経て現代の ιερέας の形になった。古代の意味は「犠牲を捧げる祭司」だったが、ヘレニズム期の七十人訳聖書の翻訳でヘブライ語 כֹּהֵן kohen(祭司)の訳語として使われたことで、ユダヤ教・キリスト教の宗教語彙として意味の中心が「神に仕える聖職者」へと移った、意味借用(σημασιολογικό δάνειο)の側面を併せ持つ。

源にある古代の ἱερός(神聖な、聖別された、聖なる)は、印欧祖語の「強い、活力のある、神聖な」を表す語根に由来し、サンスクリット iṣirá-(活力ある、聖なる)と同族。古代ギリシャ語の ἱερός は、宗教・神話・聖地・典礼の中核語で、現代ギリシャ語にも書きことばで広く生きており、Ιερά Σύνοδος(聖シノドス、正教会の最高決定機関), Ιερά Μητρόπολη(聖大主教座), ιερό βιβλίο(聖典), ιεραρχία(聖職者の階級制、ヒエラルキー、英 hierarchy の語源), ιεροσύνη(聖職)が並ぶ、極めて生産的な宗教語彙の中核。

接尾辞 -εύς は、古代ギリシャ語以来の生産的な動作主名詞接尾辞で、職業・行為者を表す男性名詞をつくる。同じパターンで作られた語族には、βασιλεύς(王), ποιητής → ποιητεύω → ποιητής(詩人), γραμματεύς(書記、秘書), αλιεύς(漁師), ξυλουργός / ξυλουργεύς(大工), ιατρός / ιατρεύς(医師、書きことば)が並ぶ、古代の職業・社会的役割の名詞造語の中核。

七十人訳聖書(Septuagint)の翻訳で、ἱερεύς はヘブライ語 כֹּהֵן kohen(祭司、特にレビ族・アロン家の祭司)の訳語として使われたことで、ユダヤ教の祭司制度の語彙として確立され、後のキリスト教ギリシャ語にも継承された。新約聖書ではキリスト教の聖職者の名前として用いられ、後の東方正教会・ローマ・カトリック教会の聖職者名(仏 prêtre, 英 priest, 独 Priester、ラテン語 presbyter「長老」由来)とは別系統だが、東方教会では ιερεύς / ιερέας が中核語として継承されている。

派生・関連語族として ιερέως(属格、書きことば), ιερωσύνη(聖職、書きことば), ιεροσύνη(聖職), ιερωτέρως / ιερωσύνη(聖職位階), ιεροδιάκονος(補祭、← ιερός + διάκονος「奉仕者」), αρχιερέας(高位の聖職者、大主教、← αρχι-「最高の」+ ιερέας), πατριάρχης(総主教), μητροπολίτης(府主教), επίσκοπος(主教、← επι-「上に」+ σκοπέω「見る」, 英 bishop, episcopal の語源), διάκονος(補祭、執事), μοναχός(修道士), ηγούμενος(修道院長)が並び、東方正教会の聖職者位階の体系を形成する。

ギリシャの東方正教会の聖職者制度では、ιερέας は教区の司祭として、洗礼(βάπτιση), 結婚式(γάμος), 葬儀(κηδεία), 聖体礼儀(θεία λειτουργία), 復活祭(Πάσχα)など、人生・地域・年中行事の典礼を担う中核的な役割を担う。修道士の聖職者は ιερομόναχος(修道司祭), 既婚の在俗聖職者は έγγαμος ιερέας(既婚司祭、家庭を持つ司祭)など、東方正教会の独自の聖職制度の語彙が広く使われる。

意味の領域では、近代の日常文脈ではキリスト教の正教会司祭を指す場面が中心だが、文脈によっては古代ギリシャ・ローマの祭司、ユダヤ教の祭司、ヒンドゥー教・仏教・他宗教の祭司一般を広く指すこともできる、宗教学・比較宗教の用語としての普遍性を持つ。日常会話では παπάς(パパス、神父、口語の親しみのある呼称)も並走し、書きことばの ιερέας と口語の παπάς が文脈で使い分けられる。

司祭、神父

教会で典礼や儀式を行う聖職者をいう。

  • ο ιερέας της ενορίας(小教区の司祭)
  • ορθόδοξος ιερέας(正教会の司祭)
  • μιλάω με τον ιερέα(司祭と話す)
  • Ο ιερέας ευλόγησε το σπίτι πριν από τη γιορτή.
  • 司祭は祭りの前にその家を祝福した。
  • The priest blessed the house before the feast.

祭司

文脈によっては、古代宗教や他宗教の祭司を広く指すこともある。

関連項目

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