#自然
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ギリシャ語:φυσικός
読み方:フィシコス・フィシコース
ラテン文字:fysikos
古代ギリシャ語の φυσικός(自然に関する、自然の)に由来。これは φύση(自然、本性)に対応する古代ギリシャ語 φύσις から作られた形容詞で、さらに動詞 φύω(生じる、育つ、生やす)へと遡る。語根は「育つ、生まれる」を表す印欧祖語にまで至る。
現代の「自然の、天然の、自然な」という意味の一部は、フランス語 naturel や英語 natural からの意味借用によって整えられた。「物理の、物理学の」や名詞の「物理学者」の意味は、フランス語 physique, physicien や英語 physics, physicist との対応によって定着したもの。古代には φυσικός φιλόσοφος(自然を探究する哲学者、自然哲学者)という表現も存在した。
英語 physics, physical, physician, physiology なども同じ古代ギリシャ語 φύσις の語族に属する。関連語として φύση(自然、本性)、φυσική(物理学)、φυσικά(自然に、もちろん)、φυσιολογία(生理学)、φυσιολογικός(生理的な、正常な)などがある。
名詞としては、ο φυσικός / η φυσικός が「物理学者、物理教師」を指す。女性にも同じ形 φυσικός を用いる。中性形 το φυσικό は「性質、気質」のほか、印刷・図版などで実物と同じ大きさを指す用法などを持つ。
ギリシャ語:κλιματική αλλαγή
読み方:クリマティキ アライ・クリマティキー アライー・クリマティキ アラギ・クリマティキー アラギー
ラテン文字:klimatiki allagi
κλιματικός(気候の)の女性形 κλιματική と αλλαγή(変化、変更)からなる連語。英語 climate change をなぞった翻訳借用で、日本語の「気候変動」にあたる。
広い意味では、氷期などに見られるような、地球の κλιματικό σύστημα(気候システム)に起こる大規模で長期的な変化を指す。現在の文脈では、ふつう πλανήτης(惑星、地球)の υπερθέρμανση(温暖化)によって引き起こされる ανθρωπογενής κλιματική αλλαγή(人為的気候変動)を指すことが多い。
関連表現に αέρια του θερμοκηπίου(温室効果ガス)、μείωση των εκπομπών(排出量の削減)、ρύποι της ατμόσφαιρας(大気汚染物質)、μακροπρόθεσμη επίπτωση(長期的影響)などがある。近い領域の語には καιρός(天気、天候)、κλίμα(気候)、περιβάλλον(環境)などがある。
ギリシャ語:φύση
読み方:フィシ・フィーシ
ラテン文字:fysi
古代ギリシャ語 φύσις(属格 φύσεως、自然、本質、生まれつきの性質、成長)の語末 -ις を中世以降の名詞語尾 -η に整えなおして、現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。「自然界、自然環境」(とくに近代的な自然保護・生態系の文脈), 「物事の特性・性質」のような近代的な意味の一部は、フランス語 nature からの意味借用(σημασιολογικό δάνειο)として加わった層もある。古典哲学・神学の文脈で使われる用法は古代以来の継承で、書き言葉の中では古代形 φύσις も生き続けている。
源にある古代の φύσις は、動詞 φύω(生じる、育つ、生やす)の動作・結果名詞形で、もとは「成長すること、生まれ出るあり方」を意味した。アリストテレス、プラトン以来「事物が本来あるべき姿、事物の根本」を表す哲学概念として確立し、「自然界・自然の摂理」「人間や事物の本性」の二重の意味を併せ持つに至る。
英語 physics(物理学、← τὰ φυσικά「自然のもの」), physician(内科医、← φυσικός「自然学者、医師」), physiology(生理学), physical(物理的な、身体の), metaphysics(形而上学、← μετὰ τὰ φυσικά「自然学の後」), physiognomy(人相学), geophysics(地球物理学)など、近代の科学・哲学語彙に古代の φύσις は深く浸透している。接頭辞 physio-(生理的な、自然の)も同源。
派生・関連語族として φυσικός(自然の、形容詞・名詞「物理学者」), φυσικά(自然に、副詞・「もちろん」の意の感嘆語), φυσιολογικός(生理学の、正常な), φυσιολατρία(自然崇拝), φυσιοκρατία(重農主義、フィジオクラシー), φυτικός(植物の、← φυτό「植物」, 同じ φύω 系統), φύομαι(生える、生じる), φυτό(植物)。哲学的な対概念として νόμος(法、慣習)と φύσις(自然、本性)の対立はソフィスト派以来の古典的議論で、Φύσει vs Νόμῳ(自然により vs 慣習により)の対比表現が古代以来生き続けている。

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