ヘレニズム期ギリシャ語 παράξενος(風変わりな、奇妙な、外れている、← παρά-「わきに、外れて、通常を離れて」+ ξένος「よそ者、見知らぬ、外国の」)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。古代の意味は「通常からやや外れた、よそ者風の」だったが、現代では「奇妙な、変わった」を中心義とする幅広い口語の中心語として機能する。
源にある古代の接頭辞 παρά(わきに、横に、添えて、外れて、を超えて)は、印欧祖語の「沿って、横に」を表す語根に由来し、ラテン語 per(〜を通って、〜を超えて)と関連する古層語。古代ギリシャ語の παρά は極めて生産的な造語要素で、近代の国際造語要素 para-(パラ、〜の傍らに、〜を超えて)の語源となり、ヨーロッパ各語の科学・哲学・心理学・医学の語彙の中核を担う:英語 paradox(逆説、← παρα- + δόξα「意見」), paradigm(パラダイム、← παρα- + δείγμα「示すもの」), paragraph(段落), parable(寓話), paraphrase(言い換え), paranoia(精神異常、← παρα- + νοῦς「理性」), paramedic(救急救命士)など、極めて広範な国際造語要素として展開する。
源にある古代の ξένος(外国の、よその、見知らぬ、客人)は、印欧祖語の「客人、よそ者」を表す語根に由来し、ラテン語 hostis(よそ者、客、敵、← 英 hostile, host, hospitality)と関連する。古代ギリシャ社会の中核概念で、φιλοξενία(もてなし、← φιλος + ξένος)の徳目、ξενοδοχείο(ホテル、← ξένος + δέχομαι「受け入れる」), ξενιτιά(外国生活、移民), ξενηλασία(外国人排斥)など、社会・移民・観光の中核語彙を形成する。
合成 παρά + ξένος の意味展開は、(1)「横にある外国人風のもの」→(2)「通常から外れている」→(3)「奇妙な、変な、見慣れない」の流れで、近代では人・出来事・音・雰囲気・動物・夢・経験など、極めて広い対象に使える幅広い形容詞として機能する。
派生・関連語族として παραξενιά(奇妙さ、変わり者ぶり、口語の名詞), παραξενεύομαι(驚く、変だと思う、動詞), παραξενιάρης(変わり者、奇人、口語), παραξενοζώντανος(変な活気のある、まれな書きことば), αλλόκοτος(風変わりな、書きことば、← παράξενος の同義語), παράξενος άνθρωπος(変わった人、奇人), παράξενο όνειρο(奇妙な夢), παράξενος θόρυβος(妙な音), παράξενη συμπεριφορά(奇妙な振る舞い), παράξενη αίσθηση(妙な感覚), παράξενη ατμόσφαιρα(奇妙な雰囲気)。
同じ「奇妙・変わった・不思議」の領域には、近い概念として αλλόκοτος(風変わりな、書きことば), περίεργος(変な、好奇心をそそる), ασυνήθιστος(普通でない、見慣れない), εκκεντρικός(風変わりな、エキセントリック、← 英 eccentric), μυστήριος(不思議な、神秘的な), αλλόπαρος(並外れた、書きことば)が並ぶ、それぞれの色合い・程度で言い分けられる。παράξενος は最も中立的・幅広い「奇妙、変、見慣れない」を表す中心語として、文学・詩・口語・新聞・小説の幅広いジャンルで頻出する。
慣用句・口語表現では、Είναι λίγο παράξενος(ちょっと変わってる), Παράξενα πράγματα συμβαίνουν στον κόσμο(世の中には不思議なことがある), Νιώθω παράξενα(妙な気分だ), Παράξενες συμπτώσεις(奇妙な偶然)が頻出する、日常的な感情・状況の表現の中核を担う、汎用性の高い形容詞。