#野菜
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ギリシャ語:τηγανητή πατάτα
読み方:ティガニティ パタタ・ティガニティー パタータ
ラテン文字:tiganiti patata
τηγανητή(揚げた、フライにした)と πατάτα(じゃがいも、ポテト)からなる連語。
一本一本のフライドポテト片は単数形 τηγανητή πατάτα で言えるが、食べ物としての「フライドポテト」はふつう複数形 τηγανητές πατάτες で使う。
関連語には βραστή πατάτα(ゆでじゃがいも)、πατάτες φούρνου(オーブン焼きポテト)、πουρές πατάτας(マッシュポテト)などがある。
ギリシャ語:αρακάς
読み方:アラカス・アラカース
ラテン文字:arakas
古代ギリシャ語の ἄρακος(ある種の豆類)から、中世の αρακάς を経て現代に至る変遷。類義語に μπιζέλι(えんどう豆、グリーンピース)など。
ギリシャ語:κολοκύθι
読み方:コロキシ・コロキーシ・コロキティ・コロキーティ
ラテン文字:kolokythi
中世ギリシャ語の κολοκύθι を継承。
古代ギリシャ語 κολοκύνθη(ひさご、瓜)の指小形として後古典期に誕生した κολοκύνθιον(小さなひさご)に由来。これが音変化を経て中世に入った形で、指小の意味は抜け、瓜・ひさご類を広く指す基本形となった。近代以降に入ってきたズッキーニにもこの語が当てられ、今は日常ではズッキーニを指すことが多い。
κολοκύνθη は前ギリシャ語の基層語からの借用と見られる。地中海一帯で栽培された瓜類の古い名にさかのぼる。
派生語に κολοκυθιά(瓜やズッキーニの株、つる)、κολοκυθάκι(ズッキーニ、κολοκύθι の指小形)、κολοκυθόπιτα(ズッキーニのパイ)、κολοκυθόσπορος(瓜類・かぼちゃの種、パンプキンシード)などがある。
ギリシャ語:μελιτζάνα
読み方:メリジャナ・メリジャーナ
ラテン文字:melitzana
中世ギリシャ語 μελιτζάνα を継承。
アラビア語 بَاذِنْجَان(bādinjān)からの借用で、さらにもとはペルシャ語 بادنگان(bâdengân)、サンスクリット由来にさかのぼる東方起源の食材名。ギリシャ語は中世期に入った古い形(μαντζιτζάνιν)が、中世イタリア語 melanzana の影響で現在の μελιτζάνα の形に整えられた。
地中海沿岸の食文化とともに各言語に広まった語で、西欧にもナスを表す近い形が多く残っている。
派生語に μελιτζανάκι(小ナス)、μελιτζανοσαλάτα(ナスのディップ)、μελιτζανί(ナス色、濃い紫)などがある。
ギリシャ語:καρότο
読み方:カロト・カロート
ラテン文字:karoto
中世ギリシャ語 καρότο(ニンジン)に由来する語で、トリ辞典の語源欄では中世ギリシャ語 *καρότο < καρῶτα(複数形)が、ヘレニズム期ギリシャ語 καρωτόν(ニンジン、← κάρα「頭」由来)からラテン語 carota を経て戻ってきた逆方向の借用、αντιδάνειο(再借用)として記される。比喩義「誘因、見返り」と「掘削コア」は、近代以降にフランス語 carotte(ニンジン、エサとしての見返り、地質学のコア試料)の意味用法を移し取った意味借用(σημασιολογικό δάνειο)。
源にあるヘレニズム期の καρωτόν は κάρα / κάρη(頭、てっぺん、← 印欧祖語の「頭、角」を表す語根)から派生した語で、根の上端の太い部分の形にちなむ命名と説明される。同じ語根からは κέρας(角), κορυφή(頂上)が出ている。
ラテン語 carota はこのヘレニズム期ギリシャ語からの借用で、ロマンス諸語に広まり、フランス語 carotte, イタリア語 carota, スペイン語 zanahoria(経路は別)を生んだ。英語 carrot もフランス語経由のこの系譜。比喩の「アメ(見返り)」は、フランス語と英語で 19 世紀以降に発達した用法で、現代ギリシャ語にも入っている。
派生・関連語族として καροτάκι(小さなニンジン、指小形), καροτάς(ニンジン売り、ニンジンが好きな人、口語), καροτόσουπα(ニンジンスープ), καροτόκεικ(キャロットケーキ), καροτοζούμι(ニンジンの絞り汁、ジュース)。食材としては λαχανικό(野菜)の一種で、λάχανο(キャベツ), πατάτα(ジャガイモ)と並んで料理に頻出。比喩義は καρότο και μαστίγιο(アメとムチ、← 英 carrot and stick の翻訳借用)の形で広く使われる。
ギリシャ語:κρεμμύδι
読み方:クレミディ・クレミーディ
ラテン文字:kremmydi
中世ギリシャ語 κρεμμύδι(ν)(タマネギ)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世形は、ヘレニズム期ギリシャ語 κρέμμυον / κρόμμυον(タマネギ、← 古代の κρόμμυον)の指小形 *κρεμμύδιον(小さなタマネギ)として作られ、語末の -ν が脱落して現代の κρεμμύδι になった。ヘレニズム期に [e > o] への変化が見られるのは、唇音 [m] の影響(μ の唇の構えに引かれる音同化)と説明される。
源にある古代の κρόμμυον は、印欧祖語の「玉ねぎ、頭の形をしたもの」を表す語根に由来する説や、地中海地域の前ギリシャ語基層からの借用とする説(Beekes)など、複数の語源説が論じられる。確定した語源を持たない、地中海農耕の古い層に属する野菜語彙の一つ。
ヘレニズム期から現代までの音変化のすじみちは κρόμμυον > κρέμμυον > κρεμμύδιον > κρεμμύδι(ν) > κρεμμύδι となり、口語形 κρομμύδι(タマネギ)として古い [o] の段階を残す形も並走している。
派生・関連語族として κρεμμυδάκι(小さなタマネギ、若いタマネギ、指小形), κρεμμύδα(大きなタマネギ、増大形), κρεμμυδίλα(タマネギ臭、口語), κρεμμυδάς(タマネギ売り、タマネギ好き、口語), κρεμμυδόσουπα(オニオンスープ), κρεμμυδόψωμο(タマネギパン), κρεμμυδοφλούδα(タマネギの皮), κρεμμυδοκόφτης(タマネギ刻み器、← κρεμμύδι + κόφτης)。同じ鱗茎を食べる野菜には σκόρδο(ニンニク, ← 中世 σκόρδο < 古代 σκόροδον), πράσο(ポロネギ), σχοινόπρασο(チャイブ)が並び、料理では香味野菜として一括りで扱われる。広い分類の上位語は λαχανικό(野菜)で、その中の Allium 属の代表的な食材として頻出する。
ギリシャ語:γλυκοπατάτα
読み方:グリコパタタ・グリコパタータ
ラテン文字:glykopatata
γλυκός(甘い)と πατάτα(イモ、ジャガイモ)を組み合わせた合成語で、フランス語 patate douce(サツマイモ、文字どおり「甘いイモ」)の構造をギリシャ語の素材で訳し移した翻訳借用(μεταφραστικό δάνειο)として定着した外来借用(δάνειο)。
合成語の前要素 γλυκός(甘い)は古代以来の継承語、後要素 πατάτα は新世界原産のイモ(ジャガイモ・サツマイモ)の語彙としてスペイン語 patata 経由でヨーロッパ各語に広まった国際語で、ギリシャ語にも同じ系統で入っている。同様の翻訳借用構造はラテン語族でも見られ、フランス語 patate douce, スペイン語 batata, 英語 sweet potato(直訳「甘いイモ」)など、ヨーロッパ各語が「甘い」+ 「イモ」の合成で表現する点で共通する。
学名は Ipomoea batatas(ヒルガオ科サツマイモ属)で、Ipomoea は古代ギリシャ語 ἴψ(虫)+ ὅμοιος(似た)の合成、batatas はカリブ海地域の先住民言語タイノ語起源の語。ジャガイモ(πατάτα)とは別の植物で、ジャガイモがナス科であるのに対し、サツマイモはヒルガオ科。
派生・関連語族として γλυκοπατάτες(複数形、サツマイモ類), γλυκοπατατούλα(小さなサツマイモ、指小形), ψητή γλυκοπατάτα(焼き芋)。類義語的に他のイモ類として πατάτα(ジャガイモ), κολοκάσι(タロイモ), μανιόκα(マニオク、キャッサバ)が並ぶ。料理では焼き芋・揚げ芋・スイートポテトのデザートなど、世界の食文化に広く取り入れられている食材。
ギリシャ語:αγγούρι
読み方:アングリ・アングーリ
ラテン文字:angouri
中世ギリシャ語の αγγούρι を継承。元はコイネー期の ἀγγούριον(キュウリ)にさかのぼるが、その先の語源は確定していない。古代ギリシャ語 ἄγγουρον(さらに ἄγουρος「未熟な、青い」につながる)の指小形とする説、アラビア語 عَجُّور(ʕajjūr、キュウリ。同義語 αντζούρι もここから)からの借用とする説、ペルシア語 angarah からの借用で ŋg と r の影響で a が u に転じたとする説などがある。
派生に αγγουράκι(小キュウリ), αγγουριά(キュウリの木), αγγουρόσπορος(キュウリの種), αγγουρόσουπα(キュウリのスープ), αγγουρόφλουδα(キュウリの皮), αγγουροσαλάτα(キュウリのサラダ), αγριάγγουρο(野生のキュウリ), πικράγγουρο(苦いキュウリ)。
ギリシャ語:πεπόνι
読み方:ペポニ・ペポーニ
ラテン文字:peponi
中世ギリシャ語 πεπόνι(ν)(メロン、← ヘレニズム期 πεπόνιον「小さなメロン、熟した瓜」、← 古代ギリシャ語の連語 σίκυος πέπων「熟したキュウリ・瓜」の πέπων を中性指小形にした形)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。古代の πέπων は形容詞で「熟した、やわらかな」を意味し、瓜の類が熟して食べごろになった状態を指していた語が、果物の名前として独立した。
源にある古代の πέπων(熟した、やわらかい、消化しやすい)は、動詞 πέπτω / πέσσω(熟させる、煮る、消化する)からの派生で、印欧祖語の「煮る、熟す」を表す語根に由来する。同じ語根からはラテン語 coquere(煮る、料理する、← 英 cook の語源), κουζίνα(台所、料理), πέψη(消化)が並び、「熟す・煮る・料理する」を表すヨーロッパの古層語彙の中心。
ラテン語経由の系譜では、ラテン語 melō(メロン、← 古代 μηλοπέπων「リンゴのような瓜」、← μῆλον「リンゴ」+ πέπων)からフランス語 melon, スペイン語 melón, イタリア語 melone, ドイツ語 Melone, 英語 melon が広まり、現代の各国語の「メロン」語彙の共通源となった。古代ギリシャ語の合成語が地中海・西欧の果物語彙の根本になっている例。ギリシャ語 πεπόνι は、その合成語の後半要素 πέπων だけを残して継承された形。
派生・関連語族として πεπονιά(メロンの株、植物体、← πεπόνι + -ιά 植物名接尾辞), πεπονόσπορος(メロンの種), πεπονόφλουδα(メロンの皮), πεπονόκαρπο(メロンの実、書きことば), πεπονοειδής(メロンのような形の、書きことば)。
同じ夏の果物の領域には、果肉と水分の多い καρπούζι(スイカ)が並んで現れることが多く、夏の果物 φρούτα του καλοκαιριού の代表として一緒に言及される。比喩用法では κεφάλι σαν πεπόνι(メロンのような細長い頭), βαρύ πεπόνι(怒っていかつく振る舞う人、文字どおり「重いメロン」)が口語で頻出する、形・性質を比喩する慣用句が活発な語。
ギリシャ語:ντομάτα
読み方:ドマタ・ドマータ
ラテン文字:domata
ナワトル語の tomātl(トマト)がスペイン語 tomate、フランス語 tomate を経てギリシャ語に入った外来借用で、女性名詞を作る -α を付けて 1818 年ごろから使われるようになった。書き言葉では τομάτα という形も併用される。英語 tomato も同じ Nahuatl tomātl からスペイン語 tomate 経由で入った借用で、ギリシャ語 ντομάτα と語源を共有する。
ντομάτα は食用果実としてのトマトをふつうに指す形として広く使う。派生に ντοματάκι(ミニトマト、小さなトマト。指小形), ντοματίνι(ミニトマト。指小形), ντοματούλα(小さなトマト、かわいらしいトマト), ντοματιά(トマトの株、トマトの木)。合成語に ντοματοσαλάτα(トマトサラダ), ντοματοσάλτσα(トマトソース), ντοματόσουπα(トマトスープ), ντοματοχυμός(トマトジュース), ντοματόζουμο(トマトジュース), ντοματοπελτές(トマトペースト)。
ギリシャ語:ζαρζαβατικό
読み方:ザルザヴァティコ・ザルザヴァティコー
ラテン文字:zarzavatiko
ペルシャ語の sabz/sabza(緑、青物、野菜)の複数形 sabzavāt が、トルコ語 zerzevat(青物、野菜)として借用され、それがオスマン期にギリシャ語へ ζαρζαβάτι(青物、野菜)として入った外来借用。これに「〜に関するもの」を表す接尾辞 -ικό が付き、ζαρζαβατικό の形になった。日常では複数形 ζαρζαβατικά で「野菜類」を指して使うことが多い。
類義語に λαχανικό(野菜。標準的・正式な形で、栄養学・農学・流通など硬い文脈で広く使う), χορταρικό(野菜、青物。葉物や草を中心に指す)。ζαρζαβατικό は市場や台所、料理の場面で使うくだけた形として広く使う。関連語に ζαρζαβάτι(青物、野菜。-ικό 抜きの形でも単独で野菜を指し、ζαρζαβατικό はこれに -ικό を付けた形)。
ギリシャ語:λάχανο
読み方:ラハノ・ラーハノ
ラテン文字:lachano
古代ギリシャ語の λάχανον(栽培された食用植物、野菜)から。古代では食用の草本や野菜を広く指したが、現代ギリシャ語では主にキャベツを指す。
λάχανον のさらに古い語源は確定していない。古くは λαχαίνω(掘る)と結びつけて説明されることもある一方、先ギリシャ語基層の語と見る説もある。
派生語に λαχανικό(野菜)、λαχανο-(野菜の、キャベツの)、λαχανάκι(小さなキャベツ。λαχανάκια Βρυξελλών で芽キャベツ)、λαχανόκηπος(菜園)、λαχανόπιτα(野菜のパイ)などがある。英語の植物学用語 lachano- も同じ古代ギリシャ語に由来する。
複数形 λάχανα は、キャベツだけでなく青物や葉物野菜にも使う。近い語に μάπα(丸いキャベツ)、κράμβη(アブラナ属、キャベツ類)など。成句では Σιγά τα λάχανα!(大したことない)や、όμοιος στον όμοιο κι η κοπριά στα λάχανα(類は友を呼ぶ)といった表現にも使われる。

中性名詞
食べ物 
連語
主食類 




植物 



果物 


