#年齢
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ギリシャ語:γέρος
読み方:イェロス・イェーロス・ゲロス・ゲーロス
ラテン文字:geros
中世ギリシャ語 γέρος(老人、← 古代 γέρων「老人、長老」のパラダイム再編 μετάπλαση、-ος 語尾化)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。古代ギリシャ語 γέρων は、属格 γέροντος、対格 γέροντα という不規則な格変化を持つ -ων 語幹名詞だったが、中世期に -ος 語尾の規則名詞へと再形成された。同じパラダイム再編のパターンは、Χάρων > Χάρος(カロン、死神), δράκων > δράκος(竜)に共通する、中世ギリシャ語の名詞活用整理の典型例。
源にある古代の γέρων(老人、長老、年配者、議員)は、印欧祖語の「老いる、すり減る」を表す語根に由来し、サンスクリット járant-(老いた), アヴェスタ語 zarθa- と同族。古代ギリシャでは、長老政治・議会制(γερουσία「元老院」)の中核概念として、社会的権威と知恵を象徴する語だった。同じ語根からは、γερουσία(元老院、書きことば、← スパルタ・ローマの元老院), γέρας(名誉、特権、← 古代の長老への贈与), γέροντας(長老、僧侶長、書きことば), γερασμός(老化), γηράσκω(老いる、書きことば), γήρας(老齢)が並ぶ、社会・倫理・医学の語彙の中核を成す系譜。
書きことばの古典形 γέροντας(長老、僧侶長、書きことば)は、現代ギリシャ語にも並走しており、特に教会・修道院文化の文脈で「霊的指導者の長老」を意味する重い語として使われる。アトス山の修道士の長老(γέροντας Παΐσιος, γέροντας Πορφύριος)の伝統が、現代ギリシャの宗教・霊性文化の中で生きている。
派生・関連語族として γέροντας(長老、書きことば), γριά(老婆、女性形、← γρία < γραῖα、古代 γραῖα「老婆」の継承形), γερόντισσα(女性の長老、修道院長), γερόντιο(老人の傾向、書きことば), γερόντειος(老人らしい、形容詞), γεροντοπαλίκαρο(年配の独身男), γεροντοκόρη(オールドミス), γεροντικός(老齢の、形容詞), γεροντόπαππους(年老いた祖父), γεράκος(小さな老人、指小形、軽い口語), γεροντίστικος(老人くさい、口語), γερόνταρος(がっしりした老人、増大形)。
形容詞 γερός(健康な、丈夫な)は別系統の語で、古代 ὑγιηρός(健康な、← ὑγιής)から *υγηρός > ελνστ. γερός(語頭脱落 + 母音同化 [ir > er])を経た継承語。発音は γέρος(老人)と γερός(丈夫な)でアクセント位置と意味がはっきり異なる。同形異義の対が現代ギリシャ語に共存している。
意味の領域では、書きことば寄りの γέροντας が「権威ある長老、教会の指導者」を中心義とするのに対し、口語の γέρος は「年老いた人、老人」を直接指す日常語として機能する。ηλικιωμένος(高齢の、書きことば)は中立的な敬意を保つ言い方で、γέρος は親しみや率直さを含む口語表現。
口語的な家族用法では、所有代名詞を添えた ο γέρος μου(うちの父親、← 文字どおり「私の老人」)が、年配の父親や夫を呼ぶ親しい呼称として広く使われる。同類の表現に ο πατέρας μου(私の父), ο μπαμπάς μου(パパ), ο άντρας μου(夫)が並ぶが、ο γέρος μου は年配の親しい家族を指す独特の口語ニュアンスを担う。
ギリシャ語:μεγάλος
読み方:メガロス・メガーロス
ラテン文字:megalos
中世ギリシャ語 μεγάλος(大きい)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。古代ギリシャ語 μέγας(大きい、偉大な、← 単数主格男性形)が、中世期に複数形 μεγάλοι, 女性 μεγάλη, 連結前要素 μεγαλο- に共通する語幹 μεγαλ- を土台にして単数主格を再形成(μετάπλαση)し、語尾 -ος を取って μεγάλος の形に揃えた、活用パラダイム再編の典型例。古代の μέγας は屈折が不規則で、μέγας / μεγάλη / μέγα という三形を持っていたが、現代では男性も μεγάλος / μεγάλη / μεγάλο と規則化されている。
源にある古代の μέγας(大きい)は印欧祖語の「大きい、偉大な」を表す語根に由来し、サンスクリット mahā-(大きい), ラテン語 magnus(大きい), ゴート語 mikils(大きい、← 英 much の語源)と同族。地中海・印欧語の「大きい」語彙の中核を成す古い系譜の語で、ヨーロッパ各語の magnitude, magnify, mega-, macro- 等の語源にもなる。
学術造語の連結要素 μεγα- / μεγαλο- は、近代ヨーロッパ語に再輸出されてフランス語・英語の méga- / mega-(メガ、百万倍を表す国際単位接頭辞), megalopolis(巨大都市), megalomania(誇大妄想), megaphone(拡声器)の語源になった、ギリシャ語起源の生産的な国際語要素。これらは近代以降にギリシャ語に逆輸入される形で μεγαλομανία(誇大妄想), μεγαλούπολη(巨大都市)として再導入されている。
派生・関連語族として μεγαλείο(偉大さ、栄華、書きことば), μεγαλειότητα(陛下、敬称), μεγαλόπρεπος(壮麗な、書きことば), μεγαλόψυχος(寛大な、← μεγάλο + ψυχή「魂」), μεγαλώνω(大きくなる、育つ、動詞), μέγεθος(大きさ、サイズ、書きことば), μεγαλούτσικος(やや大きい、けっこう大きい、口語の指小形容詞), οι μεγάλοι(大人たち、複数形が名詞化)。比較級は μεγαλύτερος(より大きい), 最上級は μεγαλύτερος(最も大きい、文脈で)または ο πιο μεγάλος(最も大きい、口語)。
対義語は μικρός(小さい、← 古代 μικρός)。連結前要素 μεγαλο- は生産的で、Μεγάλη Βρετανία(グレートブリテン), Μεγάλη Εβδομάδα(聖週間), Μέγας Αλέξανδρος(アレクサンドロス大王)のような固有名や定型名を作る役割と、μεγαλόκαρδος(寛大な), μεγαλομάτης(目の大きい), μεγαλόπνοος(雄大な)のような形容詞合成を生む役割の両方を担う。比喩用法では καρδιά(心)と結びついて「寛大な心」, κεφάλι(頭)と結びついて「頭がよく回る人」を表す慣用句が頻出する。
ギリシャ語:ηλικία
読み方:イリキア・イリキーア
ラテン文字:ilikia
古代ギリシャ語の ἡλικία(同じ年齢、成熟した年齢)を継承。ἧλιξ(同い年の)からの派生語。派生語に ηλικιωμένος(年配の)、συνομήλικος(同い年の)。
ギリシャ語:παιδικός
読み方:ペディコス・ペディコース
ラテン文字:paidikos
古代ギリシャ語 παιδικός(子供の、子供のための、← παῖς「子供」+ -ικός)を、近代以降に書き言葉から再導入した学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。「子供じみた、幼稚な」の蔑称的用法は、フランス語 infantile(幼児的な、未熟な)の意味用法を取り入れた意味借用(σημασιολογικό δάνειο)として加わった層。
源にある παιδί(子供、現代)の古代形 παῖς(属格 παιδός、子供、しもべ、奴隷の若者)は、印欧祖語の「子供、若者」を表す語根に由来し、ラテン語 puer(少年), paucus(少ない、若い)と関連する。同じ古代の παῖς から派生した重要語に παιδεία(教育、文化、← 古代以来「子供を育てる、人間を形成する」の意味で発達), παιδαγωγός(教師、← 「子供を導く者」), παιδιατρική(小児科), ορθοπαιδική(整形外科、← ὀρθο-「まっすぐ」+ παῖς), εγκυκλοπαίδεια(百科事典、← ἐν κύκλῳ παιδεία「全方位の教養」)など、近代ヨーロッパの教育・医学・学問の中核語彙に深く浸透している。
英語 pedagogy(教育学), pediatrics(小児科), encyclopedia(百科事典), orthopedics(整形外科), pedophilia(小児性愛)など、近代医学・教育の専門用語の語幹となっている。
派生・関連語族として παιδί(子供), παιδιά(子供たち、複数), παιδικά(子供らしく、副詞), παιδαριώδης(子供じみた), παιδιάστικος(幼稚な), παιδικός σταθμός(保育所、幼稚園), παιδική χαρά(遊び場、公園), παιδική ασθένεια(小児疾患), βρεφικός(乳児の), νηπιακός(幼児の), εφηβικός(思春期の), νεανικός(若者の)。類義語のうち παιδαριώδης / παιδιάστικος が「幼稚な、子供じみた」の蔑称的なニュアンスを強く持つのに対し、παιδικός は本来の「子供の」という客観的な用法が中心。
ギリシャ語:έφηβος
読み方:エフィヴォス・エーフィヴォス
ラテン文字:efivos
ギリシャ語:μωρό
読み方:モロ・モロー
ラテン文字:moro
古代ギリシャ語の形容詞 μωρός(愚かな、鈍感な、分別のない)の中性形 μωρόν が、中世期に名詞化して「分別のない者、幼い子」の意味を持つようになり、現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。意味の重心が「愚かな」から「子供じみた、未熟な」を経て「赤ん坊、乳児」へと移った。
源にある古代の μωρός(属格 μωροῦ、愚かな、鈍い)は、印欧祖語の語根との明確な対応が見出されず、Beekes は先ギリシャ語基層からの借用説を提唱している。同じ μωρός から英語 moron(馬鹿、低能、← 19 世紀の精神医学用語), oxymoron(撞着語法、文字どおり「鋭い愚か」、← ὀξύς + μωρός)など、近代の医学・修辞用語が広まった。
ギリシャ語内部では、古代の「愚かな」の意味が中世期には「分別のない子供」へ転じ、さらに現代では「赤ん坊」の中心義に固まった。同じ意味展開はラテン語 īnfāns(話せない者→赤ん坊), 英語 infant(同じくラテン語経由)にも見られる類似のパターン。
派生に μωράκι, μωρουδάκι, μωρουδέλι(赤ちゃん、可愛い赤ちゃん、指小形), μωρουδιακός(乳児用の), μωρό μου(私の赤ちゃん、恋人や子供への愛称)。類義語に βρέφος(乳児、書き言葉、新生児学・医学), νεογνό(新生児、医学用語), νήπιο(幼児、書き言葉), παιδί(子供、より広い)。「比喩的に分別のない大人」を指す古代の意味も現代の口語に残り、Μη γίνεσαι μωρό!(赤ん坊じゃないんだから!)の用法が生きている。

女性名詞
人 

形容詞
様態
数量 

スポーツ 
性格 
家族