日本語索引: や
や から始まる単語 15 語。
や から始まる単語 15 語。
ギリシャ語:κατσίκα
読み方:カツィカ・カツィーカ
ラテン文字:katsika
中世ギリシャ語 κατσίκα(ヤギ)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世ギリシャ語では先に子ヤギを意味する κατσίκι が現れ、そこから女性形 κατσίκα(雌ヤギ、ヤギ全般)が逆形成(αναδρομικός σχηματισμός)でつくられたと説明される。
κατσίκι の語源には複数の説があり、トリ辞典は中世ギリシャ語 κατσίκι(ν) と記す一方、別の説ではアルバニア語 kec, kac(子ヤギ)からの借用、あるいはルーマニア語 cățel(子犬、若い動物)系の南東ヨーロッパ畜産語彙との関連が論じられる。子ヤギを呼ぶ呼び声「κατς-κατς」のような擬音起源説もあり、確定した語源を持たない。
古代ギリシャ語の対応語は αἴξ(属格 αἰγός、ヤギ、印欧祖語の「ヤギ」を表す語根に由来)で、こちらは αίγα(雌ヤギ、書きことば)として現代まで継承される。古代の αἴξ から派生した語族には αιγαγρος(野生ヤギ、← αἴξ「ヤギ」+ ἄγριος「野生の」), αίγειος(ヤギの、書きことばの形容詞), αιγίδα(盾、保護、もとは「ヤギの皮で覆われた盾」、ゼウスの神具), Αιγαίο(エーゲ海、語源は諸説あり「ヤギ」説のほかに αἶγες「波」説もある)があり、神話・地理・抽象語彙の中核に深く入り込んでいる。
派生・関連語族として κατσίκι(子ヤギ、雄子ヤギ含む中性名詞), κατσικάκι(子ヤギ、指小形、料理名としての子ヤギ料理にもなる), κατσικίσιος(ヤギの、形容詞、← κατσίκα + -ίσιος), κατσικίλα(ヤギ臭さ、口語), κατσικοπρόβατο(ヤギ羊、まとめて言う口語), κατσικομούτρης(ヤギ顔の人、口語の罵倒語), κατσικοτόμαρο(ヤギの皮、罵倒語にもなる)。ヤギの呼び分けでは、雄を τράγος(雄ヤギ、もとは古代ギリシャ語), 子を κατσίκι, 雌・全般を κατσίκα または γίδα と言い分ける。野生のヤギには αίγαγρος(野生ヤギ), クレタ固有の野生ヤギには κρι-κρι(クリクリ), 年老いた雌ヤギには γκιόσα(年老いた雌ヤギ、口語)が並ぶ。
罵倒語としての κατσίκα は、女性に対して動物名を当てる口語の罵倒群の一員で、γαϊδούρα(ロバ女), γουρούνα(豚女), δαμάλα(若い雌牛), κάργια(カラス女), κότα(雌鶏、臆病者の女), φοράδα(雌馬)と同じ系列にある。
ギリシャ語:άχρηστος
読み方:アフリストス・アーフリストス
ラテン文字:achristos
古代ギリシャ語の ἄχρηστος(役に立たない)を継承。否定の ἀ- と χρηστός(役に立つ)から。χρηστός は「使う」を意味する動詞 χρῶμαι からできた形容詞。
同じ語根は現代の χρήσιμος(役に立つ)にも引き継がれている。
ギリシャ語:ζαρζαβατικό
読み方:ザルザヴァティコ・ザルザヴァティコー
ラテン文字:zarzavatiko
ペルシャ語の sabz/sabza(緑、青物、野菜)の複数形 sabzavāt が、トルコ語 zerzevat(青物、野菜)として借用され、それがオスマン期にギリシャ語へ ζαρζαβάτι(青物、野菜)として入った外来借用。これに「〜に関するもの」を表す接尾辞 -ικό が付き、ζαρζαβατικό の形になった。日常では複数形 ζαρζαβατικά で「野菜類」を指して使うことが多い。
類義語に λαχανικό(野菜。標準的・正式な形で、栄養学・農学・流通など硬い文脈で広く使う), χορταρικό(野菜、青物。葉物や草を中心に指す)。ζαρζαβατικό は市場や台所、料理の場面で使うくだけた形として広く使う。関連語に ζαρζαβάτι(青物、野菜。-ικό 抜きの形でも単独で野菜を指し、ζαρζαβατικό はこれに -ικό を付けた形)。
ギリシャ語:στέγη
読み方:ステイ・ステーイ・ステギ・ステーギ
ラテン文字:stegi
古代ギリシャ語の στέγη(屋根)を継承。印欧祖語で「覆う」を表す語根に続く語で, 動詞 στέγω(覆う, 守る)に -η が付いた名詞。「住まい」「住宅」「宿」「保護の場」までの使い分けは, フランス語 toit(屋根), maison(家)の意味配置と重なって整った。
派生に στεγάζω(屋根をかける, 収容する), άστεγος(住む家のない)。στεγάζω からは στέγαση(住居の提供), στεγαστικός(住居に関する)。元の動詞 στέγω(覆う, 守る)とその派生 στεγανός(雨風を通さない)が同じ στεγ- の語族の仲間。
κάτω από την ίδια στέγη(同じ屋根の下で)は, 家族や共同生活の文脈でよく使う言い回し。
ギリシャ語:βουνό
読み方:ヴノ・ヴノー
ラテン文字:vouno
古代ギリシャ語の βουνός(丘、小山)から。中世ギリシャ語 βουνόν を経て今の形になった。
βουνός はドーリス方言、またはキレナイカ地方の語と説明されることがあるが、さらに古い語源ははっきりしない。もとは男性名詞だったものが、中世以降に中性名詞として扱われるようになった。
山名や改まった地理名では όρος(山)も使われる。低い丘は λόφος(丘)と言う。
接頭辞 βουνο- は βουνοκορφή(山頂)などの語を作る。関連語は βουνίσιος(山の、山育ちの)、βουνάκι(小さな山)、βουνί, βουναλάκι など。πάγος(氷)と合わせた παγόβουνο は氷山を指す。
比喩では、洗濯物や本、借金などが山のように積み上がった大量のものや、克服しにくい大きな問題にも使われる。
ギリシャ語:μαύρη αγορά
読み方:マヴリ アゴラ・マーヴリ アゴラー
ラテン文字:mavri agora
μαύρος(黒い)の女性形 μαύρη と、αγορά(市場、買い物)からなる連語。直訳は「黒い市場」で、規制や課税を逃れて非合法に売買が行われる地下経済を言う。
第二次世界大戦の物資配給時代に、英語 black market、フランス語 marché noir、イタリア語 mercato nero などが各国で並行して定着し、ギリシャ語にも翻訳借用として入った言い方。いずれも「黒い」+「市場」の組み合わせで、black / noir / nero が μαύρη、market / marché / mercato が αγορά に対応する。
「黒い」は不法・隠蔽・闇のイメージで、ほかにも μαύρο χρήμα(裏金、闇マネー)、μαύρη εργασία(闇労働)などの組み合わせがある。

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