ギリシャ語:κερί
読み方:ケリ・ケリー
ラテン文字:keri
中世ギリシャ語 κερί(ν)(ろう、蝋)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世形は古代ギリシャ語 κηρίον(蜂の巣の板、ろうの小片、← κηρός「蝋」の指小形)に由来し、語末の -ν が脱落して κερί になった。
源にある古代の κηρός(蝋、蜜蝋)は印欧祖語の「蝋、蜜の固いもの」を表す語根に由来する語で、古代ギリシャ語の文献では蜜蝋、ろうそく、文字を刻むための蝋板(κηρός)として広く使われた。同じ語族にラテン語 cera(蝋、← ラテン語からはイタリア語 cera, スペイン語 cera, フランス語 cire の「蝋」語が出て、英語 cerumen「耳あか」も同源)が並び、地中海の古代語彙としてギリシャ語と並走する系譜を持つ。
書きことば(古典形)の κηρός から派生した語族には、κήρωμα(蝋引き、蝋掛け), κηρίο(蜂の巣の板、巣房、医学・養蜂語彙), κηρώδης(蝋のような), κηρόπηγμα(蝋燭の固化)が出ている。複合語としては, μελισσοκέρι(蜜蝋、← μέλισσα「ミツバチ」+ κερί), αγιοκέρι(教会用ろうそく、← άγιος「聖なる」+ κερί), κηροπήγιο(燭台、書きことば), κηροτεχνία(蝋細工術), κηροπλαστική(蝋造形)が並ぶ。
派生・関連語族として κεράκι(小さなろうそく、誕生日用の細いろうそく、ろうそく形の小型電球、指小形), κερωτό(蝋引きの紙、蝋を塗ったもの), κερώνω(蝋で塗る、蝋がけする), ξεκερώνω(蝋を取り除く、ワックス脱毛をする), αποτρίχωση με κερί(ワックス脱毛)。同じ蝋・ろうそくの領域には、形が長く太い λαμπάδα(長いろうそく、復活祭用のろうそく、書きことば), 素材名の παραφίνη(パラフィン), στεατίνη(ステアリン)が並び、用途と形で言い分ける。蜂が巣作りで分泌する物質が原点にあるため、養蜂・自然素材から教会・装飾品・脱毛用品まで、現代でも κερί が指す範囲は広い。

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