ギリシャ語:ψαλίδι
読み方:プサリディ・プサリーディ
ラテン文字:psalidi
古代ギリシャ語の ψαλίς(はさみ)の指小形 ψαλίδιον(小さなはさみ)を継承。中世ギリシャ語 ψαλίδι を経て今の形に至る。
二枚の刃が開閉して切る道具から、はさみ形の器具・部材、予算や給付の削減、脚や腕を交差させる動きにも使う。指小語 ψαλιδάκι は爪用の小ばさみや、サッカーの ανάποδο ψαλίδι / ψαλιδάκι(オーバーヘッドキック)などにも出る。
ψ から始まる単語 11 語。
ψ から始まる単語 11 語。
ギリシャ語:ψαλίδι
読み方:プサリディ・プサリーディ
ラテン文字:psalidi
古代ギリシャ語の ψαλίς(はさみ)の指小形 ψαλίδιον(小さなはさみ)を継承。中世ギリシャ語 ψαλίδι を経て今の形に至る。
二枚の刃が開閉して切る道具から、はさみ形の器具・部材、予算や給付の削減、脚や腕を交差させる動きにも使う。指小語 ψαλιδάκι は爪用の小ばさみや、サッカーの ανάποδο ψαλίδι / ψαλιδάκι(オーバーヘッドキック)などにも出る。
ギリシャ語:ψαλμός
読み方:プサルモス・プサルモース
ラテン文字:psalmos
古代ギリシャ語の ψαλμός(弦を弾くこと, 竪琴の歌)に由来。ψάλλω(弦を弾く, はじく)から結果を表す -μός を付けて作られた語で, 弦の演奏から竪琴の伴奏の歌へ, さらにヘレニズム期の聖書翻訳とキリスト教典礼を通じて賛美歌の意味に移った。現代ギリシャ語の用法は, フランス語 psaume, 英語 psalm の意味配置と重なって整った。
英語 psalm, フランス語 psaume, ドイツ語 Psalm はラテン語 psalmus を経て同じ語源。派生に ψαλμωδία(詠唱)。同じ ψάλλω(弦を弾く)を源に持つ仲間に ψάλτης(詠唱者), ψαλτήρι(詩篇集, 竪琴)。
ύμνος(賛美歌, 賛歌)や άσμα(歌)は世俗の歌も指すのに対し, ψαλμός は聖書由来の詩篇や典礼の詠唱に使うことが多い。
ギリシャ語:ψαλμωδία
読み方:プサルモディア・プサルモディーア
ラテン文字:psalmodia
古代ギリシャ語の ψαλμῳδία(竪琴の伴奏に合わせた歌)に由来。ψαλμός(竪琴の伴奏付きの歌, 賛美歌)と ᾠδή(歌)からできた語で, 聖書翻訳とキリスト教典礼を通じて詩篇や聖歌の詠唱を指すようになった。現代ギリシャ語の用法は, フランス語 psalmodie, 英語 psalmody の意味配置と重なって整った。
英語 psalmody, フランス語 psalmodie はラテン語 psalmodia を経て同じ語源。ψαλμός と ᾠδός(歌い手)からできた並行する合成語 ψαλμωδός(詩篇歌い, 詠唱者)も同じ語族。派生に ψαλμωδικός(詠唱の), ψαλμωδώ(詠唱する)。
ύμνος(賛美歌, 賛歌)や άσμα(歌)は世俗の歌も指すのに対し, ψαλμωδία は教会の典礼で歌う場面に使うことが多い。
ギリシャ語:ψάρι
読み方:プサリ・プサーリ
ラテン文字:psari
中世ギリシャ語 ψάρι(ν)(魚、← ヘレニズム期 ὀψάριον「小さな魚、魚の切り身、おかず」、← 古代 ὄψον「調理された食べ物、副菜、おかず」の指小形)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世形は、定冠詞と続けた発音 τὸ ὀψάριον で語頭の無強勢母音 [o] が脱落(αποβολή)し、さらに母音連続の回避(αποφυγή της χασμωδίας)を経て、現代の ψάρι の形に整えられた。
源にある古代の ὄψον(おかず、ご馳走、副菜)は、本来は主食のパン(σῖτος)に対する「副え物・おかず」を意味したが、古代アテネで魚が代表的なおかずとして好まれたため、しだいに「魚料理」を中心に指すようになった。ヘレニズム期にはその指小形 ὀψάριον が「魚」そのものを意味するに至り、現代まで続く意味の中心が確立した。古代の ὄψον と動詞 ἕψω(煮る)は、印欧祖語の「煮る、料理する」を表す語根に由来するとする説と、別系統の地中海語彙とする説がある。
古代以来の文書語の系譜では、ὄψον からの派生に ὀψοποιός(料理人、書きことばの古典形), ὀψοφάγος(美食家、贅沢な食事をする者), ὀψώνιον(食料の購入、給金、← 英 obsonium「給与」の語源として中世ラテン語に取り入れられ)が出ている。ψάρι の対応する書きことばの古典形は ιχθύς(魚、← 古代 ἰχθύς)で、ホメロス以来の伝統的な魚語彙として現代でも魚座(Ιχθύες), 魚類学(ιχθυολογία), 魚類養殖(ιχθυοκαλλιέργεια)のような書きことば・専門語に残る。古代のキリスト教徒の象徴(ΙΧΘΥΣ = Ιησοῦς Χριστὸς Θεοῦ Υἱὸς Σωτήρ「イエス・キリスト、神の子、救世主」の頭字語)として用いられた歴史も持つ。
派生・関連語族として ψαράκι(小さな魚、指小形), ψαρούκλα(大きな魚、増大形), ψαράκας(間抜けな人、新兵をからかう口語), ψαριά(漁獲、漁獲量、← ψάρι + -ιά), ψαρική(漁業の女性形、書きことば), ψαρικό(魚介類、形容詞中性形が名詞化), ψαρίλα(魚臭さ), ψαρίσιος(魚の、形容詞), ψαράς(漁師、釣り人), ψάρεμα(魚釣り、釣り), ψαρεύω(魚を釣る、動詞), ψαρόσουπα(魚スープ), ψαροχώρι(漁村), ψαροντούφεκο(魚突き), ψαροπούλα(小型の漁船、女性的指小)。色名としての ψαρός(白髪まじりの、← 古代 ψαρός「斑点のある」、現代の比喩用法), ψαρής(白髪まじりの)も同じ語族から派生した。
比喩用法では沈黙や環境への不慣れを表すことが多く、βουβός σαν ψάρι(魚のように黙りこくっている), σαν το ψάρι έξω από το νερό(陸に上がった魚), απ' το κεφάλι βρομάει το ψάρι(魚は頭から腐る、組織の腐敗は上から)が頻出する。俗語では騙されやすい人、新兵、無口な人、歌の下手な人を指す広い口語用法も持つ。
ギリシャ語:ψέμα
読み方:プセマ・プセーマ
ラテン文字:psema
古代ギリシャ語の ψεῦσμα(嘘、欺瞞)を継承。ヘレニズム期に子音群の簡略化で [s] が脱落して ψεῦμα になり、さらに中世期に [vm > mm > m] の同化と簡略化を経て今の形に至る。
もとの動詞 ψεύδω / ψεύδομαι(欺く、嘘をつく、偽る)は、現代ギリシャ語でも ψεύδομαι(嘘をつく、文章寄り)の形で残っている。
派生語族として ψεύτης(嘘つき、男性)、ψεύτρα(嘘つき、女性)、ψεύτικος(偽の、嘘の)、ψευδώνυμο(仮名、偽名)、ψευδαίσθηση(錯覚、幻想)、ψευδορκία(偽証)など、ψευδ- 系統の合成語と派生語が豊富。
英語 pseudo-(偽の〜、擬似)、pseudonym(偽名、ペンネーム)、pseudoscience(疑似科学)など、ヨーロッパ各語の「偽の」を表す学術接頭辞も同じ古代 ψεύδω に由来。これらはラテン語を経由して広まった。
派生には ψεματάκι(小さな嘘、可愛い嘘、指小形)、ψεματάρα(大嘘、増大形)、ψεματίζω(嘘をつく、口語)などがある。類義語の αναλήθεια は「不真実」を意味し、事実に反する性質を中立的に指す書き言葉寄りの表現。意図的な欺きのニュアンスを必ずしも含まない。対義語は αλήθεια(真実)。
比喩用法では「実在しないもの、神話、幻想」も指す。Η απόλυτη ευτυχία είναι ψέμα(絶対的な幸福は幻想だ)のような表現で使われる。
ギリシャ語:ψήφος
読み方:プシフォス・プシーフォス
ラテン文字:psifos
古代ギリシャ語の ψῆφος(小石)を継承。古代では民会や法廷などの投票に小石を使ったため早くから「票」の意味にも広がり、近代にはフランス語 vote/voix の影響で投票制度の用語として意味が整った。
派生語に ψηφίζω(投票する)、ψηφοφορία(投票、採決)、ψηφοδέλτιο(投票用紙)、δημοψήφισμα(国民投票)。
ギリシャ語:ψυχή
読み方:プシヒ・プシヒー
ラテン文字:psychi
古代ギリシャ語の ψυχή(息, 呼吸)を継承。印欧祖語で「吹く」を表す語根に続く ψύχω(吹く, 冷やす)から結果を表す -η を付けて作られた語で, 息をすること = 生きていることから「生命, 魂」へと意味が移った。弦楽器の魂柱や鉄骨の芯を指す技術用語としての用法は, ドイツ語 Seele からの意味借用で加わった。
英語 psycho-(心理), psychology(心理学), psychiatry(精神医学)はこの語をもとにした語。派生に ψυχικός(魂の, 精神の), ψυχούλα(愛しい人), ψυχάκι(親しい人)。
心を扱う語では, 感情は καρδιά(心臓, 心), 思考や理性は νους(精神, 理性), 理念や霊性は πνεύμα(精神, 霊)。ψυχή は魂や生命全体としての「心」を扱う。
ギリシャ語:ψυχρός
読み方:プシフロス・プシフロース
ラテン文字:psychros
古代ギリシャ語の ψυχρός(冷たい)に由来。ψυχρός は古代ギリシャ語の動詞 ψύχω(吹く、冷やす)に、形容詞を作る接尾辞 -ρός が付いた形。
ψύχω のさらに前の由来は確定していない。印欧祖語で「吹く」ことを表す語根に結びつける説がある一方、前ギリシャ語由来と見る説もある。
同根語や派生語には ψυχή(魂、心)、ψύχος(寒さ、冷気)、ψύξη(冷却、冷房)、ψυχρότητα(冷たさ、冷淡さ)などがある。科学語の psychro-(低温、寒冷に関する)もこの系統に属する。
物理的な冷たさでは類義語に κρύος(冷たい、寒い)、παγωμένος(凍った、冷えきった)などがある。対義語は θερμός(温かい、熱い)。態度や感情の文脈では χαρακτήρας(性格)、λογική(論理)、σκέψη(思考)、βλέμμα(まなざし)などと結びつく。
連語 ψυχρός πόλεμος(冷戦)は、英語 cold war に基づく翻訳借用。英語の表現は、さらにスペイン語 guerra fría に基づくものとされる。
ギリシャ語:ψυχρός πόλεμος
読み方:プシフロス ポレモス・プシフロース ポーレモス
ラテン文字:psychros polemos
ψυχρός(冷たい、冷淡な)と πόλεμος(戦争)からなる連語。英語 Cold War に基づく翻訳借用で、日本語の「冷戦」にあたる。
歴史・政治の文脈では、第二次世界大戦後、ΗΠΑ(アメリカ合衆国)と ΕΣΣΔ(ソビエト連邦)という二つの超大国のあいだで続いた、地政学的、イデオロギー的、経済的な対立の時期を指す。直接の大規模な武力衝突ではなく、緊張、軍拡、代理戦争、政治・経済・情報面の競争として現れた対立を表す。
そこから、武力衝突には至らないが、互いに敵対的な行動や強い競争が続く状況にも使われる。
関連表現に Β' Παγκόσμιος Πόλεμος(第二次世界大戦)、ΗΠΑ(アメリカ合衆国)、ΕΣΣΔ(ソビエト連邦)、υπερδύναμη(超大国)、γεωπολιτικός ανταγωνισμός(地政学的競争)、ιδεολογικός ανταγωνισμός(イデオロギー的競争)などがある。
ギリシャ語:ψωμί
読み方:プソミ・プソミー
ラテン文字:psomi
古代ギリシャ語 ψωμός(一口分の食べ物、ちぎった破片)から。ヘレニズム期に指小形 ψωμίον が「パンの一切れ」を指すようになり、中世にかけて指小の意味が薄れて ψωμί の形で「パン」全般を表すようになった。古代の ψωμός は「こする、ちぎる」を意味する動詞 ψάω 系統に由来し、もともとは「ちぎられたかけら、一口分」を意味した。
派生語に ψωμάκι(小さなパン、サンドイッチ用の小さなロールパン、複数形で腰回りや太ももの脂肪)、ψωμάς(パン屋、パン職人)、ψωμοτύρι(パンとチーズ、簡素な食事の比喩)、ψωμοζώ(パンで生きる、極貧の生活を送る)など。
類義語に άρτος(パン。古代由来の格式高い語で、宗教・公式の場、聖体拝領のパンや「日々の糧」など、主に書き言葉で使う)。ψωμί は「パン」のほか、生計や生活の糧、口語では利益やメリットの比喩にも使う。