ギリシャ語:παίκτης
読み方:ペクティス・ペークティス
ラテン文字:pektis
ヘ から始まる単語 39 語。
ヘ から始まる単語 39 語。
ギリシャ語:παίκτης
読み方:ペクティス・ペークティス
ラテン文字:pektis
ギリシャ語:μπεζ
読み方:ベズ・ベーズ
ラテン文字:mpez
フランス語 beige(ベージュ、未染色の羊毛色)からの外来借用(δάνειο)。性・数・格で語形が変化しない不変化形容詞として現代ギリシャ語に取り入れられ、同じくフランス語由来の色名 γκρι(グレー), μοβ(モーヴ), μπλε(青), ροζ(ピンク)と共通の形で定着している。
フランス語 beige はもともと、染色や漂白を施していない自然な状態の羊毛とその色を指す語だった。語源はイタリア語 bigio(灰色がかった), あるいはラテン語 *baeticus(スペイン南部のベティカ地方産の毛織物)にさかのぼるとされるが、確定的ではない。19 世紀のフランス・ファッションの語彙の中で「淡い茶色がかった黄色」の色名として固まり、英語 beige, ドイツ語 Beige, イタリア語 beige などヨーロッパ各語に広まった国際語の一員。
派生・関連語に乏しい不変化形容詞だが、修飾語を加えて色合いを細分化する慣用的な連語が使われる: ανοιχτό μπεζ(ライトベージュ), σκούρο μπεζ(ダークベージュ), μπεζ ροζ(ベージュピンク), μπεζ καμηλό(キャメルベージュ、< γαλλ. beige chameau)。中性形と同じ形で名詞としても使い、「ベージュ色」そのものを指す(το μπεζ)。同系の色名として ιβουάρ(アイボリー、< γαλλ. ivoire), εκρού(生成り色、< γαλλ. écru), κρεμ(クリーム色、< γαλλ. crème)が並ぶ淡いニュートラル色の語族の一員。
ギリシャ語:πέστροφα
読み方:ペストゥロファ・ペーストゥロファ
ラテン文字:pestrofa
ブルガリア語 пъстърва pŭstŭrva(マス)からギリシャ語に入った外来借用(δάνειο)に、語源俗解(παρετυμολογία)として ギリシャ語動詞 επιστρέφω(戻る、回帰する、産卵期に川を遡上するマスの行動の連想)の影響が加わって *επίστροφα に再形成されたと Tri が記す。バルカン半島でのスラヴ語との文化接触の中で取り入れられた、中世以降の動物・自然語彙の代表例。
源にあるブルガリア語 pŭstŭrva は、原スラヴ語 *pъstrava(斑点のある、まだら模様の)に由来し、マスの体表の斑点模様に由来する命名と解釈される。同じスラヴ語族からは、ロシア語 пстрюга / форель forel(マス), セルビア・クロアチア語 pastrva, ポーランド語 pstrąg, チェコ語 pstruh が並び、スラヴ諸語のマス語彙の共通祖となる。原スラヴ語 *pъstrъ(斑点のある、まだら)からは、地名・動物名・色彩語彙が広く派生し、東欧・バルカン半島の自然語彙の中核を成す。
語源俗解の引き手になった動詞 επιστρέφω(戻る、回帰する、← επι-「上に」+ στρέφω「向ける」)は、印欧祖語の「向ける、回す」を表す語根に由来し、ラテン語 stringo(締める、絞る), 英語 strong(強い、もとは「結びついた」)と同族。マスの遡上行動を連想して *επίστροφα(「戻ってくるもの」)の語形が定着したという観察に基づく民間語源は、外来借用語のギリシャ化を示す典型例。
ヨーロッパ各語の「マス」語彙では、ラテン語 trutta(マス、← 後期ラテン語、おそらく中世ガリア語起源)から、フランス語 truite, スペイン語 trucha, イタリア語 trota, 英語 trout, ドイツ語 Forelle(別系統)が広まり、ロマンス諸語と西欧の中核を成すが、ギリシャ語 πέστροφα はバルカン半島のスラヴ語経由の独自の系譜を保つ。学名 Salmo trutta(マス)はラテン語起源の命名。
派生・関連語族として πεστροφάκι(小さなマス、指小形), ιριδίζουσα πέστροφα(ニジマス、← ιριδίζω「虹色を帯びる」+ πέστροφα、英 rainbow trout の翻訳借用), πέστροφα ποταμού(川マス), πέστροφα ιχθυοτροφείου(養殖マス), καπνιστή πέστροφα(燻製マス)。
同じサケ科(Salmonidae)の魚の領域には、近い種として σολομός(サケ、サーモン、← ラ salmo), σολομοπέστροφα(サーモントラウト), αρκτικός σολομός(カラフトマス、北極サケ)が並び、淡水・汽水・海水の異なる生息環境を持つ系列として体系化されている。料理では、πέστροφα στη σχάρα(マスのグリル), πέστροφα μαριναρισμένη(マスのマリネ), πέστροφα γεμιστή(詰め物マス)など、ギリシャの伝統料理から国際料理まで広く使われる、北方寄り内陸の主要な食用魚。
ギリシャの淡水漁業では、エペイロス、テッサリア、マケドニアの山間部の川や湖(特にプレスパ湖、ヴゴリツィダ湖)でマスの自然繁殖と養殖が行われ、地域の食文化と観光資源として親しまれる。
ギリシャ語:παίζω
読み方:ペゾ・ペーゾ
ラテン文字:paizo
印欧祖語で「少ない, 幼い」を表す語根にさかのぼる名詞 παῖς(子供)から派生した古代ギリシャ語の動詞 παίζω(子供らしくふるまう, 遊ぶ)を継承。現代の「相場が推移する」「メディアで流れる」などの意味はフランス語 jouer, 英語 play からの意味借用で整った。
同じ語根にラテン語 puer(少年), paucus(少ない), pauper(貧しい), 英語 few が並ぶ。英語には παῖς を直接含む合成語として pediatrics(小児科学、παῖς + ἰατρός), pedagogue(教育者、παῖς + ἀγωγός), encyclopedia(百科事典、ἐγκύκλιος παιδεία「全般の教育」から)がある。
派生に παιχνίδι(おもちゃ、遊び、試合、駆け引き), παίκτης(プレーヤー、選手), παίγνιο(遊び、もてあそび), εμπαίζω(あざける、ばかにする)。
ギリシャ語:πεταλούδα
読み方:ペタルダ・ペタルーダ
ラテン文字:petalouda
中世ギリシャ語 πεταλούδα(蝶)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)で、語源には二つの説が論じられる:(1)πέταλο(蹄鉄、円形の金属板、葉、花びら)に語尾 -ούδα が付いた派生説、(2)ヘレニズム期 πετηλίς(属格 -ίδα、バッタの一種)からの音韻変化を経た形とする説。Tri 注記は両方の可能性を「ίσως... ή」(おそらく〜あるいは〜)として並べて示し、確定していない。
源候補の一つの古代 πέταλον(葉、花びら、平たい板、← πετάννυμι「広げる、開く」)は、印欧祖語の「広げる、開く」を表す語根に由来し、ラテン語 pateō(開いている、← 英 patent), παττᾱνος(広がった)と関連する。蝶の羽が広がる姿を「広げられた葉」のように見立てた命名と解釈される。同じ語根からは πέταλο(花びら、蹄鉄), πέταγμα(飛行), πετάλα(金属板), ροδοπέταλο(バラの花びら)が派生する。
源候補のもう一つの πετηλίς(バッタ、書きことば)は、πέτομαι(飛ぶ)の派生で、「飛ぶ虫」を意味した。古代ギリシャ語の動詞 πέτομαι は、現代ギリシャ語の πετώ(飛ぶ)として継承され、πεταλούδα の意味の中心「飛ぶ虫」とつながる。
近代の派生用法として、英語 butterfly の意味展開を取り込んだ意味借用(σημασιολογικό δάνειο)が複数加わっている:(a)競泳の「バタフライ」(← 英 butterfly stroke), (b)カオス理論の「バタフライ効果」(← 英 butterfly effect、Edward Lorenz が 1972 年に提唱), (c)医療の「バタフライ針」(← 英 butterfly needle、点滴・採血用の小型カテーテル)が、近代の科学・スポーツ・医療語彙として確立されている。
派生・関連語族として πεταλουδίτσα(小さな蝶、指小形), πεταλουδάκι(小さな蝶、口語), πεταλουδοειδής(蝶のような形の、形容詞), πεταλουδώδης(書きことばの「蝶のような」), πεταλουδοθερία(蝶の収集、書きことば), πεταλουδολόγος(蝶の研究者、書きことば), πεταλουδοκύνηγος(蝶取り)。
ヨーロッパ各語の「蝶」語彙は系統がばらばらで、フランス語 papillon(← ラ papilio), スペイン語 mariposa, イタリア語 farfalla, 英語 butterfly(← 古英語 butorflēoge「バターのハエ」), ドイツ語 Schmetterling と、それぞれ独自の語族を形成しており、ギリシャ語 πεταλούδα もその一つの独自の語族を保つ。
学術命名では、リンネが 1758 年の『自然の体系』で、目(科)の Lepidoptera(鱗翅目、← ギリシャ語 λεπίς「鱗」+ πτερόν「翅」)を命名し、現代の昆虫分類学の中核概念となった、ギリシャ語起源の国際語彙の典型例。
「蝶形のもの」の比喩用法は活発で、γυαλιά πεταλούδα(バタフライ眼鏡), μαχαίρι πεταλούδα(バタフライナイフ), πεταλούδα γκαζιού(スロットル弁), ψάρεμα με πεταλούδα(スピナー釣り), λαβίδα πεταλούδα(バタフライ・クランプ)など、形が両側に広がる物を「蝶」と呼ぶ造語パターンが、近代技術の語彙に広く展開している。慣用句では όπως η πεταλούδα στη φωτιά(火に飛び込む蝶のように、危険を顧みず情熱に駆られて)が、蝶の脆さと美しさを介した感情表現の象徴として、詩・歌・文学に頻出する。
ギリシャ語:παιδί
読み方:ペディ・ペディー
ラテン文字:paidi
印欧祖語で「少ない, 幼い」を表す語根にさかのぼり, ラテン語 puer(子供)やサンスクリット putrá(息子)と同源の語族に連なる古代ギリシャ語 παῖς(子供, 少年)の指小形 παιδίον(小さな子)から, 中世ギリシャ語 παιδίν を経て今に至る継承。英語の接頭辞 ped(o)-(pedagogy「教育学」, pediatrics「小児科学」)はこの παῖς/παιδ- からラテン語・新ラテン語を経由して入った学術借用。
類義語に τέκνο(子、子女。公的・文芸の文脈で「子孫」のニュアンスを帯びる硬い形), βρέφος(乳児), μωρό(赤ちゃん), νεογέννητο(新生児)。派生に παιδάκι(小さな子、お子さん。指小形), παιδαρέλι(若造), παίδαρος(立派な体格の青年), παιδικός(子供の、子供らしい)。合成語に παιδότοπος(子供の遊び場), εκπαίδευση(教育), εκπαιδευτικός(教育の、教育関係者)。関連語に παιδεία(教育、教養), παίδευση(教育、鍛錬)。
ギリシャ語:παιδιά
読み方:ペディア・ペディアー
ラテン文字:paidia
動詞 παίζω(遊ぶ)から派生した古代ギリシャ語の女性名詞 παιδιά(遊び, 楽しみ)に由来。背景には παιδί の古い形 παῖς(子供)がある。現代ギリシャ語では書き言葉やスポーツ用語として残り, 話し言葉では παιχνίδι(遊び, ゲーム, おもちゃ)がふつうに使われる。
同じ παῖς の語族に παιδί(子供), παίζω(遊ぶ, プレーする), παιχνίδι(遊び, ゲーム, おもちゃ), παιδικός(子供の, 子供じみた), 合成語 αθλοπαιδιά(球技, スポーツ), γυμνοπαιδίες(古代スパルタの少年競技)。
παιχνίδι が「遊び, ゲーム, おもちゃ」までまとめて受けるのに対し, παιδιά は εντός παιδιάς(プレー中), εκτός παιδιάς(プレー外)のような定型表現や, 組織的な競技を言うときに使うことが多い。英語 pedagogy, pediatric も παῖς を含むギリシャ語合成語から入った。
ギリシャ語:πεδιάδα
読み方:ペディアダ・ペディアーダ
ラテン文字:pediada
古代ギリシャ語の πεδιάς(平野、平野の)に由来。πεδιάς は πέδον / πεδίον(地面、平地、野原)から作られた語で、πεδίο(場、領域、フィールド)と同じ語族に属する。
πέδον / πεδίον は古代ギリシャ語の πούς(足)と同語源で、現代ギリシャ語の πόδι(足、脚)にもつながる。さらに印欧祖語で「足、踏む地面」を表す語根に遡る。
現代ギリシャ語において、地形としての「平野」は πεδιάδα が一般的。一方で πεδίο は物理の「場」や抽象的な「領域」を指すのが中心で、地形としての用法は文語表現に留まる。
類義語には κάμπος(平野、野のひらけた土地)がある。周辺の地形語は κοιλάδα(谷)、λεκανοπέδιο(盆地)、λιβάδι(牧草地)、σαβάνα(サバナ)、στέπα(ステップ)など。
ギリシャ語:πεδίο
読み方:ペディオ・ペディーオ
ラテン文字:pedio
古代ギリシャ語の πεδίον(平地、野原)を継承。本来の意味は地形としての「平野」(現代では πεδιάδα が一般語、πεδίο の文語的用法にこの意味が残る)。
物理学の「場」(重力場、電場など)や、活動・学問の「領域」などの抽象的な意味は、フランス語 champ(場、領域)などからの意味借用で広がった。
コンピュータのフォームの「入力欄」としての用法は、英語 field(フィールド、入力欄、1946年)からの意味借用によるもの。
成句に Ηλύσια Πεδία(エリュシオン、ギリシャ神話の死後の楽園)。
ギリシャ語:παιδικός
読み方:ペディコス・ペディコース
ラテン文字:paidikos
古代ギリシャ語 παιδικός(子供の、子供のための、← παῖς「子供」+ -ικός)を、近代以降に書き言葉から再導入した学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。「子供じみた、幼稚な」の蔑称的用法は、フランス語 infantile(幼児的な、未熟な)の意味用法を取り入れた意味借用(σημασιολογικό δάνειο)として加わった層。
源にある παιδί(子供、現代)の古代形 παῖς(属格 παιδός、子供、しもべ、奴隷の若者)は、印欧祖語の「子供、若者」を表す語根に由来し、ラテン語 puer(少年), paucus(少ない、若い)と関連する。同じ古代の παῖς から派生した重要語に παιδεία(教育、文化、← 古代以来「子供を育てる、人間を形成する」の意味で発達), παιδαγωγός(教師、← 「子供を導く者」), παιδιατρική(小児科), ορθοπαιδική(整形外科、← ὀρθο-「まっすぐ」+ παῖς), εγκυκλοπαίδεια(百科事典、← ἐν κύκλῳ παιδεία「全方位の教養」)など、近代ヨーロッパの教育・医学・学問の中核語彙に深く浸透している。
英語 pedagogy(教育学), pediatrics(小児科), encyclopedia(百科事典), orthopedics(整形外科), pedophilia(小児性愛)など、近代医学・教育の専門用語の語幹となっている。
派生・関連語族として παιδί(子供), παιδιά(子供たち、複数), παιδικά(子供らしく、副詞), παιδαριώδης(子供じみた), παιδιάστικος(幼稚な), παιδικός σταθμός(保育所、幼稚園), παιδική χαρά(遊び場、公園), παιδική ασθένεια(小児疾患), βρεφικός(乳児の), νηπιακός(幼児の), εφηβικός(思春期の), νεανικός(若者の)。類義語のうち παιδαριώδης / παιδιάστικος が「幼稚な、子供じみた」の蔑称的なニュアンスを強く持つのに対し、παιδικός は本来の「子供の」という客観的な用法が中心。
ギリシャ語:πετεινός
読み方:ペティノス・ペティノース
ラテン文字:petinos
動詞 πέτομαι(飛ぶ)から派生した古代ギリシャ語の形容詞 πετεινός(翼のある、飛べる)を継承。のちに名詞に転じて雄鶏を指すようになった。
派生の指小形に πετεινάρι(若い雄鶏)、合成語に λυροπετεινός(クロライチョウ)などがある。日常で雄鶏を指すのは κόκορας で、πετεινός は文学や伝統的な言い回しに出ることが多い。
πέτομαι の印欧祖語の語根は「飛ぶ、翼を広げる」を表す。英語 feather も同じ語根から来ている。
ギリシャ語:πέδιλο
読み方:ペディロ・ペーディロ
ラテン文字:pedilo
古代ギリシャ語の πέδιλον(サンダル)に由来。πέδιλον は「足」を表す語根に遡り、古代ギリシャ語の πούς(足)、現代ギリシャ語の πόδι(足、脚)と同じ語族に属する。
同じ語根からは πεδίο(場、領域、フィールド)や πεδιάδα(平野)も出ている。足で踏む場所、地面、足に履くものが同じ語族の中でつながっている。
技術分野で、機械や構造物の下に付ける接地部・支持部を指す用法は、フランス語 sabot からの意味借用。sabot は木靴、またそこから転じて機械や構造物の「靴」「当て部材」を指す語でもある。
関連語に παπούτσι(靴)、σανδάλι(サンダル)、υπόδημα(履物)、πέλμα(足裏、靴底)、πεντάλι(ペダル)などがある。特殊用途の履物では παγοπέδιλο(アイススケート靴)、βατραχοπέδιλο(フィン)などが並ぶ。
ギリシャ語:πέτρα
読み方:ペトゥラ・ペートゥラ
ラテン文字:petra
古代ギリシャ語の πέτρα(岩, 岩盤)を継承。「大きな岩」から「石」全般へ意味が広がった。
英語の人名 Peter, ペテロ は同根の Πέτρος(男性形, 岩)から。新約聖書マタイ 16:18 でイエスが弟子シモンをそう呼んだことに由来する。英語 petroleum(石油)は πέτρα とラテン語 oleum(油)からの合成で「石の油」, petrify(石にする, 恐怖で固まらせる)も同じ系統。
指小形に πετρούλα, πετραδάκι(小石)。派生に πέτρινος(石の), πετρώνω(石化する)。合成に πετρέλαιο(石油), πετρογραφία(岩石学)。λίθος も同じ「石」を指す古代由来の語で, 現代ギリシャ語では鉱物学, 医学, 合成語に残る。ふつうの「石」には πέτρα を使う。
ギリシャ語:πετριχώρας
読み方:ペトゥリホラス・ペトゥリホーラス
ラテン文字:petrichoras
ギリシャ語:πετριχώρ
読み方:ペトゥリホル・ペトゥリホール
ラテン文字:petrichor
英語 petrichor からの借用。1964年にオーストラリアの科学者ベアとトーマスが古代ギリシャ語の πέτρα(石)と ἰχώρ(神々の体液)を合わせて名づけた語で、ギリシャ語には再借用として入った。
πετριχώρ のほか、男性名詞として活用する πετριχώρας や πετριχώρος の形でも使われる。
ギリシャ語:πετριχώρος
読み方:ペトゥリホロス・ペトゥリホーロス
ラテン文字:petrichoros
ギリシャ語:παίχτης
読み方:ペフティス・ペーフティス
ラテン文字:pextis
παίκτης(プレーヤー、賭け事をする人、選手)の別綴り。kt が xt に変わった日常寄りの形で、意味は同じ。
ゲームの参加者、賭け事をする人、チーム競技の選手を指し、口語では「やり手」の意味にもなる。
ギリシャ語:παίχτρια
読み方:ペフトゥリア・ペーフトゥリア
ラテン文字:pextria
παίκτρια(プレーヤー、賭け事をする人、選手)の別綴り。kt が xt に変わった日常寄りの形で、意味は同じ。
ゲームの参加者、賭け事をする人、チーム競技の選手を指し、口語では「やり手」の意味にもなる。
ギリシャ語:παιχνίδι
読み方:ペフニディ・ペフニーディ
ラテン文字:paichnidi
中世ギリシャ語 παιγνίδι(< παιγνίδιον「小さな遊び、おもちゃ」、← 古代 παίγνιον「遊び、おもちゃ」の指小形)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世期に [γ > x] への音変化が動詞 παίχτης(プレーヤー、← 古代 παίκτης の中世形)からの類推(αναλογική επίδραση)で起こり、現代の標準綴り παιχνίδι が定着した。古い綴りを残した形 παιγνίδι もまれに口語に残る。
源にある古代の παίγνιον(遊び、おもちゃ、戯れ、見世物)は、動詞 παίζω(遊ぶ、戯れる、楽器を奏でる、演じる、← παῖς「子供」由来)の派生で、もとは「子供が遊ぶように戯れること、子供の遊び道具」を意味した。同じ語族からは παιχνιδιάρης(遊び好きの、いたずら好きの), παιδιά(遊び戯れ、書きことば), παίκτης(プレーヤー、賭け事をする人、選手)が出ている。
源にある古代の παῖς(子供、息子、娘、奴隷の若者)は、印欧祖語の「子供、若い者」を表す語根に由来し、ラテン語 puer(少年、子供), 英語 few と関連する古層語。古代ギリシャ語の παῖς からは、古代以来の派生語族として、παιδί(子供、現代の継承形), παιδεία(教育、教養、書きことば), παιδαγωγός(教育者、← παῖς + ἄγω「導く」、英 pedagogue), παιδιατρική(小児科), パイドス(pedagogy, paedophilia などの語幹)が広く出ている、教育・子供に関する語彙の根幹をなす語族。
派生・関連語族として παιχνιδάκι(小さなおもちゃ、たやすいこと、指小形), παιχνιδιάρης(遊び好きの、いたずらっぽい、形容詞), παιχνιδίζω(戯れる、ふざける、動詞), παιχνιδίσματα(戯れごと、複数形), παίζω(遊ぶ、演奏する、演じる、動詞), παίκτης(プレーヤー、選手)。複合表現では ηλεκτρονικά παιχνίδια(電子ゲーム、← 英 video games の翻訳借用), παιχνίδι ρόλων(ロールプレイ、← 英 role-playing game), ομαδικό παιχνίδι(チームゲーム)のような近代造語が広く使われる。
意味の領域は古代以来一貫して幅広く、子供のおもちゃ、ルールのある遊びやゲーム、スポーツの試合、運任せの賭け事、人を振り回す駆け引き、政治の裏工作、光や色の戯れまで、「遊び」の意味の連続体として体系化されている。比喩用法も豊富で、παίζω διπλό παιχνίδι(二重スパイ的に振る舞う), παιχνίδι νεύρων(神経戦), τα παιχνίδια της τύχης(運命のいたずら)など、人間関係・政治・運命の語彙にも深く入り込んでいる。
ギリシャ語:πεπόνι
読み方:ペポニ・ペポーニ
ラテン文字:peponi
中世ギリシャ語 πεπόνι(ν)(メロン、← ヘレニズム期 πεπόνιον「小さなメロン、熟した瓜」、← 古代ギリシャ語の連語 σίκυος πέπων「熟したキュウリ・瓜」の πέπων を中性指小形にした形)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。古代の πέπων は形容詞で「熟した、やわらかな」を意味し、瓜の類が熟して食べごろになった状態を指していた語が、果物の名前として独立した。
源にある古代の πέπων(熟した、やわらかい、消化しやすい)は、動詞 πέπτω / πέσσω(熟させる、煮る、消化する)からの派生で、印欧祖語の「煮る、熟す」を表す語根に由来する。同じ語根からはラテン語 coquere(煮る、料理する、← 英 cook の語源), κουζίνα(台所、料理), πέψη(消化)が並び、「熟す・煮る・料理する」を表すヨーロッパの古層語彙の中心。
ラテン語経由の系譜では、ラテン語 melō(メロン、← 古代 μηλοπέπων「リンゴのような瓜」、← μῆλον「リンゴ」+ πέπων)からフランス語 melon, スペイン語 melón, イタリア語 melone, ドイツ語 Melone, 英語 melon が広まり、現代の各国語の「メロン」語彙の共通源となった。古代ギリシャ語の合成語が地中海・西欧の果物語彙の根本になっている例。ギリシャ語 πεπόνι は、その合成語の後半要素 πέπων だけを残して継承された形。
派生・関連語族として πεπονιά(メロンの株、植物体、← πεπόνι + -ιά 植物名接尾辞), πεπονόσπορος(メロンの種), πεπονόφλουδα(メロンの皮), πεπονόκαρπο(メロンの実、書きことば), πεπονοειδής(メロンのような形の、書きことば)。
同じ夏の果物の領域には、果肉と水分の多い καρπούζι(スイカ)が並んで現れることが多く、夏の果物 φρούτα του καλοκαιριού の代表として一緒に言及される。比喩用法では κεφάλι σαν πεπόνι(メロンのような細長い頭), βαρύ πεπόνι(怒っていかつく振る舞う人、文字どおり「重いメロン」)が口語で頻出する、形・性質を比喩する慣用句が活発な語。
ギリシャ語:πεπονιά
読み方:ペポニャ・ペポニャー
ラテン文字:peponia
中世ギリシャ語 πεπονέα(メロンの株)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世期に母音連続 [ea] を避ける母音融合(συνίζηση)を経て、現代ギリシャ語の πεπονιά の形に定着した。源にある合成は πεπόνι(メロン)+ -έα(古代の植物名接尾辞、現代では -ιά)で、果実名から植物体・木の名前をつくる、ギリシャ語の生産的な造語パターンに乗った内部派生(εσωτερικός σχηματισμός)。
接尾辞 -ιά(< -έα)は、果実名・実の名から植物体・木の名前を作る現代ギリシャ語の中心的な造語要素で、同じパターンで作られた語族には、μηλιά(リンゴの木、← μήλο「リンゴ」), αχλαδιά(梨の木、← αχλάδι「梨」), κερασιά(サクランボの木、← κεράσι「サクランボ」), ροδακινιά(モモの木、← ροδάκινο「モモ」), λεμονιά(レモンの木、← λεμόνι「レモン」), βερικοκιά(アンズの木、← βερίκοκο「アンズ」), καρυδιά(クルミの木、← καρύδι「クルミ」), ελιά(オリーブの木、← ελιά「オリーブの実」も同形)が並ぶ。「実」と「木・株」を語形で言い分ける、ギリシャ語の整った植物語彙の体系の一翼を担う語。
派生・関連語族として πεπονόσπορος(メロンの種), πεπονόκηπος(メロン畑), πεπονοκαλλιέργεια(メロン栽培)。植物学的にはウリ科(Cucurbitaceae)のメロン属(Cucumis)の蔓性一年生草本で、地表を這うように伸びる蔓と、葉腋に花をつける株全体を πεπονιά と呼ぶ。果実が πεπόνι、株が πεπονιά、と分担して指す。同じウリ科の植物では καρπουζιά(スイカの株), αγγουριά(キュウリの株), κολοκυθιά(カボチャの株)が並び、それぞれの果実 καρπούζι(スイカ), αγγούρι(キュウリ), κολοκύθι(カボチャ)と対応する造語の体系が同じパターンで保たれている。
ギリシャ語:πέλαγος
読み方:ペラゴス・ペーラゴス
ラテン文字:pelagos
古代ギリシャ語の πέλαγος(海、外洋)に由来。印欧祖語で「平らに広がる」を表す語根に続くとされる。
ラテン語 pelagus と語源を共有する。英語 archipelago は中世イタリア語 arcipelago を経て古代ギリシャ語の ἀρχιπέλαγος(主たる海)に連なり、もとはエーゲ海を指した。エーゲ海には島が多いため、のちに「多島海、列島」の意味でも使われるようになった。
同じ語根からギリシャ語内に πλατύς(広い), πλάγιος(斜めの), πλάξ(平板), παλάμη(手のひら)が派生。派生に πελάγιος(外洋の), πελαγικός(外洋性の), πελαγίζω(水びたしになる), πελαγώνω(途方に暮れる)。合成に αρχιπέλαγος, αρχιπέλαγο(群島、列島), βαθυπελαγικός(深海の)。海全般には θάλασσα を使い、πέλαγος は沖合の広い海域にかぎって使う。大洋は ωκεανός で区別する。
ギリシャ語:χέρι
読み方:ヘリ・ヘーリ
ラテン文字:cheri
印欧祖語で「手」を表す語根にさかのぼり, 古代ギリシャ語の χείρ(手)を継承。ヘレニズム期の指小形 χέριον, 中世ギリシャ語の χέριν を経て, 語末の -ν が落ちた形で今に至る。英語の接頭辞 chiro-(chirography「筆跡」, chiropractic「カイロプラクティック」, chiromancy「手相占い」)はこの χείρ から新ラテン語を経由して入った学術借用。
類義語に μπράτσο(腕、特に上腕部の力強さを表すのに使う), παλάμη(手のひら), βραχίονας(解剖学の「腕」)。派生に χεριά(ひとかき、ひと掴み), χερούλι(取っ手、ハンドル), χεράκι(小さな手。指小形), χερούκλα(大きな手。拡大形), χερακώνω(手荒に扱う)。関連語に χειρ- 系の硬い形の語として χειρίζομαι(扱う、操作する), χειριστήριο(操作機器), δεξιόχειρας(右利き), αριστερόχειρας(左利き), εγχειρίδιο(手引き、マニュアル)。
ギリシャ語:περιστερά
読み方:ペリステラ・ペリステラー
ラテン文字:peristera
古代ギリシャ語の περιστερά(ハト)をそのまま継承。日常的には中性名詞の περιστέρι が一般的で、女性名詞の περιστερά は文語的・宗教的・象徴的な響きを持つ。また、アクセント位置だけが異なる περιστέρα(メスのハト、女性への愛称)も別の語として併存する。
旧約聖書のノアの方舟伝説でオリーブの枝を運ぶハトの描写から、平和の象徴としての意味が定着した。フランス語の colombe や英語の dove にある「平和主義者、穏健派」という比喩用法に基づき、現代ギリシャ語の περιστερά もその意味借用を受けている。政治・軍事の文脈では、タカ派(γεράκι など)の対義語として使われる。
「無実を装う人」を指す慣用句 αθώα / λευκή περιστερά(無垢な/白いハト)がある。これは非難されるべき行為に関わっていないかのように振る舞う人物を、皮肉を込めて表す表現。
先頭を大文字にした Περιστερά は、南天の「はと座」を指す。16世紀末にオランダの地理学者プランシウス(プランキウスとも)が「Columba Noachi(ノアの鳩)」と命名。その後1679年にフランスの天文学者オーガスタン・ロワイエが星図に掲載して定着させた。
現代88星座のひとつで、略記は Col。比較的新しい星座のため特定の神話は持たないが、ノアの方舟の鳩にちなむ命名として広く知られている。
ギリシャ語:περιστέρα
読み方:ペリステラ・ペリステーラ
ラテン文字:peristera