ギリシャ語:κάβουρας
読み方:カヴラス・カーヴラス
ラテン文字:kavouras
中世ギリシャ語の κάβουρας を継承。古代の語にさかのぼる経路には二説あり、ヘレニズム・コイネー期の κάραβος(甲殻類、ザリガニ)から子音の入れ替え(αντιμετάθεση)[r-v] → [v-r] と母音変化を経て、κάβαρος → κάβουρος → κάβουρας と進んだとする説と、古代ギリシャ語の πάγουρος(カニの一種)から音変化を経て κάβουρος に整ったとする説が並ぶ。古代の κάραβος はラテン語 carabus(カラブス、ザリガニの一種、後に小舟も指した)に伝わり、ポルトガル語 caravela を経て英語 caravel(軽快帆船)の語源にもなった。古代の πάγουρος は伝統的に πάγος(岩、固いもの)+ οὐρά(尾)の合成と分析されたが、Beekes は語末 -ουρος を含む海洋生物名が非インド・ヨーロッパ語的な造語であることから、先ギリシャ語基層からの語と位置づけている。
類義語に καβούρι(カニ。κάβουρας の指小形 καβούριν から進んだ姉妹形で、現代の日常会話や料理の話題ではこちらを使うことが多い), καρκίνος(カニ。古代 καρκίνος 由来の語で、現代では「がん」(医学)・「かに座」(占星術)・分類学上のカニ類を指す形として残る)。κάβουρας は文学・成句や、男性名詞らしい硬い語感を伴う場面で広く使う形。派生に καβούρι(カニ。指小形から進んだ姉妹形), καβουρίνα(雌のカニ), καβουράκι(小さなカニ。中折れ帽の俗称にも)。合成語に σωληνοκάβουρας(パイプレンチ。σωλήν「管」+ κάβουρας)。

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