ギリシャ語:ρυάκι
読み方:リアキ・リアーキ
ラテン文字:ryaki
古代ギリシャ語の ῥύαξ(流れ、小川)から。中世ギリシャ語 ρυάκιον(小川)を経て今に至る。
ποταμός(川)より小さい自然の水の流れに使う。水以外でも、液体が細く流れる筋を指すことがある。
近い語に ρεματάκι(小さな沢、小川)や ρείθρο(細い流れ、水路)など。人工の溝や水路には αυλάκι(溝、水路)、χαντάκι(掘り溝、どぶ)などがある。
リ から始まる単語 24 語。
リ から始まる単語 24 語。
ギリシャ語:ρυάκι
読み方:リアキ・リアーキ
ラテン文字:ryaki
古代ギリシャ語の ῥύαξ(流れ、小川)から。中世ギリシャ語 ρυάκιον(小川)を経て今に至る。
ποταμός(川)より小さい自然の水の流れに使う。水以外でも、液体が細く流れる筋を指すことがある。
近い語に ρεματάκι(小さな沢、小川)や ρείθρο(細い流れ、水路)など。人工の溝や水路には αυλάκι(溝、水路)、χαντάκι(掘り溝、どぶ)などがある。
ギリシャ語:λιβάνι
読み方:リヴァニ・リヴァーニ
ラテン文字:livani
中世ギリシャ語の λιβάνιν(乳香、香)を継承。古代ギリシャ語 λίβανος(乳香)に、指小辞 -ιον が付いた形。
古代ギリシャ語 λίβανος はセム語系の語からの借用で、ヘブライ語 ləḇōnā(乳香)やアラビア語 lubān(乳香)と同系とされる。さらに「白い」を表すセム語系の語根に由来し、乳香の白っぽい樹脂に関わる命名と考えられる。
英語 frankincense は古フランス語で「上質な香」を表す語から来た別系統の語。一方、英語 olibanum(乳香)は中世ラテン語 olibanum を経て、古代ギリシャ語 λίβανος とつながる。
類義語に θυμίαμα(香、燻香)。関連語には κερί(ろうそく、蝋)、μυρωδιά(におい)、άρωμα(香り)、καπνός(煙)、εκκλησία(教会)などが挙げられる。
ギリシャ語:ρίγανη
読み方:リガニ・リーガニ
ラテン文字:rigani
古代ギリシャ語 ὀρίγανος(女性名詞、オレガノ)から、語頭の無アクセント母音 ὀ- が脱落し、女性名詞として接尾辞を -η に整えて、中世ギリシャ語の *ρίγανη を経て現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世の文献にも別形 αρίγανη が見られ、現代形に至る音変化過程を示している。
古代の ὀρίγανος の語源は確定されておらず、ὄρος(山)+ γάνος(喜び、輝き)の合成で「山の喜び」と理解する民間語源(παρετυμολογία)が古来から伝わるが、確実な印欧祖語の対応は見出されておらず、Beekes は先ギリシャ語基層からの借用と見ている。同じ ὀρίγανος がラテン語に origanum として入り、英語 oregano(イタリア語 origano 経由の現代形), ドイツ語 Oregano, フランス語 origan, イタリア語 origano, スペイン語 orégano など、ヨーロッパ各語の「オレガノ」語彙の源となった国際語。
シソ科ハナハッカ属(Origanum vulgare)の自生する低木で、地中海地方では野生種が広く採取される。古代ギリシャ・ローマ以来の代表的な料理ハーブで、ギリシャ料理の象徴的な香草として、サラダ・グリル肉・ジャガイモ料理など幅広く使われる。
派生・関連語に乏しい古来の植物名だが、比喩成句に βάλ' του ρίγανη(オレガノを振りかけろ、もう手遅れだ。料理にオレガノを振りかけて済ませる発想), κολοκύθια με τη ρίγανη(オレガノを添えたズッキーニ、くだらない、でたらめ)が日常でよく使われる。
ギリシャ語:λύκος
読み方:リコス・リーコス
ラテン文字:lykos
古代ギリシャ語の λύκος(狼)を継承。印欧祖語の「狼」を表す語根から続き、ラテン語 lupus、英語 wolf、サンスクリット vṛka、スラヴ祖語 vьlkъ と共通する。英語 lycanthrope(狼男)もラテン語 lycanthrōpus を経て同じ語源で、古代ギリシャ語の合成語 λυκάνθρωπος(λύκος と ἄνθρωπος)から。
派生語に λύκαινα(雌狼)、指小形に λυκάκι、λυκόπουλο(いずれも子狼)、合成語に λυκόφως(薄暮、「狼の光」)など。σκύλος(犬)、αλεπού(狐)、πρόβατο(羊)、αρνί(子羊)と並んで成句や寓話によく登場する。
旧式銃の撃鉄を指すのは、ヘレニズム期ギリシャ語の λύκος にあった「打ち金、てこ」の用法に、フランス語で銃の部品を chien(犬)と呼ぶ慣用が重なったため。同じ用法の類義語に κόκορας(雄鶏)。先頭大文字の Λύκος は南天のおおかみ座で、Κένταυρος(ケンタウルス座)が狙う獣とされる。
ギリシャ語:ρίζα
読み方:リザ・リーザ
ラテン文字:riza
古代ギリシャ語の ῥίζα(根)を継承。印欧祖語で「根」を表す語根に続く語で, 植物の地中部分を指すところから, 土台や出どころを指す比喩にも使う。語学の「語根」, 数学の「根」, 化学の「基」という専門用法は, フランス語 racine とドイツ語 Wurzel からの意味借用で加わった。
英語 root(古ノルド語 rót 経由), ラテン語 radix(→ radical, radish), ドイツ語 Wurzel は同じ印欧祖語の語族の仲間。英語の接頭辞 rhizo-(根の〜, rhizome 根茎, rhizosphere 根圏)はこの語からラテン語経由で英語に入った。派生に ριζικός(根源的な, 徹底的な), ριζώνω(根を張る), ξεριζώνω(根こそぎにする)。
χορτάρι(草)や κλήμα(ブドウの木)の地下部分を指す具体的な用法のほかに, 人の出自や文化のルーツなど, 目に見えない土台も指すことが多い。
ギリシャ語:ληστής
読み方:リスティス・リスティース
ラテン文字:listis
古代ギリシャ語の λῃστής(強盗, 盗賊)を継承。動詞 λῄζομαι(略奪する)に行為者を作る -της が付いた語。
同じ語族に ληστεία(強盗罪, 略奪), ληστεύω(強盗する), ληστρικός(強盗の, 略奪の), 合成語 λήσταρχος(盗賊団の頭領, ἀρχός「長」を合わせた形), λησταρχείο(盗賊団の根城), ληστοκρατία(盗賊支配)。
類義語 κλέφτης(泥棒)や διαρρήκτης(空き巣)が忍び込んで盗む者を指すのに対し, ληστής は暴力や脅しを伴う強盗で使うことが多い。もっと広く「犯罪者」全般を言うときは κακοποιός。歴史の文脈では武装した盗賊団の一員も ληστής と言う。
ギリシャ語:ρυθμός
読み方:リスモス・リスモース・リトゥモス・リトゥモース
ラテン文字:rythmos
古代ギリシャ語の動詞 ῥέω(流れる)から派生した ῥυθμός(流れや動きの整い方)に由来。ラテン語 rhythmus を経て、英語 rhythm にもなった。現代ギリシャ語ではリズムやペースを表すほか、建築や芸術の様式を指すのにも使われる。
ギリシャ語:ρήσος
読み方:リソス・リーソス
ラテン文字:risos
ふたつの語源を持つ同形異義語。
オオヤマネコとしては、スラブ語の ris(オオヤマネコ)からの借用で、口語的な言い方。標準的な呼び方は λύγκας(オオヤマネコ)で、北半球の国々に分布するネコ科の肉食動物を指す。黄褐色の毛皮、短い尾、極めて鋭い視力を持つ四足獣。
アカゲザルとしては、近代ラテン語の rhesus からの借用。古代ギリシャ語の Ῥῆσος(イリアスに登場するトラキア王の名)にちなむ命名で、オナガザル科のマカク属(学名 Macaca mulatta)の学名として定着した。医学・生物学の実験動物としてよく知られ、Rh 因子(赤血球抗原)の名もこの動物にちなむ。
ギリシャ語:λίθος
読み方:リソス・リーソス・リトス・リートス
ラテン文字:lithos
古代ギリシャ語の λίθος(石)に由来。起源はよくわかっていない。英語の接尾辞 -lith, -lite(〜石)や litho-(lithography「石版画」、lithosphere「岩石圏」、monolith「一枚岩」など)、元素名 lithium(リチウム)はこの語から。
現代ギリシャ語は文語的な語で、ふつうは πέτρα を使う。λίθος は地質学や医学、建築の文脈、歴史的な慣用句に残る。男性名詞のほか、λυδία λίθος(試金石)や φιλοσοφική λίθος(賢者の石)のような固定表現では女性名詞として使う。派生語に形容詞 λίθινος(石の)、合成語の ασβεστόλιθος(石灰岩)、λιθόσφαιρα(岩石圏)など。
ギリシャ語:λιμάνι
読み方:リマニ・リマーニ
ラテン文字:limani
トルコ語 liman(港)からギリシャ語に入った逆方向の借用、αντιδάνειο(再借用)。借用の過程で、ギリシャ語の中性名詞語尾 -ι を付けて λιμάνι の形に整えられた。源にあるトルコ語 liman は、ヘレニズム期ギリシャ語 λιμένιον(小さな港、← 古代 λιμήν「港、避難所」の指小形)からの借用で、古代ギリシャ語の語がオスマン期にトルコ語に取り入れられ、近世にトルコ語経由で再びギリシャ語に戻った典型例。
源にある古代の λιμήν(属格 λιμένος、港、避難所、安全な場所)は、印欧祖語に確実な対応が見出されない地中海・前ギリシャ語基層の語とされる説と、印欧祖語の「貯める、留める」を表す語根に由来する説が並走する。古代ギリシャの航海・海運文化の中核語で、ホメロスの『オデュッセイア』以来、地中海の港町・避難所の語彙の根幹を担った。同じ語族からは λιμενικός(港の、形容詞), λιμενάρχης(港務局長), λιμενοβραχίονας(防波堤), λιμενεργάτης(港湾労働者)が派生する。
ラテン語 limen(敷居、境界、入り口、← 別系統だが類似する形と意味の偶然の一致)とは別系統だが、混同されることがある。ラテン語 limen の系譜は英語 limit, limen, eliminate と関連する別の語族。
トルコ語 liman は、古代ギリシャ語 λιμένιον からビザンツ期に取り入れられ、オスマン帝国の地中海交易の中で広く使われた。同じ系譜の語が、トルコ語経由でバルカン半島の各語に広まった:ブルガリア語 лиман liman, セルビア・クロアチア語 luka, アルバニア語 limaj が並走し、地中海・バルカン半島の港湾文化の語彙の中核となる。
派生・関連語族として λιμανάκι(小さな港、口語の指小形), λιμένας(港、書きことばの古典形、← 古代 λιμήν の継承), λιμενικός(港の、海運の), λιμεναρχείο(港務局), λιμενικό σώμα / Λιμενικό Σώμα(沿岸警備隊、海上保安庁、← 英 Coast Guard の翻訳借用), λιμενοεργαζόμενος(港湾労働者), αλιευτικό λιμάνι(漁港), εμπορικό λιμάνι(商業港), στρατιωτικό λιμάνι(軍港)。
ギリシャは島嶼国家として、約 6,000 の島々と 16,000 km の海岸線を持ち、無数の λιμάνια が地中海・エーゲ海・イオニア海の海岸線に点在する。主要な国際港には、ピレウス(Πειραιάς、アテネの外港), テッサロニキ(Θεσσαλονίκη), パトラ(Πάτρα), ヘラクリオン(Ηράκλειο), ロドス(Ρόδος), ヴォロス(Βόλος)が並び、観光・海運・漁業・島々の交通の中核として機能する。古代ギリシャ以来の航海文化、ビザンツ・オスマン期の地中海交易、近代の海運業の発達を通じて、ギリシャ社会・経済・文化の根幹を成す概念語として位置づけられる。
慣用句では αράζω σε λιμάνι(港に碇を下ろす、定住する、安住する、← 比喩的に「人生の港」「結婚」「老後の隠居」を意味する), καλόν λιμάνι(よい港、安全な居場所), βγαίνω από το λιμάνι(港を出る、新しい挑戦に向かう)が、人生の旅立ち・定住・避難の比喩として広く使われる、海洋文化を介した人生表現の中核。
ギリシャ語:λιοντάρι
読み方:リョダリ・リョダーリ・リョンダリ・リョンダーリ
ラテン文字:liontari
中世ギリシャ語 λιοντάρι(ν)(ライオン)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世形は、ヘレニズム期 λεοντάριον(小さなライオン、← 古代 λέων「ライオン」の語幹 λεοντ- + -άριον 指小接尾辞)を継承し、母音連続 [eo > io] を避ける母音融合(συνίζηση)と、書きことば伝統からの λεο- 形の影響を経た音韻調整の結果。語末の -ν が脱落して現代の λιοντάρι になった。指小形が指小性を失って一般語化する、現代ギリシャ語の名詞語形成の典型パターン。
源にある古代の λέων(属格 λέοντος、ライオン)は、印欧祖語に確実な対応が見出されない地中海・西アジアの古層語で、エジプト・メソポタミア・小アジアからギリシャに伝わった動物名と論じられる。同じ系譜には、エジプト語 mai / labu, ヘブライ語 לְבָא lābāʾ(ライオン), アッカド語 labbu(ライオン)が並び、近東の古層動物名の系譜の中で、ヨーロッパ言語に取り入れられた古い借用語の可能性が論じられる。
ラテン語 leō(属格 leōnis、ライオン、← 古代ギリシャ語 λέων からの古い借用)を経て、ヨーロッパ各語の「ライオン」語彙が広まった:フランス語 lion, スペイン語 león, イタリア語 leone, ポルトガル語 leão, 英語 lion, ドイツ語 Löwe, ロシア語 лев lev。古代ギリシャ語の λέων は地中海・西欧のライオン語彙の共通祖となった国際語の典型例。
書きことばの古典形 λέων(ライオン、書きことば、星座のしし座 Λέων)は、現代ギリシャ語にも並走しており、特に星座(しし座), 紋章学, 神話・象徴・固有名詞(人名 Λέων「レオン」, 都市名 Λεόντειο)の文脈で使われる。日常語の λιοντάρι と書きことば λέων の二語が並走するパターンは、γέρος / γέροντας(老人), δράκος / δράκοντας(竜), σταγόνα / σταγών(しずく)と同類の口語・書きことば対立。
派生・関連語族として λιονταράκι(子ライオン、口語の指小形), λιονταρίνα(雌ライオン、女性形), λιονταρίσιος(ライオンの、ライオンらしい、形容詞), λιονταρίσιο θάρρος(ライオンの勇気), λιονταρίσιο ουρλιαχτό(ライオンの吼え声), λεοντάρι(書きことば形), λεοντόκαρδος(ライオンの心を持つ、勇敢な、← 英 lionhearted, 仏 cœur de lion、リチャード獅子心王の通称の翻訳借用), λεοντόσπαρτος(ライオンに種をまかれた、神話的), Λεοντόκαρδος(リチャード獅子心王 Richard Lionheart の名)。
文化的・象徴的に、ライオンは古代ギリシャ・ヨーロッパ文化の中核的な動物:(a)百獣の王(ο βασιλιάς των ζώων、力・支配の象徴), (b)勇気・高貴の象徴(紋章学の中核モチーフ、英国王室・スコットランド・ベルギー・オランダの紋章), (c)神話のヘラクレスのネメアの獅子退治の伝説、(d)古代ギリシャのミケーネのライオン門、(e)キリスト教では新約聖書の「ユダ族のライオン」(キリストの象徴), 黙示録の四つの生き物の一つ、(f)星座のしし座(Λέων)など、極めて多層的な象徴性を持つ。
慣用句では όρμησε σαν λιοντάρι(ライオンのように突進した), μάχεται σαν λιοντάρι(ライオンのように戦う), καρδιά λιονταριού(ライオンの心、勇敢さ)が、勇気・力強さ・闘争心の比喩として、文学・スポーツ・軍事の表現の中核を担う。古代ギリシャ・近代ヨーロッパに共通する動物象徴の典型例で、ライオンの王者性・勇敢さを介した人間の徳目の表現が、文化を超えて広く共有される普遍的な慣用表現の系譜を持つ。
ギリシャ語:λιλά
読み方:リラ・リラー
ラテン文字:lila
フランス語 lilas(ライラック、ライラック色)からギリシャ語に入った外来借用(δάνειο)。Tri は λόγ. < γαλλ. lilas と記すが、現代ギリシャ語の日常語として浸透しており、μπλε(青), ροζ(ピンク), γκρι(グレー)と並ぶ汎用の不変化色語として機能する。
源にあるフランス語 lilas は、近世のフランスにおいて 16 世紀末にオスマン帝国経由で導入されたライラック(Syringa vulgaris)の植物名として、トルコ語 leylak(ライラック)から借用された。さらにさかのぼると、トルコ語 leylak はペルシア語 ليلك līlak / ليلج līlanj(藍、ライラック), アラビア語 ليلك līlak(ライラック)からの借用で、東地中海・西アジアの植物・染料語彙の系譜にある。さらに古層をさかのぼると、サンスクリット nila-(青、藍)に由来するとされ、インド・ペルシア・アラビア・トルコ・ヨーロッパへと、植物の名前と色彩語彙が東から西へ広がった文化伝播の歴史を反映する語。
植物としてのライラック(Syringa vulgaris、モクセイ科)は、バルカン半島・アナトリア・カルパティア山脈原産で、16 世紀末にオスマン帝国のスレイマン大帝の時代にウィーンから西欧に紹介され、観賞用低木として広まった経緯がある。ギリシャ語ではこの植物を πασχαλιά(ライラック、復活祭、← Πάσχα「復活祭」の頃に咲くため)と呼び、植物名と色名で語が分化している。
ヨーロッパ各語の「ライラック」語彙には、フランス語 lilas, スペイン語 lila, イタリア語 lillà, ドイツ語 Lila / Flieder, 英語 lilac, ロシア語 сирень siren'(別系統、ギリシャ語 σύριγξ「葦笛」由来)が並び、東地中海・トルコ語起源の系譜と、ロシア語のように別系統の系譜が共存する。
現代ギリシャ語の λιλά は不変化形容詞・中性名詞として、性・数・格で語形が変わらないまま使われる。同じパターンの不変化色語には、近い色の μοβ(紫、← 仏 mauve), βιολέ / βιολετί(バイオレット), μελιτζανί(茄子色), μενεξεδί(すみれ色)が並び、紫系の色合いの細かい違いを言い分ける。
派生・関連語族として λιλάκι(薄いライラック色、口語), λιλά-ροζ(ライラックピンク), λιλά απόχρωση(ライラックの色合い), λιλά σκιά(ライラックの陰影)。同じ植物起源の色名としては、ροζ(バラ色、← 仏 rose < ラ rosa), μενεξεδί(すみれ色、← 古代 μενεξές), καρότο(ニンジン色、橙色), καναρινί(カナリア色、黄色)が並ぶ、植物・動物の名前から色名を作る現代ギリシャ語の生産的な造語パターンの一翼を担う。
色彩文化の文脈では、ライラックは春の到来・新緑・希望・若さの象徴として詩や歌に登場し、ファッションでは 1990 年代以降にパステルカラーの一つとして流行した、ロマンティックで柔らかな色のイメージを担う。化粧品(アイシャドー、口紅、ネイル), 服飾(ドレス、ブラウス), インテリア(壁紙、寝具)の領域で、女性向けの優しい色合いとして広く使われる。
ギリシャ語:λύρα
読み方:リラ・リーラ
ラテン文字:lyra
古代ギリシャ語の λύρα(リラ)を継承。古代ギリシャ語より前の語源は定かでなく, 外来の借用語と見る説もある。古代の竪琴から, のちに弓で弾くギリシャ伝統の擦弦楽器にも同じ名が使われるようになった。先頭を大文字にした Λύρα(こと座)は, この楽器の形に見立てた星座名がそのまま継承された形。
派生に λυρικός(リラの, 叙情的な, 抒情詩の), λυρισμός(叙情性), λυράρης, λυριτζής(リラ奏者)。ラテン語 lyra を経由して英語 lyre, フランス語 lyre, 英語 lyric, lyricism もこの語族に連なる。
弓で弾くリラはクレタ(κρητική λύρα), ポントス(ποντιακή λύρα)などの地方伝統音楽で中心的な楽器として使われる。撥弦楽器の系統では κιθάρα(ギター, 古代のキタラ)が別にあり, λύρα とは別の系統に位置する。
ギリシャ語:λειρί
読み方:リリ・リリー
ラテン文字:leiri
古代ギリシャ語の λείριον(ユリ)から。中世ギリシャ語 λειρίον を経て、花弁の形を鶏のトサカに見立てる形で「トサカ」という意味になった。
λείριον は東地中海の古い植物名から借用された語と見られ、コプト語のユリ名との関連も指摘される。ラテン語 lilium(ユリ)もこの λείριον に由来する借用語で、英語 lily もラテン語を経由している。
ケイトウの通称 λειρί του κόκορα(オンドリのとさか)の前部要素でもある。動物のトサカを指す際は λειρί του κόκορα(雄鶏のトサカ)のように使い、κόκκινο λειρί(赤いトサカ)といった連語なども作る。
比喩的に、トサカのように突き出た形状や、うぬぼれた態度などを指すこともある。
ギリシャ語:λείριον
読み方:リリオン・リーリオン
ラテン文字:lirion
古代ギリシャ語の λείριον(ユリ、とくに白ユリ)に由来。東地中海の古い植物名からの借用語と見られ、ラテン語 lilium を経て英語 lily の語源にもなった。
古代では κρίνον がユリ全般を指し、λείριον はマドンナリリー(Lilium candidum)を指すことが多かった。現代ギリシャ語では κρίνος / κρίνο がふつうで、λείριον はユリ属の学名 Lilium に対応する形や、植物名・文章語で見かける。
λείριον から派生した λειρί は、花の形をオンドリの頭のとさかに見立てた語。トサカケイトウは λειρί του κόκορα(オンドリのとさか)と呼び、学名 Celosia の転記 σελόσια も使われる。
ギリシャ語:λειρί του κόκορα
読み方:リリトゥココラ・リリートゥココラ
ラテン文字:leiri tou kokora
λειρί(とさか)と κόκορας(オンドリ)の属格 του κόκορα による連語で、「オンドリのとさか」を意味する。英語 cockscomb と同じ構造の表現。ケイトウ属(Celosia)のうち、とくにトサカケイトウ(とさか状の花序をもつ cristata 品種)などを指す。
学名 Celosia のギリシャ文字転記である σελόσια(σελόζια とも)も広く使われている。一方、羽毛ケイトウ(羽毛状の花序をもつ plumosa 品種)は αλεποουρά(キツネの尻尾)と呼ばれるなど、形に合わせた呼び名もある。
学名 Celosia は古代ギリシャ語の κήλεος(燃える)に由来し、花の炎のような外見にちなむ。
ギリシャ語:λύγκας
読み方:リンガス・リーンガス
ラテン文字:lygkas