ギリシャ語読み索引: シ
シ から始まる単語 53 語。
シ から始まる単語 53 語。
ギリシャ語:θείος
読み方:シオス・シーオス・ティオス・ティーオス
ラテン文字:theios
親族名詞の θείος(おじ)は、古代ギリシャ語の θεῖος(おじ)に由来。語源ははっきりとはせず、親族呼称として作られた語とみられる。女性形は θεία(おば)。
同じ綴り・同じ強勢の形容詞 θείος -α -ο(神の、神聖な)は、古代ギリシャ語の θεῖος(神の、神聖な)に由来。これは θεός(神)に形容詞を作る -ιος が付いた語で、親族名詞とは別の語である。
アクセントのない θειος / θεια は、親族名詞 θείος / θεία の民衆的な形。
形容詞の近い語には ιερός(聖なる、神聖な)や θεϊκός(神の、神的な)などがある。θείος は神そのものとの関係や、礼拝・宗教上のものに使われ、比喩的には人間の限界を超えるほどすばらしいものにも使う。
ギリシャ語:σιωπή
読み方:シオピ・シオピー
ラテン文字:siopi
古代ギリシャ語の σιωπή(沈黙)を継承。ギリシャ語以前の古い層の語と考えられていて, 印欧祖語の語根までは確かな形で立っていない。話さないこと, 音がないこと, 口を閉ざすことを古代から一貫して表してきた。「音のない静けさ」「話題に触れない黙殺」まで含む広がりは, 英語 silence, フランス語 silence の意味配置と重なって整った。
英語 silence, フランス語 silence はラテン語 silentium(黙ること)に由来する別系統の語。派生に σιωπηλός(無言の, 寡黙な), σιωπώ / σιωπάω(黙る), σιωπηρός(暗黙の)。
似た意味の σιγή(沈黙)は由来が異なる別の語。ふだんの「沈黙, 静けさ」には σιωπή を使う。νύχτα(夜)や βράδυ(晩)と結びつきやすく, 夜の静けさには σιωπή を使うことが多い。
ギリシャ語:συγκίνηση
読み方:シギニシ・シギーニシ・シンギニシ・シンギーニシ
ラテン文字:sygkinisi
古代ギリシャ語の συγκίνησις(動揺、かき乱し)に由来。συν-(共に)と κινέω(動かす)からなる動詞 συγκινέω(共に動かす、心を動かす)から作られた名詞で、κίνηση(動き)と同じ κιν- の語族。
現代ギリシャ語の「感動、感情の高ぶり」の意味には、フランス語 émotion からの意味借用も重なる。emotion もラテン語 emovere(動かす、揺り動かす)に由来し、「心が動く」という発想が共通する。
派生語は、συγκινώ(感動させる、心を動かす)や συγκινούμαι(感動する)、συγκινητικός(感動的な)など。涙を伴う感動、強い刺激による高ぶり、複数形でスリルのような体験にも用いられる。
ギリシャ語:σύγκρουση
読み方:シググルシ・シーググルシ・シングルシ・シーングルシ
ラテン文字:sygkrousi
古代ギリシャ語の σύγκρουσις(衝突)に由来。συν-(共に)と κρούω(打つ、叩く)からなる動詞 συγκρούω(互いに打つ、ぶつかり合う)から。
κρούω は現代ギリシャ語にも「打つ、鳴らす」などの意味を持つ動詞として残り、κρούω τον κώδωνα του κινδύνου(警鐘を鳴らす)のような表現に使われる。現在の動詞形は συγκρούομαι(衝突する、対立する)などが一般的。
物体や乗り物の衝突から、意見・利益の対立、武力衝突、心理的な葛藤までを指す。武力の文脈では πόλεμος(戦争)が戦争そのものを指すのに対し、σύγκρουση は個々の衝突や散発的な小競り合いも含む。複数形 συγκρούσεις は、衝突や紛争の場面で多用される。
関連語に πρόσκρουση(衝撃、衝突)、τρακάρισμα(車の衝突事故)、αντιπαράθεση(対立、論争)、διαμάχη(争い、論争)など。法律や政治学では σύγκρουση συμφερόντων(利益相反)、心理学では σύγκρουση ρόλων(役割葛藤)のような連語も作る。
ギリシャ語:ζυγός
読み方:ジゴス・ジゴース・ズィゴス・ズィゴース
ラテン文字:zygos
古代ギリシャ語の ζυγός(くびき, 天秤)を継承。印欧祖語で「くびき」を表す語根に由来し, 英語 yoke と同じ語族。
派生に ζυγαριά(天秤, はかり), ζυγίζω(計量する), ζύγι(重り), υποζύγιο(駄獣), διαζύγιο(離婚), σύζυγος(配偶者)。
星座名の Ζυγός(てんびん座)は同じ語形を固有名詞化したもので, 一般名詞と区別して大文字で書く。
ギリシャ語:σύστημα
読み方:システィマ・シースティマ
ラテン文字:systima
古代ギリシャ語の σύστημα(組み合わさったもの、組織体)を継承。σύν-(共に)と ίστημι(立てる)からなる動詞 συνίστημι(一緒に立てる、組織する)から派生した抽象名詞で、字義は「共に立てて組み立てたもの」。
英語 system はラテン語 systema を経てギリシャ語 σύστημα に由来する。フランス語 système、ドイツ語 System も同じ経路。現代の多様な意味(政治体制、医学の器官系、コンピュータのオペレーティングシステムなど)はヨーロッパ諸語と並走しながら発展した。
派生語に形容詞 συστηματικός(系統的な、組織的な、繰り返し的な)、副詞 συστηματικά(系統的に)、生物分類学を指す συστηματική など。
ギリシャ語:σεισμός
読み方:シズモス・シズモース
ラテン文字:seismos
古代ギリシャ語の σεισμός(揺れ、震動、地震)を継承。σείω(揺さぶる)を名詞化した語で、古代では γῆς σεισμός(大地の揺れ)の略として地震を指していた。
英語 seismic(地震の), seismology(地震学)も同じ語源。派生語に μετασεισμός(余震), σεισμικός(地震の)。
ギリシャ語:ζήτημα
読み方:ジティマ・ジーティマ・ズィティマ・ズィーティマ
ラテン文字:zitima
古代ギリシャ語の ζήτημα(探求、問題)に由来。
動詞 ζητέω(探す、求める)に、動作の結果を表す接尾辞 -μα を付けた形。現代ギリシャ語の動詞形には ζητώ(求める、探す)などがある。
似た語に πρόβλημα(問題)など。解決を求められる困難は πρόβλημα、議論や検討の対象として取り上げられる案件は ζήτημα と使い分けることが多い。
ギリシャ語:σιντέφι
読み方:シデフィ・シデーフィ・シンデフィ・シンデーフィ
ラテン文字:sintefi
σεντέφι の別綴り。意味は同じ。
ギリシャ語:σύντροφος
読み方:シドゥロフォス・シードゥロフォス・シンドゥロフォス・シーンドゥロフォス
ラテン文字:syntrofos
古代ギリシャ語の σύντροφος(ともに育てられた者, 仲間)を継承。σύν-(共に)と動詞 τρέφω(養う, 育てる)からできた合成語。「人生の伴侶」「恋人」「仲間」までの現代の使い分けは, フランス語 compagnon の意味配置と重なって整った。
派生に συντροφιά(連れ, 仲間の集まり), συντροφικός(仲間の, 同志の)。同じ τρέφω の語族には τροφή(食べ物, 栄養), τρόφιμος(寄宿生, 養子)。
ギリシャ語:συνάντηση
読み方:シナディシ・シナーディシ・シナンディシ・シナーンディシ
ラテン文字:synantisi
古代ギリシャ語の συνάντησις(出会い、遭遇)に由来。動詞 συναντώ(出会う、会う)からの名詞。
ギリシャ語:συνάνθρωπος
読み方:シナンスロポス・シナーンスロポス・シナントゥロポス・シナーントゥロポス
ラテン文字:synanthropos
ドイツ語 Mitmensch(同胞、仲間の人間、← mit「共に」+ Mensch「人間」)の構造を、ギリシャ語の素材で訳し移した翻訳借用(μεταφραστικό δάνειο)兼学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。古代ギリシャ語の前置詞 σύν-(〜と共に)と名詞 άνθρωπος(人間)の合成で、文字どおり「共に在る人間、隣人」を意味する。
ドイツ語 Mitmensch は 18 世紀以降のドイツ哲学・倫理学(カント、ヘーゲル、フォイエルバッハら)の中で人間相互の社会的関係性を表す術語として確立し、19 世紀以降のヨーロッパ社会思想・キリスト教倫理学に広く影響を与えた。ギリシャ語ではドイツ語の合成構造をそのまま自言語の素材で写した συν-(共に)+ άνθρωπος(人間)の形で取り入れられ、近代の倫理・社会・宗教の文脈で「同胞、隣人、社会の構成員」を指す中心語として定着した。
源にある άνθρωπος(人間)は古代以来の中核語彙で、ラテン語に anthropos として入り、英語 anthropology(人類学), anthropomorphic(擬人化した), philanthropy(慈善、人類愛), misanthrope(人間嫌い)など、近代の人類学・社会学・心理学の中核語彙の源となっている。前置詞 σύν-(共に、と一緒に)はラテン語 con-(共に), 英語 con-(協力、共同)と語源的に対応する印欧語族共通の接頭辞。
派生・関連語族として άνθρωπος(人間), ανθρώπινος(人間の、人間らしい), ανθρωπιά(人間性、人情), ανθρωπότητα(人類), ανθρωπιστής(人道主義者)。類義語に ο πλησίον(隣人、書きことば寄り、新約聖書「汝の隣人を愛せ」のフレーズで知られる), αδελφός(兄弟、宗教的・比喩的に「同胞」), συμπολίτης(同じ市民、同郷人), ομοιοπαθής(同じ苦境にある人)。συνάνθρωπος は社会的・倫理的な「同じ人間としての他者」を指す近代の概念で、人道主義(ανθρωπισμός), 慈善(φιλανθρωπία)の文脈で頻繁に用いられる。
ギリシャ語:συνείδηση
読み方:シニディシ・シニーディシ
ラテン文字:syneidisi
古代ギリシャ語の συνείδησις(意識、良心)に由来。συν-(共に)と οἶδα(知っている)からなる σύνοιδα(共に知っている、内心で知っている)に関わる名詞で、文字どおりには「共に知っていること」を表す。
もとは自分の内で何かを知っていること、とくに自分の行為の善悪を知っている感覚を指した。現代ギリシャ語では、道徳的な良心だけでなく、意識、自覚、覚醒状態、職業的良心、歴史意識や階級意識、信条まで幅広く使われる。
近代にはフランス語 conscience(意識、良心)との対応も重なり、哲学・心理・社会の語としての範囲が拡大。英語 conscience もラテン語 conscientia を経た翻訳借用(calque)であり、「共に知る」という発想を共有している。
固定表現には καθαρή συνείδηση(清らかな良心)、κρίση συνειδήσεως(良心の葛藤)、επαγγελματική συνείδηση(職業的良心)、ιστορική συνείδηση(歴史意識)、αντιρρησίας συνείδησης(良心的兵役拒否者、良心的反対者)などがある。
ギリシャ語:σύννεφο
読み方:シネフォ・シーネフォ
ラテン文字:sinefo
中世ギリシャ語 σύννεφο(雲)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世形は、ヘレニズム期形容詞 σύννεφος(曇った、雲に覆われた、← σύν-「共に」+ νέφος「雲」)の中性形 σύννεφον が名詞化した形で、語末の -ν が脱落して現代の σύννεφο になった。「曇っている状態」を表す形容詞が、「雲」そのものを表す中性名詞に転じる、現代ギリシャ語の名詞語形成の典型パターン。
源にある古代の νέφος(属格 νέφεος、雲、暗雲、群れ、靄)は、印欧祖語の「雲、霧、靄」を表す語根に由来し、サンスクリット nábhas-(霧、雲、空), ラテン語 nebula(霧、← 英 nebula「星雲」, nebulous「漠然とした」), 英語 nebula と同族。地中海・印欧語の「雲・霧」を表す最古層の語彙の一つ。
書きことばの古典形 νέφος(雲、書きことば)と、その学術派生語族は現代ギリシャ語にも生きており、νέφωση(雲量、気象学の専門語), νεφέλη(雲、霧、書きことばの古い形), νεφελώματα(星雲、← 英 nebulae), νεφελόμορφος(雲のような), νεφοκάλυψη(雲の覆い、雲量), νεφοσκόπιο(雲を観測する装置), νέφος ατμοσφαιρικής ρύπανσης(大気汚染の靄、スモッグ、現代の環境用語)が並び、気象学・天文学・環境学の中核語彙を成す。
接頭辞 σύν- は「共に、一緒に」を表す古代以来の生産的な造語要素で、σύννεφος / σύννεφο は文字どおり「合わさった雲」「集まった雲」を意味した。同じ造語パターンの語族には、συννεφιά(曇天、雲がたれこめた天気), συννεφιάζω(曇る、動詞), συννεφιασμένος(曇った、過去分詞), συννεφάκι(小さな雲、指小形), συννεφόκαμα(蒸し暑い曇天、← σύννεφο + κάμα「暑さ」), συννεφοκάλυψη(雲の覆い、雲量、← σύννεφο + κάλυψη), ξενυχτοσύννεφο(夜更けの雲、書きことば)が並ぶ。
派生・関連語族として συννεφάκι(小さな雲、口語の指小形), συννεφούλι(かわいらしい雲、口語), συννεφάδα(曇り具合、口語), συννεφοβατώ(雲の上を歩く、← 「上の空でいる」の比喩、書きことば), συννεφοκόπτης(雲を切る、文学的な造語)。
気象現象の領域では、種類別に άσπρα σύννεφα(白い雲、晴天の積雲), μαύρα σύννεφα(黒い雲、雷雲), βαριά σύννεφα(重い雲、雨雲), κάθετα σύννεφα(積雲・積乱雲), οριζόντια σύννεφα(層雲)が並び、雲の形・色・気象学的分類で言い分けられる。学術用語としては、リンネと同時代の気象学者 Luke Howard が 1803 年に提唱した雲の分類体系(cumulus 積雲, stratus 層雲, cirrus 巻雲, nimbus 雨雲)がギリシャ語にも翻訳借用されて、ラテン語起源の国際雲分類が現代の気象学で使われている。
比喩用法は活発で、雲状に広がるもの(σύννεφο καπνού「煙の雲」, σύννεφο σκόνης「ほこりの雲」, σύννεφο τοξικού αερίου「有毒ガスの雲」, σύννεφο από κουνούπια「蚊の群れ」)から、不安・災いの暗い影(απειλητικά σύννεφα「不穏な影」, σύννεφο σκοτείνιασε το πρόσωπό του「彼の顔に暗い影が差した」), 夢見心地(ροζ σύννεφο「ピンクの雲、現実離れした理想」, στα σύννεφα「雲の中で、上の空で」), 寝耳に水(πέφτω από τα σύννεφα「雲から落ちる、ひどく驚く」)まで、極めて幅広い感情・状況表現の慣用句が定着している。κρατάω κάποιον στα σύννεφα(誰かを雲の上に置く、有頂天にさせる、過剰な期待を抱かせる)も頻出する慣用表現。
ギリシャ語:συνεργασία
読み方:シネルガシア・シネルガシーア
ラテン文字:synergasia
ヘレニズム期ギリシャ語 συνεργασία(職能組合、ギルド、← σύν「共に」+ ἐργασία「仕事、労働」、← ἔργον「仕事」)を、近代以降に書きことばから再導入した学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。さらに近代では、フランス語 collaboration(共同作業), coopération(協力)の意味用法を取り込んで「共同作業、協力関係」が中心義となった意味借用(σημασιολογικό δάνειο)の層も伴う、二層構造を持つ。古代の「ギルド・職能組合」の意味は現代では失われ、近代以降の意味だけが生きている。
源にある古代の ἔργον(仕事、活動、業、行為)は、印欧祖語の「働く、なす」を表す語根に由来し、英語 work, ドイツ語 Werk と同族。地中海・印欧語の「労働・仕事」を表す古い系譜の語で、ギリシャ語の派生語族は極めて広い。同じ ἔργον からは ενέργεια(エネルギー、活動、← εν-「中に」+ ἔργον、英 energy), εργασία(労働、仕事), εργαλείο(道具), εργοστάσιο(工場), εργοδότης(雇用主), εργαζόμενος(労働者), εργάτης(労働者), εργατικός(勤勉な、労働者の), χειρουργός(外科医、← χείρ「手」+ -ουργός「働く者」), μεταλλουργία(冶金、金属加工), γεωργία(農業、← γῆ「土地」+ -ουργία「働き」), λειτουργία(典礼、公的儀礼、← 「公の働き」、英 liturgy), ζωγραφική(絵画、← ζωή「命」+ -γραφία、もとは「動く絵」「生命を描くこと」), さらに国際語化した σύνεργος(協力者), συνεργασία(協力), αλληλεργασία(相互作業)が並ぶ、近代産業・労働・芸術の語彙の中核。
接頭辞 σύν- は「共に、一緒に」を表す古代以来の生産的な造語要素で、近代の翻訳借用語の素材としても活躍する。英語 syn-(synthesis, sympathy, symbol, system), フランス語 syn-(syncope, synchrone)の語源としても有名で、ギリシャ語起源の国際造語要素の中で最重要の一つ。同じ造語パターンで、近代以降にフランス語経由で取り入れられた語族には、συνεργία(共働、協力), συνέργεια(シナジー、← 英 synergy が σύνεργος から派生したものを再借用), συνεργαζόμενος(協力する人、協力する), συνεργασιακός(協力的な)が並ぶ。
派生・関連語族として συνεργάτης(協力者、共同制作者、男性形), συνεργάτρια(協力者、女性形), συνεργατικός(協力的な、形容詞), συνεργείο(修理工場、作業班、← συν- + -εργείο 場所接尾辞), συνεργασιακός(協力体制の、書きことば), συμπεριλαμβάνω(含む)。
同じ「協力・連携」の領域には、一時的な共同行動の σύμπραξη(共同行動、書きことば、← σύν + πράξη「行為」), 政治・組織の συνένωση(合併、連合), 同盟の συμμαχία(同盟、軍事同盟)が並ぶ。συνεργασία は最も広い「共同作業・協力関係」を指す中核語で、学術・報道の共同制作、国家間の協調、企業間の提携、職場の連携、人体の器官の連携まで広く展開する。比喩・否定の用法では συνεργασία με τον εχθρό(利敵協力、対敵協力)が、第二次世界大戦のナチ占領期以降に深刻な意味を帯びた歴史的な語として残る。
ギリシャ語:συμπάθεια
読み方:シバシア・シバーシア・シバティア・シバーティア・シンバシア・シンバーシア・シンバティア・シンバーティア
ラテン文字:sympatheia
古代ギリシャ語の συμπάθεια(共に感じること, 感情の共有)に由来。σύν(共に)と πάθος(受けた感情, 経験)からなる合成語で, 元の形容詞 συμπαθής(共に感じる)の抽象名詞。「好感」「好意」「お気に入り」「同情」までの現代の使い分けは, フランス語 sympathie, 英語 sympathy の意味配置と重なって整った。
同じ語族に, 語源になった形容詞 συμπαθής(愛すべき, 好ましい), そこから作られた動詞 συμπαθώ(好む, 同情する)と形容詞 συμπαθητικός(感じのよい)。対義の αντιπάθεια(反感)は αντί-(反する)を前に付けて作られた並行合成語。英語 sympathy, フランス語 sympathie はラテン語 sympathia を経て同じ語源で, 日本語「シンパシー」も同源。
同じ πάθος から作られた語は接頭辞でまったく違う意味に分かれる。απάθεια は α-(〜なし)と πάθεια で「無関心, 無感動」を指し, 英語 apathy の語源。εμπάθεια は εν-(中に)と πάθεια で, 古代には「強い情動」を指したが, 現代ギリシャ語では「悪意, 敵意」の意味が中心になった。英語 empathy はこの εμπάθεια をもとに作られた語で「相手の立場に入って感じる共感」を指すため, ギリシャ語と英語で意味が逆転している。この行き違いを避けるため, 英語 empathy の意味には, ギリシャ語では ενσυναίσθηση(共感)を充てる。英語の pathology(病理学), passion(情熱), pathos(悲壮感)も πάθος を素材にした語。
日本語の「共感」は広い場面で使うが, 心理学的な用法で見ると συμπάθεια に対応するのは「同情」のほうで, 相手の感情に寄り添いながらも自分は外側から見ている態度。英語 empathy とギリシャ語 ενσυναίσθηση は, 相手の立場に入り込んで同じ感情を自分のこととして感じる態度を指す。日本語では「同情」に哀れみの響きが強いため「共感」が sympathy の範囲まで吸収してしまっているが, ギリシャ語ではこの二つは別の語として分かれている。
συμπόνια(同情, 憐れみ)は σύν と πόνος(痛み)を合わせた語で, 英語 compassion(ラテン語 com + pati「共に苦しむ」)と構造が同じ。苦しみの共有に焦点があり, 相手の痛みを和らげたいという動機を伴う。συμπάθεια が好意にも同情にも使える広い範囲を持つのに対し, συμπόνια は苦痛の共有に限られる。
οίκτος(哀れみ)は相手の不幸に対して気の毒に思う感情で, 距離感を伴い哀れみや憐憫が前に出やすい。日本語の「同情」が持つ消極的な語感は οίκτος に近い。έλεος(慈悲)は宗教や司法で使うことが多く, 神の慈悲や裁判での温情のように「赦す」「大目に見る」側面が前に出る。ευσπλαχνία(深い慈しみ)は εὖ(良い)と σπλάχνα(内臓)からなる語で, 感情が体の奥底から湧き上がる発想。日本語の「はらわたが痛む」「断腸の思い」と通じる。κατανόηση(理解)は感情の共有ではなく, 相手の状況を知的に把握する態度を表す。
ギリシャ語:σύμπαν
読み方:シバン・シーバン・シンバン・シーンバン
ラテン文字:sympan
σύν(ともに)と πᾶς(すべて)からなる形容詞 σύμπας(全体の)の中性形を名詞として使った古代ギリシャ語の中性名詞 σύμπαν(全体, すべてを合わせたもの)に由来。「宇宙」の意味はフランス語 univers, 英語 universe からの意味借用で入った近代の用法。
同じ σύμπαν から派生した語に συμπαντικός(宇宙の), συμπαντολογία(宇宙論), συμπαντογένεση(宇宙創成)。
κόσμος(世界, 秩序, 宇宙)も宇宙を言うが, κόσμος が秩序ある全体に重心を置くのに対して, σύμπαν は存在するものの総体をまとめて言う。英語 universe, フランス語 univers, ドイツ語 Universum, イタリア語 universo はラテン語 universum(全体の)を経由した語族で, ラテン語の側もギリシャ語 σύμπαν と同じく「ひとつにまとまった全体」という発想から作られている。

女性名詞
家族 
仕事
書類 

天気
風 
形容詞
信仰・神話
評価 
夜
感情 


植物 
事故
軍事
社会 
食べ物
果物 
道具
天文
星座 
工学
哲学・思考
身体・健康 
災害
問題・課題 
化学
元素
金属 
素材 

施設・建物 

住所・行政区画 
知覚 

余暇
情報・メディア
愛 