ギリシャ語:λαϊκή αγορά
読み方:ライキ アゴラ・ライキ アゴラー
ラテン文字:laiki agora
ラ から始まる単語 36 語。
ラ から始まる単語 36 語。
ギリシャ語:λαϊκή αγορά
読み方:ライキ アゴラ・ライキ アゴラー
ラテン文字:laiki agora
ギリシャ語:λαϊκός
読み方:ライコス・ライコース
ラテン文字:laikos
ヘレニズム期ギリシャ語の λαϊκός(民衆の、一般信徒の)を継承。λαός(民衆、国民)に形容詞を作る接尾辞 -ικός が付いた語。
基本は形容詞だが、性・数の形がそのまま名詞としても使われる。中性複数 τα λαϊκά は口語で「民衆歌謡、ライカ音楽」、男性形 ο λαϊκός は教会文脈で「平信徒、俗人」、女性形 η λαϊκή は λαϊκή αγορά の省略として「青空市、定期市」を指す。
現代の「民衆の、大衆的な、庶民的な」という意味は、フランス語 populaire からの意味借用によって輪郭が整えられた。
類義語には δημοτικός(民衆の、民俗の)、παραδοσιακός(伝統的な)などがある。対義語には文脈に応じて αριστοκρατικός(貴族的な)、λόγιος(学者的な、文語的な)などが並ぶ。
関連語に λαός(民衆、国民)、λαογραφία(民俗学)、λαϊκή αγορά(青空市、定期市)、λαϊκό τραγούδι(民衆歌謡、ライカ音楽)などがある。
ギリシャ語:λάβα
読み方:ラヴァ・ラーヴァ
ラテン文字:lava
イタリア語 lava(溶岩)からギリシャ語に入った外来借用(δάνειο)で、近代の地質学・火山学の語彙が西欧語からギリシャ語に取り入れられた典型例。ギリシャ語の女性名詞語尾を保ったまま λάβα として定着した。
源にあるイタリア語 lava は、ナポリ方言で「斜面を流れ落ちる雨水、流れ」を意味する語に由来するとされ、ヴェスヴィオ山の噴火で麓に流れ下った溶融岩を見て、もともとの「流れ」の語が新しい意味を帯びた、地域語起源の自然語彙。さらに語源をさかのぼるとラテン語 labes(崩落、滑り), lābī(滑る、流れ落ちる)に行き着く可能性が論じられる。18 世紀以降、ヨーロッパの地質学の発達とともに lava はそのままの形で各国語に広まり、フランス語 lave, スペイン語 lava, 英語 lava, ドイツ語 Lava と並走する国際語になった。
ギリシャ語の伝統的な火山語彙では、ヘシオドスの『神統記』以来の τυφών(嵐、火を吐く怪物、ティフォン), Ήφαιστος(ヘファイストス、火山の語源)の神話的系譜があるが、近代地質学の用語体系はラテン語・イタリア語起源の西欧語を取り入れて構築されており、ηφαίστειο(火山), λάβα(溶岩), κρατήρας(火口、← 古代 κρατήρ「混酒器」)が並ぶ。
派生・関連語族として λάβα-βόλος(溶岩を投げ飛ばす、形容詞), λαβορόη / λαβική ροή(溶岩流)。同じ火山現象の領域には、έκρηξη(爆発、噴火、激発), στάχτη(灰、火山灰), μάγμα(マグマ、← 古代 μάγμα「練り物、軟膏」が地質学で再利用された語), ηφαίστειο(火山)が並び、それぞれ「噴出活動」「噴出後の灰」「地下のもの」「噴出の場」と分担している。
文学的比喩では「溶岩のような感情の奔流」が定型化しており、έρωτας(恋愛、恋人), πάθος(情熱、激情)と組み合わさって「抑えきれない感情の高まり」を表す比喩として頻出する。装飾の領域では λάμπα λάβας(ラバランプ、内部で色つきの液体がゆっくり動くランプ)が現代の家庭インテリア語彙として定着している。
ギリシャ語:λαός
読み方:ラオス・ラオース
ラテン文字:laos
古代ギリシャ語の λαός(民衆, 人々, 軍勢)を継承。もとは「武装した人々」を指したとされ, 印欧祖語で「軍事行動」を表す語根に連なる説と, ギリシャ語以前の基層から来たとする説がある。現代の「国民, 民族, 庶民」の用法はフランス語 peuple からの意味借用で輪郭が整った。
派生に λαϊκός(庶民の, 民俗の, 世俗の), λαογραφία(民俗学), λαοθάλασσα(人の海, 群衆), λαοσυναξία(大衆の集まり)。英語 lay(俗人の), laity(俗人階層), liturgy(典礼)も, λαός を含むギリシャ語合成語(λαϊκός, λειτουργία)からラテン語経由で入った。
類義語 έθνος は歴史, 言語, 文化を共有する「民族, 国民」を指すのに対し, λαός は国民, 民衆, 庶民までを幅広く受ける。πληθυσμός は統計的な「人口」を指す。κόσμος は会話で「人々, 大勢の人」を表すときに使い, κοσμάκης は同情や軽い卑下を込めた「庶民, 民草」を指す。
ギリシャ語:λακκούβα
読み方:ラクヴァ・ラクーヴァ
ラテン文字:lakkouva
スラヴ系の語からの借用。ギリシャ語にある λάκκος(穴、坑)との類推(似た語に引き寄せられること)で、kk の重子音で綴られるようになった。
ギリシャ語:λαγνεία
読み方:ラグニア・ラグニーア
ラテン文字:lagneia
古代ギリシャ語の λαγνεία(性交、みだらさ、好色)に由来。これは λαγνεύω(性交する、みだらな行いをする)に、抽象名詞を作る接尾辞 -ία が付いた語である。λαγνεύω は λάγνος(好色な、みだらな)から作られた。
λάγνος のさらに前の由来は確定していないが、λαγαρός(ゆるい、締まりのない)や λαγαίω(ゆるめる)と関係づけ、ラテン語 laxus(ゆるい)や英語 slack と同じ印欧祖語の語根に結びつける説がある。
類義語には φιληδονία(快楽への愛着、享楽)、έρωτας(恋愛、性愛)、πόθος(欲望、あこがれ)などが挙げられる。七つの大罪の教会系の一覧では、近い領域の語として πορνεία(性的な不品行)が使われることもある。
キリスト教神学の七つの大罪(επτά θανάσιμα αμαρτήματα)では、λαγνεία が「色欲」にあたる語として使われる。対応する美徳としては σωφροσύνη(節制、慎み、貞潔)が挙げられる。
英語の -lagnia / -lagniac は、古代ギリシャ語 λαγνεία に由来し、医学・心理学系の語で性的嗜好や性愛に関わる要素として使われる。
ギリシャ語:Λαγωός
読み方:ラゴオス・ラゴオース
ラテン文字:lagoos
古代ギリシャ語の λαγωός(野ウサギ)に由来。ホメロスの叙事詩などで使われる形で、同じ古代ギリシャ語でも通常は λαγώς と呼ぶ。現代ギリシャ語では野ウサギは λαγός、ふつうのウサギは κουνέλι と呼び分ける。
プトレマイオスの48星座にも含まれる歴史ある星座。北に位置する Ωρίων(オリオン座)と、その猟犬である Μέγας Κύων(おおいぬ座)や Μικρός Κύων(こいぬ座)に追われる野ウサギに見立てられる。
ギリシャ語:λαγός
読み方:ラゴス・ラゴース
ラテン文字:lagos
中世ギリシャ語の λαγός(野ウサギ)から続く語。古代ギリシャ語の λαγώς に -ός を付けて作り直した形か、または古代ギリシャ語イオン方言の λαγός にさかのぼるとされる。古代の語形は印欧祖語で「だらりと垂れる」を表す語根に「耳」を意味する語が結びついた形と考えられ、ウサギの長く垂れた耳を写した名と見られている。
ふつうの飼育ウサギを指す κουνέλι(ウサギ)とは別の語で、λαγός は野生の野ウサギ側を担う。
派生に λαγουδάκι(子ウサギ、ウサギちゃん。指小形), λαγουδίνα(雌の野ウサギ)。
Λαγωός(うさぎ座)は、ホメロスなどで使われた古い語形がそのまま星座名として残ったもの。
英語の lagomorph(ウサギ目、重歯目)は、古代の同じ語族の λαγώς と μορφή(形)の合成語として作られた。
ギリシャ語:λάστιχο
読み方:ラスティホ・ラースティホ
ラテン文字:lasticho
イタリア語 elastico(弾力のある、ゴム)からギリシャ語に入った逆方向の借用、αντιδάνειο(再借用)。借用の過程で語頭の無強勢母音 [e] が脱落(αποβολή του αρχικού άτονου φωνήεντος)し、さらに [k > x] の音変化(民衆トスカーナ方言の発音の影響と Tri が示唆する)を経て、現代ギリシャ語の λάστιχο の形に定着した。源にあるイタリア語 elastico は、新ラテン語 elasticus(弾力のある、伸縮性のある、Robert Boyle 1660 年代の物理学者の造語)の継承で、その源には古代・ヘレニズム期ギリシャ語 ἐλαστός(伸ばせる、弾力のある、形成可能な、← 古代 ἐλατός「叩き伸ばせる」, ← 動詞 ἐλαύνω「打つ、叩く、追う」)にさかのぼる、ギリシャ語が外国語を経由して再びギリシャ語に戻った典型例。
源にある古代の動詞 ἐλαύνω(打つ、追い立てる、駆り立てる、動かす)は、印欧祖語の「行く、駆る、押す」を表す語根に由来し、サンスクリット ar-(駆る、動かす)と同族。古代ギリシャ語の ἐλαύνω は、戦車を駆る(船を漕ぐ、馬を駆る、追い立てる)の意味で、ホメロスの『イーリアス』の戦闘場面に頻出する古層動詞。動詞形容詞 ἐλατός(叩いて伸ばせる、可塑的な)から、ヘレニズム期の数学・力学で「物質の可塑性・弾性」を表す術語 ἐλαστός が確立された。
近代ヨーロッパの物理学・数学では、ロバート・ボイル(1627-1691)の気体の研究、フックの法則(1660 年代), アイザック・ニュートンの古典力学を経て、「弾性・伸縮性・弾力」の概念が物理学の中核となった。Boyle が 1660 年代にラテン語 elasticus を作り、その語が国際的な科学・工学・日常語彙として広まった:英語 elastic, フランス語 élastique, スペイン語 elástico, イタリア語 elastico, ドイツ語 elastisch, ロシア語 эластичный、すべてラテン語 elasticus 系の系譜で、ギリシャ語 ἐλαστός を遠い源とする近代国際語彙。
ギリシャ語の系譜では、書きことばの ελαστικός(弾性のある、形容詞)が古代以来の継承形として、近代物理学・工学の専門語として広く使われ、ελαστικότητα(弾性、伸縮性), ελαστικά υλικά(弾性体、弾力素材), νόμος ελαστικότητας(フックの法則), ελαστικός χρόνος(フレキシブルタイム)が並ぶ。一方、口語の λάστιχο は、近代の工業ゴム製品の名前として 19-20 世紀に定着した。書きことば ελαστικό と口語 λάστιχο が並走し、後者が日常語の中心となった。
19 世紀後半のチャールズ・グッドイヤーのゴム加硫(vulcanization, 1839 年)の発明、20 世紀の自動車・自転車の普及が、ゴムタイヤの工業化を進め、λάστιχο の意味の中心が「ゴム素材」から「タイヤ」「ホース」へと拡大された経緯を持つ。
派生・関連語族として λαστιχένιος(ゴム製の、形容詞), λαστιχάκι(小さなゴム、輪ゴム、口語の指小形), λάστιχο σφράγισης(シーリング用ゴム), λάστιχο στεγανοποίησης(パッキン用ゴム), λαστιχένια γάντια(ゴム手袋), μπροστινό / πίσω λάστιχο(前輪/後輪タイヤ), λάστιχο ποτίσματος(散水ホース), λάστιχο κήπου(庭用ホース), εφεδρικό λάστιχο(スペアタイヤ), παράκαμψη λάστιχου / παράκαμψη ζάντας(タイヤのバイパス、自転車修理用語), εργαλείο αλλαγής λάστιχου(タイヤ交換工具)。
近代生活の中核素材として、λάστιχο は自動車(車両、自転車、バイク), 産業機械(ベルト、シール、緩衝材), 医療器具(カテーテル、輸液チューブ), 文具(消しゴム、輪ゴム), 衣服(ストッキング、下着のゴム), スポーツ(テニスラケットのグリップ、サッカーボール), 玩具(バルーン、人形)まで、極めて広範な現代生活の中核素材として機能する、近代産業の象徴的な物質。
ギリシャ語:λάσπη
読み方:ラスピ・ラースピ
ラテン文字:laspi
中世ギリシャ語の λάσπη を継承。
それ以前の語源は定かではなく、中世期から土と水が混じった泥を指す語として文献に現れる。
比喩で相手の評判を汚す「中傷、悪口」を表す使い方は、フランス語 boue(泥)からの意味借用とされる近代的な用法。λασπολογία(中傷合戦、誹謗中傷の応酬)のような合成語でもこの感覚が生きている。
派生語に λασπώδης(泥のような、ぬかるんだ)、λασπώνω(泥まみれにする、泥をはねる)、λασπωμένος(泥まみれの)、λασπολογία(中傷合戦)、λασποτόπι(ぬかるみの地)などがある。
ギリシャ語:λαζουρίτης
読み方:ラズリティス・ラズリーティス
ラテン文字:lazouritis
フランス語 lazurite からの借用に、ギリシャ語の鉱物名接尾辞 -ίτης を組み合わせた近代鉱物学の術語。フランス語 lazurite 自体も、中世ラテン語 lazur(青)とギリシャ語起源の鉱物接尾辞 -ite を組み合わせた近代の造語である。その語源はペルシャ語 لاژورد(lāžavard、ラピスラズリ、青色)に由来する。
同じペルシャ語を起源とする語族には、中世ラテン語経由の lazulum(青)から派生した λαζουλίτης(天藍石)などがある。また、アラビア語 لازورد(lāzaward)の定冠詞付き形態 al-lāzaward が再分析されて生じた英語 azure、フランス語 azur(紺碧)、スペイン語 azul(青)も含まれる。これらはいずれも「ラピスラズリ系の青」を表す国際的な色彩・鉱物語彙の一群を形成している。
λάπις λάζουλι(ラピスラズリ)の主成分にあたるケイ酸塩鉱物で、ナトリウムやカルシウム、アルミニウムなどを含む。青金石とも呼ばれ、深い青色が特徴。同じ青色で組成の異なる λαζουλίτης(天藍石、リン酸塩鉱物)と混同されやすいが、別の鉱物である。
派生語や関連語に乏しい鉱物学術語の典型で、宝石名や鉱物名としての用法に限られる。
ギリシャ語:λαζουλίτης
読み方:ラズリティス・ラズリーティス
ラテン文字:lazoulitis
フランス語 lazulite からの借用に、ギリシャ語の鉱物名接尾辞 -ίτης(〜石、〜質)を組み合わせた近代鉱物学の術語。
フランス語 lazulite は中世ラテン語 lazulum(青、青い色)と、ギリシャ語起源の鉱物接尾辞 -ite(古代ギリシャ語 -ίτης 由来)を組み合わせて造られた近代の造語。
源にある中世ラテン語 lazulum は、ペルシャ語 لاژورد(lāžavard、ラピスラズリ、青色)にさかのぼる。
同じペルシャ語起源で、別系統の経路を経た語に、英語 azure、フランス語 azur(紺碧)、スペイン語 azul(青)などがある。
リン酸鉱物の一種で、マグネシウム・鉄・アルミニウムを含む青色のリン酸塩鉱物。色は深い空色から濃紺まで変わり、λάπις λάζουλι(ラピスラズリ)とは外観が似ているため混同されがちだが、化学組成も結晶系も全く異なる別の鉱物。名前の似た λαζουρίτης(青金石、ラズライト)とも明確に区別される。まれに λαζουρίτης の表記でも見られるが、本来は別語。
派生・関連語に乏しい鉱物学術語の典型で、宝石名・鉱物名としての用法に限られる。
同じ -ίτης(古代の -ίτης「〜から成る」由来)はギリシャ語の鉱物・岩石名で多用される接尾辞である。αμμωνίτης(アンモナイト)、αιματίτης(赤鉄鉱)、μαγνητίτης(磁鉄鉱)、πυρίτης(黄鉄鉱)など、近代鉱物学の国際命名に広く採用されている。
ギリシャ語:λάθος
読み方:ラソス・ラーソス・ラトス・ラートス
ラテン文字:lathos
動詞 λανθάνω(気づかれずに過ぎる、忘れられる)から派生した古代ギリシャ語の名詞 λάθος(見落とし、誤り)を継承。
ギリシャ神話の忘却の川 Λήθη(レテ)や、英語の lethargy(無気力)なども同じ語根に由来する。
ギリシャ語:λαδί
読み方:ラディ・ラディー
ラテン文字:ladi
形容詞 λαδής(オリーブ色の)の中性形が名詞として用いられるようになったもの。オリーブ色という色そのものを指す。
ギリシャ語:λάδι
読み方:ラディ・ラーディ
ラテン文字:ladi
中世ギリシャ語 λάδι(油)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世形は、古い形 ελάδιν の語頭の無強勢母音 [e] が脱落(αποβολή の音変化)して λάδι になった形で、源にあるヘレニズム期ギリシャ語 ἐλᾴδιον(小さな油、食用油、← 古代 ἔλαιον「オリーブ油」の指小形)から続いている。
源にある古代の ἔλαιον(オリーブ油、油)は ἐλαία / ἐλαιον(オリーブの実)からの派生で、地中海農耕の最重要産物の一つを表す古い系譜の語。同じ語族からは ελιά(オリーブの木、オリーブの実、現代の継承形), λάδι(油、その指小形からの継承), ελαιόλαδο(オリーブ油、書きことば), ελαιουργείο(搾油所), ελαιώνας(オリーブ畑), λαδάς(油屋、油売り)が出ている。
源にある古代の ἐλαία 自体は、印欧祖語にさかのぼれない地中海固有の語で、地中海の前ギリシャ語基層に属する古い借用とする説が有力(Beekes)。ラテン語 oliva(オリーブ), oleum(油)はギリシャ語 ἐλαία / ἔλαιον からの古い借用で、ここから英語 olive, oil, ヨーロッパ各語のオリーブ・油語彙すべてが派生した。地中海文明の根幹をなす農産物が、東地中海から西へ語ごと広がっていった文化伝播の典型。
派生・関連語族として λαδάκι(小さな油、食用油のやわらかい言い方、指小形), λαδής(油色の、形容詞), λαδί(オリーブグリーン、油色、不変化色語), λαδιά(油じみ、油の塊、油壺), λαδικό(油容器), λαδίλα(油の臭い、油の脂っこさ), λαδώνω(油を塗る、賄賂を渡す、口語), λαδιάζω(油じみが付く), λαδωμένος(油まみれの、買収された), λαδάς(油屋、油売り)。連結形 λαδο- は生産的で、λαδόξιδο(油と酢を合わせたドレッシング), λαδομπογιά(油性塗料), λαδόκολλα(油紙、ベーキングペーパー), λαδόπανο(油布), λαδόψωμο(オリーブ油パン), λαδορίγανη(油とオレガノのソース)が出ている。料理の脂としては固形寄りの βούτυρο(バター)と対比されやすく、λάδι は液体の油全般を指す基本語として機能する。
ギリシャ語:ραδιοκύμα
読み方:ラディオキマ・ラディオキーマ
ラテン文字:radiokyma
ραδιο-(ラジオ、無線)と κύμα(波)からなる語。英語 radio wave / radiowave をなぞった翻訳借用で、ギリシャ語では 1915 年ごろから使われる。
この語は単数形 ραδιοκύμα でも使えるが、通信や放送で使う「電波」を総称するときは、ふつう複数形 ραδιοκύματα が用いられる。
物理学上は ηλεκτρομαγνητικό κύμα(電磁波)の一種であり、通信、ραδιόφωνο(ラジオ)、τηλεόραση(テレビ)、レーダーなどの信号伝送に利用される。
関連語に τηλεπικοινωνία(通信)、ραδιοφωνικός(ラジオの)、τηλεοπτικός(テレビの)、σήμα(信号)、δέκτης(受信機)、ραδιοπομπός(無線送信機)、ραντάρ(レーダー)などがある。
ギリシャ語:ραδιόφωνο
読み方:ラディオフォノ・ラディオーフォノ
ラテン文字:radiofono
ギリシャ語:μπράτσο
読み方:ラトゥソ・ラートゥソ
ラテン文字:bratso
イタリア語 braccio(腕)からの外来借用で、ギリシャ語を源とするイタリア語を経て再びギリシャ語に戻った再借用(αντιδάνειο)。イタリア語 braccio はラテン語 bracchium から、ラテン語 bracchium は古代ギリシャ語の βραχίων(腕。βραχύς「短い」の比較級から、前腕より「短い方」の意)から入った借用。古代ギリシャ語の βραχύς は印欧祖語で「短い」を表す語根にさかのぼり、英語 brace(補強具、つなぎ), embrace(抱きしめる), brachial(腕の、上腕の)はこの bracchium 系譜からラテン語・古フランス語を経由して入った借用で、μπράτσο と語根を共有する。
類義語に χέρι(手、腕。手先から腕全体まで広く指す), βραχίονας(腕、上腕。同じ βραχίων から継いだ学術借用で、解剖や公式の文脈で使う硬い形)。μπράτσο は肩から肘までの上腕や腕の力を指す形として広く使う。派生に μπρατσάκι(小さな腕、子どもの腕、水泳用のアームリング。指小形), μπρατσαράς(太く力強い腕の持ち主), μπρατσωμένος(筋骨たくましい), ξεμπρατσώνομαι(腕をまくる)。
ギリシャ語:λάμπα
読み方:ラバ・ラーバ・ランバ・ラーンバ
ラテン文字:lampa
フランス語 lampe(ランプ、灯火)からギリシャ語に入った逆方向の借用、αντιδάνειο(再借用)。源にあるフランス語 lampe は、古代ギリシャ語 λαμπάς(松明、たいまつ、火、光、← 動詞 λάμπω「光る、輝く」)がラテン語 lampas(松明)を経てロマンス諸語に広まり、再びギリシャ語に lamp(e) + ギリシャ語の女性名詞語尾 -α として戻ってきた形。古代ギリシャ語の語が外国語を経由して再びギリシャ語に入った例。
源にある古代の λάμπω(光る、輝く)は印欧祖語の「光る、輝く」を表す語根に由来し、同じ語族からはサンスクリット rambh-(明るく光る), リトアニア語 lópė(炎、ろうそく)が並ぶ。ギリシャ語側では古代の λάμπω から派生した語族が広く生きており、λάμψη(輝き、光沢、栄華、← ελνστ. λάμψις), λαμπρός(明るい、輝かしい、書きことば), λαμπερός(光り輝く、現代の口語), λαμπάδα(長いろうそく、復活祭用の大ろうそく、← 古代 λαμπάς の対格 λαμπάδα が主格化), λαμπαδηδρομία(聖火リレー、← λαμπάς + δρόμος「走り」), λαμπτήρας(ランプ、電球、書きことば、← 古代 λαμπτήρ)が出ている。
ラテン語 lampas を経た西欧の系譜では、フランス語 lampe, スペイン語 lámpara, ポルトガル語 lâmpada, イタリア語 lampada, ドイツ語 Lampe, 英語 lamp が並び、いずれも古代ギリシャ語の λαμπάς を共通祖とする。古代ギリシャ語の語が地中海・西欧を一周して、近代以降の電灯・電球の意味を伴って再びギリシャ語に戻ってきたしくみ。
派生・関連語族として λαμπίτσα(小さなランプ、小さな電球、指小形), λαμπάκι(小さなランプ、表示灯、豆電球、指小形), λαμπατέρ(フロアランプ、← 仏 lampadaire からの近代借用、語末 [d > t] の音変化を伴う別ルートの借用)。同じ「光・照明」の領域には、書きことば寄りの λαμπτήρας(ランプ、電球、文書語), 古代継承形の λαμπάδα(長いろうそく), 灯火そのものの φως(光、明かり)が並ぶ。λάμπα は日常の電球・照明器具に使う一般語、λαμπτήρας は技術文書・書きことば、と棲み分けがある。点灯には ανάβω(火をつける、つける、点火する)を使い、切れたときは Κάηκε η λάμπα(電球が切れた、← καίω「燃やす、焼く」)と言う。
ギリシャ語:λαμπάς
読み方:ラバス・ラバース・ランバス・ランバース
ラテン文字:lampas
古代ギリシャ語の λαμπάς(松明, たいまつ)を継承。動詞 λάμπω(輝く, 光る)に -άς が付いた語で, 火を手に持って燃やす光源を指す古い語。ラテン語 lampas もここから入り, そこから Romance 経由で英語の lamp や現代ギリシャ語の λάμπα(ランプ, 電球)につながった。
同じ λάμπω の語族に λαμπάδα(ろうそく, 奉献用の長い蝋燭), 合成語 λαμπαδηδρομία(トーチリレー, たいまつ競走), λαμπαδηφόρος(たいまつを持つ者)。おうし座の明るい赤い星アルデバランの古名 Λαμπαδίας も, たいまつの火に見立てた呼び名でこの語族に連なる。
儀式や競技の場面では λαμπάς が手に持つたいまつを受け, ろうそくや奉献用の長い蝋燭は λαμπάδα, 家庭用のランプや電球は λάμπα と使い分ける。
ギリシャ語:λαμπάδα
読み方:ラバダ・ラバーダ・ランバダ・ランバーダ
ラテン文字:lampada
中世ギリシャ語 λαμπάδα(松明、火、長いろうそく、← 古代 λαμπάς「松明、たいまつ、火、光」の対格 λαμπάδα が主格として固定化されたパラダイム再編 μετάπλαση)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。古代ギリシャ語 λαμπάς は、属格 λαμπάδος、対格 λαμπάδα という不規則な格変化を持つ -ς 語幹名詞だったが、中世期に対格を主格として整理する流れの中で、λαμπάδα の形に再形成された。同じ再編パターンは σταγόνα(しずく、← σταγών), αίγα(ヤギ、← αἴξ)と同類。
源にある古代の λαμπάς(属格 λαμπάδος、松明、たいまつ、火、光、明かり)は、動詞 λάμπω(光る、輝く)の派生で、印欧祖語の「光る、輝く」を表す語根に由来し、サンスクリット rambh-(明るく光る), リトアニア語 lópė(炎、ろうそく)と同族。古代ギリシャ語の λαμπάς は、戦闘・宗教・スポーツの中核的な道具として頻出する:オリンピックの聖火(λαμπάς, λαμπαδηδρομία「聖火リレー」), 古代の宗教祭儀の松明、夜間の明かり、戦争の信号火など、古代ギリシャ社会の根幹を成す道具として深く根付いていた。
古代ギリシャ語 λάμπω からの派生語族は、現代まで広範に継承される:λάμπω(光る、輝く、動詞), λάμψη(輝き、光沢、栄華、← ελνστ. λάμψις), λαμπρός(明るい、輝かしい、書きことば), λαμπερός(光り輝く、口語), λάμπα(ランプ、電球、← 仏 lampe 経由の αντιδάνειο), λαμπτήρας(ランプ、電球、書きことば), λαμπαδηδρομία(聖火リレー、← λαμπάς + δρόμος), λαμπάς(松明、たいまつ、書きことば), Λαμπαδίας(ランバディアス、アルデバランの古ギリシャ名)が並ぶ、極めて生産的な「光・輝き」の語族。
ラテン語経由の系譜では、ラテン語 lampas / lampada(松明、ランプ、← 古代ギリシャ語 λαμπάς からの借用)が、フランス語 lampe, スペイン語 lámpara, ポルトガル語 lâmpada, イタリア語 lampada, ドイツ語 Lampe, 英語 lamp, lambent(ちらちらと光る), 仏 lampadaire(フロアランプ)として、ヨーロッパ各語の「光・ランプ」の語彙の中核を形成した。古代ギリシャ語起源の世界中核語彙の典型例。
派生・関連語族として λαμπάδες(複数形、ろうそく群), λαμπαδάκι(小さなろうそく、口語の指小形), λαμπαδιάζω(炎上する、燃え上がる), λαμπάς(松明、書きことばの古典形), λαμπαδιά(炎、燃え上がり、書きことば), λαμπαδοφόρος(松明を持つ者、書きことば), πασχαλινή λαμπάδα(復活祭のろうそく)。
ギリシャの東方正教会の文化では、λαμπάδα は復活祭(Πάσχα)の中核的なシンボル:復活の前日の土曜深夜の Ανάσταση 礼拝で、信徒が手に持って点火する白い長いろうそくが λαμπάδα。家族・教会・地域共同体の伝統で、洗礼式(βάπτιση)の名付け親(νονός / νονά)から名付け子(αναδεκτό)に贈られるろうそく、結婚式(γάμος)の長いろうそくも λαμπάδα と呼ばれ、人生の節目の儀礼を結ぶ象徴的な道具として機能する。
慣用句では λαμπαδιάζω(炎上する、燃え上がる、文字どおり「松明のように燃える」, 比喩的に怒り・興奮で熱くなる), σαν λαμπάδα στον αέρα(風中の松明のように、不安定な状態の比喩)が、火・光・燃焼のイメージを介した感情・状況の表現として、文学・詩・口語表現の宝庫。
ギリシャ語:Λαμπαδίας
読み方:ラバディアス・ラバディーアス・ランバディアス・ランバディーアス
ラテン文字:Lampadias
古代ギリシャ語の λαμπαδίας(たいまつのように燃えるもの, 彗星)を継承。λαμπάς(松明, たいまつ)に性質を表す -ίας が付いた形で, 動詞 λάμπω(輝く, 光る)の語族に属する。たいまつや彗星のように強く光るものを呼ぶ語だったが, おうし座の明るい赤い星アルデバランをたいまつの火に見立てた古い呼び名として伝わる。
Αλντεμπαράν(アルデバラン)の古いギリシャ語名として Ταύρος(おうし座)の文脈で現れる。同じおうし座周辺の Υάδες(ヒアデス星団), Πλειάδες(プレアデス星団, すばる)とあわせて位置づけを見るとわかりやすい。
同じ λαμπάς の語族に λάμπα(ランプ, 電球), λαμπάδα(ろうそく, 長い蝋燭), 合成語 λαμπαδηδρομία(トーチリレー, たいまつ競走), λαμπαδηφόρος(たいまつを持つ者)。
ギリシャ語:λάχανο
読み方:ラハノ・ラーハノ
ラテン文字:lachano
古代ギリシャ語の λάχανον(栽培された食用植物、野菜)から。古代では食用の草本や野菜を広く指したが、現代ギリシャ語では主にキャベツを指す。
λάχανον のさらに古い語源は確定していない。古くは λαχαίνω(掘る)と結びつけて説明されることもある一方、先ギリシャ語基層の語と見る説もある。
派生語に λαχανικό(野菜)、λαχανο-(野菜の、キャベツの)、λαχανάκι(小さなキャベツ。λαχανάκια Βρυξελλών で芽キャベツ)、λαχανόκηπος(菜園)、λαχανόπιτα(野菜のパイ)などがある。英語の植物学用語 lachano- も同じ古代ギリシャ語に由来する。
複数形 λάχανα は、キャベツだけでなく青物や葉物野菜にも使う。近い語に μάπα(丸いキャベツ)、κράμβη(アブラナ属、キャベツ類)など。成句では Σιγά τα λάχανα!(大したことない)や、όμοιος στον όμοιο κι η κοπριά στα λάχανα(類は友を呼ぶ)といった表現にも使われる。
ギリシャ語:λάπις λάζουλι
読み方:ラピス ラズリ・ラーピス ラズリ
ラテン文字:lapis lazouli
中世ラテン語 lapis lazuli(青い石)からの外来借用(δάνειο)。ラテン語 lapis(石)と lazuli(lazulus「青の」の属格)の二語が連結した連語の形で、性・数で語形が変化しないまま現代ギリシャ語に取り入れられた。
合成の後半 lazuli は、ペルシャ語 لاژورد(lāžavard、ラピスラズリ、青色)にさかのぼり、これがアラビア語 لازورد(lāzaward)を経て中世ラテン語に入ったもの。さらに語頭の l- がアラビア語の定冠詞 al- と再分析されて脱落した形が、フランス語 azur, スペイン語 azul, 英語 azure(紺碧、青色)の系統を生み出した。一方、フランス語 lapis lazuli, 英語 lapis lazuli, ドイツ語 Lapislazuli, イタリア語 lapislazzuli はラテン語の連語の形をそのまま受け継ぐ。
主成分の鉱物は λαζουρίτης(青金石、ラズライト)で、ナトリウムやカルシウムを含むケイ酸塩鉱物。古代から中世にかけて顔料ウルトラマリン(ουλτραμαρίνα、文字どおり「海を越えてきたもの」、アフガニスタンから地中海を渡ってヨーロッパに運ばれたことから)の原料として珍重された。アフガニスタン北東部のサル・エ・サング鉱山が古代以来の主要産地で、数千年にわたり地中海・西アジア・ヨーロッパに供給された。
ギリシャ語内部では、短縮形の λαζούλι(中性、ラズリ), λάπις(男性、ラピス)も使われる。名前の似た λαζουλίτης(天藍石)はリン酸塩鉱物で、別の青い石にあたる。