ギリシャ語:ιστία
読み方:イスティア・イスティーア
ラテン文字:istia
ほ から始まる単語 48 語。
ほ から始まる単語 48 語。
ギリシャ語:ιστία
読み方:イスティア・イスティーア
ラテン文字:istia
ギリシャ語:προσανατολισμός
読み方:プロサナトリズモス・プロサナトリズモース
ラテン文字:prosanatolismos
動詞 προσανατολίζω(方位を定める、方向づける)に、動作や結果を表す名詞語尾 -μός が付いた語。προσανατολίζω は προς(〜へ)と ανατολή(東、日の出)をもとにした動詞で、東を基準に向きを定める発想から作られている。
「方位、見当、方向づけ」の意味は、フランス語 orientation からの翻訳借用。orientation は orient / orienter に由来し、ラテン語 oriens(昇るもの、東)に遡る。英語 orientation も同じ系統。ギリシャ語の ανατολή も「昇ること、東」を表し、語源は別だが意味の発想が対応している。
関連語に προσανατολίζω(方位を定める、方向づける)、αποπροσανατολισμός(方向感覚の喪失、攪乱)、κατεύθυνση(方向、方針)、ορίζοντας(地平線、水平線)、πυξίδα(方位磁針)などがある。
ギリシャ語:πυξίδα
読み方:ピクシダ・ピクシーダ
ラテン文字:pyxida
古代ギリシャ語 πυξίς(属格 πυξίδος、対格 πυξίδα、ツゲ製の小箱)の対格 -ίδα を主格として再形成した形を、近代以降に書き言葉から再導入し、「方位磁石、コンパス」の意味をイタリア語 bussola から意味借用(σημασιολογικό δάνειο)として加えた学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。
源にある古代の πυξίς は、πύξος(ツゲの木、Buxus 属)から派生した「ツゲ製の小箱」を意味する語で、古代ギリシャ・ローマ世界で化粧品・宝飾品・薬品などの小物を保管するための一般的な容器を指した。古代の πύξος はギリシャ語成立以前の地中海地域の言語層から入ったと見られる先ギリシャ語基層の借用語。
中世以降、地中海航海術の発達とともに磁針を収める容器として πυξίς / πυξίδα が用いられるようになり、イタリア語 bussola(< ラテン語 buxus「ツゲ」由来、bossolo「小箱」)の影響で「方位磁石」の意味が固まった。同じ古代の πυξίς からラテン語 pyxis(小箱、特に聖体容器)を経て、英語 box(箱), ドイツ語 Büchse(缶、容器), フランス語 boîte(箱、← buxida)など、ヨーロッパ各語の「箱」関連語彙の源となっている。星座名 Pyxis(らしんばん座、「南の天空のコンパス」)も同じ系統。
派生・関連語族として ραδιοπυξίδα(無線方位測定機), πυξιδοθήκη(コンパスケース), πύξος(ツゲの木)。類義語に μπούσουλας(口語的なコンパス、← イタリア語 bussola)。なお、製図用の「コンパス(円を描く道具)」はギリシャ語では διαβήτης(古代以来「渡る、跨ぐ」の意味から)で、πυξίδα とは別の語。考古学では古代の小箱の名として πυξίδα が今も学術用語として残り、ξύλινη πυξίδα(木製のピュクシス), πήλινη πυξίδα(陶製のピュクシス)など、原義の「小箱」の用法も生きている。
ギリシャ語:προσανατολίζω
読み方:プロサナトリゾ・プロサナトリーゾ
ラテン文字:prosanatolizo
προσ-(προς の合成形)と ανατολή(東、日の出)に、動詞を作る接尾辞 -ίζω が付いた語。東を基準に向きを定める発想から。
「方位を定める、方向づける」や、再帰的な προσανατολίζομαι(方向をつかむ、見当をつける)の意味は、フランス語 orienter / s'orienter からの翻訳借用。英語 orient, orientate も同じく「東」を表す語に由来する。
派生語に προσανατολισμός(方位、見当、方向づけ)など。対義的な語には αποπροσανατολίζω(方向感覚を失わせる、攪乱する)や αποπροσανατολισμός(方向感覚の喪失、攪乱)がある。
類義語として κατευθύνω(向ける、導く、方向づける)、κατεύθυνση(方向、方針)などが挙げられる。
ギリシャ語:εμπόριο
読み方:エボリオ・エボーリオ・エンボリオ・エンボーリオ
ラテン文字:emporio
古代ギリシャ語の ἐμπόριον(交易の場、商い)に由来。ἐν-(中に)+ πόρος(通路、道)からなる ἔμπορος(旅する商人)に、場所を表す -ιον が付いた語で、商人が行き交う場を指した。πόρος は英語 port(港)、portal(入り口)と同じ印欧祖語の語根から。現代ギリシャ語にはカサレヴサを通じて入り、フランス語 commerce、英語 trade からの意味借用で「貿易、商業」を言う語として整えられた。
英語 emporium(大商店、通商地)もラテン語を経てこの ἐμπόριον から。
派生語に εμπορικός(商業の)、εμπορεύομαι(商う、取引する)、έμπορος(商人)、εμπόρευμα(商品)。関連語に αγορά(市場)、κατάστημα(店舗)、συναλλαγή(取引)、κέρδος(利益)など。
ギリシャ語:Τηλεσκόπιον
読み方:テレスコピオン・テレスコーピオン
ラテン文字:tileskopio
ラテン語 telescopium(望遠鏡)をもとにした星座名で、古代ギリシャ語の τηλέ(遠く)と σκοπέω(見る)からできた形 Τηλεσκόπιον で呼ぶ。
現代ギリシャ語で望遠鏡はふつう τηλεσκόπιο と言い、英語の Telescopium もこのラテン語に由来する。
18世紀にフランスの天文学者ラカーユが考案した星座。新しい星座なので神話はない。
ギリシャ語:Φοίνιξ
読み方:フィニクス・フィーニクス
ラテン文字:foinix
古代ギリシャ語の φοῖνιξ を継承。古代ギリシャ語の段階ですでに「紫紅色」「ナツメヤシ」「ナツメの実」「不死鳥」「フェニキア製の弦楽器」と複数の意味を持ち、どれが先かは確定していない。ミケーネ期(紀元前13世紀ごろ)の線文字Bにすでに po-ni-ke の形が現れ、ナツメヤシを指すとされる。
有力な説では、西セム語で赤い染料(アカネ)を表す語からの借用で、「紫紅色」が出発点。フェニキアから運ばれた赤紫の染料が語義の中心にあり、フェニキア人(Φοίνικες)も「赤い染料を扱う人々」の意味から呼ばれたとされる。不死鳥の名も「紫紅色の鳥」「フェニキアの鳥」の感覚から生まれた可能性がある。
鳥とナツメヤシの結びつきには、木の名が鳥に付いたとする説と、鳥の名が木に付いたとする説の両方があり、決着していない。手がかりのひとつがエジプト語 bnw で、この語もまた聖鳥とナツメヤシの実の両方を表していた。
古代ギリシャ語ではナツメヤシの木もその実も同じく φοῖνιξ で言ったが、現代ギリシャ語では木は φοίνικας、φοινικιά、φοινικόδεντρο、実はアラビア語から入った χουρμάς と使い分ける。
星座「ほうおう座」は、16世紀末にオランダの航海士ケイセルとデ・ハウトマンの観測をもとにプランシウス(プランキウスとも)が南天に配した12星座のひとつ。星座名はラテン語 Phoenix、フランス語 phénix を経て、古代ギリシャ語の Φοίνιξ が定着した。
関連語に φοίνικας(ナツメヤシ、フェニキア人)、φοινικιά、φοινικόδεντρο(ナツメヤシの木)、φοινικικός(フェニキアの)など。英語 phoenix、Phoenician も同源の語。
ギリシャ語:σημείο του ορίζοντα
読み方:シミオトゥオリゾダ・シミーオトゥオリゾダ・シミオトゥオリゾンダ・シミーオトゥオリゾンダ
ラテン文字:simeio tou orizonta
ギリシャ語の σημείο(点)と ορίζοντας(地平線)の属格 ορίζοντα を組み合わせた連語で、文字どおり「地平線の点」を意味する。フランス語 point cardinal(基本方位点、← ラテン語 cardinālis「基本の、要となる」), 英語 cardinal point of the horizon, ドイツ語 Himmelsrichtung(空の方向)など、ヨーロッパ各語の「方位」術語を翻訳し移した翻訳借用(μεταφραστικό δάνειο)として近代に成立した。
両構成要素はいずれも古代以来の継承語で、σημείο(古代 σημεῖον、しるし、点、信号)は σῆμα(しるし、印)の指小形, ορίζοντας(古代 ὁρίζων、属格 ὁρίζοντος、地平線、← ὁρίζω「区切る、定める」の現在分詞)も古代から「目に見える円形の境界線」として地球の地平線を指してきた。
近代地理学・航海術・気象学が確立するなかで、北・東・南・西の四方位(τα τέσσερα σημεία του ορίζοντα)と中間方位を含む 16 方位の体系が普及し、現代ではこの連語が「方角、方位」を指す中心語として定着している。
関連語族として πυξίδα(コンパス、方位磁石、← 方角を測る道具), κατεύθυνση(方向), διεύθυνση(方向、住所), προσανατολισμός(方位、見当)。四方位を表す中心語は βορράς(北), ανατολή(東、日の出), νότος(南), δύση(西、日没)で、いずれも古代以来の継承語。中間方位は北東 βορειοανατολικά, 南東 νοτιοανατολικά, 南西 νοτιοδυτικά, 北西 βορειοδυτικά と、四方位の合成で表す体系が定着している。
ギリシャ語:σκούπα
読み方:スクパ・スクーパ
ラテン文字:skoupa
12 世紀にラテン語の scopa(小枝や草を束ねた、ほうき状のもの)から、中世ギリシャ語へ借用された語。
ラテン語の scopa はもともと「植物の束、刈った枝の束」を指していた。それをそのまま掃除道具として利用したことから、次第に「ほうき」を意味するようになった経緯がある。
「掃除機」の意味は近代に入り、フランス語の balai électrique(電気ほうき)や英語の vacuum cleaner / sweeper からの翻訳借用によって普及。現在では口語の σκούπα 単体でも「掃除機」を指すことができる。
派生語には、σκουπίζω(掃く、拭く)、σκούπισμα(掃き掃除)、σκουπόξυλο(ほうきの柄)、σκουπίτσα / σκουπάκι(指小形、小さなほうき・小型掃除機)などがある。
掃除道具の周辺語として、σκουπίδι(ごみ)、φαράσι(ちりとり)、σφουγγαρίστρα(モップ)などが挙げられる。
ギリシャ語:κίνημα
読み方:キニマ・キーニマ
ラテン文字:kinima
動詞 κινέω(動かす)から派生した古代ギリシャ語の中性名詞 κίνημα(動き, 運動)を継承。「社会運動」の用法はフランス語 mouvement からの訳語借用。英語 cinema は κίνημα と γράφω(書く)から作られた κινηματογράφος(映画機)をもとにした語。
関連語に κίνηση(動き、動作)、κινητικός(運動の)、κινηματογράφος(映画)。
ギリシャ語:σκουπόξυλο
読み方:スクポクシロ・スクポークシロ
ラテン文字:skoupoxylo
ギリシャ語:διάλεκτος
読み方:ディアレクトス・ディアーレクトス
ラテン文字:dialektos
ヘレニズム期ギリシャ語 διάλεκτος(共通語、話し方、地域語、← 動詞 διαλέγομαι「対話する、話し合う」+ -τος 動詞形容詞接尾辞)を、近代以降に書きことばから再導入した学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。古代の意味は「対話、話し方、共通語、地域の話しことば」と幅広かったが、近代以降は「方言」を中心義とする近代言語学の専門語として確立した。
源にある古代の動詞 διαλέγομαι(対話する、議論する、語り合う、← διά-「通って、互いに」+ λέγω「話す、選ぶ」)は、印欧祖語の「集める、選び出す」を表す語根に由来し、ラテン語 legere(選ぶ、読む、← 英 legible, intellect), 英語 logic と同根。古代ギリシャ語の διαλέγομαι は、プラトンの『対話篇』でソクラテスの問答法を表す中核語として、哲学の方法論の根幹に位置する語。
古代以来の δια-λέγω からの派生語族は、現代まで広範に展開する:διάλογος(対話、← 英 dialogue), διαλεκτική(弁証法、ヘーゲル哲学・マルクス主義の中核概念), λόγος(言葉、論、理性), συνομιλία(会話), λεκτικός(言語の、口頭の)が並ぶ、極めて生産的な哲学・言語の語彙系譜。
近代言語学の専門用語としての διάλεκτος は、19 世紀以降のヨーロッパの言語学・社会言語学の発達とともに、フランス語 dialecte, 英語 dialect, ドイツ語 Dialekt の意味用法を取り込んで「地域的な言語変種」「特定の地域・社会階級の話しことば」を指す中心義が確立された。古代の「話し方一般、共通語、対話」から、近代の「方言、変種、地域語」へと意味の中心が移った経緯を持つ。
ヨーロッパ各語の「方言」語彙は、すべてギリシャ語起源の dialektos に発する:英語 dialect, フランス語 dialecte, スペイン語 dialecto, イタリア語 dialetto, ドイツ語 Dialekt(または Mundart「方言、← Mund「口」+ Art「種類」」), ロシア語 диалект dialekt が並ぶ、近代言語学の国際語の中核。
派生・関連語族として διαλεκτικός(方言の、形容詞), διαλεκτολογία(方言学、← 英 dialectology), διαλεκτολόγος(方言学者), ιδίωμα(方言、独特の言い方、書きことば、← 英 idiom), παραλλαγή(変種、ヴァリエーション), ντοπιολαλιά(地方語、方言、口語), σλανγκ(スラング、隠語、← 英 slang), αργκό(俗語、隠語、← 仏 argot)。
ギリシャ語の方言学では、近代ギリシャ語の主要な方言が文献化され、研究対象となっている:κρητική διάλεκτος(クレタ方言), κυπριακή διάλεκτος(キプロス方言), ποντιακή διάλεκτος(ポントス方言、黒海沿岸ギリシャ人の方言), τσακωνική διάλεκτος(ツァコニア方言、古代ドーリス方言の継承), ιωνικά(イオニア方言、古代), αττική διάλεκτος(アッティカ方言、古代), αρχαία ελληνική διάλεκτος(古代ギリシャ語の方言、Δωρική, Αιολική, Ιωνική, Αττική, Αρκαδοκυπριακή の五大方言)など、古代から現代までのギリシャ語の方言の歴史的な体系が、現代の方言学の中で整理・研究されている。
同じ「言語・話しことば」の領域には、上位概念の γλώσσα(言語、ことば), 抽象的な λόγος(言語、ことば、論), 話す行為の ομιλία(話しことば、スピーチ), 地域の言い方の ιδίωμα(独特の言い方、方言), スラングの σλανγκ(スラング)が並び、診断・社会言語学・方言学の中核語彙として、διάλεκτος は地域・社会的な言語変種を指す中心語として機能する。
ギリシャ語:κατεύθυνση
読み方:カテフシンシ・カテーフシンシ・カテフティンシ・カテーフティンシ
ラテン文字:katefthinsi
動詞 κατευθύνω(向ける、導く、方向づける)に、動作や結果を表す名詞語尾 -ση が付いた語。κατευθύνω は κατά- と ευθύνω(まっすぐにする、正す)から構成される。
ευθύνω は εὐθύς(まっすぐな、直接の)と同語源で、ευθεία(直線、まっすぐに)にも関連する。διεύθυνση(方向、住所、管理)なども同じ語根を持つ。
近い語に προσανατολισμός(方位、見当、方向づけ)がある。方針や学問・芸術の流れを指す際は、τάση(傾向)といった語も用いられる。
ギリシャ語:καπέλο
読み方:カペロ・カペーロ
ラテン文字:kapelo
ギリシャ語:λαιμαργία
読み方:レマルイア・レマルイーア
ラテン文字:laimargia
古代ギリシャ語の λαιμαργία(食い意地、貪食)に由来。これは λαίμαργος(食い意地の張った、むさぼるような)から作られた抽象名詞である。
λαίμαργος は λαιμός(喉)と μάργος(激しい、貪欲な)からなる。λαιμός はさらに前ギリシャ語由来の可能性がある語で、喉や飲み込む動きに関わる語群と結びつけられる。一方、μάργος の語源は確定していない。
類義語には αδηφαγία(貪食)や βουλιμία(過食)、απληστία(強欲)などがある。関連語としては λαίμαργος(食い意地の張った)や φαγητό(食べ物)などの語が挙げられる。
キリスト教神学の七つの大罪(επτά θανάσιμα αμαρτήματα)では、現代の一般的な一覧で λαιμαργία が「暴食」にあたる語として使われる。教会系の一覧では γαστριμαργία が用いられることもある。対応する美徳としては νηστεία(断食)や εγκράτεια(自制、節制)などが挙げられる。
ギリシャ語:κόσμημα
読み方:コズミマ・コーズミマ
ラテン文字:kosmima
印欧祖語で「告げる, 整える」を表す語根にさかのぼり, ラテン語 cēnseō(評定する, 査定する)やサンスクリット śaṃsati(褒め称える)と同源の語族に連なる古代ギリシャ語の中性名詞 κόσμημα(飾り, 装飾品。κόσμος「秩序, 装飾」から派生した動詞 κοσμέω「整える, 飾る」に結果を表す接尾辞 -μα を付けた形)を継承。κόσμος はもとは「秩序」「調和」の意で, そこから「世界の秩序」としての「宇宙」と「整え飾ること」としての「装飾」の二方向に意味が分かれ, κόσμημα は後者の系譜に属する。英語 cosmos(宇宙), cosmetic(化粧品)は κόσμος からラテン語・フランス語を経由して入った学術借用で, κόσμημα と語根を共有する。
類義語に στολίδι(飾り、装飾品。飾り全般を指す), μπιζού(アクセサリー。フランス語 bijou からの外来借用で、主にファッション小物や安価な装飾品を指す)。κόσμημα は貴金属や宝石を用いた芸術的・金銭的価値の高い宝飾品を指す形として使う。派生に κοσμηματάκι(小さな宝飾品。指小形), κοσμηματοπώλης(宝飾商), κοσμηματοπωλείο(宝飾店), κοσμηματοθήκη(ジュエリーケース)。関連語に κόσμος(世界、宇宙), κοσμέω(整える、飾る), κοσμικός(世俗の、社交界の)。
ギリシャ語:βλαστήμια
読み方:ヴラスティミア・ヴラスティーミア
ラテン文字:vlastimia
古代ギリシャ語の βλασφημία(誹謗、不敬な言葉)に由来。英語 blasphemy(冒涜)の語源にもなった。
類義語の βρισιά(罵倒)と比べると、βλαστήμια は宗教的・神聖な対象への冒涜を含みうる語。ただし現代ギリシャ語では、口汚い罵り言葉全般を指すこともある。
神への冒涜から日常的な罵言・卑語までを含む語。不敬な表現だけでなく、卑俗な罵り言葉などにも幅広く使われる。
ギリシャ語:αφθονία
読み方:アフソニア・アフソニーア・アフトニア・アフトニーア
ラテン文字:afthonia
古代ギリシャ語の ἀφθονία(豊かにあること)に由来。否定の ἀ- と φθόνος(妬み、出し惜しみ)からなる語で、「妬みも出し惜しみもないこと」がもとの意味。気前よく分け与えられるほど物がある、という発想から「豊富、潤沢」の意味へ広がった。
ギリシャ語:τρόπος
読み方:トゥロポ・トゥローポ
ラテン文字:tropos
古代ギリシャ語の τρόπος(向きを変えること, やり方, 態度)を継承。動詞 τρέπω(向ける, 回す)の名詞形で, もとは「向け方, 転じ方」。音楽の「旋法」の意味はフランス語 mode からの意味借用で輪郭が整った。
同じ τρέπω・τροπή の語族に ανατροπή(転覆), μετατροπή(変換), εντροπία(エントロピー), τροποποιώ(修正する), τροπολογία(修正条項), τροπόσφαιρα(対流圏), 合成語 ιδιότροπος(気まぐれな), πολύτροπος(多彩な), δύστροπος(扱いにくい)。
δρόμος(道, 方法, 競走)も比喩で「やり方」を表すが, 道筋・経路の感覚が残る。τρόπος はやり方そのものを指して広く使う。文語的な「生き方」を言う βίος(人生, 生き方)に対し, 日常の τρόπος ζωής は「生活様式」を言う。英語 trope(比喩, 常套的パターン), tropic(回帰線)もラテン語を経てこの τρόπος の語族。
ギリシャ語:αγκαλιά
読み方:アガリャ・アガリャー・アンガリャ・アンガリャー
ラテン文字:agkalia
中世ギリシャ語の ἀγκαλιά を継承。古代ギリシャ語の ἀγκάλη(腕の曲がるところ、抱きかかえるところ)に -ιάζω が付いてできた中世の動詞 αγκαλιάζω(抱く)から、逆成によって名詞として現れた形。
派生語には αγκαλιάζω(抱く、抱きしめる)や αγκάλιασμα(抱擁)、αγκαλίτσα(指小形、小さな抱っこ)などがある。
ギリシャ語:νόμος
読み方:ノモス・ノーモス
ラテン文字:nomos
古代ギリシャ語の νόμος(割り当て、慣習、掟)に由来。動詞 νέμω(割り当てる、分配する)からできた名詞で、印欧祖語の「割り当てる」を表す語根に続く。「割り当てられたもの」から「慣習」「掟」を経て、法律や法則の意味に広がった。現代の法律・法則としての用法は、フランス語 loi, ドイツ語 Gesetz, 英語 law からの意味借用で整った。
英語 economy は古代ギリシャ語 οἰκονομία(οἶκος「家」+ νόμος、「家の管理」)から、astronomy, autonomy の -nomy も νόμος を語源とする。
ストレスの位置だけが違う νομός(県)も動詞 νέμω から派生した語で、こちらは「割り当てられた土地」から行政区画の意味に分かれた。
派生語に νομικός(法律の、法律家), νόμιμος(合法の), νομοθεσία(立法)。対義語は άνομος, παράνομος(違法の、無法な)。
ギリシャ語:μάγουλο
読み方:マグロ・マーグロ
ラテン文字:magoulo
後期ラテン語の magulum(顎、口)がヘレニズム期ギリシャ語に入って μάγουλον となり、中世ギリシャ語を経て今の形に落ち着いた外来借用。magulum 自体は語源不確定で、ラテン語 māla(頬骨、顎)と関係づける説もあるがはっきりしない。
類義語に παρειά(頬。古代ギリシャ語由来で解剖や文芸の文脈で使う硬い形)。μάγουλο は頬を指すふつうの形として広く使う。派生に μαγουλάκι(小さな頬、可愛い頬。指小形), μαγούλα(頬、大きな頬), μαγουλάς(頬の大きい男), μαγουλού(頬の大きい女), μαγουλάδες(おたふくかぜ)。合成語に ροδομάγουλος(バラ色の頬の)。
ギリシャ語:μπάλα
読み方:バラ・バーラ
ラテン文字:bala
中世ギリシャ語 μπάλα(ボール、球)が、現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。古い綴り μπάλλα(二重 λλ)は、語の出自を反映した表記の名残。中世末期から近世にかけて、地中海・バルカン世界の遊戯・スポーツ語彙が地域共通語的に流通する中で、ギリシャ語の中心語として固まった。
源にある中世形 μπάλα は、ヴェネト方言 / 古イタリア語 balla(球、玉、束), あるいはフランク語 *balla(球)からの中世期の借用と見られ、英語 ball, フランス語 balle / ballon(ボール、風船), イタリア語 palla(球), ドイツ語 Ball(ボール), スペイン語 bala(弾、玉)など、ヨーロッパ各語の「球、ボール」語彙と並行する系統に属する。これらの語族の最終的な起源は印欧祖語の「ふくらむ、丸まる」を表す語根にさかのぼると見られる。
中世のギリシャ語に入ってからは、語形が安定して使い続けられ、ボール(遊戯・スポーツ用), 球状の物体(雪玉、生地玉、アイス玉、飾り玉), 古くは砲弾や囚人の鎖付き鉄球まで、丸い物体全般を指す中心語として広く用いられた。換喩的にスポーツの「サッカー」そのものを指す用法(Βλέπω μπάλα「サッカーを見る」, Παίζω μπάλα「サッカーをする」)も、英語 football と並行する近代以降の意味展開。比喩的な στρογγυλή θεά(丸い女神)という言い方でサッカーやサッカーボールを呼ぶことも詩的な表現として知られる。
派生・関連語族として μπαλάκι(小さなボール、テニスボールなど、指小形), μπαλίτσα(小さなボール), μπαλιά(ボールのひと蹴り、パス、シュート、サッカー用語)。類義語に τόπι(口語的なボール、特に伝統的な布製のボール、← トルコ語経由), σφαίρα(球、書きことば、数学・物理用語), σφαιρίδιο(小球、粒状の球)。比喩的成句 χάνω την μπάλα(ボールを失う、何が起きているか分からなくなる), με την μπάλα στα πόδια(足元にボールを置いて、コントロールが効いている状態)など、サッカー文化に根ざした表現が日常語にも浸透している。
ギリシャ語:βορειοανατολικά
読み方:ヴォリオアナトリカ・ヴォリオアナトリカー
ラテン文字:voreioanatolika
βορειοανατολικός(北東の)の中性複数形。
βόρειος(北の)の接頭辞 βορειο- と ανατολικός(東の)から成る複合形容詞の中性複数形であり、方角名や方向ラベルとして一語で用いられる。
北東から吹く風の名称には γραίγος と μέσης などがある。γραίγος はイタリア語由来の地中海の航海語であり、μέσης は古代ギリシャ語を由来とする名称。
ギリシャ語:ασφάλιση
読み方:アスファリシ・アスファーリシ
ラテン文字:asfalisi
中世ギリシャ語の ασφάλισις(確保、保障)を継承。動詞 ασφαλίζω(確保する、保険をかける)から派生した名詞で、語根は古代ギリシャ語の ἀ-(否定)と σφάλλω(倒す、つまずかせる)にさかのぼり、もとは「倒されないようにすること、崩れないように担保すること」を表す(詳しくは ασφάλεια 参照)。
近代に入って「保険契約」「保険制度」の意味はフランス語 assurance / sécurité からの意味借用で定着した。κοινωνική ασφάλιση(社会保険)は英語 social insurance に基づく翻訳借用。
ασφάλεια は「安全、保障」の状態や対策一般を指し、保険そのもの(特に ασφάλεια αυτοκινήτου「自動車保険」のような言い方)にも広く使う。一方 ασφάλιση は「保険をかける行為・契約・制度」を指す語で、行政・法律・保険業界の文書で出てくることが多い。
派生に形容詞 ασφαλιστικός(保険の)、ασφαλισμένος(被保険者)など。
ギリシャ語:σκόνη
読み方:スコニ・スコーニ
ラテン文字:skoni
中世ギリシャ語 σκόνη(埃、塵)が現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。中世形は、古代ギリシャ語 κόνις(属格 κόνεως、塵、粉)を語幹に -η を付けた形で、語頭に補助的な [s] が発達(ανάπτυξη προτακτικού [s])した形。この [s] の発達は、定冠詞女性属格単数 τῆς、対格複数 τὰς との続き発音 [tisko] が再分節(αναλλαγή)されて [tis-sko] となる過程で生まれた、現代ギリシャ語ではよく見られる音韻変化の例。同じパターンの語に σταυρός(十字架、← σταυρός 自体は古代の σταυρός で別系統だが、初頭 [s] の発達としては同類), σπλάχνο(内臓、← σπλάγχνον)が並ぶ。
源にある古代の κόνις(塵、灰、粉、墓地の土)は、印欧祖語の「灰、塵、燃え尽きたもの」を表す語根に由来し、ラテン語 cinis(灰、← 英 incinerate「焼却する」), サンスクリット kanā-(粒、点)と関連する古層語。古代ギリシャ語の κόνις は、戦場の土埃、墓地の土、火葬の灰など、細かな粒子状のものを広く指した。
派生・関連語族として、κόνις 系統の書きことばは現代ギリシャ語にも生きており、κονιορτός(粉塵雲、砂煙、← κόνις + ὄρνυμι「立ち上げる」, 文字どおり「立ち上がる塵」), κονία(粉、書きことば), ασβεστόκονη(漆喰の粉), ξηροκονία(乾いた粉)が並ぶ。一方、口語形 σκόνη からは σκονάκι(小さな埃の塊、口語、または「カンニングペーパー」を意味する若者言葉), σκονάς(埃まみれの人、口語), σκόνωμα(埃まみれにすること、書きことば), σκονισμένος(埃まみれの、形容詞・過去分詞), σκονίζω(埃にする、動詞), ξεσκονίζω(埃を払う、動詞)が出ている。
複合表現では αστρική / κοσμική / διαστημική σκόνη(宇宙塵、← 英 cosmic dust の翻訳借用), ηφαιστειακή σκόνη(火山灰), σκόνη του Σαχάρα(サハラの塵)など、自然現象を表す近代語彙にも広く使われる。
同じ「粉・粒子」の領域には、土・地面の χώμα(土、土壌、地面、土地), 強く舞う κονιορτός(粉塵雲), 煙の καπνός(煙、タバコ), 灰の στάχτη(灰)が並ぶ。σκόνη は最も日常的・中立的で、家庭の埃から食品の粉末、洗剤、薬剤、消火剤まで広く使える基本語として機能する。比喩用法では、舞い上がった塵が視界を遮り、やがて収まって全体が見えるというイメージから、κατακάθισε η σκόνη(塵が収まる、騒ぎが収まる), σηκώνω σκόνη(塵を巻き上げる、騒ぎを起こす), τρώω τη σκόνη κάποιου(人に大きく遅れを取る、後塵を拝する)のような慣用句が定着している、視覚と動きの語彙が活発に展開する語。