ギリシャ語:λάβα
読み方:ラヴァ・ラーヴァ
ラテン文字:lava
イタリア語 lava(溶岩)からギリシャ語に入った外来借用(δάνειο)で、近代の地質学・火山学の語彙が西欧語からギリシャ語に取り入れられた典型例。ギリシャ語の女性名詞語尾を保ったまま λάβα として定着した。
源にあるイタリア語 lava は、ナポリ方言で「斜面を流れ落ちる雨水、流れ」を意味する語に由来するとされ、ヴェスヴィオ山の噴火で麓に流れ下った溶融岩を見て、もともとの「流れ」の語が新しい意味を帯びた、地域語起源の自然語彙。さらに語源をさかのぼるとラテン語 labes(崩落、滑り), lābī(滑る、流れ落ちる)に行き着く可能性が論じられる。18 世紀以降、ヨーロッパの地質学の発達とともに lava はそのままの形で各国語に広まり、フランス語 lave, スペイン語 lava, 英語 lava, ドイツ語 Lava と並走する国際語になった。
ギリシャ語の伝統的な火山語彙では、ヘシオドスの『神統記』以来の τυφών(嵐、火を吐く怪物、ティフォン), Ήφαιστος(ヘファイストス、火山の語源)の神話的系譜があるが、近代地質学の用語体系はラテン語・イタリア語起源の西欧語を取り入れて構築されており、ηφαίστειο(火山), λάβα(溶岩), κρατήρας(火口、← 古代 κρατήρ「混酒器」)が並ぶ。
派生・関連語族として λάβα-βόλος(溶岩を投げ飛ばす、形容詞), λαβορόη / λαβική ροή(溶岩流)。同じ火山現象の領域には、έκρηξη(爆発、噴火、激発), στάχτη(灰、火山灰), μάγμα(マグマ、← 古代 μάγμα「練り物、軟膏」が地質学で再利用された語), ηφαίστειο(火山)が並び、それぞれ「噴出活動」「噴出後の灰」「地下のもの」「噴出の場」と分担している。
文学的比喩では「溶岩のような感情の奔流」が定型化しており、έρωτας(恋愛、恋人), πάθος(情熱、激情)と組み合わさって「抑えきれない感情の高まり」を表す比喩として頻出する。装飾の領域では λάμπα λάβας(ラバランプ、内部で色つきの液体がゆっくり動くランプ)が現代の家庭インテリア語彙として定着している。

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