スペイン・ユダヤ語(スペインから追放された Sephardim ユダヤ人の言語、ジュデオ・スペイン語、Ladino)の parea からギリシャ語に入った外来借用(δάνειο)。源にあるスペイン語 pareja(ペア、対、組)は、ラテン語 paria(ペア、対、← par「等しい、対等な」の中性複数形)の継承で、英 pair, 仏 paire, 伊 paio などと同源。
15-16 世紀に Reconquista(レコンキスタ)後のスペイン(1492 年のアルハンブラ勅令)から追放された Sephardim ユダヤ人がオスマン帝国の地中海地域(テッサロニキ、イスタンブール、スミルナなど)に移住し、その言語(Ladino, ジュデオ・スペイン語)が現地のギリシャ・トルコ・スラヴ語社会と接触する中で、生活・社交の語彙が広まる過程で取り入れられた借用語。テッサロニキは特に Sephardim 文化の中心地として、20 世紀前半まで「巴爾干のエルサレム」と呼ばれ、ジュデオ・スペイン語が広く使われていた。
源にあるラテン語 par(等しい、対等な、ペア)は、印欧祖語の「等しい、釣り合った」を表す語根に由来し、ヨーロッパ各語の「ペア、対、平等」の語彙の根幹を成す:英語 pair, par, parity, peer(仲間), ラテン語経由の compare(比較する), separate(分離する)など、極めて広範な国際語族の中核。
ギリシャ語の παρέα は、もとは「ペア、対」を意味していたが、ギリシャ語に入った後で意味が「仲間、連れ、気の合う集まり」へと拡大した、興味深い意味展開を持つ。現代ギリシャ語では、ペアを超えた「気の合う友人グループ」「親しい仲間の集まり」「飲み友達・遊び仲間のサークル」を中心義とする社交の中核語彙。
派生・関連語族として παρεούλα(小さな仲間、口語の指小形), παρεάκι(仲間グループ、口語), παρεΐτσα(小さな仲間サークル、親しみのある指小形), παρεάκι(小規模な集まり), μικρή παρέα(小さな仲間), καλή παρέα(気の合う仲間), βγαίνω παρέα(一緒に出かける), κάνω παρέα με κάποιον(誰かと一緒に過ごす、付き合う), μένω παρέα(付き添う、一緒にいる)。
ギリシャの社交文化では、παρέα は中核的な概念で、地中海・東方の伝統的な「気の合う仲間で集まる時間」(テラス、カフェ、タベルナでのコーヒー・食事・酒の時間)を表す独特の文化語彙。「Στην παρέα」(仲間と一緒に), 「Με την παρέα μου」(私の仲間と), 「Καλή παρέα」(よい仲間、気の合う集まり)など、ギリシャ人の友情・社交・生活様式の中核を成す語として、文学・歌・映画の中で頻出する。
カラオケ・タベルナの夜・名の日の祝い・誕生日・夏の島での集まり・冬の村での暖炉囲んでの夜長の時間など、ギリシャの伝統的・現代的な社交文化のあらゆる場面で「παρέα」が中核を担う。文化人類学的には、地中海諸国に共通する「広い社交の輪を作る」生活様式を象徴する語として、英語 company(仲間)よりも温かみと持続性のあるニュアンスを担う、文化特有の感情豊かな語。
慣用表現では Πάμε παρέα(一緒に行こう), Ήρθε παρέα με τον φίλο του(友人と一緒に来た), Δεν είμαι σε παρέα(一人だ、付き添いがない), Έκανε παρέα με αυτόν(彼と一緒に過ごした、彼と付き合った)が頻出する、社交関係の基本表現の中核を担う。