日本語索引: か
か から始まる単語 116 語。
か から始まる単語 116 語。
ギリシャ語:κάρτα
読み方:カルタ・カールタ
ラテン文字:karta
イタリア語の carta(紙、カード)からの外来借用で、carta はラテン語 charta(パピルス紙)を経て、もとは古代ギリシャ語の χάρτης(パピルスの巻物、紙)にさかのぼる。古代ギリシャ語からラテン・イタリアと西欧諸語を巡って戻ってきた再借用(αντιδάνειο)にあたる。同じ χάρτης 由来で継承形のままギリシャ語に残った χαρτί(紙、書類)と、再借用として戻った κάρτα は、語源を共有する別形の対をなす。英語 card(仏 carte 経由), chart(地図), charter(憲章), cartoon(漫画), cartography(地図学)も同じ χάρτης 系譜の借用で、日本語のカルタ(ポルトガル語 carta 経由)も同根。
類義語に χαρτί(紙、トランプの札。同じ χάρτης 由来の継承形), δελτίο(カード、整理券、票。古代ギリシャ語 δέλτος「板、書字板」の指小形 δελτίον 由来で、行政・公式の硬い文脈で使う)。κάρτα はハガキ、身分証、決済カード、回路基板などプラスチック製や厚紙製の小さなカード状のものを指す形として広く使う。派生に καρτούλα, καρτάκι(小さなカード。指小形)。関連語に χάρτης(地図、海図、憲章。同じ古代の χάρτης の素形を保った形), καρτ-ποστάλ(ポストカード。フランス語 carte postale 由来の外来借用)。
ギリシャ語:γαρίφαλο
読み方:ガリファロ・ガリーファロ
ラテン文字:garifalo
ヴェネト方言(ヴェネツィア語)の garofolo(カーネーション、クローブ)から中世ギリシャ語に入った αντιδάνειο(返り借用)。ヴェネト方言の garofolo はラテン語 caryophyllum を経て、もとの形は中世ギリシャ語・ヘレニズム期の καρυόφυλλον(クローブ)にさかのぼる。さらに遡ると、καρυόφυλλον 自体は本来東方系(ペルシャ語 karänfel など)の植物名で、ギリシャ語に取り入れられる際に κάρυον(クルミ)+ φύλλον(葉)に分解しなおされて「クルミの葉」と理解された παρετυμολογία(民間語源)の結果の形。すなわちもとは東方の植物名がギリシャ語化を受け、ラテン語・ヴェネト方言を回って、中世末期に再びギリシャ語に戻ってきた語にあたる。中世形 γαρόφαλο から γαρίφαλο への [o > i] 変化は、おそらくもとの καρυόφυλλο の語形からの影響とされる。
もとは香辛料のクローブを指す名前だったが、カーネーションの花がクローブに似た香りを持つことから、のちに花のカーネーションも指すようになった。同じ καρυόφυλλον / caryophyllum から、英語 clove(クローブ), gillyflower(カーネーション、ストック類), 学術名 Caryophyllaceae(ナデシコ科)など、ヨーロッパ各語の関連語彙が広まっている。
派生に γαριφαλάκι(小さなカーネーション、小さなクローブ、指小形), γαριφαλιά(カーネーションの茎・株), γαριφαλένιος(カーネーションのような)。同義語の μοσχοκάρφι(クローブ、文字どおり「ムスクの釘」)はとくに香辛料用法で並んで使う。比喩的に「ぱっくりと開いたもの」を表す用法(ντομάτα γαρίφαλο「カーネーション切りのトマト」など)も特徴的。
ギリシャ語:γρανάτης
読み方:グラナティス・グラナーティス
ラテン文字:granatis
近代ヨーロッパ語の宝石名 garnet(英語)/ grenat(フランス語)/ granato(イタリア語)からギリシャ語に入った外来借用(δάνειο)に、ギリシャ語の男性名詞語尾 -ης を付けて整えた近代の宝石・鉱物名。源の系譜は中世ラテン語 granātum / granātus(ザクロのような、ザクロ色の、← ラテン語 grānum「種、粒」)にあり、ザクロの実の形と色がガーネットの結晶の形と色に似ていることから、中世ヨーロッパで「ザクロ石」と命名された経緯を持つ。
源にあるラテン語 grānum(種、粒、穀粒)は、印欧祖語の「粒、芽」を表す語根に由来し、英語 grain(穀粒、種、繊維), granule(顆粒), granary(穀物倉), granite(花崗岩、← 「粒の集まった石」), pomegranate(ザクロ、← pōmum「果実」+ grānātum「粒の多い」)と同族。古代ギリシャ語の対応概念は κόκκος(粒、種、ガーネット、← 古代ギリシャ語 κόκκος「ケルメスカイガラムシの実、種、粒」、英 coccus, coccoid と同根)で、現代ギリシャ語の κόκκινος(赤、← 「ケルメスの赤」)も同じ語族。
ガーネットはザクロの実のように赤く粒状に集まる結晶を持つことから、地中海・ヨーロッパでザクロ石と呼ばれた経緯:英語 garnet, フランス語 grenat(「ザクロ色の」), イタリア語 granato, ドイツ語 Granat, スペイン語 granate, ロシア語 гранат granat(ガーネットとザクロの両方を意味する)が並走する、ヨーロッパ各語の宝石名の中核。Tri 辞典には γρανάτης のエントリーが見当たらないが、語形と意味から近代の借用と判断される、宝石・鉱物の専門語彙の一つ。
地質学・鉱物学の用語としては、γρανάτης は宝石として赤色のガーネット(特に Pyrope パイロープ、Almandine アルマンディン)を中心に指すが、鉱物学的にはガーネット族(Garnet group)の珪酸塩鉱物の総称で、化学組成の違いで多様な色を持つ:赤色(Pyrope, Almandine), オレンジ色(Spessartine), 緑色(Andradite, Demantoid Garnet), 黄色(Hessonite), 黒色(Melanite)など、宝石学・鉱物学の領域で多様な変種が知られる。
派生・関連語族として γρανάτη(ガーネット石、女性名詞形でも使われる), γρανατένιος(ガーネットの、形容詞), βυσσινιά γρανάτη(暗赤色のガーネット), πέτρα γρανάτη(ガーネット石), σκουλαρίκια με γρανάτη(ガーネットのイヤリング), δαχτυλίδι με γρανάτη(ガーネット指輪), γρανατί(ガーネット色、不変化色語、口語)。
ガーネットは古代から珍重されてきた宝石の一つで、エジプトのファラオの墓、ローマ帝国の貴族の装飾品、ビザンツの聖具、中世の十字軍の装備、19 世紀ヴィクトリア朝のジュエリーまで、長い歴史を持つ。1 月の誕生石として知られ、古来から「保護」「忠誠」「強さ」の象徴として信仰された宝石。
同じ赤色系の宝石の領域には、近い宝石として ρουμπίνι(ルビー、← 英 ruby), αμέθυστος(アメジスト、紫水晶、← 古代 ἀμέθυστος「酔わない」), αχάτης(瑪瑙、メノウ), σαρδόνυχας(サルドニクス、紅縞瑪瑙), ζιρκόν(ジルコン)が並び、宝石学の体系の中で位置づけられる。
ギリシャ語:μοκέτα
読み方:モケタ・モケータ
ラテン文字:moketa
フランス語の moquette(厚みのあるパイル織りの織物、敷き詰めカーペット)からの外来借用。19世紀以降、フランスのパイル織り技術が広まる中で住宅・劇場・列車内装材としての敷き詰めカーペットを指す国際語となり、ギリシャ語にもこの語形のまま入った。フランス語 moquette 自体は毛足の長いパイル織物を指す古い職人言葉に由来し、明確な近縁の同族語は他言語に残っていない。同じフランス語からイタリア語 mochetta, スペイン語 moqueta, 英語 moquette も入っている。
類義語に χαλί(絨毯、敷物。トルコ語 halı 由来の外来借用で、床に置く取り外し自在な絨毯全般を指す), τάπητας(絨毯、織物。古代ギリシャ語 τάπης 由来で、行政・公式・装飾文化の硬い文脈で使う), κιλίμι(キリム。トルコ語 kilim 由来の外来借用で、毛足のない平織り絨毯)。μοκέτα は壁から壁まで床面に固定して敷き詰めるロール状のカーペットを指す形として広く使い、車のフロアマットも指す。
ギリシャ語:παραλία
読み方:パラリア・パラリーア
ラテン文字:paralia
古代ギリシャ語の παράλιος(海岸の、海辺の)から。παρά(〜のそば)と ἅλς(海)からなる形容詞で、もとは παραλία χώρα(海岸地方)のように名詞を伴っていたが、παραλία 単独で名詞として定着した。派生語に παραλιακός(海岸の、沿岸の)。
類義語の ακτή は地形としての海岸線を指し、崖や岩場も含む。παραλία は人が歩ける砂浜や海岸通りに使われることが多い。
ギリシャ語:ακτή
読み方:アクティ・アクティー
ラテン文字:akti
古代ギリシャ語の ἀκτή(海岸)から。地形としての海岸線や沿岸部を指し、崖や岩場も含む。類義語の παραλία(海辺)は人が歩ける砂浜や海岸通りに使われることが多い。
ギリシャ語:συνάντηση
読み方:シナディシ・シナーディシ・シナンディシ・シナーンディシ
ラテン文字:synantisi
古代ギリシャ語の συνάντησις(出会い、遭遇)に由来。動詞 συναντώ(出会う、会う)からの名詞。
ギリシャ語:ξένος
読み方:クセノス・クセーノス
ラテン文字:xenos
古代ギリシャ語の ξένος(よその人、客人、外国の)を継承。現代の「外国の」「外国人」の使い方は、フランス語 étranger、英語 foreigner からの意味借用で広がった。
派生語に ξενίζω(もてなす、変だと感じる)、ξενικός(外来の)、ξενιτιά(異郷、異国暮らし)。合成語に ξενοδοχείο(ホテル、直訳「客を受け入れる所」)、ξενοδόχος(ホテル経営者)、ξεναγός(旅行ガイド)、φιλοξενία(ホスピタリティ)、φιλόξενος(もてなし好きの)、ξενοφοβία(外国人嫌悪)。
旅人をもてなす ξενία は聖なる義務とされ、Ζεὺς Ξένιος(客人の守護神ゼウス)がその守護者だった。英語 xenophobia(外国人嫌悪)、xenogenesis(異種生殖)、化学元素の xenon(キセノン、「よそ者」の意でギリシャ語から造られた名)は同じ語源につながる。
ギリシャ語:εταιρεία
読み方:エテリア・エテリーア
ラテン文字:etaireia
古代ギリシャ語の ἑταιρεία(仲間関係、結社、団体)を継承。
古代ギリシャ語の ἑταῖρος(仲間、同志、同行者)から派生した抽象名詞で、もとは「仲間どうしの結びつき」「同志のつながり」を表していた。古代アテナイでは政治クラブや結社を ἑταιρεῖαι と呼んだ。
ἑταῖρος はさらに ἕτης(同じ氏族の者、一族の者)にさかのぼる。語根は印欧祖語で「自己、自身」「自分の集団」を表す語に起源を持ち、ラテン語 sodalis(仲間、結社員)と同根。
「会社、企業」の意味はフランス語 compagnie / société、英語 company からの意味借用で近代に定着した。歴史的には Φιλική Εταιρεία(友愛協会、1814 年設立)が独立革命の準備組織として有名。
綴りは εταιρεία(古代の -εία を保った形)と εταιρία(簡略化された -ία の形)の二形が並行して使われる。教育・公文書・法律では εταιρεία、商業現場では両方が見られる。本ページは εταιρεία を見出しとし、εταιρία を別形として立てる。
派生語に εταιρικός(会社の、企業の)、συνεταιρισμός(協同組合)など。
「会社、企業」の意味で類義語に επιχείρηση(事業、企業)、関連語に οίκος(屋号、商社)、φίρμα(ブランド、商号)、τραστ(信託、トラスト)。
「学会、団体」の意味で関連語に σύλλογος(会、サークル)、σύνδεσμος(連盟、組合)、σωματείο(社団、組合)。
ギリシャ語:ιεραρχία
読み方:イェラルヒア・イェラルヒーア
ラテン文字:ierarchia
ヘレニズム期ギリシャ語の ἱεραρχία(天使の階級的秩序、聖なる支配)に由来。ἱεραρχία は ἱεράρχης(高位の聖職者、大祭司)に、抽象名詞を作る接尾辞 -ία が付いた語。形の上では、ἱερός(聖なる)と ἀρχή(支配、始まり、原理)からなる語として理解できる。
現代の「組織内の階層、上下関係」や「価値・存在の階層的秩序」の意味は、フランス語 hiérarchie からの意味借用によって整えられた。hiérarchie は中世ラテン語 hierarchia を経て、同じ ἱεραρχία に遡る。
英語 hierarchy(階層、ヒエラルキー)は、古フランス語 ierarchie / jerarchie、中世ラテン語 hierarchia を経て、古代ギリシャ語 ἱεραρχία に遡る。英語ではもともと天使や聖職者の階級秩序を指し、のちに一般的な階層構造にも使われるようになった。
宗教の文脈では、Ιεραρχία は正教会の高位聖職者団、つまり教会の統治に関わる主教層を指す。関連語には ιερέας(司祭、神父)、ιεράρχης(高位聖職者)、ιερό(聖域、神殿、至聖所)などがある。
社会や組織の文脈では、στρατιωτική ιεραρχία(軍の階層)、υπαλληλική ιεραρχία(職員組織の階層)、κοινωνική ιεραρχία(社会的ヒエラルキー)のように使われる。
ギリシャ語:πειρατής
読み方:ピラティス・ピラティース
ラテン文字:peiratis
ヘレニズム期ギリシャ語 πειρατής(海賊、← 動詞 πειράω「試みる、襲撃する」+ -τής 動作主名詞接尾辞)を、近代以降に書きことばから再導入した学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。古代ギリシャ語にすでに「試みる者、襲撃者、海賊」を意味する語として存在し、特にヘレニズム期の地中海で「海上で襲撃する者」を中心義とする用法が定着した。
源にある古代の πειράω(試みる、経験する、襲う)は、ギリシャ語の名詞 πεῖρα(試み、試練、経験)と同系で、印欧祖語の「試みる、貫く」を表す語根に由来する。同じ語根からはラテン語 perīculum(危険、← 英 peril の語源), experīrī(試みる、← 英 experience, experiment), ペルシア語 paydā(生じる), 英語 fear(恐れ)が並び、「試み・経験・危険」を表すヨーロッパ語彙の根幹を成す古い系譜。
ラテン語経由で、中世ラテン語 pirata(海賊), フランス語 pirate, スペイン語 pirata, 英語 pirate(< 仏 pirate < ラ pirata < 古代ギリシャ語 πειρατής)として広まり、現代の各国語の「海賊」語彙の共通源となった国際語。地中海・西欧の海事語彙の中で古代ギリシャ語が占める中心的位置を象徴する語の一つ。
派生・関連語族として πειρατεία(海賊行為、書きことば), πειρατικός(海賊の、形容詞), πειρατικό πλοίο(海賊船), πειρατές του λογισμικού(ソフトウェア海賊版、← 英 software piracy の翻訳借用), διαδικτυακή πειρατεία(インターネット上の著作権侵害), βιοπειρατεία(バイオパイラシー、生物資源の不当な収奪)。
近い語の領域には、陸上で襲う ληστής(強盗、盗賊、書きことば), 私掠船乗りの κουρσάρος(私掠船乗り、← 伊 corsaro < 中世ラ cursarius), 沿岸の暴れ者の κλέφτης(泥棒、転じて山中の武装集団員), 現代のテロリストの τρομοκράτης(テロリスト)が並ぶ。πειρατής は特に船を襲う海賊を指す中心語で、近代以降は知的財産の侵害を含む比喩用法(ソフト・音楽・映像の海賊版)にも広がる、概念領域が拡大している語。
ギリシャ語:πορφυρός
読み方:ポルフィロス・ポルフィロース
ラテン文字:porfiros
古代ギリシャ語の πορφυροῦς / πορφύρεος(貝紫色の。πορφύρα「貝紫染料、ムラサキガイ」由来)からの学術借用(διαχρονικό δάνειο)で、語末の屈折型を現代ギリシャ語の -ός 型形容詞に整えなおして πορφυρός の形に落ち着いた。πορφύρα 自体は動詞 πορφύρω(波が逆巻く、湧き立つ)に由来する古層の語で、ヘキサプレックス科の巻貝(ツロツブリガイ、シリアツブリガイ)から取れる紫染料と、その色をした貝そのものを指した。プリニウスが「凝固した血の色」と形容したように赤と紫の境界にあたる深い色で、古代から中世にかけて高貴さの象徴となり、ビザンツ帝国では皇帝の子が πορφυρογέννητος(紫室生まれの)と呼ばれた。古代の πορφύρα はラテン語 purpura を経て、英語 purple(紫), porphyry(斑岩), ロシア語 порфира(皇帝の紫衣), ルーマニア語 porfiră(紫染料)の源になった。
類義語に βαθυκόκκινος(深紅の。βαθύς「深い」+ κόκκινος の合成), μοβ(紫の。フランス語 mauve 由来の外来借用で、日常の「紫」を指す), κόκκινος(赤の。日常の赤の総称), βυσσινί(えんじ色の、サワーチェリー色)。πορφυρός は古代由来の文学的・格式高い語で、夕日や王衣のような赤と紫の境界にある深い色を指す書き言葉の形として使う。派生に πορφυρό(中性形を名詞化したもの。貝紫色そのものを指す)。関連語に πορφύρα(貝紫染料、紫衣、ムラサキガイ), πορφυρογέννητος(紫室生まれ、皇帝の血筋の。ビザンツ皇族の称号), καταπόρφυρος(全身紫色の。κατά- 強調の合成)。
ギリシャ語:πέλαγος
読み方:ペラゴス・ペーラゴス
ラテン文字:pelagos
古代ギリシャ語の πέλαγος(海、外洋)に由来。印欧祖語で「平らに広がる」を表す語根に続くとされる。
ラテン語 pelagus と語源を共有する。英語 archipelago は中世イタリア語 arcipelago を経て古代ギリシャ語の ἀρχιπέλαγος(主たる海)に連なり、もとはエーゲ海を指した。エーゲ海には島が多いため、のちに「多島海、列島」の意味でも使われるようになった。
同じ語根からギリシャ語内に πλατύς(広い), πλάγιος(斜めの), πλάξ(平板), παλάμη(手のひら)が派生。派生に πελάγιος(外洋の), πελαγικός(外洋性の), πελαγίζω(水びたしになる), πελαγώνω(途方に暮れる)。合成に αρχιπέλαγος, αρχιπέλαγο(群島、列島), βαθυπελαγικός(深海の)。海全般には θάλασσα を使い、πέλαγος は沖合の広い海域にかぎって使う。大洋は ωκεανός で区別する。
ギリシャ語:κύκλωμα
読み方:キクロマ・キークロマ
ラテン文字:kykloma
古代ギリシャ語の κύκλωμα(円形のもの、車輪)に由来。κύκλωμα は κύκλος(円、輪、車輪)から作られた名詞で、結果やまとまりを表す接尾辞 -ωμα が付いた形。κύκλος は印欧祖語で「回る」を表す語根に起源を持ち、英語 cycle もラテン語 cyclus を経て同じ語源に遡る。英語 wheel も同じ語根を共有する。
電気回路の意味は、フランス語 circuit からの意味借用で加わった。circuit はラテン語 circuitus(周りを行くこと)に由来し、電流が通る閉じた経路という発想が κύκλωμα と対応している。
流通や販売の仕組み、利害で閉じた集団を指す意味には、英語 ring からの意味借用が重なっている。犯罪組織の文脈では σπείρα(一味、犯罪グループ)という表現も近い。
関連語に κύκλος(円、周期)、κυκλικός(円形の、周期的な)、βραχυκύκλωμα(短絡、ショート)など。電気分野では ρεύμα(電流)、αγωγός(導体)、ενέργεια(エネルギー)、πεδίο(場)などの用語と並ぶ。
ギリシャ語:πρόσωπο
読み方:プロソポ・プローソポ
ラテン文字:prosopo
古代ギリシャ語の πρόσωπον(顔、人、前面)から。顔という身体部分から、人そのもの、身元、面目、登場人物、人称、外から見える姿へと意味がつながっている。
「人」や「登場人物」の意味形成においては、フランス語の personne や personnage からの意味借用の影響も大きい。「外観」の意味ではフランス語 face、口語の「表、正面」の使い方では φάτσα(顔つき、面)ともニュアンスが重なる。
関連語には προσωπικός(個人的な、個人の)、προσωπικότητα(人格、個性)、προσωποποίηση(擬人化)、απρόσωπος(非人称の、無個性な)、προσωπείο(仮面)などがある。
成句では κατά πρόσωπο(面と向かって)や πρόσωπο με πρόσωπο(顔を合わせて)のように、相手に直接向かう様子を表す。
ギリシャ語:χημεία
読み方:ヒミア・ヒミーア
ラテン文字:chimeia
フランス語 chimie からの借用。chimie は中世ラテン語の alchemia(錬金術)が短縮された形で、その alchemia はアラビア語 الكيمياء(al-kīmiyāʾ)に由来。
もともとは古代ギリシャ語の χυμεία(金属を溶かし合わせる技法、χέω「注ぐ」の派生)である。ギリシャ語からいったん外の世界へ出て、アラビア語、ラテン語、フランス語を渡り、姿を変えて再びギリシャ語圏へと戻ってきた語といえる。
関連語に αλχημεία(錬金術)がある。これは同じ経路で入った別形で、アラビア語の定冠詞 al- を残している。
化学の下位分野には、βιοχημεία(生化学。βίος「生命」+ χημεία), γεωχημεία(地球化学。γη「地球」+ χημεία), φυσικοχημεία(物理化学。φυσική「物理」+ χημεία)などがある。
ギリシャ語:Οκρίβας
読み方:オクリヴァス・オクリーヴァス
ラテン文字:okrivas
古代ギリシャ語の ὄκρις(縁、突起)と βαίνω(立つ、進む)からなる ὀκρίβας(台、画架)に由来。
18世紀にフランスの天文学者ラカーユが「画架とパレット」として考案した星座で、ラテン語名はもと Equuleus Pictoris(画家の画架)だったが、のちに Pictor(画家)に短縮された。
ギリシャ語は古代語の ὀκρίβας をそのまま星座名に使う。新しい星座なので神話はない。現代ギリシャ語で日常的に使われるイーゼルは、ふつう καβαλέτο と言う。
ギリシャ語:λάμψη
読み方:ラムプシ・ラームプシ
ラテン文字:lampsi
ヘレニズム期ギリシャ語 λάμψις(輝き、光の放射、← 動詞 λάμπω「光る、輝く」+ -σις 抽象名詞接尾辞)が、中世期に語末の -σις > -ση の音変化を経て現代まで受け継がれた継承語(κληρονομιά)。古代の動詞 λάμπω からの派生で、もとは「光が放たれる動作・状態」を表す抽象名詞だった。
源にある古代の λάμπω(光る、輝く)は印欧祖語の「光る、輝く」を表す語根に由来し、サンスクリット rambh-(明るく光る), リトアニア語 lópė(炎、ろうそく)と同族。同じ動詞 λάμπω からは、古代以来の語族として λαμπρός(明るい、輝かしい、書きことば), λαμπερός(光り輝く、現代の口語), λαμπάς(松明、たいまつ、火), λαμπάδα(長いろうそく、復活祭用の大ろうそく), λαμπτήρας(ランプ、電球、書きことば), λάμπα(ランプ、電球、← 仏 lampe 経由の αντιδάνειο), λαμπαδηδρομία(聖火リレー)が出ている。地中海・西欧の「光、輝き、ランプ」の語彙の根幹をなす語族で、ラテン語 lampas を経由して英語 lamp, lambent(ちらちら光る)にもつながる。
近代以降、フランス語 éclat(輝き、栄華、華やかさ)の意味展開を取り込んで、物理的な光だけでなく「色の冴え」「肌・髪のつや」「祭りや都市の華やかさ」までを言う語として広がった、意味借用(σημασιολογικό δάνειο)の側面もある。
派生・関連語族として λαμπερός(光り輝く、形容詞), λαμπρότητα(輝かしさ、書きことば、← λαμπρός), λάμψιμο(きらめき、口語), λαμπύρισμα(ちらちらと光ること), αναλάμπω(再び輝く、書きことば), εκλάμπω(外に向けて輝く、書きことば), ξανάλαμψη(再びの輝き、復活)。同じ「光・輝き」の領域には、光そのものの φως(光、明かり), 一瞬の閃光の αστραπή(稲妻、← 動詞 αστράφτω「稲妻が走る」), 光の筋の ακτίνα(光線)が並ぶ。λάμψη は φως が見せるきらめきや反射を表す側で、対照的な反対側の語として σκοτάδι(暗闇)と対比される。
ギリシャ語:λάμπω
読み方:ラボ・ラーボ・ランボ・ラーンボ
ラテン文字:lampo
印欧祖語で「輝く」を表す語根に起源を持ち、古代ギリシャ語の λάμπω(輝く、光る)を継承。派生形 λαμπάς(たいまつ)はラテン語 lampas、フランス語 lampe を経て英語 lamp の語源になった。
派生・関連語は光源や光のイメージに関わるものが多い。λάμπα(ランプ、電球), λαμπάδα(ろうそく), λαμπάς(たいまつ), λαμπτήρας(電球), λαμπυρίδα(ほたる)など。形容詞 λαμπερός(輝かしい、明るい), 名詞 λάμψη(輝き)もこの動詞の語群。復活祭の呼び名 Λαμπρή もここから。星名 Λαμπαδίας(アルデバランの古いギリシャ語名)は λαμπάς(たいまつ)からの派生。
ギリシャ語:κλειδί
読み方:クリディ・クリディー
ラテン文字:kleidi
印欧祖語で「鍵, 閉じる道具」を表す語根にさかのぼる古代ギリシャ語 κλείς(鍵, かんぬき)の指小形 κλειδίον(小さな鍵)を経て, 中世ギリシャ語の κλειδί(ν) を継承。語末の -ν が脱落して現代ギリシャ語の κλειδί の形になった。
派生に κλείδα(鎖骨, 鍵), κλειδάκι(小さな鍵, 指小形), κλειδαράς(錠前師), κλειδαριά(錠, 鍵穴), κλειδώνω(鍵をかける)。合成語に αντικλείδι(合鍵), γαντζόκλειδο(鉤爪レンチ), κλειδαμπαρώνω(しっかり閉ざす), κλειδάριθμος(PIN コード), κλειδοκύμβαλο(クラヴィコード, 鍵盤楽器), κλειδομαντεία(鍵占い), μπουλονόκλειδο(ボックスレンチ), μπουζόκλειδο(プラグレンチ)。
ギリシャ語:πυρήνας
読み方:ピリナス・ピリーナス
ラテン文字:pyrinas
古代ギリシャ語の πυρήν(果実の種、核)に由来。πυρήν はさらに古代ギリシャ語 πῡρός(小麦の粒)に接尾辞が付いた形とされる。
もとは果実の中にある硬い種や核を指す語。そこから生物の細胞核、原子核、地球や天体の中心部、さらに物事や組織の中心という比喩的な意味へも広がった。
物理・化学の「原子核」の意味は、近代諸言語の nucleus という概念からの意味借用で定着。nucleus はラテン語 nucleus(核、種の中身、小さな木の実)に由来し、中心にある硬い部分という発想が πυρήνας と共通している。
派生語に πυρηνικός(核の、原子力の)、πυρηνοκίνητος(原子力で動く)、σκληροπυρηνικός(強硬派の、筋金入りの)など。
果実の種を指す語としては κουκούτσι(種、核)なども近い。物理では άτομο(原子)、πρωτόνιο(陽子)、νετρόνιο(中性子)、ηλεκτρόνιο(電子)など、生物では κύτταρο(細胞)などの語と結びついて用いられる。
ギリシャ語:πυρηνική οικογένεια
読み方:ピリニキ イコイェニア・ピリニキー イコイェーニア・ピリニキ イコゲニア・ピリニキー イコゲーニア
ラテン文字:pyriniki oikogeneia
πυρηνικός(核の、中心となる)の女性形 πυρηνική と οικογένεια(家族)からなる連語。英語 nuclear family に対応し、家族の中心単位を表す言い方として使われる。
πυρηνική οικογένεια は、ふつう親と未婚の子どもからなる家族を指す。
対照される語には εκτεταμένη οικογένεια / διευρυμένη οικογένεια(大家族、拡張家族)、関連語には μονογονεϊκή οικογένεια(ひとり親家庭)などがある。
ギリシャ語:απόκρυφος
読み方:アポクリフォス・アポークリフォス
ラテン文字:apokryfos
古代ギリシャ語の ἀπόκρυφος(隠された)から。ἀπό(〜から離れて)と κρύπτω(隠す)からなり、もとは「隠し置かれた」の意。教会が正典と認めない書物「外典」の意味でも使われる。後期ラテン語 apocryphus を経て英語 apocryphal の語源にもなった。
「オカルトの」の語義は19世紀にフランス語 occulte の翻訳借用として加わった。派生語の αποκρυφισμός(オカルティズム)もこの語義から。

中性名詞
虫
昆虫 
道具
コンピュータ
スポーツ 
花
スパイス・ハーブ
植物 
宝石・鉱物 
住居
季節 
地形 

問題・課題 
仕事 
形容詞
人 
社会 
信仰・神話
哲学・思考 
法 
教育 
色
赤系の色 

水 
物理
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