ギリシャ語:μαγνόλια
読み方:マグノリャ・マグノーリャ
ラテン文字:magnolia
新ラテン語 Magnolia(マグノリア属、モクレン属)からギリシャ語に入った学術借用(λόγιο διαχρονικό δάνειο)。フランス語 magnolia / magnolier の借用と並行する形で、近代の植物学の国際命名規約に従ってギリシャ語に取り入れられた近代の植物名。Tri 辞典には γρανάτης 同様、エントリーが見当たらないが、語形と意味から近代ヨーロッパ語経由の学術借用と判断される。
源にある新ラテン語 Magnolia は、フランスの植物学者シャルル・プリュミエ(Charles Plumier, 1646-1704)が 1703 年にカリブ海・西インド諸島で発見したマグノリアの仲間を、フランスの植物学者ピエール・マニョル(Pierre Magnol, 1638-1715)の名にちなんで命名した属名。マニョルはモンペリエの植物学者で、植物分類の科(family)の概念を初めて体系化した先駆者として、植物学史上重要な人物。リンネが 1753 年の『植物種誌』(Species Plantarum)で Magnolia を正式な属名として採用し、現代の植物分類学の中核的な属名として確立された。
科学者の名前を植物属名にする命名パターンは、近代植物学の標準的な慣習で、Linnaea(リンネソウ、← Linnaeus リンネ), Bouganvillea(ブーゲンビリア、← Bougainville ブーガンヴィル提督), Dahlia(ダリア、← Dahl ダール), Begonia(ベゴニア、← Bégon ベゴン), Camellia(カメリア、← Kamel カメル), Fuchsia(フクシア、← Fuchs フックス), Gardenia(ガーデニア、← Garden ガーデン), Forsythia(レンギョウ、← Forsyth フォーサイス)が並ぶ、18-19 世紀のヨーロッパの植物学黄金時代の遺産。
植物学的にはモクレン科(Magnoliaceae)の Magnolia 属の落葉または常緑の樹木で、約 200 種を含む。中国・北米南東部・カリブ海地域の温帯・亜熱帯が主な原生地で、特に Magnolia grandiflora(タイサンボク、北米南東部原産、白い大きな花), Magnolia denudata(ハクモクレン、中国原産), Magnolia liliiflora(シモクレン、紫色の花)が代表的な種類。
進化生物学的には、マグノリアは「生きた化石」とも呼ばれる古代植物で、約 9,500 万年前の白亜紀後期から地球上に存在し、ハチが進化する以前の昆虫(特に甲虫)によって受粉されていた、地球生命史の中核を成す古老植物の一つ。
派生・関連語族として μαγνολιά(同形), μαγνολιάκι(小さなマグノリア、口語の指小形), μαγνολίας ξύλο(マグノリアの木材), λευκή μαγνόλια(白いマグノリア), ροζ μαγνόλια(ピンクのマグノリア), ανθισμένη μαγνόλια(咲いたマグノリア), δέντρο μαγνόλιας(マグノリアの木), στρογγυλή μαγνόλια(円形のマグノリア), μαγνολιόκηπος(マグノリア園)。
ギリシャの庭園・園芸文化では、マグノリアは 19 世紀以降に観賞用樹木として導入され、アテネ・テッサロニキの公園、王立庭園(Εθνικός Κήπος), ヴィラ庭園、街路樹として広く植えられている。春の白・ピンク・紫の大きな花が観賞の中核となり、優雅・上品・古代的・神秘的なイメージを担う花木として、ファッション・文学・芸術の語彙の中で頻出する。
文化的な象徴として、マグノリアはアメリカ南部(ミシシッピ州・ルイジアナ州の州花)の象徴、東アジアの花木文化、ヨーロッパの庭園文化を結ぶ国際的な観賞植物として、20 世紀以降のグローバル化された園芸文化の中核を成す。映画『マグノリア』(Paul Thomas Anderson, 1999)など、現代芸術の象徴的なモチーフとしても広く使われる、文化的な含意を持つ語。

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